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金属ナノ粒子の製造方法、金属ナノ粒子及び金属ナノ粒子分散物 - 特開2008−19461 | j-tokkyo
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【発明の名称】 金属ナノ粒子の製造方法、金属ナノ粒子及び金属ナノ粒子分散物
【発明者】 【氏名】白田 雅史

【氏名】平井 博幸

【要約】 【課題】300℃以下の低温で焼成することができ、低抵抗の導電パターンが得られ、インクジェットプリンター等を用いてオンデマンドで基板上に微細な導電パターンを安価に形成することができ、取り扱い性や基板との密着性に優れた金属ナノ粒子分散液を構成できる金属ナノ粒子製造方法の提供

【構成】有機溶媒中で貴金属化合物の存在下に、銅化合物をヒドラジン系還元剤と反応させる反応工程を含む金属ナノ粒子の製造方法であって、前記貴金属化合物を、白金、金、銀及びパラジウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属を含む化合物とし、かつ、前記貴金属化合物中の貴金属原子の全原子数を前記銅化合物中の銅原子の全原子数の1〜10原子%の範囲内とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒中で貴金属化合物の存在下に、銅を含む化合物をヒドラジン系還元剤と反応させる反応工程を含み、前記貴金属化合物が、白金、金、銀及びパラジウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属を含む化合物であり、かつ、前記貴金属化合物中の貴金属原子の全原子数が前記銅を含む化合物中の銅原子の全原子数の1〜10原子%である、金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項2】
前記銅を含む化合物が、銅酸化物及び銅水酸化物から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、請求項1に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項3】
前記反応工程が、分子内にアミノ基を有するアルコール系化合物の少なくとも1種をさらに存在させて反応させる工程であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項4】
前記有機溶媒が、60〜260℃の沸点を有する有機溶媒を少なくとも1種含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項5】
前記有機溶媒が、少なくとも1種の非極性溶媒を含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項6】
前記反応工程が、有機酸をさらに存在させて反応させる工程であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された金属ナノ粒子。
【請求項8】
前記金属ナノ粒子が、銅を主成分とするものであり、かつ、その平均粒子径が1〜50nmであることを特徴とする請求項7に記載の金属ナノ粒子。
【請求項9】
請求項7又は8に記載の金属ナノ粒子と、有機溶媒とを含む金属ナノ粒子分散物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、プリント配線や積層セラミックスコンデンサーの内部電極の形成に好適な金属ナノ粒子の製造方法、その製造方法によって製造される金属ナノ粒子及びその金属ナノ粒子を含む金属ナノ粒子分散物に関する。
【背景技術】
【0002】
基板上に微細な導電パターンを迅速に形成するため、インクジェットやディスペンサー等の技術を用いて金または銀のナノ粒子分散液を吐出させ、金や銀の導電パターンを形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、金や銀は高価であるため、安価製造には不向きである。一方、銅は良好な電気伝導性を有する安価な材料であり、プリント配線板の回路形成用部材、各種電気的接点用部材、コンデンサー等の電極用部材などの材料として、幅広く用いられている。最近の電子機器の小型化に伴い、積層、高密度の回路形成や、小型、大容量の積層セラミックスコンデンサーが必要となっている。微細な導電パターンや薄膜電極の形成のために、取扱いの容易な銅ナノ粒子分散物が要望されている。
【0003】
銅微粒子の製造方法としては、アラビアゴム等の保護コロイドを含む水溶液中で、ヒドラジン系還元剤により酸化銅を還元する方法(例えば、特許文献2参照)、pH12以上で還元糖により水酸化銅を還元し亜酸化銅を生成させた後、50℃以上の温度条件でヒドラジン系還元剤により亜酸化銅を還元する方法(例えば、特許文献3参照)、硫黄化合物及び保護コロイドの存在下、水系溶媒中で銅酸化物と還元剤とを反応させる方法(例えば、特許文献4参照)などが知られている。
【0004】
【特許文献1】特開2002−299833号公報
【特許文献2】特公昭61−55562号公報
【特許文献3】特許第2638271号公報
【特許文献4】特開2004−256857号公報
【0005】
これらの方法により製造された銅微粒子は、エポキシ樹脂などのバインダーと混合してペーストあるいは塗料化し、基板上に印刷もしくは塗布し必要により積層した後、加熱焼成して電気回路や電極等の形成に用いることができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記方法で製造された銅微粒子は、平均粒子サイズが0.05〜1μmと大きいため、数十μm以下の微細な回路を形成するためには不適であり、さらには高温での焼結過程が必要であるため、より粒子サイズの小さな銅微粒子が望まれていた。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、ポリイミド等のプラスチック基板に印刷、塗布したときに、300℃以下の低温で焼成することができ、低抵抗の導電パターンが得られる金属ナノ粒子分散物、その金属ナノ粒子分散物に含まれる金属ナノ粒子及びその金属ナノ粒子の製造方法を提供することを課題とする。
さらに本発明は、インクジェットプリンターやディスペンサーを用いてオンデマンドで基板上に微細な導電パターンを安価に形成することができ、取り扱い性や基板との密着性に優れた金属ナノ粒子分散物、その金属ナノ粒子分散物に含まれる金属ナノ粒子及びその金属ナノ粒子の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するための具体的手段は以下の通りである。
<1> 有機溶媒中で貴金属化合物の存在下に、銅を含む化合物をヒドラジン系還元剤と反応させる反応工程を含み、前記貴金属化合物が、白金、金、銀及びパラジウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属を含む化合物であり、かつ、前記貴金属化合物中の貴金属原子の全原子数が前記銅を含む化合物中の銅原子の全原子数の1〜10原子%である、金属ナノ粒子の製造方法である。
<2> 前記銅を含む化合物が、銅酸化物及び銅水酸化物から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする、前記<1>に記載の金属ナノ粒子の製造方法である。
<3> 前記反応工程が、分子内にアミノ基を有するアルコール系化合物の少なくとも1種をさらに存在させて反応させる工程であることを特徴とする、前記<1>又は<2>に記載の金属ナノ粒子の製造方法である。
<4> 前記有機溶媒が、60〜260℃の沸点を有する有機溶媒を少なくとも1種含むことを特徴とする、前記<1>〜<3>のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法である。
<5> 前記有機溶媒が、少なくとも1種の非極性溶媒を含むことを特徴とする、前記<1>〜<4>のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法である。
<6> 前記反応工程が、有機酸をさらに存在させて反応させる工程であることを特徴とする、前記<1>〜<5>のいずれか1項に記載の金属ナノ粒子の製造方法。
【0008】
<7> 前記<1>〜<6>のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された金属ナノ粒子である。
<8> 前記金属ナノ粒子が、銅を主成分とするものであり、かつその平均粒子径が1〜50nmであることを特徴とする前記<7>に記載の金属ナノ粒子である。
【0009】
<9> 前記<7>又は<8>に記載の金属ナノ粒子と、有機溶媒とを含む金属ナノ粒子分散物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ポリイミド等のプラスチック基板に印刷、塗布したときに、300℃以下の低温で焼成することができ、低抵抗の導電パターンが得られる金属ナノ粒子分散物、その金属ナノ粒子分散物に含まれる金属ナノ粒子及びその金属ナノ粒子の製造方法を提供することができる。
さらに、インクジェットプリンターやディスペンサーを用いてオンデマンドで基板上に微細な導電パターンを安価に形成することができ、取り扱い性や基板との密着性に優れた金属ナノ粒子分散物、その金属ナノ粒子分散物に含まれる金属ナノ粒子及びその金属ナノ粒子の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は、有機溶媒中で貴金属化合物の存在下に銅を含む化合物をヒドラジン系還元剤と反応させる反応工程を含む金属ナノ粒子の製造方法であり、前記貴金属化合物が、白金、金、銀及びパラジウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属を含む化合物であり、かつ、前記貴金属化合物中の貴金属原子の全原子数が前記銅を含む化合物中の銅原子の全原子数の1〜10原子%であることを特徴とする。
前記反応工程を含むことにより、平均粒子径1〜50nmの金属ナノ粒子を生成させることができる。ここで、前記金属ナノ粒子の平均粒子径は、加速電圧200kVの電子顕微鏡で500個の粒子を観測して測定したそれぞれの粒子径を算術平均して求めることができる。
また本発明の製造方法によれば、分散性に優れ、粒子形状が揃った金属ナノ粒子を製造することができ、該金属ナノ粒子を含有する金属ナノ粒子分散物を得ることができる。前記金属ナノ粒子分散物を、ポリイミド等のプラスチック基板に印刷、塗布して300℃以下の低温で焼成することで低抵抗の導電パターンを得ることができる。更に、前記金属ナノ粒子分散物は、取り扱い性や基板との密着性に優れ、インクジェットプリンターやディスペンサーを用いてオンデマンドで基板上に微細な導電パターンを安価に形成することに用いることができる。
【0012】
(A) 銅酸化物、銅水酸化物
本発明の金属ナノ粒子の製造方法においては、前記銅を含む化合物(以下、銅化合物)が、銅酸化物及び銅水酸化物から選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
本発明における銅酸化物とは、亜酸化銅(酸化第一銅)及び酸化銅(酸化第二銅)を指す。また銅水酸化物とは、銅の含水酸化物、銅の水酸化物、塩基性炭酸銅等を指す。前記銅化合物のうち、安価で且つ残渣のないものが特に好ましい。ここで残渣とは本発明の製造方法によって金属銅に還元されない構成成分を意味する。本発明における銅化合物としては、例えば、亜酸化銅、酸化銅、水酸化銅が好ましく、その水和物もまた好ましい。前記銅化合物の製造方法には特に制限はなく、例えば、電解法、加熱酸化法、熱分解法、湿式法等で銅化合物を工業的に製造できる。本発明における銅化合物の粒子径はできるだけ小さい方が望ましく、例えば、10μm以下、好ましくは1μm以下、さらに好ましくは100nm以下である。また、本発明における銅化合物は使用する有機溶媒には溶解せず、粒子として分散していることが望ましい。
【0013】
本発明における銅化合物は、市販のものを用いることができ、また、本発明の金属ナノ粒子の製造方法の実施に際して新たに合成したものを用いることもできる。中でも、金属ナノ粒子の製造に先立って新たに合成した銅化合物を用いることが好ましい。例えば、銅化合物として亜酸化銅を用いる場合、2価の銅塩溶液を還元剤により還元する湿式法で合成する方法が好ましい。ここで2価の銅塩およびその溶媒は、所望の銅イオンの濃度で溶解可能であれば特に限定するものではない。2価の銅塩としては、例えば、酢酸銅、硝酸銅、硫酸銅、塩化銅、シュウ酸銅及びギ酸銅などから選ばれる少なくとも一種が好適に用いられる。中でも酢酸銅やギ酸銅が好ましく、酢酸銅が最も好ましい。
【0014】
また、前記銅化合物の合成に用いる溶媒としては、有機溶媒、水、酸、塩基及びそれらの混合物から選ばれる少なくとも1種の溶媒が好ましい。中でも有機溶媒が好ましく用いられ、後述する「分子内にアミノ基を有するアルコール化合物」が最も好適に用いられる。
【0015】
前記銅化合物の合成に用いる還元剤としては、通常使用されるものの中から目的に応じて適宜選択することができる。例えば、水素化ホウ素ナトリウム等のアルカリ金属水素化ホウ素塩、ヒドラジン化合物、クエン酸又はその塩、コハク酸又はその塩、アスコルビン酸又はその塩、アミン化合物、ジオール化合物及びα−ヒドロキシケトンなどが挙げられる。これらの中でも、ヒドラジン化合物、アミン化合物、ジオール化合物及びα−ヒドロキシケトンが特に好ましい。
【0016】
前記アミン化合物としては、例えば、ジエチルヒドロキシルアミン、ジメチルヒドロキシルアミン、トリエチルアミン、ブタノールアミン、プロピルアミン、エチレンジアミン、p−フェニレンジアミン、アミノフェノール等が挙げられる。前記ヒドラジン化合物としては、例えば、ヒドラジン、フェニルヒドラジン等が挙げられる。前記ジオール化合物としては、例えば、ヒドロキノン、カテコール、エチレングリコール等が挙げられる。また、前記α−ヒドロキシケトンとしては、例えば、ヒドロキシアセトン、メチルヒドロキシアセトン等が挙げられる。
【0017】
(B)貴金属化合物
本発明の金属ナノ粒子の製造方法は、白金、金、銀及びパラジウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種の貴金属を含む化合物(以下、貴金属化合物)の存在下に、前記銅化合物とヒドラジン系還元剤とを反応させる反応工程を含むことを特徴とする。
本発明における貴金属は、白金、金、銀及びパラジウムよりなる群から選ばれる少なくとも1種であり、中でも好ましい貴金属は銀である。
【0018】
本発明における貴金属化合物としては、貴金属の無機塩、貴金属の有機酸塩及び貴金属の錯体が挙げられる。貴金属の無機塩としては、例えば、塩化物、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ピロリン酸塩、シアン化物及びフルオロホウ酸塩が挙げられる。また、貴金属の有機酸塩としては、例えば、ギ酸塩、酢酸塩、コハク酸塩、リンゴ酸塩、乳酸塩、クエン酸塩、アスコルビン酸塩、シュウ酸塩、安息香酸塩及びバニリン酸塩が挙げられる。さらに、貴金属の錯体としては、例えば、アミン錯体、ハロゲン化物錯体及び有機性錯化剤との錯体が挙げられる。これらの中でも、有機酸塩が好ましく、酢酸塩がより好ましく、特に酢酸銀が好ましく用いられる。
本発明における前記貴金属化合物は1種単独でも、2種以上を組合わせて用いることもできる。
【0019】
前記反応工程における貴金属化合物中の貴金属原子の全原子数としては、前記銅化合物中の銅原子の全原子数の1〜10原子%の範囲内であるが、2〜8原子%の範囲内であることが好ましく、4〜6%の範囲内であることがより好ましい。貴金属化合物中の貴金属原子の全原子数が前記銅化合物中の銅原子の全原子数の1〜10原子%の範囲内であるとは、前記銅化合物における銅原子1モルに対して前記貴金属化合物中の貴金属原子の総モル数が0.01〜0.1モルの範囲内となるように、貴金属化合物を反応工程に添加することを意味する。貴金属化合物中の貴金属原子の全原子数を前記範囲内とすることにより、得られる金属ナノ粒子の平均粒子径を1〜50nmの範囲内とすることができる。
【0020】
(C)ヒドラジン系還元剤
本発明の金属ナノ粒子の製造方法は、前記銅化合物とヒドラジン系還元剤の少なくとも1種とを反応させる反応工程を含むことを特徴とする。
本発明における、ヒドラジン系還元剤としては、ヒドラジノ基を有する化合物であれば特に制限はない。例えば、ヒドラジン、塩酸ヒドラジン、硫酸ヒドラジン、抱水ヒドラジン、フェニルヒドラジン、ベンジルヒドラジン、エチルヒドラジンから選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。中でもヒドラジン、抱水ヒドラジン、塩酸ヒドラジンが好ましい。特に、銅化合物との反応後に残渣が生じないこと、比較的安全性が高いことから、抱水ヒドラジンの1種であるヒドラジン一水和物が特に好ましい。本発明における前記ヒドラジン系還元剤は1種単独でも、2種以上を組合わせて用いることもできる。
【0021】
ヒドラジン系還元剤の使用量は銅化合物中に含まれる銅1モルに対し、0.2〜5モルの範囲内が好ましい。ヒドラジン系還元剤を0.2モル以上用いることで銅への還元反応が進み易くなり、金属ナノ粒子を十分に生成することができる。また、使用量を5モル以下とすることで急激な反応を抑制することができ、反応中の危険性を低下させることができるとともに、生成した金属ナノ粒子中にヒドラジン系還元剤が残存することを抑制することができる。生成した金属ナノ粒子中にヒドラジン系還元剤が残存していると、金属ナノ粒子の保存中にヒドラジン系還元剤が徐々に分解して発泡してしまう。ヒドラジン系還元剤のさらに好ましい使用量は0.5〜3モルの範囲内である。
【0022】
(D)有機溶媒
本発明の金属ナノ粒子の製造方法は、前記反応工程を有機溶媒中で行うことを特徴とする。
本発明における有機溶媒は、60℃〜260℃の沸点を有する有機溶媒を少なくとも1種が含むことが好ましい。該有機溶媒としては、アルカン系化合物(例えば、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、トリデカン、テトラデカン、シクロオクタン等)、アルケン系化合物(例えば、1−オクテン、2−ノネン、1−デセン、1−ウンデセン等)、アルカノール系化合物(例えば、1−オクタノール、2−オクタノール、1−ノナノール、1−デカノール、4−メチル−1−シクロヘキサノール等)、アルキルアミン系化合物(例えば、オクチルアミン、デシルアミン等)及びエステル系化合物(例えば、酢酸n−アミル、酢酸ヘキシル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸シクロヘキシル、プロピオン酸ブチル、カプリル酸エチル、カプリン酸エチル等)などが挙げられるが、これらの化合物に限定されるものではない。また、本発明における有機溶媒は1種単独でも、2種以上を組合わせて用いてもよい。
【0023】
本発明においては、沸点60〜120℃程度の低沸点化合物の少なくとも1種と、120〜260℃程度の高沸点化合物の少なくとも1種と、を併用することが好ましい。低沸点化合物と高沸点化合物とを併用することにより、還元反応の開始時には銅化合物の濃度が低くなるため、安全且つ穏和に反応を行うことができる。更に反応中に低沸点化合物を蒸発留去させることにより、反応終了時には高濃度の金属ナノ粒子分散物を得ることができる。低沸点化合物と高沸点化合物とを併用する場合、低沸点化合物に対する高沸点化合物の体積比が1.0〜3.0の範囲内であることが好ましい。
【0024】
本発明においては、有機溶媒のうち少なくとも1種が非極性溶媒であることが好ましい。非極性溶媒はヒドラジン系還元剤との相溶性が低いため、両者は均一に混合し難く、ヒドラジン系還元剤と銅化合物との接触確率が低くなる。通常、ヒドラジン系還元剤による還元反応は発熱・発泡を伴うが、ヒドラジン系還元剤と銅化合物との接触確率を低くすることで還元反応を安全に進行させることができる。また、非極性溶媒を用いることで、生成する金属ナノ粒子の粒子径をより小さなものに制御することができる。
【0025】
本発明における非極性溶媒とは、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素類とオクタン、デカン、ヘキサン、ノナン等のアルカン系炭化水素類とを少なくとも包含するものである。
非極性溶媒のうち、低沸点化合物としては、例えば、トルエン(沸点;110℃)、ヘキサン(69℃)、ヘプタン(98℃)等が好ましい。また、高沸点化合物としては、例えば、オクタン(126℃)、ノナン(151℃)、デカン(174℃)、ウンデカン(196℃)、ドデカン(216℃)、トリデカン(234℃)、テトラデカン(253℃)が好ましい。
前記非極性溶媒は、全有機溶媒のうち、体積で10〜100体積%含有することがさらに好ましい。
【0026】
(E)分子内にアミノ基を有するアルコール系化合物
本発明の金属ナノ粒子の製造方法においては、銅化合物とヒドラジン系還元剤とを反応させる反応工程が、分子内にアミノ基を有するアルコール系化合物(以下、「本発明に係るアルコール系化合物」ということがある。)の少なくとも1種をさらに存在させて反応させる工程であることが好ましい。
この本発明に係るアルコール系化合物は、銅化合物とヒドラジン系還元剤との反応速度の調節、金属ナノ粒子分散物の粘度調節、及び、金属ナノ粒子分散物の保存中又は印刷もしくは塗布後の加熱焼成時における銅の酸化防止剤として作用することができる。
【0027】
本発明に係るアルコール系化合物は、本発明の金属ナノ粒子分散物を加熱焼成する場合に残渣が少ないものが好ましく、揮発性(昇華性)又は分解して揮発性になる性質を有するものが好ましい。このような観点から、本発明に係るアルコール系化合物は、120℃〜250℃の沸点を有するものであることが好ましい。このような本発明に係るアルコール系化合物としては、例えば、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール、3−ジエチルアミノ−1−プロパノール、2−ジメチルアミノ−2−メチル−1−プロパノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、2−アミノエタノール、ジエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール及び2−(2−アミノエチルアミノ)エタノール等が挙げられる。
【0028】
本発明に係るアルコール系化合物の添加量は、特に制限はされないが、銅化合物中に含まれる銅原子1モルに対し、0.1〜2モルの範囲内が好ましい。
また、本発明に係るアルコール系化合物は、本発明の金属ナノ粒子の製造方法に使用することができる銅酸化物又は銅水酸化物等の銅化合物を合成する場合に、還元剤としても用いることができる。特に、亜酸化銅を合成する場合には、2−ジメチルアミノエタノール、2−ジエチルアミノエタノール、1−ジメチルアミノ−2−プロパノール及び3−ジエチルアミノ−1−プロパノールからなる群から選ばれる少なくとも1種が好適に用いられる。
【0029】
(F)有機酸
本発明の金属ナノ粒子の製造方法における、銅化合物とヒドラジン系還元剤とを反応させる反応工程が、有機酸をさらに存在させて反応させる工程であることが好ましい。
前記反応工程に有機酸を存在させることで、銅化合物とヒドラジン系還元剤との反応速度の調節、反応後のヒドラジンの捕捉、金属ナノ粒子の分散性向上などを図ることができる。また、有機酸を添加することによって金属ナノ粒子の粒子径をより小さく制御することができる。
【0030】
本発明における有機酸としては、臭いが少なく、加熱焼成後の残渣が少ないものが好ましい。例えば、8〜20の総炭素数を有する化合物が好ましい。かかる有機酸としては、飽和脂肪酸(例えば、カプリル酸、カプリン酸、ウンデカン酸、ラウリン酸、ステアリン酸等)、モノ不飽和脂肪酸(例えば、ミリストレイン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エライジン酸)、ジ不飽和脂肪酸(例えば、リノール酸)トリ不飽和脂肪酸(例えばリノレン酸、エレオステアリン酸)、テトラ不飽和脂肪酸(例えば、ステアリドン酸、アラキドン酸)、ペンタ不飽和脂肪酸(例えば、エイコサペンタエン酸、イワシ酸)、ヘキサ不飽和脂肪酸(例えば、ドコサヘキサエン酸)が挙げられる。
有機酸の添加量は特に制限はされないが、銅化合物中に含まれる銅原子1モルに対して0.01〜1モルの範囲内が好ましい。また有機酸の添加時期は銅化合物の還元反応の前が好ましいが、反応後に添加することもできる。
【0031】
本発明の金属ナノ粒子の製造方法における、前記反応工程は、粒子の粗大化抑制の観点から、0〜40℃の温度条件で行うことが好ましい。また、前記反応工程における撹拌条件としては、反応の均一性の観点から、攪拌羽根やオムニミキサーによる撹拌が好ましく、特に撹拌羽根の回転数としては100〜500rpmが好ましい。また、反応濃度としては、凝集抑制の観点から、銅化合物の濃度が3〜30質量%であることが好ましい。
【0032】
本発明の金属ナノ粒子は、上記した金属ナノ粒子の製造方法によって製造されるものである。これにより、本発明の金属ナノ粒子は、その粒子内部に貴金属を含有する金属ナノ粒子を含むことになる。前記貴金属を含有する金属ナノ粒子は、貴金属と銅が原子レベルで混合された混晶であってもよく、また、コアを貴金属、シェルを銅とするコアシェル粒子であってもよい。特に、コアシェル粒子であることが好ましい。
【0033】
また、本発明の金属ナノ粒子は、銅を主成分とするものであることが好ましい。本発明において銅を主成分とするとは、金属ナノ粒子における銅原子の含有量が90質量%以上であることを意味する。前記銅原子の含有量が90質量%以上であることにより、本発明の金属ナノ粒子を含有する金属ナノ粒子分散物を用いて低抵抗の導電パターンを形成することができる。
さらに、本発明の金属ナノ粒子の平均粒子径は1〜50nmの範囲内であることが好ましく、2〜30nmの範囲内であることがより好ましく、3〜20nmの範囲内であることがさらに好ましい。平均粒子径が前記範囲内であることにより、インクジェットプリンターやディスペンサーを用いて、本発明の金属ナノ粒子を含有する金属ナノ粒子分散物を基板上に印刷又は塗布して微細な導電パターンを形成することができる
【0034】
本発明の金属ナノ粒子分散物は、本発明の金属ナノ粒子を有機溶媒に分散したものである。有機溶媒としては既述の有機溶媒を好適に用いることができる。
本発明の金属ナノ粒子分散物は、必要に応じて結合剤をさらに含有してもよい。これにより、本発明の金属ナノ粒子分散物を基板に印刷又は塗布した場合に、金属ナノ粒子と基板との密着性をより確実に得ることができる。
【0035】
前記結合剤としては、加熱により重合するアクリル化合物(例えば、アクリル酸、メチルアクリレート、イソブチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート等)、メタクリル化合物(例えば、メタクリル酸、t−ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、1,4−ブタンジオールジメタクリレート、PEG#200ジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラメタクリレート等)、エポキシ化合物(例えば、2−エチルヘキシルジグリコールグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル等)が好適なものとして挙げられる。また、前記結合剤としてはロジンもまた好ましい。ロジンは主成分がアビエチン酸で、松類の樹脂から得られる。ロジンには、製法によりガムロジン、ウッドロジン、トールロジンなどの種類があるが、いずれも使用することができる。
上記結合剤の添加量は、銅化合物中の銅100質量部に対して、0.1〜30質量部が好ましい。
【0036】
また、本発明の金属ナノ粒子分散物における金属ナノ粒子の分散方法は特に制限はなく通常用いられる方法で、本発明の金属ナノ粒子を有機溶媒中に分散することができる。中でも、銅化合物とヒドラジン系還元剤とを、貴金属化合物の存在下に有機溶媒中で反応させて金属ナノ粒子分散物を得る方法が好ましい。
【実施例】
【0037】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0038】
[実施例1]
(亜酸化銅ナノ粒子の作製)
酢酸銅30.4g及び酢酸銀1.4g(銀として酢酸銅中の銅原子に対して5原子%)をジエチルアミノエタノール50mLとエトキシプロパノール25mLの混合溶媒に溶解する。その後、ジエチルヒドロキシルアミン36mLを添加することで、銀含有亜酸化銅ナノ粒子コロイドを得ることができる。
【0039】
(銅ナノ粒子の作製)
前記亜酸化銅ナノ粒子コロイドを遠心分離及び乾燥により精製し、オクチルアミン/ヘキサン(30mL/30mL)の混合溶媒に再分散させる。そこへヒドラジン一水和物を16mL添加し、銀含有亜酸化銅ナノ粒子を還元して、銀含有銅ナノ粒子コロイドを得ることができる。還元反応後、ヘキサンは容易に揮発するため、高濃度の銀含有銅ナノ粒子コロイドを得ることができる。
【0040】
[実施例2]
亜酸化銅ナノ粒子を作製する際に、酢酸銀の代わりに貴金属として同一モル数の酢酸パラジウムを添加すること以外、実施例1と同様に行った。
【0041】
[実施例3]
ヒドラジン一水和物を添加する前に、さらにジエチルアミノエタノールを2mL添加すること以外、実施例1と同様に行った。
【0042】
[実施例4]
ヒドラジン一水和物を添加する前に、さらにリノレン酸を2mL添加すること以外、実施例3と同様に行った。
【0043】
[実施例5]
ヒドラジン一水和物を添加する前に、オクチルアミンの代わりにテトラデカンを添加すること以外、実施例3と同様に行った。
【0044】
[実施例6]
酢酸銀0.28g(銀として酢酸銅中の銅原子に対して1原子%)とすること以外、実施例1と同様に行った。
【0045】
[実施例7]
酢酸銀2.8g(銀として酢酸銅中の銅原子に対して10原子%)とすること以外、実施例1と同様に行った。
【0046】
[比較例1]
亜酸化銅ナノ粒子を作製する際に、酢酸銀を添加しないこと以外、実施例1と同様に行った。
【0047】
[比較例2]
亜酸化銅ナノ粒子を作製する際に、酢酸銀を4.2g(銀として酢酸銅中の銅原子に対して15原子%)を添加すること以外、実施例1と同様に行った。
【0048】
[評価]
上記により得られた金属ナノ粒子の平均粒子径を表1に示す。金属ナノ粒子の平均粒子径は、加速電圧200kVの電子顕微鏡で500個の金属ナノ粒子を観測して測定したそれぞれの粒子径を算術平均して求めた。
【0049】
【表1】



【0050】
実施例1と比較例1を比較すると、貴金属として銀を添加することで、得られる金属ナノ粒子の平均粒子径の減少が顕著に認められることがわかる。実施例1、6、7、比較例2を比較すると、貴金属である銀の量が多いほうが生成する粒子径が小さくなるが、比較例2のように、本発明で規定する貴金属化合物中の貴金属原子の全原子数の範囲を超えて銀の量が多くなると凝集が著しく、逆に平均粒子径が大きいものとなっていることがわかる。
実施例1と実施例2を比較すると、貴金属が銀とパラジウムの場合では、貴金属が銀の場合に平均粒子径がより小さくなることがわかる。
実施例3から、分子内にアミノ基を有するアルコール系化合物であるジエチルアミノエタノールをさらに添加することで、さらに平均粒子径が小さくなることがわかる。特に表には示さないが、ジエチルアミノエタノールを添加した場合は、3ヶ月後でも金属ナノ粒子の酸化及び粒子の沈降がほとんどなく、安定した分散性を示した。
実施例4から、有機酸であるリノレン酸を添加することで、さらに平均粒子径が小さくなることがわかる。また、実施例5から、有機溶媒としてオクチルアミンの代わりに非極性溶媒であるテトラデカンを用いることで、さらに粒子サイズが小さくなることがわかる。
実施例1〜7についてはX線回折により、金属銅と貴金属の2相の回折パターンが観察されることから合金になっていないことを確認した。また透過電子顕微鏡による組成マッピングを観察したところ貴金属単体はほとんど認められなかったことから、ほぼすべての貴金属が金属ナノ粒子の核に存在していることがわかる。

【出願人】 【識別番号】306037311
【氏名又は名称】富士フイルム株式会社
【出願日】 平成18年7月11日(2006.7.11)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳

【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳

【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一

【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志


【公開番号】 特開2008−19461(P2008−19461A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−190280(P2006−190280)