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【発明の名称】 切断工具
【発明者】 【氏名】西尾 一久

【要約】 【課題】被加工板の形状に関らず安定した切断加工を実現することが出来る改良された構造の切断工具を提供すること。

【構成】可動刃88の切断方向後方側に位置して支持部52から駆動ロッド84の突出方向に延び出すガイドアーム110が設けられており、ガイドアーム110の突出先端部分132が切断方向前方に向かって延びて可動刃88の外方に回り込んで位置せしめられていると共に、ガイドアーム110の突出先端部分132から可動刃88に向かって内方に突出して可動刃88の刃先部98を有する先端部分92の両側に位置する左右一対のガード部材144,144が、ガイドアーム110に対して可動刃88の駆動方向と切断方向との何れにも直交する揺動軸回りで揺動可能に取り付けられており、且つガード部材144,144を揺動軸回りで可動刃88の先端部分92に向かって突出する初期位置に弾性的に位置決めする付勢手段164を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動機構を内蔵した本体部分と、
該本体部分から突出せしめられた長手状の支持部と、
該支持部の突出先端部分に固定された左右一対の固定刃と、
前記本体部分から前記支持部に沿って突出して配設されて前記駆動機構により軸方向に往復駆動せしめられる駆動ロッドと、
該駆動ロッドの突出先端部分に取り付けられて、刃先部を有する先端部分が前記左右一対の固定刃よりも駆動ロッドの突出方向で外方に位置せしめられると共に、該刃先部を有する先端部分が切断方向前方に向かって略L字状に屈曲せしめられて、該刃先部が該左右一対の固定刃の対向面間に外方から入り込み可能とされた可動刃とを、
備え、所定の被加工板に対して該本体部分側から該左右一対の固定刃を重ねて該可動刃を該被加工板の反対側から該本体部分側に繰り返し引き上げるように駆動せしめて、該可動刃を該左右一対の固定刃の対向面間に外方から出入作動させることにより、該左右一対の固定刃と該可動刃の間で該被加工板を切断するようにされた切断工具において、
前記可動刃の切断方向後方側に位置して前記支持部から前記駆動ロッドの突出方向に延び出すガイドアームが設けられており、該ガイドアームの突出先端部分が切断方向前方に向かって延びて該可動刃の前記刃先部を有する先端部分の外方に回り込んで位置せしめられていると共に、該ガイドアームの突出先端部分から該可動刃の該刃先部を有する先端部分に向かって内方に突出して該可動刃の該刃先部の両側に位置する左右一対のガード部材が、該ガイドアームに対して該可動刃の駆動方向と切断方向との何れにも直交する揺動軸回りで揺動可能に取り付けられており、且つ該ガード部材を該揺動軸回りで該可動刃の該刃先部を有する先端部分に向かって突出する初期位置に弾性的に位置決めする付勢手段を設けたことを特徴とする切断工具。
【請求項2】
前記左右一対のガード部材が互いに独立して揺動可能とされている請求項1に記載の切断工具。
【請求項3】
前記ガイドアームから突出する前記左右一対のガード部材の突出先端部分における切断方向前方の端縁部が、該左右一対のガード部材の突出方向に対して傾斜した傾斜面とされている請求項1又は2に記載の切断工具。
【請求項4】
前記左右一対のガード部材が、上死点に位置する前記可動刃の少なくとも一部を挟み込むようになっている請求項1乃至3の何れか一項に記載の切断工具。
【請求項5】
前記左右一対のガード部材が初期位置に位置せしめられた状態において、該左右一対のガード部材が、下死点に位置する前記可動刃の前記刃先部の少なくとも一部を挟み、且つ前記固定刃までは至らないようになっている請求項1乃至4の何れか一項に記載の切断工具。
【請求項6】
前記左右一対のガード部材と前記ガイドアームを連結するバネ部材によって前記付勢手段が構成されている請求項1乃至5の何れか一項に記載の切断工具。
【請求項7】
前記左右一対のガード部材に形成された係止部と前記ガイドアームに形成された係合部との係止によって該左右一対のガード部材の揺動軸回りでの揺動が制限されるようになっている請求項1乃至6の何れか一項に記載の切断工具。
【請求項8】
前記左右一対の固定刃の刃先部が、切断方向前後に直線的に延びる直線部と該直線部から切断方向前方に延び出して次第に上方に向かって湾曲して立ち上がる湾曲部とを含んで構成されている請求項1乃至7の何れか一項に記載の切断工具。
【請求項9】
前記固定刃の前記湾曲部が側面視で円弧形状とされていると共に、前記支持部の突出先端部分における切断方向の前後両側の端部と前記固定刃の前記刃先部の切断方向の後側の端部が、何れも、側面視において円弧形状とされた該固定刃の該湾曲部の延長線で特定される円の中に位置せしめられている請求項8に記載の切断工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、トタンやブリキ等の鋼板を含む金属板等の被加工板に切断加工を施す切断工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、屋根瓦等に採用されるトタン等の薄板鋼板を含む金属板等の被加工板に切断加工を施すための切断工具としては、例えば、金切り鋏やカッター、ニブリングマシン(所謂、ニブラ)等が知られており、本出願人は特許文献1(特開2004−230544号公報)において、ニブリング運動式の切断工具を提案している。即ち、特許文献1に記載の切断工具では、本体部分に固設される支持部の突出先端部分に設けられる一対の固定刃と、本体部分から支持部に沿って延び出して軸方向に往復駆動せしめられる駆動ロッドに設けられる可動刃を、駆動ロッドの駆動方向で刃先が互いに対向するように配置して、一対の固定刃の対向面間への可動刃の入り込みにより、それら一対の固定刃と可動刃の間で被加工板を切断加工するようになっている。
【0003】
ところで、このような特許文献1に記載の切断工具において、例えば図1〜16に示されているような構造の切断工具では、被加工板が特別に支持されることなく固定刃と可動刃の間に差し入れられている。このような構造の切断工具では、被加工板が予め固定的に支持されている場合等に剪断力を安定して被加工板に及ぼして被加工板の切断を実現することが出来る一方、被加工板が他部材や固定器具によって予め固定的に支持されていない場合等には、可動刃の駆動変位に応じて被加工板が上下動を生じて、安定した切断を実現することが困難となるおそれがあった。
【0004】
そこで、特許文献1の図17〜20には、下方から被加工板の裏面(下面)に当接することによって被加工板の下方への変位量を制限する受け板プレートを固定的に設けた切断工具が提案されている。このような構造の切断工具を採用することにより、被加工板の上下動による切断加工の不安定化を低減乃至は回避することが出来て、より安定した切断を実現することが可能となる。
【0005】
しかしながら、特許文献1の図17〜20に示されているような受け板プレートを有する構造の切断工具では、被加工板の裏面から僅かに離隔するように受け板プレートを配置することによって、平坦な被加工板や一般的なトタン等のように小さな或いは緩やかな段差や凹凸等を有する被加工板を有利に切断することが出来る一方、被加工板が大きく急激な段差や凹凸等を有する場合には、かかる段差や突起の形成位置において被加工板が受け板プレートと固定刃の間で引っ掛かかるおそれがあり、被加工板の断面形状等によっては切断が困難な場合があった。
【0006】
また、受け板プレートを被加工板から充分に離隔せしめることによって、大きな段差や凹凸等を有する被加工板が受け板プレートと固定刃の間で引っ掛かるのを回避しようとすると、受け板プレートによる被加工板の上下動の抑制効果を有効に得ることが難しくなるおそれがあった。
【0007】
【特許文献1】特開2004−230544号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、被加工板の形状に関らず安定した切断加工を実現することが出来る改良された構造の切断工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意な組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載されたもの、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
【0010】
すなわち、本発明が特徴とするところは、駆動機構を内蔵した本体部分と、該本体部分から突出せしめられた長手状の支持部と、該支持部の突出先端部分に固定された左右一対の固定刃と、前記本体部分から前記支持部に沿って突出して配設されて前記駆動機構により軸方向に往復駆動せしめられる駆動ロッドと、該駆動ロッドの突出先端部分に取り付けられて、刃先部を有する先端部分が前記左右一対の固定刃よりも駆動ロッドの突出方向で外方に位置せしめられると共に、該刃先部を有する先端部分が切断方向前方に向かって略L字状に屈曲せしめられて、該刃先部が該左右一対の固定刃の対向面間に外方から入り込み可能とされた可動刃とを、備え、所定の被加工板に対して該本体部分側から該左右一対の固定刃を重ねて該可動刃を該被加工板の反対側から該本体部分側に繰り返し引き上げるように駆動せしめて、該可動刃を該左右一対の固定刃の対向面間に外方から出入作動させることにより、該左右一対の固定刃と該可動刃の間で該被加工板を切断するようにされた切断工具において、前記可動刃の切断方向後方側に位置して前記支持部から前記駆動ロッドの突出方向に延び出すガイドアームが設けられており、該ガイドアームの突出先端部分が切断方向前方に向かって延びて該可動刃の前記刃先部を有する先端部分の外方に回り込んで位置せしめられていると共に、該ガイドアームの突出先端部分から該可動刃の該刃先部を有する先端部分に向かって内方に突出して該可動刃の該刃先部の両側に位置する左右一対のガード部材が、該ガイドアームに対して該可動刃の駆動方向と切断方向との何れにも直交する揺動軸回りで揺動可能に取り付けられており、且つ該ガード部材を該揺動軸回りで該可動刃の該刃先部を有する先端部分に向かって突出する初期位置に弾性的に位置決めする付勢手段を設けたことを特徴とする。
【0011】
このような本発明に従う構造とされた切断工具においては、ガイドアームの突出先端部分から可動刃に向かって突出するように左右一対のガード部材が設けられている。これにより、被加工板の切断に際して、可動刃の駆動変位に伴って被加工板が上下に揺動せしめられるのを一対のガード部材の被加工板に対する当接によって抑えることが出来るのであり、その結果、可動刃と固定刃により被加工板をスムーズに切断することが可能となる。
【0012】
しかも、一対のガード部材が、ガイドアームに対して可動刃の駆動方向と切断方向との何れにも直交する揺動軸回りで揺動可能に取り付けられていることにより、ガード部材が切断方向前方側から押されると、ガード部材が切断方向の後方側に逃げるように揺動せしめられるようになっている。これにより、被加工板が段差や凹凸等の異形部を有しており、切断方向に向かって被加工板の断面形状が変化している場合にも、ガード部材の揺動によって固定刃とガード部材の対向間距離が変化することにより、かかる段差や凹凸のガード部材と固定刃の対向間での引っ掛かりを回避して、スムーズな切断加工を有利に実現することが出来る。
【0013】
また、被加工板が押し付けられてガード部材が揺動して逃げた状態において、ガード部材は、可動刃の刃先部を有する先端部分に向かって内方に突出する初期位置に向かって揺動方向で付勢されている。そして、この付勢力が被加工板に作用することにより、ガード部材が揺動して逃げた状態下においても、被加工板がガード部材によって安定して保持されて、ガード部材による被加工板のばたつき防止効果が有効に維持される。
【0014】
また、本発明においては、好適には、前記左右一対のガード部材が互いに独立して揺動可能とされる。これによれば、被加工板において各ガード部材が当接する部分の形状が互いに異なっている場合にも、各ガード部材が当接する部分の形状に応じて各別に揺動することにより各ガード部材の被加工板に対する当接状態を安定して確保出来て、各ガード部材による被加工板の上下動抑制効果をより有利に得ることが出来る。
【0015】
また、本発明においては、前記ガイドアームから突出する前記左右一対のガード部材の突出先端部分における切断方向前方の端縁部が、該左右一対のガード部材の突出方向に対して傾斜した傾斜面とされていることが望ましい。即ち、一対のガード部材の突出先端部分における前方端縁部が傾斜面とされていることにより、段差や凹凸等を有する被加工板が固定刃とガード部材の対向間に差し入れられて、かかる段差や凹凸の形成箇所において被加工板がガード部材の突出先端部分に当接せしめられると、被加工板はガード部材の突出先端部分に形成された傾斜面に当接せしめられることとなる。これにより、ガード部材の被加工板へのばたつき防止保持力を効果的に確保しつつ、ガード部材を揺動変位せしめて、切断加工のより一層の安定化を図ることが出来る。
【0016】
また、本発明においては、好適には、前記左右一対のガード部材が、上死点に位置する前記可動刃の少なくとも一部を挟み込むようになっている。このような構造を採用することにより、可動刃が左右一対のガード部材によって駆動軸方向にスムーズに案内されて、可動刃の作動安定性の向上を図ることが可能となる。
【0017】
また、本発明においては、前記左右一対のガード部材が初期位置に位置せしめられた状態において、該左右一対のガード部材が、下死点に位置する前記可動刃の前記刃先部の少なくとも一部を挟み、且つ前記固定刃までは至らないようになっていることが望ましい。これによれば、下死点に位置する可動刃の刃先部を左右一対のガード部材によって保護して、刃先部の破損等を防ぐことが出来る。
【0018】
更に、前述の上死点に位置する可動刃の少なくとも一部が左右一対のガード部材に挟み込まれている構造と、下死点に位置する可動刃の刃先の少なくとも一部が左右一対のガード部材に挟みこまれていると共に、ガード部材が固定刃までは至らないようにされている構造を、組み合わせて採用することにより、可動刃の駆動方向での位置やガード部材の揺動位置に関らず、可動刃を一対のガード部材の対向面間に位置せしめて、可動刃の作動安定性をより有利に得ることも可能である。
【0019】
また、本発明においては、前記左右一対のガード部材と前記ガイドアームを連結するバネ部材によって前記付勢手段が構成されていることが望ましい。このように付勢手段をガード部材とガイドアームを連結するバネ部材で実現することにより、優れた耐久性をもって安定した付勢力を得ることが出来る。なお、バネ部材としては特に限定されるものではないが、コイルスプリング等の金属バネが好適に採用される。これにより、一層優れた耐久性を実現することが可能となる。
【0020】
また、本発明においては、前記左右一対のガード部材に形成された係止部と前記ガイドアームに形成された係合部との係止によって該左右一対のガード部材の揺動軸回りでの揺動が制限されるようになっている構造が好適に採用される。これによれば、一対のガード部材が揺動可能な範囲を設定することにより、一対の固定刃と一対のガード部材の対向間離隔距離を所定の範囲に設定して、一対のガード部材による被加工板の上下動抑制効果を有効に得ることが出来る。更に、一対のガード部材の揺動可能範囲を設定することにより、一対のガード部材と可動刃との相対的な位置を所定の範囲に設定することが出来て、一対のガード部材による可動刃の案内効果や保護機能を有効に得ることも可能となる。
【0021】
また、本発明においては、前記左右一対の固定刃の刃先部が、切断方向前後に直線的に延びる直線部と該直線部から切断方向前方に延び出して次第に上方に向かって湾曲して立ち上がる湾曲部とを含んで構成されていることが望ましい。
【0022】
これによれば、固定刃の刃先部が切断方向前後に延びる直線部を含んで構成されていることにより、被加工板の平坦な部分を切断するに際して、固定刃の直線部が被加工板に対して切断方向前後の広い範囲に亘って当接せしめられる。これにより、平坦な部分における被加工板の安定した切断を実現出来る。また、固定刃の刃先部が直線部の前方に延び出す湾曲部を含んで構成されていることにより、被加工板の段差部分や屈曲部分等を切断するに際しても、スムーズな切断加工を実現出来る。即ち、湾曲部が直線部の切断方向前方に延び出して次第に上方に向かって湾曲して立ち上がる形状とされていることから、被加工板の段差部分や屈曲部分等に差しかかると、該段差部分や屈曲部分に対して湾曲部が当接せしめられる。そして、湾曲部を被加工板の表面に沿って摺動せしめることにより、切断工具を湾曲部の湾曲形状に沿って前後方向にスムーズに傾斜せしめて、被加工板の形状に応じて切断工具を容易に操作出来るようになっている。これにより、被加工板が段差部分や屈曲部分等を有する場合にも、固定刃の被加工板への引っ掛かり等を防いで、被加工板の形状に応じた切断を有利に実現することが出来る。なお、直線部と湾曲部は、その境界部分において屈曲することなく連続的且つ滑らかに形成されていることが望ましい。
【0023】
また、本発明においては、前記固定刃の前記湾曲部が側面視で円弧形状とされていると共に、前記支持部の突出先端部分における切断方向の前後両側の端部と前記固定刃の前記刃先部の切断方向の後側の端部が、何れも、側面視において円弧形状とされた該固定刃の該湾曲部の延長線で特定される円の中に位置せしめられていることが望ましい。
【0024】
すなわち、固定刃の湾曲部を側面視で円弧形状とすることにより、湾曲部の案内作用によって被加工板の形状に応じた切断工具の操作を行う場合に、側面視で円弧形状とされた湾曲部の延長線で特定される円の中心を回転中心として固定刃、延いては切断工具を容易に回転(傾斜)運動させることが出来る。それ故、湾曲部を側面視で円弧形状とすることによる一層の案内作用によって、被加工板の形状に応じた切断加工をより有利に実現出来る。
【0025】
また、湾曲部の案内作用によって切断工具を切断方向前後に傾斜せしめる場合に、支持部の突出先端及び固定刃の下端が被加工板に当接することによって切断工具の操作が妨げられるおそれがある。ここにおいて、固定刃の湾曲部が側面視において円弧形状とされていると共に、湾曲部の延長線によって特定される円の中に支持部の突出先端の前後両端縁部及び固定刃の下端の後端縁部が位置せしめられていることにより、切断工具が湾曲部の被加工板への当接による案内作用に基づいて切断方向前後に傾斜せしめられる場合にも、支持部の突出先端面の切断方向前後の端縁部と、固定刃の下端の後方側の端縁部が、被加工板に当接するのを何れも回避して、切断工具のスムーズな操作を実現出来る。それ故、被加工板の形状に応じた切断工具の操作による被加工板の安定した切断加工をより一層有利に実現出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。
【0027】
先ず、図1,図2には、本発明の一実施形態としての切断機10が示されている。この切断機10は、本体部分としての切断機本体12を有しており、切断機本体12を把持して、例えば薄板鋼板の表面に粉末状の天然石やセラミックス、樹脂、砂等をコーティングした瓦やその他の金属板、或いはFRP(繊維強化プラスチック)板等の被加工板を切断出来る、手持ち式の切断工具とされている。なお、以下の説明において、特に断りのない限り、上下方向とは図1中の上下方向を言い、前後方向とは図1中の左右方向を言うものとする。
【0028】
より詳細には、切断機本体12は、第一のハウジング14と第二のハウジング16を含んで構成されている。第一のハウジング14は、全体として略有底円筒形状を呈していると共に、開口部側の軸方向端部が略矩形筒形状とされている。また、第一のハウジング14には、中心軸回りに回転可能な出力軸18を備えた電動モータ20が内蔵されている。電動モータ20には、例えば公知の整流子式の交流モータ等が好適に採用される。また、第一のハウジング14には、電動モータ20に通電する給電用コード22が取り付けられていると共に、電動モータ20の通電状態をON/OFFする駆動スイッチ24が取り付けられている。なお、図面上に明示されていないが、出力軸18の回転速度を制御するコントローラを第一のハウジング14に内蔵すると共に、該コントローラに出力軸18の回転速度を制限する電気信号を入力する速度調節摘みを第一のハウジング14に設けることにより、電動モータ20の出力軸18の回転が制御されるようになっていても良い。また電動モータ20の出力軸18に、複数の歯車列からなる公知の減速機構等が設けられていても良く、それによって出力軸18の回転速度が減速機構等で減速されるようにしても良い。或いは、電動モータ20の電圧を変化させること等により、出力軸18の回転速度が減速されるようにすることも可能である。
【0029】
また、第二のハウジング16は、全体として略矩形箱体形状を呈しており、その側壁部26が第一のハウジング14の長手方向一方の端部に固着されている。
【0030】
さらに、図3に示されているように、第一のハウジング14に取り付けられた電動モータ20の出力軸18の先端部には、出力ピニオン28が固着されており、該ピニオン28が第二のハウジング16の側壁部26を貫通して、第二のハウジング16内に収容配置されている。また、第二のハウジング16の側壁部26には、出力ピニオン28の軸方向と平行に延びる歯車ピン30が立設されている。そして、大歯車32が、歯車ピン30に対して回転可能に支持されていると共に、出力ピニオン28に噛合されている。また、大歯車32における歯車ピン30と反対側の端部には、回転軸34が固設されている。この回転軸34は、大径の円柱形状を呈しており、大歯車32と同心軸上に位置せしめられて一体的に回転されるようになっている。また、回転軸34の外方端部には、円板状のクランクアーム36が同心軸上に一体形成されていると共に、該クランクアーム36の回転軸34と反対側の端部には、略円柱形状のクランクピン38が固着されている。このクランクピン38は、回転軸34およびクランクアーム36の中心軸に偏倚して、且つ平行に延びている。また、クランクピン38には、軸受40を介してコンロッド42が回転可能に軸装されている。コンロッド42は、略矩形ロッド状とされており、軸方向一方の端部に大径の環状筒部44が一体形成されて、環状筒部44が軸受40を介してクランクピン38に回転可能に支持されることにより該クランクピン38と連結している。これにより、コンロッド42は、クランクピン38の中心軸回りに回転可能とされている。また、コンロッド42の軸方向他方の端部には、回転軸34の中心軸と平行に延びるようにして貫通孔46が貫設されている。
【0031】
更にまた、第二のハウジング16の下壁部48には、連結金具49が組み付けられている。連結金具49は、全体として小径の略円筒形状を呈していると共に、軸方向中間部分には、軸直角方向外方に向かって広がるフランジ部50が一体形成された構造となっている。そして、フランジ部50よりも上方の筒状部分が下壁部48に形成される挿通孔51に挿し入れられて固定されている。なお、フランジ部50の下壁部48下面に対する当接によって、挿通孔51に対する連結金具49の挿込量が設定されて、連結金具49が下壁部48に対して軸方向で位置決めされるようになっている。
【0032】
また、連結金具49のフランジ部50よりも下方の筒状部分には、支持部としての支持筒金具52が組み付けられている。この支持筒金具52は、全体として長手状の厚肉円筒形状を呈している。また、支持筒金具52の軸方向上端部には、内周側に段差部53が形成されることによって内径寸法が拡径された嵌着部54が一体形成されている。そして、連結金具49のフランジ部50よりも下側の筒状部分が、嵌着部54に対して差し入れられて、ねじ止めされることにより、支持筒金具52が第二のハウジング16に対して固定的に組み付けられている。かかる第二のハウジング16への組付け状態下において、支持筒金具52は、第二のハウジング16から下方(第一のハウジング14の中心軸方向に対して略直交する方向であって、図1中の下方)に向かって直線的に延び出すように配設されている。
【0033】
また、支持筒金具52の軸方向下端部分には、突出先端部分としての一対の支持プレート56,56が一体形成されている。これら一対の支持プレート56,56は、支持筒金具52の軸直角方向一方向で互いに離隔して対向位置せしめられている。また、支持プレート56,56の対向方向外側面が支持筒金具52の突出方向に向かって薄肉となるように傾斜せしめられていると共に、一対の支持プレート56,56の対向方向内側面が互いに略平行とされて、所定距離を隔てて対向せしめられている。特に本実施形態では、支持プレート56,56の前方端部が支持筒金具52の周壁部と面一とされている一方、支持プレート56,56の後方端部が軸方向上方から下方に向かって前方に傾斜されている。更にまた、支持プレート56の突出先端部分における前後両端部が略円弧状に湾曲されている。
【0034】
また、支持筒金具52は、幅方向(図2中、左右)で対向位置せしめられる両側において、それぞれ、外周面が周方向所定幅で切り欠かれており、その一方の切欠部の略中央には、略矩形状の開口窓58が内外に貫通して形成されている。更に、支持筒金具52の後方側(図1中、左)には、長孔形状の挿通窓60が内外に貫通して形成されている。挿通窓60の軸方向一方の端部は、支持筒金具52の軸方向中間部分に位置せしめられていると共に、挿通窓60の軸方向他方の端部は、支持筒金具52の下端部を貫通して一対の支持プレート56,56の対向面間に接続されている。
【0035】
そして、支持筒金具52は、上端部に形成された嵌着部54が第二のハウジング16の下壁部48を貫通してボルト固定されることにより、第二のハウジング16、延いては切断機本体12に対して固定的に支持されている。また、本実施形態では、切断方向に対して直交する幅方向(図2中、左右)で一対の支持プレート56,56が対向して位置するように支持筒金具52が第二のハウジング16に固定されている。なお、支持筒金具52の切断機本体12への組付け状態は、特に限定されるものではなく、要求される切断機10の操作性や製作性等に応じて設定変更されるものであり、例えば第二のハウジング16の幅方向に直交する前後方向(図1中、右左)で、一対の支持プレート56,56が相互に対向位置せしめられるようにして組み付けることも可能である。
【0036】
また、一対の支持プレート56,56の対向面間には、一対の固定刃61,61が配設されている。固定刃61は、薄肉の略平板形状を有している。また、固定刃61の下端部分が切断方向前方に向かって延び出すように形成されており、図1に示されているように、固定刃61の軸方向下端部分における前端縁部が一対の支持プレート56,56の前方側の端部よりも前方に突出せしめられている。
【0037】
さらに、図4に示されているように、固定刃61の下端部には直線部としての中央直線部62が形成されている。この中央直線部62は、固定刃61の下端縁部の前後方向中央部分に形成されており、支持筒金具52の軸方向に略直交する方向で切断方向前後に延びている。また、中央直線部62の前後方向両側には、湾曲部としての前方湾曲部63と後方湾曲部64が形成されている。
【0038】
前方湾曲部63は、中央直線部62よりも切断方向前方に位置しており、中央直線部62の前縁に連続的に接続されている。また、前方湾曲部63は、切断方向前方側が次第に上方に向かって立ち上がるように湾曲せしめられており、特に本実施形態において、前方湾曲部63は、側面視で図5において二点鎖線で示された円の円周上に位置する円弧形状を呈している。換言すれば、側面視において円弧形状とされた前方湾曲部63の延長線で特定される円が、図5において二点鎖線で示されている。なお、前方湾曲部63の延長線で特定される円の中心は、切断方向前後方向で、固定刃61の前端と後端の間に位置せしめられている。
【0039】
また、後方湾曲部64は、中央直線部62よりも切断方向後方に位置しており、中央直線部62の後縁に連続的に接続されている。また、後方湾曲部64は、側面視において切断方向後方側に向かって次第に上方に立ち上がるように湾曲せしめられており、特に本実施形態では、前方湾曲部63の延長線で特定される円とは異なる円の周上に位置する円弧形状を呈している。なお、本実施形態では、前方湾曲部63が後方湾曲部64よりも大径の円弧形状とされている。また、これら中央直線部62と前方湾曲部63と後方湾曲部64が連続的に形成されることにより、固定刃61の下端部(刃先部)は、前後方向中央部分が前後方向に所定の長さで延びる直線形状とされていると共に、前後方向両端部分がそれぞれ前後方向外方に向かって次第に上方に立ち上がる円弧状の湾曲形状とされている。
【0040】
また、固定刃61には、内周面に雌ねじが刻設された一対のねじ孔65,65が、上下方向に離隔して厚さ方向で貫通するように形成されている。なお、図4に示されているように、本実施形態では、前方湾曲部63の延長線で特定される円の中心が、固定刃61の後述する刃先部66側に位置するねじ孔65の中心軸上に位置せしめられている。
【0041】
また、図4に示されているように、固定刃61の軸方向下端には、固定刃61側の刃先部66が設けられている。刃先部66は、一対の固定刃61,61の内側の対向面側に一体形成されており、それら一対の固定刃61,61の対向方向で内側に僅かに突出せしめられている。また、刃先部66は、略矩形断面で固定刃61の下端部と略平行に延びており、全体に亘って鋭利に研磨されている。また、刃先部66の切断方向後方側の端部には、固定刃61の後方端部に沿って上方に向かって延びる動刃ガイド部68が一体形成されている。この動刃ガイド部68は、一対の固定刃61,61の対向面間に刃先部66と略同一の突出量で突出して形成されている。更に、本実施形態では、刃先部66が固着された固定刃61の下端において切断方向前後の各端部が、前後方向両端側に向かって次第に上方に立ち上がるように略円弧状に湾曲している。
【0042】
また、図4に示されているように、固定刃61の上方には、ガイドプレート69が配設されている。ガイドプレート69は、固定刃61と略同じ厚さか僅かに薄肉とされた略矩形平板形状を呈しており、全体に亘って焼入れされている。また、ガイドプレート69の前方側上端部には、組み付け板70が設けられている。この組み付け板70は、略平面視台形形状を呈しており、ガイドプレート69の内周面(装着状態における対向面)から刃先部66の突出高さよりも遙かに大きな高さで内方に突出するようにガイドプレート69と一体形成されている。なお、本実施形態における組み付け板70は、軸方向にストレートに延びる前方端縁部が後方端縁部に比して軸方向寸法が小さくされており、組み付け板70の中間の一部よりも下側部分が軸方向上方に向かってガイドプレート69の前方端部側に傾斜した形状とされている。
【0043】
また、ガイドプレート69の上端部付近には、ガイドプレート69および組み付け板70を貫通するねじ孔72が設けられている。なお、本実施形態におけるねじ孔72は、内周面に雌ねじが刻設されている。
【0044】
また、ガイドプレート69の切断方向後端部には、ガイド部74が固定されている。ガイド部74は、固定刃61およびガイドプレート69よりも厚肉とされた長手形状を呈しており、上下方向に直線的に延びている。また、ガイド部74の上端部前面にガイドプレート69が固着されており、ガイド部74が、ガイドプレート69の後端側においてガイドプレート69よりも下方に突出せしめられている。また、ガイドプレート69は、厚さ方向一方の側に偏倚してガイド部74に固着されるようになっており、一対のガイドプレート69,69の装着状態下において、ガイド部74,74がガイドプレート69,69よりも対向方向内方側に突出するようになっている。これにより、ガイドプレート69の切断方向後方側の端部には、組み付け板70とガイド部74との間を上下方向に延びる逃し溝76が形成されており、切断時に被加工板から天然石や砂等の粉塵が剥離する場合にも、それらの粉塵等が逃し溝76によって案内されて、切断箇所に挟まる等することなく外部に排出されるようになっている。また、ガイドプレート69に固定されるガイド部74によって、固定刃61のガイドプレート69に対する前後方向での位置決めが容易になされるようになっている。即ち、ガイド部74の下部前端面に対して固定刃61の後面を当接せしめることにより、固定刃61がガイドプレート69に対して前後方向の所定位置に位置決めされるようになっている。これにより、固定刃61の交換時等に容易に位置決めして組み付けることが出来るようになっている。
【0045】
このような固定刃61およびガイドプレート69は、それぞれ左右一対が対向して支持筒金具52の突出先端に固定された一対の支持プレート56,56の対向面間に組み付けられる。
【0046】
より詳細には、先ず、一対のガイドプレート69,69に固着された組み付け板70,70を重ね合わせることにより、一対のガイドプレート69,69を左右方向で所定距離を隔てて対向位置せしめると共に、それら位置決めされた一対のガイドプレート69,69を一対の支持プレート56,56の対向面間に挿し入れる。そして、ガイドプレート69,69に形成されたねじ孔72,72に対して支持プレート56,56を貫通する固定ボルト78がそれぞれ螺着されることにより、一対のガイドプレート69,69が支持筒金具52に組み付けられる。なお、ねじ孔72,72に対して固定ボルト78,78が締め付けられることにより、ガイドプレート69,69が一対の支持プレート56,56の対向面側(図2中、左右方向外側)に引っ張られるようにして密着せしめられる。これにより、ガイドプレート69,69が支持プレート56,56に対して位置決め固定されるようになっている。
【0047】
次に、固定刃61の上面がガイドプレート69の下面に重ね合わされると共に、固定刃61の後面がガイド部74の前面に重ね合わされるように、左右一対の固定刃61,61が一対の支持プレート56,56の対向面間に位置合せされて挿し入れられる。そして、固定刃61,61に形成されるねじ孔65,65,65,65に対して、支持プレート56,56を貫通する固定ボルト80がそれぞれ螺着されることにより、一対の固定刃61,61が支持筒金具52の突出先端部分に組み付けられる。なお、固定刃61,61も、ガイドプレート69と同様に、ねじ孔65,65,65,65に対して固定ボルト80がそれぞれ締め付けられることにより、固定刃61,61が一対の支持プレート56,56の対向面側(図2中、左右方向外側)に引っ張られるようにして密着せしめられる。これにより、固定刃61,61が支持プレート56,56に対して位置決め固定されるようになっている。
【0048】
なお、このような一対の固定刃61,61およびガイドプレート69,69の組付け状態下において、一対の動刃ガイド部68,68およびガイド部74,74は、何れも、固定刃61,61およびガイドプレート69,69の対向面間距離よりも狭い離隔距離で離隔対向して配設されている。これにより、これら動刃ガイド部68,68とガイド部74,74の協働によって後述する可動刃88の両側面を案内保持して、上下方向への可動刃88の駆動変位を安定して実現出来るようになっている。特に本実施形態では、動刃ガイド部68,68とガイド部74,74の何れも焼入れされており、可動刃88の摺動による磨耗等を低減して、耐久性が有利に確保されている。更に、このような組付け下では、一対の固定刃61,61の刃先部66,66が、一対の支持プレート56,56の対向面間で互いに略平行に離隔して対向位置せしめられていると共に、支持プレート56,56の突出先端部よりも軸方向外方に突出している。また、各固定刃61,61の刃先部66,66は、支持筒金具52の軸直角方向、換言すれば水平方向に延びるように組み付けられている。
【0049】
また、図5に示されているように、固定刃61の支持プレート56への組付け状態において、側面視で円弧形状とされた固定刃61の前方湾曲部63の延長線で特定される円の内側に、支持プレート56の下端部の切断方向における前後両端縁部が位置せしめられている。更に、図5に示されているように、本実施形態において、固定刃61の下端における後端縁部は、支持プレート56の下端における後端縁部よりも切断方向で前方に位置せしめられており、前方湾曲部63の延長線で特定される円の内側に位置せしめられている。更にまた、本実施形態では、側面視で、支持プレート56の後端の延長線(図5中における三点鎖線)と固定刃61の中央直線部62の延長線(図5中における三点鎖線)の交点が、前方湾曲部63と同一円周上に位置せしめられている。なお、図5中では、側面視において前方湾曲部63の延長線で特定される円が二点鎖線によって示されていると共に、該円の中心が一点鎖線の交点によって示されている。また、側面視における支持プレート56の後端面の延長線と固定刃61の下端面(中央直線部62)の延長線がそれぞれ三点鎖線で示されている。
【0050】
また、一対の固定刃61,61が、組み付け板70,70を相互に重ね合わせることによって左右方向で位置決めされた一対のガイドプレート69,69と、左右方向で位置合わせされて組み付けられていることにより、一対の刃先部66,66が左右方向で互いに略平行に且つ所定距離だけ離隔して対向位置せしめられている。また、本実施形態では、一対の刃先部66,66が一対の固定刃61,61の対向面よりも対向方向内方に突出して位置せしめられていることにより、一対の固定刃61,61の対向面間距離が、両固定刃61,61における一対の刃先部66,66の対向面間距離よりも大きくされている。これにより、被加工板等の切断時に固定刃61,61の内面(対向面)が被加工板の加工屑に直接的に接触するのを回避して、加工屑のスムーズな排出を有利に実現出来る。
【0051】
このように固定刃61とガイドプレート69を分割して、それらが各別に支持筒金具52に組み付けられるようになっていることにより、ガイドプレート69を支持筒金具52に取り付けたまま固定刃61だけを着脱することが可能となっており、固定刃61の交換を速やかに行うことが出来る。また、固定刃61とガイドプレート69を何れも取り外すことによって、後述する可動刃88を容易に着脱することも可能となる。なお、固定刃61だけを取り外すことが出来ることから、固定刃61の刃先部66を研磨する場合にも研磨作業を容易に行うことも出来る。また、ガイドプレート69まで取り外すことにより、ガイドプレート69における後述する可動刃88の案内面等の研磨作業を容易に行うことも出来る。
【0052】
なお、特に本実施形態におけるガイドプレート69は、焼入れによって高い硬さを有する部材とされており、ガイドプレート69に形成されるねじ孔72に刻設された雌ねじも焼入れによって高い硬さで形成されている。それ故、ガイドプレート69の着脱を繰り返した場合にも、ねじ孔72の内周面に形成される雌ねじが破損するのを防ぐことが出来る。一方、本実施形態における固定刃61は、ねじ孔65,65の形成位置に焼入処理が施されていないが、固定刃61は本実施形態において基本的に消耗品であり、一回乃至は数回の着脱で新しい固定刃61に交換される。それ故、固定刃61のねじ孔65,65形成部分に焼入れを施さなくともねじ孔65,65に形成される雌ねじの耐久性を充分に確保することが出来る。勿論、固定刃61のねじ孔65,65が形成される部分を含んで焼入れ処理を施して、更なる耐久性の向上を図ることも可能である。
【0053】
また、支持筒金具52には、支持筒金具52内を軸方向に延びる挿通孔82が形成されている。挿通孔82の軸方向一方の端部が支持筒金具52の上端部に開口して、筒状とされた連結金具49の中央孔を通じて第二のハウジング16内に連通している一方、軸方向他方の端部が支持筒金具52の下端部に開口して、一対の支持プレート56,56の対向面間に通じている。そして、かかる挿通孔82に対して、駆動金具84が軸方向に往復移動可能に挿通されている。
【0054】
駆動金具84は、ロッド状とされており、その軸方向一方(図1中、上)の先端部分には、軸直角方向に延び、且つ両端が周壁部に開口する嵌着溝86が設けられている。この嵌着溝86には、第二のハウジング16内においてクランクピン38に連結したコンロッド42の下端部が遊挿されている。そして、クランクピン38、ひいては回転軸34の中心軸と平行に延びる連結ピン87が、コンロッド42の下端部を板厚方向に貫通して、嵌着溝86の幅方向両側に位置する駆動金具84の上端部に支持されることにより、コンロッド42が駆動金具84に回転可能に連結している。
【0055】
また、駆動金具84の軸方向他方(図1中、下)の端部には、図示しない取付片が一体形成されている。この取付片は、駆動金具84に比して幅方向で薄肉の略板形状とされており、軸方向の全体に亘って略一定の矩形断面形状乃至は円弧断面形状で延びていると共に、駆動金具84の厚さ方向一方(図2中、右)に偏倚している。また、取付片には、軸方向に離隔して図示しない一対のねじ孔が貫設されている。これらねじ孔は、支持筒金具52の開口窓58に面して配設されている。
【0056】
さらに、駆動金具84の図示しない取付片には、可動刃88が取り付けられている。かかる可動刃88は、図6に示されているように、長手状の略平板形状とされた基端板部90と、基端板部90の下端に一体形成された後述する刃先部98を有する先端部分としての先端板部92を有している。
【0057】
また、基端板部90の軸方向上部には、切断方向前後にそれぞれ切欠き部94a,94bが形成されている。また、基端板部90の上端面が、可動刃88の軸直角方向線に対して所定の傾斜方向(図6中、左斜め下の方向)で延びていると共に、切欠き部94a,94bの上端面が基端板部90の上端面と略平行な傾斜面とされている。また、基端板部90における切欠き部94aと切欠き部94bの前後方向での対向面間には、軸方向に離隔して一対の貫通孔96,96が貫設されている。更に、基端板部90の軸方向中間部分から下端部にかけて、板厚方向に直交する前後方向で後方(図6中、左)に位置する後方端部(面)が軸方向上方から下方に向かって前方端部(面)側に傾斜されている。
【0058】
また、基端板部90における軸方向下端部分には、図6に示されているように、切断方向前方(図6中、右)に向かって略L字状に屈曲せしめられた先端板部92が一体形成されている。
【0059】
本実施形態における先端板部92は、基端板部90の下端部と一体形成されて上下方向に延びる部分と、その下方に一体形成されて側面視で略逆三角形形状を呈する部分とを備えており、全体として略L字形状を呈している。また、先端板部92の下端(図6中、下端)部分は先細状とされて、下方に向かって延び出している。更に、先端板部92はその厚さ寸法が基端板部90の厚さ寸法と略同じとされている。また、図6に示されているように、側面視で略L字形状とされた先端板部92の軸方向(図6中の下方)に延びる部分の前端縁部から切断方向前方(図6中の右方)に向かって突出する部分の上端縁部に亘って、先端板部92の内周縁部を連続して延びるように可動刃88側の刃先部98が形成されている。この刃先部98は、先端板部92に形成された刃部であって、水平方向(図2中、左右)の両縁部が鋭利に研磨されている。なお、本実施形態では、可動刃88の刃先部98が、先端板部92等と一体形成されて砥石等で研磨されることにより構成されている。
【0060】
特に本実施形態では、先端板部92の刃先部98が、基端板部90の軸直角方向線(切断前後方向線)に対して、切断方向の前方(図6中、右)に行くに従って下方に傾斜して延びる傾斜刃とされている。このような傾斜した刃先部98を採用することにより、例えば鋼板等の薄板金属板や、それに砂等の粒子を付着させて表面装飾した化粧金属板などに対して良好な切断能力と切断効率を得ることが出来る。なお、本実施形態では、刃先部98の傾斜する方向が、基端板部90の軸直角方向線を挟んで基端板部90の上端面の傾斜する方向と略対称とされている。
【0061】
また、先端板部92の切断方向前方に向かって突出する前方側端部が、嘴状に先細形状とされていると共に、その先端部が、略円弧状に丸められて非先鋭形状とされている。
【0062】
更にまた、基端板部90の先端部分には、先端板部92を形成する部分の上方に近接位置して、その前方端部から切断方向前方に突出する形態をもって、突起部102が一体形成されている。この突起部102は、略三角の側面形状を有しており、頂点が上方に偏倚した湾曲形状とされている。また、突起部102の突出方向での頂点よりも下側の前方端面は、基端板部90の前方端部に沿って下方から上方に向かって送られてくる切断屑が引っ掛かってしまわないように、滑らかな面で前方端部(面)から立ち上がり、下方から順に送られてくる切断屑を該傾斜面に沿って前方に送り続けることが出来るようにされている。
【0063】
さらに、先端板部92は、その全体に亘って両側面が傾斜面とされており、先端板部92の厚さ寸法が、刃先部98から他方の端縁部(下方)に向かって次第に小さくなるように、断面形状が設計されている。
【0064】
そして、このような構造の先端板部92を備えた可動刃88は、基端板部90が駆動金具84の幅方向他方の側において図示しない取付片の端面に開口するように形成される同じく図示しない係合凹所に嵌め付けられて、基端板部90に形成される切欠き部94aと切欠き部94bが該係合凹所に係止され、更に、固定用ボルト104が各貫通孔96を貫通して該取付片の各ねじ孔に螺着されることにより、駆動金具84に対して固定されている。また、駆動金具84に取り付けられる可動刃88は、駆動金具84の駆動変位によって、一対の固定刃61,61の対向面間に対して支持筒金具52の軸方向外方(図1中、下方)側から入り込み可能に組み付けられている。なお、本実施形態において、基端板部90が駆動金具84に対して着脱可能に固定されるか否かは、当業者が容易に設計変更できる事項であり、何等限定されるものでない。
【0065】
特に上述の如き組み付け状態にあっては、一対の固定刃61,61における刃先部66,66が、駆動金具84の往復駆動方向(図1中、上下)に対して直交して切断方向前方(図1中、右)に向かって直線的に延びている。また、可動刃88の刃先部98が、駆動金具84の往復駆動方向に対して直交する方向、換言すれば固定刃61の刃先部66が延びる方向に対して、切断方向の前方に向かって次第に固定刃61の刃先部66から離隔する方向(図1中、下)に向かって所定の傾斜角度で傾斜して延びている。また、先端板部92における刃先部98の前方側端部が、支持プレート56の前方端部から切断方向前方に突出した一対の固定刃61,61における各刃先部66の前方側端部と切断方向で略同じ位置に位置決めされている。
【0066】
さらに、本実施形態では、駆動金具84が軸方向下方に駆動変位せしめられることにより、先端板部92が一対の固定刃61,61の対向面間と軸方向に離隔して対向位置せしめられる。さらに、駆動金具84が軸方向上方に駆動変位せしめられることにより、先端板部92が一対の固定刃61,61の対向面間に最も奥方まで入り込んだ場合にも、先端板部92の刃先部98における前方側の端部から後方に向かう所定の長さに亘る部分が、一対の固定刃61,61の対向面間に入り込まずに一対の固定刃61,61の各刃先部66に対して所定の離隔距離をもって軸方向下方に離隔位置せしめられている。要するに、本実施形態では、先端板部92の刃先部98と一対の固定刃61,61の各刃先部66の軸方向における対向面間距離が、切断方向の後方(図1中、左)から前方(図1中、右)に向かって次第に大きくなるようにされている。
【0067】
また、本実施形態の支持筒金具52には、支持部材106が組み付けられている。支持部材106は、図7,図8に示されているように、全体として長手状とされており、固定板金具108とガイドアームとしての支持ロッド110と受け板プレート144を含んで構成されている。
【0068】
固定板金具108は、軸方向に略一定の略矩形断面乃至は湾曲状断面で延びる平板形状を呈していると共に、その四隅には、挿通孔112がそれぞれ貫設されている。また、固定板金具108の中央部分には、支持ロッド110が固定されている。
【0069】
この支持ロッド110は、図9〜11に示されているように、全体として屈曲ロッド状とされており、その軸方向上端部分に形成される固定板金具108に固着される固着部114と、軸方向下側部分に形成されるロッド本体116を一体的に備えている。固着部114は、前後方向を板厚方向とされた平板形状を呈しており、固着部114が固定板金具108の中央部分に重ね合わされて固着されることにより、支持ロッド110が固定板金具108に固定されるようになっている。
【0070】
また、固着部114の下端縁部から軸方向下方に延び出すようにロッド本体116が形成されている。ロッド本体116は、軸方向上端部が上下方向に延びていると共に、軸方向下側部分が前方(図9中、右)に傾斜して延び出しており、全体として屈曲ロッド状を呈している。また、ロッド本体116には、軸方向上部に段差部118が形成されている。段差部118は、ロッド本体116の前面側において軸直角方向で広がるように形成されており、かかる段差部118を挟んで軸方向上側の部分が、軸方向下側の部分に比して前後方向で薄肉とされている。そして、段差部118よりも上側の薄肉とされた部分が、上下方向に略一定の矩形断面で延びる摺動部材固定部120とされている。また、ロッド本体116の軸方向中間部分には、幅方向両側で対向する位置に段差部122,122が形成されている。この段差部122,122は、ロッド本体116の前面に形成される段差部118よりも軸方向下方に形成されており、段差部122,122を挟んで軸方向下側が軸方向上側に比して幅方向で薄肉とされた板状突出部124とされている。要するに、ロッド本体116は、段差部118よりも上方が前後方向を板厚方向とする厚肉平板形状の摺動部材固定部120とされていると共に、段差部122,122よりも下方が左右方向(幅方向)を板厚方向とする平板形状の板状突出部124とされている。
【0071】
摺動部材固定部120は、ロッド本体116の上端部に形成されており、厚肉の板形状とされている。また、摺動部材固定部120の上端面から上方に向かって延び出すように固着部114が一体形成されている。更に、摺動部材固定部120には、前後方向で貫通するねじ孔126,126が軸方向で互いに離隔して形成されている。また、摺動部材固定部120には、摺動部材128が組み付けられている。
【0072】
摺動部材128は、略矩形ブロック形状を呈しており、摺動部材固定部120の前面に重ね合わされてねじ孔126,126に挿通されるボルト130によって摺動部材固定部120、延いては支持ロッド110に固定されている。また、摺動部材128は、その下端面を段差部118に重ね合わせることにより、軸方向での位置決めを容易に行えるようになっている。なお、摺動部材128は、後述する可動刃88の軸方向での揺動を有効に実現するために、摩擦抵抗が小さいことが望ましい。それ故、例えば、摺動部材の表面に潤滑油を塗布したり、低摩擦係数の材料を利用して摺動部材を形成したり、摺動部材の表面に低摩擦係数の材料によるコーティングを施す等、摩擦抵抗を低減する手段を採用することが望ましい。
【0073】
また、板状突出部124は、前述の如く幅方向(図10中、左右)を板厚方向とする平板形状を呈していると共に、前端面と後端面が何れも下方に向かって次第に前方に位置するように傾斜している。更に、板状突出部124の下端部には、支持ロッド110の突出先端部分としての先端支持部132が一体形成されている。先端支持部132は、略矩形平板形状とされており、板状突出部124の下端縁部においてL字状に屈曲せしめられて、前方に向かって突出するように形成されている。また、先端支持部132は、その下端面が軸直角方向前方(図9中、右)に向かって延び出していると共に、上端面が突出先端側に向かって次第に上方に位置するように傾斜している。これにより、先端支持部132は突出先端側である切断方向前方に向かって次第に上下方向で幅広となっている。
【0074】
また、先端支持部132の突出先端である前方端縁部には、前方ストッパ部134と後方ストッパ部136が上下方向に並んで形成されている。前方ストッパ部134は、先端支持部132の突出先端において、上下方向略中央よりも上側の部分に形成されており、略一定の矩形断面で幅方向両側に突出するように形成されている。また、後方ストッパ部136は、先端支持部132の突出先端において、上下方向略中央よりも下側の部分に形成されており、略一定の矩形断面形状で幅方向両側に突出するように形成されている。本実施形態においては、前方ストッパ部134が後方ストッパ部136よりも幅方向両側に大きく突出するように形成されている。
【0075】
また、先端支持部132の略中央部分には、幅方向に貫通する挿通孔138が形成されていると共に、挿通孔138の開口周縁部を取り囲むように円筒形状の取付筒部140が一体形成されて、幅方向両側に突出している。更に、先端支持部132には、挿通孔138の付近に連結凹所142が形成されている。連結凹所142は有底の小径円形穴であって、本実施形態では挿通孔138よりも下側後方(図9中、左下)に形成されている。
【0076】
また、先端支持部132には、幅方向両側にガード部材としての一対の受け板プレート144,144が取り付けられる。受け板プレート144は、図12,図13に示されているように、全体として長手板形状を呈しており、取付筒部140に外挿されることにより、取付筒部140の中心軸回りでの回転を許容された状態で先端支持部132に取り付けられている。また、受け板プレート144は、板形状の板状当接部146を有している。
【0077】
板状当接部146は、全体として長手板形状とされており、先端支持部132に取り付けられた後述する初期状態において、長手方向が上下方向とされて、先端支持部132から上方に向かって突出せしめられている。また、板状当接部146の先端支持部132からの突出部分は、その突出方向の中間部分の前端縁部において前方に突出する略くちばし状の突出部148を有している。この突出部148は、前方に向かって上下方向で狭幅となる先細状に突出している。これにより、板状当接部146の突出部分は、突出部148の上下面が何れも傾斜しており、突出部148の突出先端を挟んで上側の面が下方に向かって前方に傾斜する傾斜面としての傾斜当接面150とされていると共に、下側の面が下方に向かって後方に傾斜する傾斜後退面152とされている。なお、本実施形態では、突出部148の突出先端が、先鋭状ではなく湾曲状とされている。
【0078】
さらに、本実施形態においては、板状当接部146の突出先端部分の後面が後方に向かって次第に下方に位置するように湾曲する後方湾曲面154とされている。また、突出部148の傾斜当接面150と後方湾曲面154は、その境界部分において折れ線や折れ点を含まないように滑らかに接続されている。そして、突出部148と後方湾曲面154の協働によって、板状当接部146の突出先端部分が突出方向に向かって前方に屈曲せしめられたような形状となっており、本実施形態における板状当接部146が全体として屈曲プレート形状を呈している。また、本実施形態では、傾斜当接面150と後方湾曲面154によって板状当接部146の突出先端(上方端縁部)が上方に向かって先細形状とされていると共に、該突出先端が先鋭状ではなく湾曲状とされている。
【0079】
また、板状当接部146の下端後方部分には、係止片156が一体形成されている。係止片156は板状当接部146に比して薄肉とされた平板形状を呈しており、板状当接部146の下端後方部分から下方に向かって突出している。また、本実施形態では、係止片156の前方端面が下方に向かって延び出す鉛直面とされていると共に、後方端面が下方に向かって次第に前方に位置するように傾斜する傾斜面とされている。これにより、本実施形態における係止片156は、突出先端に向かって前後方向で次第に狭幅となっている。更に、本実施形態における係止片156の内側面は、板状当接部146の内側面と略同一平面状に位置するように位置合わせされて形成されている。
【0080】
また、初期状態における板状当接部146の下端部分(突出部148が形成された突出部分と反対側となる長手方向一方の側)には、円形の貫通孔158が形成されている。また、貫通孔158の一方の開口部を取り囲むように外挿筒部160が形成されている。外挿筒部160は、貫通孔158と同一中心軸上で幅方向外方に向かって延び出す略円筒形状を呈しており、板状当接部146と一体形成されている。また、外挿筒部160および貫通孔158の内径寸法が取付筒部140の外径寸法と略等しくされている。
【0081】
また、板状当接部146の幅方向内側面には、図12に示されているように、幅方向内方に向かって開口する収容凹所162が形成されている。収容凹所162は貫通孔158の形成箇所において板状当接部146の幅方向内側面に所定形状で形成されている。特に本実施形態では、図12に示されているように、貫通孔158と同一中心軸上に位置して貫通孔158よりも大径の円形凹所と、互いに略直交して該円形凹所の接線方向に延びる二つの矩形凹所が組み合わされた形状とされて、全体として略一定のL字状断面をもって所定の深さ寸法で形成されている。
【0082】
さらに、側面視で略L字状とされた収容凹所162には、図7,図8にも示されているように、バネ部材としてのスプリング164が収容配置される。スプリング164は、収容凹所162の断面形状に略対応する形状とされており、円筒状に巻回された中央部分と該中央部分から接線方向に向かって延び出す両端部を有している。また、スプリング164の一方の端部が該中央部分の延び出し方向に向かって屈曲せしめられて収容凹所162内に収容配置されている一方、スプリング164の他方の端部が該中央部分の延び出し方向とは反対側に向かって屈曲せしめられて、収容凹所162の開口部から突出せしめられるようになっている。なお、巻回されて筒状とされたスプリング164の中央部分は、貫通孔158および外挿筒部160と同一中心軸上に配置されていると共に、その内径寸法が貫通孔158および外挿筒部160と略等しくされている。
【0083】
そして、図7,8に示されているように、支持ロッド110の先端支持部132に対して一対の受け板プレート144,144が組み付けられている。即ち、受け板プレート144の収容凹所162にスプリング164を収容配置した状態で、板状当接部146とスプリング164の中央孔と外挿筒部160の中央孔とを貫通するように、受け板プレート144の貫通孔158に対して先端支持部132に形成される取付筒部140を挿入する。更に、一対の受け板プレート144,144が先端支持部132の両側に形成された取付筒部140,140に外挿された状態で、取付筒部140,140に対して固定ボルト166を螺着せしめることにより、受け板プレート144,144が取付筒部140,140の中心軸回りで回転可能に取り付けられている。特に本実施形態では、先端支持部132を挟んだ両側に取り付けられる一対の受け板プレート144,144が、互いに独立して個別に回転可能となっている。また、かかる取付状態下において、一対の受け板プレート144,144は、可動刃88の下方に配置された先端支持部132から可動刃88の先端板部92側(図1中、上)に突出するように取り付けられており、後述の如く、一対の受け板プレート144,144の対向面間に可動刃88の先端板部92が位置せしめられるようになっている。なお、上述の説明からも明らかなように、受け板プレート144,144は、先端支持部132の幅方向両側にそれぞれ取り付けられており、先端支持部132を挟んで一対の受け板プレート144,144が互いに所定距離だけ離隔して対向位置せしめられている。また、一対の受け板プレート144,144は、その突出先端が一対の固定刃61,61に至らない大きさで形成されており、一対の受け板プレート144,144が一対の固定刃61,61に対して軸方向(図1中、上下)で所定距離を隔てて対向配置されている。
【0084】
かかる受け板プレート144,144の取付状態下において、スプリング164の一方の端部が収容凹所162の内壁面に当接せしめられていると共に、収容凹所162から突出せしめられたスプリング164の他方の端部が先端支持部132に形成された連結凹所142に挿し入れられている。これにより、受け板プレート144と先端支持部132延いては支持ロッド110がスプリング164で弾性的に連結されており、受け板プレート144がスプリング164の弾性力に基づいて特定の回転位置に位置決めされている。特に本実施形態では、スプリング164の弾性力によって外力の非作用状態下において受け板プレート144の板状当接部146が上方に向かって突出するように位置決めされている。なお、このことから明らかなように、スプリング164の弾性力を利用して、受け板プレート144を初期位置に位置決めするための本実施形態における付勢力が実現されており、スプリング164を利用して本実施形態における付勢手段が構成されている。また、特に本実施形態では、スプリング164の一方の端部の収容凹所162内壁面への当接を有利に実現するために、スプリング164の一方の端部が当接する収容凹所162の壁部に略一定の円形断面で延びるピン金具168を配設して、当接箇所における収容凹所162の内壁面をピン金具168によって内方に向かって半円形に突出せしめている。更に、本実施形態では、外力の非作用状態においてスプリング164による付勢力で位置決めされる受け板プレート144の回転方向での位置を初期位置というと共に、かかる初期位置に受け板プレート144が位置決めされた状態を初期状態という。
【0085】
さらに、本実施形態においては、受け板プレート144に係止片156が突出形成されていると共に、支持ロッド110の先端支持部132には、前方ストッパ部134と後方ストッパ部136が形成されている。そして、初期状態において受け板プレート144(板状当接部146)の前端面が前方ストッパ部134に対して切断方向後方から重ね合わされて、受け板プレート144の前方への回転が阻止されていると共に、被加工板の当接によって受け板プレート144が回転せしめられると、係止片156が後方ストッパ部136の下端に当接せしめられて後方への回転が制限されるようになっている。要するに、本実施形態においては、受け板プレート144と前方ストッパ部134および後方ストッパ部136との係止によって受け板プレート144の揺動可能範囲が制限されており、初期状態(受け板プレート144が上方に向かって突出する状態)から突出先端部分が後方に向かって所定量だけ揺動変位可能とされている。なお、上述の説明からも明らかなように、受け板プレート144(板状当接部146)の前端面と係止片156を含んで本実施形態における係止部が構成されていると共に、支持ロッド110の先端支持部132に形成される前方ストッパ部134と後方ストッパ部136を含んで本実施形態における係合部が構成されている。
【0086】
なお、受け板プレート144の揺動可能範囲は、受け板プレート144の揺動中心角:αが、初期状態に対して前方に90°以下且つ後方に90°以下の範囲、換言すれば、−90°≦α≦90°の範囲に設定されていることが望ましい。より好適には、受け板プレート144の揺動中心角:αが−45°≦α≦45°とされ、更に好適には、−45°≦α≦0°とされる。特に本実施形態では、受け板プレート144の揺動可能範囲が、受け板プレート144と前後ストッパ部134,136の当接によって設定されており、受け板プレート144が初期状態に対して後方に45°以下の揺動中心角:αを為す範囲、換言すれば、受け板プレート144の揺動中心角:αが−45°≦α≦0°となる範囲に設定されている。なお、図7においては、初期位置における受け板プレート144が実線で示されていると共に、係止片156と後方ストッパ部136が当接した状態(受け板プレート144の後方への最大揺動状態)における受け板プレート144が二点鎖線で示されており、初期位置における受け板プレート144突出軸が一点鎖線で示されていると共に、係止片156と後方ストッパ部136が当接した状態における受け板プレート144の突出軸が三点鎖線で示されている。
【0087】
さらに、このような支持部材106は、支持ロッド110が支持筒金具52の挿通窓60に挿入された形態で、固定板金具108が挿通窓60の開口周縁部に重ね合わされると共に、固定ボルト170が固定板金具108の各挿通孔112を貫通して支持筒金具52に螺着されることにより、支持筒金具52に対して固定されている。また、かかる組み付け状態では、支持ロッド110におけるロッド本体116の上端部分が、支持プレート56の後方端部と略平行に延びるようにして、一対の支持プレート56,56の対向面間に収容配置せしめられている。而して、可動刃88の先端板部92が一対の固定刃61,61の対向面間から軸方向下方に離隔位置せしめられた状態で、基端板部90の後方端部が支持ロッド110の摺動部材固定部120に取り付けられた摺動部材128に当接せしめられて支持されている。これにより、基端板部90、延いては可動刃88が、支持ロッド110に対して軸方向に移動可能に支持されている。また、支持ロッド110が可動刃88の切断方向後方に僅かに離隔して配設されていると共に、支持ロッド110の下端に設けられた先端支持部132が可動刃88の先端板部92の下方に位置せしめられており、可動刃88が一対の受け板プレート144,144の対向面間の隙間に入り込むようになっている。
【0088】
また、図14に示されているように、一対の受け板プレート144,144の上端部分が、一対の固定刃61,61の刃先部66,66と軸方向(図14中、上下方向)で所定の離隔距離:L1 をもって対向位置せしめられている。なお、かかる離隔距離:L1 の値は、特に限定されるものでないが、望ましくは、切断対象である被加工板の厚さ寸法の1.0〜3.0倍、より望ましくは、1.5〜2.5倍に設定される。また、受け板プレート144,144の上端面は、可動刃88のストローク方向(軸方向)で刃先部98の下死点よりも上方で且つ上死点よりも下方に位置するように離隔距離:L1 を設定することが望ましい。
【0089】
このような本実施形態に従う構造とされた切断機10においては、電動モータ20への通電によって出力軸18が回転されると、出力軸18に固着された出力ピニオン28の回転力が大歯車32を介して回転軸34に伝えられることとなり、大歯車32の中心軸回りに回転軸34およびクランクアーム36が回転駆動されると共に、回転軸34の中心軸に偏倚してクランクアーム36に固着されたクランクピン38が回転軸34の中心軸周りに回転されることとなる。そして、クランクピン38の回転作動に伴いコンロッド42がクランクアーム36の回転軸34に対するクランクピン38の偏心量:dの2倍の距離だけ軸方向に昇降動されるようになっている。それによって、コンロッド42の昇降動に連動して、駆動金具84および該金具84に固着された基端板部90が支持筒金具52の挿通孔82に沿って切断機本体12に対して軸方向に往復駆動されることとなり、固定刃61の軸方向下方に位置せしめられた可動刃88の先端板部92が一対の固定刃61,61の対向面間に対して出入作動されるようになっている。なお、このことからも明らかなように、本実施形態では、可動刃88を固定的に設けた駆動ロッドが、駆動金具84を含んで構成されていると共に、駆動ロッドを切断機本体12に対して軸方向に往復駆動せしめる駆動機構が、出力軸18を備えた電動モータ20や、出力ピニオン28や大歯車32を含む減速機構、回転軸34やクランクアーム36、クランクピン38、コンロッド42等を備えてなるクランク機構を含んで構成されている。
【0090】
また、このような構造とされた切断機10は、その使用方法や用途、切断加工を施す対象物等に関して何等限定されるものでないが、例えば、被加工板としての鋼板瓦を切断する際に好適に用いられる。特に、本実施形態に係る切断機10は、薄板のトタンの表面にセラミックスや樹脂、砂等を被覆せしめた構造の鋼板瓦であって、湾曲乃至は屈曲した部分を多数備えている鋼板瓦を被加工板として切断する際に好適に用いられる。
【0091】
すなわち、一対の固定刃61,61の刃先部66,66を切断機本体12側から前述の如き被加工板に対して重ねると共に、先端板部92の刃先部98を切断機本体12とは反対側から被加工板に対して重ねて、一対の固定刃61,61と先端板部92の軸方向対向間に被加工板を挟み入れる。更に、先端板部92における刃先部98を切断方向前方に向かって突出するように位置せしめる。そして、駆動スイッチ24をオンにして、可動刃88を支持筒金具52に沿って軸方向に往復駆動せしめることにより、先端板部92を被加工板の反対側から切断機本体12側に繰り返し引き上げるように駆動せしめて、先端板部92を一対の固定刃61,61の対向面間に外方から出入作動させる。これにより、先端板部92を一対の固定刃61,61の対向面間に入り込ませた際に先端板部92の刃先部98の両縁部と一対の固定刃61,61の刃先部66,66が協働して被加工板に剪断作用を及ぼすこととなり、一対の固定刃61,61の間に位置せしめられた部分が切断屑として被加工板から切り離される。而して、先端板部92を一対の固定刃61,61の対向面間に繰り返し出入作動させつつ、切断機本体12を移動せしめることにより、本実施形態に係る切断機10を用いた被加工板の切断加工が実現される。なお、このような被加工板の切断加工方法は、特に限定されるものではないが、例えば特開2005−125461号公報等に詳説されている加工例等を好適に採用することが出来る。
【0092】
なお、固定刃61,61側の刃先部66,66と可動刃88側の刃先部98の協働によって被加工板に及ぼされる剪断作用は、それら刃先部66,66と刃先部98の切断方向前後における中間部分よりも前方に位置する部分において有効に発揮されるようになっており、刃先部66,66と刃先部98の前後方向中間部分よりも前方の部分において実質的な刃先が構成されて、被加工板の切断加工がこの実質的な刃先によって実現されるようになっている。特に本実施形態では、刃先部66,66および刃先部98において、側面視で円弧形状とされた固定刃61の前方湾曲部63の延長線で特定される円の中心の下方に位置する前後方向中間部分よりも切断方向前側で剪断作用が有効に発揮されるようになっている。また、本実施形態では、前方湾曲部63の延長線で特定される円の中心が、刃先部66,66の前後方向中央よりも切断方向後方に偏倚して位置せしめられており、該円の中心の下方に位置する刃先部66,66の前後方向中間部分よりも切断方向前方部分が、切断方向後方部分よりも前後方向で大きくなっている。
【0093】
また、本実施形態に係る切断機10においては、被加工板を一対の固定刃61,61と可動刃88の先端板部92との軸方向対向間に挟み入れると、被加工板は、一対の固定刃61,61と一対の受け板プレート144,144の軸方向対向間に挟み入れられることとなる。これにより、一対の受け板プレート144,144は、被加工板を挟んで切断機本体12と反対側から被加工板に対して近接して位置せしめられる。これにより、切断機10による被加工板の切断加工に際して、先端板部92の往復駆動変位に際して被加工板が受け板プレート144,144によって安定して支持されて、被加工板のばたつき等を含む揺動変位が有効に低減乃至は阻止されるようになっている。従って、可動刃88と一対の固定刃61による剪断作用がより一層安定して発揮されることとなって、目的とする切断加工を高精度に実現することが可能とされている。
【0094】
ここにおいて、本実施形態に従う構造とされた切断機10では、受け板プレート144,144が幅方向に延びる揺動中心軸(外挿筒部160の中心軸)回りで揺動転可能に取り付けられており、これによって、段差や凹凸を有する被加工板を切断する際に、一対の受け板プレート144,144の当接によって被加工板の揺動変位を有効に低減乃至は阻止しつつ、受け板プレート144,144と固定刃61,61の軸方向対向間での段差や凹凸による引っ掛かりを回避して、安定した切断加工を実現することが出来る。
【0095】
すなわち、初期状態において一対の受け板プレート144,144は、被加工板の裏面に近接して配置されている。このように固定刃61が被加工板の表面に重ね合わされると共に、受け板プレート144が被加工板の裏面に近接して配置された状態で、被加工板の段差や凹凸等が一対の固定刃61と一対の受け板プレート144,144の軸方向対向間に挟み入れられると、被加工板が受け板プレート144に対して当接せしめられる。このような場合に、支持ロッド110に対して揺動不可能に固定された受け板プレートでは、被加工板が固定刃61と受け板プレートの軸方向対向間で引っ掛かって、切断を続行することが困難となる場合がある。
【0096】
そこにおいて、本実施形態に係る切断機10の受け板プレート144,144は、その突出先端が切断方向後方に変位するように揺動可能な状態で支持ロッド110に取り付けられており、受け板プレート144,144に対する被加工板の当接による外力の作用によって受け板プレート144,144が揺動せしめられるようになっている。そして、一対の受け板プレート144,144の揺動によって受け板プレート144の上方への突出量が変化せしめられるようになっており、固定刃61,61と受け板プレート144,144の軸方向対向間距離が受け板プレート144,144の揺動によって変化せしめられるようになっている。従って、被加工板が段差や凹凸等を含む形状とされて、断面形状が変化せしめられている場合にも、受け板プレート144,144の揺動によって固定刃61,61と受け板プレート144,144の軸方向対向間距離を調節することにより、固定刃61,61と受け板プレート144,144の軸方向対向間での被加工板の引っ掛かりを回避して、安定した切断加工を実現することが出来るのである。
【0097】
しかも、受け板プレート144は、スプリング164の弾性力を利用した付勢力によって、突出先端が切断方向前方に向かって変位するように予め付勢されており、被加工板の当接によって受け板プレート144が付勢力に抗して後方に向かって揺動せしめられると、かかるスプリング164の付勢力が受け板プレート144を初期位置に向かって揺動させる方向、換言すれば被加工板の当接による受け板プレート144の揺動方向と反対側の方向に向かって作用する。これにより、受け板プレート144の上方への突出長さが、被加工板の断面形状に応じて適当に調節されるようになっている。それ故、固定刃61と受け板プレート144の軸方向間距離を被加工板の引っ掛かりが生じないように調節しつつ、固定刃61と受け板プレート144の軸方向対向間距離が著しく大きくなることを防いで、受け板プレート144による被加工板の上下動の抑制効果が有効に発揮されるようになっている。特に、受け板プレート144の後方への揺動状態下においては、受け板プレート144の突出先端部分が付勢力によって被加工板に対して裏面側から当接せしめられるようになっており、被加工板の引っ掛かりを回避しつつ、被加工板のばたつきを安定して防ぐことが出来るようになっている
【0098】
また、特に本実施形態では、左右一対の受け板プレート144,144が互いに独立して揺動可能とされている。これにより、切断箇所を挟んだ左側と右側において被加工板の断面形状が互いに異なる場合にも、一対の受け板プレート144,144を互いに異なる角度に揺動せしめることにより、各受け板プレート144,144を被加工板の形状に追従せしめて、受け板プレート144,144による被加工板のより安定した支持を実現することが出来る。
【0099】
また、本実施形態においては、受け板プレート144の揺動可能範囲が受け板プレート144の前方ストッパ部134に対する当接と、係止片156の後方ストッパ部136に対する当接とによって制限されていることにより、受け板プレート144の揺動状態に関らず、可動刃88が一対の受け板プレート144,144の対向面間に挟み込まれた状態となっている。
【0100】
より詳細には、可動刃88が駆動軸方向での駆動変位によって下死点(可動刃88の駆動軸方向での駆動変位において、支持筒金具52の突出方向基端側の死点)に位置せしめられている場合には、図14に示されているように、受け板プレート144,144の初期状態では、可動刃88の刃先部98の一部にまで至る部分が受け板プレート144,144の対向面間に挟み込まれている。また、図15に示されているように、係止片156と後方ストッパ部136が互いに当接するまで受け板プレート144,144が揺動変位せしめられた場合にも、可動刃88の先端板部92の一部が受け板プレート144,144の対向面間から抜出すことなく挟み込まれている。なお、図14,15には、可動刃88において一対の受け板プレート144,144の対向面間に位置する部分が破線で示されている。
【0101】
一方、可動刃88が軸方向での揺動変位によって上死点(可動刃88の駆動軸方向での駆動変位において、支持筒金具52の突出方向先端側の死点)に位置せしめられている場合には、図16に示されているように、受け板プレート144,144の初期状態では、可動刃88の一部に加えて先端板部92の一部が受け板プレート144,144の対向面間に挟み込まれている。また、図17に示されているように、係止片156と後方ストッパ部136が互いに当接するまで受け板プレート144,144が揺動変位せしめられた場合にも、可動刃88の先端板部92の下端縁部が受け板プレート144,144の対向面間から抜出すことなく挟み込まれている。なお、図16,17においても、図14,15と同様に、可動刃88において一対の受け板プレート144,144の対向面間に位置する部分が破線で示されている。
【0102】
これにより、一対の受け板プレート144,144による可動刃88の軸方向での案内作用を効果的に発揮せしめることが出来て、作動安定性を有効に確保することが出来る。しかも、可動刃88が外力の作用等により刃厚方向(図2中、左右)に変位した場合にも、可動刃88が受け板プレート144の突出先端に対して駆動方向で打ち当てられるのを回避出来て、可動刃88と受け板プレート144の打当りによる破損を防止することが出来る。なお、本実施形態では、可動刃88における先端板部92の下端部が駆動方向下方に向かって先細状に延び出しており、可動刃88が上死点に位置する場合にも、かかる先細状の延出し部分が一対の受け板プレート144,144の間に安定して挟み込まれた状態に保持される。
【0103】
さらに、本実施形態における受け板プレート144は、上方への突出部分における前端縁部が前方に向かってくちばし状に突出する突出部148とされており、かかる突出部148の突出先端を挟んで上側の面が下方に向かって前方に傾斜する傾斜当接面150とされている。これにより、被加工板の受け板プレート144に対する当接によって、受け板プレート144が安定して揺動せしめられるようになっていると共に、被加工板が傾斜当接面150に当接せしめられることにより安定して支持されて、スムーズな切断加工を実現することが可能となっている。即ち、被加工板が傾斜当接面150に対して前方から当接せしめられると、被加工板に対して作用せしめられる当接反力の分力が、固定刃61,61側である上方(図7中、上)に向かって作用せしめられる。これにより、被加工板が可動刃88の上下駆動に伴って上下にばたつくのをより有利に抑えることが出来る。
【0104】
また、本実施形態においては、受け板プレート144が板状当接部146の厚さ方向一方の側に向かって突出する外挿筒部160を有しており、先端支持部132に一体形成されて幅方向外側に向かって突出する取付筒部140に対して外挿筒部160が外挿されることにより、外挿筒部160と取付筒部140が幅方向(揺動中心軸方向である図2中、左右)で所定の突出長さに亘って互いに重ね合わされた状態で、受け板プレート144が先端支持部132に対して揺動可能に取り付けられるようになっている。それ故、受け板プレート144に設けられた外挿筒部160を先端支持部132に設けられた取付筒部140に対して外挿せしめることによって、受け板プレート144の突出方向が揺動軸方向でずれるのを防いで、受け板プレート144を先端支持部132に対して所期の取付状態で容易に取り付けることが出来る。更に、受け板プレート144の突出先端部分に対して一対の受け板プレート144,144の対向方向に外力が作用した場合にも、それら突出先端部分の対向面間距離が相対的に変化するのを防ぐことが出来て、受け板プレート144を所期の取付状態に安定して維持することも出来る。
【0105】
また、本実施形態では、固定刃61の下端面が、中央直線部62と前方湾曲部63と後方湾曲部64によって構成されている。このように固定刃61の下端面に切断方向前後で延びる中央直線部62を設けることによって、切断時に被加工板の固定刃61に対する当接面積を充分に確保して、安定した切断を実現出来る。また、中央直線部62の前方に前方湾曲部63を設けることにより、被加工板が段差部や屈曲部等を有している場合にも、前方湾曲部63が被加工板に当接して摺動せしめられることにより、切断工具を被加工板の形状に沿って案内して、被加工板の形状に応じて切断機10を前後方向で容易に傾斜させる案内作用が発揮される。それ故、被加工板の形状に関らず安定して切断加工を行うことが可能となる。
【0106】
さらに、固定刃61のサイズや形状等に応じて前方湾曲部63の曲率等が設定されており、前方湾曲部63が下側のねじ孔65を中心とする円周上に位置せしめられている。これにより、被加工板の段差部や突起部等を切断する場合に、傾斜させるといった切断機10の操作をより容易に行うことが出来て、切断を有利に行うことが出来る。
【0107】
しかも、本実施形態では、支持プレート56の下端における切断方向前後の両端縁部と、固定刃61の下端における後端縁部が、何れも、前方湾曲部63の延長線で特定される円の内側(内周側)に位置せしめられている。これにより、前方湾曲部63の湾曲形状に応じて切断機10が操作される場合に、支持プレート56の下端における前後両端縁部と固定刃61の下端における後端縁部が、何れも、被加工板から離隔した状態で切断機10が前後方向に傾斜せしめられる。それ故、支持プレート56及び固定刃61の被加工板への引っ掛かりによって切断機10の前後方向への傾斜動が妨げられるのを防いで、被加工板の形状に応じた切断加工を安定してスムーズに行うことが出来る。
【0108】
なお、固定刃61の前端部分における前方湾曲部63は、その側面視における曲率半径が全長に亘って厳格に一定である必要はない。例えば、中央直線部62からの立ち上がり部分と、十分に立ち上がった先端付近とにおいて、曲率半径が多少異なっていても良い。その場合には、被加工板の切断に際しての当接を有効に回避するために、中央直線部62からの立ち上がり部分における曲率を基準として、その延長線で特定される円の中に位置するように、固定刃61や支持筒金具52の下端部の形状や大きさが設定されることが望ましい。
【0109】
また、被加工板の切断に際しての当接を一層有利に防止するには、固定刃61の前方湾曲部63の延長線で特定される円の中心回りにおいて、切断方向の前後両側で何れも45度(前後合わせて90度)の範囲内では固定刃61と支持筒金具52の何れも該円から外に突出しないように形状設定されることが望ましい。より好適には切断方向の前後両側で何れも60度の範囲内、より一層好適には切断方向の前後両側で何れも90度の範囲内では、固定刃61と支持筒金具52の何れもかかる円から外に突出しないようにされる。
【0110】
而して、上述の如き本発明に従う構造とされた切断機10においては、切断方向に大きく前傾したり後傾した状態でも、固定刃61や支持筒金具52の被加工板に対する干渉が回避され得るのであり、それ故、例えば家屋の屋根や外壁などに用いられる比較的に形状が複雑な金属板を任意の方向に容易に切断することが可能となる。より具体的には、このような金属板を施工現場で切断する場合には、その切断方向によって、鋭角的なU字形状やV字形状の切断面のほか、クランク形状やZ字形状のように、従来構造の切断機では極めて切断困難な状況も発生するのであり、そのような場合でも、本発明に従う構造とされた切断機10を用いることで、容易に切断することができるのである。
【0111】
以上、本発明の一実施形態について説明してきたが、これはあくまでも例示であって、本発明は、かかる実施形態における具体的な記載によって、何等、限定的に解釈されるものではない。
【0112】
例えば、受け板プレート144の形状やサイズ等は、前記実施形態の記載によって何等限定されるものではない。具体的には、例えば、突出部148や傾斜当接面150、傾斜後退面152、更には後方湾曲面154等は、何れも必須ではなく、受け板プレートが上下方向で長手状とされた略矩形プレート状とされていても良い。また、前記実施形態においては、ガード部材として板形状の受け板プレート144を例示したが、ガード部材としては、ロッド形状や長手ブロック形状等、各種形状の部材が適宜に選択されて採用され得る。
【0113】
また、左右一対の受け板プレート144,144は、前記実施形態に示されているように、先端支持部132に対して互いに独立して揺動可能に取り付けられていることが望ましい。しかしながら、一対の受け板プレート144,144は必ずしも独立して揺動可能とされていなくても良く、例えば、先端支持部を貫通する揺動軸部材を設けて、該揺動軸部材の両端部に受け板プレート144,144を固定することにより、一対の受け板プレート144,144が互いに一体的に揺動するようになっていても良い。
【0114】
また、前記実施形態に示されているように、可動刃88の少なくとも一部が、上死点と下死点の何れに位置する場合にも、受け板プレート144,144の対向面間に挟み込まれていることが望ましいが、このような可動刃88と受け板プレート144,144の相対的な位置関係は必須ではなく、例えば上死点において可動刃88が受け板プレート144,144の対向面間から完全に抜け出して受け板プレート144,144の上方に位置するようになっていても良い。
【0115】
また、前記実施形態では、受け板プレート144を初期位置に弾性的に位置決めする付勢手段として、受け板プレート144と支持ロッド110の先端支持部132を弾性連結するスプリング164を用いる例を示したが、付勢手段は、例えば、支持筒金具52と受け板プレート144の突出先端をバネ部材で相互に連結すること等によっても実現することが出来る。また、付勢手段は、必ずしも金属バネ等のバネ部材を利用したものに限定されない。
【0116】
また、前記実施形態においては、固定刃61にねじ孔65が形成されていると共に、ガイドプレート69にはねじ孔72が形成されており、それらねじ孔65,72の内周面に雌ねじを刻設して固定ボルト78,80を螺着せしめることにより、固定刃61とガイドプレート69が支持筒金具52に固定されるようになっている。しかしながら、固定刃61とガイドプレート69の支持筒金具52への固定手段は、前記実施形態に示されたものによって何等限定されるものではない。具体的には、例えば、固定刃61およびガイドプレート69に対して、雌ねじが刻設されていない貫通孔をそれぞれ形成し、該貫通孔に固定ボルト80,78を挿通せしめて、ナットに螺着せしめることにより、固定刃61とガイドプレート69が支持筒金具52に固定されるようになっていても良い。
【0117】
また、前記実施形態に示されているように、前方湾曲部63と後方湾曲部64は、それらの湾曲部63,64によって発揮される切断工具の案内作用を有利に得るために、円弧形状とされていることが望ましい。しかしながら、それら湾曲部63,64は、何れも、必ずしも円弧形状とされている必要はなく、例えば、楕円弧形状等の湾曲形状であっても良い。
【0118】
その他、一々列挙はしないが、本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様において実施され得るものであり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0119】
【図1】本発明の一実施形態としての切断機を示す側面図。
【図2】同切断機の背面図。
【図3】同切断機の駆動機構を示す断面拡大図。
【図4】同切断機の固定刃を示す側面拡大図。
【図5】同切断機における要部を示す拡大図。
【図6】同切断機の可動刃を示す側面図。
【図7】同切断機の支持部材を示す断面図であって、図8におけるVII−VII線断面図。
【図8】同支持部材の断面図であって、図7におけるVIII−VIII線断面図。
【図9】同支持部材を構成する支持ロッドを示す側面図。
【図10】同支持ロッドを示す正面図。
【図11】同支持ロッドを示す背面図。
【図12】同支持部材を構成する受け板プレートを示す側面図。
【図13】同受け板プレートの断面図であって、図12におけるXIII−XIII線断面図。
【図14】同切断機における要部を示す拡大図。
【図15】同切断機における要部を示す拡大図。
【図16】同切断機における要部を示す拡大図。
【図17】同切断機における要部を示す拡大図。
【符号の説明】
【0120】
10:切断機、12:切断機本体、52:支持筒金具、56:支持プレート、61:固定刃、62:中央直線部、63:前方湾曲部、66:刃先部、84:駆動ロッド、88:可動刃、92:先端板部、98:刃先部、110:支持ロッド、132:先端支持部、134:前方ストッパ部、136:後方ストッパ部、144:受け板プレート、150:傾斜当接面、164:スプリング
【出願人】 【識別番号】593131910
【氏名又は名称】株式会社セイオー技研
【出願日】 平成18年6月28日(2006.6.28)
【代理人】 【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝


【公開番号】 特開2008−6531(P2008−6531A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−178825(P2006−178825)