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【発明の名称】 金属ナノ粒子分散体、およびその製造方法
【発明者】 【氏名】松木 光一郎

【氏名】李 承澤

【氏名】金 仁華

【要約】 【課題】高い保存安定性と、優れた分散安定性とを有する金属ナノ粒子分散体とその製造方法を提供すること。

【構成】直鎖状ポリアルキレンイミン鎖(a)と、親水性セグメント(b)と、エポキシ樹脂残基(c)とを有する高分子化合物(X)の分散体と、金属ナノ粒子(Y)とを含有することを特徴とする金属ナノ粒子分散体、及び、直鎖状ポリアルキレンイミン鎖と、親水性セグメントと、エポキシ樹脂残基とを有する高分子化合物を溶媒中で分散体とした後、金属の塩又は金属のイオン溶液を加え、金属イオンを還元し金属ナノ粒子とすることを特徴とする金属ナノ粒子分散体の製造方法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直鎖状ポリアルキレンイミン鎖(a)と、親水性セグメント(b)と、エポキシ樹脂残基(c)とを有する高分子化合物(X)の分散体と、金属ナノ粒子(Y)とを含有することを特徴とする金属ナノ粒子分散体。
【請求項2】
前記エポキシ樹脂残基(c)がナフタレン型4官能エポキシ樹脂又はテトラキスフェノールエタン型エポキシ樹脂の残基である請求項1記載の金属ナノ粒子分散体。
【請求項3】
前記直鎖状ポリアルキレンイミン鎖(a)が直鎖状ポリエチレンイミン鎖である請求項1記載の金属ナノ粒子分散体。
【請求項4】
前記親水性セグメント(b)が、ポリオキシアルキレン鎖である請求項1記載の金属ナノ粒子分散体。
【請求項5】
前記金属ナノ粒子(Y)が銀、金及び白金からなる群から選ばれる1種以上の金属である請求項1記載の金属ナノ粒子分散体。
【請求項6】
前記金属ナノ粒子(Y)の粒子径が1〜50nmである請求項1〜5の何れか1項記載の金属ナノ粒子分散体。
【請求項7】
直鎖状ポリアルキレンイミン鎖と、親水性セグメントと、エポキシ樹脂残基とを有する高分子化合物を溶媒中で分散体とした後、金属の塩又は金属のイオン溶液を加え、金属イオンを還元し金属ナノ粒子とすることを特徴とする金属ナノ粒子分散体の製造方法。
【請求項8】
金属イオンを還元させる際に、還元剤を用いる請求項7記載の金属ナノ粒子分散体の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、直鎖状ポリアルキレンイミン鎖と親水性セグメントとエポキシ樹脂残基とを含有する高分子化合物が溶媒中で形成する分散体に金属ナノ粒子が含有されてなる金属ナノ粒子分散体、及び該金属ナノ粒子分散体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属ナノ粒子は1〜数百ナノメートルの粒径を有するナノ粒子であり、その比表面積が著しく大きいことから、多分野から着目され、触媒、電子材料、磁気材料、光学材料、各種センサー、色材、医療検査用途等への応用が期待されている。しかしながら、金属がナノサイズまで小さくなると表面エネルギーが増大するため、粒子表面での融点降下が生じ、その結果、金属ナノ粒子同士の融着が起こりやすくなるため、保存安定性が悪くなる。金属ナノ粒子を安定化させるためには、該融着を防止するために保護剤で保護する必要がある。
【0003】
金属ナノ粒子の製造方法としては溶液法や気相法等があるが、いずれの場合にも前述のように保護剤の使用が不可欠であり、様々な保護剤が提案されてきた。保護剤としては、一般的に低分子量の界面活性剤よりも、例えば、ゼラチン、アルブミン等のたんぱく質や、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子の方が保護力が高いことが知られている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、水溶性高分子を保護剤とする金属ナノ粒子は該保護剤同士の凝集が起こりやすいために、得られる金属ナノ粒子もまた凝集することが多く、保存安定性についての根本的な解決策とはならない。前記特許文献1においても、保護剤で保護した後、溶媒を除去して金属粉体として、使用する際に所望の溶剤に再分散させるという煩雑な手段を用いることで、保存安定性の問題の解決を図るものである。また一般に保護剤は、金属の表面に物理的又は化学的に吸着又は結合することで金属ナノ粒子を形成するものであるが、前記水溶性高分子は金属表面との結合力に乏しいため、金属ナノ粒子を安定に保護できないという欠点もある。
【0004】
金属ナノ粒子を安定に保護する試みとしては、例えば、ポリジエチルアミノエチルメタクリレート−ポリグリセロールモノメタクリレート−ポリエチレングリコール(PDEA−PGMA−PEG)のトリブロックコポリマーを使用した高分子会合体を使用する方法が開示されている(例えば、非特許文献1参照。)。該トリブロックコポリマーによる高分子会合体は、PDEA鎖がコア部、PEG鎖が水中への分散安定性を担うシェル層を形成し、その中間にPGMA鎖からなる中間層を有するものである。該会合体は、PDEA鎖中のアミノ基によりコア部に金属を取り込んで安定化し、該コア部周囲の中間層を形成するPGMA鎖の相互架橋により会合体形状を保持するものである。しかし、該会合体は、そのコアを形成するPDEA鎖が親水性のポリマー鎖であるため水中での会合力に乏しく、会合体形状を不安定にする要因を有している。また、コア部に金属を取り込むためには、実質的に会合体形状を保持している中間層の架橋密度を上げることができず、該会合体の保存安定性の向上には限界があった。
【0005】
安定したコアを有する分散体の例として、ポリスチレン粒子やポリメタクリル酸メチル粒子表面にポリアリルアミンやポリ(アミノエチルメタクリレートハイドロクロライド)等のアミノ基含有ポリマーをグラフトした高分子を用いた報告がある(例えば、非特許文献2、3参照。)。しかし、該高分子によって形成される分散体は主に溶媒中での分散安定性に寄与するシェル層に金属を取り込むことから、金属の還元・取り込みによる該シェル層のモルフォロジーが変化することにより分散安定性が不足し、更なる改良が求められている。
【0006】
【特許文献1】特開平8−027307号公報
【非特許文献1】S.Liu,J.V.M.Weaver,M.Save,S.P.Armes,Langmuir,2002,18,8350.
【非特許文献2】J.H.Youk,Polymer,2003,44,5053.
【非特許文献3】G.Sharma,M.Ballauff,Macromolecular Rapid Communications,2004,25,547.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が解決しようとする課題は、高い保存安定性と、優れた分散安定性とを有する金属ナノ粒子分散体とその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、高い分散性を有するセグメント、金属ナノ粒子を固定化したり、還元したりすることが可能なセグメント、及び会合体の会合力を長く保持することに寄与するセグメントの3つのセグメントを有する高分子化合物を用いると、溶媒中で安定な分散体が得られ、該分散体中で金属ナノ粒子が安定して存在でき、前記性能を有する金属ナノ粒子分散体が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち本発明は、直鎖状ポリアルキレンイミン鎖(a)と、親水性セグメント(b)と、エポキシ樹脂残基(c)とを有する高分子化合物(X)が溶媒中で形成する分散体中に金属ナノ粒子(Y)を含有することを特徴とする金属ナノ粒子分散体を提供するものである。
【0010】
さらに本発明は、直鎖状ポリアルキレンイミン鎖と、親水性セグメントと、エポキシ樹脂残基とを有する高分子化合物を溶媒中で分散体とした後、金属の塩又は金属のイオン溶液を加え、金属イオンを還元し金属をナノ粒子として安定化することを特徴とする金属ナノ粒子分散体の製造方法をも提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の金属ナノ粒子分散体は、直鎖状ポリアルキレンイミン鎖の強い還元能力、配位結合力や静電的な相互作用によって金属イオンを還元するとともにナノ粒子として分散体中に固定化することが可能である。このような直鎖状ポリアルキレンイミンの機能に伴って、該ポリアルキレンイミン鎖の収縮等に伴う分散体のモルフォロジーに変化が生じても、分散体を形成する高分子化合物中の親水性セグメントとエポキシ樹脂残基とが、溶媒との高い親和力と、親水性セグメント間或いはエポキシ樹脂残基間の相互作用による強い会合力によって優れた自己組織化能力を発現するため、分散体としての分散安定性を損なうことがなく、溶媒中で長期に渡り安定な分散状態を保持できる。
【0012】
また本発明の金属ナノ粒子分散体は、1個の金属ナノ粒子を1個の分散体中に保持することも可能であるが、複数個の金属ナノ粒子を固定化することも可能であり、その量は容易に調整可能である。従って本発明の金属ナノ粒子分散体は、比表面積が大きい、表面エネルギーが高い、プラズモン吸収を有する等の金属ナノ粒子としての特徴、さらに自己組織化高分子分散体が有する分散安定性、保存安定性等の性質を効率よく発現でき、導電性ペースト等として求められる、種々の化学的、電気的、磁気的性能を兼備し、多岐にわたる分野、例えば触媒、電子材料、磁気材料、光学材料、各種センサー、色材、医療検査用途等への応用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明の金属ナノ粒子分散体は、直鎖状ポリアルキレンイミン鎖(a)と、親水性セグメント(b)と、エポキシ樹脂残基(c)とを含有する高分子化合物(X)が溶媒中で形成する分散体中に、金属ナノ粒子(Y)を含有するものである。
【0014】
本発明において使用する高分子化合物(X)を構成する直鎖状ポリアルキレンイミン鎖(a)は、該鎖中のアルキレンイミン単位が金属又は金属イオンと配位結合可能であることから、金属をナノ粒子として固定化できる高分子鎖である。その構造は二級アミンのアルキレンイミン単位を主な繰り返し単位とするものである。本発明の金属ナノ粒子分散体を親水性溶媒中で製造或いは保存する場合には、該溶媒中で結晶性を示す直鎖状ポリアルキレンイミン鎖(a)を有することで、得られる金属ナノ粒子分散体に特に優れた分散安定性と保存安定性を発現させることができる。
【0015】
後述する金属ナノ粒子分散体の製造方法で本発明の該分散体を得る場合、その粒径は用いる高分子化合物(X)の分子量や直鎖状ポリアルキレンイミン鎖(a)の重合度だけではなく、該高分子化合物(X)を構成する各成分、即ち、直鎖状ポリアルキレンイミン鎖(a)、後述する親水性セグメント(b)、後述するエポキシ樹脂残基(c)の構造や組成比によっても影響を受ける。
【0016】
直鎖状ポリアルキレンイミン鎖(a)の重合度としては特に限定されるものではないが、低すぎると、高分子化合物(X)の分散体中に含有する金属ナノ粒子の量やその安定的な保持が不十分であり、高すぎると高分子化合物(X)が巨大な会合体となるため、保存安定性に支障をきたすこととなる。従って、得られる金属ナノ粒子分散体中の金属ナノ粒子の固定化能力や分散体の粒径の巨大化を防ぐ能力等がより優れた金属ナノ粒子分散体を得るためには、前記直鎖状ポリアルキレンイミン鎖(a)の重合度としては通常1〜10,000の範囲であり、3〜3,000の範囲であることが好ましく、5〜1,000の範囲であることがより好ましく、5〜300の範囲であることが最も好ましい。
【0017】
前記直鎖状ポリアルキレンイミン鎖(a)は一般的に市販、又は合成可能なものであれば、特に限定されることなく使用することができるが、工業的な入手の容易さ・取り扱いの容易さ等から、直鎖状ポリエチレンイミン鎖、直鎖状ポリプロピレンイミン鎖であることが好ましく、直鎖状ポリエチレンイミン鎖であることが特に好ましい。
【0018】
本発明において使用する高分子化合物(X)を構成する親水性セグメント(b)は、該高分子化合物(X)を水等の親水性溶媒中に分散した場合には、溶媒との高い親和性を有し、分散体を形成した際に分散安定性を保持するセグメントである。また疎水性溶媒中に分散した場合は、該親水性セグメント(b)の分子内又は分子間相互の強い会合力により、分散体のコアを形成する役割を有する。親水性セグメント(b)の重合度としては特に限定されるものではないが、親水性溶媒中に分散させる場合は、重合度が低すぎると分散安定性が悪化し、高すぎると分散体同士が凝集してしまう可能性が考えられ、また疎水性溶媒中に分散させる場合は、重合度が低すぎると分散体の会合力が乏しくなり、高すぎると溶媒との親和性を保持できなくなる。これらの観点から、親水性セグメント(b)の重合度としては通常1〜10,000であり、3〜3,000であることが好ましく、製造方法の容易さ等の点から5〜1,000であることがより好ましい。さらにポリオキシアルキレン鎖である場合の重合度としては5〜500であることが特に好ましい。
【0019】
親水性セグメント(b)は一般的に市販、又は合成可能な親水性のポリマー鎖からなるものであれば特に限定されることなく使用することができる。特に親水性溶媒中では、安定性に優れた分散体が得られる点から、ノニオン性のポリマーからなるものであることが好ましい。
【0020】
親水性セグメント(b)としては、例えば、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖等のポリオキシアルキレン鎖、ポリビニルアルコール、部分けん化ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類からなるポリマー鎖、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジメチルアミノエチルメタクリレート等の水溶性のポリ(メタ)アクリル酸エステル類からなるポリマー鎖、ポリアセチルエチレンイミン、ポリアセチルプロピレンイミン、ポリプロピオニルエチレンイミン、ポリプロピオニルプロピレンイミン等の親水性置換基を有するポリアシルアルキレンイミン鎖、ポリアクリルアミド、ポリイソプロピルアクリルアミド、ポリビニルピロリドン等のポリアクリルアミド類からなるポリマー鎖等を挙げることができ、これらの中でも、安定性に特に優れた分散体が得られ、また、工業的入手が容易である点から、ポリオキシアルキレン鎖であることが好ましい。
【0021】
本発明において使用する高分子化合物(X)を構成するエポキシ樹脂残基(c)は、該高分子化合物(X)を水等の親水性溶媒中に分散した場合には、分子内又は分子間相互の強い会合力により、分散体のコアを形成し、安定な分散体を形成する役割を有する。また疎水性溶媒中に分散した場合は、溶媒との高い親和性を有し、分散体を形成した際の分散安定性を保持するセグメントであり、エポキシ樹脂のエポキシ基又はヒドロキシル基、変性エポキシ樹脂にあっては、導入されたその他の官能基を介して、前記直鎖状ポリアルキレンイミン鎖(a)及び/又は親水性セグメント(b)と結合した構造を有する。
【0022】
前記エポキシ樹脂としては、市販、又は合成可能なものであれば特に限定されることなく使用することができる。例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、テトラキスフェノールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン−フェノール付加反応型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトール−フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール−クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、芳香族炭化水素ホルムアルデヒド樹脂変性フェノール樹脂型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂、特開2003−201333号記載のキサンテン型エポキシ樹脂等が挙げられ、単独で用いてもよく、2種以上を混合してもよい。これらの中でも、得られる金属ナノ粒子分散体を導電ペーストとして用いた際に、基板との密着性に優れる等の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂の残基であることが好ましく、親水性溶媒中での会合力が強く、分散安定性・保存安定性に優れる分散体が得られる点からは多官能型のエポキシ樹脂の残基であることが好ましい。また、これらのエポキシ樹脂は、そのまま高分子化合物(X)の原料としても良く、更には目的とする高分子化合物(X)の構造等に応じて、種々の変性を加えたものであっても良い。
【0023】
前記多官能型のエポキシ樹脂としては、例えば、下記構造式(i)〜(iv)で表されるエポキシ樹脂が挙げられる。
【0024】
【化1】


〔式(i)中、nは1〜3の整数を表す〕
【0025】
【化2】


〔式(ii)中、nは1〜3の整数を表す。〕
【0026】
【化3】


〔式(iii)中、Aはフェニレン基又はビフェニレン基であり、mは0〜3の整数である。〕
【0027】
【化4】


【0028】
これらの中でも、原料入手容易性や、取り扱い容易性の観点から、前記構造式(i)、(ii)で表されるテトラキスフェノールエタン型エポキシ樹脂、前記構造式(iv)で表されるナフタレン型4官能エポキシ樹脂を用いる事が好ましい。
【0029】
エポキシ樹脂残基(c)の重合度としては特に限定されるものではないが、通常1〜50であり、1〜30であることが好ましく、特に1〜20であることが好ましい。前述のナフタレン型4官能エポキシ樹脂やテトラキスフェノールエタン型エポキシ樹脂を用いる場合には、重合度としては1〜3であることが好ましい。
【0030】
本発明で用いる高分子化合物(X)は、前述の直鎖状ポリアルキレンイミン鎖(a)と、親水性セグメント(b)と、エポキシ樹脂残基(c)とが結合した化合物であり、好ましくは、親水性セグメント(b)とエポキシ樹脂残基(c)がポリアルキレンイミン鎖(a)に結合している構造を有するものであり、金属を金属ナノ粒子として分散体中に固定化し、溶媒中で分散安定性と保存安定性の高い分散体を形成できる能力を有している。
【0031】
本発明で用いる高分子化合物(X)の製造方法としては、特に限定されるものではないが、設計どおりの高分子化合物(X)を容易に合成可能である点から、下記の方法によるものが好ましい。
【0032】
直鎖状ポリアルキレンイミン鎖は前述したとおり、市販又は合成したものを好適に用いることができる。
【0033】
直鎖状ポリアルキレンイミン鎖を合成するには、ポリアシル化アルキレンイミン鎖をリビング重合によって合成したのち、加水分解する方法が知られているが、本発明で用いる高分子化合物(X)は親水性セグメントとエポキシ樹脂残基とを有するものであることを考慮して、合成順序を選択する方法が好ましい。
【0034】
高分子化合物の一般的な合成例としては、エポキシ樹脂にポリアシル化アルキレンイミン鎖を導入し、さらにその末端に親水性のポリマー鎖からなるセグメントを導入して高分子化合物を得た後、加水分解により直鎖状ポリアルキレンイミン鎖を有する高分子化合物(X)とする方法が挙げられる。
【0035】
また、親水性のポリマー鎖からなるセグメントを合成し、続いてポリアシル化アルキレンイミン鎖を導入したあと、エポキシ樹脂を反応させ、高分子化合物を得てから、加水分解により直鎖状ポリアルキレンイミン鎖を有する高分子化合物(X)を得る方法であっても良い。
【0036】
更にタイプの異なる例として、例えば末端にハロゲン、トシル基等の電子吸引性基を有する親水性ポリマーを開始剤に用い、リビングカチオン重合等によってポリアシル化アルキレンイミン鎖を合成し、リビング末端がハロゲン、トシル基等の電子吸引性末端を有する、親水性のポリマー鎖からなるセグメントとポリアシル化アルキレンイミン鎖とを有する化合物を得た後、前記電子吸引性末端と反応する官能基を有する変性エポキシ樹脂を縮合させて、高分子化合物を合成し、加水分解によりポリアルキレンイミン鎖を有する高分子化合物を得る方法等が挙げられる。
【0037】
前記官能性基としては、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基等が挙げられ、塩基性化合物の存在下で反応を行うことができる。用いる事ができる塩基性化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基、ナトリウムt−ブトキシド、カリウムt−ブトキシド等の有機塩基等が挙げられる。
【0038】
上述したようなリビング重合反応、あるいは縮合反応を行う際には反応溶媒を用いることもでき、一般的にアプロティック溶媒が好ましく使用することができる。なかでも特にN,N−ジメチルアセトアミド(DMA)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)等を用いる事が好ましい。
【0039】
高分子化合物(X)の代表的な合成例を記す。
【0040】
(I)スルホニル化したエポキシ樹脂を重合開始剤として、2−メチルオキサゾリンをジメチルアセトアミド中でリビングカチオン重合させ、続いて2−エチルオキサゾリンをリビングカチオン重合させることによって、ポリプロピオニルエチレンイミン−ポリアセチルエチレンイミン−エポキシ樹脂の構造を有する高分子化合物を得る。さらにポリアセチルエチレンイミンセグメントをアルカリ加水分解することにより、ポリプロピオニルエチレンイミン−ポリエチレンイミン−エポキシ樹脂の構造を有する高分子化合物を得ることができる。
【0041】
(II)スルホニル化したエポキシ樹脂を重合開始剤として、2−メチルオキサゾリンをジメチルアセトアミド中でリビングカチオン重合させた。さらにポリエチレングリコール モノメチルエーテルを、上述で合成したコポリマーのトシル末端に反応させ、ポリエチレングリコール モノメチルエーテル−ポリアセチルエチレンイミン−エポキシ樹脂の構造を有する高分子化合物を得る。さらにポリアセチルエチレンイミンセグメントを酸加水分解することにより、ポリエチレングリコール−ポリエチレンイミン−エポキシ樹脂の構造を有する高分子化合物を得ることができる。
【0042】
尚、エポキシ樹脂のスルホニル化や、これを用いるリビング重合、ポリアセチルエチレンイミンセグメントの加水分解などの諸反応条件などは、例えば、特開2005−307185号公報等に記載の方法に従えばよい。
【0043】
本発明で用いる高分子化合物(X)中の直鎖状ポリアルキレンイミン鎖(a)、親水性セグメント(b)、エポキシ樹脂残基(c)の各成分の鎖を構成するポリマーの重合度の比(a):(b):(c)としては、特に限定されるものではないが、得られる金属ナノ粒子分散体の会合力、分散安定性及び保存安定性に優れる点から、通常5,000:5〜5,000,000:1〜5,000,000の範囲であり、特に5000:80〜1,000,000:10〜50,000が好ましい。さらに直鎖状ポリアルキレンイミン鎖の重合度を5000とした時、好ましい例として親水性セグメント(b)にポリオキシアルキレン鎖を用いると、その比率の範囲は80〜500,000がより好ましく、且つエポキシ樹脂残基(c)は10〜50,000がより好ましい。
【0044】
本発明に使用する高分子化合物(X)は、金属ナノ粒子を安定に存在させることが出来る直鎖状ポリアルキレンイミン鎖(a)とは別に、該化合物(X)が溶媒中で会合体を形成する際に、コア部又はシェル部を形成する親水性セグメント(b)及びエポキシ樹脂残基(c)を有する。上記したように、親水性セグメント(b)は、疎水性溶媒中で強い会合力を示し、親水性溶媒中では溶媒と高い親和性を示し、また、エポキシ樹脂残基(c)は親水性溶媒中で強い会合力を示し、疎水性溶媒中では溶媒と高い親和性を示す。さらには、エポキシ樹脂残基(c)中に芳香環を有する場合には、該芳香環の有するπ電子が金属ナノ粒子(Y)と相互作用し、さらに該金属ナノ粒子(Y)を安定化することに寄与するとも考えられる。
【0045】
本発明においては、このような金属含有部、コア形成部及びシェル形成部を構造中に個別に有する化合物(X)を使用することにより、金属ナノ粒子分散体を形成する際に、各種溶媒中でのコア部を形成するセグメント相互の会合力の低下や、シェル部を形成するセグメントの収縮等が生じず、分散体の安定性は金属ナノ粒子を含有させることにより阻害されることがない。従って本発明の金属ナノ粒子分散体は、強い会合力により会合したコア部と、溶媒への優れた分散安定性を示すシェル部とを有し、各種溶媒中で優れた保存安定性を有するものである。
【0046】
本発明の金属ナノ粒子分散体を構成する金属ナノ粒子(Y)の金属種としては、その金属又はイオンが直鎖状ポリアルキレンイミン鎖(a)と配位結合できるものであれば制限されず、遷移金属系の金属化合物等の金属種を使用できる。なかでもイオン性の遷移金属であることが好ましく、銅、銀、金、ニッケル、パラジウム、白金、コバルト等の遷移金属であることがより好ましい。また金属ナノ粒子分散体を構成する金属ナノ粒子(Y)は一種類であっても、二種類以上であってもよい。例示した遷移金属の中でも特に銀、金、パラジウム、白金は、その金属イオンが直鎖状ポリエチレンイミンに配位した後、室温または加熱状態で自発的に還元されるため特に好ましい。さらにその中でも還元反応の容易さ、取扱い易さ等の面から銀、金、白金が最も好ましい遷移金属である。
【0047】
本発明の金属ナノ粒子分散体中の金属ナノ粒子(Y)の含有量としては、特に限定されるものではないが、含有量が少なすぎると分散体中の金属ナノ粒子の特性が現れにくく、また多すぎると分散体中の金属ナノ粒子の相対重量が増し、その相対重量と分散体の分散保持力との兼ね合いによって、金属ナノ粒子分散体が沈降することが予想される観点、ならびに、高分子化合物(X)中のアルキレンイミン単位による、還元能力や配位能力等の観点から、該金属ナノ粒子(Y)の含有率としては、直鎖状ポリアルキレンイミン鎖(a)を形成する全窒素原子数を100molとしたとき、金属ナノ粒子(Y)は通常1〜20,000molの範囲であり、1〜10,000molの範囲であることが好ましく、特に、後述の製造方法において、還元剤を併用する場合には50〜7,000mol、還元剤を併用しない場合には、5〜70molであることが好ましい。
【0048】
本発明の金属ナノ粒子分散体を構成する金属ナノ粒子(Y)の粒子径としては、特に限定されるものではないが、金属ナノ粒子分散体がより高い分散安定性を有するためには、本発明の金属ナノ粒子分散体を構成する金属ナノ粒子(Y)の粒子径は1〜50nmの微粒子であることが好ましく、5〜30nmの範囲であることがより好ましい。
【0049】
一般に数十nmのサイズ領域にある金属ナノ粒子は、その金属種に応じて、表面プラズモン励起に起因する特徴的な光学吸収を有する。従って、本発明で得られる分散体のプラズモン吸収を測定することによって、該分散体中には、金属がナノメートルオーダーの微粒子として存在していることを確認することが出来、更には、該分散体をキャストして得られる膜のTEM(透過電子顕微鏡)写真等にて、その平均粒径や分布幅等を観測することも可能である。
【0050】
本発明の金属ナノ粒子分散体の製造方法は、直鎖状ポリアルキレンイミン鎖と、親水性セグメントと、エポキシ樹脂残基とを有する化合物を分散した媒体中に、金属の塩又は金属のイオン溶液を加え、該金属イオンを還元し、金属ナノ粒子として安定化することを特徴とする。このようにして製造した金属ナノ粒子分散体は、分散安定性、保存特性に優れ、金属ナノ粒子が有する発色、触媒、電気的機能等、様々な金属含有機能性分散体としての能力を有している。
【0051】
本発明の金属ナノ粒子分散体の製造方法で用いる、直鎖状ポリアルキレンイミン鎖と、親水性セグメントと、エポキシ樹脂残基とを有する高分子化合物は、前記した原料より、前述の手法によって調整する。該化合物は、各種媒体、例えば、水、親水性溶剤、疎水性溶剤中で、その媒体に応じた分散体を形成する。媒体として用いる事ができるものは、限定されるものではなく、分散体がO/W系であっても、W/O系のいずれも場合でもよい。得られる金属ナノ粒子分散体の使用目的等に応じて親水性溶媒、疎水性溶媒、またはその混合溶媒、或いは後述するようなその他の溶媒を併用する混合溶媒を種々選択して用いる事ができる。混合溶媒を用いる場合は混合比をO/W系の時は親水性溶媒を多く、W/O系の時は疎水性溶媒を多くして用いる。混合比は用いる高分子化合物の種類によって異なるので、一概に限定することはできないが、一般的な目安として例を挙げるとO/W系の時は疎水性溶媒の5倍容量以上の親水性溶媒を用い、W/O系の時は親水性溶媒の5倍容量以上の疎水性溶媒を用いることが好ましい。
【0052】
親水性溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、アセトン、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド、エチレングリコール、プロピレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジメチルスルフォンオキシド、ジオキシラン、N−メチルピロリドン等を挙げることができ、単独でも、2種以上を混合して用いても良い。
【0053】
疎水性溶媒としては、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、酢酸エチル、ブタノール、塩化メチレン、クロロホルム、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、メトキシベンゼン、トルエン、キシレン等が挙げられ、単独でも、2種以上を混合して用いても良い。
【0054】
親水性溶媒、或いは疎水性溶媒と混合して用いることができるその他の溶媒としては、例えば、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、酢酸イソブチル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられ、得られる金属ナノ粒子分散体の使用用途等に応じて、適宜選択して用いればよい。
【0055】
高分子化合物を媒体中に分散させて、分散体を調整する方法としては、特に限定されるものではなく、通常、室温で静置、又は攪拌によって、容易に得ることが出来るが、必要に応じて超音波処理、過熱処理等を行ってもよい。また高分子化合物の結晶性等により、媒体とのなじみが低い場合には、例えば、高分子化合物を少量の良溶媒で、溶解又は膨潤させた後、目的とする媒体中へ分散させる方法でもよい。このとき、超音波処理又は過熱処理を行うとより効果的である。
【0056】
親水性溶媒と疎水性溶媒を混合して用いる場合は、その混合方法、混合順序等特に制限を加える必要はなく、種々の方法で行ってよい。用いる高分子化合物の種類や組成等によって各種溶媒との親和性、分散性に違いが生じることがあるので、目的に応じて、溶媒の混合比、混合順序、混合方法、混合条件等を適宜選択することが好ましい。
【0057】
本発明の金属ナノ粒子分散体の製造方法で用いる金属は上述した通りである。実際に原料として用いる場合は金属塩やイオン溶液を使用する。ここで使用できる金属イオンとしては、水溶性金属化合物であればよく、金属カチオンと酸基アニオンとの塩類のもの、あるいは金属が酸基のアニオン中に含まれるものなどを用いることができ、遷移金属等の金属種を有する金属イオンを好ましく使用できる。
【0058】
遷移金属系イオンとしては、それが遷移金属カチオン(Mn+)であっても、またはハロゲン類結合からなるアニオン(MLn−)であっても、錯体状態で好適に配位させることができる。なお、本明細書において遷移金属とは、周期表第4〜12族で第4〜6周期にある遷移金属元素を指す。
【0059】
遷移金属カチオンとしては、下記の遷移金属のカチオン(Mn+)、例えば、Cr,Co,Ni,Cu,Pd,Ag,Pt,Au等の一価、二価、三価または四価のカチオンなどが挙げられる。これら金属カチオンの対アニオンは、Cl,NO,SO、またはカルボン酸類の有機アニオンのいずれであってもよい。ただし、Ag,Au,Ptなど、ポリエチレンイミン骨格により還元されやすいものは、pHを酸性条件にする等、還元反応を抑制することで、錯体を調製することが好ましい。
【0060】
さらに、下記の金属が含まれたアニオン(MLn−)、例えば、AgNO、AuCl,PtCl,CuF等の、金属がハロゲンに配位されたアニオンも好適に錯体状態で配位させることができる。
【0061】
これら金属イオンの中でも、上記したように、特に銀、金、パラジウム、白金の金属イオンはポリエチレンイミンに配位された後、室温または加熱状態で自発的に還元され、非イオン性の金属ナノ粒子に変換されるため好ましい。
【0062】
また含有させる金属種を2種類以上とすることも可能である。この場合は、多種の金属の塩またはイオンを同時に、または別々に加えることによって、分散体内で多種の金属イオンが還元反応をおこし、多種の金属粒子が生成するため、多種金属を含有する分散体を得ることが出来る。
【0063】
自発的に還元しない金属、あるいは自発的な還元が不十分である金属を使用する場合、または、分散体中に多くの金属を取り込ませたい場合等には、更に還元剤により、金属イオンを還元させる工程を経ることにより金属ナノ粒子分散体を形成させることもできる。
【0064】
前記還元剤としては、種々の還元剤を用いる事ができ、特に限定されるものではなく、得られる金属ナノ粒子分散体の使用用途や、含有させる金属種等により還元剤を選択することが好ましい。用いる事ができる還元剤としては、例えば、水素、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素アンモニウム等のホウ素化合物、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール等のアルコール類、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド等のアルデヒド類、アスコルビン酸、クエン酸、クエン酸ナトリウム等の酸類、プロピルアミン、ブチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、ジメチルエチルアミン、トリエチルアミン、エチレンジアミン、トリエチレンテトラミン、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール、トリエタノールアミン等のアミン類、ヒドラジン、炭酸ヒドラジン等のヒドラジン類等が挙げられる。これらの中でも、工業的入手のし易さ、取扱い面等からより好ましいものとしては、水素化ホウ素ナトリウム、アスコルビン酸、クエン酸ナトリウム、メチルアミノエタノール、ジメチルアミノエタノール等である。
【0065】
本発明の製造方法において、高分子化合物と金属の塩又はイオン溶液との使用割合としては、特に限定されるものではないが、該高分子化合物の直鎖状ポリアルキレンイミン鎖を形成する全窒素原子数を100molとしたとき、金属として通常1〜20,000molの範囲であり、1〜10,000molの範囲であることが好ましく、特に、還元剤を併用する場合には50〜7,000mol、還元剤を併用しない場合には、5〜70molであることが好ましい。
【0066】
本発明の金属ナノ粒子分散体の製造方法において、高分子化合物が分散している媒体と、金属の塩又はイオン溶液とを混合する方法としては、特に限定されるものではなく、該高分子化合物が分散している媒体に金属の塩又はイオン溶液を加える方法、その逆の方法、或いは別の容器に同時に投入しながら混合する方法でもよい。攪拌等の混合方法についても、特に限定されない。
【0067】
また、還元剤を併用する場合においても、その添加方法は限定されるものではなく、例えば、還元剤をそのまま、又は水溶液やその他の溶媒に溶解、分散させて混合させることができる。また還元剤を加える順序についても限定されることはなく、予め高分子化合物の分散液に還元剤を添加しておいても、金属の塩又はイオン溶液を混合するときに同時に還元剤を加えてもよく、さらには、高分子化合物の分散液と金属の塩又はイオン溶液とを混合した後、数日或いは数週間経過した後、還元剤を混合する方法であってもよい。
【0068】
本発明の製造方法で使用する金属の塩またはそのイオン溶液を、高分子化合物が分散した媒体中に加える時は、O/W系またはW/O系にかかわらず、そのまま、または水溶液に調整して加えるとよい。前述したように銀、金、パラジウム、白金等の金属イオンは共重合体中のアルキレンイミン単位に配位された後、室温または加熱状態で自発的に還元されるため、そのまま室温または加温して、静置または攪拌により、金属ナノ粒子分散体を得ることが出来る。その他の金属を用いる場合など、必要に応じて還元剤を用いる場合においても、室温または加温して、静置または攪拌により、目的の金属ナノ粒子分散体を得ることができる。このとき、還元剤はそのまま、又は水溶液に調整しておくことが好ましい。加温する場合の温度としては、高分子化合物の種類や使用する金属、媒体、還元剤の種類等によって異なるが、一般的には100℃以下、好ましくは80℃以下である。
【0069】
本発明の金属ナノ粒子分散体は、あらゆる媒体中で長期間安定に分散しているため、その用途としては限定されるものではなく、例えば、触媒、電子材料、磁気材料、光学材料、各種センサー、色材、医療検査用途等の非常に幅広い分野で使用可能である。含有させうる金属種やその割合も、容易に調整可能である点から、目的に応じた効果を効率的に発現可能である。更に、長期にわたり安定に分散している点からも、長期使用・長期保存に対応できるものであって、有用性が高い。また本発明の金属ナノ粒子分散体の製造方法は、複雑な工程や緻密な条件設定等をほとんど必要としないため、工業的製法として優位性が高いものである。
【実施例】
【0070】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、特に断わりがない限り「%」は「質量%」を表わす。
【0071】
尚、分子構造・物質名については以下のように省略形で示す。
【0072】
PEI : ポリエチレンイミン
PEG : ポリエチレングリコール
PEGM : ポリエチレングリコールモノメチルエーテル
PAEI : ポリアセチルエチレンイミン
EP : エポキシ樹脂
BisAEP : ビスフェノールA型エポキシ樹脂
MOZ : 2−メチルオキサゾリン
DMA : N,N−ジメチルアセトアミド
【0073】
以下の実施例中、用いた機器類
H−NMR:日本電子株式会社製、AL300、300Hz
粒子径測定:大塚電子株式会社製、FPAR−1000
プラズモン吸収スペクトル:日立製作所株式会社製、UV−3500
透析:Spectrum社製、Spectra/Por RC透析チューブ、MWCO3500
【0074】
高分子化合物の合成
合成例1 PEG−直鎖PEI(HCl)−テトラキスフェノールエタン型EP構造を有する高分子化合物(X−1)の合成
1−1 [ヒドロキシル基を有する変性エポキシ樹脂]
テトラキスフェノールエタン型エポキシ樹脂jER1031S[テトラキス(グリシジルオキシアリル)エタン、ジャパンエポキシレジン株式会社製]9.8g(50m当量、エポキシ当量196)、4−フェニルフェノール11.9g(70mmol)、65%酢酸エチルトリフェニルホスホニウムエタノール溶液0.21ml(0.1mol%)及びDMA40mlを、窒素雰囲気下、160℃で4時間反応させた。放冷後、水100ml中に滴下し、得られた沈殿物をメタノールで2回洗浄した後、70℃で減圧乾燥して、ビフェニレン型の側鎖にヒドロキシル基を有する変性エポキシ樹脂を得た。得られた生成物の収量は17.6g、収率は96%であった。H−NMRスペクトルにより各ピークの帰属を行い生成物の構造を確認した。(δ(ppm):7.53〜7.25(m),7.13〜6.60(m),4.50〜3.75(m))
【0075】
1−2 [変性エポキシ樹脂のスルホニル化反応]
上記1−1で合成した側鎖にヒドロキシル基を有するビフェニレン型の変性エポキシ樹脂9.15g(25m当量)、ピリジン20g(250mmol)及びクロロホルム30mlの溶液に、p−トルエンスルホン酸クロライド14.3g(75mmol)を含むクロロホルム(30ml)溶液を、窒素雰囲気下、氷冷撹拌しながら30分間滴下した。滴下終了後、浴槽温度40℃でさらに4時間攪拌した。反応終了後、クロロホルム60mlを加えて反応液を希釈した。引き続き、5%塩酸100ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、そして飽和食塩水溶液で順次に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。得られた固形物をメタノールで数回洗浄した後、濾過、70℃で減圧乾燥して、変性エポキシ樹脂を得た。収量は13g、収率は98%であった。H−NMRスペクトルにより各ピークの帰属を行い、(δ(ppm):7.94〜7.74(m),7.55〜6.30(m),4.40〜3.80(m),2.40〜2.34(m))、これらより、得られた変性エポキシ樹脂は、側鎖にp−トルエンスルホニルオキシ基を有するスルホニル変性エポキシ樹脂であることを確認した。
【0076】
1−3 [スルホニル変性エポキシ樹脂のリビングラジカル重合反応]
上記1−2で得られたスルホニル変性エポキシ化合物1.56g(3m当量)、MOZ5.1g(60mmol)及びDMA40mlを、窒素雰囲気下、100℃で24時間攪拌した。反応混合物のままのH−NMR分析より重合反応を確認した後、引き続き、上記反応混合物中に、PEGM(Mn=750)6.75g(9mmol)、及び炭酸カリウム4.1g(30mmol)を加え、窒素雰囲気下、100℃で24時間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物に酢酸エチル100mlとヘキサン100mlの混合溶液を加え、室温で強力攪拌した後、固形物を濾過、酢酸エチルで2回洗浄した。引き続き、固形物にクロロホルム150mlを加えて不溶解成分の炭酸カリウムを濾過した後、減圧濃縮して淡黄色固体を得た。収率は90%であった。H−NMRスペクトルにより各ピークの帰属を行い、得られた上記固体は、テトラキスフェノールエタン型のエポキシ樹脂残基を中心部(δ:6.45〜7.90ppm)とし、PAEIとPEGを側鎖[PAEIのエチレン水素(δ:3.36ppm)、PEGのエチレン水素(δ:3.62ppm)、プロピオニル水素(δ:2.50ppm、0.97ppm)、アセチル水素(δ:2.00ppm)]とし、また、反応物と生成物の定量的な計算から数平均重合度20のPAEIと数平均重合度20のPEGの星型の高分子化合物であることを確認した。
【0077】
1−4 [高分子化合物(X−1)の合成]
上記1−3で得られた星型の高分子化合物3.8gを、5mol/%塩酸15.2g中、90℃で6時間攪拌し、加水分解反応を行った。放冷後、時間とともに生成してきた白色沈殿を含む反応混合溶液をアセトン約150mlに加え、室温で約30分間攪拌した後、生成物の固形物を濾過、アセトンで2回洗浄、減圧乾燥して白色固体3.3gを得た。その収率は99%だった。H−NMRによる分析から、加水分解反応によりPAEIの側鎖アセチル水素(δ:2.00ppm)]がなく、得られた固体は、PEG−直鎖PEI(HCl)−テトラキスフェノールエタン型EP構造を有する高分子化合物(X−1)であることを確認した。
【0078】
得られた高分子化合物(X−1)30mgを水10mlに加えて攪拌し溶解させた。その溶液での粒径分布状態を光散乱法により測定したところ、平均粒径47.1nmの分散体であり、水中で良好にミセルを形成していることを確認した。
【0079】
合成例2 PEG−直鎖PEI−テトラキスフェノールエタン型EP構造を有する高分子化合物(X−2)の合成
合成例1で得られたPEG−直鎖PEI(HCl)−テトラキスフェノールエタン型EP構造を有する高分子化合物(X−1)2.0gを水5gに溶かし透析チューブに入れ、0.5%アンモニア水で一晩透析処理を行い、引き続き水中で透析を行い、5〜6回水を取替えた後、透析チューブ中の水溶液にエタノールを加えてエバポレータで溶媒を留去し、さらに80℃で15時間真空乾燥し、PEG−直鎖PEI−テトラキスフェノールエタン型EP構造を有する高分子化合物(X−2)を得た。
【0080】
得られた高分子化合物(X−2)30mgを水10mlに加えて攪拌し溶解させた。その溶液での粒径分布状態を光散乱法により測定したところ、平均粒径49.3nmの分散体であり、水中で良好にミセルを形成していることを確認した。
【0081】
合成例3 PEG−直鎖PEI(HCl)−ナフタレン型EP構造を有する高分子化合物(X−3)の合成
3−1 [ヒドロキシル基を有するエポキシ樹脂の合成]
EPICLON HP−4700 15.8g(100m当量)、4−フェニルフェノール23.8g(140mmol)、65%酢酸エチルトリフェニルホスホニウムエタノール溶液0.42ml(0.1mol%)及びDMA80mlを、窒素雰囲気下、120℃で6時間反応させた。放冷後、水200ml中に滴下し、得られた沈殿物をメタノールで2回洗浄した後、70℃で減圧乾燥して、ビフェニル基と、二級炭素に結合するヒドロキシル基とを有する変性エポキシ樹脂を得た。得られた生成物の収量は31.8g、収率は97%であった。
【0082】
得られた変性エポキシ樹脂のH−NMRスペクトルにより各ピークの帰属を行い、(δ(ppm):7.73〜6.80(m),4.89(s),4.50〜3.85(m))、生成物の構造を確認した。
【0083】
3−2 [変性エポキシ樹脂のスルホニル化反応]
上記3−1で得られた変性エポキシ樹脂16.40g(50.0m当量)、ピリジン40.0g(500mmol)及びクロロホルム60mlの溶液に、p−トルエンスルホン酸クロライド28.6g(150mmol)を含むクロロホルム(60ml)溶液を、窒素雰囲気下、氷冷撹拌しながら30分間滴下した。滴下終了後、浴槽温度40℃でさらに4時間攪拌した。反応終了後、クロロホルム120mlを加えて反応液を希釈した。引き続き、5%塩酸200ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、そして飽和食塩水溶液で順次に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濾過、減圧濃縮した。得られた固形物をメタノールで数回洗浄した後、濾過、70℃で減圧乾燥して、スルホニル化した変性エポキシ化合物を得た。収量は23.6g、収率は98%であった。
【0084】
H−NMRより生成物の構造を確認した。(δ(ppm):7.94〜6.55(m),5.25〜3.95(m),4.60〜3.85(m),2.40〜2.00(m))
【0085】
3−3 [スルホニル変性エポキシ樹脂のリビングラジカル重合反応]
上記3−2で得られたスルホニル化した変性エポキシ樹脂3.86g(8.0m当量)、MOZ13.6g(160mmol)及びDMA60mlを、窒素雰囲気下、100℃で18時間攪拌した。引き続き、PEGM(Mn=750)6.0g(8mmol)、炭酸カリウム2.8g(20mmol)及びDMA30mlを、窒素雰囲気下、100℃で24時間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物に酢酸エチル100mlとヘキサン100mlの混合溶液を加え、強力攪拌した後、固形物を濾過、酢酸エチルで2回洗浄した。引き続き、固形物にクロロホルム150mlを加えて不溶解成分の炭酸カリウムを濾過した後、減圧濃縮して淡黄色固体10.5gを得た。H−NMRによる分析から、得られた上記固体は、ジナフタレン構造の変性エポキシを主骨格とし、数平均重合度20のPAEIとPEGMからなるポリマーを鎖[エチレングリコール水素(δ:3.57ppm)、エチレン水素(δ:3.20〜3.55ppm)、メトキシ水素(δ:3.25ppm)、アセチル水素(δ:1.86〜1.98ppm)]とする星型の高分子化合物であることを確認した。
【0086】
3−4 [高分子化合物(X−3)の合成]
上記3−3で得られた高分子化合物10.5gを、5mol/L塩酸32.5g中、90℃で6時間攪拌し、加水分解反応を行った。放冷後、時間とともに生成してきた白色沈殿を含む反応混合溶液をアセトン150mlに加え、室温で30分間攪拌した後、生成物の固形物を濾過、アセトンで2回洗浄、減圧乾燥して白色固体9.6gを得た。H−NMRによる分析から、加水分解反応によりPAEIの側鎖アセチル水素(δ:1.86〜1.98ppm)]がなく、得られた固体が、PEG−直鎖PEI(HCl)−ナフタレン型EP構造を有する高分子化合物(X−3)であることを確認した。
【0087】
得られた高分子化合物(X−3)30mgを水10mlに加えて攪拌し溶解させたところ、水中で安定な分散体が得られた。
【0088】
合成例4 PEG−直鎖PEI−ナフタレン型EP構造を有する高分子化合物(X−4)の合成
合成例3で得られた高分子化合物(X−3)2.0gを水5gに溶かし透析チューブに入れ、0.5%アンモニア水で一晩透析処理を行い、引き続き水中で透析を行い、5〜6回水を取替えた後、透析チューブ中の水溶液にエタノールを加えてエバポレータで溶媒を留去し、さらに80℃で15時間真空乾燥することにより、PEG−直鎖PEI−ナフタレン型EP構造を有する高分子化合物(X−4)を得た。得られた高分子化合物(X−4)30mgを水10mlに加えて攪拌し溶解させたところ、安定な分散体が得られた。
【0089】
合成例5 PEG−直鎖PEI(HCl)−ナフタレン型EP構造を有する高分子化合物(X−5)の合成
5−1 [スルホニル変性エポキシ化合物のリビングラジカル重合反応]
合成例3−2で得られたスルホニル化した変性エポキシ樹脂1.93g(4.0m当量)、MOZ17.0g(200mmol)及びDMA60mlを、窒素雰囲気下、100℃で18時間攪拌した。引き続き、PEGM(Mn=2,000)8.0g(4mmol)、及び炭酸カリウム1.4g(10mmol)を加え、窒素雰囲気下、100℃で24時間攪拌した。反応終了後、得られた反応混合物に酢酸エチル100mlとヘキサン100mlの混合溶液を加え、攪拌した後、固形物を濾過、酢酸エチルで2回洗浄した。引き続き、固形物にクロロホルム150mlを加えて不溶解成分の炭酸カリウムを濾過した後、減圧濃縮して淡黄色固体12.1gを得た。H−NMRによる分析から、得られた固体は、ナフタレン型4官能エポキシ樹脂を主骨格とし、数平均重合度50のPAEIとPEGMからなるポリマーを鎖[エチレングリコール水素(δ:3.57ppm)、エチレン水素(δ:3.20〜3.55ppm)、メトキシ水素(δ:3.25ppm)、アセチル水素(δ:1.85〜1.98ppm)]とする星型の高分子化合物であることを確認した。
【0090】
5−2 [高分子化合物(X−5)の合成]
5−1で得られた星型の高分子化合物12.1gを、5mol/%塩酸32.5g中、90℃で6時間攪拌し、加水分解反応を行った。放冷後、時間とともに生成してきた白色沈殿を含む反応混合溶液をアセトン150mlに加え、室温で30分間攪拌した後、生成物の固形物を濾過、アセトンで2回洗浄、減圧乾燥して白色固体11.2gを得た。H−NMRによる分析から、加水分解反応によりPAEIの側鎖アセチル水素(δ:1.85〜1.98ppm)]がなく、得られた上記固体は、PEG−直鎖PEI(HCl)−ナフタレン骨格EP構造を有する高分子化合物(X−5)であることを確認した。
【0091】
得られた高分子化合物(X−5)30mgに水10mlを加えて攪拌し溶解させたところ、水中で安定な分散体が得られた。
【0092】
合成例6 PEG−直鎖PEI−ナフタレン型EP構造を有する高分子化合物(X−6)の合成
合成例5で得られた高分子化合物(X−5)2.0gを水5gに溶かし透析チューブに入れ、0.5%アンモニア水で一晩透析処理を行い、引き続き水中で透析を行い、5〜6回水を取替えた後、透析チューブ中の水溶液にエタノールを加えてエバポレータで溶媒を留去し、さらに80℃で15時間真空乾燥し、PEG−直鎖PEI−ナフタレン型EP構造を有する高分子化合物(X−6)を得た。
【0093】
得られた高分子化合物(X−6)30mgに水10mlを加えて攪拌し溶解させたところ、水中で安定な分散体が得られた。
【0094】
実施例1
合成例1で得た高分子化合物(X−1)10.9mg(EIユニット:0.15mmol)を水2.39gに溶かした溶液1A、硝酸銀0.16g(0.97mmol)を水1.30gに溶かした溶液1B、クエン酸ナトリウム0.12g(0.48mmol)を水0.25gに溶かした溶液1Cをそれぞれ調製した。25℃で攪拌しながら、溶液1Aに溶液1Bを加え、続いて溶液1Cを加えた。分散液は次第に焦げ茶色へと変化した。7日間攪拌後、透析により精製し、水分散液を得た。
【0095】
得られた分散液を1部サンプリングし、10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により400nmにプラズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。得られた水分散液は2ヶ月後も凝集、沈殿等は認められることはなく、保存安定性に優れていることを確認した。
【0096】
実施例2
実施例1において、溶液1Aの代わりに、合成例2で得た高分子化合物(X−2)14.5mg(EIユニット:0.15mmol)を水2.39gに溶かした溶液を使用したこと以外は実施例1の通りに行い、水分散体を得た。得られた水分散液は安定であり、分散液を1部サンプリングし、10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により400nmにプラズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
【0097】
実施例3
実施例1において、溶液1Aの代わりに、合成例3で得た高分子化合物(X−3)10.8mg(EIユニット:0.15mmol)を水2.39gに溶かした溶液を使用したこと以外は実施例1の通りに行い、水分散体を得た。得られた水分散液は安定であり、分散液を1部サンプリングし、10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により400nmにプラズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
【0098】
実施例4
実施例1において、溶液1Aの代わりに、合成例4で得た高分子化合物(X−4)14.4mg(EIユニット:0.15mmol)を水2.39gに溶かした溶液を使用したこと以外は実施例1の通りに行い、水分散体を得た。得られた水分散液は安定であり、分散液を1部サンプリングし、10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により400nmにプラズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
【0099】
実施例5
実施例1において、溶液1Aの代わりに、合成例5で得た高分子化合物(X−5)10.3mg(EIユニット:0.15mmol)を水2.39gに溶かした溶液を使用したこと以外は実施例1の通りに行い、水分散体を得た。得られた水分散液は安定であり、分散液を1部サンプリングし、10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により400nmにプラズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
【0100】
実施例6
実施例1において、溶液1Aの代わりに、合成例6で得た高分子化合物(X−6)13.5mg(EIユニット:0.15mmol)を水2.39gに溶かした溶液を使用したこと以外は実施例1の通りに行い、水分散体を得た。得られた水分散液は安定であり、分散液を1部サンプリングし、10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により400nmにプラズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
【0101】
実施例7
合成例2で得た高分子化合物(X−2)14.5mg(EIユニット:0.15mmol)を水2.39gに溶かした溶液2Aと、硝酸銀7.7mg(0.045mmol)を水1.55gに溶かした溶液2Bをそれぞれ調製した。25℃で攪拌しながら、溶液2Aに溶液2Bを加えた。分散液は次第に茶色へと変化した。7日間攪拌後、透析により精製し、水分散液を得た。
【0102】
得られた分散液を1部サンプリングし、10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により400nmにプラズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。得られた水分散液は2ヶ月後も凝集、沈殿等は認められることはなく、保存安定性に優れていることを確認した。
【0103】
実施例8
実施例7において、溶液2Aの代わりに、合成例6で得られた高分子化合物(X−6)13.5mg(EIユニット:0.15mmol)を水2.39gに溶かした溶液を使用したこと以外は実施例7の通りに行った。得られた水分散液は安定であり、分散液を1部サンプリングし、10倍希釈液の可視吸収スペクトル測定により400nmにプラズモン吸収スペクトルのピークが認められ、銀ナノ粒子の生成を確認した。
【0104】
比較例1
[エポキシ樹脂の変性]
ビスフェノールA型エポキシ樹脂EPICLON AM−040−P(大日本インキ化学工業株式会社製) 37.4g(20mmol)、4−フェニルフェノール2.72g(16mmol)をDMA100mlに溶解後、65%酢酸エチルトリフェニルホスホニウムエタノール溶液0.52mlを加え、窒素雰囲気下、120℃で6時間反応させた。放冷後、多量の水中に滴下し、得られた沈殿物をさらに多量の水で洗浄した。再沈精製物をろ過後減圧乾燥し、変性ビスフェノールA型エポキシ樹脂を得た。得られた生成物の収率は100%であった。
【0105】
H−NMR測定を行いエポキシ基の積分比を考察した結果、ビスフェノールA型エポキシ樹脂1分子にエポキシ環は0.95個残っており、得られた変性エポキシ樹脂は、ビスフェノールA骨格を有する単官能性のエポキシ樹脂であることを確認した。
【0106】
[BisAEP−分岐PEI構造を有する高分子化合物の合成]
分岐PEI(日本触媒株式会社製、エポミン SP200)5g(0.5mmol)をメタノール150mlに溶解した溶液に、上記で得られたビスフェノールA型の単官能性のエポキシ樹脂3.0g(1.5mmol)をアセトン60mlに溶解した溶液を、窒素雰囲気下で滴下後、50℃で2時間攪拌することで反応を行った。反応終了後、減圧乾燥することにより、BisAEP−分岐PEI構造を有する高分子化合物(収率100%)を得た。
【0107】
上記で得られた高分子化合物30mgを水10mlに加えて攪拌し溶解した。その溶液での粒径分布状態を光散乱法により測定したところ、平均粒径110nmの測定結果が得られ、水中で良好にミセルを形成していることを確認した。
【0108】
上記得たBisAEP−分岐PEI構造を有する高分子化合物6.6mg(EIユニット:0.097mmol)を水2.39gに溶かした溶液A、硝酸銀0.16g(0.97mmol)を水1.30gに溶かした溶液B、クエン酸ナトリウム0.12g(0.48mmol)を水0.25gに溶かした溶液Cをそれぞれ調製した。25℃で攪拌しながら、溶液Aに溶液Bを加え、続いて溶液Cを加えた。分散液は次第に焦げ茶色へと変化した後、沈殿が生じ、2日後には完全に分散成分が消失してしまった。

【出願人】 【識別番号】000002886
【氏名又は名称】大日本インキ化学工業株式会社
【出願日】 平成18年8月3日(2006.8.3)
【代理人】 【識別番号】100124970
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 通洋


【公開番号】 特開2008−38180(P2008−38180A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−211918(P2006−211918)