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切削工具 - 特開2008−55530 | j-tokkyo
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【発明の名称】 切削工具
【発明者】 【氏名】古賀 健一郎

【要約】 【課題】切削インサートを装着してなる切削工具において、切削加工時にかかる切削抵抗を低減させ、かつ、切削インサートを安定してホルダへ拘束して、びびり振動を抑制し切削加工の高能率化、高精度化を実現した切削工具を提供する。

【構成】本体部と主切れ刃と逃げ面と逃げ面に形成された複数の溝部とを有した切削インサートと、柱状をなすとともにインサート装着部を有したホルダと、を備え、逃げ面は、先端側に位置する先端側ホルダ当接面と他端側に位置するとともに先端側ホルダ当接面と離間して形成される後端側ホルダ当接面とを有し、ホルダのインサート装着部は、先端側ホルダ当接面と当接する先端側インサート拘束面と、後端側ホルダ当接面と当接する後端側インサート拘束面と、を有し、先端側ホルダ当接面および後端側ホルダ当接面は、各々、溝部により離間された複数の分割先端側ホルダ当接面および分割後端側ホルダ当接面を有した切削工具である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面視で略多角形をなす本体部と、該本体部の上面と側面との交差稜線部のうち前記略多角形の1辺に形成された主切れ刃と、前記本体部の側面に形成された逃げ面と、前記主切れ刃を分断するよう前記逃げ面に形成された複数の溝部と、を有するとともに、上面視において略多角形の図心に関して180度回転対称である切削インサートと、
柱状をなすとともに、先端側に前記切削インサートが装着されるインサート装着部を有したホルダと、を備え、
前記切削インサートの逃げ面は、前記切削インサートの前記ホルダ装着時に前記ホルダの先端側に位置する先端側ホルダ当接面と、他端側に位置するとともに前記先端側ホルダ当接面と離間して形成される後端側ホルダ当接面と、を有し、
前記ホルダのインサート装着部は、前記切削インサートの前記先端側ホルダ当接面と当接して前記切削インサートを前記ホルダに拘束する先端側インサート拘束面と、前記切削インサートの前記後端側ホルダ当接面と当接して前記切削インサートを前記ホルダに拘束する後端側インサート拘束面と、を有し、
前記先端側ホルダ当接面および後端側ホルダ当接面は、各々、前記溝部により離間された複数の分割先端側ホルダ当接面および分割後端側ホルダ当接面を有した切削工具。
【請求項2】
前記インサート装着部は、前記先端側インサート拘束面と前記後端側インサート拘束面との間に形成されるとともに、前記切削インサートの前記ホルダ装着時に前記切削インサートの逃げ面から離間するよう前記ホルダの中心に向かって窪んだ窪み部をさらに有した請求項1記載の切削工具。
【請求項3】
前記先端側ホルダ当接面と前記後端側ホルダ当接面の少なくとも一方が、平坦面を有してなるとともに、前記ホルダ当接面に対応する前記インサート拘束面と面当接する請求項1または2記載の切削工具。
【請求項4】
前記先端側ホルダ当接面は、前記複数の分割先端側ホルダ当接面を離間させる前記溝部より先端側に位置する前記分割先端側ホルダ当接面の面積が、前記溝部より後端側に位置する前記分割先端側ホルダ当接面の面積より大きくなるよう形成されている請求項1乃至3いずれか記載の切削工具。
【請求項5】
前記後端側ホルダ当接面は、前記複数の分割後端側ホルダ当接面を離間させる前記溝部より後端側に位置する前記分割後端側ホルダ当接面の面積が、前記溝部より先端側に位置する前記分割後端側ホルダ当接面の面積より大きくなるよう形成されている請求項4記載の切削工具。
【請求項6】
前記主切れ刃は、前記切削インサートの前記ホルダ装着時に前記ホルダの先端側から後端側に向かってインサート厚み方向において高さが漸減して形成された傾斜切れ刃を有した請求項1乃至5いずれか記載の切削工具。
【請求項7】
前記先端側ホルダ当接面は、前記後端側ホルダ当接面よりもインサート厚み方向において低位に形成された請求項6記載の切削工具。
【請求項8】
前記主切れ刃は、上面視で前記切削インサート外方に向かって凸状の曲線となる請求項1乃至7いずれか記載の切削工具。
【請求項9】
前記主切れ刃は、前記切削インサートの前記ホルダ装着時に、前記傾斜切れ刃よりも前記ホルダの先端側と後端側の少なくとも一方に形成された平坦切れ刃をさらに備えた請求項6乃至8いずれか記載の切削工具。
【請求項10】
前記ホルダは、前記インサート装着部を前記ホルダの周方向に複数有するとともに、該複数のインサート装着部に前記切削インサートが各々装着された請求項1乃至9いずれか記載の切削工具。
【請求項11】
前記複数のインサート装着部が、前記ホルダの先端側から後端側に向かって螺旋状に配置された請求項10記載の切削工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、切削インサートを装着してなる切削工具、特に重切削加工にも用いられる切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、切削加工の更なる高能率化および高精度化への要求が多くなり、それに用いられる切削工具も様々な形状が開発され、金型加工などの様々な分野で利用されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、主切れ刃がチップ外側に凸状の曲線からなるとともに、逃げ面に、表面から陥没した平坦面が形成されたインサートがホルダに装着された切削工具が開示されている。このような構成により、肩加工時や溝加工時における被削材の加工壁面の直角度を精度良く仕上げることができるとともに、安定してインサートをホルダに拘束することができる。
【0004】
また、特許文献2には、逃げ面に形成される第二逃げ面が少なくとも3つの区間に分けられ、そのうち、先端側および後端側に位置する各々の第二逃げ面が同一平面に位置する拘束面をなす切削工具が開示されている。このような構成により、安定してインサートをホルダに拘束することができる。
【特許文献1】特開2004−148424号公報
【特許文献2】特開2006−060248号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の切削工具は、安定してインサートをホルダに固定できるため、切れ刃の全長を用いた切削加工においても、切れ刃の欠損や境界欠損などの低減が図れるが、更なる切削加工の高能率化を図るべく、外周切れ刃の全長を用い、且つ、工具の送り量が大きな、より一層厳しい切削条件下においては、切削抵抗の増加が大きく、びびり振動の抑制が不十分となる場合があった。
【0006】
また、特許文献1および特許文献2に記載の切削工具を用いて、外周切れ刃の全長よりも長い垂直壁面を加工する場合には、多段切込み加工となってしまうため、加工効率が低下する傾向にあり、切削加工の高能率化が課題であった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の課題を解決するためになされたものであり、切削インサートを装着してなる切削工具、特に切削加工の高能率化が図れる重切削加工にも用いられる切削工具において、切削加工時にかかる切削抵抗を低減させるとともに、切削インサートを安定してホルダへ拘束して、びびり振動を抑制し、切削加工の高能率化および高精度化を実現した切削工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明の切削工具は、上面視で略多角形をなす本体部と、該本体部の上面と側面との交差稜線部のうち前記略多角形の1辺に形成された主切れ刃と、前記本体部の側面に形成された逃げ面と、前記主切れ刃を分断するよう前記逃げ面に形成された複数の溝部と、を有するとともに、上面視において略多角形の図心に関して180度回転対称である切削インサートと、柱状をなすとともに、先端側に前記切削インサートが装着されるインサート装着部を有したホルダと、を備え、前記切削インサートの逃げ面は、前記切削インサートの前記ホルダ装着時に前記ホルダの先端側に位置する先端側ホルダ当接面と、他端側に位置するとともに前記先端側ホルダ当接面と離間して形成される後端側ホルダ当接面と、を有し、前記ホルダのインサート装着部は、前記切削インサートの前記先端側ホルダ当接面と当接して前記切削インサートを前記ホルダに拘束する先端側インサート拘束面と、前記切削インサートの前記後端側ホルダ当接面と当接して前記切削インサートを前記ホルダに拘束する後端側インサート拘束面と、を有し、前記先端側ホルダ当接面および後端側ホルダ当接面は、各々、前記溝部により離間された複数の分割先端側ホルダ当接面および分割後端側ホルダ当接面を有したことを特徴とする。
【0009】
このような構成により、溝部が形成されたインサートであっても、インサートがホルダに装着された時に、ホルダの先端側と後端側の2箇所において、各々、分割インサート拘束面を離間させる溝部の両サイドで拘束することができるため、溝部に対してインサート外方側に位置するインサート両端側での安定した拘束に加えて、溝部に対してインサート内方側でも拘束でき、溝部両サイドのインサート強度が低下する箇所を確実に拘束することができる。そのため、大きな切削抵抗がかかる加工形態や、主切れ刃の全長を用いる加工形態においても、インサートをホルダに安定して拘束することができ、加工中のびびり振動を抑制することができる。その結果、切削加工の高効率化および高精度化が図れる。
【0010】
さらに、前記インサート装着部は、前記先端側インサート拘束面と前記後端側インサート拘束面との間に形成されるとともに、前記切削インサートの前記ホルダ装着時に前記切削インサートの逃げ面から離間するよう前記ホルダの中心に向かって窪んだ窪み部をさらに有したことで、インサートがホルダに装着された時に、貫通孔の形成などによりインサートの寸法誤差が大きくなりやすいインサート中央部において、ホルダとインサートとが、窪み部によって離間されるので、インサートの寸法誤差に影響されることなく、安定してインサートをホルダに拘束することができる。
【0011】
また、前記先端側ホルダ当接面と前記後端側ホルダ当接面の少なくとも一方が、平坦面を有してなるとともに、前記ホルダ当接面に対応する前記インサート拘束面と面当接することで、面当接することによる安定したインサートのホルダへの拘束が可能になるとともに、当接面および拘束面の加工が容易となるため、高精度な切削工具の加工コストの低減が図れる。
【0012】
さらに、前記先端側ホルダ当接面は、前記複数の分割先端側ホルダ当接面を離間させる前記溝部より先端側に位置する前記分割先端側ホルダ当接面の面積が、前記溝部より後端側に位置する前記分割先端側ホルダ当接面の面積より大きくなるよう形成されていることで、溝部の形成によって強度が低下するのに加えて、加工形態上より大きな切削抵抗がかかるインサートの先端側を、より強固に拘束することが出来る。
【0013】
また、前記後端側ホルダ当接面は、前記複数の分割後端側ホルダ当接面を離間させる前記溝部より後端側に位置する前記分割後端側ホルダ当接面の面積が、前記溝部より先端側に位置する前記分割後端側ホルダ当接面の面積より大きくなるよう形成されていることで、インサートの両端側を強固に拘束することが出来るため、主切れ刃の全長を用いるような深切込み加工においても安定してインサートをホルダに固定できる。
【0014】
さらに、前記主切れ刃は、前記切削インサートの前記ホルダ装着時に前記ホルダの先端側から後端側に向かってインサート厚み方向において高さが漸減して形成された傾斜切れ刃を有したことで、インサートをホルダに装着した際に、正のアキシャルレーキを確保することができるため、更なる切削抵抗の低減が図れ、より大きな切削抵抗がかかる加工形態にも使用できる。
【0015】
また、前記先端側ホルダ当接面は、前記後端側ホルダ当接面よりもインサート厚み方向において低位に形成されたことで、傾斜切れ刃の切れ刃高さに応じてホルダ当接面が形成されるため、より傾斜切れ刃に近接した位置で、インサートをホルダに拘束することができ、より安定した拘束が可能となる。
【0016】
さらに、前記主切れ刃は、上面視で前記切削インサート外方に向かって凸状の曲線となることで、垂直壁面の加工精度が向上し、面品位の高い切削加工が可能となる。
【0017】
また、前記主切れ刃は、前記切削インサートの前記ホルダ装着時に、前記傾斜切れ刃よりも前記ホルダの先端側と後端側の少なくとも一方に形成された平坦切れ刃をさらに備えたことで、より大きな切削抵抗がかかるインサート両端側の切れ刃強度が強化されるため、大きな切削抵抗がかかる重切削加工においても、切れ刃の欠損を抑制することができる。
【0018】
さらに、前記ホルダは、前記インサート装着部を前記ホルダの周方向に複数有するとともに、該複数のインサート装着部に前記切削インサートが各々装着されたことで、切削抵抗の低減およびインサートのホルダへの強固な拘束が可能となるため、切削工具に複数のインサートが装着でき、更なる切削加工の高能率化が図れる。
【0019】
また、前記複数のインサート装着部が、前記ホルダの先端側から後端側に向かって螺旋状に配置されたことで、インサートがホルダに、インサートの先端側のみならず後端側でも強固に拘束されるため、インサート装着部を螺旋状に配置して主切れ刃の全長を用いた縦切込み量の多い切削加工を行うことができ、更なる切削加工の高能率化が図れる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の切削工具によれば、溝部が形成されたインサートであっても、インサートがホルダに装着された時に、ホルダの先端側と後端側の2箇所において、各々、分割インサート拘束面を離間させる溝部の両サイドで拘束することができるため、インサート両端側での安定した拘束に加えて、溝部に対してインサート内方側でも拘束でき、溝部両端のインサート強度が低下する箇所を確実に拘束することができる。そのため、より大きな切削抵抗がかかる加工形態や、主切れ刃の全長を用いる加工形態においても、インサートをホルダに安定して拘束することができ、加工中のびびり振動を抑制することができる。その結果、切削加工の高効率化および高精度化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を添付図面により説明する。
【0022】
図1は、本発明の実施形態を示すものであり、本発明の第一の実施形態による切削工具1の全体斜視図である。
【0023】
そして、図2は、図1の切削工具1を構成する切削インサート(以下、インサートと略す。)2の全体斜視図であり、図3は、インサート2の(a)平面図、(b)長辺側側面図である。
【0024】
また図4は、図1の切削工具1を構成するホルダ3の全体斜視図であり、図5は、ホルダ3の(a)長辺側側面図、(b)要部拡大斜視図である。
【0025】
図1において、第一の実施形態による切削工具は、インサート2をホルダ3に装着してなる転削工具である。切削工具1は、インサート2の中央部に形成される貫通孔28にインサート2上面から挿通したねじ部材などをホルダ3に螺合することで、インサート2をホルダ3に装着してなる。切削工具1は、被削材に対して相対的に回転しながら接触することで、切削加工を行う転削工具である。
【0026】
まず、切削工具1を構成する切削インサート2について、図2および図3を用いて説明する。インサート2は、図2および図3に図示するように、インサート上面視で略多角形をなす本体部21と、本体部21の上面と側面との交差稜線部のうち前記略多角形の1辺に形成された主切れ刃22と、本体部21の上面に形成されたすくい面23と、本体部21の側面に形成された逃げ面24と、を有してなる。また、本体部の下面には着座面29が形成され、該着座面29は、インサート2がホルダ3に装着された時、ホルダ3のインサート装着部31の座面32に当接する。
【0027】
そして、図3(a)に図示するように、インサート2は、上面視において、略多角形の図心となるインサート中心Oに関して180度回転対称となるように、少なくとも主切れ刃22を2つ有してなる。言い換えれば、上面視においてインサート中心Oに関して180度回転対称であるとは、インサート2が、いわゆる少なくとも2面使いのインサートであり、図3(a)に図示するように、上面視において主切れ刃22が対向するように2つ形成される。この2つの主切れ刃22には、図3(b)に図示するように各々隣接して逃げ面24が形成される。なお、インサート2のインサート中心Oは、ねじ部材が挿通される貫通孔28の中心に相当する。
【0028】
また、図3(b)に図示するように、逃げ面24には、主切れ刃22を分断するように複数の溝部25が形成される。さらに、逃げ面24は、インサート2がホルダ3に装着された時に、ホルダ3の先端側に位置する先端側ホルダ当接面26と、ホルダ3の後端側に位置する後端側に位置する後端側ホルダ当接面27とが形成される。この先端側ホルダ当接面26と後端側ホルダ当接面27は、離間して形成される。さらに、先端側ホルダ当接面26と後端側ホルダ当接面27は、各々、溝部25により離間された複数の分割先端側ホルダ当接面261および分割後端側ホルダ当接面271で構成される。言い換えれば、側面視で、溝部25の幅方向における両サイドに分割ホルダ当接面が形成される。すなわち、複数の溝部25には、複数の分割先端側ホルダ当接面261に挟まれてなる溝部25(6)と、複数の分割後端側ホルダ当接面271に挟まれてなる溝部25(7)と、いずれのホルダ当接面とも離間して形成される溝部25(’)とを含んでなる。
【0029】
次に、切削工具1を構成するホルダ3について、図4および図5を用いて説明する。ホルダ3は、柱状をなして形成され、図4に図示するように、先端側にインサート2が装着されるインサート装着部31が形成される。そして、図5(b)に図示するように、インサート装着部31は、インサート2の着座面29が当接して、インサート2をインサート厚み方向に拘束する座面32を有している。
【0030】
さらに、インサート装着部31のうち、インサート2をインサート幅方向に拘束する面形状は、以下のようなインサート拘束面を有して構成される。すなわち、図5(b)に図示するように、インサート装着部31は、インサート2の先端側ホルダ当接面26と当接してインサート2をホルダ3に拘束する先端側インサート拘束面36と、インサート2の後端側ホルダ当接面27と当接してインサート2をホルダ3に拘束する後端側インサート拘束面37と、が形成される。この先端側インサート拘束面36は、ホルダ3の先端側に、後端側インサート拘束面37はホルダ3の後端側に、各々形成される。
【0031】
切削工具1は、このように、インサート2にホルダ当接面26・27が、ホルダ3にインサート拘束面36・37がそれぞれ形成されることで、インサート2がホルダ3に装着された時に、インサート2の両端側の2箇所を拘束することができる。加えて、このホルダ3の先端側と後端側での2箇所の拘束部分において、各々、溝部25に対してインサート2の内方側でも確実に拘束することができる。なお、ここでいうインサート2の両端側は、溝部25に対してインサート外方側に位置する。このような構成により、確実に溝部25の両サイドでインサート2をホルダ3に拘束でき、したがって、溝部が形成されたインサートであっても、安定した拘束が可能となり、より大きな切削抵抗がかかる加工形態や、主切れ刃22の全長を用いる加工形態においても、インサート2をホルダ3に安定して固定することができる。その結果、前記加工形態においても、びびり振動を抑制することができ、切削加工の高能率化および高精度化が図れる。
【0032】
このとき、先端側ホルダ拘束面26および後端側ホルダ拘束面27は、いずれも、よりインサート2の両端部側に形成することで、先端側ホルダ当接面26および後端側ホルダ拘束面27はより離間して形成され、該より離間した2点でホルダ3にインサート2が拘束されるため、インサート2をより一層安定して固定することができる。
【0033】
なお、インサート2は、図3(b)における紙面の表側が、ホルダ3が図示された図5(a)の紙面の表側に位置するよう、ホルダ3に装着される。したがって、図3(b)における紙面の裏側に位置する逃げ面24に形成されるホルダ当接面(26・27)が、図5(b)のホルダ3のインサート拘束面(36・37)にそれぞれ当接する。
【0034】
さらに、ホルダ3において、インサート装着部31は、図5(b)に図示するように、先端側インサート拘束面36と後端側インサート拘束面37との間に、窪み部38が形成されるのが好ましい。この窪み部38は、インサート2がホルダ3に装着された時に、インサート2の各々のホルダ拘束面26・27が形成される逃げ面24に対して、離間するように形成される。すなわち、柱状をなすホルダ3の中心軸線側に凹状となるよう形成される。このような構成により、インサートのホルダ装着時に、貫通孔28の形成などによりインサートの寸法誤差が大きくなりやすいインサート中央部において、ホルダ3とインサート2は、窪み部38で離間される。そのため、インサートの寸法誤差に影響されることなく、インサート2を安定してホルダ3に固定することができる。その結果、インサートの取り付け精度が向上するため、切削加工における更なる高精度化が図れる。
【0035】
ここで、窪み部38を構成する面形状は、曲面であっても平坦面であっても、さらには、単一の面でも複数の面であっても構わない。なお、ホルダ加工が容易となり、加工コストの低減が図れる点で、窪み部38は平坦面で形成されるのが好ましい。また、窪み部38は、ホルダ中心軸に向かって、テーパー形状となるよう形成されることで、ホルダ肉厚が大きく確保できる。したがって、ホルダ強度を向上することができ、高精度な切削加工が可能となる。
【0036】
なお、「インサートのホルダ装着時」とは、インサート2がホルダ3に装着された状態、すなわち、インサート2がホルダ3に拘束され、固定された状態のことという。
【0037】
またさらに、インサート2の先端側ホルダ当接面26と後端側ホルダ当接面27のうち、少なくとも一方が、平坦面を有して形成されるとともに、前記ホルダ当接面に対応するインサート拘束面と面当接するのが好ましい。これにより、インサート2はホルダ3に確実に面で拘束されるため、より安定したインサート2のホルダ3への固定が可能となる。加えて、インサート2のホルダ当接面およびホルダ3のインサート拘束面の加工が容易になるため、切削工具1の加工コストの低減が図れる。
【0038】
このとき、インサート2の先端側ホルダ当接面26と後端側ホルダ当接面27の両方が、平坦面で構成されることが、より安定した固定が可能となるため好ましい。さらには、これら両方の平坦面、すなわち、先端側および後端側のホルダ当接面26・27が、同一平面上に位置するよう形成されることが、より一層、加工が容易となり安定した固定が可能となるため好ましい。
【0039】
さらに、図3(b)に図示するように、先端側ホルダ当接面26は、複数の分割先端側ホルダ当接面261を離間させる溝部25(6)より先端側に位置する分割先端側ホルダ当接面261Aが、溝部25(6)より後端側に位置する分割先端側ホルダ当接面261aより大きく形成されるのが好ましい。ここで、溝部25(6)より先端側に位置する分割先端側ホルダ当接面261Aは、溝部25(6)に対してインサート外方に位置し、分割先端側ホルダ当接面261aは、溝部25(6)に対してインサート内方に位置する先端側ホルダ当接面である。このような構成により、溝部25(6)が形成されることで強度が低下するのに加えて、加工形態上より大きな切削加工がかかるため、より高いインサート強度が要求される、インサート2の先端側部分を、より強固に拘束することができる。加えて、インサート2の先端側の強度も確保することができる。
【0040】
またこのとき、インサート2の先端側(溝部25(6)に対してインサート外方)でより広範な当接面(261A)を確保して強固に安定して拘束するとともに、溝部25(6)に対してインサート内方では、より小さな当接面(261a)を確保してインサート外方の当接面(261A)と共同してインサート2をホルダ3に拘束することとなる。そのため、加工形態上、各々の切れ刃位置にかかる切削抵抗の大きさに応じた当接面(261A、261a)が各々形成されることとなり、当接面にかかる単位面積あたりの押圧力を平均化することができる。さらに、溝部25(6)に対してインサート内方の当接面(261a)は小さく形成できるため、インサートの寸法誤差が取付け精度に影響しない当接面形状とすることができ、高い取付け精度を有した切削工具1とすることができる。
【0041】
またさらに、図3(b)に図示するように、後端側ホルダ当接面27は、複数の分割後端側ホルダ当接面271を離間させる溝部25(7)より先端側に位置する分割後端側ホルダ当接面271Aが、溝部25(7)より後端側に位置する分割後端側ホルダ当接面271aより大きく形成されるのが好ましい。このような構成により、インサート2の両端部のうちホルダ3の後端側において、より強固に拘束することが出来るため、主切れ刃22の全長を用いるような深切込み加工においても、切削抵抗を低減して、びびり振動を抑制することができる。加えて、インサート2の後端側の強度も確保することができる。
【0042】
また、インサート2の主切れ刃22は、インサート2がホルダ3に装着された時に、ホルダの先端側から後端側に向かってインサート厚み方向において高さが漸減して形成された傾斜切れ刃221を備えるのが好ましい。このような構成により、主切れ刃5の前記先端側から後端側に向かうにつれて、切れ味が良くなり、チッピング等を抑制することができる。具体的には、インサート2をホルダ3に装着した時に、アキシャルレーキが正の値を有するように構成される。これにより、切れ味を良くして、切削抵抗の低減を図ることができる。その結果、より厳しい切削条件下でも、びびり振動を抑制でき、重切削加工にも用いることができる。なお、図2および図3に示したインサート2においては、傾斜切れ刃221を分断するよう溝部25が形成されたものを例示した。
【0043】
このような傾斜切れ刃221を有した場合、さらに、図3(b)に図示するように、先端側ホルダ当接面26が、後端側ホルダ当接面27よりも厚み方向において低位に形成されることが好ましい。このような構成により、インサート2をホルダ3に装着した時、インサート拘束面側に配置される傾斜切れ刃221(インサートに形成される2つの主切れ刃のうち、ホルダの中心軸線側に配置され、切削に関与しない主切れ刃)のインサート厚み方向における高さに応じて、ホルダ当接面26・27が形成される。すなわち、ホルダ3のインサート拘束面側に位置する傾斜切れ刃221(2つの傾斜切れ刃のうち切削に関与しない切れ刃)は、ホルダ先端側においてインサート厚み方向に低位であり、ホルダ後端側においてインサート厚み方向に高位であるが、それに応じて、先端側インサート拘束面36が後端側インサート拘束面37より低位に形成されることとなる。それにより、より傾斜切れ刃221(2つの傾斜切れ刃のうち切削に関与しない切れ刃)に近接した位置でインサート2をホルダ3に拘束することができる。その結果、安定してインサート2をホルダ3に固定することができる。
【0044】
なお、ここで各々のホルダ当接面のインサート厚み方向の高さを比較する際には、各々のホルダ当接面の、インサート厚み方向において最も高位に位置する部分を比較する。したがって、インサート1において、2つのホルダ当接面のうち、最も高位に位置する当接面は、後端側ホルダ当接面27となる。
【0045】
さらには、主切れ刃22は、図3(a)に図示するように、上面視でインサート外方に向かって凸状の曲線となるのが、垂直壁面の加工精度が向上し、面品位の高い切削加工が可能となる点で望ましい。このように主切れ刃が凸状の曲線となる場合においても、切削工具1は、上述のようにインサートの両端部に安定した拘束面が確保でき、切削加工の高精度化が図れる。
【0046】
また、主切れ刃22は、図3(a)に図示するように、インサート2がホルダ3に装着された時に、傾斜切れ刃221よりもホルダの先端側と後端側の少なくとも一方に形成された平坦切れ刃222をさらに備えることが、より大きな切削抵抗がかかるインサート両端側の切れ刃強度を向上できるため望ましい。これにより、より大きな切削抵抗がかかる重切削加工においても、切れ刃の欠損を抑制することができる。ここで、前記先端側のみ、または、後端側のみに平坦切れ刃222が形成されたものでも、上述の効果は得られる。加工形態上、より大きな切削抵抗がかかる前記先端側に平坦切れ刃222を有することで、びびり振動の抑制が図れる。また、図3(b)に図示するように、傾斜切れ刃221を備えたインサート2は、前記後端側のインサート厚み方向の寸法が小さく、インサート強度が低下する傾向にあるため、後端側に平坦切れ刃222を形成することで、切れ刃の欠損を抑制することができる。したがって、先端側および後端側のいずれにも平坦切れ刃222を形成することが、びびり振動および切れ刃の欠損のいずれをも抑制できるため望ましい。
【0047】
またさらに、ホルダ3は、図4および図5に図示するように、インサート装着部31をホルダの周方向に複数有するとともに、複数のインサート装着部31にインサート2が各々装着されるのが好ましい。すなわち、いわゆる多刃を有した切削工具であるのが好ましい。このような構成により、インサート2に溝部25が形成されることによる切削抵抗の低減に加えて、ホルダの周方向に複数のインサートが装着される加工形態に基づき、1刃当たりの切削抵抗の低減が図れる。したがって、このような多刃を有した切削工具とすることで、インサートのホルダへの強固な拘束に加えて、上述した更なる切削抵抗の低減が可能となるため、工具の送り量を大きくするなどといったより厳しい切削条件下においてもびびり振動が抑制できる。その結果、更なる切削加工の高能率化が図れる。
【0048】
さらに、図4および図5に図示するように、複数のインサート装着部31が、ホルダ3の先端側から後端側に向かって螺旋状に配置された切削工具1とするのが好ましい。本実施形態の切削工具はインサート2を前記先端側のみならず後端側でも強固にホルダ3に拘束できるため、インサート装着部31を螺旋状に配置する、いわゆるヘリカルな構造として、インサート2の主切れ刃22の全長を用いる切削加工を行っても、びびり振動を抑制することができる。そのため、より大きな切込み量を有した深切込み加工が可能となり、更なる切削加工の高能率化が図れる。さらに、このようなヘリカル構造においては、複数のインサート装着部のうち、ホルダの先端面に位置する1段目のインサート装着部を除く、2段目以降に位置するインサート装着部は、インサート2を短辺側で拘束する必要がなくなるため、より広い後端側インサート拘束面37を確保することができる。したがって、より一層安定してインサート2をホルダ3に拘束することができ、重切削加工においても安定した加工精度を得ることができる。
【0049】
また、図2および図3に図示するように、インサート2は、すくい面23上に主切れ刃22に対応するよう突起などを適宜形成することで、切り屑排出性を向上することができる。
【0050】
ここで、本発明にかかる切削工具1は、上述したように主切れ刃22を分断するように溝部25が形成されるため、1つのインサート2で切削した時に、被削材の加工表面には削り残し部分が生じてしまう。そのため、本発明にかかる切削工具1は、インサート2をホルダ3の周方向に複数装着してなり、それら複数のインサート2が相補的に切削することにより、加工面を略平面とする切削加工が可能となる。
【0051】
また、図1乃至図5では、インサートの本体部21が略平行四辺形板状からなるインサート2を例示したが、本発明の他の実施形態として、ホルダ3形状に対応して本体部21が略正方形板状および略菱形板状などで形成されても、同様の効果が得られることはいうまでもない。またさらに、本実施形態では、溝部25の形状として、一端をすくい面23に他端を着座面29に位置するもののみを例示したが、これに限らず、インサートがより一層大きなインサート強度を必要とするような切削加工に用いられる場合、溝部の他端が逃げ面24上に位置するものであってもよい。これにより、インサート強度の向上が図れる。
【0052】
またさらに、図1に図示したように、複数のインサート2を装着して用いられる切削工具1において、ホルダ3に2種のインサート(2Aおよび2B)が装着されたものを例示した。このとき、前述の2種のインサートの溝部25の配置を異なるものとすることで、相補的に切削加工を行い、被削材の加工面を平坦なものとするが、切削工具のホルダ周方向に装着するインサートの数および種類については、これに限られるものではない。各インサートで切削される部分と削り残し部分が相補的にカバーできるよう、各々のインサートの溝配置を考慮してインサートがホルダに装着され、加工面が平坦となるような切削工具であればよい。
【0053】
以上、本発明の実施形態を例示したが、本発明は実施の形態に限定されるものではなく、発明の目的を逸脱しない限り任意のものとすることができることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の第一の実施形態による切削工具の全体斜視図である。
【図2】図1の切削工具を構成する切削インサートの全体斜視図である。
【図3】図1の切削工具を構成する切削インサートの(a)平面図、(b)長辺側側面図である。
【図4】図1の切削工具1を構成するホルダ3の全体斜視図である。
【図5】図1の切削工具1を構成するホルダ3の(a)長辺側側面図、(b)要部拡大斜視図である。
【符号の説明】
【0055】
1 切削工具
2 切削インサート(インサート)
21 本体部
22 主切れ刃
221 傾斜切れ刃
222 平坦切れ刃
23 すくい面
24 逃げ面
25 溝部
26 先端側ホルダ当接面
261 分割先端側ホルダ当接面
27 後端側ホルダ当接面
271 分割後端側ホルダ当接面
28 貫通孔
29 着座面
O インサート中心
3 ホルダ
31 インサート装着部
32 座面
36 先端側インサート拘束面
37 後端側インサート拘束面
【出願人】 【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
【出願日】 平成18年8月30日(2006.8.30)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−55530(P2008−55530A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−233307(P2006−233307)