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【発明の名称】 切削工具
【発明者】 【氏名】滝口 正治

【氏名】遠藤 邦博

【氏名】松田 宏之

【要約】 【課題】工具本体の両側面外周部に形成された凹部に設けられた取付座にインサートが装着される切削工具において、工具本体の摩耗や変形を抑制して工具本体の寿命が延長可能とされ、インサートの刃幅調整が可能な切削工具を提供すること。

【解決手段】軸線回りに回転される円板状の工具本体2の外周部に、該工具本体2の一方の側面2Aに開口する第1の凹部4と他方の側面2Bに開口する第2の凹部4とが形成され、これら凹部4に設けられる第1の取付座に、インサート40が装着される切削工具であって、前記凹部4には支持プレート5が着脱自在に取付けられ、前記支持プレート5には、前記凹部の工具回転方向T後方側と該凹部4が開口する前記側面2A、2Bとは反対側に延びる支持部5Wが形成されていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線回りに回転される円板状の工具本体の外周部に、該工具本体の一方の側面に開口する第1の凹部と他方の側面に開口する第2の凹部とが形成され、これら凹部に設けられる取付座に、切刃を有するインサートが着脱自在に装着される切削工具であって、
前記第1、第2の凹部には、前記インサートを支持するための支持プレートが着脱自在に取付けられ、
前記支持プレートには、前記第1、第2の凹部の工具回転方向後方側と該第1、第2の凹部が開口する前記側面とは反対側に延びる支持部が形成されていることを特徴とする切削工具。
【請求項2】
請求項1記載の切削工具であって、
前記支持プレートは、取付ボルトにより前記工具本体に取付けられていることを特徴とする切削工具。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の切削工具であって、
前記工具本体の外周部には、前記軸線方向において前記第1の凹部と前記第2の凹部との間に開口する他の凹部が形成され、前記他の凹部には前記インサートの切刃と前記軸線回りの回転軌跡において連続する他の切刃を有する他のインサートが着脱自在に取付けられていることを特徴とする切削工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、円板状の工具本体の側面及び外周部に形成された凹部に設けられた取付座にインサートが着脱自在とされる切削工具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば、ディスクブレーキにおいてブレーキパッドを支持するキャリパーは、ブレーキパッドに対向する面が互いに平行に加工されていることが必要であるために、円板状の工具本体の両側面及び外周部に設けられた凹部にインサートを取付け、その両側面に設けられたインサートにより、キャリパーの内側に形成されるディスクのパッドに対向する内側両側面を切削すると同時に、外周部に設けられたインサートによりディスクの外周部と対向する底面を切削し、上記内側両側面相互の平行度と、上記内側両側面の上記底面に対する直角度を精度高く切削加工している。
【0003】
このような、切削工具(例えば、サイドカッタ)では、軸線回りに回転される円板状の工具本体の外周部及び両側面に複数の凹部が工具本体の外周部に周方向に間隔をあけて複数形成され、これら凹部の工具回転方向後方側に延びる取付座に対してインサートが、例えば、特許文献1に記載されるように直接的に取付けられ、又は例えばスポット溶接等の接合手段によって固定されたプレートを介して着脱可能に取り付けられている。
【特許文献1】特開2001−38517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、このような切削工具においては、切削時に大きな切削力がインサートに作用した場合や、長期間の使用にともない取付座又は取付座に固定されたプレートが摩耗又は変形すると、インサート取付け時の静的精度や切削時のビビリ等の動的精度の確保が困難となり、製品精度が低下するという問題があった。
【0005】
しかしながら、凹部に形成された取付座を修正することや、凹部に接合手段によって固定されたプレートを凹部から取り外して新たなプレートを取付けることは、多くの工数が必要とされるうえコスト面でも採算が合わず、切削加工時のバランスや高い加工精度が要求される両側面においては特に重要な問題である。
【0006】
また、工具本体に取付られるインサートが工具本体によって限定されることは、刃幅が異なるインサートを使用する場合にそれぞれの刃幅に対応した工具本体を準備する必要があり、多種少量生産をするような場合に多くの設備投資が必要とされ、さらに、インサートの性能向上が著しい近年の状況を鑑みると、加工する製品に適したインサートや性能の良いインサートを使用することは品質向上やコスト削減にとって非常に重要である。
【0007】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたもので、工具本体の両側面外周部に形成された凹部に設けられた取付座にインサートが装着される切削工具において、切削時に作用する大きな切削力や長期間にわたる使用による工具本体の摩耗や変形を抑制し、工具本体を長期間にわたって精度高く維持し、工具本体の寿命が延長可能とされ、あわせて両側面外周部に装着されるインサートの刃幅調整が可能な切削工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達するために、この発明は以下の手段を提供している。
請求項1に記載の発明は、軸線回りに回転される円板状の工具本体の外周部に、該工具本体の一方の側面に開口する第1の凹部と他方の側面に開口する第2の凹部とが形成され、これら凹部に設けられる取付座に、切刃を有するインサートが着脱自在に装着される切削工具であって、前記第1、第2の凹部には、前記インサートを支持するための支持プレートが着脱自在に取付けられ、前記支持プレートには、前記第1、第2の凹部の工具回転方向後方側と該第1、第2の凹部が開口する前記側面とは反対側に延びる支持部が形成されていることを特徴とする。
【0009】
この発明に係る切削工具によれば、インサートは、工具回転方向後方側と両側面に形成された第1、第2の凹部の開口する側面とは反対側に支持部を有する支持プレートを介して取付座に取付けられるので、切削時に、インサートの工具回転方向後方又は凹部の開口する側面とは反対側に大きな切削力が作用する場合や長期間にわたって使用される場合でも工具本体の摩耗、変形を抑制することができる。また、例えば、前記支持プレートを前記凹部が開口する側面とは反対側に延びる支持部の幅が異なるものと交換したりすることにより、インサートの刃幅調整が可能となり、刃幅が異なるインサートを装着して使用することができる。その結果、切削加工に関する加工コストを削減することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の切削工具であって、前記支持プレートは、取付ボルトにより前記工具本体に取付けられていることを特徴とする。
【0011】
この発明に係る切削工具によれば、取付座に対する支持プレートの取り付けが取付ボルトによりなされるので、着脱が容易であり短時間で確実に着脱を行なうことができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の切削工具であって、前記工具本体の外周部には、前記軸線方向において前記第1の凹部と前記第2の凹部との間に開口する他の凹部が形成され、前記他の凹部には前記インサートの切刃と前記軸線回りの回転軌跡において連続する他の切刃を有する他のインサートが着脱自在に取付けられていることを特徴とする。
【0013】
この発明に係る切削工具によれば、工具本体の外周部の両側面の凹部に取付けられたインサートの切刃の刃幅よりも、幅が大きい製品の切削加工にも対応することができ、又、他のインサートも工具本体に着脱自在に取付けられるので切削時に大きな切削力が作用する場合や長期間にわたって使用されてこの他のインサートに摩耗や変形が生じても該他のインサートを容易に交換することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る切削工具によれば、両側面外周部に形成された第1、第2の凹部に設けられた取付座に、これら凹部の工具回転方向後方側と第1、第2の凹部が開口する側面とは反対側に延びる支持部が形成された支持プレートを介して取付けるので、切削時にインサートの工具回転方向後方又は第1、第2の凹部の開口する側面とは反対側に大きな切削力が作用する場合や長期間にわたって使用される場合でも工具本体の摩耗、変形を抑制することができ、工具本体の精度を長期間にわたって維持して工具本体の寿命を延長することが可能となる。
また、第1、第2の凹部が開口する側面とは反対側に延びる支持部の幅が異なる支持プレートと交換することにより、インサートの刃幅調整をすることが可能となり、工具本体に対する設備投資を削減するとともに、加工する製品に適したインサートや性能の良いインサートを使用することによる品質向上やコスト削減が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1から図5は、本発明の一実施形態を示すものであり、図1において、符号1は切削工具を、符号2は工具本体を示している。
本実施形態において、切削工具1は、軸線Oを中心とした外形略円板状の工具本体2を備えたサイドカッタとされ、この軸線O回りに図中に符号Tで示す工具回転方向に回転されることにより切削工具1の両側面外周部及び外周部に対応する位置の切削加工に供されるものである。
【0016】
切削工具1は、図1、図2に示すように、工具本体2と、工具本体2の両側面外周部に取付けられる超硬合金等の硬質材料からなる複数の第1のインサート(インサート)40と、工具本体2の外周部に取付けられる超硬合金等の硬質材料からなる複数の第2のインサート(他のインサート)50とを備えており、工具本体2は第1のインサート40の工具回転方向Tの後方側を支持する第1のインサート40よりは軟質な例えば鋼材(SKD61)からなる支持プレート5を備えている。
【0017】
図3は、工具本体2の軸線Oを含む断面であり、工具本体2は、軸線Oを中心として、径方向内方から外方に向かって、中央に取付穴が形成されたボス部27と、リブ部29と、外周円環部28とを備えており、ボス部27の一方側の端面27Aは、外周円環部28の一方側の側面28Aよりも工具本体2の軸線O方向の中央側に凹んで形成されるとともに、ボス部27の他方側の端面27Bは外周円環部28の他方側の側面28Bよりも突出して形成されており、ボス部27の中央には一方側の端面27Aから他方側の端面27Bに貫通する取付穴が形成され、他方側の端面27Bにはキー溝が形成されている。
また、リブ部29には、工具本体2を軽量化するために複数の孔29Aが形成されている。
【0018】
また、工具本体2の外周部2Cには、軸線O方向から見た場合に外周部2Cから内周側に凹むとともに、両側面2A、2Bのうち一方の側面2Aから工具本体2の軸線O方向の中央部に向かって延びる第1の切粉ポケット3Aと、他方の側面2Bから工具本体2の軸線O方向の中央部に向かって延びる第2の切粉ポケット3Bとがそれぞれ複数形成されており、各切粉ポケット3A、3Bの工具回転方向Tの後方側には、切粉ポケット3A、3Bと工具本体2の外周部2Cと両側面2A、2Bのうち該切粉ポケット3A、3Bが開口する側の各側面2A、2Bに開口する第1、第2の凹部4が形成されており、第1、第2の凹部4にはそれぞれ第1の取付座8が形成されて、第1のインサート40が収納可能とされている。
【0019】
第1の取付座8に取り付けられる第1のインサート40は、本実施形態では、図2、図4(A)、(B)に示すように、外形が平行四辺形平板状をなしており、上下2つの平行四辺形面41と、該平行四辺形面41と直交し2つの平行四辺形面41の長辺と交差する2つの側面43と、2つの平行四辺形面41の短辺と交差する2つの側面44とを有しており、平行四辺形面41と側面43とが交差する辺稜部にはその両側の側面44との交差稜線部に1/4円弧状のコーナを有する切刃41Aが形成され、その切刃41Aに連なる側面43はすくい面とされている。
また、第1のインサート40の平行四辺形面41の中央部には、第1のインサート40の2つの平行四辺形面41を貫通する取付孔45が形成されている。
【0020】
また、後述する第2の取付座9に取り付けられる第2のインサート50は、本実施形態では、長手方向に直交する断面が偏平した等脚台形状をなす略長方形平板状をなし、すなわち長方形をなす上面51と、この長方形と長さが同じで幅が短く形成された下面52と、上面51の長辺と下面2の長辺を接続して形成される2つの側面53と、図5(B)に示すように前記等脚台形状をなす2つの側面54とを備え、上面51と側面53の交差稜線部に切刃55が形成された構成とされている。
【0021】
第2のインサート50の切刃55と、工具本体2の外周円環部28に、図3の2点鎖線で示すように着脱自在に取付けられ、両側面2A、2Bに配置される第1のインサート40の切刃41Aとは、軸線O回りの回転軌跡において連続するように構成されている。
【0022】
第1、第2の切粉ポケット3A、3Bのそれぞれは、これら第1、第2の切粉ポケット3A、3Bが開口される側の各側面28A、28B側が工具本体2の中央側よりも回転方向T側にわずかに傾斜する溝部として形成されており、それぞれの切粉ポケット3Aの後方に連結される凹部4を外周部2C側からみると、切粉ポケット3Aを構成する溝部に平行に形成されている。
【0023】
また、それぞれの第1、第2の切粉ポケット3A、3Bと第1、第2の凹部4は、工具本体2の一方の側面2A側の切粉ポケット3A及び第1の凹部4が、工具本体2の他方の側面3B側の切粉ポケット3B及び第2の凹部4に対してわずかに工具回転方向T側に配置されており、外周部2Cの軸線O方向の中心に対して左右対称の形状とされている。
また、工具本体2の外周部2Cには、外周部2C側からみた場合に、工具本体2の一方の側面2A側が他方の側面2B側に対して工具回転方向T側にわずかに傾斜して延在するとともに、外周部2Cから内周側に凹む切粉ポケット3Cが、工具本体2の周方向に間隔をあけて複数形成されており、各切粉ポケット3Cの工具回転方向Tの後方側には第3の凹部6が形成され、第3の凹部6には第2の取付座9が形成されて第2のインサート50が収納可能とされている。
ここで、第1の切粉ポケット3A及び第2の切粉ポケット3Bは、隣合う第3の切粉ポケット3Cの間を周方向に略3等分する位置にそれぞれふたつずつ配置されている。
【0024】
なお、本実施形態の切削工具1は、図2のように、第3の切粉ポケット3C及び第3の凹部6の工具回転方向Tの後方側に、側面2Aには2組の第1の切粉ポケット3A及び第1の凹部4が、側面2Bには2組の2組の第2の切粉ポケット3B及び第2の凹部4が、工具本体2の周方向に間隔をあけて配置されている。
【0025】
凹部4には、第1のインサート40の工具回転方向Tの後方側に支持プレート5が配置されるとともに取付ボルト5Hによって着脱自在に取付けられ、支持プレート5の工具回転方向Tには第1のインサート40が取付ボルト46によって第1、第2の凹部4に取付けられている。
また、第3の凹部6には、第2のインサート50が取付ボルト56によって着脱自在に取付けられている。
【0026】
第1、第2の凹部4は、図4に示すように、第1、第2の切粉ポケット3A、3B及び工具本体2の外周円環部28の各側面28A、28Bに連なる平坦な底面4Cと、底面4Cより工具本体2の内周側に一段凹んで形成され外周円環部28の各側面28A、28Bに連なる平坦な底面4Dと、工具回転方向T側を向いて底面4Dに垂直に各側面28A、28B及び外周部2Cに連なる平坦な壁面4Eと、壁面4E及び外周部2Cに連なり底面4Dに垂直な壁面4Fとを備えており、これら壁面4E、4Fは鋭角に交差する方向に延びている。
【0027】
底面4Cは平行四辺形に形成されていて、底面4Dは底面4Cと組合わせたときに底面4Cよりも一回り大きな平行四辺形を構成するL字状とされている。
底面4Dには、支持プレート5が配置され、支持プレート5は、底面4D、壁面4E及び壁面4Fに当接され、取付ボルト5Hが底面4Dに形成されたネジ孔にねじ込まれることによって着脱自在に取付けられるようになっている。
【0028】
支持プレート5は、底面4Dと略同じ形状及び大きさを有するL字形状のブロックであって、すなわち凹部4の壁面4E、4Fがなす角度と等しい角度で鋭角に交差する支持部5V、5Wを有して、支持部5Vは支持部5Wより幅広とされ、この支持部5Vに2つの取付ボルト5Hが挿通される。また、支持プレート5は、底面4Dに密着可能な平坦な下面5Aと、支持部5Vに形成されて壁面4Eに密着可能な側面5Bと、支持部5Wに形成されて壁面4Fに密着可能な側面5Cとを備えており、これらの面4D、4E、4Fと面5A、5B、5Cとを互いに密着させて支持プレート5を凹部4に装着した状態で、上記下面5Aと反対側の上面5Dは工具本体2の外周部2C側の面よりも突出するとともに、第1のインサート40の上面41よりは凹んで形成され、側面5Bと反対側の工具回転方向T側を向く側面5Eは第1の取付座8の一部をなし、この側面5Eに第1のインサート40の工具回転方向Tの後方側を向けられた側面43が取り付けられるようになっている。
【0029】
また、側面5Cと反対側の支持部5Vの側面5Dは、工具回転方向Tの後方側に向かうにつれて、外周円環部28の各側面28A、28Bから工具本体2の軸線O方向の中央に逃げる傾斜面とされ、側面5Cと反対側の支持部5Wの側面5Gは、第1の取付座8の一部をなし、この側面5Gに第1のインサート40の側面44が取り付けられるようになっている。
側面5Cから各側面2A、2Bに形成された開口部とは反対側に側面5Gまでの間を構成する壁部は、第1のインサート40の幅を調整可能な支持部とされる。
【0030】
この第1の取付座8は、第1、第2の凹部4の底面4Cと、上記支持プレート5の支持部5Vの側面5Eと、支持部5Wの側面5Gとによって画成されており、図1、図2、図4に示すように、底面4Cは、軸線O方向からみたときに、取付座8に配置される第1のインサート40の外周側を向く平行四辺形面41が、工具回転方向T後方側に向かうに従い、工具本体2の径方向内方にわずかに傾斜するように形成されるとともに第1のインサート40の側面2A、2B側の側面44が各側面2A、2Bからも逃げ、このような構成とされることによって、第1のインサート40の平行四辺形面41に逃げ面が形成されるようになっている。
【0031】
第3の凹部6は、図5に示すように、切粉ポケット3Cの工具回転方向Tの後方側に工具本体2の外周部2Cから内周側に一段凹んで形成されるとともに切粉ポケット3Cと外周部2C側に開放され、工具本体2の軸線O方向の幅が切粉ポケット3Cよりも小さく形成されるとともに、切粉ポケット3Cよりも浅く形成されている。
【0032】
第3の凹部6は、切粉ポケット3Cに連なる平坦な底面6Cと、この底面6Cに垂直に形成されるとともに外周円環部28の各側面28A、28B側に位置し、外周部2C側に連なる壁面6E、6Dと、壁面6Eに垂直に形成されるとともに工具回転方向T側を向いて外周部2Cに連なる平坦な壁面6Fとを備えている。
また、壁面6Dは、壁面6Eに対して、工具本体2の一方の側面2A側に位置されている。
【0033】
第3の凹部6の底面6Cは、軸線O方向に交差して延びる長方形に形成されていて、底面6Cに第2のインサート50が配置された状態で、第2のインサート50は底面6C、壁面6E及び壁面6Fに当接され、取付ボルト7Gが底面6Eに形成されたネジ孔にねじ込まれることによって着脱自在に取付けられるようになっている。
このとき、第3の凹部6の工具回転方向Tの後方側に、第2のインサート50の工具回転方向Tの後方側を支持する支持プレートを設けてもよい。
【0034】
このとき、底面6C、壁面6E及び壁面6Fは、取付座9を画成するようになっており、図5(A)、(B)に示すように、底面6Cを軸線O方向からみたときに、取付座9に配置された第2のインサート50の外周側に向く面51が、工具回転方向T後方側に向かうに従い内周側にわずかに傾斜する構成とされ、2のインサート50に逃げが与えられるようになっている。
【0035】
また、本実施形態では、第1のインサート40の平行四辺形面41に2つの切刃41Aが形成されているので、第1のインサート40を中心回りに180°回転させて各側面2A、2Bに位置する2つの切刃41Aの位置を替えることにより第1のインサート40を2回にわたって使用することができ、さらに反転させて反対側の側面2B、2Aに取付け直すことにより合計4回使用することができる。
【0036】
上記実施の形態に係る切削工具1によれば、工具本体2の両側面外周部に形成された第1、第2の凹部4の第1の取付座8に第1のインサート40を取付ける場合、第1のインサート40の工具回転方向Tの後方側に工具本体2と着脱自在とされた支持プレート5を介して第1のインサート40を取付けるので、切削時に大きな切削力が作用する場合や長期間にわたって使用される場合であっても、工具本体2の第1、第2のの凹部4に対する摩耗や変形が抑制される。また、支持プレート5が摩耗又は変形した場合、支持プレート5のみを交換することにより、工具本体2が新しいときと同じ状態で第1のインサート40を第1の取付座8に取付けることが可能となる。
その結果、工具本体2の精度を長期間にわたって維持して工具本体の寿命を延長することが可能となる。
その結果、切削加工に関する加工コストを削減することができる。
【0037】
また、支持プレート5が、工具回転方向Tの後方及び両側面2A、2Bの反対側に延びる支持部5V,5Wを有しているので、第1のインサート40の工具回転方向T前方からの主分力と、側面2A、2Bからの背分力が工具本体2の壁面4E、及び壁面4Fに直接加わることがなく、その結果、第1のインサート40によって工具本体2への摩耗や変形が抑制される。
【0038】
また、支持プレート5を側面5Cと側面5Gの間の支持部5Wの幅の異なる支持プレートに変えることによって、刃幅が異なる第1のインサート40に支持プレート5を対応させることが可能となり、多種少量生産をするような場合や加工する製品に適したインサートや性能の良いインサートを使用することが可能となり、工具本体2に対する設備投資を抑制しつつ、品質向上やコスト削減をすることができる。
【0039】
また、支持プレート5が例えば硬度HRC50のSKD61により形成されるとともに、工具本体2が例えば硬度HRC32のSCM440により形成されて、支持プレート5の硬度が、工具本体2の硬度より高く構成されているので、第1のインサート40を工具本体2に直接装着する場合に比較すると大きな切削力が作用した場合であっても、工具本体2の摩耗や変形を抑制することができ、その結果、工具本体2の精度を長期間にわたって維持し、工具本体2の寿命を延長することが可能となる。
【0040】
以上、本発明に係る切削工具1の一実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
上記実施の形態においては、外周部2Cの中央にも切粉ポケット3Cと第3の凹部6が形成されて、第2のインサート50が設けられた場合について説明したが、外周部2Cの中央に第2のインサート50を設けない構成とすることも可能である。
【0041】
また、上記実施の形態においては、支持プレート5がSKD61で製作され、工具本体2がSCM440で製作されて、支持プレート5の硬度が工具本体2の硬度よりも高い場合について説明したが、支持プレート5、工具本体2を、上記材質とは異なる材質で製作することも可能であるし、その場合に、支持プレート5と工具本体2に係る相対的な硬度を上記の同じ順序とし又は上記実施形態とは逆の順序に構成することも可能である。
【0042】
また、上記実施の形態においては、工具本体2の外周部2Cの周方向に隣合う第2の取付座9の間に2組の第1の凹部4と2組の第2の凹部4がそれぞれ形成される場合について説明したが、これら第1、第2の取付座の組合せ、数及び配置については、任意に選択可能であることはいうまでもない。
【0043】
また、上記実施の形態においては、外周部2C側からみた形状が平行四辺形状とされ、軸線Oを含む断面における形状が長方形とされる第1のインサート40を工具本体2に取付ける場合について説明したが、その他の形状を有する第1のインサートをそれに対応した形状を有する支持プレート5とともに用いることも可能である。
また、第2のインサート50の形状その他の仕様に関しても同様である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1における切削工具の矢線X方向視の詳細図である。
【図3】図1における切削工具の軸線を含む縦断面図である。
【図4】本発明に係る切削工具の詳細を示す図であり、(A)は外周部側から、(B)は一方の側面側からみた図である。
【図5】本発明に係る切削工具の詳細を示す図であり、(A)は外周部側から、(B)は一方の側面側からみた図である。
【符号の説明】
【0045】
1 切削工具
2 工具本体
4 第1の凹部、第2の凹部
6 第3の凹部
5 支持プレート
8 第1の取付座
9 第2の取付座(他の取付座)
40 第1のインサート
41A 切刃
50 第2のインサート(他のインサート)
55 切刃(他の切刃)
O 工具本体2の軸線
T 工具回転方向
2A 一方の側面
2B 他方の側面
2C 外周部
5W 支持部
【出願人】 【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
【出願日】 平成18年9月19日(2006.9.19)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦

【識別番号】100106057
【弁理士】
【氏名又は名称】柳井 則子


【公開番号】 特開2008−73778(P2008−73778A)
【公開日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願番号】 特願2006−252619(P2006−252619)