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【発明の名称】 銅ナノ粒子の製造方法およびこれによる銅ナノ粒子
【発明者】 【氏名】リー、ヨン−イル

【氏名】オー、ヤン−ソー

【氏名】ジョン、ジェ−ウー

【要約】 【課題】本発明の銅ナノ粒子の製造方法によれば、粒子の大きさが微細で均一な粒度を有する銅ナノ粒子粉末を簡単に製造することができるので銅ナノ粒子の大量生産に有用に用いられることができる。

【構成】本発明は、ソジウムハイポフォスフェート、ヒドラジン、ハイドロクロライドおよびソジウムボロハイドライドからなる群から選択される一つ以上の還元剤、分散剤および極性溶媒を含む第1溶液を製造して昇温させる段階と、銅前駆体および極性溶媒を含む第2溶液を製造して昇温させる段階と、段階i)の第1溶液に段階ii)の第2溶液を一度に投入して混合する段階と、を含む銅ナノ粒子の製造方法に関する。これによれば、粒子の大きさが微細で均一な粒度を有する銅ナノ粒子粉末を簡単に製造することができるので銅ナノ粒子の大量生産に有用に用いられることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
i)ソジウムハイポフォスフェート、ヒドラジン、ハイドロクロライドおよびソジウムボロハイドライドからなる群から選択される一つ以上の還元剤、分散剤および極性溶媒を含む第1溶液を製造して昇温させる段階と、
ii)銅前駆体および極性溶媒を含む第2溶液を製造して昇温させる段階と、
iii)段階i)の第1溶液に段階ii)の第2溶液を一度に投入して混合する段階と
を含む銅ナノ粒子の製造方法。
【請求項2】
前記極性溶媒は、ポリオール(polyol)、水およびアルコールで構成される群から選択される一つ以上からなる請求項1に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
【請求項3】
前記ポリオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコールおよびポリエチレングリコールで構成される群から選択される請求項2に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
【請求項4】
前記還元剤は、銅前駆体1モルに対して、2ないし6モルの割合で前記第1溶液に含まれる請求項1に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
【請求項5】
前記分散剤は、PVP(Polyvinylpyrrolidone)、CTAB(Cetyltrimethylammonium bromide)、SDS(Sodium dodecyl sulfate)およびNa−CMC(Sodium carboxymethyl cellulose)で構成される群から選択される一つ以上を含む請求項1に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
【請求項6】
前記分散剤は、銅前駆体1モルに対して1ないし20モルの割合で前記第1溶液に含まれる請求項1に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
【請求項7】
前記銅前駆体は、CuCl、Cu(NO、CuSOおよび(CHCOO)Cuからなる群から選択される一つ以上である請求項1に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
【請求項8】
前記銅前駆体は、0.001ないし1モル範囲で前記第2溶液に含まれる請求項1に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
【請求項9】
前記段階i)および段階ii)の昇温温度は70ないし120℃である請求項1に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
【請求項10】
前記段階iii)は、2分ないし10分間行われる請求項1に記載の銅ナノ粒子の製造方法。
【請求項11】
請求項1ないし10に記載の製造方法により製造される銅ナノ粒子。
【請求項12】
請求項11に記載の銅ナノ粒子を含む導電性インク。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、水溶液中の銅イオンから均一な粒度と優れた分散性を有する銅ナノ粒子を製造する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、電子部品の小型化および高密度化の趨勢によりインクジェットによる薄膜の金属パターニングや基板での微細配線形成に対する要求が増加している。これを具現するために導電性インクは均一な模様と狭い粒度分布を有し、優れた分散性を有するナノ大きさの銅粒子で構成される必要がある。
【0003】
従来、金属ナノ粒子を製造する方法には、機械的にグラインディングする方法、共沈法、噴霧法、ゾルーゲル法、電気分解法、マイクロエマルジョン法など多様な種類がある。例えば共沈法により製造された金属粒子は、粒子の大きさ、模様および大きさ分布の制御が不可能であり、電気分解法とゾルーゲル法は製造経費が高くて大量生産が難しいという問題点がある。一方、マイクロエマルジョン法は粒子の大きさ、模様および大きさ分布の制御は容易であるが、製造工程が複雑で実用化されていない。
【0004】
最近、湿式還元法を用いて銅微粉末を製造する試みが行われているが、特にヒドラジンを用いる一部還元法は、0.1〜100μm程度の粒度を有する銅粒子の製造に好適な方法としてが知られている。また、水酸化アルカリおよび還元糖をアミノ酸およびその塩、アンモニア、アンモニウム塩、有機アミンおよびジメチルグリオキシムからなる群から選択される一つ以上の化合物の存在下で銅塩水溶液に添加して亜酸化銅粒子を沈殿させた後、亜酸化銅の粒子をヒドラジンで還元させる段階で構成される銅粒子製造方法が知られている(例えば特許文献1を参照)。また、銅塩水溶液にアンモニア水を混合して銅塩錯化合物水溶液を製造し、これをアスコルビン酸で還元させて銅粉末を製造することにおいて、中間段階に界面活性剤を添加して銅粒子の核の大きさおよび成長を制御して0.3〜4μmの大きさの銅粒子を製造する方法が知られている(例えば特許文献2を参照)。また、塩化銅水溶液に水酸化ナトリウムおよびヒドラジンを適切に添加して中間体および複化合物を生成した後、最終的に100nm級の銅粒子を合成する湿式還元法による極微細銅粉末の製造方法が知られている(例えば特許文献3を参照)。
【特許文献1】特開平02−294414号公報
【特許文献2】韓国特許出願公開第2005−3169号公報
【特許文献3】韓国特許出願公開第2004−37824号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記特許文献に提示されている製造方法により得られた銅粒子は、粒度分布が小さいことや粒度が均一であることを特徴としているものの、銅粒子の場合、粒子の核の生成および成長の制御が難しく、実際は粒度分布が広い。したがって、100nm以下の小さくて均一な粒子を製造することができないことから、大量生産により生じる様々な経済的課題を解決することができない。本発明の目的は、既存の湿式還元工程に適切な分散剤および還元剤を取り入れて狭い粒度分布を有し分散性が良好な銅ナノ粒子の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を果たすために本発明の一の形態によれば、i)ソジウムハイポフォスフェート(NaHPO)、ヒドラジン(N)、ハイドロクロライドおよびソジウムボロハイドライド(NaBH)からなる群から選択される一つ以上の還元剤、分散剤および極性溶媒を含む第1溶液を製造して昇温させる段階と、ii)銅前駆体および極性溶媒を含む第2溶液を製造して昇温させる段階と、iii)上記段階i)の第1溶液に段階ii)の第2溶液を一度に投入して混合する段階と、を含む銅ナノ粒子の製造方法が提供される。また、本発明の他の形態によれば、上記方法により製造される銅ナノ粒子およびこれを含む導電性インクが提供される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、粒子の大きさが微細で均一な粒度を有する銅ナノ粒子粉末を簡単に製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して詳しく説明する。本発明の一実施形態によれば、i)ソジウムハイポフォスフェート、ヒドラジン、ハイドロクロライドおよびソジウムボロハイドライドからなる群から選択される一つ以上の還元剤、分散剤および極性溶媒を含む第1溶液を製造して昇温させる段階と、ii)銅前駆体および極性溶媒を含む第2溶液を製造して昇温させる段階と、iii)段階i)の第1溶液に段階ii)の第2溶液を一度に投入して混合する段階を含む銅ナノ粒子の製造方法を提供することができる。
【0009】
本実施形態は、既存の湿式還元法とは異なって、銅前駆体を銅塩の水溶液(第2溶液)に製造して反応温度まで昇温した後、同一な反応温度で分散剤と還元剤が溶解されている水溶液(第1溶液)にホットインジェクション(hot injection)法により一度に投入して銅ナノ粒子を製造した。これにより、短い時間内に均一な核の生成を誘導することができ、水系溶媒システムで20−50nmの小さな大きさを有する銅ナノ粒子を製造することができる。
【0010】
ここで、第1溶液および第2溶液の溶媒は、ポリオール(polyol)、水、およびアルコールを含む極性溶媒であっても良い。好ましくは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコールなどのポリオールを一つ以上混合して用いても良いし、さらに好ましくは、エチレングリコールを単独で用いても良い。
【0011】
第1溶液の一成分である還元剤は、溶液中の銅イオンを銅に還元させる役目をするが、好ましくはソジウムハイポフォスフェートを用いることができる。ソジウムハイポフォスフェートは安定した還元反応を誘導してその結果銅ナノ粒子の合成収率が改善された。用いられる還元剤の量は、銅塩1モル(mole)に対して還元剤2ないし6モルであることが好ましい。2モル未満であると水溶液中の銅イオンを充分に還元させることができないし、6モルを超過すると副反応物が過多に生成されるし100%銅還元の必要以上に添加されて非経済的である。
【0012】
また、第1溶液の別の一成分である分散剤は、PVP(Polyvinylpyrrolidone)、CTAB(Cetyltrimethylammonium bromide)、SDS(Sodium dodecyl sulfate)およびNa−CMC(Sodium carboxymethyl cellulose)からなる群から選択される一つ以上を含むことができ、好ましくは分子量40000のPVPを単独で用いることもできる。高分子分散剤であるPVPは、製造される粒子の大きさおよび均一性を制御できるようにし、水系溶媒での凝集を防止して分散性を付与する効果を示した。添加される分散剤の量は、銅塩1モル(mole)に対して分散剤1ないし20モルを用いることが好ましいが、1モル未満に添加されると銅粒子の制御効果が落ちて均一なナノ粒子の製造が難しいし、20モルを超過して添加されると過糧の高分子分散剤に応ずる反応溶液の粘度上昇により撹拌が難しくて均一な反応になりにくいし副反応物および残余有機物の除去に過糧の非溶媒が必要になるので非経済的である。
【0013】
また、上記銅前駆体は、CuSO、CuCl、Cu(NOおよび(CHCOO)Cuからなる群から選択される水溶性銅塩を単独または混合して用いることができるし、好ましくはCuSOを単独で用いることもできる。この時、用いられる銅前駆体は0.001ないし1モル範囲で上記第2溶液に含まれることが好ましい。
【0014】
一方、上記段階i)および段階ii)において、第1溶液および第2溶液の昇温温度は70ないし120℃に維持することが好ましいが、温度が120℃を超過すると後続反応過程中急速に反応が進行されて安定性が低下されるし製造される粒子が不均一になる問題があり、温度が70℃未満であると還元反応がまともに進行されないという問題点がある。
【0015】
段階iii)は、段階ii)の銅前駆体を含む第2溶液がホットインジェクションを介して段階i)の第1溶液に投入される。この過程は、20〜50nmの銅粒子を形成する段階であって、追加的な昇温はしなく反応時間は2ないし10分が好ましいが、2分未満であると銅イオンが充分に還元されることができないし、10分を超過すると粒子が過成長して銅ナノ粒子の大きさを均一に制御しにくくなる。
【0016】
反応が充分に進行されれば、銅ナノ粒子の過成長を防ぐために冷却された蒸留水を用いて急冷させた後、遠心分離を用いて銅ナノ粒子を分離する。分離された銅ナノ粒子は副反応物および残余有機物などを除去するためにアセトンと蒸留水を用いて洗滌して50℃に維持される真空乾燥器にて3時間乾燥させる。
【0017】
上記製造方法により本発明者が製造した銅ナノ粒子を図1に示す。また、上記製造方法により製造された銅ナノ粒子を透過電子顕微鏡(TEM)および走査顕微鏡(SEM)で分析した結果を図2aおよび図2bに示す。図2aおよび図2bに示すように、粒子の大きさが20ないし50nmである球形の均一な粒子が形成されたことが確認された。
【0018】
また、本発明の製造方法により製造された銅ナノ粒子をXRD分析した結果、図3および図4に示すように、不純物および酸化物の相のない純粋な銅結晶相だけが生成されたこと(図3参照)を確認できたし、熱重量分析法(TGA)により熱分析を実施した結果(図4参照)では、有機物の含量が約4%程であることが確認された。
【0019】
また、本発明の他の実施形態によれば、上記方法により製造される銅ナノ粒子およびこれを含む導電性インクを提供することができる。すなわち、本実施形態の製造方法により製造されたナノ大きさの銅粒子を適切な分散液に分散させて導電性ナノインクを製造し、これをインクジェット技術を用いて基板や各種電子部品での金属パターンを直接形成することができる。
【0020】
最近、電子部品の小型化および高密度化に応じてインクジェットによる薄膜の金属パターニングや基板での微細配線形成に対する要求が増加している。これを具現するためには、導電性インクが均一な模様と狭い粒度分布を有し優れた分散性を見せる数十nmの大きさの銅粒子で構成されなければならないし、よって本発明は、このような特性を満足させるナノ粒子の簡単であると同時に経済的な大量合成方法を提供するので、これにより製造されるナノ粒子およびこれを含む導電性インクも本発明の範疇に含まれる。
【0021】
以下、本発明の好ましい実施例を参照して本発明をより詳細に説明するが、本発明の範囲がこれに限定されるものではない。
【実施例1】
【0022】
ソジウムハイポフォスフェート0.2モル、PVP1モルおよびエチレングリコール400mlをビーカーで混合して撹拌機を用いて溶解した後90℃まで昇温させた。硫酸銅0.1モルをエチレングリコール100mlに溶解した後90℃まで昇温させた。90℃に維持される第1溶液に第2溶液を一度に投入した後撹拌機を用いて強く混合した。還元反応により黒褐色の反応物が得られるとここに冷却された蒸留水を投入して急冷させた。遠心分離により黒褐色の銅ナノ粉末を回収してアセトンと蒸留水で3回洗滌した後50℃に維持された真空乾燥器にて3時間乾燥して最終的に銅ナノ粒子12gを得た。
【実施例2】
【0023】
ソジウムハイポフォスフェート1.6モル、PVP4モル、エチレングリコール900mlをビーカーにて混合して撹拌機を用いて溶解した後90℃まで昇温させた。硫酸銅0.4モルをエチレングリコール100mlに溶解した後90℃まで昇温させた。90℃に維持される第1溶液に第2溶液を一度に投入して撹拌機を用いて強く混合した。還元反応により黒褐色の反応物が得られると、ここに冷却された蒸留水を投入して急冷させた。遠心分離により黒褐色の銅ナノ粉末を回収してアセトンと蒸留水で3回洗滌した後50℃に維持される真空乾燥器にて3時間乾燥して最終的に銅ナノ粒子26gを得た。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施例により製造された銅ナノ粒子の粉末写真である。
【図2a】本発明の一実施例により製造された銅ナノ粒子の透過電子顕微鏡(TEM)状である。
【図2b】本発明の一実施例により製造された銅ナノ粒子の走査顕微鏡(SEM)状である。
【図3】本発明の一実施例により製造された銅ナノ粒子のXRD分析結果グラフである。
【図4】本発明の一実施例により製造された銅ナノ粒子の熱重量分析(TGA)結果グラフである。
【出願人】 【識別番号】594023722
【氏名又は名称】サムソン エレクトロ−メカニックス カンパニーリミテッド.
【出願日】 平成19年3月2日(2007.3.2)
【代理人】 【識別番号】100104156
【弁理士】
【氏名又は名称】龍華 明裕


【公開番号】 特開2008−19503(P2008−19503A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2007−52310(P2007−52310)