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金属ナノワイヤの製造方法および金属ナノワイヤ - 特開2008−38173 | j-tokkyo
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【発明の名称】 金属ナノワイヤの製造方法および金属ナノワイヤ
【発明者】 【氏名】坂 真澄

【氏名】山谷 文彦

【要約】 【課題】本発明は、直径20〜50nm、長さ0.2〜3μm程度の金属ナノワイヤを簡易にかつ大量に製造する製造方法と金属ナノワイヤを提供することを目的とする。

【構成】原子または分子に駆動力として応力勾配を負荷することでこれらを拡散させた後、物理的な拘束を用いて拡散させた原子または分子を集約し、これを成長させることで高アスペクト比のナノワイヤ製造が可能となることを特徴とする金属ナノワイヤ製造方法および本方法によって製造される金属ナノワイヤである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属原子を供給する部材から前記金属原子を離脱させる工程と前記離脱した金属原子に物理的拘束を負荷する工程とを有することを特徴とする金属ナノワイヤの製造方法において、前記離脱させる工程が駆動力として静水圧による応力勾配を前記部材に負荷して前記金属原子にストレスマイグレーションを発生させる工程を含むことを特徴とする金属ナノワイヤの製造方法。
【請求項2】
前記部材が微細金属薄膜であることを特徴とする請求項1に記載の金属ナノワイヤの製造方法。
【請求項3】
前記離脱させる工程が、前記応力勾配を発生させるために前記部材を他種の金属と密着させる工程を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の金属ナノワイヤの製造方法。
【請求項4】
前記離脱させる工程が、前記応力勾配を発生させるために前記部材および他種の金属を加熱し、両者の線膨張係数の差から発生する熱応力に起因する前記応力勾配を用いることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のナノワイヤの製造方法。
【請求項5】
前記物理的な拘束として微細金属薄膜の表面に形成される自然酸化膜を用いることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の金属ナノワイヤの製造方法。
【請求項6】
前記部材の金属原子が銅で、他種の金属がタンタルであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の金属ナノワイヤの製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の製造方法で製造したことを特徴とする金属ナノワイヤ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ナノワイヤの製造方法および金属ナノワイヤの製造方法に関し、特にストレスマイグレーションによる金属拡散原子を制御することによる金属ナノワイヤの製造方法および金属ナノワイヤに関するものである。
【背景技術】
【0002】
微細構造物の作製において、マクロな材料を加工することで微細構造を作るフォトリソグラフィーに代表されるトップダウン方式の技術が確立している。しかしトップダウン方式では露光光源の短い波長を用いる技術やフォトリソ材料のトレードオフによるエッチング精度の向上などを用いてプロセス工程の改善を行っているが、微細化には限界がある。こうしたことから、近年では原子や分子を操作して微細な材料を構築するボトムアップ方式の研究が盛んに行われている。この方式を用いることで上述した技術よりも高精度化が図られるが、プロセス技術等が確立されていない。そこでボトムアップ方式の中でも自然が持っている秩序状態を作り上げる力を利用した自己組織化による材料組立技術に注目が集まっている。
【0003】
一方、トップダウンで構成された金属微細配線には熱応力の発生に伴う応力勾配に起因するストレスマイグレーションと呼ばれる金属原子の拡散現象が発生することが知られている。ストレスマイグレーションが発生すると微細配線を構成する金属原子は応力勾配が正の方向に拡散し、結果的に原子が損失すればボイドと呼ばれる空孔が、或いは原子が蓄積すればヒロックと呼ばれる拡散した原子の塊が生成し、どちらも回路に損傷を負荷する有害な現象として知られている。
【0004】
ストレスマイグレーションによって形成されたヒロック上にウィスカーと呼ばれるひげ状結晶が偶発的に発生することが知られている。このウィスカーは自ら秩序状態を作り出す自己組織化と呼ばれる現象によるものだと考えられている。
【0005】
金属ナノワイヤの製造方法に関する先行文献としては、電流を駆動源とするエレクトロマイグレーションを利用したものがあるが、この先行文献では、ストレスマイグレーションについての記載は無い(例えば、特許文献1および2参照)。
【0006】
【特許文献1】特開2006−75961号公報
【特許文献2】特願2005−056278号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
前述のように、従来のトップダウン法のように装置や材料による加工の影響を受けず、かつ製造効率が比較的良い自己組織化を利用したボトムアップ法による材料製造方法が求められている。そこで本発明者らは、原子または分子に駆動力を負荷して拡散させたものを集約し再配列させることで材料固有の自己組織化を利用し、金属ナノワイヤを製造する方法を確立すべく、鋭意研究した結果、金属配線にストレスマイグレーションを発生させることで原子を拡散させ、拡散原子を自然酸化膜により物理的拘束を与え再配列することで金属ナノワイヤを製造できるとの技術的知見を得た。本発明者は、これらの技術的知見に基づき、応力勾配において原子の拡散が起きる金属からナノワイヤを製造する方法を実現したものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、金属原子を供給する部材から前記金属原子を離脱させる工程と前記離脱した金属原子に物理的拘束を負荷する工程とを有することを特徴とする金属ナノワイヤの製造方法において、前記離脱させる工程が駆動力として静水圧による応力勾配を前記部材に負荷して前記金属原子にストレスマイグレーションを発生させる工程を含むことを特徴とする金属ナノワイヤの製造方法が得られる。
【0009】
また、本発明によれば、前記部材が微細金属薄膜であることを特徴とする金属ナノワイヤの製造方法が得られる。
【0010】
また、本発明によれば、前記離脱させる工程が、前記応力勾配を発生させるために前記部材を他種の金属と密着させる工程を含むことを特徴とする金属ナノワイヤの製造方法が得られる。
【0011】
また、本発明によれば、前記離脱させる工程が、前記応力勾配を発生させるために前記部材および他種の金属を加熱し、両者の線膨張係数の差から発生する熱応力に起因する前記応力勾配を用いることを特徴とするナノワイヤの製造方法が得られる。
【0012】
また、本発明によれば、前記物理的な拘束として微細金属薄膜の表面に形成される自然酸化膜を用いることを特徴とする金属ナノワイヤの製造方法が得られる。
【0013】
また、本発明によれば、前記部材の金属原子が銅で、他種の金属がタンタルであることを特徴とする金属ナノワイヤが得られる。
【0014】
また、本発明によれば、前記の製造方法で製造したことを特徴とする金属ナノワイヤが得られる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の方法により、直径20〜50nm、長さ0.2〜3μm程度の金属ナノワイヤを簡易にかつ大量に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、実施例に基づいて詳細に説明する。
【実施例1】
【0017】
図1は本発明の実施例に用いた試験片を示す。部材金属である銅の周りにタンタルを被覆した本試験片を加熱することにより、銅の線膨張係数はタンタルの約3倍であり、すなわち加熱による変形量も3倍程度であるので、銅に熱応力による応力勾配を負荷することが可能となる構造になっている。またタンタル膜により拡散原子を集約することが可能となる構造になっている。
【0018】
この形態において常温から613K(340℃)に温度を上昇させた状態を5時間保持した結果、タンタル膜にひび割れや剥がれた跡がある様々な箇所からヒロックの形成が確認できた。電子顕微鏡観察結果を図2に示した。図2から明らかにヒロック表面に非常に多数のワイヤの形成が確認できた。このワイヤは直径数20〜50nm、長さ0.2〜3μm程度であったことを確認した。これは、ヒロック内部には拡散原子の集約によって圧縮応力が存在するが、ヒロック表面には欠陥を有する自然酸化膜が存在し、その欠陥箇所において圧縮応力が解放され拡散原子が排出しワイヤが形成されたと考えられる。
【0019】
以上のことから実施例1の製造方法においてその主要な特徴は、集約させた原子が自己組織化によってワイヤ状に配列される現象を利用することであり、原子を拡散させるための駆動力を負荷するだけで金属ナノワイヤを製造できる技術の確認ができた。
【実施例2】
【0020】
図3は実施例2の試験片であり、図4は図3の試験片において常温から613Kに上昇させた際の有限要素解析による銅上部界面における角部の静水圧分布を示す。図4より銅の角部で静水圧が相対的に大きくなっていることから、角部に向かって正の応力勾配が作用していることが確認できた。
【0021】
図3の試験片を常温から613K(340℃)に上昇させた状態を10時間保持した結果、角部にヒロックの形成が確認でき、さらにワイヤの形成が確認できた。図5は試験片の角部に集中して発生したヒロックを示す。
【0022】
以上のことから、解析によって原子が集約する箇所を想定し、実験によって想定した箇所から実際にワイヤの形成が確認できた。このことから、試験片の形状によって金属ナノワイヤの製造を制御することが可能であることを確認した。
【実施例3】
【0023】
図6は実施例3の試験片形状を示す。ここでは銅の上部にタンタルを被覆しない形状である。主要な特徴は、タンタルを被覆しないことにより拡散原子がヒロックを形成することなく銅表面の自然酸化膜の欠陥箇所から排出し、直接ナノワイヤを形成することである。これによりプロセスの簡易化とナノワイヤのさらなる大量生産が可能であるという長所がある。
【0024】
本発明の金属ナノワイヤにおいては、加熱による応力勾配を連続負荷することで金属ナノワイヤを形成させることができ、強いては、原子を拡散させるための応力勾配を負荷する要素である加熱温度、加熱時間、部材や密着用他種金属の構成元素、試験片の形状、ならびに拘束に用いる酸化膜の厚さや膜質を変えることで金属ナノワイヤの製造を制御することができる。
【0025】
本発明の一実施例について部材金属を銅、密着させる他種の金属がタンタルである試験片を用いたが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、線膨張係数がある程度異なる組み合わせなら同様の効果が期待できるものである。想定される組み合わせ例として、アルミニウムと窒化チタン、クロムとニッケル、スズと銀などがある。
【0026】
本発明の一実施例について、ワイヤを形成するための物理的な拘束として自然酸化膜を用いたが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではなく、拡散原子による圧縮応力が微小領域において解放されるような拘束を与えれば、同様にワイヤを形成することができる。例えば実施例2において、上部タンタルの角部に予め貫通させ、或いは若干の厚みを残して微小孔をあけておくことにより、微小孔からワイヤを形成することが可能である。さらにこの場合、微小孔の直径によって形成するワイヤの直径を制御することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1で用いたナノワイヤ製造のために使用した銅試験片の模式図である。
【図2】実施例1で製造した銅ナノワイヤの電界放出型走査電子顕微鏡像である。
【図3】実施例2で用いたナノワイヤ製造のために使用した銅試験片の模式図である。
【図4】実施例2で用いた試験片における有限要素解析における銅上部界面における角部の静水圧分布である。
【図5】実施例2で製造した銅ナノワイヤの電界放出型走査電子顕微鏡像である。
【図6】実施例3で用いる試験片の模式図である。
【出願人】 【識別番号】504157024
【氏名又は名称】国立大学法人東北大学
【出願日】 平成18年8月3日(2006.8.3)
【代理人】 【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男

【識別番号】100116757
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 英雄

【識別番号】100123216
【弁理士】
【氏名又は名称】高木 祐一

【識別番号】100089336
【弁理士】
【氏名又は名称】中野 佳直


【公開番号】 特開2008−38173(P2008−38173A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−211626(P2006−211626)