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【発明の名称】 切削インサート及び切削工具
【発明者】 【氏名】高橋 秀史

【氏名】成田 徹

【要約】 【課題】外形が四角形平板状をなして一の四角形面と他の四角形面とがねじれるように配置された切削インサートであっても強固に固定できて寸法精度良く切削加工ができるとともに、一の四角形面及び他の四角形面に設けられた切刃を順次使用して使用コストを大幅に低減できる切削インサート及びこの切削インサートが着脱可能に装着された切削工具を提供する。

【構成】外形が四角形平板状をなして、一の側面12Aがすくい面とされ、一の四角形面11Aが逃げ面とされ、一の四角形面11Aの角部13に切刃14が形成された切削インサート10であって、一の四角形面11Aと他の四角形面とは互いに平行に、かつ、ねじれるように配置されており、側面12には、外側に向けて凸となる突出部18が設けられて、側面12に切刃14に連なるブレーカ溝19が画成されるとともに、突出部18には、取付座への着座面20が形成されていることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外形が四角形平板状をなして、2つの四角形面と4つの側面とを有し、一の側面がすくい面とされるとともに一の四角形面が逃げ面とされて、切削工具の工具本体に形成された取付座に取り付けられ、前記一の四角形面の角部に位置する前記一の側面と前記一の四角形面の交差稜線部に形成された切刃が使用される切削インサートであって、
前記一の四角形面と他の四角形面とは互いに平行に、かつ、該四角形面に交差する中心軸回りにねじれるように配置されており、
前記側面には、外側に向けて凸となる突出部が前記四角形面との間に間隔を開けて設けられて、この突出部と前記切刃との間にブレーカ溝が画成されるとともに、
前記突出部には、前記取付座に当接させられる着座面が形成されていることを特徴とする切削インサート。
【請求項2】
前記すくい面とされる前記一の側面に形成された前記突出部は、前記逃げ面とされる前記一の四角形面に対向する側から見て、前記切刃からの突出量が、前記角部で交差する他の側面側に向かうにしたがい漸次大きくなるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の切削インサート。
【請求項3】
前記すくい面とされる前記一の側面に形成された前記ブレーカ溝の溝幅が、前記切刃が形成された前記角部で交差する他の側面側に向かうにしたがい漸次広がるように形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の切削インサート。
【請求項4】
前記角部には、この角部で交差する前記一の側面と他の側面との交差稜線部に、前記切刃から連なる副切刃が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の切削インサート。
【請求項5】
前記着座面は、前記切刃に対し、前記一の四角形面と前記他の四角形面とのねじれ角αを2等分する角度で傾斜して延びるように配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の切削インサート。
【請求項6】
前記着座面は、前記四角形面に対向する側から見て、凹V字状をなしていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の切削インサート。
【請求項7】
前記着座面は、前記切刃に直交する断面において凸V字状をなすように形成されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の切削インサート。
【請求項8】
前記着座面には、内側に向けて凹んだ凹部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれかに記載の切削インサート。
【請求項9】
軸線回りに回転される工具本体を有し、該工具本体の先端外周部に形成された取付座に、請求項1から請求項8のいずれかに記載の切削インサートが、前記一の四角形面を前記工具本体外周側に向けるとともに、前記一の側面を工具回転方向前方側に向けて、前記切刃が形成された前記角部を前記工具本体先端及び外周側に突出させ、この角部の対角線上に位置する角部で交差する一対の側面に形成された前記突出部の前記着座面を前記取付座の当接面に当接させるようにして装着されていることを特徴とする切削工具。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、切刃を備えた切削インサート及びこの切削インサートが着脱可能に装着されて構成される切削工具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被切削材を切削加工する際に使用される切削工具として、例えば、特許文献1に示されるような、切刃を有するインサートを工具本体の先端部外周に着脱可能に装着した切削工具が知られている。
特許文献1に開示された切削工具は、工具本体の軸線回りに高速回転されるとともに、工具本体の軸線方向に垂直な方向に送りを与えられ、工具本体の先端部外周に装着されたインサートの切刃によって被切削材の表面を切削加工するものである。
【0003】
この切削工具においては、外形が四角形平板状をなし、この四角形面の周りの4つの側面の1つがすくい面とされ、この四角形面の各角部にこれら四角形面とすくい面とが交差する四角形面の辺稜部に沿って延びる切刃が設けられた、いわゆる縦刃の切削インサートが使用される場合がある。特に、大きい送りや切り込みとする重切削加工では、切削抵抗が高くなる傾向にあるため、剛性の高い縦刃の切削インサートを適用することで、欠損を防ぎ、安定した重切削加工を行うことを可能とする。
このような縦刃の切削インサートでは、各角部に設けられた切刃を順次使用することができ、2つの四角形面をそれぞれ使用できる場合には1つの切削インサートで8つの角部を使用することができるため、切削インサートの使用コストを大幅に低減することができるものである。
【0004】
ここで、特許文献2から特許文献4には、一の四角形面と他の四角形面とが互いにねじれるように配置された切削インサートが提案されている。このような構成とされた切削インサートでは、一の四角形面を逃げ面として前記工具本体の外周側に向けて取り付けたときに、他の四角形面側に形成された切刃が被削材に干渉するのを確実に防ぐことができ、同一の方向に回転される切削工具に、一の四角形面及び他の四角形面の8つの角部に形成された切刃をすべてより確実に順次使用できるものである。
【特許文献1】特開平08−39324号公報
【特許文献2】米国特許第3490117号公報
【特許文献3】特開昭57−27603号公報
【特許文献4】米国特許第3142110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献2から特許文献4に記載された切削インサートにおいては、一の四角形面と他の四角形面とがねじれるように配置され、これらの四角形面の間に位置する4つの側面は、それぞれの四角形面の辺稜部から凹むように形成されており、この切削インサートを工具本体に装着する場合には、この凹んだ側面が取付座に当接されることになる。しかしながら、例えば重切削時に切刃が欠損してこの切刃に連なる側面が変形した場合には、他の切刃を使用しようとしてもこの側面を当接させて取付座に切削インサートを装着することができなくなってしまう。
【0006】
また、一の四角形面に設けられた切刃によって切削加工を行った際に発生する切屑が、他の四角形面に設けられた切刃の上を擦過して、他の四角形面に設けられた切刃が切削に供される前に摩耗してしまうおそれがあった。
また、この切屑が前記側面を擦過して溶着等した場合には、側面が変形したときと同様に、切削インサートを取付座に装着できなくなり、切削インサートを回転させて一の四角形面に形成された他の切刃を使用できなくなるおそれがあった。
このように、従来の切削インサートにおいては、8つの切刃を形成したにもかかわらず、これらの切刃を順次使用することができなくなって、切削インサートの使用コストが増大してしまうといった問題があった。
【0007】
この発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、外形が四角形平板状をなして一の四角形面と他の四角形面とがねじれるように配置された切削インサートであっても強固に固定できて寸法精度良く切削加工ができるとともに、一の四角形面及び他の四角形面に設けられた切刃を順次使用して使用コストを大幅に低減できる切削インサート及びこの切削インサートが着脱可能に装着された切削工具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この目的を達成するために、本発明の切削インサートは、外形が四角形平板状をなして、2つの四角形面と4つの側面とを有し、一の側面がすくい面とされるとともに一の四角形面が逃げ面とされて、切削工具の工具本体に形成された取付座に取り付けられ、前記一の四角形面の角部に位置する前記一の側面と前記一の四角形面の交差稜線部に形成された切刃が使用される切削インサートであって、前記一の四角形面と他の四角形面とは互いに平行に、かつ、該四角形面に交差する中心軸回りにねじれるように配置されており、前記側面には、外側に向けて凸となる突出部が前記四角形面との間に間隔を開けて設けられて、この突出部と前記切刃との間にブレーカ溝が画成されるとともに、前記突出部には、前記取付座に当接させられる着座面が形成されていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明の切削工具は、軸線回りに回転される工具本体を有し、該工具本体の先端外周部に形成された取付座に、前述の切削インサートが、前記一の四角形面を前記工具本体外周側に向けるとともに、前記一の側面を工具回転方向前方側に向けて、前記切刃が形成された前記角部を前記工具本体先端及び外周側に突出させ、この角部の対角線上に位置する角部で交差する一対の側面に形成された前記突出部の前記着座面を前記取付座の当接面に当接させるようにして装着されていることを特徴としている。
【0010】
この構成の切削インサート及び切削工具においては、切削インサートが四角形平板状をなして、一の四角形面と他の四角形面とが互いに平行に、かつ、該四角形面に交差する中心軸回りにねじれるように配置されているので、一の四角形面を逃げ面として工具本体の外周側に向けて取り付けたときに、他の四角形面側に形成された切刃が被削材に干渉するのを確実に防ぐことができ、同一の方向に回転される切削工具に、一の四角形面及び他の四角形面に形成された切刃を確実に順次使用でき、切削インサートの使用コストを大幅に低減することができる。
【0011】
また、切削インサートの側面に、外側に向けて凸となる突出部が形成されており、この突出部に着座面が形成されているので、工具本体の取付座にこの着座面が当接される当接面を設けることで切削インサートを取付座に当接させて固定することができる。そして、突出部と切刃との間にはブレーカ溝が形成されているので、切刃に欠損が生じたりしても、側面の変形はこのブレーカ溝までとなって着座面にまで及ぶことがなくなり、切削インサートの切刃を順次使用することができる。さらに、当接面と着座面とを当接させることによって、切削インサートに作用する切削抵抗を当接面で受けることができ、切削インサートの位置ずれを確実に防止して切削加工を寸法精度良く行うことができる。
【0012】
また、一の四角形面と他の四角形面との間に突出部が配置されることになるので、一の四角形面に形成された切刃によって生成した切屑が他の四角形面に形成された切刃の上を擦過することがなく、切削に供される前に切刃が摩耗してしまうことを防止できる。また、前記突出部に着座面が形成されているので、切屑が着座面を擦過することを防止でき、切削インサートを回転させても工具本体に確実に装着することができる。よって、確実に、一の四角形面に形成された切刃及び他の四角形面に形成された切刃を順次使用することができる。
さらに、一の側面と一の四角形面の交差稜線部に切刃が形成された、いわゆる縦刃の切削インサートであって剛性が高いので、切削抵抗による欠損を防止することができる。
【0013】
ここで、前記すくい面とされる前記一の側面に形成された前記突出部を、前記逃げ面とされる前記一の四角形面に対向する側から見て、前記切刃からの突出量が、前記角部で交差する他の側面側に向かうにしたがい漸次大きくなるように形成することにより、前記切刃によって生成した切屑を前記他の側面側で強くカールさせて細かく分断することができ、切屑処理性を向上させることができる。
【0014】
さらに、前記すくい面とされる前記一の側面に形成された前記ブレーカ溝の溝幅を、前記切刃が形成された前記角部で交差する他の側面側に向かうにしたがい漸次広がるように形成することにより、切刃によって生成した切屑を確実に外部へと排出することができ、切屑処理性をさらに向上させることができる。
【0015】
ここで、角部の先端側では、切り込み量に関らず必ず切屑が生成されるのに対し、前述のように角部の先端側で突出部の突出量及びブレーカ溝の溝幅を大きくすることで確実な切屑処理が可能となり、一の四角形面に形成された切刃によって生成した切屑が着座面を擦過することを確実に防止することができるとともに、他の四角形面が前記切屑によって損傷することを防止できる。
【0016】
また、前記角部で交差する前記一の側面と他の側面との交差稜線部に、前記切刃から連なる副切刃を設けることにより、前記切刃によって切削された被切削材の加工面を副切刃によって仕上げるように切削することができるので、被切削材の加工面の面粗さを向上させることができる。
【0017】
さらに、前記着座面を、前記切刃に対し、前記一の四角形面と前記他の四角形面とのねじれ角αを2等分する角度で傾斜して延びるように配置することにより、切削インサートを前記一の四角形面を逃げ面として装着した場合と、前記他の四角形面を逃げ面として装着した場合とで、それぞれの切刃の角度を同一として配置することができ、一の四角形面に形成された切刃及び他の四角形面に形成された切刃をより確実に順次使用することができる。
【0018】
また、前記着座面を、前記四角形面に対向する側から見て、中央部分が凹んだ凹V字状に形成することにより、取付座の当接面をこの凹V字と嵌合するように形成することで、切削インサートが四角形面に沿う方向に移動することを確実に防止でき、切削加工を寸法精度良く行うことができる。
【0019】
また、前記着座面を、前記切刃に直交する断面において凸V字状をなすように形成することにより、工具本体の取付座にこの凸V字に嵌合する凹V字状の当接面を設けて互いに嵌合するように装着することで、切削インサートが工具本体の回転による遠心力によって径方向外側に向けて移動することを防止でき、切削インサートをさらに強固に固定することができる。
【0020】
また、前記着座面に、内側に向けて凹んだ凹部を形成することにより、着座面と取付座との寸法精度の違いによってこれらを厳密に密着できない場合でも、2分割された着座面のそれぞれの部分を取付座に当接させて支持することができ、切削抵抗による切削インサートの移動を確実に防止できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、外形が四角形平板状をなして一の四角形面と他の四角形面とがねじれるように配置された切削インサートであっても強固に固定できて寸法精度良く切削加工ができるとともに、一の四角形面及び他の四角形面に設けられた切刃を順次使用して使用コストを大幅に低減できる切削インサート及びこの切削インサートが着脱可能に装着された切削工具を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に、本発明の第1の実施形態について、添付した図面を参照して説明する。図1から図4に本発明の第1の実施形態に係る切削インサートを示す。また、図5及び図6にこの切削インサートが装着されたフライスカッタ(切削工具)を示す。
この切削インサート10は、超硬合金等の硬質材料によって構成され、その外形が、図1から図3に示すように概略正方形平板状をなしており、2つの正方形面11A、11Bとこれら正方形面11A、11Bに交差する4つの側面12とを有している。
【0023】
正方形面11の角部13には、正方形面11と側面12との交差稜線部に切刃14が形成されている。本実施形態では、図2に示すように、正方形面11に対向する側から見て、角部13で交差する側面12A、12Bのうち角部13に向かって反時計回りに延びる側面12Aとの交差稜線部に切刃14が形成されている。また、切刃14が形成されていない側面12B、つまり角部13に向かって時計回りに延びる側面12Bと正方形面11Aとの交差稜線部には面取部15が形成されている。そして、角部13で交差する2つの側面12A、12Bの交差稜線部には、前記切刃14から面取部15を介して連なるとともに前記切刃14に対して直交する方向に延びる副切刃16が形成されている。このように正方形面11の角部13には、1つの切刃14と1つの副切刃16とが対になって配置されている。
【0024】
よって、この切削インサート10には、一の正方形面11Aに4つの切刃14及び副切刃16が、他の正方形面11Bに4つの切刃14及び副切刃16が形成されており、切削インサート10全体で8つの切刃14及び副切刃16を備えている。ここで、この切削インサート10は、一の側面12Aをすくい面とし、一の正方形面11Aを逃げ面とする、いわゆる縦刃の切削インサート10である。
【0025】
これら2つの正方形面11A、11Bは互いに平行に配置されており、正方形面11の中央部分には、切削インサート10の厚さ方向に貫通する挿通孔17が、正方形面11に直交するように穿設されている。また、2つの正方形面11A、11Bは、この挿通孔17の中心を回転軸として互いに回転してねじれるように配置されている。詳述すると、一の正方形面11Aに対向する側から見て、一の正方形面11Aが他の正方形面11Bに対して時計回りに回転するようにねじれており、1つの角部13が他の正方形面11Bから突出するとともに、この角部13に形成された前記切刃14が他の正方形面11Bよりも内側に後退するように配置されることになる。ここで、これら一の正方形面11Aと他の正方形面11Bとのねじれ角α(正方形面11に対向する側から見て、一の正方形面11Aの辺稜部と他の正方形面11Bの辺稜部との交差角)は、3°≦α≦20°の範囲内に設定され、本実施形態では、α=6°とされている。
【0026】
そして、すくい面とされる側面12Aには、外側に向けて凸となる突出部18が設けられている。突出部18は、図3に示すように側面12の幅方向中央部に、この側面12の幅を略3等分するような幅で延びるように形成されており、この突出部18によって側面12には、切刃14と突出部18との間に、前記切刃14に連なるブレーカ溝19が画成されることになる。このブレーカ溝19の切刃14側の断面形状は、凹曲線状をなしており、切刃14に正のラジアルレーキ角が与えられている。
【0027】
この突出部18の先端部分には平坦面が形成されており、この平坦面がこの切削インサート10を後述する工具本体31の取付座34に装着する際に、取付座34に当接される着座面20とされる。この着座面20は、1つの側面の両角部13に設けられた突出部18同士で面一に形成されている。
【0028】
ここで、一の側面12Aに形成された突出部18は、一の正方形面11Aに対向する側から見て、前記一の側面12Aと一の正方形面11Bとの交差稜線部に形成された切刃14に対して凸とされ、該切刃14からの突出量が、切刃14が形成された角部13で交差する他の側面12B側に向かうにしたがい漸次大きくなるように形成されている。本実施形態では、一の正方形面11Aに対向する側から見て、切刃14と突出部18の着座面20とがなす角度βはβ=3°とされ、一の正方形面11Aと他の正方形面11Bとのねじれ角α=6°の1/2とされている。つまり、突出部18は、一の正方形面11Aと他の正方形面11Bのねじれ角αを2等分する方向に向けて延びるように配置されているのである。
【0029】
このように4つの側面12にそれぞれ突出部18が形成されているので、突出部18が形成された部分を正方形面11に平行な断面で見た場合には、図4に示すように概略正方形をなしている。言い換えると、この切削インサート10には、一の正方形面11Aと他の正方形面11Bとの間にこれら正方形面11A、11Bに対してねじれた第3の正方形面を有し、これら3つの正方形面がそれぞれ3°ずつねじれるようにして積層されており、第3の正方形面の周面に前記着座面20が形成されているのである。
なお、突出部18が形成された部分の正方形面11に平行な断面は、厳密には、正方形の角部が45°で切り欠かれた八角形とされている。
【0030】
また、一の側面12Aに形成された突出部18は、切刃14が形成された角部13で交差する他の側面12B側に向かうにしたがい漸次切刃14から離れるように傾斜した傾斜面21が切刃14に沿うように配置されており、これによりブレーカ溝19は、他の側面12B側に向かうにしたがい漸次広がるように形成されることになる。
なお、この傾斜面21は、突出部18の角部では、切削インサート10の厚さ方向における2等分線上で前記着座面20と交差するように、突出部18の着座面20側に向かうにしたがっても漸次切刃14から離れるように傾斜させられている。
【0031】
このような構成とされた切削インサート10は、正方形面11に対向する側から見て図2に示すように、前記挿通孔17の中心を基準として90°ずつ回転対称に形成されており、さらに、側面12に対向する側から見て図3に示すように、側面12の中心を基準として180°回転対称に形成されている。
【0032】
次に、この切削インサート10が装着されて構成されるフライスカッタ30について説明する。なお、このフライスカッタ30は、主に鋳鉄及び鋼の切削加工に使用されるものであって、軸線Oに対して右回転に回転されるいわゆる右勝手のフライスカッタである。
フライスカッタ30は、軸線O回りに回転される概略多段円柱状をなす工具本体31を有している。
工具本体31には、この工具本体31を図示しない工作機械の主軸端に取り付けるための取付孔32が、軸線Oに沿うように穿設されている。
【0033】
工具本体31の先端側外周には、工具本体31が切り欠かれて工具本体31先端側及び工具本体31径方向外側に向けて開口するチップポケット33が、円周方向に複数(図5に示すように本実施の形態では5箇所)設けられている。
このチップポケット33の工具回転方向T後方側には、切削インサート10を着脱可能に装着するための取付座34が設けられている。
【0034】
取付座34の工具本体31径方向外側を向く壁面34Aは、図6に示すように径方向に対して略直交するように配置されており、この壁面34Aには切削インサート10を装着するためのクランプネジ40が螺着されるネジ孔(図示なし)が穿設されている。
【0035】
取付座34の工具本体31先端側を向く壁面34Bには、工具本体31先端側に向けて突出された第1支持部35が形成されており、この第1支持部35の工具本体31径方向内側及び径方向外側部分は後端側に後退するように逃げが設けられている。この第1支持部35の工具本体31先端側を向く面が第1当接面36とされている。
また、取付座34の工具回転方向T前方側を向く壁面34Cには、工具回転方向T前方側に向けて突出された第2支持部37が形成されており、この第2支持部37の工具本体31径方向内側及び径方向外側部分は工具回転方向T後方側に後退するように逃げが設けられている。この第2支持部37の工具回転方向T前方側を向く面が第2当接面38とされている。
この第1、第2支持部35、37の交差部分には、工具本体31を切り欠くようにして逃げ部39が形成されている。
【0036】
この取付座34には、切削インサート10が次のようにして装着される。切削インサート10の一の正方形面11Aを工具本体31径方向外側に向けて外周逃げ面とし、他の正方形面11Bと取付座34の工具本体31径方向外側を向く壁面34Aとが互いに対向するように配置して、クランプネジ40を挿通孔17に挿通して前記壁面34Aに形成されたネジ孔に螺着する。
【0037】
このとき、一の側面12Aが工具回転方向T前方側を向けられてすくい面とされ、一の正方形面11Aの1つの角部13が工具本体31先端側及び径方向外側へと突出するように配置される。この角部13で交差する他の側面12Bが工具本体31先端側に向けられて先端逃げ面とされる。
ここで、切削インサート10の工具本体31後端側を向く側面12に形成された着座面20が前記第1当接面36に当接されるとともに、工具回転方向T後方側を向く側面12に形成された着座面20が前記第2当接面38に当接される。
第1、第2支持部35、37の工具本体31径方向内側及び径方向外側部分に逃げが形成されているので、一の正方形面11A及び他の正方形面11Bに形成されて工具本体31後端側及び工具回転方向T後方側に向けられた切刃14が、工具本体31と接触することが防止されている。
【0038】
本実施形態では、すくい面とされた側面12Aは、図5に示すように、工具本体31先端側に向かうにしたがい漸次工具回転方向T後方側に後退するように配置されており、工具本体31から突出された角部13に設けられて切削に使用される切刃14のアキシャルレーキ角が負側に設定されている。さらに、この切刃14に直交する副切刃16は、複数の切削インサート10同士で軸線Oに垂直な1つの平面上に位置させられている。そして、一の正方形面11Aと他の正方形面11Bとがねじれ角αでねじれるように配置されているので、他の正方形面11Bに形成された切刃14のうち工具本体31先端側を向く切刃14は、切削に使用される一の正方形面11Aの切刃14の先端よりも軸線O方向後端側に位置し、前記副切刃16が位置する1の平面よりも後退した他の1の平面上に配置され、被削材との干渉が防止されている。
【0039】
このようにして切削インサート10が取付座34に装着されたフライスカッタ30は、工具本体31の取付孔32に挿入されたアダプタ等を介して工作機械の主軸端等に取り付けられ、工具本体31の軸線O回りに高速回転されるとともに、工具本体31の軸線Oに交差する方向に送りを与えられ、被切削材の表面を工具本体31から突出された角部13に形成された切刃14及び副切刃16によって切削加工を行うものである。
【0040】
本実施形態である切削インサート10及びフライスカッタ30によれば、切削インサート10の側面12に外側に向けて突出した突出部18が形成され、この突出部18の先端部分に平坦な着座面20が設けられているとともに、工具本体31の取付座34にこの着座面20と当接される第1、第2当接面36、38が形成されているので、着座面20とこれら第1、第2当接面36、38とがそれぞれ密着するようにして切削インサート10を装着することができる。よって、切削インサート10に作用する切削抵抗の背分力を取付座34の工具本体31先端側を向く壁面34Bに形成された第1支持部35で受けることができるとともに、前記切削抵抗の主分力を取付座34の工具回転方向T前方側を向く壁面34Cに形成された第2支持部37で受けることができ、切削抵抗によって切削インサート10がずれることがなく、切削加工を寸法精度良く行うことができる。
【0041】
また、一の正方形面11Aと他の正方形面11Bとの間に突出部18が配置されるので、一の正方形面11Aに形成された切刃14によって生成した切屑が他の正方形面11Bに形成された切刃14の上を擦過することがなく、切削加工に供される前に他の正方形面11Bに形成された切刃14が摩耗することを防止できる。また、突出部18の先端部分に着座面20が形成されているので、着座面20の上を切屑が擦過しにくくなって着座面20に溶着等が発生することを防止でき、切削インサート10を回転させて取付座34に装着することができる。したがって、一の正方形面11Aに形成された4つの切刃14及び他の正方形面11Bに形成された4つの切刃14の合計8つの切刃14を順次使用することができ、切削インサート10の使用コストを大幅に低減することができる。
【0042】
また、すくい面とされる側面12に前記突出部18が形成されることによって、切刃14に連なるブレーカ溝19が画成されており、切刃14によって生成した切屑を細かく分断することができる。そして、本実施形態では、突出部18が、一の正方形面11Aに対向する側から見て、先端逃げ面とされた他の側面12B側に向かうにしたがい漸次切刃14からの突出量が大きくなるように配置されるとともに、切刃14のアキシャルレーキ角が負側に設定されているので、切刃14は、被切削材に対して工具本体31後端側から切り込んでいき、最後に被切削材に切り込まれる角部13部分において切屑が強くカールさせられることになる。よって、切屑がブレーカ溝19によって確実に分断されて工具本体31先端側へと排出されることになり、切屑処理性が向上して切削加工を良好に行うことができる。
【0043】
さらに、本実施形態では、側面12に形成された突出部18に、先端逃げ面とされた他の側面12B側に向かうにしたがい漸次切刃14から離れるように傾斜した傾斜面21が切刃14に沿うように配置され、ブレーカ溝19が、先端逃げ面とされた他の側面12B側に向かうにしたがい漸次広がるように形成されているので、切屑を工具本体31先端側へと確実に排出することができ、切屑処理性をさらに向上させることができる。
【0044】
また、本実施形態では、突出部18は、一の正方形面11Aに対向する側から見て、一の正方形面11Aに形成された切刃14よりも外側に突出するように配置されており、切刃14と着座面20とがなす角度βはβ=3°とされ、一の正方形面11Aと他の正方形面11Bとのねじれ角α=6°の1/2とされており、着座面20が、一の正方形面11Aと他の正方形面11Bのねじれ角αを2等分するように配置されているので、切削インサート10を一の正方形面11Aを工具本体31径方向外側に向けて装着した場合と、他の正方形面11Bを工具本体31径方向外側に向けて装着した場合とで、それぞれの切刃14のアキシャルレーキ角を同一に設定することができる。よって、一の正方形面11Aに形成された切刃14及び他の正方形面11Bに形成された切刃14を順次使用することができる。
【0045】
また、角部13に向かって時計回りに延びる側面12Bと正方形面11Aとの交差稜線部に面取部15が形成されており、角部13で交差する2つの側面12A、12Bの交差稜線部には、前記切刃14から面取部15を介して連なるとともに前記切刃14に対して直交する方向に延びる副切刃16が形成されているので、前記切刃14によって切削された被切削材の加工面を副切刃16によって仕上げるように切削することができ、被切削材の加工面の面粗さを良好に仕上げることができる。
【0046】
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ部材には同一の符号を付して説明を省略する。図7から図9に第2の実施形態に係る切削インサート10を示す。
この第2の実施形態においては、側面12に形成された突出部18の着座面20の形状に特徴を有している。すなわち、この切削インサート10では、着座面20が、正方形面11に直交する断面において図9に示すように凸V字状をなすように形成されているのである。
【0047】
ここで、取付座34の第1、第2当接面36、38を、前記着座面20がなす凸V字と嵌合するような凹V字状に形成することによって、切削インサート10が、その着座面20と取付座34の第1、第2当接面36、38とが互いに係合するようにして固定されることになる。
この構成の切削インサート10によれば、工具本体31を軸線Oを中心として高速回転させた際に切削インサート10がその遠心力で径方向外側に向けて移動することを防止でき、切削インサート10の位置ずれを確実に防止できる。
したがって、この第2の実施形態である切削インサート10によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することができるとともに、切削加工をさらに寸法精度良く行うことができる。
【0048】
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ部材には同一の符号を付して説明を省略する。図10から図12に第3の実施形態に係る切削インサート10を示す。
この第3の実施形態においても、側面12に形成された突出部18の着座面20の形状に特徴を有している。すなわち、この切削インサート10では、着座面20に内側に向けて凹んだ凹部25が形成されて、1つの側面12に形成された着座面20が2分割されている。
【0049】
この構成の切削インサート10によれば、1つの側面12に形成された着座面20に凹部25が形成されているので、例えば、取付座34の第1当接面36、第2当接面38の寸法精度や表面状況等によって着座面20とこれら第1、第2当接面36、38とが厳密に密着できない場合でも、2分割された着座面20のそれぞれの部分を当接させて支持することができ、切削抵抗による切削インサート10の移動を確実に防止できる。
【0050】
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同じ部材には同一の符号を付して説明を省略する。図13から図15に第4の実施形態に係る切削インサート10を示す。
この第4の実施形態においても、側面12に形成された突出部18の着座面20の形状に特徴を有している。すなわち、この切削インサート10では、突出部18が形成された部分を正方形面11に平行な断面視して図15に示すように、着座面20の中央部分が内側に凹んだ凹V字状をなしている。
【0051】
ここで、取付座34の第1、第2当接面36、38を、前記着座面20がなす凹V字と嵌合するような凸V字状に形成することによって、切削インサート10が、その着座面20と取付座34の第1、第2当接面36、38とが互いに係合するようにして固定されることになる。
この構成の切削インサート10によれば、切削インサート10が工具本体31先端側又は工具回転方向T前方側に向けて移動することを防止でき、切削インサート10の位置ずれを確実に防止することができる。したがって、この第4の実施形態である切削インサート10によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏することができるとともに、切削加工をさらに寸法精度良く行うことができる。
【0052】
以上、本発明の実施形態である切削インサートについて説明したが、本発明はこれに限定されることはなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、正方形平板状をなす切削インサートとして説明したが、これに限定されることはなく、平行四辺形平板状、長方形平板状などの四角形平板状をなすものであれば良い。
【0053】
また、いわゆる右勝手のフライスカッタに装着される切削インサートとして説明したが、これに限定されることはなく、左勝手のフライスカッタに装着される切削インサートであっても良い。なお、左勝手の場合には、本実施形態とはねじれ方向が異なり、一の正方形面に対向する側から見て、一の正方形面が他の正方形面に対して反時計回りに回転するようにねじれることになる。
【0054】
また、切刃から面取部を介して連なり前記切刃と直交する方向に延びる副切刃を形成したものとして説明したが、副切刃が形成されていないものであっても良い。ただし、本実施形態のように副切刃を形成することで加工面を滑らかに仕上げることができるので好ましい。また、面取部についても形成する必要はなく、切刃と副切刃とが直接連なるように形成されていても良い。
また、超硬合金で構成された切削インサートとして説明したが、材質に限定されることはなく、例えば切刃が硬質被膜によってコーティングされたものであっても良い。
【0055】
さらに、一の正方形面と他の正方形面とのねじれ角αが、3°≦α≦20°の範囲内に、具体的にはα=6°に設定されたものとして説明したが、ねじれ角αはこの範囲に限定されることはなく、任意に設定することができる。ただし、本発明の範囲内とすることにより、取付座に装着した際に切刃のアキシャルレーキ角が適正な範囲に設定することができるため好ましい。
【0056】
また、突出部に傾斜面を形成して、ブレーカ溝を角部側に向かうにしたがい漸次広がるように構成したものとして説明したが、これに限定されることはなく、傾斜面が形成されずにブレーカ溝の溝幅が一定とされていてもよい。ただし、本実施形態のように構成することで切屑の工具本体先端側への排出が促進されるので好ましい。
【0057】
また、突出部が形成された部分を正方形面に平行な断面で見た場合に、概略正方形をなしてこの正方形の角部を45°で切り欠いたものとして説明したが、これに限定されることはなく、角部を曲面状に構成したものであってもよい。同様に、突出部に形成された傾斜面が、突出部の角部部分において切削インサートの厚さ方向における2等分線上で前記着座面と交差するように配置されたものとして説明したが、傾斜面と着座面との交差位置は任意に設定してもよい。
【0058】
また、工具本体に5つの凹部及び取付座を形成したものとして説明したが、これに限定されることはなく、凹部及び取付座の数や配置は任意に設定することができ、被切削材の材質や切削条件等と考慮して適宜設定することが好ましい。
また、主に鋳鉄及び鋼を切削加工するフライスカッタとして説明したが、被切削材に限定はなく、他の材質の被切削材を切削加工するものであっても良い。また、送りや切り込みを大きくとる重切削加工の場合には、切削抵抗が高くなる傾向にあるため、本実施形態のように縦刃の切削インサートを使用することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】第1の実施形態である切削インサートの斜視図である。
【図2】図1に示す切削インサートを正方形面に対向する側から見た正面図である。
【図3】図1に示す切削インサートを側面に対向する側から見た側面図である。
【図4】図3におけるX−X断面図である。
【図5】図1に示す切削インサートが装着されたフライスカッタの側面図である。
【図6】図5に示すフライスカッタの先端面図である。
【図7】第2の実施形態である切削インサートを正方形面に対向する側から見た正面図である。
【図8】図7に示す切削インサートを側面に対向する側から見た側面図である。
【図9】図7におけるY−Y断面図である。
【図10】第3の実施形態である切削インサートの斜視図である。
【図11】図10に示す切削インサートを側面に対向する側から見た側面図である。
【図12】図11におけるX−X断面図である。
【図13】第4の実施形態である切削インサートの斜視図である。
【図14】図13のインサートを側面に対向する側から見た側面図である。
【図15】図14におけるX−X断面図である。
【符号の説明】
【0060】
10 切削インサート
11 正方形面(四角形面)
12 側面
13 角部
14 切刃
15 面取部
16 副切刃
17 挿通孔
18 突出部
19 ブレーカ溝
20 着座面
25 凹部
30 フライスカッタ(切削工具)
31 工具本体
33 チップポケット
34 取付座
35 第1支持部
36 第1当接面
37 第2支持部
38 第2当接面
40 クランプネジ
【出願人】 【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
【出願日】 平成18年7月14日(2006.7.14)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦

【識別番号】100106057
【弁理士】
【氏名又は名称】柳井 則子


【公開番号】 特開2008−18515(P2008−18515A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−194392(P2006−194392)