トップ :: B 処理操作 運輸 :: B23 工作機械;他に分類されない金属加工

【発明の名称】 締付ネジ用のセンタ孔を有する焼結切削植刃
【発明者】 【氏名】バルストローム,ラルス−グンナー

【要約】 【課題】切屑を形成する機械加工用の割出可能切削植刃を提供する。

【構成】切削植刃は、焼結粉末で形成された本体を含み、締結ネジを受容するために本体を貫通して延びたセンタ孔を有する。センタ孔は、円筒部を含んでいる。本体は、植刃のそれぞれの主切刃から下方へと延びた2つの側面を含んでいる。凹部が、各側面に形成されており、本体の底部へと延びている。各凹部は、長さがセンタ孔の直径よりも長くなっている。凹部の長さは、センタ孔の直径の120%であることが望ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
切屑を形成する機械加工用の割出可能切削植刃であって、焼結粉末で形成された基本的に平行四辺形状の本体を備え、該本体は、
2つの主切刃を形成する上面であって、前記植刃を当該上面に垂直な方向に見ると各主切刃が膨らんでいる上面と、
底面と、
それぞれの主切刃に対して下方へと延びる2つの長手側面と、
前記植刃の長手方向に離れて位置する2つの端面であって、各々、前記本体における該本体の残りの部分から長手方向に突出した部分に設けられたベベルを有する端面と、
前記各側面は、前記植刃のそれぞれの切削作用角へ向けて、それぞれの側面における対向する端部に対して切削作用角が持ち上がるように、高さが大きくなり、前記側面は、概ね、前記上面に向かって鋭角に傾斜するとともに前記底面に向かって鈍角に傾斜し、前記各側面の上部は、それぞれの主切刃全体に亘って下方に傾斜して延びて逃げ角を形成した波型の主要逃げ面を備えていることと、
前記本体を前記上面から前記底面まで完全に貫通して延び、締付ネジのネジ切りされたシャンクを受容するように適合した円筒部を含み、前記上面近傍の拡大部をさらに含むセンタ孔と、
ホルダにおける植刃の位置の支持面を当接させるように適合した複数の当接面を規定した各長手側面の下部領域であって、底面まで延びるとともに長手方向に前記センタ孔の前記円筒部の直径よりも長い距離延びた凹部を含み、該凹部は、前記植刃を前記側面に向かう方向に見ると、前記植刃の長手方向に前記円筒部全体を越えて延びており、前記植刃の前記長手方向で前記凹部の両側に二つの平面部分を有する各長手側面の下部領域とを、含み、
前記センタ孔を有する前記植刃がプレスして焼結されることによりもたらされる膨らみが前記二つの平面部分から排除されていることを特徴とする割出可能切削植刃。
【請求項2】
前記距離は、前記円筒部の直径の少なくとも120%であることを特徴とする請求項1記載の割出可能切削植刃。
【請求項3】
ポケットと、該ポケットから立ち上がった支持面、及び該ポケットに形成されたネジ切りされた穴を有する少なくとも1つの植刃受容位置を形成し、長手方向に延びた回転軸を規定する回転シャンクと、
前記植刃受容位置に取り付けられた植刃であって、焼結粉末で形成された基本的に平行四辺形状の本体を備え、該本体は、
2つの主切れ刃を形成する上面であって、前記植刃を当該上面に垂直な方向に見ると各主切れ刃が膨らんでいる上面と、
前記ポケット上に設置された底面と、
それぞれの主切れ刃に対して下方へと延びる2つの長手側面と、
長手方向に離れて位置する2つの端面であって、各々、前記本体における該本体の残りの部分から長手方向に突出した部分に設けられたベベルを有する端面と、
前記各側面は、前記植刃のそれぞれの切削作用角へ向けて、それぞれの側面における対向する端部に対して切削作用角が持ち上がるように、高さが大きくなり、前記側面は、概ね、前記上面に向かって鋭角に傾斜するとともに前記底面に向かって鈍角に傾斜し、前記各側面の上部は、それぞれの主切れ刃全体に亘って下方に傾斜して延びて逃げ角を形成した波型の主要逃げ面を備えていることと、
前記本体を前記上面から前記底面まで完全に貫通して延び、締付ネジのネジ切りされたシャンクを受容するように適合した円筒部を含み、前記上面近傍の拡大部を含むセンタ孔と、
前記支持面を当接させるように適合した当接面を規定した、各長手側面の下部領域であって、底面まで延びるとともに長手方向に前記センタ孔の前記円筒部の直径よりも長い距離延びた凹部を含み、該凹部は、前記植刃を前記側面に向かう方向に見ると、前記植刃の長手方向に前記円筒部全体を超えて延びており、前記植刃の前記長手方向で前記凹部の両側に二つの平面部分を有する各長手側面の下部領域とを、含んだ植刃と、
前記センタ孔を貫通して延び、前記ネジ切りされた穴にネジ止めされた締付ネジとを備え、
前記センタ孔を有する前記植刃がプレスして焼結されることによりもたらされる膨らみが前記二つの平面部分から排除されていることを特徴とするフライス。
【請求項4】
前記距離は、前記円筒部の直径の少なくとも120%であることを特徴とする請求項3記載のフライス。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ワークを機械加工するための回転エンドミルに利用する切削植刃に関する。特に、本発明は、焼結粉末で形成されて締結具を受容するためのセンタ孔を有する切削植刃に関する。
【背景技術】
【0002】
エンドミル用のフライス植刃は、一般に、形状をプレスし、切削材料形成粉末を焼結することにより、製造される。このような植刃は、通例、正のすくい角を有する正の切刃を備えている。これは、このような植刃が、工作機械にて必要とされる切削力及び粉末供給を減らすと同時に好ましくない振動を減らす能力を、示すためである。多くの場合、工具を、軸角度を正として径角度を負とした形状にすることが望ましい。ある種の場合、正の軸角度と0度の径角度との組み合わせが、切屑を螺旋状に巻くために用いられうる。切屑を螺旋状に巻くことは、切屑の移送として最も好ましい。切削植刃は、通常、該植刃のセンタ孔に通されるセンタ締付ネジにより、締め付けられる。
【0003】
植刃が実質的に真直な90度の肩を機械加工可能とするために、例えば特許文献1〜3に開示されているように、植刃の主切刃を波形にすることが提案されている。
【0004】
また、特許文献4では、主切刃が形成された各側面に凹部を設けることが、提案されている。凹部は、少なくともそれぞれの側面の下部領域を2つの離隔した当接面部分に分割している。なお、植刃がホルダ内に取り付けられると、当接面部分は、植刃受容位置の支持面に接する。特許文献4では、凹部の長さは、対応する側面の長さの25〜35%になりうると、説明されている。そのような寸法にすると、凹部の長さは、植刃のセンタ孔における主要な円筒部の直径未満となる。
【0005】
【特許文献1】米国特許第6,142,716号
【特許文献2】米国特許第6,193,446号
【特許文献3】米国特許第6,196,770号
【特許文献4】米国特許第5,365,805号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
その事実は、以下の理由により重要である。植刃の製造中、最終的な植刃の概略形状を有する容器に粉末が入れられ、圧縮されて焼結される。圧縮工程中、粉末の一部が、センタコアに対して圧縮される。これにより、植刃にセンタ孔が形成される。粉末における当該部分は、他の部分よりも高度に圧縮される。すると、より圧縮された粉末は、焼結工程中に、より少ない割合で収縮する。その結果、植刃のそれぞれの側面は、わずかに膨らんだ形状になると推定される。このことが、ホルダにおける植刃受容位置の支持面に対して側面が安定して当接する能力に干渉することがある。
【0007】
特許文献4に開示された上述の短い凹部の場合、支持面におけるいくらかの膨らみは、凹部が存在しても残ることになる。さらに、特許文献1の場合、凹部は、植刃の底部にまでは延びない。そうすると、側面における高さの小さい部分が残される。これは、その膨らみによるもので、支持面に接触する場合に、安定して当接するようにすることの障害となりうる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、切屑を形成する機械加工用の割出可能切削植刃に関する。植刃は、焼結粉末で形成された基本的に平行四辺形状の本体を備えている。本体は、2つの主切刃を形成する上面を含んでいる。植刃を上面に垂直な方向に見ると、各主切刃は膨らんでいる。また、本体は、底面と、それぞれの主切刃に対して下方へと延びる2つの長手側面とを、含んでいる。また、本体は、植刃の長手方向に離れて位置する2つの端面を、含んでいる。各端面は、本体における該本体の残りの部分から長手方向に突出した部分に設けられたベベルを有する。各側面は、植刃のそれぞれの切削作用角へ向けて、それぞれの側面における対向する端部に対して切削作用角が持ち上がるように、高さが大きくなっている。側面は、概ね、上面に向かって鋭角に傾斜するとともに底面に向かって鈍角に傾斜している。各側面の上部は、それぞれの主切刃全体に亘って下方に傾斜して延びて逃げ角を形成した波型の主要逃げ面を備えている。センタ孔は、本体を上面から底面まで完全に貫通して延び、締付ネジのネジ切りされたシャンクを受容するように適合した円筒部を含んでいる。さらに、センタ孔は、上面近傍に位置した拡大部を含んでいる。各長手側面の下部領域は、ホルダにおける植刃の位置の支持面を当接させるように適合した当接面を規定している。下部領域は、底面まで延びるとともに長手方向にセンタ孔の円筒部の直径の少なくとも120%に等しい距離(好ましくはその直径の少なくとも120%)延びた凹部を含み、該凹部は、植刃を側面に向かう方向に見ると、植刃の長手方向に円筒部全体を越えて延びている。凹部の両側には、植刃がプレスして焼結されることによりもたらされる膨らみが排除されている二つの平面部分を有している。
【0009】
また、本発明は、ホルダ及び上述の割出可能切削植刃を備えたフライスに関し、その凹部は、植刃を側面に向かう方向に見ると、植刃の長手方向に円筒部全体を越えて延びている。
【0010】
本発明の目的及び利点は、その好適な実施形態についての、添付の図面を伴う以下の詳細な説明により、明らかとなるであろう。図面において、同様の構成要素は、同一の番号で示されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図5に示されているのは、エンドミル10であり、本発明による長く拡がった角柱状の割出可能植刃13が設けられたシャフト9を有する。切削植刃は、直接プレス法によって製造される。直接プレス法では、超硬合金粉末がプレスにて所望の形状とされ、加熱炉にて1000度を超える温度で焼結される。
【0012】
エンドミルは、実質的に円柱状の本体を備えている。本体の後部(図示せず)は、円錐状で、工作機械のチャックやスピンドル等の駆動部にて締め付けられるようになっており、それにより、本体は中心軸Aを中心として回転可能である。エンドミルの前部には、各々底部支持面14により規定された、周状配置のいくつかのポケット12と、ワーク位置にて着脱可能に締め付けられる割出可能植刃13を受けるために立ち上がった1つ以上の側方支持面11a、11bとがある(図1、図2参照)。
【0013】
各ポケット12の底面14により、長手回転軸Aとの正の軸角度aが、ゼロの径角度又は正の径角度と組み合わされて形成されている。この正の軸角度aの大きさは、0°を超えるとともに20°以下であり、好ましくは5〜15°とすべきである。軸角度aが正であると、切屑が容易に押し上げられてワークから投棄されるようになる。
【0014】
割出可能植刃13は、それぞれのポケット12内に締付ネジ9により締結されるようになっていることが、望ましい。締付ネジ9は、植刃のセンタ孔15に通されて受容され、フライス本体内にネジ留めされる。各センタ孔15には、締付ネジ9のネジ切りされたシャンクを受けるための円筒部15aと、ネジの頭を受ける拡大部15bとが、含まれている。
【0015】
割出可能植刃13は、実質的に、細長い平行四辺形として形成されており、上面16及び底面17を有する。上面16と底面17との間には、2つの長手側面18、19及び2つの端面20、21が延びている。各側面18、19は、上面16及び底面17と交差して、それぞれの切刃24、18′を形成する。
【0016】
側面18、19は、横方向に延びた端面20、21よりも、長手方向にかなり延びた長さLとなっている。図3にみられるように、これらの側面18、19は、概ね、上面16に対して鋭角で傾斜しており、底面17に対して鈍角で傾斜している。端面20、21は、対角線上で対向する角22、23を形成している。これらの角22、23は、植刃本体の残りの部分から軸方向、すなわち、長さ寸法Lに平行な方向に突出している。上面16とそれぞれの側面18又は19との各交線は、概ね、長手方向に延びた主切刃24を形成している。
【0017】
各端面20、21は、上面16と交差して、軸方向の傾斜にて切刃作用部を形成する。
各長手側面18、19は、切削作用角に向かうにつれて、幅W(高さ)が拡がるように設計されているので、切削作用角は、切削植刃におけるそれぞれの高い部分に位置することになる(図3参照)。切削植刃は、両側面18、19及び両端面20、21が、切刃全体に亘って切削植刃の上面16に対して正の逃げ角をとるように、形成されている。さらに、切削植刃の長手側面18、19は、側面視において(図3)、主切刃24全体に亘って延びる波型の主要逃げ面30を有し、一方の端面から他方の端面に向かって軸方向下方に大きく傾斜している。
【0018】
上面16には、2つのランドが含まれている。各ランドは、それぞれの長手側面18又は19に沿って延びた狭窄部32aと、それぞれの端面20又は21に沿って延びた広幅部32bとを有する。
【0019】
各主切刃24は、上面に垂直な方向に見ると(図2参照)、わずかに膨らんだ形状になっている。主切刃が膨らんでいると、植刃13が、軸に垂直な方向に見て(図6参照)、ホルダの回転軸に対して角度cで傾斜するようになるとともに、主切刃の全作用部が、回転軸から一定の距離Dに保たれる(図7参照)。このため、研磨不能なスクラッチを残さずに、ワークWPを正確に90度に切削可能となる。従って、膨らんだ各主切刃24の曲率半径は、傾斜cの大きさと切削工具の直径との関数であることが、理解されるであろう。
【0020】
各側面18、19の下部40は、支持面11bを当接させる当接面を規定している。各側面18、19の下部40に少なくとも形成されているのは、底面17へと延びる凹部42である。凹部42は、長手方向の長さがL′であり、センタ孔15の円筒部15aの直径よりも長く、好ましくはその直径の少なくとも120%となっている。
【0021】
センタ孔の円筒部15aと各凹部42との相対配置は、植刃を側面のいずれかに向かってみた場合に(図3参照)、それぞれの凹部42が、植刃の長手方向に円筒部全体よりも長く延びるようになっている。その結果、(上述のように)センタ孔を有する植刃を従来のようにプレスして焼結することによりもたらされる膨らみは、完全に解消され、側面における2つの平面(平坦)部分40aのみが残される。すなわち、側面18、19におけるいずれの当接面40にも膨らんだ部分が残ることはない。従って、平坦部分40aが平坦な支持面11bに当接すると、植刃は、そのポケットにて確実に安定支持されるようになる。
【0022】
上記説明では、複数の植刃13による単一の周状列について説明した。しかしながら、図8に示すように、フライス上に植刃の環状列を複数列設けてもよいことが、理解されるであろう。なお、ここでは、植刃の4つの周状列におけるそれぞれの植刃13a〜13dは、ワークWPに90度の肩を切削するものとして図示されている。
【0023】
本発明はその好適な実施形態に関して説明されたが、特に記述されない追加、削除、変更、及び置換が、添付の特許請求の範囲で規定される本発明の真意及び範囲から外れることなくなされうることが、当業者には理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明による切削植刃を備えたエンドミルの側面図であり、植刃をその側面に向かう方向から見ている。
【図2】図1と同様の図であり、植刃をその上面に向かう方向から見ている。
【図3】切削植刃の側面図である。
【図4】切削植刃の上部斜視図である。
【図5】エンドミルの縦断面図であり、2つの植刃を示している。
【図6】切削植刃の周状列を2つ以上備えたエンドミルの模式的側面図である。
【図7】エンドミルの回転軸に平行な方向にとった模式図であり、回転軸に対する切削植刃の切刃の向きを示している。
【図8】ワークに対して90°の肩を切削するための植刃の配置を示す模式図である。
【出願人】 【識別番号】505277521
【氏名又は名称】サンドビック インテレクチュアル プロパティー アクティエボラーグ
【出願日】 平成19年11月28日(2007.11.28)
【代理人】 【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤

【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一

【識別番号】100102819
【弁理士】
【氏名又は名称】島田 哲郎

【識別番号】100112357
【弁理士】
【氏名又は名称】廣瀬 繁樹


【公開番号】 特開2008−62382(P2008−62382A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2007−308003(P2007−308003)