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【発明の名称】 コネクティングロッド用クラッキング溝の加工方法及び装置
【発明者】 【氏名】橋本 款音

【氏名】簗田 好章

【要約】 【課題】コネクティングロッドの大端孔の内周面に対し、一対のクラッキング溝を確実且つ低コストで形成する加工方法と装置を提供する。

【構成】載置台14に固定され、コネクティングロッド12の大端孔18に係合する第1固定治具及び第2固定治具と、相互に離間する反対方向に変位しスリットから刃部が半径外方向に向かって所定長だけ突出して大端孔18の内周面を押圧することにより一対のクラッキング溝を成形する一対の押圧部材34a、34bと、前記一対の押圧部材の間に圧入可能に設けられた楔部材22と、前記楔部材に対して衝撃荷重を付与する荷重機構とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
大端部と小端部を有し、一体成形されたコネクティングロッドを、キャップ部とロッド部とに破断分離するために前記大端部の大端孔における内周面の対向する位置に一対のクラッキング溝を形成するコネクティングロッド用クラッキング溝の加工装置において、
前記コネクティングロッドの大端孔に係合し前記大端部を固定する固定治具と、
前記大端孔内に相互に対向して配置され、相互に離間する反対方向に変位することにより、前記固定治具に形成されたスリットから刃部が半径外方向に向かって所定長だけ突出する一対の押圧部材と、
前記一対の押圧部材の間に圧入可能に設けられた楔部材と、
前記楔部材に対して衝撃荷重を付与する荷重機構と、
を備えることを特徴とするコネクティングロッド用クラッキング溝の加工装置。
【請求項2】
請求項1記載の装置において、
前記一対の押圧部材の刃部の突出量は、固定治具の内壁と押圧部材の外壁との間に形成されたクリアランスによって設定されることを特徴とするコネクティングロッド用クラッキング溝の加工装置。
【請求項3】
大端部と小端部を有し、一体成形されたコネクティングロッドを、キャップ部とロッド部とに破断分離するために前記大端部の大端孔における内周面の対向する位置に一対のクラッキング溝を形成するコネクティングロッド用クラッキング溝の加工方法において、
前記コネクティングロッドの大端孔を固定治具にセットして該コネクティングロッドを固定する工程と、
楔部材に対して衝撃荷重を付与して一対の押圧部材の間に圧入する工程と、
前記楔部材によって前記一対の押圧部材を相互に離間する反対方向に変位させ、前記一対の押圧部材に形成された刃部により前記大端孔の内周面を押圧して一対のクラッキング溝を成形する工程と、
を有することを特徴とするコネクティングロッド用クラッキング溝の加工方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、車両用のエンジンを構成するコネクティングロッドが一体成形された後、前記コネクティングロッドの大端孔の内周面に該コネクティングロッドをキャップ部とロッド部とに破断分離するためのクラッキング溝を形成するコネクティングロッド用クラッキング溝の加工方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両用のエンジンのクランクシャフトとピストンとをコネクティングロッド(以下、単にコンロッドという)を介して連結し、前記ピストンの上下運動をクランクシャフトの回転運動へと変換している。
【0003】
このコンロッドは、その一端部側の大端部に形成される大端穴の内側面に軸受が装着され、前記クランクシャフトのジャーナルを軸支すると共に、他端部側の小端部に形成される小端穴には別個の軸受を介してピストンに挿通されるピストンピンが挿入される。
【0004】
そして、一般的に、前記コンロッドは鍛造成形によって形成され、予めコンロッド本体である軸部とキャップ部とをそれぞれ別個に製造する方法と、前記コンロッドを一体的に製造した後に前記軸部と前記キャップ部とに分離するコンロッドのクラッキング製造方法が知られている。
【0005】
例えば、一体に製造されたコンロッドを前記軸部とキャップ部とに分離する場合には、先ず大端部に形成される大端穴の内側面における軸部とキャップ部との境界になる位置に、一対の破断促進用の溝を対向するように形成している。この溝は、コンロッドの成形段階または成形後に加工用切削工具によるブローチ加工やレーザ加工によって所定深さに形成される。
【0006】
このような加工装置では、治具の外周面に軸線方向に沿ってブローチ刃が形成され、前記治具をコンロッドの大端孔に挿入して該大端孔の内周面にブローチ刃を当接させながら変位させる。これにより、大端孔の内周面に軸線方向に沿ってブローチ溝を形成している(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特許第3012510号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、特許文献1に開示されたコンロッドの加工方法によって該コンロッドの大端孔にブローチ加工を行う場合には、その軸部とキャップ部とを均等且つ円滑に破断分離させるために、前記大端穴の内側面に形成される破断促進用の溝の位置及び深さ等が略均等であること、換言すると、前記大端穴に形成される一対の溝が、対称形状に形成されていることが要求されている。
【0009】
前記破断促進用の溝をブローチ加工によって形成する際、ブローチ加工に用いられる治具のブローチ刃は、その断面形状が略U字状に形成されているため、前記治具によって形成される溝形状が略U字状となる。しかしながら、前記治具のブローチ刃では、破断促進用の溝をより一層鋭角な略v字状に形成することが困難であるため、前記破断促進用の溝によってコンロッドを軸部とキャップ部とに分離する際の衝撃荷重を大きくする必要があると共に、前記コンロッドを確実且つ均等に破断分離することが困難である。
【0010】
また、スローアウェイチップ等を用いたチップ加工方法では、複数のチップによってコネクティングロッドの大端孔の内周面が断続的に切削されるため、前記複数のチップの切刃の頂部が摩耗し、溝入れでは溝角度を鋭角に加工することが困難でありクラッキング時の応力集中性が低いという問題がある。
【0011】
さらに、レーザ加工によって破断促進用の溝を形成した場合、大端孔の内周面における前記溝の近傍に硬化層が形成されるため、前記大端孔の近傍における材質変化にともなってコンロッドの強度に影響がでることが懸念されると共に、前記溝を形成した際に発生するスラッジ等の塵埃が大端孔の内周面に付着するという問題がある。
【0012】
本発明は、前記の種々の問題等を考慮してなされたものであり、コネクティングロッドの大端孔の内周面に対し、一対のクラッキング溝を確実且つ低コストで形成することが可能なコネクティングロッド用クラッキング溝の加工方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記の目的を達成するために、本発明は、大端部と小端部を有し、一体成形されたコネクティングロッドを、キャップ部とロッド部とに破断分離するために前記大端部の大端孔における内周面の対向する位置に一対のクラッキング溝を形成するコネクティングロッド用クラッキング溝の加工装置において、
前記コネクティングロッドの大端孔に係合し前記大端部を固定する固定治具と、
前記大端孔内に相互に対向して配置され、相互に離間する反対方向に変位することにより、前記固定治具に形成されたスリットから刃部が半径外方向に向かって所定長だけ突出する一対の押圧部材と、
前記一対の押圧部材の間に圧入可能に設けられた楔部材と、
前記楔部材に対して衝撃荷重を付与する荷重機構と、
を備えることを特徴とする。
【0014】
この場合、前記一対の押圧部材の刃部の突出量は、固定治具の内壁と押圧部材の外壁との間に形成されたクリアランスによって設定されるとよい。
【0015】
本発明によれば、先ず、コネクティングロッドの大端孔を固定治具にセットして該コネクティングロッドを固定する。続いて、楔部材に対して荷重機構を介して衝撃荷重を付与し一対の押圧部材の間に圧入する。
【0016】
この場合、前記楔部材が圧入されることによって前記一対の押圧部材を相互に離間する反対方向に変位させ、前記一対の押圧部材に形成された刃部が固定治具のスリットに臨入し該スリットから半径外方向に向かって所定長だけ突出することにより、前記大端孔の内周面を押圧して一対のクラッキング溝が成形される。
【0017】
このように本発明では、楔部材に対して衝撃荷重を付与して一対の押圧部材を相互に離間する方向に変位させて一対のクラッキング溝を成形するという簡便な方向によって確実に一対のクラッキング溝を形成することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、以下の効果が得られる。
【0019】
すなわち、楔部材に対して衝撃荷重を付与して一対の押圧部材を相互に離間する方向に変位させ、前記一対の押圧部材の刃部が大端孔の内周面を押圧することにより、コネクティングロッドの大端孔の内周面に対し、一対のクラッキング溝を確実且つ低コストで形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明に係るコネクティングロッド用クラッキング溝の加工方法について、これを実施する加工装置との関連において好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照しながら以下詳細に説明する。
【0021】
図1において、参照符号10は、本発明の実施の形態に係るコネクティングロッド用クラッキング溝の加工方法を実施する加工装置を示す。
【0022】
この加工装置10は、コネクティングロッド12(以下、単にコンロッド12という)を載置台14の上面に位置決めして固定する固定機構16と、コンロッド12の大端孔18と係合する第1固定治具20aと第2固定治具20bとを相互に離間する方向に拡張させるために圧入される楔部材22を含む溝加工部24と、前記載置台14の下部側に設けられ、前記楔部材22に対して鉛直下方向への衝撃荷重を付与すると共に該楔部材22を上下方向に沿って変位させる荷重機構26(図7及び図8参照)とから構成される。
【0023】
前記溝加工部24は、図2及び図3に示されるように、コンロッド12の大端孔18の内径に略対応する外周形状からなり、載置台14の上面にそれぞれ固定されて前記コンロッド12の大端孔18を保持する第1固定治具20a及び第2固定治具20bと、前記第1固定治具20a及び第2固定治具20bの間に形成された貫通孔並びに載置台14に形成された貫通孔に沿って変位自在に設けられ、コンロッド12の軸線と略直交する両側面に下方側に向かって徐々に縮幅する一対のテーパ面28が形成された楔部材22と、コンロッド12の大端孔18の相互に対向する内周面を断面鋭角状の刃部30によって押圧することにより一対のクラッキング溝32(図10A参照)をそれぞれ同時に形成する一対の押圧部材34a、34bとを有する。この場合、前記楔部材22の両側面にそれぞれ形成された一対のテーパ面28の傾斜角度は、それぞれ同一に設定されている。
【0024】
なお、コンロッド12の軸線と略直交する方向における前記第1固定治具20aと第2固定治具20bとの間には、相互に対向する一組の狭小なスリット36が形成され(図3参照)、前記押圧部材34a、34bの断面鋭角状の刃部30の刃先が前記スリット36に臨入し且つ半径外方向に沿って前記スリット36から所定長だけ突出可能に設けられる。この場合、前記スリット36から突出する刃部30の突出量T(図4参照)は、クラッキング溝32の断面v字状の溝深さに対応する。
【0025】
また、第1固定治具20a及び第2固定治具20bの内壁と一対の押圧部材34a、34bの外壁との間には、略v字形状からなるクリアランス38が形成され(図2参照)、前記クリアランス38を適宜調整することによってスリット36から突出する刃部30の突出量が決まり、ひいてはクラッキング溝32の溝深さが設定される。
【0026】
前記一対の押圧部材34a、34bは、例えば、超硬材料等によって横断面略正三角形状に形成され、大端孔18に近接する頂部には断面鋭角状の刃部30が設けられている。また、前記刃部30と反対側の側面には、楔部材22のテーパ面28と摺接し下方側に向かって徐々に縮幅する案内面40が形成されている。前記一対の押圧部材34a、34bにそれぞれ形成された前記案内面40の傾斜角度は、それぞれ同一に設定されている。
【0027】
なお、前記楔部材22のテーパ面28と対向する第1固定治具20a及び第2固定治具20bの内壁面には、傾斜面ではなく鉛直面に形成されていると共に、前記楔部材22のテーパ面28と第1固定治具20a及び第2固定治具20bの鉛直面との間には、該楔部材22の上下方向に沿った変位を可能とする所定の間隙41が形成されている。
【0028】
固定機構16は、コンロッド12の略中央部を固定する第1固定部材42aと、押圧力を付与するボルト44aによってコンロッド12の大端部46を固定する第2固定部材44bが設けられる。
【0029】
コンロッド12は、図10Aに示されるように、一端部側に幅広に形成される大端部46と、他端部側に幅狭に形成される小端部48とからなり、前記大端部46には図示しないクランクシャフトのジャーナルが挿通される大端孔18が形成されている。
【0030】
荷重機構26は、予備荷重付与機構50を含み、この予備荷重付与機構50には、楔部材22に付与する予備荷重を発生させる第1油圧シリンダ56が設けられている。この第1油圧シリンダ56は、連結ピン58等から構成される連結機構60を介して楔部材22の端部に連結されるピストンロッド62と、ピストンロッド62に形成された環状の段差面62aに係合する段部64aを有するピストン64を備えている。
【0031】
ピストンロッド62は、ピストン64の中央部を貫通し、ピストン64に対して摺動自在に設けられている。従って、第1油圧シリンダ56のピストン64は、ピストンロッド62に対して楔部材22の圧入方向に向かって一体的に変位すると共に、楔部材22の圧入方向とは反対方向に離間可能に設けられている。換言すると、第1油圧シリンダ56は、ピストン64を介して、ピストンロッド62の一方向(鉛直下方向)にのみ前記予備荷重を付与することが可能である。
【0032】
第1油圧シリンダ56及び荷重機構26には、ピストンロッド62を介して楔部材22に連結される共通の荷重伝達用のシャフト66が備えられている。このシャフト66は、前記段差面62a側において、ピストンロッド62と一体的に形成されている。また、シャフト66の他端側には、フランジ部66aが設けられており、このフランジ部66aは、シャフト66の軸方向に位置調節可能である。
【0033】
荷重機構26には、おもり57を載置すると共に、前記フランジ部66aに上方側から当接することにより、シャフト66を介して楔部材22に付与する衝撃荷重を発生させる昇降テーブル68と、前記昇降テーブル68を鉛直上下方向に沿って摺動自在に支持する一組のガイド部材70a、70bと、前記落下する昇降テーブル68の衝撃を緩和する一組の緩衝部材72a、72bとが備えられている。
【0034】
なお、荷重機構26には、前記昇降テーブル68の落下ストロークの下限位置が調節可能な図示しないストッパ機構と、落下した昇降テーブル68を上方側の落下待機位置に復帰させる図示しない昇降テーブル復帰機構と、下方側に向かって変位した楔部材22を初期位置に復帰させる図示しない復帰用シリンダとが備えられている。
【0035】
本発明の実施の形態に係るコネクティングロッド用クラッキング溝の加工方法を実施する加工装置10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作並びに作用効果について説明する。
【0036】
先ず、図1に示されるように、クラッキング溝32が形成されるコンロッド12が、載置台14の上面に第1固定部材42a及び第2固定部材42bを介して固定される。
【0037】
続いて、予備荷重付与機構50の第1油圧シリンダ56を駆動させることによりピストン64が下方側に向かって付勢され、このピストン64の下降動作に伴って、段部64aに係合されている段差面62aを介してピストンロッド62が同様に下方に作動される(図7参照)。これと同時に、ピストンロッド62に連結された楔部材22が下方に付勢され、前記楔部材22に予備荷重が付与される。
【0038】
この場合、楔部材22に付与される予備荷重は、一対の押圧部材34a、34bの刃部30がスリット36に臨入し、前記刃部30が前記スリット36から突出しない程度に設定されている。
【0039】
このようにしてコンロッド12の大端部46の大端孔18に対して予備荷重が付与された状態において、昇降テーブル68に対するストッパが解除された後、おもり57と共に昇降テーブル68が、ガイド部材70a、70bの案内作用下に落下する(図8参照)。従って、落下した前記昇降テーブル68がシャフト66のフランジ部66aに当接することによって、シャフト66が下方側に向かって付勢されて楔部材22に対し鉛直下方向に向かって衝撃荷重が付与される。
【0040】
楔部材22に対して所定の衝撃荷重が付与されることにより、前記楔部材22が一対の押圧部材34a、34bの間に圧入され、前記楔部材22のテーパ面28と一対の押圧部材34a、34bの案内面40との摺動作用下に、前記一対の押圧部材34a、34bが水平方向に沿って且つ相互に離間する反対方向に向かってスライドする(図6参照)。
【0041】
前記一対の押圧部材34a、34bが相互に離間する方向にスライドすることにより、前記押圧部材34a、34bの刃部30がスリット36に臨入すると共に、前記スリット36から半径外方向に向かって所定長だけ突出する(図4参照)。その際、前記スリット36から突出した押圧部材34a、34bの刃部30によって、コンロッド12の大端孔18の相互に対向する内周面に、略均一の深さを有する一対のクラッキング溝32が同時に形成される。この一対のクラッキング溝32は、コンロッド12の軸線と略直交する方向に相互に対向して形成され、その溝形状は押圧部材34a、34bの刃部30によって断面略v字状に形成される。
【0042】
クラッキング溝32が形成された後、図示しない復帰用シリンダを介して楔部材22が上昇して初期位置に復帰すると共に、図示しない復帰機構の作用下に一対の押圧部材34a、34bが相互に接近して刃部30がスリット36から離間した初期位置に復帰する。
【0043】
その結果、載置台の上面に固定されたコンロッド12の大端孔18の内周面に、相互に対向する一対のクラッキング溝32が、コンロッド12の軸線に対してその位置及び深さ等が略均一の対称形状に形成される。
【0044】
以上のように、本実施の形態では、荷重機構26によって楔部材22に対して所定の衝撃荷重を付与して該楔部材22を降下させることにより一対の押圧部材34a、34bが相互に離間する半径外方向に向かって同時に変位し、前記押圧部材34a、34bの刃部30が大端孔18の内周面を押圧することにより、直線状に延在する溝からなる最適な破断促進用の断面v字状の一対のクラッキング溝32を押圧成形することができる。なお、前記押圧成形された前記一対のクラッキング溝32は、それぞれ、加工硬化される。
【0045】
このため、後工程において、例えば、一対のクラッキング溝32が形成されたコンロッド12の大端孔18に図示しない破断分離用の治具等を挿入し、前記大端孔18の内周面に半径外方向に向かって加圧することにより、前記コンロッド12を一対のクラッキング溝32をその破断起点として確実にコントロールすることができると共に、ロッド部74aとキャップ部74bとに確実且つ高精度に破断して分離することができる(図10B参照)。その際、従来より小さな加圧力で前記破断分離用の治具によってコンロッド12をクラッキング溝32から確実且つ高精度に分離させることが可能となる。
【0046】
またさらに、従来のブローチ加工やレーザ加工によって大端孔18に溝を形成する場合と比較して、設備コストを削減することができる。
【0047】
本実施の形態によれば、最適な破断促進用のクラッキング溝32を形成することにより、キャップ部74bとロッド部74aとに破断分割する際の破断荷重を小さくすることができ、しかも最適な部位から最適な破断面を有する破断を行うことができる。従って、後工程において破断分割されたキャップ部74bとロッド部74aとの仮再結合を確実に遂行することができる。
【0048】
また、本実施の形態では、安価な加工設備によってクラッキング溝32を成形することができ、溝形状もレーザ加工と略同レベルに加工することができる。この結果、本実施の形態では、クラッキング溝32の溝形状の制御を精度良く遂行することができ、容易に最適な破断促進用の溝形状を得ることができる。
【0049】
さらに、本実施の形態では、重量物の落下による衝撃荷重に基づいてコンロッド12の大端孔18に対してクラッキング溝32を押圧成形するように説明しているが、これに限定されるものではなく、例えば、図9の他の実施の形態に係る加工装置10aに示されるように、単一のアクチュエータとして機能する油圧シリンダ80の駆動力のみによって楔部材22を下方側に向かって引張し該楔部材22に対して衝撃荷重を付与するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の実施の形態に係るコネクティングロッド用クラッキング溝の加工方法を実施する加工装置の一部省略斜視図である。
【図2】図1に示す加工装置の部分平面図である。
【図3】図1の加工装置を構成する溝加工部を示す一部破断斜視図である。
【図4】押圧部材の刃部がスライドしてコネクティングロッドの大端孔の内周面が押圧された状態を示す一部省略拡大平面図である。
【図5】荷重機構により楔部材に対して衝撃荷重が付与される前の状態を示す縦断面図である。
【図6】荷重機構により楔部材に対して衝撃荷重が付与され、一対の押圧部材が互いに反対方向にスライドした状態を示す縦断面図である。
【図7】図1の加工装置を構成する荷重機構の縦断面構造図である。
【図8】図7に示す状態から昇降テーブルが落下して楔部材に対して衝撃荷重が付与された状態を示す縦断面構造図である。
【図9】本発明の他の実施の形態に係る加工装置の縦断面構造図である。
【図10】図10Aは、コネクティングロッドの大端部の大端孔の内周面の相互に対向する部位に一対のクラッキング溝が形成された状態を示し、図10Bは、前記大端部がキャップ部とロッド部とに破断分割された状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0051】
10、10a…加工装置 12…コネクティングロッド
14…載置台 16…固定機構
18…大端孔 20a、20b…固定治具
22…楔部材 24…溝加工部
26…荷重機構 28…テーパ面
30…刃部 32…クラッキング溝
34a、34b…押圧部材 36…スリット
38…クリアランス 40…案内面
50…予備荷重付与機構 56、80…油圧シリンダ
57…おもり 66…シャフト
68…昇降テーブル
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成18年7月12日(2006.7.12)
【代理人】 【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏

【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸

【識別番号】100142066
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿島 直樹

【識別番号】100126468
【弁理士】
【氏名又は名称】田久保 泰夫

【識別番号】100077805
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 辰彦


【公開番号】 特開2008−18488(P2008−18488A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−191370(P2006−191370)