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【発明の名称】 サイドトリミング装置
【発明者】 【氏名】中津川 学

【氏名】須崎 健太郎

【要約】 【課題】鋼板のサイドトリミングを行うに際して、蛇行制御機能を低下させることなく、適切にサイドトリミングを行うことができるサイドトリミング装置を提供する。

【構成】パスラインから上部板押えロール14の下端までの距離Hが、鋼板1の板厚tより所定量(例えば、1〜3mm)だけ大きくなるようにしている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼板の幅端部に配置されて上下一対で回転する円盤状の上刃および下刃と、上刃の鋼板幅中央部側の側面に密着して上刃の回転軸に装着された上部板押えリングと、下刃の鋼板幅中央部側の側面に密着して下刃の回転軸に装着された下部板押えリングと、前記上部板押えリングよりも幅方向中央側に配置された上部板押えロールとを備えているとともに、パスラインから前記上部板押えロールの下端までの距離が鋼板の板厚より所定量だけ大きくなっていることを特徴とするサイドトリミング装置。
【請求項2】
前記所定量は1〜3mmであることを特徴とする請求項1に記載のサイドトリミング装置。
【請求項3】
上部板押えロールの側面と上部板押えリングの側面との距離が50〜150mmであることを特徴とする請求項1または2に記載のサイドトリミング装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、酸洗ライン等の鋼板の製造ラインにおいて、鋼板の板幅を揃えるために、鋼板の両幅端部を切断するサイドトリミング装置(サイドトリマ)に関するものである。
【背景技術】
【0002】
酸洗ライン等の鋼板の製造ラインにおいては、鋼板の板幅を揃えるために、鋼板の両幅端部をサイドトリミング装置によって剪断加工(トリミング)する。
【0003】
図3は、従来、一般的に用いられているサイドトリミング装置を示すものであり、図3(a)は斜視図、図3(b)は正面図である。
【0004】
図3に示すように、従来のサイドトリミング装置50は、鋼板1の幅端部に配置されて上下一対で回転する円盤状の上刃51および下刃61と、上刃51の鋼板幅中央部側の側面に密着して上刃51の回転軸(図示せず)に装着された上部板押えリング52と、下刃61の鋼板幅中央部側の側面に密着して下刃61の回転軸(図示せず)に装着された下部板押えリング62と、鋼板幅端部と鋼板幅中央部との間の上面側であって上部板押えリングから所定量離して配置された上部板押えロール53と、上部板押えロール53と鋼板1を挟んで対向するように下面側に位置する下部板押えロール63とを備えている。また、さらに、鋼板幅中央部上面側に位置する上部中央板押えロール54と、鋼板幅中央部下面側に位置する下部中央板押えロール64とを備えている場合が多い。
【0005】
ここで、下部板押えリング62は下刃61の径とほぼ同じ径を有しているのに対して、上部板押えリング52は上刃51の径より小さな径を有しており、鋼板1の板厚に合わせて適切な径のものを選定するようになっている。
【0006】
そして、このサイドトリミング装置50を用いて鋼板1のサイドトリミングを行う際には、上部板押えリング52と下部板押えリング62で鋼板幅端部を拘束するとともに、上部中央板押えロール54と下部中央板押えロール64で鋼板幅中央部を上下から挟み、上部板押えロール53と下部板押えロール63で鋼板幅端部のやや中央寄りを上下から挟むことによって、鋼板1をパスライン(鋼板1の下面が通過する予定の高さ位置、すなわち、下刃61の上端の高さ位置)に押え込みながら、上刃51と下刃61で鋼板1の両幅端部をトリミングするようになっており、これによって、鋼板1の幅方向の反りやバタツキによる幅不良やトリミング失敗を防止するようにしている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【特許文献1】特開平3−178716号公報
【特許文献2】特開平5−096305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記のように、上部中央板押えロール54と下部中央板押えロール64で鋼板幅中央部を上下から挟み、上部板押えロール53と下部板押えロール63で鋼板幅端部と鋼板幅中央部の中間部を上下から挟みむことによって、鋼板1をパスラインに押え込む方法では以下のような欠点があった。
【0008】
すなわち、正常なサイドトリミングを実施できるように、サイドトリミング装置では一般的にステアリングロール(図示せず)等によって鋼板を幅方向にセンタリングする蛇行制御機能を有しているが、上記のように上部板押えロール53と下部板押えロール63等によってパスラインに鋼板を押え込むと、鋼板の幅方向への移動が拘束され、蛇行制御機能を低下させてしまい、その結果、鋼板の蛇行によってトリム屑の幅が不安定になり、トリム屑用のガイド内で詰まったり、ガイドに入らなかったりして、正常なサイドトリミングができなくなるという問題点があった。
【0009】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、鋼板のサイドトリミングを行うに際して、蛇行制御機能を低下させることなく、適切にサイドトリミングを行うことができるサイドトリミング装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は以下の特徴を有する。
【0011】
[1]鋼板の幅端部に配置されて上下一対で回転する円盤状の上刃および下刃と、上刃の鋼板幅中央部側の側面に密着して上刃の回転軸に装着された上部板押えリングと、下刃の鋼板幅中央部側の側面に密着して下刃の回転軸に装着された下部板押えリングと、前記上部板押えリングよりも幅方向中央側に配置された上部板押えロールとを備えているとともに、パスラインから前記上部板押えロールの下端までの距離が鋼板の板厚より所定量だけ大きくなっていることを特徴とするサイドトリミング装置。
【0012】
[2]前記所定量は1〜3mmであることを特徴とする前記[1]に記載のサイドトリミング装置。
【0013】
[3]上部板押えロールの側面と上部板押えリングの側面との距離が50〜150mmであることを特徴とする前記[1]または[2]に記載のサイドトリミング装置。
【発明の効果】
【0014】
本発明においては、パスライン(鋼板下面が通過する予定の高さ位置)から上部板押えロールの下端までの距離が鋼板の板厚より所定量だけ大きくなっているので、鋼板の幅方向への移動に対する板押えロールの拘束がなくなり、蛇行制御機能を低下させることなく、鋼板の幅方向の反りやバタツキを防止することが可能となり、それによって、適切にサイドトリミングを行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0016】
図1は、本発明の一実施形態に係るサイドトリミング装置を示す正面図である。
【0017】
図1に示すように、この実施形態に係るサイドトリミング装置10は、鋼板1の幅端部に配置されて上下一対で回転する円盤状の上刃11および下刃21と、上刃11の鋼板幅中央部側の側面に密着して上刃11の回転軸(図示せず)に装着された上部板押えリング12と、下刃21の鋼板幅中央部側の側面に密着して下刃21の回転軸(図示せず)に装着された下部板押えリング22と、鋼板幅中央部上面側に位置する上部中央板押えロール14と、鋼板幅中央部下面側に位置する下部中央板押えロール24と、上部板押えリング12よりも幅方向中央側に配置された上部板押えロール13とを備えている。なお、従来のサイドトリミング装置のような、鋼板幅中間部の下面側に位置する下部板押えロールは備えていない。
【0018】
ここで、下部板押えリング22は下刃21の径とほぼ同じ径を有しているのに対して、上部板押えリング12は上刃11の径より小さな径を有しており、鋼板1の板厚に合わせて適切な径のものを選定するようになっている。
【0019】
そして、この実施形態においては、パスライン(鋼板1の下面が通過する予定の高さ位置、すなわち、下刃21および下部板押えリング22の上端の高さ位置)から上部板押えロール13の下端までの距離Hが鋼板の板厚tより大きくなっている。すなわち、鋼板1の上面が通過する予定の高さ位置から上部板押えロール13の下端までの距離R(=H−t)が0を超えた所定量(例えば、1〜3mm)となるように上部板押えロール13が配置されている。さらに、上部板押えロール13の側面と上部板押えリング12の側面との距離Lが所定の値(例えば、50〜150mm)となっている。
【0020】
そして、上記のように構成されたサイドトリミング装置10を用いて鋼板1のサイドトリミングを行う際には、上部板押えリング12と下部板押えリング22で鋼板幅端部を拘束するとともに、上部中央板押えロール14と下部中央板押えロール24で鋼板幅中央部を上下から挟み、さらに、鋼板幅中間部が上方に移動しようとした際には上部板押えロール13で押え付け、これによって、鋼板1の幅方向の反りやバタツキを抑止するようになっている。
【0021】
ここで、図2は、各種板厚の鋼板において、鋼板1上面から上部板押えロール13の下端までの距離R(=H−t)とトリム成功率(トリミング成功率)との関係を示したものである。なお、トリム成功率については、1本のコイル全長において、トリム屑がガイド内で詰まったり、ガイドに入らなかったりすることが無かった場合にトリム成功とし、トリミングした全コイル本数に対するトリム成功のコイル本数の割合(%)を表している。
【0022】
図2に示すように、距離Rが1〜3mmの範囲で良好なトリム成功率が得られている。これに対して、距離Rが1mm未満の場合には、鋼板を拘束し過ぎて、蛇行制御機能が低下するために、トリム成功率が低下している。また、距離Rが3mm超えの場合には、鋼板の上反りを押さえ込むことができなくなり、トリム成功率が低下している。
【0023】
また、図2に示すように、上部板押えロール13と上部板押えリング12との距離Lについては、50〜150mmとすることによって、より良好なトリム成功率が得られている。
【0024】
したがって、上部板押えロール13は、距離Rが1〜3mm、距離Lが50〜150mmとなるように設置することが好ましい。
【0025】
上記のようにして、この実施形態においては、パスラインから上部板押えロール13の下端までの距離Hが鋼板1の板厚tより所定量(例えば、1〜3mm)だけ大きくなっているので、鋼板1の幅方向への移動に対する上部板押えロール13の拘束がなくなり、蛇行制御機能を低下させることなく、鋼板1の上反りを防止することが可能となり、それによって、適切にサイドトリミングを行うことができる。
【0026】
なお、上記の実施形態においては、鋼板幅中間部の下面側に位置する下部板押えロールは備えていないが、下部板押えロールの上端がパスラインより下方にあれば、下部板押えロールを設けても差し支えない。また、上記の実施形態においては、上部中央板押えロール14と下部中央板押えロール24を備えているが、これらを備えていなくてもよい。
【実施例1】
【0027】
熱延鋼板の酸洗ラインにおいて、上記の実施形態に係るサイドトリミング装置10を用いて、鋼板のサイドトリミングを行った。なお、上部板押えロール13の側面と上部板押えリング12の側面との距離Lを100mmとし、鋼板1上面から上部板押えロール13の下端までの距離R(=H−t)は1〜3mmとなるように調整した。鋼板の板厚は1.2〜6.5mm、板幅は600〜1630mmであった。
【0028】
その結果、トリム成功率が90%を超え、本発明の効果が確認できた。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態の説明図である。
【図2】上部板押えロールの位置とトリミング成功率の関係を示した図である。
【図3】従来技術の説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 鋼板
10 サイドトリミング装置
11 上刃
12 上部板押えリング
13 上部板押えロール
14 上部中央板押えロール
21 下刃
22 下部板押えリング
24 下部中央板押えロール
50 サイドトリミング装置
51 上刃
52 上部板押えリング
53 上部板押えロール
54 上部中央板押えロール
61 下刃
62 下部板押えリング
63 下部板押えロール
64 下部中央板押えロール
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
【出願日】 平成18年8月31日(2006.8.31)
【代理人】 【識別番号】100105968
【弁理士】
【氏名又は名称】落合 憲一郎

【識別番号】100130834
【弁理士】
【氏名又は名称】森 和弘


【公開番号】 特開2008−55555(P2008−55555A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−235924(P2006−235924)