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【発明の名称】 缶の切断装置
【発明者】 【氏名】中條 勝吉

【要約】 【課題】缶の巻締部切断作業を迅速に且つ高精度に行いうる巻締部切断装置を提供する。

【構成】缶胴と缶蓋との巻締部を切断して巻締部検査用の切断面を形成する切断装置を、缶1を保持する保持穴21を有する保持部材と、保持部材をそれによって保持される缶の軸方向に移動自在にガイドするガイド部材と、切断刃5と、ガイド部材によってガイドされた保持部材が切断刃5による切断作業位置に向かって移動する際に復元力を発生するバネ4とを備え、保持部材は、保持穴21に缶1が挿入された状態で缶の端面の一部に当接する当接部22を有し、缶1が切断作業位置に向けて操作される際に缶の端面が当接部22に当接して缶1と共に移動し、操作が解除されるとバネ4の復元力によって切断作業位置から遠ざかる方向に移動するように設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
缶胴と缶蓋との巻締部を切断して巻締部検査用の切断面を形成する切断装置であって、
缶を保持する保持穴を有する保持部材と、
前記保持部材をそれによって保持される缶の軸方向に移動自在にガイドするガイド部材と、
切断刃と、
前記ガイド部材によってガイドされた前記保持部材が前記切断刃による切断作業位置に向かって移動する際に復元力を発生する復元部材とを備え、
前記保持部材は、前記保持穴に缶が挿入された状態で缶蓋の一部に当接する当接部を有し、缶が前記切断作業位置に向けて操作される際に缶蓋が前記当接部に当接して缶と共に移動し、前記操作が解除されると前記復元部材の復元力によって前記切断作業位置から遠ざかる方向に移動する、
ことを特徴とする切断装置。
【請求項2】
前記保持部材は鍔を有し、前記ガイド部材は前記鍔に対面する鍔を有し、
前記復元部材は、バネであって、前記保持部材の鍔と前記ガイド部材の鍔との間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の切断装置。
【請求項3】
前記切断刃は、一対の回転刃であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の切断装置。
【請求項4】
前記切断刃は、前記保持部材の中心を通る鉛直線の周りに互いに120度の角度をおいて3組備えられることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の切断装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、缶の巻締部の検査に用いられる巻締部切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品缶、飲料缶等は、有底円筒状の缶胴に内容物を充填し、その後缶胴と缶蓋とを巻き締めて製造される。この巻締が完全に行われていないと、缶内の内容物がもれたり、もれないまでも外気に触れて変質したりする。そこで、必要に応じて巻締部が検査されうる。この検査は、巻締部を切断して切断面を観察することによってなされうる。図6は巻締の検査のために巻締部が切断された缶1を示している。同図に示されるように缶胴11と缶蓋12との結合部である巻締部13を含む部分が通常3箇所で切断される。
【0003】
従来、缶の巻締部の切断は鋏等を用いた手作業により行われてきたが、切断作業を迅速に行うために回転刃を有する切断装置を使用することも行われてきた。図7は従来の巻締部切断装置を示すものである。5は一対の回転刃からなる切断刃であって、通常3組の切断刃が使用される。8は缶1を切断刃5に対して上下方向にガイドする筒状のガイド部材で、切断刃5を備える箱体の天板に設けた穴に嵌挿固定される。作業者が缶の巻締部を下にして缶蓋とは逆の端部を把持しつつ、ガイド部材8の筒内面に沿って缶1を下げていくと、缶1は3組の切断刃5によって巻締部13が3箇所で切断される。それぞれの切断箇所に形成される一対の切り込みに挟まれる巻締部を押圧すると、巻締部の切断面が視認できるようになって巻締の状況を検査することが可能となる。
【0004】
従来の缶の巻締部切断装置では、作業者が缶1の端部を把持しながらガイド部材8に差し込み、そして巻締部切断後にガイド部材8から引き上げるが、缶をふらつかせないように缶を慎重に差し込みまた引き抜くので巻締部切断作業に時間を要した。また、作業者が細心の注意を払っても、特に缶1を切断刃5と接触させるとき、また、缶1を切断刃から引き上げるときに缶1がふらつくことを避けえず、したがって巻締部の切断面にゆがみが発生するという問題があった。
【特許文献1】特開平4−41032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、缶の巻締部の切断作業を迅速に且つ高精度に行いうる切断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は、缶胴と缶蓋との巻締部を切断して巻締部検査用の切断面を形成する切断装置が、缶を保持する保持穴を有する保持部材と、前記保持部材をそれによって保持される缶の軸方向に移動自在にガイドするガイド部材と、切断刃と、前記ガイド部材によってガイドされた前記保持部材が前記切断刃による切断作業位置に向かって移動する際に復元力を発生する復元部材とを備え、前記保持部材は、前記保持穴に缶が挿入された状態で缶蓋の一部に当接する当接部を有し、缶が前記切断作業位置に向けて操作される際に缶蓋が前記当接部に当接して缶と共に移動し、前記操作が解除されると前記復元部材の復元力によって前記切断作業位置から遠ざかる方向に移動する、ことを特徴とする。
【0007】
本発明の好適な実施形態によれば、前記保持部材は鍔を有し、前記ガイド部材は前記鍔に対面する鍔を有し、前記保持部材の鍔と前記ガイド部材の鍔との間に前記復元部材としてのバネが配置されうる。また、前記切断刃として、前記缶保持部材の中心を通る鉛直線の周りに互いに120度の角度をおいて三対の回転刃が使用されうる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、缶の巻締部切断作業を迅速に且つ高精度に行いうる切断装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下に本発明を図示の実施形態に基づいて説明する。図1は、実施形態における缶の巻締部切断装置の正面断面図であり、缶を切断する前の状態を示している。巻締部切断装置の箱体7の中には3つのモータ6が互いに120度の角度をおいて設置される。各モータ6はそれぞれ互いに近接した平行な姿勢の一対の回転刃5,5を備える。実施形態では、モータ6は箱体の天板及び底板に取り付けられる支持部材72によって支持されるが、箱体7の他の部分に取り付けられてもよい。また、実施形態では、一対の回転刃5,5をそれぞれ回転駆動するモータ6を3つ設けるが、1つのモータ6によって駆動伝達手段を介して3組の各一対の回転刃5,5を同時に回転駆動する構成を採用してもよい。
【0010】
缶を保持する保持部材2は、図4、5に示されるように、缶1を保持する保持穴21を有する筒部25と、筒部25の適所、例えば上部の周囲に設けられた鍔23と、筒部25の適所、例えば底部に設けられた当接部22とを有する。当接部22は、例えば一対の回転刃5,5による缶の切断を妨害しないように設けられている。このような構成は、有底の筒部25にて切り欠き24を3箇所形成した構成としても把握されうる。保持穴21は缶1の外径とほぼ同径に設定され、当接部22はその上に缶1を保持し、缶1の軸方向の位置を規制するストッパとして機能する。缶保持部材の鍔23の下面にはピン26が複数立設される。3は缶保持部材2をそれによって保持される缶1の軸方向に移動自在にガイドするガイド部材である。ガイド部材3は保持部材2を嵌挿する穴を有する筒状体であって上部に鍔31を有し、鍔31には保持部材の鍔23に立設されるピン26を挿通する孔32が設けられる。保持部材の鍔23とガイド部材の鍔31との間の各ピン26の周りにはピン26を包囲するバネ4が取り付けられる。バネ4は、ガイド部材3によってガイドされた保持部材2が回転刃5による切断作業位置に向かって移動する際に復元力を発生させる。
【0011】
ガイド部材3に設けるピン26を挿通する孔32に対応する孔が箱体7の天板71にも設けられる。箱体の天板71とガイド部材3とをそれらのピン挿通用孔が一致するように位置決めすると、ガイド部材3の筒状部が箱体の天板71に設けた穴に嵌合し、ガイド部材3は箱体の天板71に固定される。その状態で、保持部材の鍔23に立設した複数のピン26をその周囲にバネ4を保持したままで、ガイド部材3及び箱体7の天板のピン挿通用の孔に挿入すると、保持部材2の筒状部はガイド部材3の筒状部内に嵌挿され、図1の状態に組み付けられる。
【0012】
この実施形態では、保持部材2に復元力を発生させる復元部材としてバネ4を使用したが、保持部材の鍔23とガイド部材の鍔31との間にゴムのような弾性部材を設ける構成とすることも可能である。さらに、保持部材2の缶1を受容する保持穴21の内径、長さを変更すればサイズの異なる缶に対応可能となる。
【0013】
次に、缶の巻締部を切断する作業の手順について説明する。図1に示される保持部材2がバネ4の復元力によってガイド部材3及び箱体7に対して最も上方に位置する状態において、巻締部13を下にして缶1を保持部材の保持穴21に差し込むと、缶蓋部12が保持部材の底の当接部22に突き当たり、缶1が保持部材の保持穴21内に保持される。次いで、モータ6を駆動させて3組の回転刃5,5を回転させる。そして缶の最上部となる缶1の底部をバネ24の上方への復元力に抗して手で強く押すと、缶1は保持部材2とともに箱体7の内部下方へ移動し、回転する回転刃5,5に接触する。引き続き缶1を上方から押し込むと、保持部材2がバネ4に抗して最も下方となるまでの間、缶1は回転刃5,5によってその巻締部が切断され続ける。図2は缶1が回転刃5によって切断されている状態の正面断面図であり、図3は図2の(I)−(I)線断面図である。図3に示されるように、保持部材の保持穴21の下部と当接部22とに亘って一対の回転刃5,5が進入可能である切り欠き24が3箇所設けられているので、回転刃5,5は保持部材2と接触することなく缶1の巻締部13を切断し、一対の切り込みを3組形成する。缶1が切断される間、バネ4等の復元部材の復元力を受けながら缶1は手によって下方への押圧力が加えられるので、従来技術のように缶がふらついて鉛直線周りに回動することはなく、直線的に精度よく切り込まれる。実施形態では缶1及び保持部材2を手で押し込むこととしたが、押し込み部材を別途設けて当該押し込み部材によって缶1及び保持部材2を押し込むようにすることも可能である。
【0014】
切断が終了すれば、作業者は缶1の押し込みを解除する。そうすると、保持部材2はバネ24の復元力によって迅速に図1に示される切断作業前の初期状態に復帰する。その後、缶1を保持部材2から抜き出す。そして、一対の切り込みに挟まれる巻締部13を押し込むと、巻締部13の切断面が視認可能となって缶の巻締状態を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態における缶の切断前の状態を示す正面断面図である。
【図2】本発明の一実子形態における缶の切断中の状態を示す正面断面図である。
【図3】図2の(I)−(I)線断面図である。
【図4】保持部材及びガイド部材の斜視図である。
【図5】保持部材を下から見た図である。
【図6】巻締部を切断した後の缶を示す図である。
【図7】従来の缶の巻締部切断装置を示す正面断面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 缶
11 缶胴
12 缶蓋
13 巻締部
2 保持部材
21 保持穴
22 当接部
23 鍔
24 切り欠き
25 筒部
26 ピン
3 ガイド部材
31 鍔
32 孔
4 バネ
5 回転刃(切断刃)
6 モータ
7 箱体
71 天板
72 支持部材
8 ガイド部材(従来)
【出願人】 【識別番号】000000055
【氏名又は名称】アサヒビール株式会社
【出願日】 平成18年8月4日(2006.8.4)
【代理人】 【識別番号】100076428
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康徳

【識別番号】100112508
【弁理士】
【氏名又は名称】高柳 司郎

【識別番号】100115071
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 康弘

【識別番号】100116894
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 秀二

【識別番号】100134175
【弁理士】
【氏名又は名称】永川 行光


【公開番号】 特開2008−36764(P2008−36764A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−213922(P2006−213922)