トップ :: B 処理操作 運輸 :: B23 工作機械;他に分類されない金属加工

【発明の名称】 プレス型のスライドガイド部加工方法および加工工具
【発明者】 【氏名】今野 剛

【要約】 【課題】削加工面を平面に近い状態に加工し、かつ生産性の高いプレス型のスライドガイド部加工方法および加工工具を提供する。

【構成】マシニングセンタ等の加工機の主軸頭に凸曲線の刃先のチップを備えた垂直切削工具10を装着し、該垂直切削工具10を回転することなく下降動によりプレス型1の側面に突出している上下方向のスライドガイド部2の立面を大きなピッチ幅で切削加工するようにした。前記垂直切削工具10はシャンク3下端面の円周4方向に刃先が凸曲線をなすチップを固着した。前記チップ刃先の凸曲線Rを80mm〜400mmとした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレス型の側面に突出している上下方向のスライドガイド部を加工する方法であって、加工機に凸曲線の刃先のチップを備えた垂直切削工具を装着し、該垂直切削工具を回転することなく下降動により前記スライドガイド部の立面を大きなピッチ幅で切削加工するようにしたことを特徴とするプレス型のスライドガイド部加工方法。
【請求項2】
プレス型の4方向の側面に突出している上下方向のスライドガイド部の立面を回転することなく下降動により切削加工する垂直切削工具であって、シャンク下端面の円周4方向に刃先が凸曲線をなすチップを固着したことを特徴とするプレス型のスライドガイド部加工工具。
【請求項3】
チップ刃先の凸曲線Rを80mm〜400mmとしたことを特徴とする請求項2に記載のプレス型のスライドガイド部加工工具
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、プレス型のスライドガイド部加工方法および加工工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図7で示すように、プレス型の側面には上下方向のスライドガイド部2が突出している。このスライドガイド部2の立面を仕上げ加工するには、加工部位の周りに障害がない場合ではライトアングルヘッドを用いて正面フライス加工しており、加工部位の周りに障害があり、スライドガイド部2の位置が浅い場合ではエンドミルを使用し横送り加工しており、スライドガイド部2の位置が深い場合では前記ライトアングルヘッドを用いて正面フライス加工やエンドミルを使用し横送り加工では対処することができないため、図7で示すように、バーチカルミル12を使用し縦送り加工している。
【0003】
上記ライトアングルヘッドを用いて正面フライス加工やエンドミルを使用し横送り加工では特に問題はないが、図7で示すバーチカルミル12を使用し縦送り加工ではスライドガイド部2の立面の平面を確保するために図5の(A)で示すように、R31.5mmの凹曲面を0.7mmの細かいピッチP1で加工しているため加工時間が大であり、生産性を悪くしている問題点を有していた。
【特許文献1】特開2004−249387公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、切削加工面を平面に近い状態に加工し、かつ生産性の高いプレス型のスライドガイド部加工方法および加工工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、この目的を達成するために、請求項1に記載の通り、プレス型の側面に突出している上下方向のスライドガイド部を加工する方法であって、加工機に凸曲線の刃先のチップを備えた垂直切削工具を装着し、該垂直切削工具を回転することなく下降動により前記スライドガイド部の立面を大きなピッチ幅で切削加工するようにしたことを特徴とするプレス型のスライドガイド部加工方法である。
【0006】
請求項2に記載の通り、プレス型の4方向の側面四方に突出している上下方向のスライドガイド部の立面を回転することなく下降動により切削加工する垂直切削工具であって、シャンク下端面の円周4方向に刃先が凸曲線をなすチップを固着したことを特徴とするプレス型のスライドガイド部加工工具である。
【0007】
請求項3に記載の通り、前記チップ刃先の凸曲線Rを80mm〜400mmとしたことを特徴とする請求項2に記載のプレス型のスライドガイド部加工工具である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、プレス型のスライドガイド部の加工において、垂直切削工具の垂直軸移動に切削により従来の回転切削に比較して加工送り速度が大幅に早くなり、また、大きな凸曲線の刃先によるチップを備えた垂直切削工具であるため、大きなピッチ幅で大きな凹曲面の切削が得られ、加工面が平面に近い状態に加工を短時間で行うことができ生産性の高い加工作業が得られる効果を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下本発明を実施するための最良の形態について図面に基づいて説明する。図1において、1はプレス型であり、2はプレス型1の側面に突出している上下方向のスライドガイド部である。本発明は前記スライドガイド部の立面を仕上げ加工するものである。その加工方法は、加工機(図6を参照)に凸曲線の刃先のチップを備えた垂直切削工具10を装着し、該垂直切削工具10を回転することなく垂直軸線Z方向に下降動により前記スライドガイド部2の立面を大きなピッチ幅で切削加工するものである。
【0010】
前記垂直切削工具10は図2及び図3で示すように、シャンク3と、その下端に一体に形成されている裁頭円錐形のチップ取り付け体4とからなり、このチップ取り付け体4の下端面にチップ5を固着した構造である。
【0011】
前記チップ5は、その刃先5aが図4で示すように凸曲線Rを持たせた形態であり、その凸曲線Rは80mm〜400mmである。
【0012】
前記チップ5は図3で示すように、チップ取り付け体4の下端面において、その中心0を通るX−Y軸線上の円周4方向に固着されている。これは、スライドガイド部2は通常プレス型1の4方向の側面に突出していて、それぞれ加工条件を異にしている。従って、側面四方のスライドガイド部2の加工条件に対応するチップ5を前記X−Y軸線上の円周4方向に固着したものである。
【0013】
前記垂直切削工具10を装着する加工機は図6で示す周知のマシニングセンタが用いられる。すなわち、ベッド6上に直立しているコラム7に垂直方向に上下動する主軸頭8と、前記ベッド上に平面内でX−Y方向の移動と回転するテーブル11と数値制御装置9とを備えており、垂直切削工具10は主軸頭8に垂直軸線方向に装着する。垂直切削工具10を装着した主軸頭8は前記数値制御装置9により垂直方向に上下動制御され、また、垂直切削工具10は前記数値制御装置9により回転割り出しされる。
【0014】
前記加工機のテーブル11の上にプレス型1を搬入し、4面の側面の内の1面を主軸頭8の方向に位置決めすると同時に垂直切削工具10は加工すべきスライドガイド部2の加工条件に対応したチップ5に回転割り出し、主軸頭8を下降動して前記チップ5によりスライドガイド部2の立面を切削加工する。
【0015】
前記4方向の側面の内の1面のスライドガイド部2の加工が完了すると、次の1面が主軸頭8の方向に位置決めされ同時に垂直切削工具10は加工すべきスライドガイド部2の加工条件に対応したチップ5に回転割り出し、主軸頭8を下降動して前記チップ5によりスライドガイド部2の立面を切削加工する。このようにして4方向の側面のスライドガイド部2を順次加工する。
【0016】
そこで、本発明の垂直切削工具10により切削加工されるスライドガイド部2は刃先5aが凸曲線のチップ5により大きなピッチ幅で大きな凹曲面に切削される。因みに刃先5aの凸曲線Rを200mmとした場合、図5の(B)で示すようにピッチP2は4.0mmとなる。
【0017】
すなわち、従来のバーチカルミル12で図5の(A)で示すR31.5mmの凹曲面を0.7mmの細かいピッチP1で切削加工する場合と、本発明図5の(B)で示すR200mmの凹曲面で切削加工する場合、同じカスプ高さC(2μm)であればRの大きい本発明の方がピッチP2が4.0mmと大きく(荒く)なり、生産性が向上すると共に加工面が平面に近い状態を確保する。
【0018】
また、本発明による生産性の向上は、垂直切削工具10の垂直軸移動による切削加工であるため従来の回転切削に比較して加工送り速度が大幅に早くなり加工時間を著しく短縮することにある。
【0019】
このように本発明では、垂直切削工具を回転することなく下降動で切削加工するため、チップ5の凸曲線R値を80mm〜400mmの範囲で自由に設定することができ、しかも、4方向にチップ5を設けることにより、4方向のスライドガイド部2の加工条件に対応したチップ5に回転割り出しすることができるため、4方向のスライドガイド部2の加工条件に対応した工具に交換する必要がなく、加工作業の能率化が得られる。
【0020】
また、本発明は従来の回転工具と同様の4方向加工データをそのまま使用できるため、新たにCAMの導入等の投資が不要となり経済効果も有している。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の加工方法を示す要部側面図
【図2】本発明の垂直切削工具の要部側面図
【図3】図2の底面図
【図4】従来の本発明の垂直切削工具のチップの斜視図
【図5】従来のバーチカルミルによる切削加工面と本発明の垂直切削工具による切削加工面の比較図
【図6】本発明を用いる加工機の1例を示す側面図
【図7】従来のバーチカルミルによる切削加工を示す要部側面図
【符号の説明】
【0022】
1 プレス型
2 スライドガイド部
3 シャンク
4 チップ取り付け体
5 チップ
5a 刃先
6 ベッド
7 コラム
8 主軸頭
9 数値制御装置
10 垂直切削工具
11 テーブル
【出願人】 【識別番号】000157083
【氏名又は名称】関東自動車工業株式会社
【出願日】 平成18年7月21日(2006.7.21)
【代理人】 【識別番号】100064469
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 新一

【識別番号】100099612
【弁理士】
【氏名又は名称】菊池 徹


【公開番号】 特開2008−23654(P2008−23654A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−198851(P2006−198851)