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【発明の名称】 気相反応法を用いた金属ナノ粉末の製造方法
【発明者】 【氏名】イ・ファ−ヨン

【要約】 【課題】金属塩化物を蒸発させた後、高温で水素ガスとの還元反応による金属粉末の製造方法において、水素ガスと共に少量のアンモニアガスを同時に供給して、通常の方法に比べて粒度が小さく、かつ粒度分布が非常に狭い均一な金属ナノ粉末を安価に製造できる金属ナノ粉末の製造方法を提供する。

【構成】直径の異なる2つの石英管1、2を、第1および第2管状炉3、4に導入し、第1管状炉は窒素ガスを供給しながら原料である金属塩化物5を蒸発させるためのもので、第2管状炉は窒素ガスの供給を維持しながら水素ガスとアンモニアガスを同時に供給して、蒸発した金属塩化物蒸気との還元反応のためのものである。塩化ニッケルの場合、第1管状炉は780〜850℃で蒸発させ、第2管状炉では500〜900℃でニッケルナノ粉末が製造できる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
窒素ガスを供給しながら原料である金属塩化物を蒸発させる工程と、
窒素ガスの供給を維持しながら水素ガスとアンモニアガスを同時に供給して、前記蒸発させた金属塩化物蒸気との還元反応により金属ナノ粉末を得る工程と、
を含むことを特徴とする金属ナノ粉末の製造方法。
【請求項2】
窒素ガスの供給と水素ガスの供給とを独立して行う、請求項1記載の金属ナノ粉末の製造方法。
【請求項3】
供給ガスである窒素ガス:水素ガスの割合が1:1〜5:1の範囲であり、水素ガス:アンモニアガスの割合が5:1〜10:1の範囲である、請求項1記載の金属ナノ粉末の製造方法。
【請求項4】
前記金属塩化物が、ニッケル塩化物、タングステン塩化物、鉄塩化物、クロム塩化物、及び銅塩化物から選択されるいずれか1つである、請求項1記載の金属ナノ粉末の製造方法。
【請求項5】
前記金属塩化物がニッケル塩化物であり、ニッケル塩化物の蒸発温度が780〜850℃の範囲であり、蒸発したニッケル塩化物蒸気と水素ガス及びアンモニアガスとの反応温度が500〜900℃の範囲である、請求項4に記載の金属ナノ粉末の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は金属ナノ粉末の製造方法に関し、より詳しくは、金属塩化物を蒸発させた後、アンモニアガス雰囲気下で、高温で水素ガスと還元反応させることにより、非常に均一な粒度を有する金属ナノ粉末を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、全世界的にナノ技術に関心が集中しており、これに関する研究開発が活発に行われ、各種ナノ材料の製造及び応用に関する新しい技術が国内外で続々と報告されている。このようなナノ技術の特徴は、既存の素材や材料が有する物性を画期的に改善することにより、実現不可能であると考えられていた様々な製品を現実的に実現可能にすることである。例えば、半導体回路の線幅を100ナノメートル以下にすることにより、従来の水準に比べて集積度を大きく向上させることができ、新しい概念のメモリチップであるMRAMの実現、各種高性能センサ、及び化学触媒などに広範囲に応用できる。
【0003】
金属ナノ粉末を製造するための方法としては、液相で化学反応を起こさせてナノサイズの金属を沈殿させる方法、および気相で高温熱分解して金属ナノ粉末を得る方法が知られているが、これら2つの方法においては、原料として金属アルコキシドなどの有機金属化合物を使用するのが一般的である。しかし、有機金属化合物は、その多くが非常に高価であるため、金属ナノ粉末の大量生産には経済性の問題が伴う。
【0004】
このような有機金属化合物を使用して金属ナノ粉末を製造する方法以外の超微粒子製造方法としては、ガス蒸発法、高温で金属シュウ酸塩を水素ガスで還元する方法、金属塩化物蒸気を水素ガスで還元する方法、金属カルボニル化合物を熱分解する方法、金属水溶液に水素ガスを注入して還元する方法などを挙げることができる。
【0005】
このうち、特に工業的に関心を集めている方法は、金属塩化物蒸気を水素ガスで還元する方法であり、原料として非常に安価な金属塩化物を使用する。この方法は、金属塩化物を適当な温度で加熱して蒸発させ、これにより得られた金属塩化物蒸気と還元ガスである水素との高温反応により所望の粒度を有する金属ナノ粉末を得る。
【0006】
前述した各種原料でナノ金属を製造する方法に関する資料としては、特許文献1〜6などがある。
【0007】
前述した金属ナノ粉末の製造方法のうち、ガス蒸発法などの物理的方法の場合、化学的方法に比べて結晶性が良好で粒度分布が非常に狭いという利点はあるが、装置コスト及び工程コストが高いため、化学的方法に比べて全般的な製造コストが高いという欠点があった。例えば、ニッケルナノ粉末をガス蒸発法で製造する場合、水素還元法で製造する場合に比べて約2倍の製造コストが必要である。
【0008】
これに対し、金属塩化物を水素還元する方法により金属ナノ粉末を製造する場合は、製造コストが比較的安価で工業的な大量生産が可能であるという利点はあるが、高温での化学反応の精密な制御が難しいため、生産されたナノ粉末の粒度分布が広いという欠点があった。これは、金属塩化物蒸気と水素ガスとが反応する過程で生成された金属粒子核同士が衝突して粒度が大きくなる現象のためであり、通常の方法で高温反応を行う場合、このような現象の制御が極めて難しいという問題があった。
【特許文献1】米国特許第6,521,016号明細書
【特許文献2】米国特許第6,316,377号明細書
【特許文献3】米国特許第5,698,483号明細書
【特許文献4】特開2002−266007号公報
【特許文献5】特開2002−255515号公報
【特許文献6】特開2002−067000号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、金属塩化物を原料として使用してこれを蒸発させた後、高温で水素ガスとの還元反応によりニッケルナノ粉末を製造する方法において、通常の方法に比べて生成されたナノ粉末の粒度が小さく、かつ粒度分布が非常に狭いナノ粉末を非常に安価に製造できる手段を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の目的を達成するために、本発明による金属ナノ粉末の製造方法は、窒素ガスを供給しながら原料である金属塩化物を蒸発させる工程と、窒素ガスの供給を維持しながら水素ガスとアンモニアガスを同時に供給して、前記蒸発させた金属塩化物蒸気との還元反応により金属ナノ粉末を得る工程とを含む。
【0011】
この場合、窒素ガスの供給と水素ガスの供給とは独立して行われることが好ましい。
【0012】
また、供給ガスである窒素ガス:水素ガスの割合は1:1〜5:1の範囲であり、水素ガス:アンモニアガスの割合は5:1〜10:1の範囲であることが好ましい。
【0013】
また、前記金属塩化物は、ニッケル塩化物、タングステン塩化物、鉄塩化物、クロム塩化物、及び銅塩化物から選択されるいずれか1つであることが好ましい。
【0014】
また、前記金属塩化物がニッケル塩化物の場合、ニッケル塩化物の蒸発温度は780〜850℃の範囲であり、蒸発したニッケル塩化物蒸気と水素ガス及びアンモニアガスとの反応温度は500〜900℃の範囲であることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明による気相反応法を用いた金属ナノ粉末の製造方法は、ニッケル塩化物を原料として使用してこれを蒸発させた後、高温で水素ガスとの還元反応によりニッケルナノ粉末を製造する方法において、水素ガスと共にアンモニアガスを注入することにより、通常の方法に比べて生成されたニッケルナノ粉末の粒度が小さく、かつ粒度分布が非常に狭い均一なニッケルナノ粉末を製造できるという利点がある。
【0016】
また、本発明は、ニッケル塩化物を水素還元する方法でニッケルナノ粉末を製造することにより、従来のガス蒸発法や高温熱分解法に比べて製造コストが比較的安価であると共に工業的な大量生産が可能であるという特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明による金属ナノ粉末の製造方法を詳細に説明する。
【0018】
本発明の目的は、ニッケル塩化物(NiCl)を蒸発させ、これにより得た金属塩化物蒸気と水素ガスとの高温還元反応によりニッケルナノ粉末を生成する過程で、水素ガスと共に少量のアンモニアガス(NH)を注入することにより達成できる。
【0019】
ここで、水素ガスと混合して注入するアンモニアガスは、水素ガスより比較的還元性が低く、かつ粒子表面での吸着性が非常に強いため、還元反応により生成されたニッケルナノ粒子核に付着して、粒子核同士が凝集する現象を抑制したり、ナノ粒子が急速に成長するのを防止することにより、粒度分布が狭くて均一なサイズを有するニッケルナノ粉末の製造を可能にする。アンモニアガスを加えずに水素ガスだけで還元工程を行った場合、製造されたニッケル粉末の粒度が不均一であり、特に全体的に平均粒度が非常に大きくなるため、上記の効果を達成することができない。
【0020】
以下、例を挙げて本発明の方法をより詳細に説明する。
【0021】
図1に示すように、まず、直径が異なる2つの石英管1、2を準備し、大きい石英管1の内部に小さい石英管2を挿入する。ここで、小さい石英管2の長さは大きい石英管1の半分程度にする。準備した石英管1、2をそれぞれ温度制御が可能な2つの管状炉3、4に導入する。これら2つの管状炉3、4のうち、第1管状炉3(蒸発炉)は、塩化ニッケル(NiCl)を加熱して蒸気にするためのものであり、第2管状炉4(反応炉)は、蒸気化した塩化ニッケルと水素ガスとの還元反応のためのものである。このように準備した装置に、塩化ニッケル5を耐火容器6に入れて小さい石英管2の中間部位に装入する。また、2つのガス注入管7、8を準備し、図1に示すように、第1ガス注入管7は小さい石英管2の内部に、第2ガス注入管8は大きい石英管1の内部に挿入し、排出管9を連結した後にゴム栓10で石英管1を密封する。
【0022】
前述のように装置の組立が終わった後、第1ガス注入管7に窒素ガスを約30分間、十分に流して石英管2内部の空気を排出させる。空気の排出が終わった後、塩化ニッケルが位置する第1管状炉3の温度を780〜850℃まで昇温して塩化ニッケルを蒸発させる。蒸発温度が前記範囲より低いと塩化ニッケルの蒸発速度が遅すぎ、前記範囲より高いと不要なエネルギー消費が発生する。
【0023】
一方、反応炉である第2管状炉4の温度も、反応温度である500〜900℃まで予め昇温し、昇温が終わると、第1ガス注入管7からの窒素ガスの供給はそのまま維持しながら、第2ガス注入管8から反応ガスである水素ガスと共にアンモニア(NH)ガスを同時に供給することにより、ニッケルナノ粉末を製造する。反応温度が前記範囲より低いと還元率が低下し、前記範囲より高いとエネルギーコストが上昇する。
【0024】
本発明において、供給ガスである窒素、水素、及びアンモニアガスの割合は、窒素:水素の割合が1:1〜5:1の範囲であり、かつ水素:アンモニアガスの割合が5:1〜10:1の範囲であることが適当である。このようなガスの混合割合は、均一な粒度のニッケルナノ粉末の製造に適した範囲であり、ガスの混合割合が前記範囲を外れると、ニッケル粒子が不均一になったり還元率が低下する。
【0025】
本発明において石英管を2つ使用してガス注入管を独立して設置した理由は、水素を塩化ニッケル試料側に直接供給した場合、蒸発していない塩化ニッケルと水素とが反応して塩化ニッケル試料の表面で直ちにニッケル金属が生成されるためである。
【0026】
また、前述した本発明の方法により製造されたニッケルナノ粉末は、供給ガスと共に外部に排出され、液相捕集器などを利用してニッケルナノ粉末を回収する。しかし、本発明において、生成されたニッケルナノ粉末の捕集方法はこれに限定されるものではない。
【0027】
また、本発明において、水素ガスとアンモニアガスを使用した金属ナノ粉末の製造における対象金属はニッケルに限定されず、金属塩化物を蒸発させて水素との還元反応により金属粉末を製造できるタングステン、鉄、クロム、銅などの金属に適用することもできる。
【0028】
本発明による気相反応法を用いた金属ナノ粉末の製造方法は、ニッケル塩化物を原料として使用してこれを蒸発させた後、高温で水素ガスとの還元反応によりニッケルナノ粉末を製造する方法において、水素ガスと共にアンモニアガスを注入することにより、通常の方法に比べて生成されたニッケルナノ粉末の粒度が小さく、かつ粒度分布が非常に狭い均一なニッケルナノ粉末を製造することができる。
【0029】
以下、本発明の具体的な工程条件及び特徴を次の実施例により詳細に説明する。
【0030】
実施例1
塩化ニッケル(NiCl)5gを耐火容器に入れ、図1に示すように本発明の装置を組み立てた後、第1ガス注入管から窒素ガスを30分間流した。石英管内部の空気の排出が終わった後、反応炉の温度を900℃、蒸発炉の温度を780℃に昇温し、昇温が終わると、窒素の供給はそのまま維持し、第2ガス注入管から水素ガスとアンモニアガスを同時に供給して、ニッケルナノ粉末を製造した。ここで、窒素:水素の供給割合は1:1にし、水素:アンモニアガスの供給割合は10:1にした。塩化ニッケルと水素との反応により生成されたニッケルナノ粉末は、供給ガスと共に外部に排出させ、排出ガスを灯油が充填された液相捕集器を通過させることにより、ニッケルナノ粉末を回収した。
【0031】
このような本発明の方法により製造されたニッケルナノ粉末の粒度を分析した結果、図2に示すように、平均粒度は45nmで、粒度範囲は20〜80nmであり、アンモニアガスを供給しない方法に比べて粒度が小さくて均一度が大きく向上した。
【0032】
実施例2
塩化ニッケル5gを耐火容器に入れ、実施例1と同様に本発明の装置を組み立てた後、第1ガス注入管から窒素ガスを30分間流した。石英管内部の空気の排出が終わった後、反応炉の温度を500℃、蒸発炉の温度を850℃に昇温し、昇温が終わると、実施例1と同様の方法で、第2ガス注入管から水素ガスとアンモニアガスを同時に供給した。ここで、窒素:水素の供給割合は5:1にし、水素:アンモニアガスの供給割合は5:1にした。塩化ニッケルと水素との反応により生成されたニッケルナノ粉末は、実施例1と同様の方法で、液相捕集器を使用して回収した。
【0033】
このような本発明の方法により製造されたニッケルナノ粉末の粒度を分析した結果、図3に示すように、平均粒度は37nmで、粒度範囲は15〜75nmであり、従来の方法に比べて粒度が小さくて均一度が大きく向上した。
【0034】
以上、本発明を、図示の実施例を中心に説明したが、これは例示にすぎず、本発明が多様な変形及び様々な実施例を含むことは本発明が属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明が適用されるニッケルナノ粉末の製造装置の模式図である。
【図2】本発明により製造されたニッケルナノ粉末の写真である。
【図3】本発明により製造されたニッケルナノ粉末の写真である。
【符号の説明】
【0036】
1、2 石英管
3、4 管状炉
5 塩化ニッケル
6 耐火容器
7、8 ガス注入管
9 排出管
10 ゴム栓
【出願人】 【識別番号】399101854
【氏名又は名称】コリア インスティテュート オブ サイエンス アンド テクノロジー
【出願日】 平成19年1月25日(2007.1.25)
【代理人】 【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇

【識別番号】100113653
【弁理士】
【氏名又は名称】束田 幸四郎

【識別番号】100116919
【弁理士】
【氏名又は名称】齋藤 房幸


【公開番号】 特開2008−45202(P2008−45202A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2007−14915(P2007−14915)