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【発明の名称】 磁石の製造方法と製造装置
【発明者】 【氏名】谷口 義晴

【要約】 【課題】高価な大型磁場成型機、金型寿命、高価で地球上の絶対量の少ないDyの問題。表面酸化:発錆防止の処理。

【構成】磁化吸引力を活用した磁場成型機で、成型用金型に成型物を入れたまま仮焼成をする為、機械的強度を考慮する必要がなくなり、接着剤の投入が不要であるから、磁化の容易軸方向を揃えることが出来、高性能な磁石を安価に作成出来る。また、成型用金型は、高い温度の焼結過程に使う事なく、低い温度の仮焼結後、直ちに仮焼成品を金型より取り出し高温に晒さないので、寿命が長く経済性に富む。更に、高価なDyとAl、Ni、Co、合金等を用いて、同時に、仮焼成物に本焼結過程でアロイングさせて、磁気性能向上と防錆処理を行うことが出来、蒸着或いは鍍金処理が割愛出来る経済効果は大きい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁力で粒子の磁化容易軸方向を揃えつつ、その吸引力を応用して成型する事を特徴とした磁石の製造方法。
【請求項2】
磁石粉末を成型用金型に充填した後、磁気の吸引力を加圧源とした成型機に装着して、交流(パルスを含む)並びに直流電源より、励磁力と吸着力を発揮させ、金型内の磁石粉末の磁化容易軸の方向を揃えたる状態で加圧成型をする事を特徴とした磁石の製造方法。
【請求項3】
強磁性体を含む材料から構成された成型用金型は、磁化の容易軸方向が整えられた粒子群からなる加圧成型体の磁化方向が、所望の方向からずれない様に磁束が流れる磁気継鉄としての機能を備えたことを特徴とする磁石製造装置。
【請求項4】
請求項3に記載の成型用金型は、成型体の仮焼成の温度に耐えるNi、Co等の合金材料から構成される事を特徴とした成型用金型。
【請求項5】
仮焼成された製品の表面に予備接着剤等を用いて、良く知られている磁気改善の為のDyやMo、Vの微粉末Aと、本発明のAl、Ni、Co等の一種もしくは複数から構成される微粉末Bを充分に微細混合し、A+B粉末を作成し、製品の表面に接着させ、本焼結の熱処理を行う際に、焼結体の表面にアロイングさせながらDy等を粒界相に拡散させて抗磁力の改善と同時にAl、Ni、Coの合金により発錆防止を行う事を特徴とした磁石の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、磁石の製造方法とその装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来は大型の高価な磁場プレスを必要とする欠点があったが、その改善策として、成型を行わない方法が発明された。しかし、この方法は原料が所定の密度になる充填過程で、磁界を施すことなく、後工程で磁界を与える為に、粉体粒子が磁化容易軸方向に整列する際に自由に移動しにくい、且つ、粉末プレス成型をしないので、製品を取り出すことが出来ない為、容器と共に焼結せざるを得ないので、ケースの消耗が多いという欠点があった。
【特許文献1】特許出願公告 昭47−21197
【特許文献2】特許出願公告 昭55−26601
【特許文献3】特許出願公開番号 特開2006−19521
【非特許文献1】特許出願公開番号 日本応用磁気学会 第147回研究報告 希土類磁石の最新動向とその応用
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
高価な大型の100トンクラスの磁場プレスを使用していた為に極めて不経済であった事。成型用金型に粉末原料を充填し、その粒子の自由な運動が出来る状態で、磁界を与えながら成型をする過程がなかった為に、充分に磁化容易軸方向を整えることが出来なかった故、充分なる磁気特性を得る事が出来なかった。成型用金型から成型品を取り出す為に整磁された成型品の磁化を消磁するなどの作業が必要であり、経済的にも磁石の特性的にも問題があった。また、従来の優れた発明の一つでも原料充填容器に入れたままで焼結する方法があるが、この方法は充填容器が成型品の焼結温度に充分耐えることが困難であり、結果的には不経済なる面があった。最後に金属製の磁石は表面に錆が発生する為に多くの費用をかけて、メタライズ或いは、メッキ等の酸化防止処理を行わなければならない欠陥を併せ有していた。これ等の多くの欠陥を課題として有していた。
【課題を解決するための手段】
【0004】

まず大型の100トンクラスの磁場成型機を用いることが常識的であったが、本発明では磁場の吸引力で充分に成型が出来る程度の加圧力にとどめ、成型用金型から成型品を取り出すことなく、成型用金型に成型品が入ったままで仮焼成を行う事を特徴とする。この作業によって、本焼結に比較してはるかに低い温度で仮焼成をした後に成型品を金型より取り出し、改めて所定の表面処理を行った後に本焼結を行うものとする為に、金型は本焼結温度よりはるかに低い温度に晒されるのみで耐久性が高くなり経済的である。また、磁石の原料である微粉末は図1に示す如く、強磁性体からなる外枠1の底部に同じく強磁性体からなる下盤20を備え、その中に粉末3を充填し、セパレータ4を挿入し、再度粉末原料3を入れ、繰り返し成型品の形状により適当なる枚数を選択する訳であるが、図面では、便宜上4枚を同時に磁界中成型をする場合について示した。
【0005】
図2は4回目の粉末原料3を最上部に充填した状態を示し、図3は上蓋21をかぶせたことにより、その蓋と個々の原料3並びにセパレータ4の自重により粉末原料が圧縮された状態を示している。この状態では個々の粉末粒子の磁化容易軸方向を外部からの励磁界によって揃える際に、粒子を自由に移動させる事が困難となる為、結果として磁気特性の劣化を招く事になる。この問題を解決する為に図4に示す如く上下に磁極51、50を設け、上蓋21並びに下蓋20に磁界を与え粒子の存在する空間を引き伸ばし、磁界原料粒子の自由運動の空隙を広くし、充分に磁界の強度を高めて磁気吸着力を増強して、図5に示す如く上下の磁極51、50を磁気吸着力により近づける。
【0006】
この過程で色々な型の励磁界を、例えば斜めから或いは、パルス型など色々と成型用金型の周辺部に励磁コイルを設ける事によって自由に補強することが出来る。古くには、潤滑性と接着性を兼ね備えた特許出願公告昭47−21179など多くの文献があるが、残念乍、接着剤を添加して、成型物の強度を強めようと試みれば接着剤によって充分に粒子が移動出来にくくなる為に、磁化容易軸を充分に整列する事が困難な結果となり、充分な磁気特性が得られないと同時に、多くの接着剤を含む成型物を焼結する際に多くのガスを発生すると同時に、その接着剤の分解された残痕が空孔になり磁石の密度を低下させる欠陥があり、理想的には接着剤をなくした状態で自由に粒子に運動させながら、成型物の機械的強度を心配する事なく、成型金型のまま仮焼成をする本発明は、磁石生産上、大きく経済性並びに、性能向上という観点から貢献できる。
【0007】
最後に、本発明の特徴の一つは、図6に示す如く、磁場中で成型された成型物3(粉末粒子の圧縮されたもの)の残留磁束から発生する磁束を極力乱す事のない様に、その磁束流Fを矢印の如く維持させた状態で、成型物3を金型から取り出しても、充分崩壊しない温度まで還元雰囲気中で上昇させて仮焼をする。この温度は粉末原料の組成分、或いは、粒子の大きさなどによって相違するが、一般的には900℃以下で仮焼を終えるべきである。この事によって、成型金型の寿命が本焼成まで行う場合と比較出来ない程、長くもち経済的である。
【0008】
仮焼成された成型物を予め割型など簡易に内容物が取り出される構造の成型用金型から取り出し、その表面に比較的分解温度の高いポリマー(Polyethyleneglycol 2000 分子構造:H−CH2−CH2−O)n−OH 分子量:2000g/mol)を、溶剤(Diethylene Glycol Monobutyl Ether CH3OCH2CH2OCH2CH2OH 分子量:162.2g/mol 沸点:230.6℃)でもって、適度なる粘度の接着剤を作り、仮焼成物の表面にコートし、その上に抗磁力を高める効果のある金属、例えば、Dyの微粉末と防錆作用のあるAl、Co、Niなどの一種、もしくは、二種以上の微粉末をメカニカルアロイング法などで充分混合した微粉末を付着させた後、真空中、或いは、還元雰囲気中で本焼成を行う事により、Dyは仮焼結体の主相に対して、優先的に拡散をする性質が知られている様に、粒界相に拡散し高価なDyを効率よく活用し抗磁力を向上させる事が出来ると同時に、Fe並びにNdリッチなる部分の表面に防錆作用の強いAl、Co、Niなどの合金がアロイング作用により、防錆処理を焼結後する必要がなくなる様に、真空中、或いは、還元雰囲気中で本焼結時にアロイングをさせる。
【発明の効果】
【0009】
前項で詳記した如く、高価な大型の磁場成型機を用いる事なく、経済的な磁場吸着力を活用し、簡易な成型機で成型用金型を用い、粒子の磁化容易軸を接合剤、潤滑剤などを入れて、粒子の移動を妨害することなく整えながら加圧成型し、成型物の磁束流を強磁性体からなる成型金型の構造で磁気継鉄の作用をさせながら、成型物の磁気整列を乱すことなく仮焼成を行い、仮焼成後、金型から成型物を取り出し、磁気特性の向上の為のDy、Mo、Vなどと防錆作用のあるAl、Ni、Coの微粉末を、成型物の表面にアロイングさせる為に、真空中、或いは、還元雰囲気中で本焼結をする事により、経済的に高性能で表面処理が不要なる磁石を製造することが出来る効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明では磁石のエネルギー積が高く、高価なDyを含まない代表的な組成を質量%で示すと31Nd−68Fe−1B(w%)である組成をベースにし、所定の方法で合金原料を作成し、溶解し粉砕した粉末原料を作成し、本発明の成型後、被成型物から発生する磁気の継鉄機能を備えた強磁性体のNi、Co、Alなどからなる合金材料を主なる構成部材とした成型用金型に図1から図3に模型的に断面図で示す如く、原料粉末3を順次セパレータ4を介しながら充填し、図4に示す如く上下の磁極51、50を固定した状態でパルスや交番磁界を成型用金型の上下の蓋21、20を貫通させて、被成型物の粒子に与え、磁化容易軸を揃え、その整磁された状態を維持させながら、磁化の吸着力を用いて加圧し、上下の蓋21、20を近づけた状態を維持し、成型用の金型内に被成型物を入れたまま900℃以下の真空又は還元雰囲気で仮焼処理を施した後、仮焼物の表面に抗磁力を高めるDyや防錆作用のあるAl、Ni、Coの一種又はそれ以上の合金を付着させる為に、上述の有機接着剤をコートした後、所定のDyやAl、Ni、Co等の合金微粉末を付着させ、仮焼温度以上の本焼結温度で真空又は還元雰囲気中で処理すると、本発明の効果を最大に発揮出来る。
【実施例1】
【0011】
前述した主原料の配合組成、即ち、31Nd−68Fe−1B重量比なる組成からなる5μm以下の微粉末原料を、Ni合金からならる強磁性材料を図1〜図6に断面図で示す様に、中空の外枠1を作成し、その内側に挿入可能な厚み10mmの蓋と5mm厚のセパレータを用意して、図で前述した手順で成型用金型に充填した次に、蓋や原料並びにセパレータの自重で充填された原料粉末が、圧縮され粒子の磁化容易軸方向を整え難い状態になったので、図4に示す如く成型用金型の外枠のトップに上蓋が来る位置に、上磁極を固定し10KOe以上の交番磁界を外枠の外周部にパルス励磁用の空心コイルを(図には割愛した)設けて整磁し、磁力の吸着力を成型圧源として応用し、磁界を印加しながら加圧成型を行った。次に、被成型物を成型用金型に入れたまま水素雰囲気炉で870℃で仮焼成を行い、仮焼成物を金型から取り出し表面に接着剤をコートした後、2Dy−98Ni重量比からなる合金微粉末を付着させ、900℃以上の水素雰囲気炉で、本焼結させると同時に、これ等のDyとNiをアロイングさせた結果、Dyは粒界相に優先的に拡散し、抗磁力の向上に作用し、同時に、Niは焼結体の表面を一種のメタライズする型となり、表面発錆防止が出来た。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の磁石製造用の装置の一つである成型用金型を断面図で示す。成型用金型に順次、下部から磁石粉末原料3をセパレータ4を介して充填する経緯を示している。
【図2】本実施例として4個の成型物を得るべく、粉末原料を第4段まで充填した状態を示す。
【図3】上蓋21やセパレータ4と粉末原料3の自重で総ての粉末原料が圧縮された状態で粉末の磁化容易軸を揃える際に、粉末の移動が困難な状態を示している。
【図4】成型用金型の外枠の上下面に磁極51、50を固定し、種々磁気吸着力で上蓋を引き上げ、同時に順次粉末原料の充填されている空間を広げ、粉末の磁化容易軸を揃える為の粉末粒子の移動を容易ならしめた状態を示している。
【図5】磁極51並びに52の固定を解き、磁化の吸着力を応用して成型用金型の上下の蓋を加圧した状態を示している。
【図6】上下磁極51、50を抜き取り、成型用金型内の成型物から発生する磁束線Fが、成型時に磁化の容易軸方向に整えられた状態に維持されている様子を模型的に示したものである。
【符号の説明】
【0013】
1 強磁性体材料からなる外枠

20 強磁性体材料からなる下蓋

21 強磁性体材料からなる上蓋

3 微粉末原料

4 強磁性材料からなるスペーサー

50 下磁極

51 上磁極

F 磁束の流れ

【出願人】 【識別番号】000229081
【氏名又は名称】日本セラミック株式会社
【出願日】 平成18年8月10日(2006.8.10)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−45148(P2008−45148A)
【公開日】 平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願番号】 特願2006−218609(P2006−218609)