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【発明の名称】 刃先装着式チップソー
【発明者】 【氏名】岩▲さき▼ 義弘

【要約】 【課題】装着式のチップソーでは、切削時の衝撃によるチップの振動によってチップソーの自励振動が発生して切削物の加工精度を低下させる。

【解決手段】チップソーのチップ取付部の歯受面とチップ嵌合溝の溝底面との間に、切削時の衝撃を緩和できる粘着性のある緩衝材を差し込み作業と同時に挟み込み、チップから鋸歯板への切削衝撃の伝達を緩和しチップソーの自励振動発生を抑制してチップ脱落防止と切削物の加工精度を向上させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋸歯板(2)に形成した歯形部(3)の歯止部(14)と歯受面(7)の間の取付部(8)にチップ(5)の刃底部(11)を差し込みができる底受部(6)を形成し、チップ(5)を着脱可能に取り付けたチップソー(1)において、刃面(13)を有する刃部(15)の両側に接合片(10)を一体的に設けて嵌合溝(9)を形成したチップ(5)を、取付部(8)の歯受面(7)と上記嵌合溝(9)の溝底面(16)が接する部分に切削時の衝撃を緩和する緩衝材(4)を介在させ、上記チップ(5)の嵌合溝(16)を歯形部(3)に差込嵌合して両側の接合片(15)で固定すると共にチップ(5)の刃底部(11)を底受部(6)に差し込み固定するよう形成したチップソー。
【請求項2】
鋸歯板(2)に不等間隔に歯形部(3)を形成されたものである請求項1のチップソー。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、鋸歯板に形成される歯形部に刃体としてのチップを着脱可能に設けるチップソーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋸歯板の側縁に形成される歯形部に、チップを着脱可能に差し込み固定するチップソーは、本出願人が出願した下記特許文献1,2に示されるように既に公知である。
【0003】
しかし、これまでの装着式チップソーは木材などの切削時に、チップの切削衝撃が直接鋸歯板に伝わりチップソーの振動が大きくなり、チップソーの自励振動を増幅させるという欠点があった。
【0004】
一般的に、チップソーの自励振動が大きくなると木材などの切削面に洗濯板状の模様が発生することや、鋸の挽き道が広くなるなど製材製品の品質低下や精度不良を引き起こすなどの問題があった。
【0005】
また、チップソーの振動幅が小さくなり振動波が高くなると、チップソーに差し込みされているチップが振動で浮き上がり脱落する可能性もある。
【特許文献1】特開2004-090180号公報
【特許文献2】特開2005-001148号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
解決しようとする問題点は、チップソーで木材などを切削する時に発生する切削衝撃をチップからチップソーに伝わることを低減させ、自励振動の発生を抑止する点である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、チップソーにチップを差し込む時に切削衝撃の伝達を低減することができる緩衝材をチップソーとチップの間にチップ取り付けと同時に挟み込むことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明のチップソーは、チップをチップソーに取り付け作業と同時にチップソーとチップの間に緩衝材を挟み込むことができるので新たな作業の必要がなく、チップソーの自励振動発生の抑制という利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
チップソーの歯型部にレーザー切断機を利用しチップ差し込みのための取付部を加工、嵌合溝を一体に成型したチップの溝底面の刃底部に粘着性のある酢酸ビニル樹脂系緩衝材を入れ、チップソーの取付部先端にチップの嵌合溝の刃底部を差し込み、溝底面が歯受面に沿うようにチップの刃先を振動工具で押し込み歯型部の底受部とチップの接合片でチップを固定する。
【実施例】
【0010】
一実施例として帯鋸について説明する。図1は、厚さ1ミリの鋸歯板2の一方に高さ2ミリ幅1ミリの歯止部14と応力を分散するように半円形状の底受部6を持つ幅1ミリの取付部7を有した歯型部3を25ミリから40ミリの不等間隔に加工した側面図である。
【0011】
図2は、鋸歯板2の歯型部3にチップ5を差し込み装着した斜視図である。
【0012】
粉末高速度鋼を原料に図3で示すように、一方に先端角45度の刃先12を有する長さ8ミリ、幅2ミリの刃部15の両側面に高さ3ミリ、長さ5ミリの接合片10を一体に設けた幅1ミリ、深さ2ミリの嵌合溝9を持つチップ5を射出成形で製作、熱処理を行い切削に適した靭性と硬さを持たせる。
【0013】
チップ5の溝底面16の刃底部11に緩衝材4として粘着性のある酢酸ビニル樹脂を適量入れ込む。緩衝材4は表記する酢酸ビニル樹脂に限るものではなく、衝撃を緩和できる他のシリコンなどでも良い。
【0014】
緩衝材4を入れ込んだチップ5の嵌合溝9を、鋸歯板2の歯受面7先端に差し込みチップ5の溝底面16が歯受面7に沿うように、チップ5の刃先12を振動工具で押し込んで行くとチップ5の溝底面16と歯受面7の間に緩衝材4が図4の歯型部3断面図のように入り込む。
【0015】
チップ5の刃底部11が歯型部3の歯止部14と歯受面7の間で取付部8の底受部6に差し込まれると、チップ5の刃面13が受ける切削力を止めることができる。
【0016】
このようにして緩衝材4をチップ5の溝底面16と歯受面7の間に挟み込むと、チップソー1で木材などを切削した時チップ5の刃面13が受ける切削衝撃を緩衝材4が緩和し、歯型部3の歯受面7に直接伝わらずチップソー1の振動を抑制し自励振動発生を低減する効果がある。
【0017】
また、チップソー1を再研磨するときは、従来の鋸を研磨するのと同じ装置を利用してチップ5の刃先12だけ再研磨することがきる。
【0018】
チップソー1の再研磨を続けてチップ5が小さくなった時は、チップ5の刃底部11に差し込み時と反対の方向に力を加えることで簡単に鋸歯板2から使用済みチップ5を取り外すことができ、再装着も新たなチップ5を差し込むだけで使用出来るので交換作業が短時間に行える。
【産業上の利用可能性】
【0019】
帯鋸を利用した切削では、これまで加工精度を低下させる自励振動を抑制するため不等ピッチなどにすると、再研磨が非常に困難になり帯鋸は使い捨てにされていたが、本発明を利用すればチップだけ交換すれば帯鋸は何度でも再利用することができ再研磨も可能なので経済的でもある。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】鋸歯板の側面図である。
【図2】チップソーの斜視図である。
【図3】チップの斜視図である。
【図4】鋸歯板の歯型部にチップを装着した状態の断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 チップソー
2 鋸歯板
3 歯形部
4 緩衝材
5 チップ
6 底受部
7 歯受面
8 取付部
9 嵌合溝
10 接合片
11 刃底部
12 刃先
13 刃面
14 歯止部
15 刃部
16 溝底面
【出願人】 【識別番号】501042569
【氏名又は名称】有限会社岩▲崎▼目立加工所
【出願日】 平成18年9月20日(2006.9.20)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−73789(P2008−73789A)
【公開日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願番号】 特願2006−253824(P2006−253824)