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軸非対称非球面の作製方法 - 特開2008−23687 | j-tokkyo
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【発明の名称】 軸非対称非球面の作製方法
【発明者】 【氏名】高木 英二

【要約】 【課題】主軸の回転に同期して主軸と平行および直交する二方向にバイトを移動させるだけでワークを旋削して、軸非対称非球面を作製する簡易な方法を提供する。

【構成】予め算出されたデータにしたがい、主軸回りのワークの回転に同期して前記主軸と平行および直交する二方向にバイトを移動させてワークの加工面を旋削する非球面加工機を用いる。前記主軸と平行にバイトを移動させるZ軸加工データは、軸対称な基準加工データと、前記主軸の一回転あたり2サイクルの正弦波による補正加工データとを含む。補正加工データは、正弦波データと軸非対称分の最大振幅値の積である。正弦波データは、前記バイトの前記主軸と直交する方向への移動に対し前記バイトが前記主軸の中心にある時はゼロであって中心から離れるほど大きくなる補正値と2サイクルの正弦波の積である。前記軸対称な基準加工データは、非球面加工データである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め算出されたデータにしたがい、主軸回りのワークの回転に同期して前記主軸と平行および直交する二方向にバイトを移動させてワークの加工面を旋削して軸非対称非球面を作製する方法において、
前記主軸と平行にバイトを移動させるZ軸加工データは、軸対称な基準加工データに、前記主軸の一回転あたり2サイクルの正弦波による補正加工データを加えたことを特徴とする軸非対称非球面の作製方法。
【請求項2】
前記補正加工データは、前記バイトの前記主軸と直交する方向への移動に対し、前記バイトが前記主軸の中心にある時はゼロであって、中心から離れるほど大きくなることを特徴とする請求項1記載の軸非対称非球面の作製方法。
【請求項3】
前記軸対称な基準加工データは、非球面加工データであることを特徴とする請求項1または2記載の軸非対称非球面の作製方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズまたはミラーあるいはそれらを成形するための金型に軸非対称非球面を作製する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
光学機器に組み込まれるレンズ等の光学素子はその表面形状が非球面である非球面レンズが使用されている。この非球面レンズは、その形状が創成された金型を用いて樹脂により射出成形で作成されたり、また熱したガラスをプレスして作成する方法等がある。何れの方法も、所望の形状が創成された金型を製作することは必須作業である。
【0003】
近年、光ピックアップ光学系等において、軸非対称非球面レンズが用いられる。これは光源である半導体レーザーがP−N接合面(活性層)で発光するため、光ビームは円ではなく、楕円や長円といったものが多い。このような楕円あるいは長円の光ビームを収束して円形の光ビームを作り出すため、図9に示すような光軸方向の断面が楕円形状(極率半径の経線方向の長さが異なる)となる軸非対称非球面レンズを用いている。
【0004】
金型に非球面加工を施す方法として、ごく一般的なNCフライス盤による方法を図10に示す。移動テーブル43に載せられた加工物41をXあるいはY方向に走査させ、主軸47に固定され回転するボールエンドミル45をZ方向に走査させて、加工物41に対して、非球面加工を行なう方法である。
【0005】
他の方法として、旋盤を用いる方法を図11に示す。加工物51を主軸によって回転する取付台53に取付け、加工物51を回転させながら、加工物51に対して切削用のバイト55をX方向あるいはZ方向に走査することにより、非球面加工を行なう方法である。例えば、下記特許文献1が知られている。また加工工具に回転刃あるいは回転する砥石を用いたものもある(下記特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−094201号公報
【特許文献2】特開平04−141336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、これらの従来の方法によって、軸非対称非球面レンズを成形するための形状を金型に加工するには、加工工具をX軸、Y軸方向に平面的に動かすだけでなく、加工物に対して加工工具を傾ける、あるいは楕円軌跡に沿って加工工具の角度を変えるなど、加工工具に複雑な動きを加えることで、楕円球形状を削りだしている。
【0007】
そのため顕微鏡的に見れば、その切削は非常に短い直線の連続であって、加工点の前後で加工方向が僅かに変わっている。従って切削精度は悪く、またこれらの変極点を再度研削する必要があるなど加工時間も長く掛かっていた。加工の際に加工工具を動かす個所が多ければ多いほど加工精度を上げることは難しくなる。更に加工のためのプログラムも複雑となり、形状が僅かに異なっただけでも全く新規にプログラムを作成する必要が生じるなど、加工プログラムの作成にも多大の時間と労力が掛かっていた。
【0008】
そこで本発明は、予め算出されたデータにしたがい、主軸回りのワークの回転に同期して前記主軸と平行および直交する二方向にバイトを移動させワークの加工面を旋削して、高精度な軸非対称非球面を作製する簡易な方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明による軸非対称非球面の作製方法は、予め算出されたデータにしたがって、主軸回りのワークの回転に同期して、前記主軸と平行および直交する二方向にバイトを相対的に移動させ、ワークの加工面を旋削して形成するもので、前記主軸と平行にバイトを移動させるZ軸加工データは、軸対称な基準加工データに補正加工データを加えて算出される。
【0010】
前記軸対称な基準加工データは、球面加工データであっても非球面加工データであっても良く、補正加工データは前記主軸の一回転あたり2サイクルの正弦波であり、且つ前記バイトの前記主軸と直交する方向への移動に対し、前記バイトが前記主軸の中心にある時はゼロであって、中心から離れるほど大きくなる。
【発明の効果】
【0011】
本発明による軸非対称非球面の作製方法は、金型などの加工物を回転させるだけであり、バイトは前記加工物の加工面に対し垂直な方向と回転中心から半径方向の2方向だけの直線的な動きのみで構成されているので、加工精度は極めて高い。また加工プログラムも、従来から使用されている基本的な動きをするための軸対称な基準加工データに、正弦波を加えただけの単純なものなので、プログラムの作成時間は極めて短く、また変更にも簡単に対応できるなど、経済的効果も大きい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について説明する。本発明による軸非対称非球面の作製方法を用いて、非球面加工機により軸非対称非球面レンズの金型を作製する例にて説明する。図1に示すように、非球面加工機11は、回転可能な主軸12と、主軸12に取付けられ金型1の位置調節を行なうための調節ステージ13と、前記調節ステージ13に取付けられた前記金型1の加工位置に同期させてバイト5の位置を移動させる加工工具移動手段を備えている。
【0013】
この加工工具移動手段は、前記バイト5を取付ける取付ブロック21と、取付ブロック21を、前記主軸12の回転軸15と垂直な平面上で前記主軸12の半径方向に移動可能なXステージ22と、前記主軸12の回転軸15と平行な方向に移動可能なZステージ23とから構成されている。
【0014】
ここでは非球面形状が凹面となる軸非対称非球面金型の作製方法について説明する。前記非球面加工機11のNC制御装置には、その加工内容に応じたレンズの曲率半径や中心位置などの基礎条件値が入力された軸対称な基準加工データと、軸非対称分の最大振幅値が入力される。
【0015】
前記非球面加工機11の主軸12にワーク(被加工物)である前記金型1が取付けられ、前記主軸12の回転によって前記金型1が回転する。前述の基礎条件値が入力された軸対称な基準加工データによって、前記Xステージ22およびZステージ23が移動、加工が開始される。これによって、まず基準となる軸対称非球面形状が前記金型1に掘り込まれる。
【0016】
続いて軸非対称非球面を形成するための追加旋削が行なわれる。NC制御装置の加工プログラムでは、次の演算が行われ、追加旋削のためにバイト5を送り出すZステージ23への指示データ(以下、Z軸加工データという)が求められ、これによってZステージ23が移動し、前記金型1に軸非対称非球面を形成するための追加旋削が行なわれる。
【0017】
このZ軸加工データを求めるフローを図2に示す。NC制御装置には主軸回転エンコーダから主軸12のθ位置情報とXステージ22から主軸の中心を基準としたバイト5の位置情報が送られる。このθ位置情報は前記主軸の1回転に対して2サイクルの正弦波の値(Zs)に変換される。主軸12のθ位置に対する正弦波の同期の状態を図3に示す。
【0018】
Xステージ22から送られたバイト5の位置情報によって、主軸中心からの半径方向の位置によって決まる補正値(Zr)が求められる。このZrはバイト5が主軸12の回転中心にある時は0であって、加工最外周では1(最大)となる(図4参照)。
【0019】
前記2サイクルの正弦波の値(Zs)と前記半径方向の位置によって決まる補正値(Zr)との積によってZ軸方向の追加加工量比データである正弦波データ(Zt)が求められる。図5は、このZtをイメージ的に現した図であり最大値は1で、バイト5を金型1に対して送り出すZステージの基準加工データに対する追加送り量は、条件値として入力された軸非対称分の最大振幅値とZtの積で現される補正加工データとなる。
【0020】
既に前記金型1には、基礎条件値が入力された軸対称な基準加工データによって、基準となる軸対称非球面形状が掘り込まれている。この時の基準加工データに前記補正加工データを加算して前記Z軸加工データとなる。このZ軸加工データによって前記Zステージ23が送りだされ、前記金型1を更に旋削し、軸非対称非球面形状が掘り込まれる。
【0021】
このようにして軸非対称非球面部分の加工が終了した後、通常の方法によりフランジ部の加工が行なわれ金型の加工が完了する。このようにして作られた金型の1つ(非球面形状が凹面となる金型)を図6および図7に示す。一般にレンズの成形には所謂キャビ型とコア型が必要であり、この金型をキャビ型とすると、もう一方のコア型が必要となる。
【0022】
ここで成形するレンズがメニスカス(凸凹)の場合、コア型は面形状が凸面となる金型3(図8参照)となり、これを製作する場合には、前述の加工方法と同様に基準となる軸対称非球面を先に加工しておき、その後軸非対称非球面を作製する。ここで前記Z軸加工データの値は、図8に示すように、加工の基準面を金型の合わせ面(PL面)として、それよりバイト5を戻す方向のデータとして用いれば良い。こうして出来た一対の金型によって成形された軸非対称非球面レンズ4を図9に示す。
【0023】
以上のように本発明による軸非対称非球面の作製方法を用いた軸非対称非球面レンズ金型の加工方法は、金型を回転させるだけであり、バイトは前記金型の加工面と垂直な方向と回転中心から半径方向の2方向だけの直線的な動きのみで構成されているので、加工精度は極めて高い。また加工プログラムも、従来から使用されている基本的な動きをするための軸対称な基準加工データに、正弦波データを加えただけの単純なものなので、プログラムの作成時間は極めて短く、また変更にも簡単に対応できるなど、経済的効果も大きい。
【0024】
上記実施形態は、予め基本形状である軸対称非球面部分を旋削加工した後、最終的な加工形状である軸非対称非球面形状に仕上げ加工する手順で説明したが、これに限定されるものではなく、予め軸対称非球面部分を旋削しておくのではなく、少しずつ削りながら軸非対称非球面形状を作製しても良く、またフランジ部分は非球面部分の加工の前に行なっても差し支えない。
【0025】
また、上記実施形態は、軸対称な基準加工データとして、非球面加工データを用いた例で説明したが、球面加工データであっても、何ら問題がないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明による非球面レンズ金型の加工方法の実施に用いられる非球面加工機を示す斜視図。
【図2】Z軸加工データを求める手順を示すフロー図。
【図3】主軸のθ位置と正弦波データの同期の状態を示す図。
【図4】バイトの主軸中心からの半径方向の位置におけるZrの変化を示す図。
【図5】Z軸方向の追加加工量比データである正弦波データを概念的に示す図。
【図6】本発明による非球面レンズ金型の加工方法により加工された金型の平面図。
【図7】本発明による非球面レンズ金型の加工方法により加工された金型の中心線断面図。
【図8】別の金型の側面図。
【図9】本発明による非球面レンズ金型の加工方法により製作された金型を用いて成形された軸非対称非球面レンズの斜視図。
【図10】エンドミルによる従来の非球面加工方法を示す図。
【図11】加工物を回転させて旋削する従来の非球面加工方法を示す図。
【符号の説明】
【0027】
1 金型
2 加工後の金型
3 別の金型
4 レンズ
5 バイト
11 非球面加工機
12 主軸
22 Xステージ
23 Zステージ

【出願人】 【識別番号】000005430
【氏名又は名称】フジノン株式会社
【出願日】 平成18年7月25日(2006.7.25)
【代理人】 【識別番号】100075281
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 和憲

【識別番号】100095234
【弁理士】
【氏名又は名称】飯嶋 茂

【識別番号】100117536
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 英了


【公開番号】 特開2008−23687(P2008−23687A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−201793(P2006−201793)