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【発明の名称】 金粘土用金粉末及びこの金粉末を含む金粘土
【発明者】 【氏名】小川 怜子

【氏名】樋上 晃裕

【要約】 【課題】本発明の金粉末を含む金粘土を用いて作製された造形品を比較的低い温度で焼成しても緻密な焼結体が得られるとともに、比較的短時間の研磨作業で焼結体表面に金本来の光沢を発現させる。

【構成】平均粒径が1〜30nmである第1金粒子1〜30重量%と、平均粒径が0.1〜30μmである第2金粒子99〜70重量%との混合物により金粘土用金粉末が構成される。上記第2金粒子は、平均粒径0.1μm以上かつ2μm未満の小径粒子又は平均粒径2μm以上かつ30μm以下の大径粒子のいずれか一方又は双方からなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均粒径が1〜30nmである第1金粒子1〜30重量%と、平均粒径が0.1〜30μmである第2金粒子99〜70重量%とを混合してなる金粘土用金粉末。
【請求項2】
第2金粒子が、平均粒径0.1μm以上かつ2μm未満の小径粒子又は平均粒径2μm以上かつ30μm以下の大径粒子のいずれか一方又は双方からなる請求項1記載の金粘土用金粉末。
【請求項3】
請求項1又は2記載の金粘土用金粉末50〜95重量%と、有機系バインダ0.8〜8重量%と、残部の水とを混合してなる金粘土。
【請求項4】
水の一部が0.03〜3重量%の界面活性剤又は0.1〜3重量%の油脂のいずれか一方又は双方に置き換えられた請求項3記載の金粘土。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、低収縮性及び収縮率安定性に優れた金粘土用金粉末と、この金粉末を含む金粘土に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金の宝飾品や美術工芸品は鋳造又は鍛造により製造されるの一般的であったが、近年、金粉末を含んだ金粘土が市販されるようになってきた。この金粘土を造形・焼成することにより、所定の形状を有する金の宝飾品や美術工芸品が製造される。上記金粘土に含まれる金粉末として、99.9重量%以上の純度を有し、銀を50〜1000ppm含む純金粘土用高純度Au粉末が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。このAu粉末80重量%に対して、エチルセルロース2.0重量%と界面活性剤0.4重量%と、フタル酸−n−ジブチル0.7重量%と、水16.9重量%とを混合して金粘土が調製される。
上記高純度Au粉末を含む純金粘土を用いて作製した純金焼結体サンプルは、従来の純金焼結体サンプルと比較して、破断強度及び破断伸びに優れる。また上記高純度Au粉末を含む純金粘土を用いて造形体を作製し、この造形体を1000℃の電気炉に入れたとき、この造形体が完全焼結状態になるまでの時間が短く、焼結性に優れている。
【特許文献1】特開平7−331303号公報(請求項1、段落[0007]、段落[0010])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上記従来の特許文献1に示された純金粘土用高純度Au粉末では、500〜800℃と比較的低い温度で焼成した場合、焼結体の緻密度が低くなり焼結性が十分でないという不具合があった。
また、上記従来の特許文献1に示された純金粘土用高純度Au粉末では、焼成した焼結体表面に微細な凹凸が比較的多く形成されるため、表面に金属光沢が発現するまで焼結体の表面を研磨するのに多くの時間を要する問題点もあった。
本発明の目的は、比較的低い温度で焼成しても緻密な焼結体が得られ、また比較的短時間の研磨作業で、焼結体表面に金本来の光沢を発現させることができる、金粘土用金粉末及びこの金粉末を含む金粘土を提供することにある。
本発明の別の目的は、従来と同等の有機バインダの混合割合で、従来より造形性を向上できる、金粘土を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
請求項1に係る発明は、平均粒径が1〜30nmである第1金粒子1〜30重量%と、平均粒径が0.1〜30μmである第2金粒子99〜70重量%とを混合してなる金粘土用金粉末である。
この請求項1に記載された金粘土用金粉末では、この金粉末を含む金粘土を用いて造形体を作製した後、この造形体を比較的低い温度で焼成すると、第2金粒子が焼結せずに第1金粒子が焼結して、第1金粒子が第2金粒子を結合する。これにより収縮率の小さい緻密な焼結体が得られるので、この焼結体の表面は凹凸が少なく比較的滑らかになる。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明であって、更に第2金粒子が、平均粒径0.1μm以上かつ2μm未満の小径粒子又は平均粒径2μm以上かつ30μm以下の大径粒子のいずれか一方又は双方からなることを特徴とする。
この請求項2に記載された金粘土用金粉末では、第2金粒子が平均粒径0.1μm以上かつ2μm未満の小径粒子を含むと、第2粒子もわずかに焼結するため、一層低温度で焼成することができる。また第2金粒子が平均粒径2μm以上かつ30μm以下の大径粒子を含むと、第2粒子は焼結に全く関与しないため、焼結体の収縮率を一層低減することができる。
【0005】
請求項3に係る発明は、請求項1又は2記載の金粘土用金粉末50〜95重量%と、有機系バインダ0.8〜8重量%と、残部の水とを混合してなる金粘土である。
この請求項3に記載された金粘土では、この金粘土を用いて造形体を作ると、微細な造形体の作製が可能となり、この造形体を焼成しても、殆ど収縮せず緻密な焼結体が得られる。
また水の一部を0.03〜3重量%の界面活性剤又は0.1〜3重量%の油脂のいずれか一方又は双方に置き換えることが好ましい。
【発明の効果】
【0006】
以上述べたように、本発明によれば、平均粒径が1〜30nmである第1金粒子1〜30重量%と、平均粒径が0.1〜30μmである第2金粒子99〜70重量%との混合物により金粘土用金粉末を構成したので、この金粉末を含む金粘土を用いて造形体を作製した後、この造形体を比較的低い温度で焼成すると、第2金粒子が焼結せずに第1金粒子が焼結して、第1金粒子が第2金粒子を結合する。この結果、収縮率の小さい焼結体、即ち緻密な焼結体を得ることができる。従って、焼結体の表面が凹凸が少なく比較的滑らかになるので、比較的短時間の研磨作業で焼結体表面に金本来の光沢を発現させることができる。
また第2金粒子が、平均粒径0.1μm以上かつ2μm未満の小径粒子又は平均粒径2μm以上かつ30μm以下の大径粒子のいずれか一方又は双方からなれば、造形体の焼成温度又は焼結体の収縮率のいずれか一方又は双方を一層低減することができる。
また上記金粘土用金粉末50〜95重量%と、有機系バインダ0.8〜8重量%と、残部の水とを混合することにより金粘土を調製すれば、この金粘土を用いて造形体を作製すると、微細な造形が可能となり、従来と同等の有機バインダの混合割合で、従来より造形性を向上できる。更にこの造形体を焼成しても、殆ど収縮せず緻密な焼結体が得られる。この結果、焼結体の表面が凹凸が少なく比較的滑らかになるので、比較的短時間の研磨作業で、焼結体表面に金本来の光沢を発現させることができる。従って、本発明の金粘土を使用して、誰でも簡単に美術工芸品や宝飾品などを作ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に本発明を実施するための最良の形態を図面に基づいて説明する。
本発明の金粘土用金粉末は、平均粒径が0.1〜30nm、好ましくは5〜20nmである第1金粒子と、平均粒径が0.1〜30μm、好ましくは0.5〜10μmである第2金粒子とを混合することにより構成される。また第1金粒子及び第2金粒子の混合割合は、第1金粒子が1〜30重量%、好ましくは1〜15重量%であり、第2金粒子が99〜70重量%、好ましくは99〜85重量%である。ここで、第1金粒子の平均粒径を0.1〜30nmの範囲に限定したのは、0.1nm未満では金粒子同士が凝集してしまい第2金粒子と均一に混合することが困難となり、30nmを越えると焼成温度の下限値が高くなるとともに焼結体表面に凹凸が多く形成されてしまうからである。また第2金粒子の平均粒径を0.1〜30μmの範囲に限定したのは、この範囲の平均粒径を有する金粉末は通常市販されている金粉末だからである。この第2金粉末は、平均粒径0.1μm以上かつ2μm未満、好ましくは平均粒径0.5μm以上かつ2μm未満の小径粒子、又は平均粒径2μm以上かつ30μm以下、好ましくは平均粒径2μm以上かつ10μm未満の大径粒子のいずれか一方又は双方からなる。第2金粒子の小径粒子の平均粒径を0.1μm以上かつ2μm未満の範囲に限定したのは、焼成温度を低減するためであり、第2金粒子の大径粒子の平均粒径を2μm以上かつ30μm未満の範囲に限定したのは、焼結体の収縮率を低減するためである。また第2金粒子の平均粒径を0.1〜30μmの範囲に限定したのは、0.1μm未満では造形性を得るためのバインダを多く必要とし収縮が大きくなって製造コストが増大してしまい、30μmを越えると焼結性に劣り500〜800℃と比較的低温で焼成したときに十分な強度が得られないからである。更に第1金粒子の混合割合を1〜30重量%の範囲に限定したのは、1重量%未満では500〜800℃と比較的低温で焼成するとその焼結体の強度が低下してしまい、30重量%を越えると金粉末の表面積が大きくなり過ぎてバインダが大量に必要となり焼結体の収縮率が大きくなり過ぎる一方、焼結体の収縮率を小さくすべくバインダ量を少なくすると粘土としての造形性が低下してしまうからである。第2金粉末が小径粒子及び大径粒子の双方からなる場合には、小径粒子と大径粒子の混合割合は、重量比で(30〜70):(70〜30)、好ましくは(40〜60):(60〜40)に設定される。ここで、小径粒子と大径粒子の混合割合を重量比で(30〜70):(70〜30)の範囲に限定したのは、小径粒子による焼成温度を低減する機能と、大径粒子による焼結体の収縮率を低減する機能とを確実に発揮させるためである。
【0008】
なお、第1金粒子は化学還元法、電解還元法、ビーズミル法などにより作製され、第2金粒子は水アトマイズ法、ガスアトマイズ法、回転ディスク法などにより作製される。また上記第1金粒子と第2金粒子とを所定の割合で混合した金粉末を調製するには、微細な第1金粒子を水、アルコール等の分散媒に分散させてコロイドを作り、このコロイドに比較的大きい第2金粒子を入れて撹拌・混合した後に、この混合物にアセトン、ヘキサン等の分散剤除去剤を入れて固液分離し、混合粉末(金粉末)を回収する方法を用いることが好ましい。更に上記第1金粒子や第2金粒子の粒度分布の測定には、MICROTRAC FRA型粒度分析計(LEED & NORTHRUP社製)が通常用いられる。このMICROTRAC FRA型粒度分析計では、ヘキサメタリン酸ナトリウムを分散剤として用い、金粉末を水中に分散させた状態で粒子の粒度分布を測定するようになっている。なお、MICROTRAC FRA型粒度分析計による粒度分析中に、粒子の凝集により粒度分布の極大ピークが複数個観測され、本来の平均粒径より大きな値が観測される場合がある。しかし、このような凝集状態を含めた粒子の平均粒径のデータに基づいて本発明の粒子の平均粒径と相違すると主張することはできない。なぜなら、粒度分布を測定する粒子が何も混合しない粉末状態であるときに凝集していても、この粒子をバインダと十分に混練して粘土状態としたものでは、混練による剪断力により凝集が解けるため、粒子の平均粒径は凝集のない平均粒径、即ち本発明の粒子の平均粒径の範囲内に入るからである。上記凝集状態を含む粒子では、必要に応じて超音波洗浄機により凝集した粒子の分散を促進するなどした後に粒子の粒度分布を測定することが好ましい。また上記処理を施しても凝集が解けない場合には、走査型電子顕微鏡にて無作為にサンプリングした粉末を5点以上観察し、粒子同士が焼結の初期段階である凝結の状態でないことを確認した上で、得られた画像を解析することにより粒度分布を決定してもよい。即ち、本発明において平均粒径と記述しているものは、凝集がないと仮定したときの平均粒子径若しくは1次粒子径と言い換えることができる。
【0009】
上記金粉末を用いた金粘土は、上記金粉末50〜95重量%、好ましくは90〜94重量%と、有機系バインダ0.8〜8重量%、好ましくは0.8〜4重量%と、残部の水とを混合することにより構成される。ここで、金粉末の混合割合を50〜95重量%の範囲に限定したのは、50重量%未満では、金粉末の間にバインダや水が多く介在して金粉末同士が離れているため焼結開始に多くの時間を要するとともに、焼成時にバインダや水が蒸発して形成される空間を金粒子が埋める方向に移動するため焼結体の収縮率が大きくなって焼結体が大きく変形して歪みが増大し、更に焼結体の表面を研磨しても所望の金属光沢が得られないという不具合があり、95重量%を越えると粘土としての伸びおよび強度が低下するからである。有機系バインダとしては、セルロース系バインダ、ポリビニール系バインダ、アクリル系バインダ、ワックス系バインダ、樹脂系バインダ、澱粉、ゼラチン、小麦粉などのバインダを使用できるけれども、セルロース系バインダ、特に水溶性セルロースを用いることが最も好ましい。上記バインダは、加熱すると速やかにゲル化して造形体の形状保持を容易にするために添加される。また有機系バインダの混合割合を0.8〜8重量%の範囲に限定したのは、0.8重量%未満では金粉末を結合できず、8重量%を越えると金粘土の成形時に微細なひび割れが発生し、光沢も減少するからである。
【0010】
なお、水の一部を0.03〜3重量%、好ましくは0.04〜1重量%の界面活性剤又は0.1〜3重量%、好ましくは0.2〜2重量%の油脂のいずれか一方又は双方に置き換えてもよい。ここで、界面活性剤の添加量を0.03〜3重量%の範囲に限定したのは、0.03重量%未満では金粒子の分散が得られず、3重量%を越えると粘土乾燥時の強度が得られないからである。また油脂の添加量を1〜3重量%の範囲に限定したのは、1重量%未満では手などへの付着防止効果が得られず、3重量%を越えると粘土乾燥に時間を要し、乾燥後に脆くなるからである。なお、界面活性剤の種類は特に限定されるものではなく、アニオン系、カチオン系、ノニオン系等の界面活性剤を使用することができる。また油脂としては、有機酸(オレイン酸、ステアリン酸、フタル酸、パルミチン酸、セパシン酸、アセチルクエン酸、ヒドロキシ安息香酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、カプロン酸、エナント酸、酪酸、カプリン酸)、有機酸エステル(メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、オクチル基、ヘキシル基、ジメチル基、ジエチル基、イソプロピル基、イソブチル基を有する有機酸エステル)、高級アルコール(オクタノール、ノナノール、デカノール)、多価アルコール(グリセリン、アラビット、ソルビタン、)、エーテル(ジオクチルエーテル、ジデシルエーテル)、或いは上記有機酸、有機酸エステル、高級アルコール、多価アルコール及びエーテルからなる群より選ばれた1種又は2種以上の混合物(例えば、オレイン酸を多く含むオリーブ油)などが挙げられる。
【0011】
上記方法で調製された金粘土を用いて造形体を作製すると、微細な造形が可能となり、従来と同等の有機バインダの混合割合で、従来より造形性を向上できる。またこの造形体を500〜650℃と比較的低い温度で焼成すると、第2金粒子が焼結せずに第1金粒子が焼結して、第1金粒子が第2金粒子を結合する。この結果、収縮率の小さい焼結体、即ち緻密な焼結体を得ることができる。従って、焼結体の表面が凹凸が少なく比較的滑らかになるので、比較的短時間の研磨作業で焼結体表面に金本来の光沢を発現させることができ、誰でも簡単に美術工芸品や宝飾品などを作ることができる。一方、上記金粉末を含む金粘土を用いて造形体を作製し、この造形体を650〜800℃と比較的高い温度で焼成すると、第1金粒子が焼結するとともに、第2金粒子が僅かに焼結し始めるけれども、第2金粒子の平均粒径が大径であるため焼結し難く、収縮率の小さい焼結体を得ることができる。この結果、500〜800℃と広い温度範囲で焼成しても焼結体の収縮率が殆ど変化せず、収縮率の小さい焼結体を得ることができる。
【実施例】
【0012】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
平均粒径1nmの化学還元法により作製した第1金粒子を用意し、平均粒径5μmのアトマイズ法により作製した大径粒子からなる第2金粒子を用意した。また有機系バインダとしてメチルセルロースを、界面活性剤としてソルスパース20,000(アビシア株式会社製)を、油脂としてオリーブ油を用意し、更に水を用意した。先ず上記第1金粒子10重量%を水(分散媒)に分散させてコロイドを調製し、このコロイドに第2金粒子90重量%を入れて撹拌・混合した。次いでこの混合物にアセトン(分散剤除去剤)を入れて固液分離した。これにより所定の配合組成を有する金粉末が得られた。次にこの金粉末85重量%と、メチルセルロース45重量%と、ソルスパース20,000(界面活性剤)1.0重量%と、オリーブ油0.5重量%と、水9.0重量%とを混合して金粘土を得た。この金粘土を実施例1とした。なお、上記第1金粒子及び第2金粒子の平均粒径はMICROTRAC FRA型粒度分析計(LEED & NORTHRUP社製)を用いてそれぞれ測定した。
【0013】
<実施例2>
平均粒径5nmの第1金粒子を用いたことを除いて、実施例1と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を実施例2とした。
<実施例3>
平均粒径20nmの第1金粒子を用いたことを除いて、実施例1と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を実施例3とした。
<実施例4>
平均粒径30nmの第1金粒子を用いたことを除いて、実施例1と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を実施例4とした。
<実施例5>
平均粒径10nmの第1金粒子を用い、平均粒径0.1μmの小径粒子からなる第2金粒子を用いたことを除いて、実施例1と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を実施例5とした。
<実施例6>
平均粒径10nmの第1金粒子を用い、平均粒径0.5μmの小径粒子からなる第2金粒子を用いたことを除いて、実施例1と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を実施例6とした。
【0014】
<実施例7>
平均粒径10nmの第1金粒子を用い、平均粒径1μmの小径粒子からなる第2金粒子を用いたことを除いて、実施例1と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を実施例7とした。
<実施例8>
平均粒径10nmの第1金粒子を用い、平均粒径2μmの小径粒子からなる第2金粒子を用いたことを除いて、実施例1と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を実施例8とした。
<実施例9>
平均粒径10nmの第1金粒子を用い、平均粒径2.5μmの大径粒子からなる第2金粒子を用いたことを除いて、実施例1と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を実施例9とした。
<実施例10>
平均粒径10nmの第1金粒子を用いたことを除いて、実施例1と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を実施例10とした。
<実施例11>
平均粒径10nmの第1金粒子を用い、平均粒径10μmの大径粒子からなる第2金粒子を用いたことを除いて、実施例1と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を実施例11とした。
【0015】
<実施例12>
平均粒径10nmの第1金粒子を用い、平均粒径30μmの大径粒子からなる第2金粒子を用いたことを除いて、実施例1と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を実施例12とした。
<実施例13>
平均粒径10nmの第1金粒子を用い、平均粒径1μmの小径粒子45重量%と平均粒径5μmの大径粒子45重量%との混合粒子からなる第2金粒子を用いたことを除いて、実施例1と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を実施例13とした。
<実施例14>
平均粒径10nmの第1金粒子を用い、平均粒径5μmの大径粒子からなる第2金粒子を用い、更に第1金粒子及び第2金粒子の含有量をそれぞれ1重量%及び99重量%としたことを除いて、実施例1と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を実施例14とした。
<実施例15>
平均粒径10nmの第1金粒子を用い、平均粒径5μmの大径粒子からなる第2金粒子を用い、更に第1金粒子及び第2金粒子の含有量をそれぞれ5重量%及び95重量%としたことを除いて、実施例1と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を実施例15とした。
<実施例16>
平均粒径10nmの第1金粒子を用い、平均粒径5μmの大径粒子からなる第2金粒子を用い、更に第1金粒子及び第2金粒子の含有量をそれぞれ15重量%及び85重量%としたたことを除いて、実施例1と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を実施例16とした。
<実施例17>
平均粒径10nmの第1金粒子を用い、平均粒径5μmの大径粒子からなる第2金粒子を用い、更に第1金粒子及び第2金粒子の含有量をそれぞれ30重量%及び70重量%としたことを除いて、実施例1と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を実施例17とした。
【0016】
<比較例1>
平均粒径10nmの第1金粒子を用い、平均粒径5μmの大径粒子からなる第2金粒子を用い、更に第1金粒子及び第2金粒子の含有量をそれぞれ0.5重量%及び99.5重量%としたことを除いて、実施例1と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を比較例1とした。
<比較例2>
平均粒径10nmの第1金粒子を用い、平均粒径5μmの大径粒子からなる第2金粒子を用い、更に第1金粒子及び第2金粒子の含有量をそれぞれ35重量%及び65重量%としたことを除いて、実施例1と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を比較例2とした。
<比較例3>
平均粒径0.5nmの第1金粒子を用いたことを除いて、実施例1と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を比較例3とした。
<比較例4>
平均粒径35nmの第1金粒子を用いたことを除いて、実施例1と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を比較例4とした。
【0017】
<比較試験1及び評価>
上記実施例1〜17及び比較例1〜4の金粘土を所定の形状に造形し、得られた造形体を550℃の低温度で30分間焼結することにより、縦×横×長さがそれぞれ3mm×4mm×65mmである直方体状の焼結体を作製し、これらの焼結体の引張り強さ及びビッカース硬さをそれぞれ測定した。また上記焼結体を磁気研磨機にかけ、焼結体の表面を研磨して表面に形成された白い層を除去し、目視による同一光度を発現するまでの研磨時間を測定した。これらの結果を表1に示す。なお、磁気研磨機とは、非常に小さな研磨用の針を水などの溶液中で磁力にて撹拌することにより、焼結体の表面を研磨するものである。
【0018】
【表1】


【0019】
表1から明らかなように、比較例1〜4の焼結体では、引張り強さが40〜60N/mm2と小さかったのに対し、実施例1〜17の焼結体では、引張り強さが60〜102N/mm2と大きくなった。また比較例1〜4の焼結体では、ビッカース硬さがHv20〜29と低かったのに対し、実施例1〜17の焼結体では、ビッカース硬さがHv30〜42と高くなった。更に比較例1〜4の焼結体では、研削時間が45〜60分と長かったのに対し、実施例1〜17の焼結体では、研削時間が5〜30分と短くなった。従って、実施例1〜17の焼結体では、低温焼結性に優れ、金製品としての強度を保つことができるとともに、比較的短時間で金本来の持つ光沢を得ることができることが判った。
【0020】
<実施例18>
平均粒径10nmの化学還元法により作製した第1金粒子を用意し、平均粒径5μmのアトマイズ法により作製した大径粒子からなる第2金粒子を用意した。また有機系バインダとしてメチルセルロースを用意し、更に水を用意した。先ず上記第1金粒子10重量%を水(分散媒)に分散させてコロイドを調製し、このコロイドに第2金粒子90重量%を入れて撹拌・混合した。次いでこの混合物にアセトン(分散剤除去剤)を入れて固液分離した。これにより所定の配合組成を有する金粉末が得られた。次にこの金粉末90重量%と、メチルセルロース7.5重量%と、水2.5重量%とを混合して金粘土を得た。この金粘土を実施例18とした。なお、上記第1金粒子及び第2金粒子の平均粒径はMICROTRAC FRA型粒度分析計(LEED & NORTHRUP社製)を用いてそれぞれ測定した。
【0021】
<実施例19>
金粉末90重量%と、メチルセルロース3.0重量%と、水7.0重量%とを混合したことを除いて、実施例18と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を実施例19とした。
<実施例20>
界面活性剤としてソルスパース20,000(アビシア株式会社製)を更に用意し、金粉末90重量%と、メチルセルロース7.5重量%と、界面活性剤2.3重量%と、水0.2重量%とを混合したことを除いて、実施例18と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を実施例20とした。
<実施例21>
界面活性剤としてソルスパース20,000(アビシア株式会社製)を更に用意し、金粉末90重量%と、メチルセルロース4.5重量%と、界面活性剤1.0重量%と、水4.5重量%とを混合したことを除いて、実施例18と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を実施例21とした。
<実施例22>
油脂としてオリーブ油を更に用意し、金粉末90重量%と、メチルセルロース7.0重量%と、オリーブ油0.5重量%と、水2.5重量%とを混合したことを除いて、実施例18と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を実施例22とした。
<実施例23>
油脂としてオリーブ油を更に用意し、金粉末90重量%と、メチルセルロース5.5重量%と、オリーブ油1.3重量%と、水3.2重量%とを混合したことを除いて、実施例18と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を実施例23とした。
【0022】
<比較例5>
金粉末45重量%と、メチルセルロース7.5重量%と、水47.5重量%とを混合したことを除いて、実施例18と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を比較例5とした。
<比較例6>
金粉末97重量%と、メチルセルロース2.5重量%と、水0.5重量%とを混合したことを除いて、実施例18と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を比較例6とした。
<比較例7>
金粉末90重量%と、メチルセルロース0.5重量%と、水9.5重量%とを混合したことを除いて、実施例18と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を比較例7とした。
<比較例8>
金粉末80重量%と、メチルセルロース10重量%と、水10重量%とを混合したことを除いて、実施例18と同様にして金粘土を調製した。この金粘土を比較例8とした。
【0023】
<比較試験2及び評価>
上記実施例18〜23及び比較例5〜8の金粘土を所定の形状に造形し、得られた造形体を550℃の低温度で30分間焼結することにより、縦×横×長さがそれぞれ3mm×4mm×65mmである直方体状の焼結体を作製し、これらの焼結体の引張り強さ及びビッカース硬さをそれぞれ測定した。また上記焼結体を磁気研磨器にかけ、焼結体の表面を研磨して表面に形成された白い層を除去し、目視による同一光度を発現するまでの研磨時間を測定した。これらの結果を表2に示す。
【0024】
【表2】


【0025】
表2から明らかなように、比較例5〜8の焼結体では、引張り強さが39〜50N/mm2と小さかったのに対し、実施例18〜23の焼結体では、引張り強さが60〜85N/mm2と大きくなった。また比較例5〜8の焼結体では、ビッカース硬さがHv18〜30と低かったのに対し、実施例18〜23の焼結体では、ビッカース硬さがHv32〜38と高くなった。更に比較例5〜8の焼結体では、研削時間が40〜100分と長かったのに対し、実施例18〜23の焼結体では、研削時間が20〜30分と短くなった。従って、比較例5〜8の焼結体では、強度が不足し、貴金属としての質感を得るのに多くの時間を要したのに対し、実施例18〜23の焼結体では、強度を向上できるとともに、比較的短時間で貴金属としての質感が得られることが判った。
【出願人】 【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
【出願日】 平成18年8月7日(2006.8.7)
【代理人】 【識別番号】100085372
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 正義


【公開番号】 特開2008−38205(P2008−38205A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−214598(P2006−214598)