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油圧切断装置 - 特開2008−23679 | j-tokkyo
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【発明の名称】 油圧切断装置
【発明者】 【氏名】久保 富雄

【要約】 【課題】装置を大型化することなく、長尺部材の長手方向に対して直交する平滑な精密度の高い切断面を得ることができる油圧切断装置を提供する。

【構成】長尺部材Tが挿通される筒状の固定ダイス42と、固定ダイス42に対面配置されると共に、固定ダイス42に対して相対変位することによって内部に挿通した長尺部材Tを剪断する筒状の可動ダイス54と、油圧によって可動ダイス54を押圧して長尺部材切断方向に移動させる作動手段とを備えた油圧切断装置10であって、可動ダイス54と作動手段46との間に作動手段が単独で移動するための隙間Sが設けられていることを特徴とする。かかる構成により、作動手段が可動ダイス54に当接した状態から作動を開始する場合に比べて、可動ダイス54を非常に速い速度で始動させることができ、長尺部材Tに対して極めて高い剪断力を与えることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺部材が挿通される筒状の固定ダイスと、
前記固定ダイスに対面配置されると共に、前記固定ダイスに対して相対変位することによって内部に挿通した長尺部材を剪断する筒状の可動ダイスと、
油圧によって前記可動ダイスを押圧して長尺部材切断方向に移動させる作動手段とを備えた油圧切断装置であって、
前記可動ダイスと前記作動手段との間に前記作動手段が単独で移動するための隙間が設けられていることを特徴とする油圧切断装置。
【請求項2】
互いに対面する側壁に一対の長尺部材挿通孔が設けられた筒状のシリンダと、
前記シリンダの内部に摺動自在に収容され、前記シリンダの内部空間を作動室及び復帰室に二分し、前記作動室側に寄せた始動位置に位置決めした際、前記長尺部材挿通孔と同一軸線上に並ぶ貫通孔が設けられた切断ピストンと、
前記シリンダの前記長尺部材挿通孔の一方に取り付けられた固定ダイスと、
前記固定ダイスと対面するように前記切断ピストンの前記貫通孔に取り付けられた可動ダイスとを備える油圧切断装置であって、
前記切断ピストンを前記始動位置に位置決めした際、前記貫通孔の作動室側に、前記切断ピストンが単独で移動するための隙間が出現することを特徴とする油圧切断装置。
【請求項3】
前記復帰室には、その内部空間を切断ピストン側の空気室とシリンダ端部側の圧油室とに二分する制動ピストンが摺動自在に取り付けられ、
前記空気室側のシリンダの側壁には、前記切断ピストンが作動して長尺部材の切断が完了した後、直ちに通気が遮断される通気孔が穿設されると共に、前記圧油室に接続された戻りラインの圧油路には、リリーフ弁が取り付けられていることを特徴とする請求項2に記載の油圧切断装置。
【請求項4】
前記固定ダイスの作動室側の先端部近傍には、前記可動ダイス側に向けて突出し、且つ復帰室側の端面が前記固定ダイスの作動室側の側端面と略面一となる突起が設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載の油圧切断装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、断面積の大なる長尺部材を瞬間的に切断する油圧切断装置に関し、特に、切断面が平滑で精密度の高いものを得ることが可能な油圧切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、棒鋼などの長尺部材を流体の圧力(主として油圧)を利用して切断する切断装置として、移動側及び固定側の切断刃を備えた油圧シリンダが知られている。具体的には、互いに対面する側壁に一対の長尺部材挿通孔が設けられた筒状のシリンダと、前記シリンダの内部に摺動自在に収容され、前記シリンダの内部空間を作動室及び復帰室に二分し、前記作動室側に寄せた始動位置に位置決めした際、前記長尺部材挿通孔と同一軸線上に並ぶ貫通孔が設けられた切断ピストンと、前記シリンダの前記長尺部材挿通孔の一方に取り付けられた固定側切断刃(固定ダイス)と、該固定側切断刃と対面するように切断ピストンの貫通孔に取り付けられた移動側切断刃(可動ダイス)とを有する油圧切断装置である(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
この油圧切断装置を用いて長尺部材を切断する際には、まず切断ピストンを始動位置に位置決めして同一軸線状に並んだ長尺部材挿通孔及び貫通孔に長尺部材を挿通する。そして、作動室に圧油を供給して切断ピストンを高速で作動させることにより長尺部材に大きな剪断力を与え、瞬時にこれを切断する。かかる油圧切断装置を用いれば、切削屑を生じることなく長尺部材を短時間で切断することができる。
【特許文献1】特開2004−58204号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の油圧切断装置を用いて長尺部材を切断する際、長尺部材の長手方向に対して直交する平滑な精密度の高い切断面を得るためには、切断ピストンに装着した可動ダイスを高速且つ高圧力で作動させなければならない。従来の油圧切断装置では、可動ダイスを作動させて長尺部材を切断する際、可動ダイスの初速がゼロであることから、この可動ダイスをより高速で作動させるためには、油圧シリンダに圧油を供給する油圧ユニットや油圧回路を大型化して作動室に多量の圧油を迅速に供給し、切断ピストンを高速且つ高圧力で作動させなければならず、結果として油圧切断装置全体が大型化してしまうという問題があった。
【0005】
さらに、切断ピストンを高速且つ高圧力で作動させて長尺部材を切断した後、そのままの状態で切断ピストンを作動させ続けると、切断ピストンとシリンダの復帰室側の端部とが激しく衝突し、大きな騒音や振動が発生するようになるという問題もあった。
【0006】
それゆえに、本発明の主たる課題は、装置を大型化することなく、長尺部材の長手方向に対して直交する平滑な精密度の高い切断面を得ることができる油圧切断装置を提供することである。また、本発明の従たる課題は、切断ピストンによる長尺部材切断後の騒音や振動を低減させることが可能な油圧切断装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明は、「長尺部材Tが挿通される筒状の固定ダイス42と、固定ダイス42に対面配置されると共に、固定ダイス42に対して相対変位することによって内部に挿通した長尺部材Tを剪断する筒状の可動ダイス54と、油圧によって可動ダイス54を押圧して長尺部材切断方向に移動させる作動手段とを備えた油圧切断装置10であって、可動ダイス54と作動手段との間に作動手段が単独で移動するための隙間Sが設けられていることを特徴とする」油圧切断装置10である。
【0008】
この発明では、可動ダイス54と作動手段との間に作動手段が単独で移動するための隙間Sが設けられているので、固定ダイス42及び可動ダイス54に挿通した長尺部材Tを切断すべく、作動手段に圧油を供給してその作動を開始させると、作動手段はまず始めに可動ダイス54の移動を伴うことなく単独で助走する。そして、隙間Sの分だけ助走して長尺部材Tを切断可能な速度に達した作動手段は、更に加速しながら可動ダイス54を押圧する。このため、作動手段が可動ダイス54に当接した状態から作動を開始する場合に比べて、可動ダイス54を非常に速い速度で始動させることができ、長尺部材Tに対して極めて高い剪断力を与えることができる。
【0009】
請求項2に記載した発明は、「互いに対面する側壁に一対の長尺部材挿通孔38が設けられた筒状のシリンダ36と、シリンダ36の内部に摺動自在に収容され、シリンダ36の内部空間を作動室48及び復帰室50に二分し、作動室48側に寄せた始動位置に位置決めした際、長尺部材挿通孔38と同一軸線上に並ぶ貫通孔52が設けられた切断ピストン46と、シリンダ36の長尺部材挿通孔38の一方に取り付けられた固定ダイス42と、固定ダイス42と対面するように切断ピストン46の貫通孔52に取り付けられた可動ダイス54とを備える油圧切断装置10であって、切断ピストン46を始動位置に位置決めした際、貫通孔52の作動室48側に、切断ピストン46が単独で移動するための隙間Sが出現する」ことを特徴とする油圧切断装置10である。
【0010】
本発明の油圧切断装置10では、切断ピストン46を作動室48側に寄せた始動位置に位置決めすると、貫通孔52の作動室48側に切断ピストン46が単独で移動するための隙間Sが出現する。したがって、固定ダイス42及び可動ダイス54に挿通した長尺部材Tを切断すべく、作動室48に圧油を供給して切断ピストン46の作動を開始させると、切断ピストン46はまず始めに可動ダイス54の移動を伴うことなく単独で助走する。
【0011】
そして、隙間Sの分だけ助走して長尺部材Tを切断可能な速度に達した切断ピストンは、更に加速しながら可動ダイス54に突き当たり、これを押圧する。このため、可動ダイス54を非常に速い速度で始動させることができ、長尺部材Tに対して極めて高い剪断力を与えることができる。
【0012】
また、固定ダイス42及び可動ダイス54をシリンダ36の内部に収容しているので、上述した作用・効果に加え、一本のシリンダで油圧切断装置10を構成でき、油圧切断装置10をコンパクトにすることができる。
【0013】
請求項3に記載した発明は、請求項2に記載の油圧切断装置10において、「復帰室50には、その内部空間を切断ピストン46側の空気室50aとシリンダ36端部側の圧油室50bとに二分する制動ピストン60が摺動自在に取り付けられ、空気室50a側のシリンダ36の側壁には、切断ピストン46が作動して長尺部材Tの切断が完了した後、直ちに通気が遮断される通気孔68が穿設されると共に、圧油室50bに接続された戻りラインの圧油路34には、リリーフ弁32が取り付けられている」ことを特徴とするものである。
【0014】
上述のように切断ピストン46を高速で作動させて長尺部材Tを切断すると、長尺部材Tの切断後、高速且つ高圧力で作動する切断ピストン46がシリンダ36の復帰室50側の端部に激しく衝突し、大きな騒音や振動が発生するようになる。しかしながら、本発明では、復帰室50の切断ピストン46側に空気室50aを設け、この空気室50a側のシリンダ36の側壁に上述のような通気孔68を設けているので、切断ピストン46が作動して長尺部材Tの切断が完了すると直ちに空気室50aが気密状態となる。このため、気密状態となった空気室50aの内部空気がエアクッションとして働き、長尺部材Tの切断後直ちに切断ピストン46に対して減衰力が働くようになる。
【0015】
また、空気室50a内の空気が完全に圧縮されて切断ピストン46に対する減衰力が頭打ちになると、制動ピストン60が圧油室50bを閉塞する方向へと移動するようになる。ここで、圧油室50bに接続した戻りラインの圧油路34にはリリーフ弁32が取り付けられているので、このリリーフ弁32によって圧油路34を介して圧油室50bから排出される圧油に抵抗が掛かり、この抵抗が上述した空気室50aの内部空気の圧縮抵抗と相俟って切断ピストン46に対する減衰力となる。
【0016】
このように本発明では、長尺部材Tの切断完了直後より、切断ピストン46に対して、空気室50aの内部空気の圧縮抵抗による一次減衰力及び前記圧縮抵抗にリリーフ弁32による抵抗を加えた二次減衰力といった二段階の減衰力を順次与えることができる。
【0017】
請求項4に記載した発明は、請求項2又は3に記載の油圧切断装置10において、「固定ダイス42の作動室48側の先端部近傍には、可動ダイス54側に向けて突出し、且つ復帰室50側の端面が固定ダイス42の作動室48側の側端面と略面一となる突起58が設けられている」ことを特徴とするもので、かかる突起58により、一連の長尺部材切断工程を終え、切断ピストン46を作動室48側に寄せた始動位置へと復帰させる際に、可動ダイス54が突起58よりも作動室48側へと移動するのを防止でき、切断ピストン46を始動位置に位置決めした状態において、常に、貫通孔52の作動室48側に可動ダイス54が移動可能な隙間Sを出現させ、切断ピストン46の助走距離を確保することができる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1〜4に記載の発明によれば、可動ダイスと作動手段(切断ピストン)との間に作動手段が単独で移動するための隙間が設けられているので、作動手段に圧油を供給してその作動を開始させると、作動手段はまず始めに可動ダイスの移動を伴うことなく単独で助走する。このため、作動手段が可動ダイスに当接した状態から作動を開始する場合に比べて、可動ダイスを非常に速い速度で始動させることができ、長尺部材に対して極めて高い剪断力を与えることができる。したがって、作動手段に供給する圧油の量を増やすことなく(換言すれば、装置を大型化することなく)、断面積の大なる長尺部材を瞬時に切断でき、その切断面は長尺部材の長手方向に対して直交する平滑な精密度の高いものとなる。
【0019】
また、請求項3に記載の発明によれば、長尺部材切断時に作動室へ供給される圧油の圧力を減衰させることなく、長尺部材の切断完了後、直ちに切断ピストンに対して空気の圧縮及びリリーフ弁による抵抗といった二段階の減衰力を与えることができるので、切断ピストンを高速且つ高圧力で作動させて長尺部材を切断した後の騒音や振動を低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を図面に従って詳述する。図1は、本発明における一実施例の油圧切断装置10を示す正面図である。この図が示すように、本実施例の油圧切断装置10は、主として切断ユニット12および油圧ユニット14で構成されている。
【0021】
なお、本実施例では、基台16の上に油圧ユニット14を搭載すると共に、スタンド18を介して基台16の上に切断ユニット12を配置することで、これらを一体的に構成する場合を示しているが、切断ユニット12と油圧ユニット14とを離れた位置に配置するようにしてもよいし、切断ユニット12がレール上を往復走行するようにしてもよい。
【0022】
切断ユニット12は、図1及び図2に示すように、大略、本体20、油圧シリンダ部22、アキュムレータ24などの付属機器及びロジック弁26,切替弁28,プレフィル弁30,リリーフ弁32などの制御弁を備える。
【0023】
本体20は、金属からなるブロック状の部材であり、本体20の内部には、プレフィル弁30が収容されると共に、本体20の側面には、油圧シリンダ部22、アキュムレータ24などの付属機器及びロジック弁26,切替弁28,リリーフ弁32などの制御弁が取り付けられている。そして、これらの油圧機器は本体20の内部や後述するシリンダ36の側壁内部等に穿設された圧油路34を介して相互に連通するようになっている。
【0024】
油圧シリンダ部22は、図2及び図3に示すように、一端が本体20の側面に固定された筒状のシリンダ36を有しており、シリンダ36の側壁には、互いに対面する一対の長尺部材挿通孔38が設けられている。また、一方の長尺部材挿通孔38には、ホルダ40を介して長尺部材切断用の筒状の固定ダイス42が装着されており、シリンダ36の他端には、シリンダ36の内部空間を密閉すべく、蓋体44が装着されている。
【0025】
そして、シリンダ36の内部には、切断ピストン46が軸方向へ往復摺動自在に収容されており、これによりシリンダ36の内部空間が本体20に近い側の作動室48と蓋体44に近い側の復帰室50とに二分されている(したがって、本実施例の油圧シリンダ部22は複動型のものとなる)。
【0026】
切断ピストン46は、シリンダ36の内径とほぼ等しい外径を有する円柱状の部材である。この切断ピストン46の中央部は、切断ピストン46を作動させる際、シリンダ36に取り付けたホルダ40が干渉しないように、当該ホルダ40に対面する部分が凹形状に成形されると共に、貫通孔52が形成されており、この貫通孔52には、シリンダ36に装着された固定ダイス42と協働して長尺部材Tを切断する筒状の可動ダイス54が装着されている。つまり、この切断ピストン46が可動ダイス54の「作動手段」として機能する。
【0027】
ここで、この貫通孔52は、切断ピストン46を作動室48側に寄せた始動位置に位置決めした際、長尺部材挿通孔38と同一軸線上に並ぶように設定されている。本実施例の場合、切断ピストン46の軸方向一方端面から貫通孔52までの距離と本体20の側面からシリンダ36の長尺部材挿通孔38までの距離とがほぼ等しくなるように設定されており、図2に示すように、切断ピストン46の軸方向一方端面を本体20の側面に当接させ、作動室48が閉塞する始動位置に位置決めすると、シリンダ36の長尺部材挿通孔38と貫通孔52とが同一軸線状に並び、長尺部材Tの挿通が可能となる。
【0028】
そして、貫通孔52における可動ダイス54取り付け部分の作動室48側には、図2及び図3に示すように、切断ピストン46を作動室48側に寄せた始動位置に位置決めした際、可動ダイス54が移動可能な隙間Sが出現する。このような隙間Sを設けることによって、切断ピストン46の作動を開始した際、切断ピストン46のみが単独で走行し、可動ダイス54の初速が長尺部材Tを十分に切断可能な速度となるように切断ピストン46を加速させるための助走距離を確保することができる。
【0029】
また、切断ピストン46における貫通孔52より作動室48側の切欠部分の表面には切断ピストン46の軸方向に延びるキー溝56が設けられており、このキー溝56に対応するホルダ40の部分、より詳しくは固定ダイス42の作動室48側の先端部近傍には、キー溝56(つまり、可動ダイス54側)に向けて突出し、復帰室50側の端面が固定ダイス42の作動室48側の側端面と略面一となるような突起58が設けられている。このような突起58を設けることにより、後述する一連の長尺部材切断工程を終え、切断ピストン46を作動室48側に寄せた始動位置へと復帰させる際に、可動ダイス54が突起58よりも作動室48側へと移動するのを防止でき、切断ピストン46を始動位置に位置決めした状態において、常に、貫通孔52の作動室48側に切断ピストン46が単独で移動するための隙間Sを出現させ、切断ピストン46の助走距離を確保することができるようになっている。
【0030】
作動室48は、切断ピストン46の軸方向一方端面を押圧して長尺部材Tを切断するための圧油が供給される空間である。
【0031】
復帰室50は、切断ピストン46の摺動距離を確保すると共に、切断ピストン46の軸方向他方端面を押圧して長尺部材切断後の切断ピストン46を始動位置に復帰させるための圧油が供給される空間である。
【0032】
この復帰室50には、当該室を形成するシリンダ36の内径が縮径した段部36aが設けられており、この段部36aには、制動ピストン60が軸方向へ往復摺動自在に収容されている。したがって、この制動ピストン60により復帰室50の内部空間が切断ピストン46側の空気室50aとシリンダ36端部(蓋体44)側の圧油室50bとに二分されている。
【0033】
制動ピストン60は、段部36aの内径とほぼ等しい外径を有する円柱状の部材であり、その中心部には軸方向に貫通する貫通孔60aが設けられている。また、この制動ピストン60の空気室50a側の軸方向一方端部には凹部60bが形成されており、圧油室50b側の軸方向他方端部には段部36aに係止する係止片60cが形成されている。
【0034】
そして、この制動ピストン60の凹部60bには、弁体62が摺動自在に嵌合されると共に、貫通孔に60aには、その先端が弁体62に当接する小ピストン64が収容されている。
【0035】
弁体62は、前記凹部60bの内径とほぼ等しい外径を有すると共に、その先端が切断ピストン46の軸方向他方端面に当接する部材であり、その内部には凹部60bの内部空間と空気室50aの内部空間とを連通する通気路62aが設けられている。
【0036】
また、制動ピストン60と共に空気室50aを構成するシリンダ36の内周部には、切断ピストン46が復帰室50側へ移動して長尺部材Tを切断した後、直ちに当該切断ピストン46と係合することによって空気室50aの内部空間を気密状態にするクッションリング66が装着されており、当該クッションリング66よりも切断ピストン46側のシリンダ36の側壁には、空気室50aと油圧シリンダ部22の外部とを連通する通気孔68が設けられている。このため、切断ピストン46が始動位置にある状態では通気孔68が開放され、切断ピストン46が作動して長尺部材Tの切断が完了した後、直ちに通気孔68の通気が遮断されるようになっている。
【0037】
一方、制動ピストン60によって区画された圧油室50bには、当該室内に圧油を給排するための圧油路34が接続されており、このうち圧油室50b内の圧油を後述する圧油タンク70に戻すためのいわゆる「戻りライン」の圧油路34には、上述したリリーフ弁32が取り付けられている。このリリーフ弁32は、圧油室50b内の圧力を設定値に保持するためのものであり、かかるリリーフ弁32を設けることによって、長尺部材切断後の切断ピストン46に対して減衰力を与えることができるようになる。
【0038】
油圧ユニット14は、切断ユニット12を作動させるための圧油を供給する装置であり、大略、圧油を貯める圧油タンク70と、圧油タンク70内の圧油を切断ユニット12へ圧送するポンプ72とで構成されている。
【0039】
以上のように構成された油圧切断装置10を作動させるため、本実施例では、図4に示すような油圧回路が構成されている。このような油圧回路を構成することによって、アキュムレータ24にて蓄圧した圧油を一気に作動室48に供給して切断ピストン46を高速且つ高圧力で作動させることができると共に、作動室48に供給した圧油を迅速に排出して切断ピストン46を即座に始動位置まで復帰させることができる。なお、油圧回路は、前述のように切断ピストン46を高速且つ高応答で作動させることができるものであれば如何なるものであってもよく、図4に示すものに限定されるものではない。
【0040】
次に、本実施例の油圧切断装置10を用いて長尺部材Tを切断する際には、まず、図5に示すように、切断ピストン46を始動位置に位置決めし、同一軸線上に並んだ長尺部材挿通孔38及び貫通孔52に長尺部材Tを挿通する。この状態で可動ダイス54が取り付けられた貫通孔52の作動室48側には、切断ピストン46が単独で移動するための隙間Sが出現することとなる。
【0041】
続いて、アキュムレータ24で蓄圧した圧油を一気に作動室48に供給して切断ピストン46を作動させる。すると、切断ピストン46は、まず始めに可動ダイス54の移動を伴うことなく単独で復帰室50側に向けて助走する。そして、隙間Sの分だけ助走して長尺部材Tを切断可能な速度に達した後、更に加速を続けながら可動ダイス54に突き当たる。このように高速且つ高圧力で作動する切断ピストン46に突き当たった可動ダイスは、切断ピストン46と同様に非常に高い速度及び圧力で移動し、固定ダイス42に対して可動ダイス54が相対的に変位する際、長尺部材Tに対して極めて高い剪断力を与え、これを瞬時に切断する。
【0042】
なお、作動室48に圧油を供給して長尺部材Tを切断する際、復帰室50の容積は減少するようになるが、本実施例の油圧切断装置10では、通気孔68を通して空気室50a内の空気Gを排出するようにしているので、切断ピストン46が復帰室50側から抵抗を受けてその速度や圧力が損失する心配はない(図5参照)。
【0043】
続いて、長尺部材Tの切断が完了した切断ピストン46は、その速度及び圧力を維持したまま復帰室50側に向けて移動するが、図6に示すように、その軸方向他方端部側がクッションリング66にかかることによって通気孔68での通気が遮断され、空気室50aが気密状態となる。このため、空気室50aの内部空気がエアクッションとして機能し、切断ピストン46に対して減衰力を与えるようになる。
【0044】
そして、図7に示すように、空気室50aの内部空気が完全に圧縮され、制動ピストン60の凹部60bに弁体62が完全に嵌まり込んだ状態になると、切断ピストン46に対する減衰力が頭打ちとなる。そうすると、弁体62を介して切断ピストン46の押圧力が制動ピストン60に伝達され、切断ピストン46と共にこの制動ピストン60が圧油室50bを閉塞する方向へと移動する。ここで、圧油室50bに接続した戻りラインの圧油路34にはリリーフ弁32が取り付けられているので、このリリーフ弁32によって圧油路34を介して圧油室50bから排出される圧油に抵抗が掛かり、この抵抗と上述した空気室50aの内部空気の圧縮抵抗とが相俟って切断ピストン46に対する減衰力となる。
【0045】
このように本実施例の油圧切断装置10では、長尺部材切断時に作動室48へ供給される圧油の圧力を減衰させることなく、長尺部材Tの切断完了後、切断ピストン46に対して空気室50aの内部空気の圧縮抵抗による一次減衰力及び前記圧縮抵抗にリリーフ弁32による抵抗を加えた二次減衰力といった二段階の減衰力を順次与えることができるので、切断ピストン46を高速且つ高圧力で作動させたとしても長尺部材Tを切断した後の騒音や振動を低減することができる。
【0046】
一方、図8に示すように、長尺部材切断後、復帰室50側に向けて最大限移動した切断ピストン46を始動位置まで復帰させる際には、作動室48に供給した圧油を圧油タンク70に戻すべく、プレフィル弁30を開作動させると共に、圧油室50bに圧油を供給する。すると、制動ピストン60を介して切断ピストン46が作動室48側に向けて押し戻される。
【0047】
そして、制動ピストン60の係止片60cがシリンダ36の段部36aに係止されると、小ピストン64が作動し、弁体62及び切断ピストン64を作動室48側に向けて移動させ、切断ピストン64を作動室48が閉塞する始動位置に位置決めする。
【0048】
ここで、本実施例の油圧切断装置10では、突起58が設けられているので、切断ピストン46を始動位置へと復帰させる際、可動ダイス54が突起58よりも作動室48側へと移動するのを防止でき、切断ピストン46を始動位置に位置決めした状態において、常に、貫通孔52の作動室48側に可動ダイス54が移動可能な隙間Sを出現させることができる。
【0049】
本実施例の油圧切断装置10によれば、切断ピストン46を始動位置に位置決めすると、貫通孔52の作動室48側に可動ダイス54が移動可能な隙間Sが出現する。したがって、固定ダイス42及び可動ダイス54に挿通した長尺部材Tを切断すべく、作動室48に圧油を供給して切断ピストン46の作動を開始させると、切断ピストン46はまず始めに可動ダイス54の移動を伴うことなく単独で助走する。
【0050】
そして、隙間Sの分だけ助走して長尺部材Tを切断可能な速度に達した切断ピストン46は、更に加速しながら可動ダイス54に突き当たる。このため、可動ダイス54を非常に速い速度で始動させることができ、長尺部材Tに対して極めて高い剪断力を与えることができる。その結果、切削屑を生じることなく長尺部材Tを瞬時に切断することができ、その切断面は長尺部材Tの軸方向に対して直交する平滑な精密度の高いものとなる。
【0051】
ここで、図9は、本実施例の油圧切断装置10[シリンダ出力(押);402kN、ストローク;40mm、隙間S;3mm、可動ダイス初速;3m/sec.]を用いて、直径25mmのステンレス鋼材を切断した際の切断面を拡大したSEM(走査型電子顕微鏡)像である。これによると、塑性変形を伴った切断面のせん断方向先端部(最後に剪断が行なわれる部分)に「穴の開いた丸い形状のもの」が見られる(×4,000拡大像の中央左上部参照)。これは、高温になって溶融した素材の一部が酸化される際に形成されたものであると考えられる。つまり、切断面にこのような形状が形成される本実施例の油圧切断装置10は、長尺部材Tに対して切断面が瞬間的に溶融する程度の剪断力を与えることができ、平滑な精密度の高い切断面を得ることができることを示唆している。
【0052】
なお、上述の実施例では、切断ユニット12として、シリンダ36の内部に固定ダイス42及び可動ダイス54を収容する場合を示したが、可動ダイス54とこれを押圧して長尺部材切断方向に移動させる「作動手段」との間に「作動手段」が単独で移動するための隙間Sが設けられるものであれば、切断ユニット12の構成はこれに限定されるものではなく、例えば、互いに対向する一対の片ロッドシリンダの間に可動ダイス54を配置し、一方のシリンダを「作動手段」とし、他方のシリンダを可動ダイス54を始動位置に復帰させる「復帰手段」とすると共に、「作動手段」と可動ダイス54との間に隙間Sを設けるようにしてもよい。
【0053】
また、空気室50aを構成するシリンダ36の内周部に別体のクッションリング66を設ける場合を示したが、かかるリング66を切断ピストン46の内周部に一体的に形成するようにしてもよい。つまり、切断ピストン46が始動位置にある状態では通気孔68を開放でき、切断ピストン46が作動して長尺部材Tの切断が完了した後、直ちに通気孔68の通気を遮断できるものであれば、空気室50aを構成するシリンダ36の内周部分の態様は如何なるものであってもよい。
【0054】
さらに、ホルダ40における固定ダイス42の作動室48側の側端部近傍に、別体の突起58を設ける場合を示したが、当該突起58をホルダ40と一体的に形成するようにしてもよい。つまり、長尺部材切断工程を終え、切断ピストン46を作動室48側に寄せた始動位置へと復帰させる際に、可動ダイス54の移動を規制して貫通孔52の作動室48側に可動ダイス54が移動可能な隙間Sを出現できるものであれば、突起58の態様は如何なるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施例の油圧切断装置の概略を示す正面図である。
【図2】図1におけるA−A線の要部拡大断面図である。
【図3】図2におけるB−B線の要部拡大断面図である。
【図4】本発明の一実施例の油圧切断装置の油圧回路図である。
【図5】長尺部材切断工程における切断ピストン始動前の状態を示す油圧シリンダ部の断面図である。
【図6】長尺部材切断工程における長尺部材切断直後の状態を示す油圧シリンダ部の断面図である。
【図7】長尺部材切断工程における空気室内の空気圧縮後の状態を示す油圧シリンダ部の断面図である。
【図8】長尺部材切断工程における圧油室閉塞後の状態を示す油圧シリンダ部の断面図である。
【図9】本発明の油圧切断装置を用いて切断した長尺部材の切断面を撮影したSEM像である。
【符号の説明】
【0056】
10…油圧切断装置
12…切断ユニット
14…油圧ユニット
16…基台
18…スタンド
20…本体
22…油圧シリンダ部
24…アキュムレータ
26…ロジック弁
28…切替弁
30…プレフィル弁
32…リリーフ弁
34…圧油路
36…シリンダ
36a…段部
38…長尺部材挿通孔
40…ホルダ
42…固定ダイス
44…蓋体
46…切断ピストン
48…作動室
50…復帰室
50a…空気室
50…圧油室
52…貫通孔
54…可動ダイス
56…キー溝
58…突起
60…制動ピストン
60a…貫通孔
60b…凹部
60c…係止片
62…弁体
62a…通気路
64…小ピストン
66…クッションリング
68…通気孔
70…圧油タンク
72…ポンプ
S…隙間
T…長尺部材
【出願人】 【識別番号】593056222
【氏名又は名称】久保 富雄
【識別番号】000249562
【氏名又は名称】有限会社藤田油機サービス
【識別番号】592169507
【氏名又は名称】トーワ株式会社
【出願日】 平成18年7月24日(2006.7.24)
【代理人】 【識別番号】100082429
【弁理士】
【氏名又は名称】森 義明

【識別番号】100117042
【弁理士】
【氏名又は名称】森脇 正志


【公開番号】 特開2008−23679(P2008−23679A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−200930(P2006−200930)