トップ :: B 処理操作 運輸 :: B23 工作機械;他に分類されない金属加工

【発明の名称】 バンドソー
【発明者】 【氏名】高野 誓樹

【要約】 【課題】切り粉の排出や研削液の供給を円滑に行うことが可能であり、良好な切れ味が得られると共に、被削材に対する加工ダメージが小さく、良好な面粗さが得られるバンドソーを提供すること。

【構成】バンドソー100は、複数の砥粒層が間隔をおいて台金に固着されたバンドソーであって、帯状の平板形状をなす台金1と、台金の長手方向に延びる2つの端縁部1E,1Fの一方に設けられ、台金1の表面1S及び裏面1Tにおいて第1の刃先幅wを有する第1砥粒層11Aが固着された第1刃部11と、第1刃部11が設けられた端縁部1Eに第1刃部11に隣接して設けられ、台金1の表面1S及び裏面1Tにおいて第1の刃先幅wと異なる第2の刃先幅wを有する第2砥粒層12Aが固着された第2刃部12と、を備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の砥粒層が間隔をおいて台金に固着されたバンドソーであって、
帯状の平板形状をなす台金と、
前記台金の長手方向に延びる2つの端縁部の一方に設けられ、前記台金の表面及び裏面において第1の刃先幅を有する第1砥粒層が固着された第1刃部と、
前記第1刃部が設けられた端縁部に前記第1刃部に隣接して設けられ、前記台金の表面及び裏面において前記第1の刃先幅と異なる第2の刃先幅を有する第2砥粒層が固着された第2刃部と、を備えるバンドソー。
【請求項2】
前記第1刃部に、複数の前記第1砥粒層が前記台金の長手方向において第1のピッチで固着されており、
前記第2刃部に、複数の前記第2砥粒層が前記台金の長手方向において前記第1のピッチと異なる第2のピッチで固着されている、ことを特徴とする請求項1に記載のバンドソー。
【請求項3】
前記台金の長手方向において、前記第1刃部の長さが、前記第2刃部の長さと異なることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のバンドソー。
【請求項4】
前記第1刃部に1つの前記第1砥粒層が固着されており、
前記第2刃部に1つの前記第2砥粒層が固着されており、
前記台金の長手方向において、前記第1刃部と前記第2刃部とが交互に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のバンドソー。
【請求項5】
前記台金の板幅方向において、前記第1砥粒層が前記台金と接する長さは、前記第2砥粒層が前記台金と接する長さと異なることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載のバンドソー。
【請求項6】
前記台金の板幅方向において、前記第1砥粒層が前記台金の端縁部から突出する長さは、前記第2砥粒層が前記台金の端縁部から突出する長さと異なることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載のバンドソー。
【請求項7】
前記台金の板幅方向において、前記第2砥粒層が前記台金の端縁部から突出する長さは、前記第1砥粒層が前記台金の端縁部から突出する長さよりも長く、
前記第2砥粒層を構成する砥粒の粒度が、前記第1砥粒層を構成する砥粒の粒度よりも小さいことを特徴とする請求項6に記載のバンドソー。
【請求項8】
前記台金の板厚方向において、前記第1砥粒層の刃厚が前記第2砥粒層の刃厚と異なることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載のバンドソー。
【請求項9】
複数の砥粒層が間隔をおいて台金に固着されたバンドソーであって、
帯状の平板形状をなす台金と、
前記台金の長手方向に延びる2つの端縁部の一方に設けられ、前記台金の表面上及び裏面上において第1の表面積を有する第1砥粒層が固着された第1刃部と、
前記第1刃部が設けられた端縁部に前記第1刃部に隣接して設けられ、前記台金の表面上及び裏面上において前記第1の表面積と異なる第2の表面積を有する第2砥粒層が前記台金の表裏に固着された第2刃部と、を備えるバンドソー。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状の平板形状をなす台金に砥粒層が固着されたバンドソーに関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンインゴット、ガラス、セラミックス、水晶、フェライト等の溝入れ加工や切断加工には、長手方向に延びる端縁部に超砥粒からなる砥粒層を固着させて刃部を形成したエンドレスベルト状の台金を回転させるバンドソーが広く用いられている。
【0003】
バンドソーの刃部における砥粒層は、被削材の種類、要求切断条件、使用する装置の構造などに応じて様々な形態で固着されている。例えば、特許文献1〜3では、砥粒層を一定の間隔で固着したセグメント型バンドソーが記載されている。また、刃部において台金の長手方向に砥粒層を連続的に固着させた連続型バンドソーが知られており、特許文献4では、セグメント型と連続型を組み合わせたバンドソーが記載されている。ほかに、砥粒層の形状を歯切り状や鋸刃状としたバンドソーが知られている。
【特許文献1】特公昭61−7905号公報
【特許文献2】実開昭63−74273号公報
【特許文献3】特開2002−346833号公報
【特許文献4】特開2005−59164号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
砥粒層を一定の間隔で固着したセグメント型バンドソーの場合、切り粉の排出や研削液の供給を円滑に行うことが可能であり、良好な切れ味を実現できるが、被削材に対する加工ダメージが大きくなりやすいという欠点を有している。そのため、加工後の被削材における仕上り面の面粗さが悪く、表面にうねりが発生するだけでなく、被削材の外周部が欠けやすいという問題があった。
【0005】
特に、特許文献1のセグメント型バンドソーでは、台金に溝を設けた後に台金両面に砥粒層をメッキ法で固着しているが、台金に形成される溝が原因でバンドソーの強度が落ちるという問題があった。更に、形成される砥粒層の形状が台金の表裏で異なるために砥粒層の固着時には電流値の制御が難しく、バンドソーの使用時には砥粒層が剥離しやすいという問題があった。
【0006】
一方、連続型バンドソーの場合、被削材に対する加工ダメージが小さく、仕上り面の面粗さは良好であるものの、切り粉の排出や研削液の供給が円滑に行われないため、良好な切れ味を実現させることが難しいという問題があった。また、特許文献4のセグメント型と連続型を組み合わせたバンドソーの場合も、刃部における砥粒層は通常の連続型バンドソート同様に連続的に固着されているため、切り粉の排出や研削液の供給を円滑に行うことは困難であった。
【0007】
そこで、本発明は、切り粉の排出や研削液の供給を円滑に行うことが可能であり、良好な切れ味が得られると共に、被削材に対する加工ダメージが小さく、良好な面粗さが得られるバンドソーを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のバンドソーは、複数の砥粒層が間隔をおいて台金に固着されたバンドソーであって、帯状の平板形状をなす台金と、台金の長手方向に延びる2つの端縁部の一方に設けられ、台金の表面及び裏面において第1の刃先幅を有する第1砥粒層が固着された第1刃部と、第1刃部が設けられた端縁部に第1刃部に隣接して設けられ、台金の表面及び裏面において第1の刃先幅と異なる第2の刃先幅を有する第2砥粒層が固着された第2刃部と、を備える。
【0009】
本発明のバンドソーによれば、台金の長手方向において刃先幅が異なる砥粒層が固着される。このように構成することで、刃先幅の広い砥粒層が固着された刃部においては、刃先幅の狭い砥粒層が固着された刃部と比べて、砥粒層の側面と被削材との間で形成される研削液の流路が大きくなるため、刃先に供給される研削液の量を増やすことができる。一方、刃先幅の狭い砥粒層が固着された刃部においては、台金の長手方向において単位幅あたりの砥粒層の数が増えるため、砥粒層間に形成される隙間の数も増加する。そのため、刃先幅の広い砥粒層のみが固着されたバンドソーと比べて、バンドソー全体としては切り粉の排出及び刃先への研削液の供給が行われるポイントを多くすることができる。更に、刃先幅の狭い砥粒層が固着された刃部が介在することによって、バンドソー全体としては切削抵抗(特に、砥粒層側面の抵抗)が低減されるため、被削材における加工ダメージ及び表面のうねりが低減されるだけでなく、切れ味及び切断精度も向上する。従って、従来の連続型バンドソー及び刃先幅が一定の砥粒層が固着されたセグメント型バンドソーと比べて、研削液の供給及び切り粉の排出を円滑に行いつつ、高い切れ味及び切断精度が得られると共に、被削材の加工ダメージが小さく、うねりの少ない良好な面粗さを実現するバンドソーが得られる。
【0010】
また、上記バンドソーにおいて、第1刃部に、複数の第1砥粒層が台金の長手方向において第1のピッチで固着されており、第2刃部に、複数の第2砥粒層が台金の長手方向において第1のピッチと異なる第2のピッチで固着されているようにしてもよい。このような構成とすることで、それぞれの刃部の有する切れ味、被削材の加工ダメージ低減及び面粗さに係る効果をそれぞれ向上させた上で、両立させることができる。
【0011】
また、上記バンドソーの台金の長手方向において、第1刃部の長さが、第2刃部の長さと異なるようにしてもよい。このような構成とすることで、バンドソーで被削材を加工する際に共振が発生する可能性を低減することができる。
【0012】
また、上記バンドソーにおいて、第1刃部に1つの第1砥粒層が固着されており、第2刃部に1つの第2砥粒層が固着されており、台金の長手方向において、第1刃部と第2刃部とが交互に設けられるようにしてもよい。このような構成によっても、それぞれの刃部の有する切れ味、被削材の加工ダメージ低減及び面粗さに係る効果をそれぞれ向上させた上で、両立させることができる。
【0013】
また、上記バンドソーにおいて、台金の板幅方向において、第1砥粒層が台金と接する長さは、第2砥粒層が台金と接する長さと異なるようにしてもよい。このような構成とすることで、砥粒層の側縁部によってより多くの研削液を保持することができるため、効果的に刃部を冷却することができる。
【0014】
また、上記バンドソーの台金の板幅方向において、第1砥粒層が台金の端縁部から突出する長さは、第2砥粒層が台金の端縁部から突出する長さと異なるようにしてもよい。このような構成とすることで、バンドソーにおいて刃先の突出し量に変化を持たせることができるため、切り粉の排出を円滑に行うことができる。
【0015】
また、上記バンドソーの台金の板幅方向において、第2砥粒層が台金の端縁部から突出する長さを、第1砥粒層が台金の端縁部から突出する長さよりも長くする場合、第2砥粒層を構成する砥粒の粒度は、第1砥粒層を構成する砥粒の粒度よりも小さくするとよい。このような構成とすることで、第2砥粒層が被削材に作用する際に、被削材に与える加工ダメージを低減し、仕上り面の面粗さを向上させることができる。
【0016】
また、上記バンドソーの台金の板厚方向において、第1砥粒層の刃厚が第2砥粒層の刃厚と異なるようにしてもよい。このような構成とすることで、バンドソーにおいて刃先の刃厚に変化を持たせることができるため、切り粉の排出を円滑に行うことができる。
【0017】
また、本発明のバンドソーは、複数の砥粒層が間隔をおいて台金に固着されたバンドソーであって、帯状の平板形状をなす台金と、台金の長手方向に延びる2つの端縁部の一方に設けられ、台金の第1の表面積を有する第1砥粒層が台金の表裏に固着された第1刃部と、第1刃部が設けられた端縁部に第1刃部に隣接して設けられ、第1の表面積と異なる第2の表面積を有する第2砥粒層が台金の表裏に固着された第2刃部と、を備えるように構成することによっても、上記と同様の作用及び効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明のバンドソーによれば、台金の長手方向において刃先幅が異なる砥粒層が固着された刃部を介在させることで、従来のバンドソーと比べて、研削液の供給及び切り粉の排出を円滑に行いつつ、高い切れ味及び切断精度が得られると共に、被削材の加工ダメージが小さく、良好な面粗さでうねりの少ない切断面を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図1〜図3を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の図面の説明においては、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0020】
図1は、バンドソーの使用形態を示す図である。また、図2は本発明の実施形態に係るバンドソーにおける台金及び刃部を示す部分平面図であり、図3は台金を刃部から見たときの部分側面図である。
【0021】
図1に示されるように、バンドソー100が被削材200に対する溝入れ加工や切断加工等に用いられる際には、エンドレス状且つ帯状の台金1が2つのプーリ101,102に巻架された状態で使用される。プーリ101,102のうち例えばプーリ101がモータ等によって回転駆動されることにより、台金1が周回走行する。この台金1の周回走行に伴って、台金1の端縁部に設けられた刃部10(第1刃部11及び第2刃部12)も周回走行する。この周回走行する刃部10に被削材200を押し当てることによって、被削材200に対する溝入れや切断が可能となる。
【0022】
バンドソー100は、エンドレス状の台金1を備える。この台金1は、帯状の平板形状をなす金属板であり可撓性を有している。台金1の材質は、例えば、ステンレス鋼板(SUS)、高張力鋼板(HITEN)とすることができる。また、台金1の形状は、例えば、幅15〜150mm、周長1000〜120000mm、厚さ0.1〜1.5mmとすることができる。
【0023】
図2に示されるように、台金1は、長手方向(x方向)に延びる2つの端縁部1E,1Fの一方である端縁部1Eに、第1刃部11と第2刃部12とを備えている。ここで、第2刃部12は、端縁部1Eにおいて第1刃部11に隣接して設けられている。また、第1刃部11の長さLは、第2刃部12の長さLと同じ長さとされており、第1刃部11と第2刃部12とは、台金1において交互に設けられている。第1刃部11には、半円状の第1砥粒層11Aが固着されており、第2刃部12には、半円状の第2砥粒層12Aが固着されている。なお、第1砥粒層11A及び第2砥粒層12Aを固着させる部分では、台金1は平坦とされており、第1砥粒層11A及び第2砥粒層12Aは同一平面上に固着される。第1砥粒層11A及び第2砥粒層12Aとしては、例えばダイヤモンド等の超砥粒が用いられ、第1砥粒層11A及び第2砥粒層12Aは、電着やメタルボンドにより端縁部1Eに固着される。
【0024】
図2及び図3に示されるように、台金1の長手方向における第1砥粒層11Aの刃先幅wは、第2砥粒層の刃先幅wと異なり、刃先幅wが刃先幅wよりも広くされている。また、台金2の表面1S及び裏面1Tにおいて、第1砥粒層11Aの刃先幅wは略同一とされており、同様に、台金2の表面1S及び裏面1Tにおいて、第2砥粒層12Aの刃先幅wは略同一とされている。なお、刃先幅ではなく、台金1の表面1S上及び裏面1T上において、第1砥粒層11Aの表面積が第2砥粒層12Aの表面積と異なるように形成することによっても、刃先幅を異なるようにした場合と同様の作用及び効果を被削材に対して発揮することができる。第1砥粒層11Aの表面積が第2砥粒層12Aの表面積と異なるように形成する場合においても、台金2の表面1S及び裏面1Tにおいて、第1砥粒層11Aの形状及び第2砥粒層12Aの形状はそれぞれ略同一とすることが好ましい。
【0025】
図2に示されるように、第1刃部11には、複数の第1砥粒層11Aが、台金の長手方向において第1のピッチpで固着されており、第2刃部12には、複数の第2砥粒層12Aが、台金の長手方向において第1のピッチpと異なる第2のピッチpで固着されている。なお、図2及び図3に示されるバンドソー100では、刃先幅の広い第1砥粒層11Aのピッチpが、刃先幅の狭い第2砥粒層11Bのピッチpよりも大きくされている。
【0026】
また、図3に示されるように、バンドソー100の台金の板厚方向(z方向)において、第1砥粒層11Aの刃厚tが第2砥粒層12Aの刃厚tと異なるようにされている。このような構成とすることで、バンドソーにおいて刃先の刃厚に変化を持たせることができるため、切り粉の排出が円滑に行われる。
【0027】
更に、図3に示されるように、台金の表面1S及び裏面1Tの上において、第1砥粒層11Aは、台金の板厚方向(z方向)に略同一な高さhで形成されており、同様に、第2砥粒層12Aは、台金の板厚方向(z方向)に略同一な高さhで形成されている。このような構成とされているため、台金1の表裏に固着された砥粒層11A,12Aの一方の面のみが研削に作用することが避けられ、砥粒層の剥離を低減することができる。
【0028】
次に、バンドソー100の製造方法について説明する。まず、薄い帯状の平板形状を有する金属板の長手方向の両端を溶接等によりつなぎ合わせることで、エンドレス状の台金1を用意する。引き続き、必要に応じて台金1の長手方向に沿って腰入れを行い、3〜15本の帯状の腰入れ(図示せず)を形成することで台金の剛性を高める。この後、台金1の端縁部1Eにダイヤモンド等の超砥粒を電着やメタルボンドにより固着することで、第1砥粒層11Aを第1刃部11に設け、第2砥粒層12Aを第2刃部12に設ける。なお、電着により砥粒層を固着する場合には、時間等の電着条件や台金に設けるマスクの形状により、台金1に固着される砥粒層11A及び12Aの形状を制御することができる。
【0029】
以下に上述した実施形態の一実施例を示す。ただし、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
・台金1:[材質]SUS、[全長]4320mm、[板厚]0.5mm、[幅]60mm
・第1刃部11:[長さL]200mm
・第1砥粒層11A:[砥粒]ダイヤモンド(平均粒径105μm)、[形状]半円、[刃先幅w]5mm、[ピッチp]10mm、[刃厚t]平均0.78mm
・第2刃部12:[長さL]200mm
・第2砥粒層12A:[砥粒]ダイヤモンド(平均粒径105μm)、[形状]半円、[刃先幅w]3mm、[ピッチp]8mm、[刃厚t]平均0.82mm
このような構成とするために、長さ200mmのマスキングテープを台金1に貼付けて、電流密度を適宜変化させつつダイヤモンド砥粒を電着することで、第1砥粒層11A及び第2砥粒層12Aは台金1の端縁部1Eに固着される。なお、刃厚t及び刃厚tについては、固着された第1砥粒層11A及び第2砥粒層12Aの形状に若干の製造上のばらつきが生じるため平均で示している。
【0030】
以上説明したバンドソーによれば、台金1の長手方向において刃先幅が異なる砥粒層が固着される。このように構成することで、刃先幅の広い砥粒層11Aが固着された第1の刃部11においては、刃先幅の狭い砥粒層12Aが固着された第2の刃部12と比べて、砥粒層の側面と被削材との間で形成される研削液の流路が大きくなるため、刃先に供給される研削液の量を増やすことができる。一方、刃先幅の狭い砥粒層12Aが固着された第2の刃部12においては、台金1の長手方向において単位幅あたりの砥粒層の数が増えるため、砥粒層12A間に形成される隙間の数も増加する。そのため、刃先幅の広い砥粒層11Aのみが固着されたバンドソーと比べて、バンドソー全体としては切り粉の排出及び刃先への研削液の供給が行われるポイントを多くすることができる。更に、刃先幅の狭い砥粒層12Aが固着された第2の刃部12が介在することによって、バンドソー全体としては切削抵抗(特に、砥粒層側面の抵抗)が低減されるため、被削材200における加工ダメージ及び表面のうねりが低減されるだけでなく、切れ味及び切断精度も向上する。従って、従来の連続型バンドソー及び刃先幅が一定の砥粒層が固着されたセグメント型バンドソーと比べて、研削液の供給及び切り粉の排出を円滑に行いつつ、高い切れ味及び切断精度が得られると共に、被削材200の加工ダメージが小さく、うねりの少ない良好な面粗さを実現するバンドソーが得られる。
【0031】
また、切り粉の排出や研削液の供給が円滑に行われることで、目詰まりが減少し、良好な切れ味と切削の直進性向上が実現される。更に、切れ味が向上することにより、被削材200の送り速度を速くできるため、作業効率が改善できる。目詰まりが減少するために、ドレッシングの回数を減少されることで、作業負荷が減少して生産性が向上するだけでなく、バンドソー100の工具寿命も向上する。
【0032】
また、複数の第1砥粒層11Aが固着されるピッチpが、第2砥粒層12Aが固着されるピッチpと異なるピッチされているため、それぞれの刃部11,12の有する切れ味、被削材200の加工ダメージ低減及び面粗さに係る効果をそれぞれ向上させた上で、両立させることができる。
【0033】
本発明は、上述したバンドソー100に限られない。例えば、バンドソーの刃部や砥粒層は図2及び図3に示されるものに限られず、図4から図10に示される刃部や砥粒層を備えるバンドソーであってもよい。
【0034】
図4は、本発明の他の実施形態に係るバンドソー200における台金及び刃部を示す部分平面図である。図4に示されるバンドソー200では、台金2の長手方向(x方向)において、第1刃部21の長さLが、第2刃部22の長さLと異なるようにされている。具体的には、第1刃部21の長さLが、第2刃部22の長さLよりも短くされている。このような構成とすることで、バンドソーで被削材200を加工する際に共振が発生する可能性を低減することができる。
【0035】
以下に図4に示される実施形態の一実施例を示す。
・台金2:[材質]SUS、[全長]4320mm、[板厚]0.5mm、[幅]60mm
・第1刃部21:[長さL]400mm
・第1砥粒層21A:[砥粒]ダイヤモンド(平均粒径105μm)、[形状]半円、[刃先幅w]5mm、[ピッチp]10mm、[刃厚t]平均0.78mm
・第2刃部22:[長さL]600mm
・第2砥粒層22A:[砥粒]ダイヤモンド(平均粒径105μm)、[形状]半円、[刃先幅w]3mm、[ピッチp]8mm、[刃厚t]平均0.82mm
このような構成とするために、図2及び図3に示されるバンドソー100と同様に、複数枚の長さ200mmのマスキングテープを台金2に貼付けて、電流密度を適宜変化させつつダイヤモンド砥粒を電着することで、第1砥粒層21A及び第2砥粒層22Aは台金2の端縁部1Eに固着される。なお、刃厚t及び刃厚tについては、固着された第1砥粒層11A及び第2砥粒層12Aの形状に若干の製造上のばらつきが生じるため平均で示している。
【0036】
図5は、本発明の他の実施形態に係るバンドソー300における台金及び刃部を示す部分平面図である。図5に示されるバンドソー300では、第1刃部31に1つの第1砥粒層31Aが固着されており、第2刃部32に1つの第2砥粒層32Aが固着されている。また、台金の長手方向(x方向)において、第1刃部31(第1砥粒層31A)と第2刃部32(第2砥粒層32A)とが交互に一定のピッチで設けられている。なお、図5では、第1砥粒層31Aの刃先幅wが、第2砥粒層32Aの刃先幅wよりも大きくした場合を示している。このような構成とすることで、それぞれの刃部の有する切れ味、被削材200の加工ダメージ低減及び面粗さに係る効果をそれぞれ向上させた上で、両立させることができる。
【0037】
図6は、本発明の他の実施形態に係るバンドソー400における台金及び刃部を示す部分平面図である。図6に示されるバンドソー400では、台金4において、第1刃部41に1つの第1砥粒層41Aが固着されており、第2刃部42に3つの第2砥粒層42Aが固着されている。また、長さLと長さLを同じ長さとしつつ、刃先幅wの第1刃部41に固着される砥粒層の数は、刃先幅wよりも狭い刃先幅wの第2刃部42に固着される砥粒層の数よりも少なくされている。更に、台金の長手方向(x方向)において、第1刃部41と第2刃部42とが交互に設けられている。このような構成とすることで、狭い刃先幅wの第2砥粒層42Aが多く固着されるため、バンドソー400における研削液の供給や切り粉の排出を円滑に行いつつ、広い刃先幅wの第1砥粒層41Aに起因する被削材200の加工ダメージ低減、仕上り面の面粗さ向上を実現することができる。なお、図6では、第1刃部41に固着される砥粒層の数を5個とし、第2刃部42に固着される砥粒層の数を8個としているが、砥粒層の数はこれに限定されない。
【0038】
図7は、本発明の他の実施形態に係るバンドソー500における台金及び刃部を示す部分平面図である。図7に示されるバンドソー500では、台金5の板幅方向(y方向)において、第1刃部51の第1砥粒層51Aが台金5と接する長さcは、第2刃部52の第2砥粒層52Aが台金2と接する長さcと異なるようにされている。具体的には、第2砥粒層52Aが台金2と接する長さcが、第1砥粒層51Aが台金2と接する長さcよりも長くされている。このような構成とすることで、刃先幅の狭い第2砥粒層52Aにおいても、側縁部によってより多くの研削液を保持することができるため、効果的に刃部を冷却することができる。なお、図7では、第1砥粒層51Aの刃先幅wは、第2砥粒層52Aの刃先幅wよりも大きくし、第1刃部51の長さLは、第2刃部52の長さLと同じとした場合を示している。
【0039】
図8は、本発明の他の実施形態に係るバンドソー600における台金及び刃部を示す部分平面図である。図8に示されるバンドソー600では、台金6の板幅方向(y方向)において、第1砥粒層61Aが台金6の端縁部6Eから突出する長さdは、第2砥粒層62Aが台金6の端縁部6Eから突出する長さdと異なるようにされている。具体的には、第2砥粒層62Aが台金6の端縁部6Eから突出する長さdが、第1砥粒層61Aが台金6の端縁部6Eから突出する長さdよりも長くされている。このような構成とすることで、バンドソー600において刃先の突出し量に変化を持たせることができるため、切り粉の排出を円滑に行うことができる。
【0040】
更に、図8に示されるバンドソー600において、第2刃部62の第2砥粒層62Aを構成する砥粒の粒度は、第1刃部61の第1砥粒層61Aを構成する砥粒の粒度よりも小さくされている。このような構成とすることで、第2砥粒層62Aが被削材200に作用する際に、被削材200に与える加工ダメージを低減し、仕上り面の面粗さを向上させることができる。なお、図8では、第1砥粒層61Aの刃先幅wは、第2砥粒層62Aの刃先幅wよりも大きくし、第1刃部61の長さLは、第2刃部62の長さLと同じとした場合を示している。
【0041】
図9(a)〜(c)は、本発明の他の実施形態に係るバンドソー701〜703における台金及び刃部を示す部分平面図である。図9(a)〜(c)に示されるバンドソー701〜703では、第1砥粒層71A〜71A及び第2砥粒層72A〜72Aの形状を、図2に示されるような半円形ではなく、それぞれ矩形、靴下形、平行四辺形としている。なお、図9(a)〜(c)に示されるバンドソー701〜703のいずれにおいても、台金1の長手方向(x方向)における、第1砥粒層71A〜71Aの刃先幅wは、第2砥粒層72A〜72Aの刃先幅wと異なるようにされている。
【0042】
また、図9(b)に示されるように、靴下形の砥粒層71A及び72Aにおいてつま先に相当する部分71T及び72Tは、加工時に図におけるx方向にバンドソーが送られる場合に、研削液が溜めることができるように形成されている。同様に、図9(c)に示されるように、平行四辺形の傾きは、加工時に図におけるx方向にバンドソーが送られる場合に、研削液が溜めることができるように形成されている。このように砥粒層を形成することで、刃部の冷却を効果的に行うことができる。
【0043】
また、図10は、本発明の他の実施形態に係るバンドソー800における台金及び刃部を示す部分平面図である。図10に示されるバンドソー800では、半円形の切込み83を複数設けた台金8において、隣り合う切込み83の間に形成される突部に、図2及び図3に示される第1砥粒層11A及び第2砥粒層12Aがメタルボンド等で固着している。このバンドソー800では、切込み83が複数設けられているために、切り粉の排出や研削液の供給をより円滑に行うことができる。なお、図8では、第1砥粒層11Aを固着及び第2砥粒層12Aを3個ずつ交互に固着した場合を示している。また、このバンドソー800においても、図8に示されるバンドソー600と同様に、第2砥粒層12Aが台金1の端縁部1Eから突出する長さは、第1砥粒層11Aが台金1の端縁部1Eから突出する長さよりも長くしてもよい。更に、このような構成とした場合には、第2砥粒層12Aを構成する砥粒の粒度は、第1砥粒層11Aを構成する砥粒の粒度よりも小さくしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】バンドソーの使用形態を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るバンドソーを示す部分平面図である。
【図3】図2に示されるバンドソーを刃部から見たときの部分側面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係るバンドソーを示す部分平面図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るバンドソーを示す部分平面図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係るバンドソーを示す部分平面図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係るバンドソーを示す部分平面図である。
【図8】本発明の他の実施形態に係るバンドソーを示す部分平面図である。
【図9】本発明の他の実施形態に係るバンドソーを示す部分平面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係るバンドソーを示す部分平面図である。
【符号の説明】
【0045】
1…台金、1E,1F…端縁部、1S…表面、1T…裏面、11…第1刃部、11A…第1砥粒層、12…第2刃部、12A…第2砥粒層、100…バンドソー、101,102…プーリ、200…被削材、w…第1の刃先幅、w…第2の刃先幅。
【出願人】 【識別番号】000116781
【氏名又は名称】旭ダイヤモンド工業株式会社
【出願日】 平成18年8月10日(2006.8.10)
【代理人】 【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹

【識別番号】100092657
【弁理士】
【氏名又は名称】寺崎 史朗

【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹


【公開番号】 特開2008−44018(P2008−44018A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−218564(P2006−218564)