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【発明の名称】 切断機
【発明者】 【氏名】大澤 孝雄

【要約】 【課題】被切断材の大きさ等に応じてフレームの上昇位置を容易に調整することができ、フレームを上昇位置で固定保持することができるとともに、その上昇位置での固定保持を容易に解除することができる安価な切断機を提供すること。

【構成】ベースの一端に設けられたヒンジ3にヒンジシャフト4を回動可能に挿通支持せしめ、切断刃物を回転可能に支持して成るフレームをヒンジシャフト4によってヒンジ3に回動可能に軸支し、フレームをヒンジシャフト4を中心に回動させて切断刃物で被切断材を切断する切断機において、ヒンジシャフト4を固定手段によってフレームに固定するとともに、該ヒンジシャフト4の外周に係合溝(係合部)4bを形成し、該係合溝4bに選択的に係合するスチールボール(係合部材)17と該スチールボール17をヒンジシャフト4の外周4aに押圧するスプリング(付勢手段)18をヒンジ4に設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被切断材料を載置固定するベースの一端に設けられたヒンジにヒンジシャフトを挿通支持せしめ、切断刃物を回転可能に支持して成るフレームを前記ヒンジシャフトによって前記ヒンジに回動可能に軸支し、前記フレームを前記ヒンジシャフトを中心に回動させて前記切断刃物で前記被切断材を切断する切断機において、
前記フレームの回動を前記ベースに対する上昇位置で規制する規制手段を設けるとともに、該規制手段による前記フレームの回動規制位置を調整可能としたことを特徴とする切断機。
【請求項2】
前記ヒンジシャフトを前記ヒンジに対して回動可能に設けるとともに、該ヒンジシャフトを前記フレームに対して回転可能且つ固定可能に設け、
前記規制手段は、
前記ヒンジシャフトの係合部と、
前記ヒンジに設けられ、前記ヒンジシャフトの係合部と係脱可能な係合部材を有し、
前記フレームに対する前記ヒンジシャフトの固定位置を調整することにより前記フレームの回動範囲内で前記係合部と前記係合部材が係合する位置を調整可能とすることを特徴とする請求項1記載の切断機。
【請求項3】
前記規制手段は、前記係合部材をヒンジシャフト側に付勢する付勢手段を有することを特徴とする請求項2記載の切断機。
【請求項4】
前記ヒンジシャフトの長手方向一端にハンドルを結着したことを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の切断機。
【請求項5】
前記ヒンジシャフトの長手方向端面に目印を付すとともに、その周囲の前記フレーム側に目盛表示板を設けたことを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の切断機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、帯のこを回転させて被切断材を切断する横型帯のこ盤等の切断機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、切断機には大きく分けると以下の2種類がある。
【0003】
一方は、手動でフレームを落下しない位置まで持ち上げて固定し、切断時にフレームを被切断材の近くまで手動で降下させて被切断材を切断するものであり、この種の切断機では、フレーム(切断刃物)をベースの材料積載面に対して直角近くまで上げる必要があり、フレームの上昇固定位置も固定されている。この方式を採用する切断機は、非常に一般的であって価格も安い。
もう一方は、フレームの上下動を油圧シリンダ等を使用して行う切断機であって、これによればフレームの上昇固定位置を任意に設定することができる。この方式を採用する切断機には大型のものが多く、価格も非常に高価である。
【0004】
ところが、手動でフレーム(切断刃物)を昇降させる前者の切断機は、非常に価格が安いという長所を有している反面、通常、フレーム(切断刃物)をベースの材料積載面に対して直角近くまで上げる必要があり、フレーム(切断刃物)の上昇作業が非常に重労働であった。又、フレーム(切断刃物)の上昇固定位置も固定されているため、被切断材の大きさや形状に関係なく、フレームを上限位置まで上昇させる必要があり、無駄な労力を費やしていた。
【0005】
又、油圧等によってフレーム(切断刃物)を昇降させる後者の切断機は、被切断材の大きさや形状の違いに応じてフレーム(切断刃物)の上昇位置の設定を非常に容易に行うことができる反面、油圧シリンダ、油圧ポンプ、モータ、油圧を制御する電磁弁、各種配管部材等の多く機器が必要となり、非常に高価となるという問題がある。
【0006】
そこで、特許文献1〜3には、フレーム(切断刃物)の上昇位置を規制するストッパをヒンジ側に設け、このストッパの角度位置や姿勢を変化させることによってフレーム(切断刃物)の上昇位置を任意に調整する構成が開示されている。
【特許文献1】特開2005−138238号公報
【特許文献2】実開平3−040020号公報
【特許文献3】実開平6−075619号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1〜3に記載された構成では、フレーム(切断刃物)を上昇位置に保持することができず、切断作業上、種々の不便を伴うことが多かった。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、その目的とする処は、被切断材の大きさや形状に応じてフレーム(切断刃物)の上昇位置を容易に調整することができ、フレーム(切断刃物)を上昇位置で固定保持することができるとともに、その上昇位置での固定保持を容易に解除することができる安価な切断機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、請求項1記載の発明は、被切断材料を載置固定するベースの一端に設けられたヒンジにヒンジシャフトを挿通支持せしめ、切断刃物を回転可能に支持して成るフレームを前記ヒンジシャフトによって前記ヒンジに回動可能に軸支し、前記フレームを前記ヒンジシャフトを中心に回動させて前記切断刃物で前記被切断材を切断する切断機において、前記フレームの回動を前記ベースに対する上昇位置で規制する規制手段を設けるとともに、該規制手段による前記フレームの回動規制位置を調整可能としたことを特徴とする。
【0010】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記ヒンジシャフトを前記ヒンジに対して回動可能に設けるとともに、該ヒンジシャフトを前記フレームに対して回転可能且つ固定可能に設け、
前記規制手段は、
前記ヒンジシャフトの係合部と、
前記ヒンジに設けられ、前記ヒンジシャフトの係合部と係脱可能な係合部材を有し、
前記フレームに対する前記ヒンジシャフトの固定位置を調整することにより前記フレームの回動範囲内で前記係合部と前記係合部材が係合する位置を調整可能とすることを特徴とする。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の発明において、前記規制手段は、前記係合部材をヒンジシャフト側に付勢する付勢手段を有することを特徴とする。
【0012】
請求項4記載の発明は、請求項1〜3の何れかに記載の発明において、前記ヒンジシャフトの長手方向一端にハンドルを結着したことを特徴とする。
【0013】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4の何れかに記載の発明において、前記ヒンジシャフトの長手方向端面に目印を付すとともに、その周囲の前記フレーム側に目盛表示板を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、フレームの上昇待機位置が調整できるため、被切断材のサイズに合わせた位置でフレームを上昇待機させることができ、切断作業に応じて必要なフレームの回動量を設定することができ、作業性の良い切断機を提供することができる。
【0015】
又、上昇待機位置にあるフレームをそのまま下方へ手動で押し下げるだけで、ヒンジシャフトの係合部とヒンジの係合部材を容易に係脱させることができるため、フレームの回動作業を容易に行うことができる。
【0016】
更に、ヒンジシャフトの端面に付された目印を目盛表示板の目盛に合わせることによって、ヒンジシャフトの外周に形成された係合部(係合溝)の角度位置を正確に調整することができ、フレーム(切断刃物)の上昇固定位置を被切断材の大きさや形状に応じて適切且つ容易に調整することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1は本発明に係る切断機の一形態としての横型帯のこ盤の正面図、図2は図1の矢視A方向から見たヒンジ部周辺の拡大図、図3及び図4は図2のB−B線断面図、図5は図2の矢視C方向の図である。
【0019】
図1に示す横型帯のこ盤1において、2はパイプ等の被切断材Wを載置するためのベースであり、このベース2の長手方向一端部(図1の右端部)の幅方向2箇所にはヒンジ3(図2には一方のみ図示)が一体に立設されている。そして、ベース2のヒンジ3にはヒンジシャフト4が水平に挿通しており、ヒンジ3にはフレーム5が前記ヒンジシャフト4によって上下方向に回動可能に軸支されている。
【0020】
上記フレーム5の左右には、駆動のこ車6と従動のこ車7が回転可能に支持されており、これらの駆動のこ車6と従動のこ車7の間には切断刃物としてのエンドレス状の帯のこ8が巻装されている。そして、駆動のこ車6を不図示の駆動モータで回転駆動することによって、帯のこ8が駆動のこ車6と従動のこ車7の間を循環回送される。ここで、帯のこ8のフレーム5から露出している部分は、フレーム5に配設されたセリヘッド9,10によってベース2の上面に対して直角に捩り起こされるよう挾持案内されている。
【0021】
又、ベース2上には固定バイス11と移動バイス12が設置されており、移動バイス12にはねじ軸13が螺合挿通しており、ハンドル14を操作してねじ軸13を回転させることによって移動バイス12をベース2の長手方向に向けて形成された不図示の案内溝に沿って移動させて、該移動バイス12と固定バイス11との間に被切断材Wを挟持して固定することができる。
【0022】
而して、被切断材Wを固定バイス11と移動バイス12で挾持固定した状態で、不図示の駆動モータによって帯のこ8を回転駆動しながらフレーム5をヒンジシャフト4を中心として下方へ揺動させることによって、ベース2上の被切断材Wを帯のこ8で切断することができる。
【0023】
次に、本発明の要旨を図2〜図5に基づいて説明する。
【0024】
前記ヒンジシャフト4は、ベース2のヒンジ3から外側方へ突出する端部がフレーム5に形成された円孔5aに回動可能に挿通されており、フレーム5に形成されたねじ孔5bに螺合するボルト等の固定部材15を締め付けることによってフレーム5に固定されて該フレーム5と共に一体的に回動する。又、ヒンジシャフト4は、ベース2のヒンジ3に貫設された円孔3aに回転可能に挿通支持されており、ヒンジ3の上部には、ヒンジシャフト4の軸中心に向かう雌ねじ3bが垂直に円孔3aに達するまで形成されている。
【0025】
他方、図3及び図4に示すように、ヒンジシャフト4の外周4aの1箇所には係合部であるVノッチ状の係合溝4bが形成されている。又、ベース2のヒンジ3に形成された前記雌ねじ3bにはボルト16が螺着されており、雌ねじ3b内には、係合部材であるスチールボール17と、該スチールボール17をヒンジシャフト4側に付勢する付勢手段としてのスプリング18が設けられており、スチールボール17は、スプリング18の付勢力によってヒンジシャフト4の外周4aに押圧されている。尚、ヒンジシャフト4の係合溝4bと、該係合溝4bに対して係脱可能な係合部材であるスチールボール17と、スプリング18が本発明に係る規制手段を構成する。
【0026】
更に、前記ヒンジシャフト4のフレーム5の外側方へ突出する一端には、図5に示すように、ハンドル19が結着されており、ヒンジシャフト4の端面には、該ヒンジシャフト4の外周に形成された前記係合溝4bの角度位置を示すための線状の目印20が付されている。そして、フレーム5の端面のヒンジシャフト4の周囲には、ヒンジシャフト4の外周に形成された係合溝4bの角度位置を示す数字「10」、「20」、「30」、「40」が表示された扇形の目盛表示板21が取り付けられている。
【0027】
次に、以上の構成において、フレーム5(帯のこ8)を上昇固定する際の各部の動作について説明する。
【0028】
ベース2上に載置されて固定バイス11と移動バイス12によって挟持固定された被切断材Wを切断する際には、帯のこ8を回転駆動しながら、フレーム5をヒンジシャフト4を中心として下方へ手動で押し下げる。すると、フレーム5とヒンジシャフト4が図4の矢印a方向に一体に回動し、スチールボール17がヒンジシャフト4の外周4a上を転がり、フレーム5(帯のこ8)が自重で落下して被切断材Wが帯のこ8によって切断される。
【0029】
上述のようにして被切断材Wの切断が終了した後、フレーム5をヒンジシャフト4を中心として上方へ手動で回動させて持ち上げると、該フレーム5とヒンジシャフト4が図4の矢印b方向に一体に回動し、スチールボール17がヒンジシャフト4の外周4a上を転がり、スプリング18の付勢力によってスチールボール18が図3に示すようにヒンジシャフト4の係合溝4bに係合した時点でヒンジシャフト4の回動が阻止され、フレーム5(帯のこ8)がその位置(上昇位置)で固定されて保持される。
【0030】
そして、再び切断作業を行う場合には、上昇位置に固定保持されたフレーム5をヒンジシャフト34中心として下方へ手動で押し下げると、ヒンジシャフト4の係合溝4bに係合していたスチールボール17がスプリング18を押し縮めながら径方向外方へと移動して係合溝4bから抜け出るため、ヒンジシャフト4の回転係止が解除され、フレーム5(帯のこ8)が自重で落下してヒンジシャフト4を中心として下方へ回動し、これによって被切断材Wが帯のこ8によって切断される。
【0031】
ところで、本実施の形態に係る横型帯のこ盤1においては、被切断材Wの大きさや形状に応じてフレーム5(帯のこ8)の上昇固定位置を容易に調整することができる。
【0032】
即ち、ヒンジシャフト4をフレーム5に固定していた固定部材15を回してこれを緩めることによってヒンジシャフト4とフレーム5との固定を解除した後、図5に示すハンドル19を回せばヒンジシャフト4がハンドル19と一体に回動し、該ヒンジシャフト4の外周4aに形成された係合溝4bのスチールボール17に対する相対角度位置が変化する。そして、係合溝4bの角度位置を調整した後、固定部材15を締め付けてヒンジシャフト4とフレーム5を固定すれば、フレーム5はヒンジシャフト4と共に回動し、係合溝4bにスチールボール17が係合してフレーム5(帯のこ8)が固定保持される上昇固定位置が任意に調整される。このとき、作業者は、図5に示すヒンジシャフト4の端面に付された目印20を目盛表示板21の目盛に合わせることによって、ヒンジシャフト4の外周4aに形成された係合溝4bの角度位置を正確に調整することができ、フレーム5(帯のこ8)の上昇固定位置を被切断材Wの大きさや形状に応じて適切且つ容易に調整することができる。
【0033】
以上のように、本実施の形態では、フレーム5(帯のこ8)の上昇固定を、ヒンジシャフト4の外周4aに形成された係合溝4bへのスチールボール17の係合によって行うようにしたため、フレーム5(帯のこ8)を上昇位置で固定保持することができ、切断作業を作業性良く行うことができる。
【0034】
又、上昇位置で固定保持されたフレーム5(帯のこ8)をそのまま下方へ手動で押し下げるだけで、ヒンジシャフト4の係合溝4bに係合していたスチールボール17が係合溝4bから抜け出てフレーム5(帯のこ8)の固定保持を解除するため、該フレーム5(帯のこ8)の固定保持の解除作業を容易に行うことができる。
【0035】
更に、以上の効果は、ヒンジシャフト4の係合溝4b、この係合溝4bに選択的に係合するスチールボール17、該スチールボール17を付勢するスプリング18等を含む簡単な構成で得られるため、当該横型帯のこ盤1の重量増加やコストアップを招くことがなく、軽量で安価な横型帯のこ盤1を提供することができる。
【0036】
尚、本実施の形態では、フレームにヒンジシャフトを回転可能且つ固定可能に設け、ヒンジシャフトの係合部と係合する係合部材をヒンジに設けた構成を採用したが、例えば、ヒンジにヒンジシャフトを回転可能且つ固定可能に設け、フレームにヒンジシャフトの係合部と係合する係合部材を設けた構成としても良い。
【0037】
又、以上は本発明を特に横型帯のこ盤に適用した形態について説明したが、本発明は、丸のこ盤等、フレームを上下方向に回動させて切断作業を行う他の任意の切断機に対しても同様に適用可能であることは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る切断機の一形態としての横型帯のこ盤の正面図である。
【図2】図1の矢視A方向から見たヒンジ部周辺の拡大図である。
【図3】図2のB−B線断面図である。
【図4】図2のB−B線断面図である。
【図5】図2の矢視C方向の図である。
【符号の説明】
【0039】
1 横型帯のこ盤
2 ベース
3 ヒンジ
3a ヒンジの円孔
3b ヒンジの雌ねじ
4 ヒンジシャフト
4a ヒンジシャフトの外周
4b ヒンジシャフトの係合溝(係合部)
5 フレーム
5a フレームの円孔
5b フレームのねじ孔
6 駆動のこ車
7 従動のこ車
8 帯のこ(切断刃物)
9,10 セリヘッド
11 固定バイス
12 移動バイス
13 ネジ軸
14 ハンドル
15 固定部材
16 ボルト
17 スチールボール(係合部材)
18 スプリング(付勢手段)
19 ハンドル
20 目印
21 目盛表示板
W 被切断材
【出願人】 【識別番号】000005094
【氏名又は名称】日立工機株式会社
【出願日】 平成18年8月11日(2006.8.11)
【代理人】 【識別番号】100092853
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 亮一


【公開番号】 特開2008−44048(P2008−44048A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−220681(P2006−220681)