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【発明の名称】 金属ナノ粒子の製造方法
【発明者】 【氏名】リー、クウィ−ジョン

【氏名】ジョン、ジェ−ウー

【氏名】ジュン、ビュン−ホ

【要約】 【課題】金属ナノ粒子の製造方法を提供する。

【構成】本発明は、金属前駆体を脂肪酸に解離させて混合物を形成する段階と、金属触媒として錫(Sn)、マグネシウム(Mg)及び鉄(Fe)からなる群から選択される金属の金属塩を上記混合物に投入して混合する段階と、を含む金属ナノ粒子の製造方法に関する。本発明によれば、有機溶媒を使用しない非水系環境の高濃度から均一な大きさのナノ粒子を合成することができ、還元剤を使用しないので親環境的に金属ナノ粒子を製造することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属前駆体を脂肪酸に解離させて混合物を形成する段階と、
金属触媒として、錫(Sn)、マグネシウム(Mg)及び鉄(Fe)からなる群から選択される金属の金属塩を前記混合物に投入して混合する段階と、
を含む金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項2】
前記金属前駆体は、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)及びこれらの合金からなる群から選択される金属の金属塩である請求項1に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項3】
前記金属前駆体は、AgBF、AgCFSO、AgNO、AgClO、Ag(CHCO)、AgPF及びAgOからなる群から選択される銀塩である請求項1に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項4】
前記金属前駆体は、脂肪酸に対して0.01ないし1モル比で混合される請求項1に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項5】
前記脂肪酸は、飽和脂肪酸系列、オレイン酸系列、リノール酸系列、リノレン酸系列及び高度不飽和酸系列からなる群から選択される少なくとも一つである請求項1に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項6】
前記混合物の形成段階は、金属前駆体を脂肪酸に解離させた後混合物の温度を40ないし80℃に加熱する段階をさらに含む請求項1に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項7】
前記金属触媒は、Sn(NO、Sn(CHCO、Sn(acac)、Mg(NO、Mg(CHCO、Mg(acac)、FeCl、FeCl及びFe(acac)からなる群から選択される金属塩である請求項1に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項8】
前記金属触媒は、金属前駆体の対比0.001ないし0.5モル比で混合される請求項1に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項9】
前記金属触媒を投入して混合する段階は、前記混合物を撹拌しながら金属触媒を投入する段階と、前記混合物を80ないし150℃に加熱する段階と、を含む請求項1に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項10】
前記混合物は、前記温度で0.5ないし4時間反応させる請求項9に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項11】
前記金属ナノ粒子の得られる段階をさらに含む請求項1に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項12】
前記金属ナノ粒子の得られる段階は、前記混合物に極性溶媒を投入してナノ粒子を沈殿させることで行われる請求項11に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項13】
前記極性溶媒が、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、エーテル及びこれらの混合物からなる群から選択される請求項12に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項14】
前記ナノ粒子の得られる段階は、前記混合物を遠心分離して沈殿されたナノ粒子を混合物から分離させる段階をさらに含む請求項12に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項15】
前記混合物は、トルエン(toluene)、キシレン(xylene)、クロロホルム(chloroform)、ジクロロメタン(dichloromethane)及びヘキサン、テトラデカンなどのような炭素数6ないし18のアルカンからなる群から選択される少なくとも一つの有機溶媒をさらに含む請求項1に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項16】
NaBH、LiBH、KBH、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド(tetrabutylammonium borohydride)、N、PhHNNH、グリコール、グリセロール、ジメチルホルムアミド、1、2−ペンタンジオール、1、2−ヘキサンジオールからなる群から少なくとも一つの還元剤をさらに含む請求項1に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項17】
請求項1ないし16のいずれか一項に記載の方法により製造される金属ナノ粒子。
【請求項18】
前記金属ナノ粒子の大きさは、1ないし10nmの均一な大きさを有する請求項17に記載の金属ナノ粒子。
【請求項19】
請求項17に記載の金属ナノ粒子を含む導電性インク。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ナノ粒子の製造方法に関するもので、より詳細には、付加的な有機溶媒や還元剤を使用しなくとも小さくて均一な大きさの金属ナノ粒子を低温で高濃度に合成することができる製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
金属ナノ粒子を化学的に合成する方法は、大きく気相法と液相法がある。プラズマや機械蒸発法を用いる気相法の場合高価の装備が要求されるという短所があり、低費用で均一な粒子の合成が可能な液相法が主に用いられている。
【0003】
液相法(colloidal process)による金属ナノ粒子の製造方法としては、水系で金属化合物を解離させた後別途の還元剤や界面活性剤を用いてハイドロゾル(hydrosol)形態の金属ナノ粒子を製造する方法がある。また別の方法として相移動法があるが、これは水系相から非水系相に化合物を移動させることで非水系に分散可能な金属ナノ粒子を製造する方法である。
【0004】
しかし、このような方法はナノ粒子合成の際、金属化合物溶液の濃度に制限されるので収率が非常に低いという限界がある。すなわち、金属化合物の濃度が0.05M以下にならないと均一な大きさを有する金属ナノ粒子を形成することができなかった。よって、得られる金属ナノ粒子の量にも限界があってグラム(g)単位以上に均一な大きさの金属ナノ粒子を得るためには1リットル以上の反応器が要求されて大量生産に相応しくないという問題点がある。また、相移動剤の使用により費用面でも好ましくない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した従来技術の問題点を解決するために、有機溶媒を使用しない非水系環境の高濃度から均一な大きさのナノ粒子を合成することができ、還元剤を使用しないので親環境的な金属ナノ粒子の製造方法を提供する。
【0006】
本発明は、また、上記製造方法により製造される金属ナノ粒子及びこれを含む導電性インクを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、金属前駆体を脂肪酸に解離させて混合物を形成する段階と、金属触媒として、錫(Sn)、マグネシウム(Mg)及び鉄(Fe)からなる群から選択される金属の金属塩を上記混合物に投入して混合する段階と、を含む金属ナノ粒子の製造方法を提供する。
【0008】
ここで、上記金属前駆体は、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)及びこれらの合金からなる群から選択される金属の金属塩であっても良い。好ましい実施例によれば、上記金属前駆体は、AgBF、AgCFSO、AgNO、AgClO、Ag(CHCO)、AgPF及びAgOからなる群から選択される銀塩であることが好ましい。また、上記金属前駆体は、脂肪酸に対して0.01ないし1モル比で混合することが好ましい。
【0009】
上記脂肪酸は、飽和脂肪酸系列、オレイン酸系列、リノール酸系列、リノレン酸系列及び高度不飽和酸系列からなる群から選択される少なくとも一つであることが好ましい。
【0010】
好ましい実施例によれば、上記混合物の形成段階は、金属前駆体を脂肪酸に解離させた後混合物の温度を40ないし80℃に加熱する段階をさらに含むことができる。
【0011】
上記金属触媒は、Sn(NO、Sn(CHCO、Sn(acac)、Mg(NO、Mg(CHCO、Mg(acac)、FeCl、FeCl及びFe(acac)からなる群から選択される金属塩であることが好ましい。ここで、acacはアセチルアセトネート(acetylacetonate)の略字である。上記金属触媒は金属前駆体に対して0.001ないし0.5モル比で混合することが好ましい。
【0012】
好ましい実施例によれば、上記金属触媒を投入して混合する段階は、上記混合物を撹拌しながら金属触媒を投入する段階と、上記混合物を80ないし150℃に加熱する段階と、を含むことができる。ここで、上記混合物は上記温度で0.5ないし4時間の間反応させることが好ましい。
【0013】
本発明による金属ナノ粒子の製造方法は上記金属ナノ粒子を得られる段階をさらに含むことができる。
【0014】
ここで、上記金属ナノ粒子の得られる段階は上記混合物に極性溶媒を投入してナノ粒子を沈殿させることで行われることができる。好ましい実施例によれば、上記極性溶媒は、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、エーテル及びこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
【0015】
上記ナノ粒子の得られる段階は、上記混合物を遠心分離して沈殿されたナノ粒子を混合物から分離させる段階をさらに含むことができる。
【0016】
本発明において、上記混合物は必要により、トルエン(toluene)、キシレン(xylene)、クロロホルム(chloroform)、ジクロロメタン(dichloromethane)及びヘキサン、テトラデカンなどのような炭素数6ないし18のアルカンからなる群から選択される少なくとも一つの有機溶媒をさらに含むことができ、NaBH、LiBH、KBH、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド(tetrabutylammonium borohydride)、N、PhHNNH、グリコール、グリセロール、ジメチルホルムアミド、1、2−ペンタンジオール、1、2−ヘキサンジオールからなる群から少なくとも一つの還元剤をさらに含むこともできる。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、上記製造方法により製造される金属ナノ粒子及びこれを含む導電性インクを提供する。ここで、上記金属ナノ粒子の粒子の大きさは1ないし10nmで均一な大きさを有する。
【発明の効果】
【0018】
本発明による金属ナノ粒子の製造方法は、有機溶媒を使用しない非水系環境の高濃度から均一な大きさのナノ粒子を合成することができ、還元剤を使用しないので親環境的に金属ナノ粒子を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明による金属ナノ粒子の製造方法に対してさらに詳細に説明する。
【0020】
本発明は、水系や水系/非水系ではない、非水系で反応を行うことにより、別途の界面活性剤の置換なしでも油性インクを容易く製造することができ、従来の合成法に比して高濃度から均一な大きさを有するナノ粒子を親環境的に合成することができる。
【0021】
本発明による金属ナノ粒子の製造方法は、先ず、金属前駆体を脂肪酸に解離させて混合物を形成する。
【0022】
本発明に使用される金属前駆体は、銀(Ag)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)、金(Au)またはこれらの合金のような貴金属種類の金属塩であることが好ましい。具体的に、銀イオンを還元させて銀ナノ粒子を製造する過程中、上記銀イオンは銀塩または銀の有機金属形態に供給されることができるが、本発明の一実施例によれば、上記銀塩としては、AgBF、AgCFSO、AgNO、AgClO、Ag(CHCO)、AgPF及びAgOなどを用いることができる。
【0023】
ここで、上記金属前駆体は、脂肪酸に対して0.01ないし1モル比で混合することが好ましい。金属前駆体の含量が1モル比を超過すると、金属前駆体を完璧に解離させることができなくて好ましくないし、含量が0.01モル比の未満であると生産性が減少して好ましくない。
【0024】
本発明において使用される脂肪酸は、分散安定化剤またはキャッピング分子(capping molecule)として作用する成分であって、上記脂肪酸により最終的に生成される金属ナノ粒子の大きさ及び分散安定性を確保することができる。上記脂肪酸としては、飽和脂肪酸系列(C2n)、オレイン酸系列(C2n−2)、リノール酸系列(C2n−4)、リノレン酸系列(CnH2n−6)及び高度不飽和酸系列(C2n−8、C2n−10、C2n−12)などの化合物を用いることができる。具体的に、ドデカン酸(ラウリン酸、C1123COOH)、オレイン酸(C1733COOH)、ヘキサデカン酸(パルミチン酸、C33COOH)、テトラデカン酸(ミリスチン酸、C1327COOH)などを用いることができるが、これに限定されることではない。
【0025】
金属前駆体を脂肪酸に解離させた混合物は40ないし80℃に加熱することが好ましい。
【0026】
次に、上記混合物に金属触媒を投入して混合する。
【0027】
本発明では金属触媒として、錫(Sn)、マグネシウム(Mg)、鉄(Fe)などの金属の金属塩を用いる。このような金属触媒は、金属前駆体の金属より標準還元電位が低いので、下記式のように自分は酸化されて銀イオンなどの金属イオンを有効に還元させることができる。
【0028】
Ag+M+z→Ag+M+(z+1)
【0029】
使用可能な金属触媒としては、具体的に、Sn(NO、Sn(CHCO、Sn(acac)、Mg(NO、Mg(CHCO、Mg(acac)、FeCl、FeCl及びFe(acac)などを例に挙げられるが、これに限定されることではない。ここで、acacはアセチルアセトネート(acetylacetonate)の略字である。
【0030】
このような金属触媒は、金属前駆体に対して0.001ないし0.5モル比で混合することが好ましい。金属触媒の含量が0.001モル比の未満であると金属触媒の効果が減少して収率が低いので好ましくないし、含量が0.5モル比を超過すると過量の金属触媒を用いることになり非効率的であるので好ましくない。
【0031】
好ましい実施例によれば、上記金属触媒は金属前駆体と脂肪酸の混合物を撹拌しながら金属触媒を投入した後、上記混合物の温度を80ないし150℃に加熱して撹拌する。ここで、上記混合物は0.5ないし4時間の間反応させることが好ましい。
【0032】
このような反応により形成される金属ナノ粒子は、色変化を介してナノ粒子の形成の可否を判断することができる。銀ナノ粒子の場合、赤色ないし黒褐色が現われる。このように製造された金属ナノ粒子は脂肪酸により分散安定化されてナノ粒子を別途のサイズ別に分離する必要はなく、極性溶媒に沈殿させた後遠心分離して粒子を収集することができる。
【0033】
好ましい実施例によれば、上記極性溶媒としては、メタノール、エタノール、プロパノール、アセトン、エーテルなどの極性溶媒を単独または2以上混合して用いることができる。
【0034】
このように収集された粒子は所望のインク組成のハイドロカーボン系溶媒に分散させて導電性インクを製造することができる。
【0035】
本発明においては、金属前駆体を、有機溶媒を使用しないで脂肪酸に直接解離させて混合したが、上記混合物は必要によりトルエン(toluene)、キシレン(xylene)、クロロホルム(chloroform)、ジクロロメタン(dichloromethane)及びヘキサン、テトラデカンなどのような炭素数6ないし18のアルカンからなる群から選択される少なくとも一つの有機溶媒をさらに用いて混合することもできる。
【0036】
また収率及び完全反応のために付加的なボロハイドライド系やヒドラジン系の還元剤、またはその他還元性有機溶媒を還元剤としてさらに含むこともできる。このような還元剤の具体的な例として、NaBH、LiBH、KBH、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド(tetrabutylammonium borohydride)、N、PhHNNH、グリコール、グリセロール、ジメチルホルムアミド、1、2−ペンタンジオール、1、2−ヘキサンジオールなどをあげることができる。
【0037】
以下、本発明の実施例を詳しく説明する。
【実施例】
【0038】
Ag(CHCO)72gをオレイン酸300mlに解離させながら温度を60℃に加熱した。撹拌中にSn(CHCO)27.2gを添加させた後、温度を80℃に加熱した。溶液の色が赤色ないし黒褐色に変わった。2時間反応させた後、極性溶媒であるアセトン、エタノール、メタノールの混合物を用いて再沈殿させた。遠心分離機を用いて銀ナノ粒子を回収した。
【0039】
上記実施例により製造された銀ナノ粒子の吸光度を測定して図1に示した。図1のように、UV−Vis分光器から420〜430nmの波長領域で典型的な銀プラスモンピークを見せることが分かる。
【0040】
また、上記製造された銀ナノ粒子のTEM写真を図2に示した。図2のように、TEM分析結果5nm大きさの均一な銀ナノ粒子が形成されたことを確認できた。
【0041】
本発明は上記実施例に限定されないし、多くの変形が本発明の思想内で当分野において通常の知識を持った者により可能である。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施例により製造された銀ナノ粒子の吸光度グラフである。
【図2】本発明の一実施例により製造された銀ナノ粒子のTEM写真である。
【出願人】 【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
【出願日】 平成19年4月13日(2007.4.13)
【代理人】 【識別番号】100104156
【弁理士】
【氏名又は名称】龍華 明裕


【公開番号】 特開2008−19504(P2008−19504A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2007−105385(P2007−105385)