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【発明の名称】 並立する被加工材間の被加工孔開口縁の面取り加工方法
【発明者】 【氏名】小島 覚

【要約】 【課題】並立する被加工材間の材間隙間に面する被加工孔の開口縁に対して、有利且つ簡便な面取り加工方法を提供する。

【構成】相互に同軸状に位置する円形の被加工孔12,22・・が形成されている複数の被加工材11,21・・・が並立した状態においてそれらの被加工材間に形成される材間隙間S12,S23・・に面する側の被加工孔の開口縁12B,22A・・を回転軸2によって回転駆動される面取りカッター3によって面取り加工する面取り加工方法において、回転軸と面取りカッターは相互に着脱自在とされており、材間隙間に面する被加工孔開口縁を面取り加工するにあたっては、面取りカッターを回転軸から取外して材間隙間内に挿入したあと、被加工孔から挿入した回転軸の先端に面取りカッターを装着するとともに、面取りカッターを被加工孔開口縁に押しつけることによって同被加工孔開口縁を面取り加工する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に同軸状に位置する円形の被加工孔(12,22・・)が形成されている複数の被加工材(11,21・・・)が並立した状態においてそれらの被加工材(11,21・・)間に形成される材間隙間(S12,S23・・)に面する側の前記被加工孔(12,22・・)の開口縁(12B,22A・・)を回転軸(2)によって回転駆動される面取りカッター(3)によって面取り加工する面取り加工方法であって、前記回転軸(2)と面取りカッター(3)は相互に着脱自在とされており、前記材間隙間(S12,S23・・)に面する被加工孔開口縁(12B,22A・・)を面取り加工するにあたっては、前記面取りカッター(3)を前記材間隙間(S12,S23・・)内に挿入したあと、前記被加工孔(12,22・・)から挿入した前記回転軸(2)の先端に前記面取りカッター(3)を装着するとともに、前記回転軸(2)によって回転駆動される前記面取りカッター(3)を前記被加工孔開口縁(12B,22A・・)に押しつけることによって同被加工孔開口縁を面取り加工することを特徴とする並立する被加工材間の被加工孔開口縁の面取り加工方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本願発明は、並立する被加工材に形成されている被加工孔の面取り加工方法に関し、さらに詳しくは、並立する被加工材相互間の隙間(材間隙間)に面する側の被加工孔開口縁の面取り加工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、油圧、空圧シリンダー等のように一端側に枢動軸を有する部材を枢動自在に軸支する場合には、並立する一対の支持部材(ブラケット)にそれぞれ当該枢動軸を軸支するための同軸状の円形孔をドリルで加工するが、その場合、ドリルで加工された円形孔の開口縁にはいわゆる「バリ」が発生する。
【0003】
こり「バリ」は、従来は図5に示すように並立する被加工材111,121に形成した被加工孔112,122の一面側(開放面111A,121B側)の開口縁112A,122Bは回転式の面取りカッター103によって面取り加工(バリ取り)する一方、被加工材111,121間の材間隙間S112に面する被加工孔の開口縁112B,122Aに発生するバリ(いわゆる「裏バリ」)については図6(A)又は図7(A)に示すようにヤスリ133やボール砥石143等によって仕上げ加工していた。
【0004】
ところで図6(A)に示すようなヤスリ加工ではヤスリの直線運動による加工であるために、被加工孔の開口縁に図6(B)に示すようなヤスリ痕133Aが残り、また図7(A)に示すようなボール砥石加工の場合でも図7(B)に示すように被加工孔の開口縁に対してボール砥石の側周面が当接することによる特有のヤスリ加工痕143Aが残るという問題があるほか、それぞれその面取り加工作業のために比較的長い加工時間(1個所あたり4〜5分)がかかるという問題があった。
【0005】
なお、本願発明者の調査した範囲では並立する被加工材間の被加工孔開口縁に発生する「裏バリ」に対する何らかの有効な加工方法を開示した文献は発見することはできなかった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本願発明は上述のような技術的背景のもとになされたもので、並立する被加工材間にあるの被加工孔開口縁に対する有利且つ簡便な面取り加工方法を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願発明にかかる、並立する被加工材間の被加工孔開口縁の面取り加工方法は、先ず、相互に同軸状に位置する円形の被加工孔が形成されている複数の被加工材が並立した状態においてそれらの被加工材間に形成される材間隙間に面する側の前記被加工孔の開口縁を回転軸によって回転駆動される面取りカッターによって面取り加工する面取り加工方法である。そして、前記回転軸と面取りカッターは相互に着脱自在とされており、前記材間隙間に面する被加工孔の開口縁を面取り加工するにあたっては、前記面取りカッターを前記材間隙間内に挿入したあと、前記被加工孔から挿入した前記回転軸の先端に前記面取りカッターを装着するとともに、前記回転軸によって回転駆動される前記面取りカッターを前記被加工孔の開口縁に押しつけることによって同被加工孔開口縁を面取り加工することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本願発明の並立する被加工材間の被加工孔開口縁の面取り加工方法は、上記したように、面取り加工用の面取りカッターをその回転駆動用の回転軸に対して相互に着脱自在とし、並立する被加工材間の材間隙間に面する被加工孔開口縁を面取り加工するにあたっては、面取りカッターを被加工材間の材間隙間に挿入したあと、これを被加工材の被加工孔から挿入した回転軸の先端部に装着することにより、同面取りカッターが並立する被加工材間で被加工孔の(材間隙間に面する)開口縁に向かって、軸方向から対向して回転し得るものとなり、その結果、材間隙間に面する被加工孔の開口縁においても開放側の被加工孔開口縁に対すると同様の面取り加工を行うことができ、延いては不良なバリ取り痕のない面取り加工を、しかも従来に比して短時間で(たとえば、熟練者では5〜10秒程度で)行い得るという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
続いて添付の図1ないし図4を参照して本願発明の実施例にかかる面取り加工方法をさらに詳細に説明すると、図4には、本願発明の実施例にかかる面取り加工方法で使用可能な電動式の面取り加工装置(手持操作型面取り加工機)の分解図が示されており、同図に示されている面取り加工機は、手持操作型の電動式面取り加工機本体1のチャック4に把持されて回転駆動される回転軸2と、同回転軸2の先端部に着脱自在に装着される面取りカッター3とをそなえて構成されている。回転軸2の先端部2aは正六角形状の断面を有しており、これが面取りカッター3の中心部に形成されている同大・同形(正六角形状)の受穴3aと着脱自在に嵌合するようになっている。一方、チャック4に把持される回転軸2の基端部2bは、この実施例では円形とされている。これは、面取りカッター3によって被加工孔開口縁の面取り加工を行うに際して、回転軸2に大きな回転反力が加わる場合があり、それによって面取り加工機本体1に大きな逆回転力が発生する(それによって面取り加工機保持者の腕に過大な逆回転力が加わる)のを防止するためである。すなわち、回転軸2に対して面取りカッター3側から過大な回転反力が加わる場合でも、回転軸2の基端部2bは円形(丸棒状)となっているため、同回転軸基端部2bとチャック4との間で「スベリ」を生じ、過大な回転反力が面取り加工機本体1側に伝播するのを防止することになるのである。なお、本願発明の面取り加工方法は、図示実施例のように手持操作型の面取り加工機を使用して行う場合に限らず、ボール盤等の据置型工作機械を使用して行うこともでき、その場合には、回転軸2による逆回転力を考慮する必要もないため、回転軸2の基端部2bをことさら円形にする必要もない。
【0010】
本願発明の面取り加工方法で使用する面取りカッターには特に限定がない。すなわち、カッター刃の材質、形状、直径、軸方向寸法等、被加工材の材質や被加工孔の直径、被加工材間の隙間間隔等に会わせて自由に選択することができる。被加工材の材質も鋼材、合金材等のほか、アクリル等のプラスチック材についても本願発明の面取り加工方法を適用することができる。
【0011】
本願発明の面取り加工方法を実施するにあたり、被加工材間の隙間間隔が手指を挿入できる程度に広い場合は、手指でもって被加工材間の隙間(材間隙間)に面取りカッターを出し入れすることができるが、材間隙間の間隔が手指が入らない程に狭い場合は、別製の保持具を用いて面取りカッターを材間隙間内に出し入れし得るようにするとよい。
【0012】
次に、本願発明の実施例にかかる被加工孔開口縁の面取り加工方法の具体的手順を説明すると、図1(A),(B),(C)には本願発明の実施例にかかる、並立する被加工材11,21間の被加工孔開口縁(12B,22A)の面取り加工方法を実施するための一例が図示されている。図1(A)は、同軸状に形成された被加工孔(12,22)を有する並立する被加工材11,21間のうちの第1の被加工材11の被加工孔12の一方の開口縁12A(並立する被加工材11,21間に形成される材間隙間S12に面する開口縁12Bとは反対側の開放側の開口縁)を面取り加工する状況を示している。この図1(A)に示す状態においては、回転軸2によって回転駆動される面取りカッター3を単に第1の被加工孔12の(開放側)開口縁12Aに押し当てるだけで同第1の被加工孔12の開放側の開口縁12Aに対する面取り加工を行うことができる。
【0013】
このような、側方が開放された被加工孔開口縁12Aに対する面取り加工作業は従来と同じ方法で行えばよく、この点は他方の(第2の)被加工材21における第2の被加工孔22の開口縁22A,22Bのうちの側方が開放されている被加工孔開口縁22Bを面取り加工する場合についても同様である(図2(A)参照)。
【0014】
次に、図1(B),(C)は、並立する被加工材11,21のうちの第2の被加工材21に形成されている被加工孔(第2の被加工孔)22の一方の開口縁(並立する被加工材11,21間に形成される材間隙間S12に面する隙間S12側の開口縁)22Aを面取り加工する場合の手順を示している。すなわち、この場合は、手持操作式面取り加工機本体などの駆動手段1の回転軸2の先端から面取りカッター3を取外したのち、これを一対の並立する被加工材11,12間の隙間(材間隙間)S12に入れ(図1(B))、その後、同面取りカッター3を第1の被加工材11の被加工孔12から材間隙間S12へ向けて挿入した回転軸2の先端に再装着する。そして、そのあと回転する面取りカッター3を第2の被加工材21側の被加工孔22の隙間側の開口縁(材間隙間S12側に面する開口縁)22Aに押しつければ、材間隙間S12側に面する隙間側の開口縁22Aについても(さきに説明した第1の被加工材11における被加工孔開口縁12A又は第2の被加工材21における被加工孔開口縁22Bに対すると同様の)良好な面取り加工を行うことができる。なお、材間隙間S12に面する2つの被加工孔開口縁12B,22Aのうちの第1の被加工材11側の被加工孔開口縁12Bに対する面取り加工についても、さきに図1(B),(C)を使用して説明したのと同様の手順で行うことができる。すなわち、この場合は、駆動手段1の回転軸2の先端から面取りカッター3を取外したのち、これを一対の並立する被加工材11,12間の隙間(材間隙間)S12に入れ(図2(B))、その後、同面取りカッター3を第2の被加工材21の被加工孔22から材間隙間S12へ向けて挿入した回転軸2の先端に再装着する。そして、そのあと回転する面取りカッター3を第1の被加工材11側の第1の被加工孔12の隙間側の開口縁(材間隙間S12側に面する開口縁)12Bに押しつければ、材間隙間S12側に面する隙間側の開口縁12Bについても(さきに説明した第2の被加工材21における被加工孔開口縁22Aに対すると同様の)良好な面取り加工を行うことができる。
【0015】
また、本願発明の方法は、並立する被加工材が2個の場合だけでなく、3つ以上の場合についても実施することができる。
【0016】
図3(A).(B),(C)は並立する被加工材が3つある場合の例を示しているが、この例の場合においては、3つの被加工材11,21,31の間に形成される2つの材間隙間S12,S23に面する4つの被加工孔開口縁(12B,22A,22B,32A)についてさきに図1(B),(C)及び図2(B),(C)を使用して説明したのと同じ方法で面取り加工を行うことができる。ただし、この図3の例の場合は、面取りカッター3が第1の被加工材11の被加工孔開口縁11Bと第3の被加工材31の被加工孔開口縁32Aに達することができるように回転軸2の長さが選定される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本願発明の実施例にかかる面取り加工方法の作業手順の説明図である。
【図2】図1に示す面取り加工方法の他の作業手順の説明図である。
【図3】本願発明の他の実施例にかかる面取り加工方法の作業手順の説明図である。
【図4】本願発明の面取り加工方法で使用し得る面取り加工機の分解説明図である。
【図5】従来から行われている面取り加工方法の説明図である。
【図6】従来から行われている他の面取り加工方法の説明図である。
【図7】従来から行われているさらに他の面取り加工方法の説明図である。
【符号の説明】
【0018】
1は駆動手段、2は回転軸、3は面取りカッター、4はチャック、11,21,31は被加工材、12,22,32は被加工孔、12A,12B,22A,22B,32A,32Bは被加工孔の開口縁、S12,S23は被加工材間の材間隙間である。
【出願人】 【識別番号】506231836
【氏名又は名称】株式会社 小島製作所
【出願日】 平成18年7月5日(2006.7.5)
【代理人】 【識別番号】100075731
【弁理士】
【氏名又は名称】大浜 博


【公開番号】 特開2008−12617(P2008−12617A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−185283(P2006−185283)