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【発明の名称】 切断装置
【発明者】 【氏名】久保 彰史

【要約】 【課題】被切断対象物を任意の位置で切断でき、被切断対象物の形状などが変わっても自動で切断開始や終了のタイミングを自動で設定でき、切断作業を容易に自動化でき、真円形の対象物でも安定して切断できる。

【解決手段】各カッター2,3,4,5の被切断対象物1への接触時にカッターの受ける反力変化をセンサー23により検出しカッターの押圧力の増大タイミングや切断完了処理の開始タイミング、カッターの破損などの異常状態をセンサーの検出結果に基づいて判定する。切断機構部28を被切断対象物の軸方向に移動可能で所望位置で停止・固定可能としたり、切断機構部の一側面側を装置本体に片持ち状態で連結し他側面側には障害物が設けられていない開放部を形成したり、切断機構部におけるヘッドを被切断対象物の回転軸と直交する平面内で揺動できる自由状態と揺動できないロック状態とに切換可能としてもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被切断対象物を保持して回転させる回転テーブルと、当該回転テーブルにより回転させられる前記被切断対象物を輪切り状態に切断する切断機構部とを備えた切断装置であって、前記切断機構部が、少なくとも2個のカッターが設けられた少なくとも2個のヘッドを前記被切断対象物の回転中心までの距離をそれぞれ等しく保ちながら移動させる機構と、前記回転テーブルにより回転させられる前記被切断対象物を前記少なくとも4個のカッターにより挟み込んで前記カッターが前記被切断対象物に接触する接触部分を塑性変形させて切断する機構とを備え、前記各カッターが前記被切断対象物に接触した時に前記カッターが受ける反力の変化をセンサーにより検出して、前記カッターの前記被切断対象物への押圧力を増大させるタイミングや切断完了処理を開始するタイミング及び前記カッターの破損、切れ味の低下、その他切断に関する異常状態の少なくとも1つを、前記センサーの検出結果に基づいて自動で判定する機構を設けたことを特徴とする切断装置。
【請求項2】
被切断対象物を保持して回転させる回転テーブルと、当該回転テーブルにより回転させられる前記被切断対象物を輪切り状態に切断する切断機構部とを備えた切断装置であって、前記切断機構部が、少なくとも2個のカッターが設けられた少なくとも2個のヘッドを前記被切断対象物の回転中心までの距離をそれぞれ等しく保ちながら移動させる機構と、前記回転テーブルにより回転させられる前記被切断対象物を前記少なくとも4個のカッターにより挟み込んで前記カッターが前記被切断対象物に接触する接触部分を塑性変形させて切断する機構とを備え、前記切断機構部を、前記回転テーブル上に載置された前記被切断対象物の軸方向に沿って移動可能でかつ所望位置で停止かつ固定可能とする機構が設けられていることを特徴とする切断装置。
【請求項3】
前記切断機構部の位置を位置センサーにより検出可能とし、前記切断機構の位置を前記位置センサーの出力に基づいて記憶可能とし、記憶された所望位置に向けて前記切断機構部を自動で移動可能な機構を設けたことを特徴とする請求項2記載の切断装置。
【請求項4】
被切断対象物を保持して回転させる回転テーブルと、当該回転テーブルにより回転させられる前記被切断対象物を輪切り状態に切断する切断機構部とを備えた切断装置であって、前記切断機構部が、少なくとも2個のカッターが設けられた少なくとも2個のヘッドを前記被切断対象物の回転中心までの距離をそれぞれ等しく保ちながら移動させる機構と、前記回転テーブルにより回転させられる前記被切断対象物を前記少なくとも4個のカッターにより挟み込んで前記カッターが前記被切断対象物に接触する接触部分を塑性変形させて切断する機構とを備え、前記切断機構部の前記ヘッドの一側面側が装置本体に片持ち状態で連結され、前記ヘッドの他側面側の前面側には障害物が設けられていない開放部が形成されていることを特徴とする切断装置。
【請求項5】
被切断対象物を保持して回転させる回転テーブルと、当該回転テーブルにより回転させられる前記被切断対象物を輪切り状態に切断する切断機構部とを備えた切断装置であって、前記切断機構部が、少なくとも2個のカッターが設けられた少なくとも2個のヘッドを前記被切断対象物の回転中心までの距離をそれぞれ等しく保ちながら移動させる機構と、前記回転テーブルにより回転させられる前記被切断対象物を前記少なくとも4個のカッターにより挟み込んで前記カッターが前記被切断対象物に接触する接触部分を塑性変形させて切断する機構とを備え、前記切断機構部に設けられた前記ヘッドが、前記回転テーブルの回転軸とほぼ直交する平面内で揺動できる自由状態と揺動できないロック状態とに切換可能とする機構を備えた切断装置。
【請求項6】
前記ヘッドの揺動を自由状態とロック状態とに切換可能とする機構が、前記ヘッドの揺動支持部を挟んで配置された少なくとも2個の押圧部材と、当該少なくとも2個の押圧部材を前記ヘッド部材に対して進退自在として前記ヘッドに接触させた状態でロック状態とし前記ヘッドとの間に隙間を形成させた状態で自由状態とする機構とを備えたことを特徴とする請求項5記載の切断装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、冷蔵庫、エアコンに使用されているコンプレッサー等の真円、楕円又はその他の形状の密閉容器などを切断するための切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の密閉容器などの被切断対象物を切断する切断装置としては、特許文献1に記載されたものなど各種のものがある。
【0003】
かかる従来の切断装置では、回転テーブル上に被切断対象物である密閉容器などを載置して回転テーブルを回転させることにより自転させ、次いで、それぞれ2個のカッターが取り付けられた2個のヘッドにより被切断対象物を挟み込んで、カッターと被切断対象物との接触面を塑性変形させて被切断対象物を輪切り状態に切断する。
【0004】
しかしながら、従来の切断装置には、以下に示すような解決すべき課題があった。
(1)被切断対象物の回転軸方向に対してカッターの高さ位置が移動不能な状態で固定され、切断位置は回転テーブルの上面から一定の高さになっているので、切断位置を回転軸方向で異ならせようとした場合には、被切断対象物を載置するための回転テーブル上又は回転テーブルとモーターとの間などにスペーサーを挿入して固定するなどの段取り換え作業が必要となり、段取り時間もかかる。
(2)被切断対象物の切断に際しては塑性変形させるために非常に大きな力を要するが、このためヘッドの駆動源として油圧シリンダーを用いるようにし、被切断対象物にカッターが接触する間での送りや接触後の油圧の増大による挟み込み力の増力などのタイミングの制御を行う必要がある。従来の切断装置では、油圧シリンダーの往復動作区間に磁気センサーを設け、その磁気センサーの位置を変更することにより挟み込み力(押圧力)の増圧タイミングを変更するようにしている。したがって、磁気センサーの位置を変更することにより増圧タイミングを設定する機構では、被切断対象物の形状が変わって、ヘッドと被切断対象物との接触タイミングなどが変わった場合には、磁気センサーの位置を被切断対象物の形状に合わせて移動する設定をし直さなければならず、設定変更作業に手間と時間が必要であった。
(3)切断開始は上述のように磁気センサーの位置によって制御しているが、切断の終了のタイミングは制御されてはおらず、作業者が切断完了のタイミングを目視などにより判断していたので、少しの判断ミスでカッターの磨耗や劣化を早めてしまうことがあった。
(4)回転テーブル上に被切断対象物を載置した後に、ヘッドが取り付けられた可動アームを手動操作により倒してヘッドに取り付けられたカッター間に被切断対象物が配置されるようにし、その後、作業者が可動アームを手動により保持しつつヘッドの駆動を開始するようにしているので、可動アームを保持するという手動操作が必要であり自動化になじみ難かった。
(5)2個のヘッドは2個の可動アームなどに取り付けられたいわゆる門型構造をしており、可動アームの前端部に配置されたシリンダー受けが前端部側を閉塞した状態すなわちシリンダー受けが障害物となった状態で配置されているので、可動アームを倒してヘッドを設置すると可動アームのシリンダー受けなどによって被切断対象物が取り囲まれてしまい、前方からの被切断対象物の供給が容易にはできず、自動供給が困難であり切断作業の自動化が困難であった。
(6)楕円形または異形の被切断対象物の切断は可能であるが、断面が真円形の被切断対象物を切断しようとすると、ヘッドが傾いて被切断対象物を回転テーブルから外側に押し出そうとする荷重が作用して被切断対象物が転倒するおそれがあり切断の安定性が確保できず、実質的に真円形の被切断対象物の切断はできなかった。
【特許文献1】特許第特3427176号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、被切断対象物の回転軸方向の任意の位置で切断することができ、被切断対象物の形状などが変わっても自動で切断開始や終了のタイミングを自動で設定でき、カッターの摩耗や劣化を最小限に抑えることができ、切断作業を容易に自動化でき、真円形の被切断対象物であっても安定して切断できる切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)本発明の請求項1記載の切断装置は、被切断対象物を保持して回転させる回転テーブルと、当該回転テーブルにより回転させられる前記被切断対象物を輪切り状態に切断する切断機構部とを備えた切断装置であって、前記切断機構部が、少なくとも2個のカッターが設けられた少なくとも2個のヘッドを前記被切断対象物の回転中心までの距離をそれぞれ等しく保ちながら移動させる機構と、前記回転テーブルにより回転させられる前記被切断対象物を前記少なくとも4個のカッターにより挟み込んで前記カッターが前記被切断対象物に接触する接触部分を塑性変形させて切断する機構とを備え、前記各カッターが前記被切断対象物に接触した時に前記カッターが受ける反力の変化をセンサーにより検出して、前記カッターの前記被切断対象物への押圧力を増大させるタイミングや切断完了処理を開始するタイミング及び前記カッターの破損、切れ味の低下、その他切断に関する異常状態の少なくとも1つを、前記センサーの検出結果に基づいて自動で判定する機構を設けたことを特徴とする。
(2)本発明の請求項2記載の切断装置は、被切断対象物を保持して回転させる回転テーブルと、当該回転テーブルにより回転させられる前記被切断対象物を輪切り状態に切断する切断機構部とを備えた切断装置であって、前記切断機構部が、少なくとも2個のカッターが設けられた少なくとも2個のヘッドを前記被切断対象物の回転中心までの距離をそれぞれ等しく保ちながら移動させる機構と、前記回転テーブルにより回転させられる前記被切断対象物を前記少なくとも4個のカッターにより挟み込んで前記カッターが前記被切断対象物に接触する接触部分を塑性変形させて切断する機構とを備え、前記切断機構部を、前記回転テーブル上に載置された前記被切断対象物の軸方向に沿って移動可能でかつ所望位置で停止かつ固定可能とする機構が設けられていることを特徴とする。
(3)本発明の請求項3記載の切断装置は、前記切断機構部の位置を位置センサーにより検出可能とし、前記切断機構部の位置を前記位置センサーの出力に基づいて記憶可能とし、記憶された所望位置に向けて前記切断機構部を自動で移動可能とする機構を設けたことを特徴とする。
(4)本発明の請求項4記載の切断装置は、被切断対象物を保持して回転させる回転テーブルと、当該回転テーブルにより回転させられる前記被切断対象物を輪切り状態に切断する切断機構部とを備えた切断装置であって、前記切断機構部が、少なくとも2個のカッターが設けられた少なくとも2個のヘッドを前記被切断対象物の回転中心までの距離をそれぞれ等しく保ちながら移動させる機構と、前記回転テーブルにより回転させられる前記被切断対象物を前記少なくとも4個のカッターにより挟み込んで前記カッターが前記被切断対象物に接触する接触部分を塑性変形させて切断する機構とを備え、前記切断機構部の前記ヘッドの一側面側が装置本体に片持ち状態で連結され、前記ヘッドの他側面側の前面側には障害物が設けられていない開放部が形成されていることを特徴とする。
(5)本発明の請求項5記載の切断装置は、被切断対象物を保持して回転させる回転テーブルと、当該回転テーブルにより回転させられる前記被切断対象物を輪切り状態に切断する切断機構部とを備えた切断装置であって、前記切断機構部が、少なくとも2個のカッターが設けられた少なくとも2個のヘッドを前記被切断対象物の回転中心までの距離をそれぞれ等しく保ちながら移動させる機構と、前記回転テーブルにより回転させられる前記被切断対象物を前記少なくとも4個のカッターにより挟み込んで前記カッターが前記被切断対象物に接触する接触部分を塑性変形させて切断する機構とを備え、前記切断機構部に設けられた前記ヘッドが、前記回転テーブルの回転軸とほぼ直交する平面内で揺動できる自由状態と揺動できないロック状態とに切換可能とする機構を備えた。
(6)本発明の請求項6記載の切断装置は、前記ヘッドの揺動を自由状態とロック状態とに切換可能とする機構が、前記ヘッドの揺動支持部を挟んで配置された少なくとも2個の押圧部材と、当該少なくとも2個の押圧部材を前記ヘッド部材に対して進退自在として前記ヘッドに接触させた状態でロック状態とし前記ヘッドとの間に隙間を形成させた状態で自由状態とする機構とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の切断装置は、以下のような効果を奏する。
(1)カッターが被切断対象物に接触した際に生ずる反力の変化をセンサーにより検出し、切断力(押圧力)の増大を開始することができる。従来の磁気センサーの位置を変更することなどによって予め切断力(押圧力)を増大するタイミングを設定することが不要になり、あらゆる形状の被切断対象物に対して段取り換え作業を行うこと無しに対応でき、切断効率が良い。また、切断完了を被切断対象物からカッターが受ける反力の変化で検出することができ、切断完了を人的判断に委ねないですみ、切断不良が無くなり、作業者は切断作業開始後に装置から離れることができるため安全であり、作業効率が良い。さらに、カッターの破損、切れ味の低下、その他切断に関しての異常を被切断対象物からカッターへの反力の変化をセンサーで検出することが可能である。
(2)切断機構部を被切断対象物の回転軸方向に自在に移動させ、被切断対象物をその回転軸方向の任意の位置で段取り換え作業を行うこと無しに切断できる。
(3)切断位置を自由に記憶して、自動で移動させることができ、被切断対象物の任意の位置を切断することが段取り換え作業を行うこと無しに行える。
(4)被切断対象物の回転中心からヘッドの位置を一定に保つための協動機構を1セットにすることにより省スペース化できる。切断機構部の形状が上部から見ると被切断対象物に対して一方が完全開放な形状をしているので、被切断対象物を装置の回転テーブルにセットする際、障害物が無く作業効率が良く、自動化しやすい形状である。また、被切断対象物から反力を受ける位置と、切断力が加わる位置を結んだ線上に前記協動機構を設け、かつ対称となるように切断機構部を案内するガイド機構を設けるようにすれば、ガイド機構などに加わる力を単純化することができ、この力の配置により切断機構部などの軽量、省スペース化、ガイド機構の耐久性の向上などを図ることができる。
(5)押圧部材を調整することにより前記可動アームに回転自在に設けてあるヘッドの角度を、被切断対象物の回転中心から4個のカッターまでの距離が等しくなる角度に調整し、固定することができ、固定を緩めた後、再度前記ヘッドを固定した場合も調整した角度は復元され固定できる。
(6)被切断対象物が真円形の場合、被切断対象物の回転中心から4個のカッターまでの距離が等しくなるように押圧部材の位置を調整し固定することにより、4個のカッターが被切断対象物に同時に接触し、カッター自身により被切断対象物の回転中位置を保持した状態で切断できるので、切断が安定する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、図面を参照して、本発明の実施の形態について説明する。
【0009】
図1に示すように、架台35には、被切断対象物1が載置される回転テーブル13と、回転駆動されるモーター16と、このモーター16と回転テーブル13とを連結するジョイント部材とを備える回転機構15と、被切断対象物1をカッター2,3,4,5により塑性変形させて切断する切断機構部28と、切断機構部28をガイドレール32に沿って図中上下方向に移動させる移動機構12とを備えている。図中14は、切断作業を開始する起動スイッチであり、作業者の両手に対応して装置の左右に2個設けられている。
【0010】
切断機構部28には、図2に示すように、カッター2,5が回転自在に取り付けられたヘッド6と、カッター3,4が回転自在に取り付けられたヘッド7とが取り付けられており、各ヘッド6,7は、図7に示すように揺動支点部9,11を介して図中水平面内で揺動可能な状態で連結されている。
【0011】
切断機構部28の図中下方にはシリンダー31が配置され、シリンダー31のシリンダーロッド31aはシリンダーロッド受け31bを介して切断機構部28に連結され、油圧バルブ29,30を切り換えることにより、シリンダー31に油を導いてシリンダーロッド31aを進退駆動させ、切断機構部28をガイドレール32に沿って図中上下方向(白抜き矢印方向)に移動できるようになっている。
【0012】
架台35には、図中上下方向に亘ってラック36が配置され、このラック36には、ロータリーエンコーダー34の回転シャフトに固定されたピニオン33が噛み合っている。ロータリーエンコーダー34は、本発明の位置センサーを構成し、切断機構部28の図中上部に取付部品34aを介して取り付けられており、シリンダー31による切断機構部28の図中上下方向の移動に応じてロータリーエンコーダー34の回転シャフトが回転されて信号が出力され切断機構部28の移動量や現在の位置などを検知することができる。
【0013】
ガイドレール32の図中上部を連結した連結部には、LED装置などの表示器37が取り付けられており、切断機構部28の上下移動に伴ってロータリーエンコーダー34から出力される信号に基づいて現在の位置に対応する数値表示がリアルタイムに表示される。
【0014】
図3及び図10に示すように、2個一組からなる押圧部材8が可動アーム22に進退自在に取り付けられ、押圧部材8の先端部がヘッド6,7の後端部に接離可能となっている。すなわち、図10に示すように、押圧部材8の基端部にはネジ部8aが形成され、ネジ部8aは可動アーム22側に設けられたナット部8bに螺合されて、各押圧部材8を可動アーム22に対してそれぞれ独立に進退自在となっている。
【0015】
図3に示すように、ヘッド6,7は可動アーム22に揺動支点部9,11で連結され、各可動アーム22間にはシリンダー18が架橋するように連結されている。各可動アーム22の後端部にはラック19,20が固定されており、各ラック19,20はラックガイド19a,20aにより軸方向に安定して進退できるように案内されている。ラック19,20には、ピニオン21が螺合している。このような構造により、シリンダー18のピストンロッド18d,18eの進退に伴ってラック19,20がピニオン21に螺合して進退し、2個の可動アーム22の移動量が等しくなるように同期させられて駆動可能な機構となっている。
【0016】
前記シリンダー18には、2個のピストンロッド18d,18eにより仕切られた油室18gと、ピストンロッド18d,18eにより仕切られた空気室18fとが形成され、油室18gには油圧を導くための油圧配管18a,18bが接続され、空気室18fには空気圧を導くための空圧配管18cが接続されている。
【0017】
油圧配管18a,18bの集合部には管路内の油の圧力を検出する圧力センサー23が設けられている。油圧配管18a,18bは、シリンダー18への油圧の供給を制御する油圧バルブ27を介して、増圧器17の油室17bに接続され、この油室17bは空油変換器26の油室に油圧配管を介して連結されている。空油変換器26には空圧配管26aが接続され、空気圧により空油変換器26の油室内の油に圧力が伝達される。空圧配管26aは空圧バルブ24を介して増圧器17の空気室に接続され、空気圧により空気室内のピストンロッド17aに圧力が付加され油室17b内の油の圧力が急激に増大させられる。
【0018】
次に、本発明の実施の形態に係る切断装置の使用方法及び作用について説明する。
【0019】
回転テーブル13上に形成された保持具に被切断対象物1を載置して、カッター2,3,4,5を押圧することにより被切断対象物1を塑性加工させて輪切り状態に切断する。
【0020】
図7に従って、切断工程を概説すると、図7(a)に示すように、左右の起動ボタン14を押すと、可動アーム22が互いに近接しヘッド6,7が図中a,b方向にそれぞれ進み、カッター2,3,4,5が被切断対象物1に接触させられ、ヘッド6,7は合成反力F3,F4を受け、この後、図7(b)に示すように、切断力(シリンダー18による押圧力)を増大させると、合成反力F7,F8を受けながら、被切断対象物1の切断が行われる。図7(c)に示すように、カッター2,3,4,5による被切断対象物1の切断が完了すると合成反力F9,F10を受ける。
【0021】
図3に基づいて被切断対象物1を切断する切断工程を説明する。
【0022】
図3に示すように、装置左右に設けられた二つの起動スイッチ14が同時に押されると(図5中A点)、空油変換器26から油が増圧器17を通りシリンダー18に入り、シリンダー18からの力がラック19とラック20とに伝達され、ラック19,20が噛み合っているピニオン21の回転動作を介することにより2個の可動アーム22の移動ストロークが同期させられる。このようなラック19,20とピニオン21とを備えた機構から2個の可動アーム22は被切断対象物1の回転中心までの距離を等しく保ちながら移動する。
【0023】
被切断対象物1にカッター2,3,4,5が接触すると(図5中B点)、シリンダー18の油室18gに接続されている油圧配管18a,18b内の油の圧力値が増加変化し、その油の圧力値の増加変化を圧力センサー23により検出することにより、被切断対象物1からの反力の増加変化を検知して切断力の増加をするタイミングが判定される。
【0024】
圧力センサー23による検出結果、切断力を増大させるタイミングであると判断した時には、空圧バルブ24を開き、増圧器17に空気圧を導かれる。この空気圧により増圧器17のピストン17aにより油室17bの油圧の圧力値が増大させられ油圧配管18a,18bに接続されたシリンダー18の油室18g内の油の圧力値が増圧させられ、切断力が増大させられる(図5中C点)。すなわち、増圧器17のピストンロッド17aが上昇すると空油変換器26から油を供給する油圧配管の入口が増圧器17内で遮断され、油室17bの内の油の圧力値が急激に増加させられる。この増圧の少し前にモーター16の回転を開始し、被切断対象物1を回転させる。
【0025】
切断の完了タイミング時には油圧バルブ27を遮断して切り換えて可動アーム22の前進を止める(図5中D点)。切断の完了やカッターの異常等の検出もシリンダー18の内圧変化(油圧配管18a,18b内の圧力値の変化)を圧力センサー23により検出して行う。被切断対象物1の回転は切断完了時に停止させられ(図5中E点)、油圧バルブ27を切り換えることにより2個の可動アーム22を後退させ(図5中F点)、原位置に復帰させる(図5中G点)。原位置への復帰の際には、空気圧をシリンダー18の空気室18fに圧縮空気を供給し、シリンダー18の油室18gから油の排出させる。
【0026】
図5のタイムチャートを参照して、切断工程を詳述する。
【0027】
左右の起動ボタン14を同時に押したことが検出されると(図5中A点)、油圧バルブ27が切り換えられシリンダー18に油圧が供給されヘッド6,7の前進が開始され切断工程を開始する。カッター2,3,4,5が被切断対象物1に接触したことを圧力センサー23の検出圧力値により検知する(図5中B点)。
【0028】
被切断対象物1へのカッター2,3,4,5の接触を検知してからタイマーにより時間T1だけ遅延して回転テーブル13を回転するモーター16の回転駆動を開始する。モーター16の回転が開始された時点からタイマーにより時間T2だけ遅延して空圧バルブ24を動作させて増圧器26の駆動を開始し、カッター2,3,4,5の押圧力を切断に適した値まで増圧させる(図5中C点)。圧力センサー23の検出圧力値から被切断対象物1の切断が完了したことが検知され(図5中D点)、この後、油圧バルブ27を切り換えて可動アーム22の駆動を停止する。可動アーム22にはシリンダー18の油室18g内の油圧が作用したままで前進が停止させられた状態とされる。この時点からタイマーにより時間T3だけ遅延して増圧器26の駆動が停止される。
【0029】
前記被切断対象物1の切断が検知された時点から予め設定された回転数だけモーター16が回転する時間T4だけ回転を継続した後モーター16の回転を停止する(図5中E点)。モーター16の回転が停止した後タイマーにより時間T5だけ遅延させて油圧バルブ27を切り換えてシリンダー18の後退を開始する(図5中F点)。シリンダー18のピストンロッド18d,18eが最も後退したときに、油圧バルブ27を切り換えて切断工程を終了する(図5中G点)。
【0030】
図6は切断工程中におけるヘッド6,7の受ける反力を示すグラフである。図6に基づいて、切断力(押圧力)の増大のタイミング及び切断完了の動作や、カッターの損傷、切れ味の低下、その他切断に関する異常状態などの検出方法を示す。
【0031】
左右の起動ボタン14が押されるとシリンダー18の駆動が開始される(図6中イ点)。油圧管路や機構部の摩擦があるのでカッター2,3,4,5にはF1,F2の反力が生ずる(図6中イーロ間)。
【0032】
ヘッド6,7が図7中a,b方向にそれぞれ進み、被切断対象物1にカッター2,3,4,5が接触する(図6中ロ点)。カッター2,3,4,5は被切断対象物1から反力を受け、ヘッド6,7に合成反力F3、F4が発生する。この際、反力に漸増変化が生じ(図6中I矢視部)、の変化後に被切断対象物1の回転が開始される。この反力の漸増変化を圧力センサー23により検出し、ヘッド6,7がa,b方向への移動に必要な力から、切断に必要な力へ増大させるタイミングとし、切断力の増大が開始される(図6中ハ点)。
【0033】
このように切断力(押圧力)が増力され被切断対象物1の切断に必要な力がカッター2,3,4,5に伝わり、被切断対象物1を切断している時には切断に必要な力とほぼ同等な反力F7,F8が発生している(図6中ハ点以降)。切断が完了する際には、被切断対象物1の円周上で切れた個所と切れてない個所ができ、この時に反力の漸減変化が起き反力F5、F6に変化する(図6中II矢視部)。この変化を切断完了のタイミングとして、カッター2,3,4,5の前進を止める。カッター2,3,4,5には切れた個所と切れてない個所が順番に接触しながら反力が周期的に又は不規則に変化しつつ、予め設定した回転数だけ回転した後に完全に切断され、反力の激減変化がおきる(図6中ニ点及び図6中III矢視部)。カッター2,3,4,5の後退は図6中II矢視部の変化後被切断対象物の回転数が設定された回転数に到達した時点で開始する(図6中ホ点)。
【0034】
図8に示すように、カッター2,3,4,5が正常な時のカッターの刃先の接触面積を基準とすると、カッターの損傷、劣化等があった場合には刃先の接触面積は正常時の接触面積よりも大きくなる(図8(a),(b)参照)。被切断対象物1の塑性変形に必要な面圧を一定とすると、塑性変形を開始させるために必要な切断力は、カッター2,3,4,5の刃先に損傷、劣化等がある場合の方が大きくなる。塑性変形が始まる切断力が大きくなることにより、図6(c)に示すように正常時の反力F7,F8より大きな反力F11、F12をヘッド6、7が受けることになるので、このような反力変化を圧力センサー23により検出すればカッターの破損、切れ味の低下などを判定することができる。
【0035】
図2に基づいて、切断機構部28を上下動させる動作について説明する。
【0036】
油圧バルブ29と油圧バルブ30が開かれ、シリンダー31に油が入ると、切断機構部28がガイド32に添って上下に移動する。ここで、切断機構部28がラック36に平行に移動する量を、ラック36に噛み合ったピニオン33の回転に基づいて、ロータリーエンコーダー34が検出し、検出された数値は制御系を介して表示器37に現在位置として表示される。作業者は起動ボタン14を操作することにより切断機構部28を自由に移動させることができ、油圧バルブ29と油圧バルブ30が閉められることにより、切断機後部28を任意の所望位置に停止させることができる。この任意の所望位置を制御系において記憶させれば、作業者の操作により設定した任意の所望位置に、記憶されたデータに基づいて自動で移動させることができる。
【0037】
図9及び図10に基づいて、押圧部材8の作用について説明する。
【0038】
従来の切断装置のように被切断対象物1の回転中心軸の位置を拘束しない装置により、真円形の被切断対象物1を切断する場合に、ヘッド6,7が回転自在の状態では切断時の被切断対象物1の微妙な形状変化や装置本体の振動などを原因として、被切断対象物1の回転中心10がヘッド6,7の揺動支点部9,11を結ぶ線上から外れると、ヘッド6,7がそれぞれ逆方向に回転して揺動支点部9,11を結ぶ線に対して対称にならず、切断力が被切断対象物1の回転中心10を揺動支点部9,11を結ぶ線から遠ざける方向に作用し、被切断対象物1の転倒につながるおそれがあった。
【0039】
これに対して、本発明の実施の形態に係る切断装置では、図10に示すように、ヘッド6,7の後方側にそれぞれ2個の押圧部材8を設けて上記問題を解決している。
【0040】
すなわち、図10(a)に示すように、カッター2,3,4,5が被切断対象物1の回転中心からそれぞれ等しい距離になるように、各押圧部材8の突出量をネジ部8aとナット部材8bとの螺合位置を調整し、ヘッド6,7の角度を調整するとともに角度が変わらないように固定することができる。カッター2,3,4,5からの被切断対象物1に伝わった切断力は揺動支点部9,11を結ぶ線に対して対称になり、被切断対象物1の微妙な形状変化や装置の振動などがあっても、ヘッド6,7は揺動回転できないので、被切断対象物1が回転中心10が揺動支点部9,11を結ぶ線上を外れることはない。
【0041】
楕円形の被切断対象物1を切断する場合には、図10(b)に示すように、押圧部材8をヘッド6,7から離れるように、ネジ部8aとナット部材8bとの螺合位置を調整して押圧部材8がヘッド6,7に当接しない状態に設定し、ヘッド6,7が自由に揺動回転でき、円滑にかつ確実に切断することができる。すなわち、被切断対象物1の回転中に、ヘッド6,7がそれぞれ逆方向に回転することが無いので、切断力が揺動支点部9,11を結ぶ線に対して対称となり、被切断対象物1の回転中心10が揺動支点部9,11を結ぶ線上から外れることはない。
【0042】
図4に、本実施の形態に係る切断装置の全体構造を示す。
【0043】
図4(c)に示すように、切断機構部28の一部である可動アーム22を支持する支持部材28bは、架台53側に設けられた摺動レール25に摺動自在に片持ち状態で取り付けられている。図4(b)に示すように、摺動レール25とは反対側には正面が開放された開放部28aが形成されている。この開放部28aにより、被切断対象物1を前方から挿入して回転テーブル13上に設置することができ、被切断対象物1の装置への脱着が容易になる。したがって、本切断装置では被切断対象物1を自動で供給する供給装置を付設することが容易になり、切断作業の自動化を図る上で非常に有利な形状・構造となっている。
【0044】
上述のように、片持ち状態で配置する場合には、大きな荷重を被切断対象物1に作用させるものであるので、偏心モーメントなどが作用しやすく設計上問題も多いが、本切断装置では、図4(c)に示すように、被切断対象物1から可動アーム22が反力を受ける位置38と、シリンダー18から可動アーム22に切断力が加わる位置39を結ぶ線に対して、対称位置となるように摺動レール25を配置するとともに、、被切断対象物1に対して可動アーム22を同期させて移動させる機構である、ラック19とラック20とピニオン21も上記位置38と位置39とを結ぶ線に直交する線上に配置されているので、偏心モーメントなどの作用を極力無くすなど摺動レール25に加わる力を単純化でき、力学上最善の配置となっている。これにより、切断機構部28の軽量、省スペース化、摺動レール25の耐久性の向上などが図られている。
【0045】
上記実施の形態に係る切断装置では、圧力センサー23によりカッター2,3,4,5が受ける反力を検出するようにしているが、カッター2,3,4,5が取り付けられた可動アーム22などの構造物にロードセルを付設して当該ロードセルの出力値から反力を測定するものであってもよい。
【0046】
本発明は冷蔵庫やエアコンのコンプレッサーを切断することを主要な目的として開発したものであるが、真円形、楕円、異形にかかわらずパイプ状の物であればその切断に応用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の一形態に係る切断装置を示す側面図である。
【図2】本発明の実施の一形態に係る切断装置を示す正面図である。
【図3】本発明の実施の一形態に係る切断装置の機器構成図である。
【図4】本発明の実施の一形態に係る切断装置を示す正面図、平面図、側面図である。
【図5】本発明の実施の一形態に係る切断装置の制御タイムチャートである。
【図6】本発明の実施の一形態に係る切断装置における反力変化を示すグラフである
【図7】本発明の実施の一形態に係る切断装置の切断工程を示す概略図である。
【図8】本発明の実施の一形態に係る切断装置においてカッターが摩耗した状態で切断する場合の切断状態を示す図である
【図9】従来の切断装置により真円形の被切断対象物を切断する場合に生ずる問題点を説明するための図である。
【図10】本発明の実施の一形態に係る切断装置の切断工程を示す概略図である。
【符号の説明】
【0048】
1 被切断対象物
2,3,4,5 カッター
6,7 ヘッド
8 押圧部材
9,11 揺動支点部
13 回転テーブル
16 モーター
17 増圧器
18 シリンダー
19,20 ラック
21 ピニオン
22 可動アーム
23 圧力センサー
24 空圧バルブ
25 摺動レール
26 空油変換器
27 油圧バルブ
28 切断機構部
28a 開放部
32 ガイド
35 架台
38 可動アームが反力を受ける位置
39 シリンダーから可動アームに切断力がかかる位置
【出願人】 【識別番号】591248809
【氏名又は名称】株式会社エイシン技研
【出願日】 平成18年10月26日(2006.10.26)
【代理人】 【識別番号】100109944
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 保之


【公開番号】 特開2008−105142(P2008−105142A)
【公開日】 平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願番号】 特願2006−291066(P2006−291066)