トップ :: B 処理操作 運輸 :: B23 工作機械;他に分類されない金属加工

【発明の名称】 ガンドリル及びこれに取付けられるドリル本体
【発明者】 【氏名】馬渕 雅行

【氏名】日比野 崇

【氏名】鈴木 克征

【要約】 【課題】シャンク部に折損が生じた場合でもガンドリル全体を破棄する必要がなく、また、高速回転時において加工穴を高精度に切削できるガンドリル及びドリル本体を提供する。

【構成】シャンク部2と刃部5を一体形成するとともに、ドリル本体15にドライバ3を着脱可能に設けることで、同一のドライバ3を用いてドリル本体15のみを各々交換でき、同軸精度及び振れ精度を向上させることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャンク部の先端に刃部を備えたドリル本体の前記シャンク部の基端に保持部を設け、この保持部にドライバを着脱可能に取付けたことを特徴とするガンドリル。
【請求項2】
前記ドリル本体の前記刃部と前記シャンク部とを一体形成したことを特徴とする請求項1に記載のガンドリル。
【請求項3】
請求項2に記載のガンドリルに取付けられるドリル本体であって、ドリル本体の前記刃部と前記シャンク部とを一体形成したことを特徴とするドリル本体。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ガンドリル及びこれに取付けられるドリル本体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、穴径が小さく、長さのある深穴加工を行なう場合に、ガンドリルが利用されている。このガンドリルは、シャンク部の先端に刃部が、基端にドライバがそれぞれロウ付けにより一体に結合されている。また、ドライバから刃部に至るまでには油穴が設けられることで深穴の先端部まで切削油が供給でき、切屑の排出、作業面の摩擦低減及び冷却が考慮されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−066391号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、前記従来のガンドリルは通常、ガンドリルマシンのホルダにドライバをクランプして使用している。
ここで、前記ホルダに取付可能なシャンク部の径は、インチサイズで規格化されており、この径より小さな径のシャンク部を有するガンドリルを取付けるために、その基端にドライバをロウ付けしているのであるが、このような従来のガンドリルでは、シャンク部折損時等にはガンドリル全体を交換しなければならないという課題がある。また、従来はそのシャンク部に刃部がロウ付けして構成されていることから、高精度が要求される加工において切刃の同軸精度及び振れ精度に限界がある。そして、ガンドリルは高速回転で使用される小径工具である一方で、刃部やシャンク部が非対称であるため、精度の程度によっては、いわゆる縄跳び現象が生じて刃部に振れが生じ、穴加工精度が劣化してしまうという課題がある。
【0004】
この発明は、前記の事情を考慮してなされたもので、シャンク部に折損が生じた場合でもガンドリル全体を破棄する必要がなく、また、高速回転時において加工穴を高精度に切削できるガンドリル及びドリル本体を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の課題を解決するために、本発明は、シャンクの先端に刃部を備えたドリル本体の前記シャンクの基端に保持部を設け、この保持部にドライバを着脱可能に取付けたことを特徴とする。
したがって、このように構成することで、シャンク部が折損したりしても、これを交換するだけでドライバはそのまま使用することが可能となるとともに、同一のドライバに刃部の径の異なるドリル本体を取付けて穴加工を行なうこともできる。
【0006】
また、本発明では、前記ドリル本体の前記刃部と前記シャンクとを一体形成したことを特徴とする。
このように構成することで、ドリル本体の同軸精度及び振れ精度を向上できる。
【0007】
また、本発明のドリル本体では、このようなガンドリルに取付けられるドリル本体であって、ドリル本体の前記刃部と前記シャンクとを一体形成したことを特徴とする。
このように構成されたドリル本体は、前記ガンドリルのドライバに着脱可能に取付けて使用できるほか、ドリル本体を専用機であるガンドリルマシン以外、例えばマシニングセンタ等のホルダにドライバを用いずに直接取付けて適用することができる。
【発明の効果】
【0008】
このように、本発明によれば、シャンク部の折損時等にはドリル本体のみの交換により再び使用できるとともに、同一のドライバにインチサイズの異なるドリル本体を取付けることができる。
また、ドリル本体の同軸精度及び振れ精度が向上できるため、高速回転時に発生する縄跳び現象を抑制できる。さらに、ドリル本体を専用機であるガンドリルマシン以外、例えばマシニングセンタ等のホルダに適用することもできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
この発明の実施の形態を図1〜3に基づいて説明する。
図1は、本実施形態におけるガンドリル1の組立図である。また、図2は本発明の実施の形態におけるドリル本体のA−A線に沿う切断面拡大図であり、図3は、本発明の実施の形態におけるドリル本体の平面図である。
図1に示すように、ガンドリル1は、超硬合金により一体形成されるシャンク部2と刃部5からなるドリル本体15と、鋼材(例えば、材質がSCM440,硬さがHRC40〜45)からなるドライバ3とを備えている。
【0010】
シャンク部2の先端には段差部を介して刃部5が一体的に形成され、刃部5はその外周にバックテーパ(例えば、0.10〜0.15/100)を有している。このように、バックテーパを設けることにより、ガンドリル1の送り運動に対して逃げを与えることができる。また、従来構造のようにシャンク部2と刃部5との境界部分をロウ付けした場合には、前記段差部に強度が不連続になる部分が生ずるが、このような部分が生じず工具剛性が向上し、穴径の小さなガンドリル1でも強度を保てることとなる。
【0011】
刃部5の先端には、切刃7が一体形成され、切削時、ガンドリル1が軸芯周りに回転することにより加工穴を削り出しながら加工する。この切刃7は、ドリル本体15の軸芯から離れた位置に突端を有する凸V字状とされ、本実施形態では1枚刃とされている。
【0012】
また、図2に示すように、刃部5には断面略長円状の油穴8が設けられている。この油穴8はドリル本体15内を軸芯方向に貫通しており、図示しないガンドリルマシンの切削油の供給源から高圧の切削油が圧送される。圧送された切削油を油穴8から刃部5の先端面に吐出することで、切屑の排出、刃部5や被削材の加工部位の摩擦低減及び冷却がされる。
ここで、シャンク部2と刃部5はドライバ3より高硬度の超硬合金により一体形成されているため、工具剛性が高い。したがって、前述した油穴8の開口面積を大きくとり切削油の吐出量を多くすることができる。
【0013】
図3にも示すように、ドリル本体15は、先端から軸芯方向に沿って断面V字状の切屑排出溝4が形成されており、切削後の切屑が加工穴から排出されるようになっている。したがって、ドリル本体15の断面形状は、図2に示すような略円弧状に形成されることとなる。
【0014】
一方、ドリル本体1はシャンク部2の基端にテーパ部を介して外形円柱状の保持部16を、やはり一体に備えている。この保持部16の外周壁には、切欠部9が設けられている。この切欠部9は、平面視が半楕円形状で、シャンク部2の基端側から先端側に向かうにつれ深くなるような傾斜部9a(例えば、傾斜角Cが2度)と、傾斜部9aの端部からシャンク部2の外周壁に至る壁部14とで形成されている。切欠部9の壁部14は軸芯方向に対して垂直に形成されている。また、壁部14は、外周壁から軸芯へ垂直に向かう方向を水平面とし、この水平面に対して微小な仰角α(例えば、2度)をもつように形成してもよい。
【0015】
ドライバ3は、中空の略円筒状体で、外周壁の中央部を切欠いて平坦部10が設けられ、この平坦部10によってドライバ3はガンドリルマシンのホルダにクランプされる。ドライバ3内部にはドリル本体15を連結するとともに、ガンドリルマシンから供給される切削油を前述した油穴8へ圧送するための連結孔11が設けられている。
【0016】
ドライバ3の先端側には、ドライバ3の外周壁から前述した連結孔11に交差して、連結孔11の内周壁で開口するネジ孔12が設けられている。また、ネジ孔12は、水平面に対して後端側に向け前記傾斜部9aの軸芯に対する傾斜角と等しい微小な俯角β(例えば、2度)をもつように形成され、このネジ孔12にドリル本体15を固定するためのネジ13(例えば、平先六角穴付止めネジ)が螺合される。
【0017】
次に、作用について説明する。
図1に示すように、ドリル本体15の基端側をドライバ3の連結孔11に挿入させ、前述したドリル本体15の切欠部9をドライバ3のネジ孔12と対向するような位置に配置する。
次に、ネジ13をネジ孔12に螺合することによりドライバ3にドリル本体15が連結される。さらに、ネジ13を螺合していくと、ネジ13が切欠部9の傾斜部9aに当接する。この時、ネジ13の連結孔11を傾斜部9aの傾斜角Cと等しい俯角βに形成したことより、ネジ13は傾斜部9aに垂直に当接し、ドリル本体15とドライバ3は確実に固定される。したがって、ネジ13は傾斜部9aと壁部14との間で係合され、切削時に抵抗力から生じる振れを抑えることができる。また、切欠部9の壁部14を軸芯方向に対して仰角αに形成することにより、ドライバ3とドリル本体15はより堅固に連結されることになる。
【0018】
したがって、上述の実施形態によれば、ドリル本体15とドライバ3を着脱可能に取付けることで、ドリル本体15折損時にはドリル本体15のみを交換してドライバ3を再び利用でき、同一のドライバ3を用いて刃部の径の異なるドリル本体15を使用することが可能である。
【0019】
さらに、シャンク部2と刃部5とを一体形成することにより、同軸精度並びに振れ精度が向上し、ガンドリル1の高速回転時に生じる縄跳び現象を抑制できる効果がある。また、従来のロウ付けにより刃部とシャンク部及びドライバを結合していたガンドリルと比較して、構造的にも簡易的なものになる。
【0020】
尚、この発明は上述した実施の形態に限られるものではなく、例えば以下のような態様で採用可能である。
まず、この発明は、ガンドリルを広くとらえたとして、ガンリーマ等の深穴工具にも同様に、ドリル本体とドライバを着脱可能に取付た構成で採用できる。また、本実施形態では刃部5に形成される切刃の枚数を1枚刃として説明したが、切刃の枚数は任意でよい。
【0021】
そして、前述したドリル本体15の保持部16を、図示しないマシニングセンタ等の各種ホルダに装着させることで、ドライバ3を用いずに簡易的にドリル本体のみをマシニングセンタ等の他の工作機械においても使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の形態におけるガンドリルの組立平面図である。
【図2】本発明の実施の形態における図1および図3のA−A線に沿う切断面拡大図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるドリル本体の平面図である。
【符号の説明】
【0023】
1…ガンドリル 2…シャンク部 3…ドライバ 5…刃部 15…ドリル本体 16…保持部

【出願人】 【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
【出願日】 平成18年7月18日(2006.7.18)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦

【識別番号】100106057
【弁理士】
【氏名又は名称】柳井 則子


【公開番号】 特開2008−23607(P2008−23607A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−195554(P2006−195554)