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【発明の名称】 往復動工具
【発明者】 【氏名】鈴木 康人

【要約】 【課題】研切削具ホルダーを軽量化する。

【解決手段】研切削具ホルダー20が、スリット52と一対の挟着片62,64とを有し、研切削具Sの後端部分S-1を該スリットの前端から後端に向けて受け入れて挟着固定する挟着部を有する挟着部材68と、該挟着部に嵌合される筒状体70と、一対のナット76,78と、筒状体の該貫通孔72,74を通されて延び、ナットにねじ込まれ、先端によって一方の挟着片64を他方の挟着片62に向けて押圧し、両挟着片の間で該研切削具の後端部分S-1を挟着する一対のネジ80,82と、を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
往復動工具において、
当該往復動工具の先端に設定される研切削具を保持する研切削具ホルダーと、
該研切削具ホルダーを前後方向で往復動させる駆動手段と、
を備え、
該研切削具ホルダーが、
研切削具の後端部分に対向配置される内側面と、その反対側の外側面とを有する前後方向に延びる第1の挟着片を有する挟着部材と、
該第1の挟着片と、該第1の挟着片の該内側面に対向させた研切削具の後端部分との周りに嵌合される筒状体であって、該内側面に対向する当該筒状体の壁部分を半径方向で貫通する少なくとも1つの貫通孔を有する筒状体と、
該研切削具の後端部分の該第1の挟着片に面する側とは反対側の面と該筒状体の該壁部分との間において、該少なくとも1つの貫通孔の軸線に整合するようにして配置され、軸線の周りでの回転が阻止された状態とされる少なくとも1つのナットと、
該筒状体の該貫通孔を通されて該ナットにねじ込まれ、先端によって、該研切削具の後端部分を該第1の挟着片に向けて押圧し、該第1の挟着片との間で該研切削具の後端部分を挟着する少なくとも1つのネジと
を有することを特徴とする往復動工具。
【請求項2】
該少なくとも1つの貫通孔が、当該筒状体の軸線方向で所定間隔をあけて設けられた2つの貫通孔を有し、該少なくとも1つのナット及び該少なくとも1つのネジが、該2つの貫通孔に対応して、それぞれ、2つ設けられている請求項1に記載の往復動工具。
【請求項3】
該研切削具ホルダーが、
該研切削具の後端部分の該第1の挟着片に面する側とは反対側の面に当接される当て板を有し、
該ネジが、該当て板を介して、該研切削具の後端部分を挟着するようになされた請求項2に記載の往復動工具。
【請求項4】
該研切削具ホルダーが、
該研切削具の後端部分と該第1の挟着片との間に設定される当て板を有し、
該ネジが、その先端と該当て板との間に該研切削具の後端部分を挟着するようになされた請求項2に記載の往復動工具。
【請求項5】
該挟着部材が、
該第1の挟着片に対向配置された前後方向に延びる第2の挟着片を有し、
該当て板が該第1及び第2の挟着片の間に設定されるようになされ、
該第2の挟着片が、該ネジの先端を通す貫通孔を有するようになされた請求項3又は4に記載の往復動工具。
【請求項6】
該挟着部材が、
該第1の挟着片に対向配置された前後方向に延びる第2の挟着片を有し、
該第2の挟着片の該1の挟着片に面する側とは反対側の面に当接される当て板を有し、
該ネジが、該当て板及び該第2の挟着片を介して、該第1の挟着片との間で該研切削具の後端部分を挟着するようにした請求項1又は2に記載の往復動工具。
【請求項7】
該第2の挟着片が、該第1の挟着片に面する内側面とは反対側の外側面に、該ナットを収納し、該ナットがその軸線の周りで回らないようにするナット設定溝を有する請求項5に記載の往復動工具。
【請求項8】
該ナット設定溝が、該前後方向で間隔をあけて設けられた前壁面と後壁面とを有し、
該ナットが、それぞれ、六角ナットとされて、該前壁面と後壁面との間で前後方向で並べて配置され、前方のナットが該前壁面に係合し、後方のナットが該後壁面に係合し、且つ、前方及び後方のナットが相互に係合することにより、当該ナットがその軸線の周りでの回転するのを阻止されるようにした請求項7に記載の往復動工具。
【請求項9】
該挟着部材が、
該第1の挟着片に対向配置された前後方向に延びる第2の挟着片と、
該第1及び第2の挟着片の間に設定される当て板と
を有し、
該第2の挟着片が、該ネジの先端を通す貫通孔を有し、
該当て板を、該研切削具の後端部分の該第1の挟着片に面する側とは反対側の面に当接して、該ネジが、該当て板を介して、該研切削具の後端部分を挟着するようにされ、
該第1の挟着片が、その上縁に沿って前後方向に延びる凹部を有し、
該当て板が当該当て板の上縁から該第1の挟着片に向けて延び、該凹部に嵌合されるようにした上部係止縁部を有する請求項1に記載の往復動工具。
【請求項10】
該挟着部材が、
該第1の挟着片に対向配置された前後方向に延びる第2の挟着片と、
該研切削具の後端部分と該第1の挟着片との間に設定される当て板を有し、
を有し、
該第2の挟着片が、該ネジの先端を通す貫通孔を有し、
該当て板を、該研切削具の後端部分と該第1の挟着片との間に設定し、該ネジが、その先端と該当て板との間に該研切削具の後端部分を挟着するようにされ、
該当て板が当該当て板の上縁から該第2の挟着片に向けて延びる上部係止縁部を有する請求項1に記載の往復動工具。
【請求項11】
該第2の挟着片が、その上縁に沿って前後方向に延びる凹部を有し、該当て板の上部係止縁が該凹部に嵌合されるようにした請求項10に記載の往復動工具。
【請求項12】
該挟着部材がアルミニウム、アルミニウム合金、及び樹脂から選択された1つによって形成されている請求項1乃至11のいずれかに記載の往復動工具。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮空気により駆動するようにした手持ち式のノコギリなどの往復動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の往復動工具は、例えば、筒状のハウジングと、該ハウジング内に、該ハウジングの軸線方向に変位可能に設けられた第1及び第2ピストンと、第2ピストンから前方に延び、前端にノコギリやヤスリ等の研切削具を取り付ける研切削具ホルダーと、第1及び第2ピストンの間に圧縮空気源を供給する圧縮空気供給通路手段と、第1及び第2ピストンをそれぞれ前方及び後方に向けて付勢する第1及び第2バネとを有し、該第1及び第2ピストンの間に該圧縮空気源からの圧縮空気を供給して該第1及び第2ピストンをそれぞれ第1及び第2バネに抗して後方及び前方に変位させることにより、該研切削具ホルダーを前方に駆動するようにした形式のものがある。(特許文献1参照)
【0003】
研切削具ホルダーに対する研切削具の取り付けに関しては、研切削具ホルダーの後端部分を一対の挟着片の間に挟着して保持することにより、該後端部分が種々の寸法のものであっても、適正に保持できるようにしたものが開発されている。(特許文献2参照)
【0004】
また、この種の往復動工具においては、研切削具ホルダーを備えた第2ピストンの重量が大きくなるために、該第2ピストンが前進駆動されたときに、その慣性により、ハウジングに衝突してしまうという問題があり、これを解消するための衝突回避手段を設けた発明がなされている。(特許文献3参照)
【特許文献1】特開2005−205514
【特許文献2】実開平1−170521
【特許文献3】特願2006−29007
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記特許文献2で開示されたような研切削具ホルダーを備えた往復動工具であって、該研削具ホルダーの重量をなるべく小さくすることができるようにした往復動工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、
往復動工具において、
当該往復動工具の先端に設定される研切削具を保持する研切削具ホルダーと、
該研切削具ホルダーを前後方向で往復動させる駆動手段と、
を備え、
該研切削具ホルダーが、
研切削具の後端部分に対向配置される内側面と、その反対側の外側面とを有する前後方向に延びる第1の挟着片を有する挟着部材と、
該第1の挟着片と、該第1の挟着片の該内側面に対向させた研切削具の後端部分との周りに嵌合される筒状体であって、該内側面に対向する当該筒状体の壁部分を貫通する少なくとも1つの貫通孔を有する筒状体と、
該研切削具の後端部分の該第1の挟着片に面する側とは反対側の面と該筒状体の該壁部分との間において、該少なくとも1つの貫通孔の軸線に整合するようにして配置され、それぞれの軸線の周りでの回転が阻止された状態とされる少なくとも1つのナットと、
該筒状体の該貫通孔を通されて該ナットにねじ込まれ、先端によって、該研切削具の後端部分を該第1の挟着片に向けて押圧し、該第1の挟着片との間で該研切削具の後端部分を挟着する少なくとも1つのネジと
を有することを特徴とする往復動工具を提供する。
【0007】
具体的には、該少なくとも1つの貫通孔が、当該筒状体の軸線方向で所定間隔をあけて設けられた2つの貫通孔を有し、該少なくとも1つのナット及び該少なくとも1つのネジが、該2つの貫通孔に対応して、それぞれ、2つ設けられるようにすることができる。
【0008】
前述の特許文献2では、前述の一対の挟着部材の一方の挟着片にネジ穴を形成し、筒状体の貫通孔を通されたネジを該ネジ穴にねじ込んで、その先端と、他方の挟着片との間で、研切削具の後端部分を挟着するようにしている。このため、挟着部材はネジ溝がつぶれない鉄などの材料で作らざるを得ず、その重量は大きいものとなる。
【0009】
本発明に係る上記往復動工具では、上述のようにナットを使用するようにしたので、挟着部材にネジ穴を設ける必要がないため、アルミニウム、アルミニウム合金、及び樹脂などの軽量な材料により作ることができ、それにより研切削具ホルダーの重量を小さいものとすることができる。このため、本発明においては、該挟着部材の駆動力を小さいものとすることができ、また、該挟着部材が取り付けられる第2ピストンの作動時の慣性を小さくすることができるので、前述した該第2ピストンのハウジングへの衝突も軽減若しくは回避することが可能となる。
【0010】
より具体的には、該研切削具ホルダーが、該研切削具の後端部分の該第1の挟着片に面する側とは反対側の面に当接される当て板を有し、該ネジが、該当て板を介して、該第1の挟着片を挟着するようにすることができる。挟着片は、ネジの先端による挟着部材への損傷を防ぐためのものである。
【0011】
また、該研切削具ホルダーが、該研切削具の後端部分と該第1の挟着片との間に設定される当て板を有し、該ネジが、その先端と該当て板との間に該研切削具の後端部分を挟着するようにすることもできる。この場合も、ネジによる挟着部材への損傷を与えることなく、研切削具を挟着することができる。
【0012】
これらの場合、該挟着部材が、
該第1の挟着片に対向配置された前後方向に延びる第2の挟着片を有し、
該当て板が該第1及び第2の挟着片の間に設定されるようになされ、
該第2の挟着片が、該ネジの先端を通す貫通孔を有するようにすることができる。
【0013】
この場合は、ナットが第2の挟着片の該1の挟着片に面する側とは反対側の面側に設定されることになる。
【0014】
これとは別に、該挟着部材が、
該第1の挟着片に対向配置された前後方向に延びる第2の挟着片を有し、
該第2の挟着片の該1の挟着片に面する側とは反対側の面に当接される当て板を有し、
該ネジが、該当て板及び該第2の挟着片を介して、該第1の挟着片との間で該研切削具の後端部分を挟着するようにすることもできる。
【0015】
第2の挟着片を設け、2つのナットを用いる場合においては、第2の挟着片が、該第1の挟着片に面する内側面とは反対側の外側面に、該ナットを収納し、該ナットがその軸線の周りで回らないようにするナット設定溝を有するようにすることができる。
【0016】
具体的には、該ナット設定溝が、該前後方向で間隔をあけて設けられた前壁面と後壁面とを有し、該ナットが、それぞれ、六角ナットとされて、該前壁面と後壁面との間で前後方向で並べて配置され、前方のナットが該前壁面に係合し、後方のナットが該後壁面に係合し、且つ、前方及び後方のナットが相互に係合することにより、当該ナットがその軸線の周りでの回転するのを阻止されるようにすることができる。
【0017】
また、該挟着部材が、
該第1の挟着片に対向配置された前後方向に延びる第2の挟着片と、
該第1及び第2の挟着片の間に設定される当て板と
を有し、
該第2の挟着片が、該ネジの先端を通す貫通孔を有し、
該当て板を、該研切削具の後端部分の該第1の挟着片に面する側とは反対側の面に当接して、該ネジが、該当て板を介して、該研切削具の後端部分を該第1の挟着片との間に挟着するようにされ、
該第1の挟着片が、その上縁に沿って前後方向に延びる凹部を有し、
該当て板が当該当て板の上縁から該第1の挟着片に向けて延び、該凹部に嵌合されるようにした上部係止縁部を有するようにすることができる。
【0018】
このようにすることにより、研切削具の上縁を該上部係止縁部によって係合できるようにして、当該研切削具を確りと保持できるようにすることができる。
【0019】
該挟着部材が、
該第1の挟着片に対向配置された前後方向に延びる第2の挟着片と、
該研切削具の後端部分と該第1の挟着片との間に設定される当て板を有し、
を有し、
該第2の挟着片が、該ネジの先端を通す貫通孔を有し、
該当て板を、該研切削具の後端部分と該第1の挟着片との間に設定し、該ネジが、その先端と該当て板との間に該研切削具の後端部分を挟着するようにされ、
該当て板が当該当て板の上縁から該第2の挟着片に向けて延びる上部係止縁部を有するようにすることができる。
【0020】
この場合も、研切削具の上縁を該上部係止縁部により係合し、該研切削具を確りと保持することを可能とする。
【0021】
この場合、該第2の挟着片が、その上縁に沿って前後方向に延びる凹部を有し、該当て板の上部係止縁が該凹部に嵌合されるようにすることができる。
【0022】
上述のように形成される本発明に係る往復動工具においては、挟着部材をアルミニウム、アルミニウム合金、及び樹脂から選択された1つによって形成することができる。
【0023】
このようにすることにより、研切削具の後端部分の上縁部を、該上部係止部によって係合されるようにして、切削作業等で当該研切削具に上向きの力が加わっても、該研切削具をぐらつかないように確りと保持することが可能となる。
【0024】
また、別の具体例としては、
該研切削具ホルダーが、
該研切削具の後端部分の該第1の挟着片に面する側の面に当接される当て板を有し、
該一対のネジが、その先端と該当て板との間に該第1の挟着片を挟着するようにすることもできる。
【0025】
この場合、
該挟着部が全体として円筒状の外周面を有し、第1及び第2の挟着片が、該挟着部の前端から後端に向けて延びるスリットにより分離形成され、
該筒状体が、該挟着部の外周面と略同じ直径を有するようになされ、
該当て板が、その上縁から該スリット内で該第2の挟着片に向けられた上部係止縁部を有するようにすることが好ましい。
【0026】
このようにすることにより、研切削具の後端部分の上縁部を、該上部係止部によって係合されるようにして、切削作業等で当該研切削具に上向きの力が加わっても、該研切削具をぐらつかないように確りと保持することが可能となる。
【0027】
上述の具体例では、更に、
該挟着部が、
該第1の挟着片に対向配置された前後方向に延びる第2の挟着片を有し、
該当て板が該第1及び第2の挟着片の間に設定されるようになされ、
該第2の挟着片が、該ネジの先端を通す貫通孔を有するようにすることができる。
【0028】
更に別の具体例では、
該挟着部が、
該第1の挟着片に対向配置された前後方向に延びる第2の挟着片を有し、
該第2の挟着片の該1の挟着片に面する側とは反対側の面に当接される当て板を有し、
該一対のネジが、該当て板及び該第2の挟着片を介して、該第1の挟着片との間で該研切削具の後端部分を挟着するようにすることができる。
【0029】
このように第2の挟着片を設ける場合には、該第2の挟着片が、該第1の挟着片に面する内側面とは反対側の外側面に、該一対のナットを収納し、該ナットがその軸線の周りで回らないようにするナット設定溝を有するようにすることができる。
【0030】
具体的には、該ナット設定溝が、該第1の挟着面の前後方向で間隔をあけて設けられた前壁面と後壁面とを有し、
該一対のナットが、それぞれ、六角ナットとされて、該前壁面と後壁面との間で前後方向で並べて配置され、前方のナットが該前壁面に係合し、後方のナットが該後壁面に係合し、且つ、前方及び後方のナットが相互に係合することにより、当該一対のナットがその軸線の周りでの回転するのを阻止されるようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明にかかる空気圧駆動式とした往復動工具の実施形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0032】
図1に示すように、本発明にかかる空気圧式往復動工具10は、筒状のハウジング12と、該ハウジング内に、該ハウジングの軸線方向に変位可能に設けられた筒状の第1ピストン14と、該第1ピストンの内壁面に対して軸線方向で摺動可能に設けられた第2ピストン16と、該第2ピストンから前方に延びるロッド18の前端に連結され、ノコギリ等の研切削具Sを保持する研切削具ホルダー20と、ハウジング12の後端から前方に延び第1及び第2ピストンの間に圧縮空気を供給するための供給路19が設けられた固定軸21であって、第1ピストン14を摺動可能に支持している固定軸を備える圧縮空気供給手段とを有する。
【0033】
第1及び第2ピストン14,16の間には、圧縮空気源(図示せず)からの圧縮空気を供給して第1及び第2ピストン14,16をそれぞれ後方及び前方に変位させることにより、該研切削具ホルダー20を前方に駆動するようになっている。
【0034】
往復動工具10は、更に、第2ピストン16の前方位置でハウジング内に設けられた制動部材22を有する。該制動部材22は、後方に向いた開口を備えるピストン制動室24を備え、圧縮空気により前方へ駆動変位された第2ピストン16の小径とされた前方部分26を該開口から受け入れることにより、該前方部分26によって圧縮されるピストン制動室24の空気によって該第2ピストン16を制動停止させる。
【0035】
第1ピストン14は、後端壁28と該後端壁から前方に延びる筒状壁30とを有し、該筒状壁30には貫通孔32が形成されており、該貫通孔は、大気へ連通されており、第2ピストン16の前方部分26が制動部材22のピストン制動室24内に入るときに、該貫通孔32が第2ピストン16による閉止から開放され、第1及び第2ピストン14,16間を大気へ通気するようになっている。
【0036】
図示の例では、制動部材22は第1ピストン14にネジ止めされており、第1ピストン14と一緒に軸方向で変位するようにされている。また、第1ピストン14はハウジング12の後端部分との間に設定された第1コイルバネ34により前方へ付勢されており、制動部材22は、ハウジング12の前端部分との間に設定された第2コイルバネ36により後方へ付勢されている。
【0037】
固定軸21の供給路19が連通される圧縮空気の供給通路には開閉弁50が設けられ、レバー110を図1の位置から時計方向に押圧することにより、該開閉弁50を開放位置として、第1及び第2ピストン間に圧縮空気を供給するようになっている。
【0038】
圧縮空気による駆動の詳細は、前述した特許文献2に記載されている通りであり、当業者には容易に把握できると考えられるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0039】
図2乃至図4には、研切削具Sを保持するための研切削具ホルダー20が示されている。
【0040】
該研切削具ホルダー20は、ロッド18に連結されて前後方向で駆動されるようになされると共に、前端から後端に向けて形成されたスリット52によって左右に分離された挟着片62,64を有し、該挟着片間に研切削具Sの後端部分S-1を挟着するようになされた挟着部66を備える挟着部材68と、該挟着部66の周りに嵌合される筒状体70と、挟着部66と該挟着部の周りに嵌合された筒状体70との間に設定される一対の六角ナット76,78と、筒状体70に設けられた一対の貫通孔72,74を通して該ナット76,78にネジ込まれることにより、挟着片62,64間に研切削具Sの後端部分S-1を挟着固定する一対のネジ80,82と、を有する。
【0041】
挟着部材68は、アルミニウム、アルミニウム合金、及び樹脂などの軽量な材料により形成され、挟着部66の後部には摺動部90が一体成形されている。一方の挟着片64のスリット52を画定している内側面64−1(図4)とは反対側の外側面64−2には、ナット76,78を並べて収納するナット設定溝84が設けられている。該ナット設定溝は、前後壁面84−1、84−2と、該前後壁面の間に延びる底面84−3とによって画定されており、該前後壁面間の間隔が六角ナット76,78の対向する辺の間の間隔w(図3)の2倍とされている。従って、ナット76,78は、図示するように、各ナットの一辺が相互に接するようにして該底面84−3上に設定されることにより、その軸線の周りでの回転ができないようにされる。図示の例では、ナット設定溝の底面84−3には、鉄製の当て板100が設けられており、ナット76,78はこの当て板100に接するように設定される。
【0042】
摺動部90は、ロッド18の先端とネジ結合されるようになされており、その外周には、外周面の断面が正六角形とされた筒状の摺動部材92が設けられている。該摺動部材92は、ハウジング12の先端部分に前後方向に延びるように設けられたガイド部94(図1)に前後方向で摺動可能に係合されている。具体的には、ガイド部94の内周面には、摺動部材92と対応する断面正六角形とされたライナー95が取り付けられており、それにより、摺動部材92はその軸線の周りでの回転をすることなく前後方向で案内されるようになっている。摺動部材92及びライナー95は、挟着部材68の材料に比べて摺動抵抗が少ない材料により形成されている。
【0043】
図4に示すように、筒状体70は円筒状とされ、挟着部66が、該筒状体70の内周面に接するような全体として円柱状に形成されており、ナット76,78をナット設定溝内に配置した状態で、筒状体70が挟着部66の周りに嵌合されたときに、ナット76,78が、該筒状体70の内周面によってナット設定溝内での左右方向(図4で見て上下方向)での動きが規制され、それらの軸線が前後方向で整合するようにされている。当該ナットのネジ穴と筒状体70の貫通孔72,74との芯合わせを容易にするためである。
【0044】
ネジ80,82は、図4に示すように、筒状体70の貫通孔72,74を通してナット76,78にネジ係合されると、回転しないナット76,78内を相対的に先端方向に前進するが、その先端が当て板100に当接すると、その前進が停止されるので、今度はナット76,78がネジ80,82の先端から離れる方向で動かされ、筒状体70の内周面に押圧される。これにより、一方の挟着片64は研切削具Sの後端部分S-1を他方の挟着片62との間に強固に挟着固定するとともに、ナット76,78は筒状体70の内周面に押圧されて固定される。
【0045】
図5乃至図11は、他の実施形態に係る研切削具ホルダー120を示す。
【0046】
該研切削具ホルダー120は、上述の第1の実施形態に係る研切削具ホルダー20とほぼ同様の構成を有しており、(往復動工具10のロッド18に連結される)アルミニウム、アルミニウム合金、及び樹脂などの軽量な材料により形成される挟着部材168と、筒状体170と、一対の六角ナット176,178と、筒状体170に設けられた一対の貫通孔172,174を通して該ナット176,178にネジ込まれる一対のネジ180,182とを有する。
【0047】
挟着部材168は挟着片162、164を有し、挟着片164にはナット設定溝184が設けられており、第1の実施形態と同様に、ナット176,178が該ナット設定溝184内に回転されないように設定され、ネジ180,182が筒状体170に形成された貫通孔172,174を通して該ナット176,178にネジ係合されるようになっている。
【0048】
この研切削具ホルダー120が、研切削具ホルダー20と異なる点は、当て板200及び該当て板の設定態様にある。
【0049】
すなわち、当て板200は、挟着部材168の挟着片162,164の間のスリット152内に設定され、研切削具Sの後端部分S−1を、該当て板200と挟着片162との間に挟着するようになっている。当て板200は、上部係止縁部200−1と、前部係止縁部200−2とを有し、上部係止縁部200−1は、挟着片162の上縁に形成された凹部162−1に嵌合され、前部係止縁部200−2は、挟着片164の前端面に係合されるようになっている。挟着片164には、一対の貫通孔164−3,164−4が設けられており、ナット176,178にネジ係合されたネジ180,182の先端部分が該貫通孔164−3,164−4を通って、当て板200に当接し、該当て板200を押圧するようになっている。
【0050】
図8乃至図10は、研切削具Sを挟着部材168により挟着している状態を示している。研切削具Sは、その左右両側面を挟着片162と当て板200によって挟着されるとともに、後端部分S−1の上縁が当て板200の上部係止縁部200−1に係合し、且つ、後端に設けられた突起S−2が、挟着部材168のスリット152の後端に連続して形成された支持穴168−1に挿入されて該支持穴の下部壁面に係合されている。このようにすることにより、研切削具Sによる研切削作業が開始された場合、該研切削具Sにかかる上向きの力により、当該研切削具Sが上下方向でぐらつくのを防止することが可能となる。
【0051】
図11は、上記のものよりも上下方向の幅のある研切削具Sを挟着している状態を示している。この場合は、該研切削具Sの上縁を当て板200の上部係止縁部200−1に係合し、また、下縁を筒状体170の内周面に係合することにより、当該研切削具を上下方向で確実に保持するようにしている。
【0052】
図12乃至図15は、第3の実施形態に係る研切削具ホルダー220を示す。
【0053】
この研切削具ホルダーでは、その基本的構成は第2の実施形態と同様とされるが、当て板300及び該当て板の挟着部材268に対する取付態様を異にしている。
【0054】
すなわち、この研切削具ホルダーでは、当て板300が、挟着片262に当接され、研切削具Sの後端部分S−1を、当て板300と挟着片264との間で挟着するようになされている。
【0055】
当て板300は、上部係止縁部300−1と、前端係止突起300−2と、後端係止突起300−3とを有している。この実施形態では、第2の実施態様で挟着部材168に形成した凹部162−1が形成されておらず、代わりにスリット252の後端縁に沿って延びる係止穴266−1が設けられ、該係止穴に後端係止突起300−3を係止することにより、当該当て板が前方に動かないようにしている。上部係止縁部300−1はスリット252内で挟着片264に向けられ、研切削具Sの後端部分S−1の上縁と係合するようになっている。前端係止突起300−2は、挟着片262の前端面に係合するようにされている。
【0056】
図14及び図15に示す例では、研切削具Sの後端部S−1は、その上縁が当て板300の上部係止縁部300−1に係合するとともに、後端突起S−2が後端係止突起300−3に係合することにより、当該挟着部に対して確りと保持されるようになっている。
【0057】
図16及び図17に示す例では、研切削具Sは後端突起S−2がなく、上下方向のサイズが大きく、その上縁が上部係止縁部300−1に係合され、下縁が筒状体270の内周面に係合されることにより、当該挟着部材に対して確りと保持されている。
【0058】
この実施形態では、第2実施形態におけるフライス加工等が必要となる凹部162−1の代わりにドリルで加工可能な係止穴266−1を設けるようにしたので、製造コストを抑えることができる。
【0059】
以上、本発明に係る往復動工具の一実施形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、特許文献2に示されるように、筒状体70,170,270の方を第2ピストンに連結し、これに対して、挟着部材68,168,268は、上記実施形態における円柱状の挟着部だけのような形状として、筒状体内に嵌合し、上記と同様のナットとネジにより、研切削具の締着固定、ナットの固定を行うようにすることができる。挟着部材のスリットには、断面が円形状の穴が連接されているが、これは研切削具Sの後端部S-1が平坦ではなく、断面が丸いものでも挟着できるようにするためのものであり、従って、ひし形などの他の断面形状のものとするとこともできる。また、挟着片の位置を左右として表現したが、発明としては、当該往復動工具の左右のみを意味するものではなく、相互に対向して配置されていることを意味することとする。摺動部材は六角形のものでなくてもよく、前後方向に延びる直線状の部材として、これを当該摺動部の周方向で間隔をあけて設けたものとすることも可能であり、その他種々の形態とすることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明に係る圧縮空気圧駆動式の往復動工具の縦断面図であり、作動されていない状態を示す。
【図2】図1の往復動工具における研切削具ホルダーの分解斜視図である。
【図3】図2の研切削具ホルダーの側面図で、筒状体の内側を示すために該筒状体を断面で示してある。
【図4】図3におけるIV−IV線に沿ってみた図である。
【図5】第2の実施形態に係る研切削具ホルダーの斜視図である。
【図6】図5の研切削具ホルダーの分解斜視図である。
【図7】図6におけるVII-VII線に沿って見た挟着部材である。
【図8】図9におけるVIII-VIII線に沿って見た断面図である。
【図9】図5の研切削具ホルダーの正面図である。
【図10】図8のX-X線に沿って見た断面図であり、研切削具の一部を省略して示してある。
【図11】他の研切削具を装着した場合の図5の研切削具ホルダーの断面図である。
【図12】第3の実施形態に係る研切削具ホルダーの斜視図である。
【図13】図12の研切削具ホルダーの分解斜視図である。
【図14】図12の研切削具ホルダーの正面図である。
【図15】図14のXV-XV線に沿って見た断面図である。
【図16】他の研切削具を装着した図12の研切削具ホルダーの正面図である。
【図17】図16のXVII-XVII線に沿って見た断面図である。
【符号の説明】
【0061】
往復動工具10; ハウジング12; 第1ピストン14; 第2ピストン16;
ロッド18; 供給路19; 研切削具ホルダー20; 固定軸21; 制動部材22;
ピストン制動室24; 前方部分26; 後端壁28; 筒状壁30; 貫通孔32;
第2コイルバネ36; 開閉弁50; スリット52; 挟着片62,64;
内側面64−1; 外側面64−2; 挟着部66; 挟着部材68; 筒状体70;
貫通孔72,74;ナット76,78; ネジ80,82; 前壁面84−1; 後壁面84−2;
底面84−3; 摺動部90; 摺動部材92; ガイド部94; ライナー95;
当て板100; ネジ孔102;孔104; レバー110;
研切削具ホルダー120; スリット152; 挟着片162,164;
凹部162−1; 貫通孔164−3,164−4; 挟着部材168;
支持穴168−1; 筒状体170; 貫通孔172,174;
六角ナット176,178; ネジ180,182; ナット設定溝184;
当て板200; 上部係止縁部200−1; 前部係止縁部200−2;
研切削具ホルダー220; スリット252; 挟着片262、264;
係止穴266−1; 挟着部材268; 筒状体270; 当て板300;
上部係止縁部300−1; 前端係止突起300−2; 後端係止突起300−3;
研切削具S; 後端部分S−1; 後端突起S−2
【出願人】 【識別番号】000227386
【氏名又は名称】日東工器株式会社
【出願日】 平成19年7月10日(2007.7.10)
【代理人】 【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂


【公開番号】 特開2008−80477(P2008−80477A)
【公開日】 平成20年4月10日(2008.4.10)
【出願番号】 特願2007−180712(P2007−180712)