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【発明の名称】 剪断装置
【発明者】 【氏名】森 宗孝

【要約】 【課題】鋼板を高速にて短く剪断することのできる剪断装置を提供する。

【構成】剪断装置10は、上下一対の下側刃付ドラム26および上側刃付ドラム28を備えている。そして、下側刃付ドラム26を構成する下側回転ドラム26aの外面には、複数の板状の刃26bが、回転軸に対して傾斜するとともに周方向へ間隔を隔てて取り付けられており、上側刃付ドラム28を構成する上側回転ドラム28aの外面には、複数の板状の刃28bが、回転軸に対して傾斜するとともに周方向へ間隔を隔てて取り付けられている。鋼板14aを剪断して定尺鋼板14bを得る際には、下側刃付ドラム26および上側刃付ドラム28が、回転駆動部30によって互いに逆方向へ回転され、上下一対の刃26bおよび28bによって鋼板14aが剪断される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平面内において連続的に搬送されてくる帯状の鋼板を、その搬送方向に対して略直交する方向において剪断する回転ドラム式の剪断装置であって、
前記鋼板の下方に配設された下側回転ドラムと、前記下側回転ドラムの外面に、その回転軸に対して傾斜するとともに周方向へ間隔を隔てて取り付けられた複数の板状の刃とを有する下側刃付ドラム、
前記鋼板の上方に配設された上側回転ドラムと、前記上側回転ドラムの外面に、その回転軸に対して傾斜するとともに周方向へ間隔を隔てて取り付けられた複数の板状の刃とを有する上側刃付ドラム、および
前記下側刃付ドラムおよび前記上側刃付ドラムを互いに逆方向へ回転させる回転手段を備え、
前記下側刃付ドラムの前記刃と前記上側刃付ドラムの前記刃とによって前記鋼板を剪断する、剪断装置。
【請求項2】
請求項1に記載した剪断装置を備える剪断システムであって、
下側刃付ドラムと上側刃付ドラムとの間に鋼板を搬送する搬送手段と、前記鋼板の搬送長さを検出する長さ検出手段とをさらに備え、
前記長さ検出手段によって検出された搬送長さが予め設定された所定長さに達したときに、前記下側刃付ドラムおよび前記上側刃付ドラムが所定角度回動され、上下一対の刃によって前記鋼板が剪断される、剪断システム。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、水平面内において連続的に搬送されてくる帯状の鋼板を、その搬送方向に対して略直交する方向において剪断する回転ドラム式の剪断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
回転ドラム式の剪断装置は、上下一対の回転ドラムと、各回転ドラムの外面に取り付けられた板状の刃とを備えており、回転ドラム間を連続走行している鋼板を剪断する際には、両回転ドラムが鋼板に同期して回転され、上下一対の刃によって鋼板が剪断される。
【0003】
このような剪断装置において、板状の刃を回転ドラムの回転軸に対して「平行」に設けた場合には、鋼板に対して刃の全体が同時に押し当てられるため、剪断時の負荷が過大となり、剪断装置の寿命が短くなるおそれがある。そこで、最近では、板状の刃を回転ドラムの回転軸に対して「傾斜」して設けることによって、回転ドラムに加わる負荷を回転軸の方向へ分散させることが行われている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平7−116909号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の剪断装置(特許文献1)では、「回転ドラムに加わる負荷を回転軸の方向へ分散させること」ができるので、長寿命化を図ることができる。
【0005】
しかし、鋼板の厚さが厚くなった場合には、剪断時に回転ドラムに加わる負荷が過大となるため、回転ドラムの直径が小さければ、回転ドラムが不所望に撓んで鋼板を真っ直ぐに剪断することが困難になる。そのため、鋼板の厚さが厚くなる場合には、大径の回転ドラムを用いて強度を高めざるを得ないが、その場合には、回転ドラムの周長が長くなるため、1つの刃が1回転する間に送り出される鋼板の長さが長くなり、刃が「1つだけ」では、鋼板を短く剪断することが困難になる。加えて、刃が「1つだけ」では、刃の交換を頻繁に行う必要があるため、メンテナンス時間が長くなって稼動時間が短くなるという問題がある。
【0006】
また、鋼板を短く剪断するためには、回転ドラムの周速度に対して鋼板の搬送速度を十分に遅くすることも考えられるが、これでは、剪断装置を高速運転することができないため、生産効率が著しく低下してしまう。
【0007】
それゆえに、本発明の主たる課題は、鋼板を高速にて短く剪断することができ、しかも、刃の使用頻度を少なくしてメンテナンス時間を短くすることのできる、剪断装置および剪断システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載した発明は、「水平面内において連続的に搬送されてくる帯状の鋼板14aを、その搬送方向に対して略直交する方向において剪断する回転ドラム式の剪断装置10であって、前記鋼板14aの下方に配設された下側回転ドラム26aと、前記下側回転ドラム26aの外面に、その回転軸に対して傾斜するとともに周方向へ間隔を隔てて取り付けられた複数の板状の刃26bとを有する下側刃付ドラム26、前記鋼板14aの上方に配設された上側回転ドラム28aと、前記上側回転ドラム28aの外面に、その回転軸に対して傾斜するとともに周方向へ間隔を隔てて取り付けられた複数の板状の刃28bとを有する上側刃付ドラム28、および前記下側刃付ドラム26および前記上側刃付ドラム28を互いに逆方向へ回転させる回転手段30を備え、前記下側刃付ドラム26の前記刃26bと前記上側刃付ドラム28の前記刃28bとによって前記鋼板14aを剪断する、剪断装置10」である。
【0009】
この発明では、下側回転ドラム26aおよび上側回転ドラム28aのそれぞれの外面に、複数の板状の刃26b、28bを回転軸に対して傾斜するように取り付けているので、鋼板14aを剪断する際には、各回転ドラム26a、28aに加わる負荷を回転軸の方向へ分散させることができる。また、複数の刃26b、28bは、各回転ドラム26a、28aの外面に周方向へ間隔を隔てて取り付けられているので、各回転ドラム26a、28aを所定角度ずつ間欠的に回動させて各刃26b、28bを順番に用いることによって、鋼板14aを高速にて短く剪断することができる。加えて、刃26b、28bの使用頻度が「1つだけ」の場合に比べて少なくなるので、刃26b、28bの交換時期を遅らせることができる。
【0010】
請求項2に記載した発明は、「請求項1に記載した剪断装置10を備える剪断システム12であって、下側刃付ドラム26と上側刃付ドラム28との間に鋼板14aを搬送する搬送手段18と、前記鋼板14aの搬送長さを検出する長さ検出手段20とをさらに備え、前記長さ検出手段20によって検出された搬送長さが予め設定された所定長さに達したときに、前記下側刃付ドラム26および前記上側刃付ドラム28が所定角度回動され、上下一対の刃26b、28bによって前記鋼板14aが剪断される、剪断システム12」である。
【0011】
この発明は、請求項1に記載した剪断装置10を用いて、鋼板14aを所定長さで剪断できるように構成したものである。
【発明の効果】
【0012】
請求項1および2に記載した発明によれば、剪断時に各回転ドラム26a、28aに加わる負荷を回転軸の方向へ分散させることができるので、剪断装置10の小型化や長寿命化を達成できる。また、各回転ドラム26a、28aを所定角度ずつ間欠的に回動させることによって、複数の刃26b、28bを順番に用いることができるので、鋼板14aを高速にて短く剪断することができる。さらに、刃26b、28bの交換時期を遅らせることができるので、メンテナンスに要する時間を短くして稼動時間を長くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図1は、本発明が適用された剪断装置10を示す斜視図であり、図2は、剪断装置10を用いた剪断システム12を示すシステム構成図である。
【0014】
剪断システム12は、図2に示すように、ストリップコイル14から引き出された鋼板14aを搬送ラインLに沿って搬送しながら、所定の長さに剪断して定尺鋼板14bを得るものであり、剪断装置10、アンコイラ16、レベラ18、長さ検出装置20、搬送コンベヤ22および剪断制御装置24等によって構成されている。
【0015】
剪断装置10は、水平面内において連続的に搬送されてくる帯状の鋼板14aを、その搬送方向に対して略直交する方向において連続的に剪断するものであり、図1および図2に示すように、下側刃付ドラム26、上側刃付ドラム28、回転駆動部30およびフレーム32等によって構成されている。
【0016】
下側刃付ドラム26は、鋼板14aの下方に配設された下側回転ドラム26aと、下側回転ドラム26aの外面に取り付けられた複数(この実施例では180度間隔で2つ)の刃26bとを有している。
【0017】
下側回転ドラム26aは、剪断時の負荷に耐え得る強度を有す略円柱状の部材であり、下側回転ドラム26aの軸方向端部には、回転駆動部30の一部を構成するギヤ30aが取り付けられている。また、下側回転ドラム26aの外面には、複数(この実施例では2つ)の溝26cが、回転軸に対して傾斜するとともに周方向へ間隔を隔てて形成されており、各溝26cの側面に対して刃26bが取り付けられている。さらに、下側回転ドラム26aの外面における2つの溝26cに対して90度方向の位置には、平坦な平面部26dが軸方向の全長に亘って形成されている。
【0018】
各刃26bは、剪断時の負荷に耐え得る強度を有する板状の部材であり、各刃26bの先端部が下側回転ドラム26aの表面から突出するようにして、各刃26bの後端部が溝26c内において固定されている。したがって、各刃26bは、下側回転ドラムaの外面に、その回転軸に対して傾斜するとともに周方向へ間隔を隔てて取り付けられることになる。
【0019】
上側刃付ドラム28は、鋼板14aの上方に配設された上側回転ドラム28aと、上側回転ドラム28aの外面に取り付けられた複数(この実施例では180度間隔で2つ)の刃28bとを有している。
【0020】
上側回転ドラム28aは、剪断時の負荷に耐え得る強度を有す略円柱状の部材であり、上側回転ドラム28aの軸方向端部には、回転駆動部30の一部を構成し、ギヤ30aと噛み合うギヤ30bが取り付けられている。また、上側回転ドラム28aの外面には、複数(この実施例では2つ)の溝28cが、回転軸に対して傾斜するとともに周方向へ間隔を隔てて形成されており、各溝28cの傾斜方向および形成間隔は、各溝28cが下側回転ドラム26aに形成された各溝26cと対向し得るように設定されている。そして、各溝28cの側面に対して刃28bが取り付けられている。さらに、上側回転ドラム28aの外面における2つの溝28cに対して90度方向の位置には、平坦な平面部28dが軸方向の全長に亘って形成されている。
【0021】
各刃28bは、剪断時の負荷に耐え得る強度を有する板状の部材であり、各刃28bの先端部が上側回転ドラム28aの表面から突出するようにして、各刃28bの後端部が溝28c内において固定されている。したがって、各刃28bは、上側回転ドラム28aの外面に、その回転軸に対して傾斜するとともに周方向へ間隔を隔てて取り付けられることになり、また、各刃28bの傾斜方向および形成間隔は、各刃28bが下側回転ドラム26aに取り付けられた各刃26bと対向し得るように設定されることになる。
【0022】
なお、この実施例では、回転ドラム26aおよび28aに対して、刃26bおよび28bを2つずつ取り付けているが、これらの数は「複数」であればよく、3つ以上であってもよい。
【0023】
回転駆動部30は、下側刃付ドラム26および上側刃付ドラム28を所定の周速度で互いに逆方向へ回転させる「回転手段」であり、剪断制御装置24によって制御されるサーボモータ30cと、サーボモータ30cの回転力を下側刃付ドラム26および上側刃付ドラム28へ伝達するギヤ30aおよび30bとによって構成されている。
【0024】
フレーム32は、下側刃付ドラム26、上側刃付ドラム28および回転駆動部30等を支持するものであり、下側刃付ドラム26と上側刃付ドラム28との位置関係を高精度で保持し得るように、高剛性材料によって強固に形成されている。
【0025】
剪断システム12においては、図2に示すように、剪断装置10(図1)が搬送ラインLの途中に配設され、剪断装置10の上流側にアンコイラ16、レベラ18および長さ検出装置20が配設される。また、剪断装置10の下流側に搬送コンベヤ22が配設され、剪断装置10および長さ検出装置20に剪断制御装置24が接続される。
【0026】
アンコイラ16は、ストリップコイル14を回転自在に保持するとともに、ストリップコイル14を外周から巻きほぐすものであり、ストリップコイル14を保持する回転軸16aおよび回転軸16aを回転駆動する駆動モータ(図示省略)等によって構成されている。
【0027】
レベラ18は、ストリップコイル14から鋼板14aを引き出すとともに、引き出された鋼板14aの巻き癖を矯正するものであり、鋼板14aの下面および上面に当接された複数の矯正ローラ18a等によって構成されている。
【0028】
長さ検出装置20は、剪断装置10に与えられる鋼板14aの長さを計測する「長さ検出手段」であり、鋼板14aに当接された計測ローラ20aおよび計測ローラ20aに取り付けられたロータリーエンコーダ(図示省略)等によって構成されている。
【0029】
搬送コンベヤ22は、剪断装置10で鋼板14aを剪断することによって得られた定尺鋼板14bを搬送ラインLの下流へ向けて搬送するものであり、環状の搬送ベルト22aおよび駆動ローラ22b等によって構成されている。
【0030】
剪断制御装置24は、長さ検出装置20から出力された計測信号に基づいて、剪断装置10の駆動部を制御するものであり、中央演算処理装置、記憶装置および情報入力装置等によって構成されている。
【0031】
剪断制御装置24には、長さ検出装置20のロータリーエンコーダから鋼板14aの搬送長さに応じた信号が与えられ、この信号の値が予め設定された長さに対応する値と一致したときに、回転駆動部30に対して駆動信号が与えられる。つまり、剪断制御装置24では、「長さ検出装置20によって検出された搬送長さが予め設定された所定長さに達したこと」が判定され、その判定に応じて駆動信号が出力される。そして、この駆動信号に基づいて剪断装置10の回転駆動部30が駆動され、下側刃付ドラム26および上側刃付ドラム28が所定角度回動され、上下一対の刃26bおよび28bによって鋼板14aが剪断される。非剪断時には、図2に示すように、両刃付ドラム26および28の平面部26dおよび28dが互いに対向して配置され、平面部26dおよび28dの間に鋼板14aが通される。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】剪断装置を示す斜視図
【図2】剪断システムを示すシステム構成図
【符号の説明】
【0033】
10… 剪断装置
12… 剪断システム
14… ストリップコイル
14a… 鋼板
14b… 定尺鋼板
16… アンコイラ
18… レベラ(搬送手段)
20… 長さ検出装置(長さ検出手段)
22… 搬送コンベヤ
24… 剪断制御装置
26… 下側刃付ドラム
26a… 下側回転ドラム
26b,28b… 刃
26c,28c… 溝
26d,28d… 平面部
28… 上側刃付ドラム
28a… 上側回転ドラム
30… 回転駆動部(回転手段)
30a,30b… ギヤ
30c… サーボモータ
32… フレーム
【出願人】 【識別番号】591076305
【氏名又は名称】株式会社米盛鉄工所
【出願日】 平成18年6月26日(2006.6.26)
【代理人】 【識別番号】100082429
【弁理士】
【氏名又は名称】森 義明

【識別番号】100117042
【弁理士】
【氏名又は名称】森脇 正志


【公開番号】 特開2008−873(P2008−873A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−175524(P2006−175524)