Warning: copy(htaccessbak): failed to open stream: No such file or directory in /home/jtokkyo/public_html/header.php on line 10
ナノワイヤ状金属物質の製造方法及びナノワイヤ状金属物質並びにナノワイヤ状金属物質含有組成物 - 特開2008−13798 | j-tokkyo
トップ :: B 処理操作 運輸 :: B22 鋳造;粉末冶金

【発明の名称】 ナノワイヤ状金属物質の製造方法及びナノワイヤ状金属物質並びにナノワイヤ状金属物質含有組成物
【発明者】 【氏名】若林 淳美

【氏名】勝部 裕子

【要約】 【課題】金及び銀を含むナノワイヤ状金属物質を、簡便かつ廉価に製造することができ、しかも、応用も容易であるナノワイヤ状金属物質の製造方法及びナノワイヤ状金属物質並びにナノワイヤ状金属物質含有組成物を提供する。

【構成】本発明のナノワイヤ状金属物質の製造方法は、金微粒子及び金合金微粒子のうち少なくとも1種を含む金含有コロイド金属と、銀微粒子及び銀合金微粒子のうち少なくとも1種を含む銀含有コロイド金属とを分散してなる分散液を加熱処理する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金微粒子及び金合金微粒子のうち少なくとも1種を含む金含有コロイド金属と、銀微粒子及び銀合金微粒子のうち少なくとも1種を含む銀含有コロイド金属とを分散してなる分散液を加熱処理することを特徴とするナノワイヤ状金属物質の製造方法。
【請求項2】
前記加熱処理は、30℃以上かつ350℃以下の温度範囲にて保持することを特徴とする請求項1記載のナノワイヤ状金属物質の製造方法。
【請求項3】
前記分散液に、縮合リン酸またはその塩、ヒドロキシカルボン酸またはその塩、アミンカルボン酸またはその塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、金属塩のアンミン錯体の群から選択される1種または2種以上を添加することを特徴とする請求項1または2記載のナノワイヤ状金属物質の製造方法。
【請求項4】
前記金含有コロイド金属の平均一次粒子径は、3nm以上かつ50nm以下であることを特徴とする請求項1、2または3記載のナノワイヤ状金属物質の製造方法。
【請求項5】
前記銀含有コロイド金属の平均一次粒子径は、3nm以上かつ50nm以下であることを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項記載のナノワイヤ状金属物質の製造方法。
【請求項6】
前記分散液における金と銀の比率は、重量比で、金:銀=80:20〜99.9:0.1であることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか1項記載のナノワイヤ状金属物質の製造方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項記載のナノワイヤ状金属物質の製造方法により作製されたナノワイヤ状金属物質であって、
前記金含有コロイド金属と前記銀含有コロイド金属とが合金化してなることを特徴とするナノワイヤ状金属物質。
【請求項8】
平均直径が3nm以上かつ60nm以下、平均長さが60nm以上かつ10μm以下であることを特徴とする請求項7記載のナノワイヤ状金属物質。
【請求項9】
平均直径は、前記金含有コロイド金属の平均一次粒子径より大であることを特徴とする請求項7記載のナノワイヤ状金属物質。
【請求項10】
請求項7、8または9記載のナノワイヤ状金属物質と、分散媒とを含有してなることを特徴とするナノワイヤ状金属物質含有組成物。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノワイヤ状金属物質の製造方法及びナノワイヤ状金属物質並びにナノワイヤ状金属物質含有組成物に関し、さらに詳しくは、ロッド状、ワイヤ状、鎖状等の一次元形状であり、その平均直径がナノメートルの範囲にあり、その平均長さがナノメートルからマイクロメートルの範囲にある金及び銀を含むナノワイヤ状金属物質を、簡便かつ廉価に製造することが可能であり、しかも、応用も容易であるナノワイヤ状金属物質の製造方法、及びこの製造方法により得られたナノワイヤ状金属物質、並びにこのナノワイヤ状金属物質を含むナノワイヤ状金属物質含有組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ナノワイヤ状金属物質が注目されている。その理由は、これらの物質が発現する特異な物理的、化学的性質が光学機能や工学的機能を発現する素子、あるいは有機−無機複合材料を構成する成分等の幅広い応用分野が期待されるからであるが、このナノワイヤ状金属物質を工業的規模で簡便かつ廉価に製造することは必ずしも容易ではない(非特許文献1)。
また、このナノワイヤ状金属物質には、ナノワイヤ状特有の性質がある。例えば、金属の微粒子に光を照射すると、プラズモン吸収と称される共鳴吸収現象が生じる。この現象は、金属の種類と形状によって吸収波長域が異なる。例えば、球状の金微粒子を水に分散した金コロイドは、520nm付近に吸収域を有するが、金微粒子の形状を短軸10nmのロッド状にすると、ロッドの短軸に起因する520nm付近の吸収の他に、ロッドの長軸に起因する長波長側の吸収を有する。この金ナノロッドは、金板を陽極とし、白金板を陰極とする電気化学的還元法により製造することができる(非特許文献2)。
【0003】
この金ナノロッドの製造方法では、金ナノロッドの成長を促進するために、電極板の他に銀板を電解液に浸漬しており、この銀板の浸漬面積を変えることによりロッドの長さを変えることができる。しかしながら、この方法では、銀の溶出量や溶出速度が銀板の表面状態によって左右されるために、銀板の浸漬面積を調整したとしても、銀溶出量を十分に調整することができず、したがって、この方法では、金ナノロッドの長さを制御することは難しい。
そこで、この問題点を解決する方法として、金ナノロッドを電気化学的還元法により合成する際に、還元された金の2重量%以上かつ10重量%以下の銀イオンを水溶性の銀化合物として添加した溶液を用いる方法が提案されている(特許文献1)。この方法では、長軸が200nm以下であり、アスペクト比が1より大きく、2重量%以上かつ10重量%以下の銀を含有する金ナノロッドを得ることができる。
【非特許文献1】Z.Y.タン(Z.Y.Tang)他、「アドバンストマテリアルズ(Advanced Materials)」、ウィリイ−VCH(WILLY-VCH)、2005年、第17巻、951〜961頁
【非特許文献2】S.S.チャン(S.S.Chan)他、「ラングミュア(Langmuir)」、アメリカ化学協会、1999年、第15巻、701〜709頁
【特許文献1】特開2005−68448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の水溶性の銀化合物を添加した溶液を用いる方法においても、電気化学的還元法を用いた製造方法であることから、製造工程が複雑にならざるを得ず、したがって、製造コストが嵩み、その結果、簡便かつ廉価に製造することが難しいという問題点があった。
また、工業的製造方法として応用が容易ではないという問題点もあった。
【0005】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、金及び銀を含むナノワイヤ状金属物質を、簡便かつ廉価に製造することができ、しかも、応用も容易であるナノワイヤ状金属物質の製造方法及びナノワイヤ状金属物質並びにナノワイヤ状金属物質含有組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討を行った結果、金微粒子及び金合金微粒子のうち少なくとも1種を含む金含有コロイド金属と、銀微粒子及び銀合金微粒子のうち少なくとも1種を含む銀含有コロイド金属とを分散してなる分散液を加熱処理すれば、金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質が容易かつ廉価に得られることを知見し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明のナノワイヤ状金属物質の製造方法は、金微粒子及び金合金微粒子のうち少なくとも1種を含む金含有コロイド金属と、銀微粒子及び銀合金微粒子のうち少なくとも1種を含む銀含有コロイド金属とを分散してなる分散液を加熱処理することを特徴とする。
【0008】
前記加熱処理は、30℃以上かつ350℃以下の温度範囲にて保持することが好ましい。
前記分散液に、縮合リン酸またはその塩、ヒドロキシカルボン酸またはその塩、アミンカルボン酸またはその塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、金属塩のアンミン錯体の群から選択される1種または2種以上を添加することが好ましい。
【0009】
前記金含有コロイド金属の平均一次粒子径は、3nm以上かつ50nm以下であることが好ましい。
前記銀含有コロイド金属の平均一次粒子径は、3nm以上かつ50nm以下であることが好ましい。
前記分散液における金と銀の比率は、重量比で、金:銀=80:20〜99.9:0.1であることが好ましい。
【0010】
本発明のナノワイヤ状金属物質は、本発明のナノワイヤ状金属物質の製造方法により作製されたナノワイヤ状金属物質であって、前記金含有コロイド金属と前記銀含有コロイド金属とが合金化してなることを特徴とする。
【0011】
このナノワイヤ状金属物質は、平均直径が3nm以上かつ60nm以下、平均長さが60nm以上かつ10μm以下であることが好ましい。
このナノワイヤ状金属物質は、平均直径が前記金含有コロイド金属の平均一次粒子径より大であることが好ましい。
【0012】
本発明のナノワイヤ状金属物質含有組成物は、本発明のナノワイヤ状金属物質と、分散媒とを含有してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明のナノワイヤ状金属物質の製造方法によれば、金微粒子及び金合金微粒子のうち少なくとも1種を含む金含有コロイド金属と、銀微粒子及び銀合金微粒子のうち少なくとも1種を含む銀含有コロイド金属とを分散してなる分散液を加熱処理するので、単に、金含有コロイド金属と銀含有コロイド金属とを分散した分散液を加熱処理するという簡単な工程のみでよく、電気化学的還元法のような複雑な方法を用いることなく、金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質を容易かつ廉価に得ることができる。
また、金含有コロイド金属分散液及び銀含有コロイド金属分散液それぞれのコロイド金属の平均一次粒子径や濃度、加熱処理の条件等を調整することにより、ナノワイヤ状金属物質の直径、長さ等の形状を制御することができる。
【0014】
本発明のナノワイヤ状金属物質によれば、本発明のナノワイヤ状金属物質の製造方法により作製することで、しかも、金含有コロイド金属と銀含有コロイド金属とを合金化したので、組成を安定化することができる。
また、金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質の直径、長さ等の形状を目的に応じて最適化することができ、電気的素子、光学的素子等への応用も可能になる。
【0015】
本発明のナノワイヤ状金属物質含有組成物によれば、本発明のナノワイヤ状金属物質と、分散媒とを含有したので、金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質の直径、長さ等の形状を目的に応じて最適化することができ、塗料や塗膜等への展開も容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明のナノワイヤ状金属物質の製造方法及びナノワイヤ状金属物質並びにナノワイヤ状金属物質含有組成物の最良の形態について説明する。
なお、この形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0017】
「ナノワイヤ状金属物質の製造方法」
本実施形態のナノワイヤ状金属物質の製造方法は、金微粒子及び金合金微粒子のうち少なくとも1種を含む金含有コロイド金属と、銀微粒子及び銀合金微粒子のうち少なくとも1種を含む銀含有コロイド金属とを分散してなる分散液を加熱処理する方法である。
ここで、ナノワイヤ状金属物質とは、その平均直径がナノメートルの範囲内にある一次元形状の金属物質をいう。
【0018】
この方法は、次に示す第1の工程〜第5の工程により構成される。以下、各工程毎に詳述する。
(第1の工程)
金微粒子及び金合金微粒子のうち少なくとも1種を含む金含有コロイド金属を分散してなる金含有コロイド金属分散液を調整する工程である。
この工程における金含有コロイド金属の平均一次粒子径は、コロイドであれば特に制限されないが、平均一次粒子径が3nm以上かつ50nm以下であることが好ましく、より好ましくは3nm以上かつ30nm以下、さらに好ましくは3nm以上かつ10nm以下である。
ここで、金含有コロイド金属の平均一次粒子径が3nmを下回ると、収率が低下してワイヤ状金属物質が形成され難くなるからであり、一方、50nmを越えると、ワイヤ状金属物質の平均直径が大きくなり過ぎてワイヤ状とならない虞があるからである。
【0019】
この金含有コロイド金属の平均一次粒子径を制御することにより、金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質の直径、長さを制御することができる。
具体的には、例えば、金含有コロイド金属の平均一次粒子径と、得られた金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質の直径、長さとの関係を予め予備実験的に求めておき、目的とする金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質の直径及び長さに対応する金含有コロイド金属の平均一次粒子径を設定するのがよい。
【0020】
また、金合金微粒子を用いた場合、この金合金微粒子を構成する金以外の他の金属元素としては、金と合金を形成する金属であれば特に制限されることはなく、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の白金属の他、銅、鉛、スズ、ビスマス、コバルト、アンチモン、インジウム、ガリウム、鉄、亜鉛、ニッケル等の金属を挙げることができる。
この金合金微粒子における金以外の金属の含有率は、50重量%以下が好ましく、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは10重量以下である。金以外の金属の含有率が50重量%を越えると、金としての性質が発現し難くなり、したがって、本実施形態のナノワイヤ状金属物質が生成し難くなるからである。
【0021】
この金微粒子あるいは金合金微粒子の製造方法も特に制限されず、各種の製造方法を適用することができる。例えば、各種の金塩の水溶液に還元剤を添加して金微粒子を析出させる方法を挙げることができる。
【0022】
この金含有コロイド金属を分散するための分散媒も特に制限されず、例えば、水、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素、ミネラルスピリット等の石油系炭化水素、クロロベンゼン等のハロゲン炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、2−エトキシエチルアセタート等のエステル類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類が好適に用いられ、これらの溶媒のうち1種または2種以上を用いることができる。
【0023】
この金含有コロイド金属分散液における金含有コロイド金属の分散濃度は、特に制限はないが、0.01重量%以上かつ30重量%以下が好ましい。この分散濃度が0.01重量%を下回ると、反応速度が著しく低下し、その結果、製造効率及び収率が低下するからであり、一方、分散濃度が30重量%を越えると、粗大な凝集塊が生じ易く、ナノワイヤ状金属物質が形成され難くなる。
【0024】
この金含有コロイド金属分散液に、金含有コロイド金属の凝集を防止してコロイド状態を良好に保ち、かつ、ナノワイヤ状金属物質を一次元的形状に成長させるために、添加剤を添加してもよい。
この添加剤としては、ピロリン酸等の縮合リン酸またはその塩、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、タルトロン酸、りんご酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のヒドロキシカルボン酸またはその塩、アミンカルボン酸またはその塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、金属(Pd、Ag、Au、Fe、Cr、Al、Sn等)塩のアンミン錯体の群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。
【0025】
このような添加剤を分散液に添加することにより、金含有コロイド金属の好ましからざる凝集を防止することができ、さらには、反応を促進することで、目的とする金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質を効率良く製造することができる。
【0026】
(第2の工程)
銀微粒子及び銀合金微粒子のうち少なくとも1種を含む銀含有コロイド金属を分散してなる銀含有コロイド金属分散液を調整する工程である。
この工程における銀含有コロイド金属の平均一次粒子径は、コロイドであれば特に制限されないが、平均一次粒子径が3nm以上かつ50nm以下であることが好ましく、より好ましくは3nm以上かつ30nm以下、さらに好ましくは3nm以上かつ10nm以下である。
ここで、銀含有コロイド金属の平均一次粒子径が3nmを下回ると、収率が低下してワイヤ状金属物質が形成され難くなるからであり、一方、50nmを越えると、ワイヤ状金属物質の平均直径が大きくなり過ぎてワイヤ状とならない虞があるからである。
【0027】
この銀含有コロイド金属の平均一次粒子径を制御することにより、金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質の直径、長さを制御することができる。
具体的には、銀含有コロイド金属の平均一次粒子径と、得られた金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質の直径、長さとの関係を予め予備実験的に求めておき、目的とする金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質の直径及び長さに対応する銀含有コロイド金属の平均一次粒子径を設定するのがよい。
【0028】
また、銀合金微粒子を用いた場合、この銀合金微粒子を構成する銀以外の他の金属元素としては、銀と合金を形成する金属であれば特に制限されることはなく、例えば、ルテニウム、ロジウム、パラジウム、オスミウム、イリジウム、白金の白金属の他、銅、鉛、スズ、ビスマス、コバルト、アンチモン、インジウム、ガリウム、鉄、亜鉛、ニッケル等の金属を挙げることができる。
この銀合金微粒子における銀以外の金属の含有率は、50重量%以下が好ましく、より好ましくは30重量%以下、さらに好ましくは10重量以下である。銀以外の金属の含有率が50重量%を越えると、銀としての性質が発現し難くなり、したがって、本実施形態のナノワイヤ状金属物質が生成し難くなるからである。
【0029】
この銀微粒子あるいは銀合金微粒子の製造方法も特に制限されず、各種の製造方法を適用することができる。例えば、各種の銀塩の水溶液に還元剤を添加して銀微粒子を析出させる方法を挙げることができる。
【0030】
この銀含有コロイド金属を分散するための分散媒も特に制限されず、例えば、水、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素、ミネラルスピリット等の石油系炭化水素、クロロベンゼン等のハロゲン炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、2−エトキシエチルアセタート等のエステル類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類が好適に用いられ、これらの溶媒のうち1種または2種以上を用いることができる。
【0031】
この銀含有コロイド金属分散液における銀含有コロイド金属の分散濃度は、特に制限はないが、0.01重量%以上かつ30重量%以下が好ましい。この分散濃度が0.01重量%を下回ると、反応速度が著しく低下し、その結果、製造効率及び収率が低下するからであり、一方、分散濃度が30重量%を越えると、粗大な凝集塊が生じ易く、ナノワイヤ状金属物質が形成され難くなる。
【0032】
この銀含有コロイド金属分散液に、銀含有コロイド金属の凝集を防止してコロイド状態を良好に保ち、かつ、ナノワイヤ状金属物質を一次元的形状に成長させるために、添加剤を添加してもよい。
この添加剤としては、ピロリン酸等の縮合リン酸またはその塩、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、タルトロン酸、りんご酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のヒドロキシカルボン酸またはその塩、アミンカルボン酸またはその塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、金属(Pd、Ag、Au、Fe、Cr、Al、Sn等)塩のアンミン錯体の群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。
【0033】
このような添加剤を分散液に添加することにより、銀含有コロイド金属の好ましからざる凝集を防止することができ、さらには、反応を促進することで、目的とする金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質を効率良く製造することができる。
【0034】
(第3の工程)
上記の金含有コロイド金属分散液及び銀含有コロイド金属分散液を混合し、金微粒子及び金合金微粒子のうち少なくとも1種を含む金含有コロイド金属と、銀微粒子及び銀合金微粒子のうち少なくとも1種を含む銀含有コロイド金属とを分散してなる分散液を得る工程である。
混合条件としては、特に制限されないが、得られる分散液のpH及び分散濃度を粗大な凝集塊が生じないように制御するのが好ましい。
このpHの値としては、3〜11の範囲内が好ましく、pHの調整には、例えば、塩酸、硝酸等の無機酸、あるいは酢酸、シュウ酸等の有機酸を用いることができる。
なお、粗大な凝集塊が生じてしまった場合には、ナノワイヤ状金属物質の収率が低下することとなるので、好ましくない。
【0035】
この分散液における金含有コロイド金属と銀含有コロイド金属の合計分散濃度は、0.01重量%以上かつ30重量%以下が好ましく、より好ましくは0.1重量%以上かつ10重量%以下である。
ここで、合計分散濃度が0.01重量%を下回ると、反応速度が著しく低下して製造効率が低下するからであり、一方、合計分散濃度が30重量%を越えると、粗大な凝集塊が生じてナノワイヤ状金属物質が形成され難くなるからである。
【0036】
この分散液における金と銀との比率は、重量比で、金:銀=80:20〜99.9:0.1、より好ましくは90:10〜99.9:0.1、さらに好ましくは91:9〜99.5:0.5の範囲である。
金と銀との比率が上記の範囲を外れると、ナノワイヤ状金属物質が形成されなくなったり、あるいは収率が低くなる等の不都合が生じるので好ましくない。
【0037】
この分散液に、金含有コロイド金属及び銀含有コロイド金属の凝集を防止してコロイド状態を良好に保ち、かつ、ナノワイヤ状金属物質を一次元的形状に成長させるために、添加剤を添加してもよい。
この添加剤としては、ピロリン酸等の縮合リン酸またはその塩、グリコール酸、乳酸、グリセリン酸、タルトロン酸、りんご酸、酒石酸、クエン酸、グルコン酸等のヒドロキシカルボン酸またはその塩、アミンカルボン酸またはその塩、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチン、金属(Pd、Ag、Au、Fe、Cr、Al、Sn等)塩のアンミン錯体の群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。
【0038】
このような添加剤を分散液に添加することにより、金含有コロイド金属及び銀含有コロイド金属の好ましからざる凝集を防止することができ、さらには、反応を促進することで、目的とする金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質を効率良く製造することができる。
なお、上記の金含有コロイド金属分散液あるいは銀含有コロイド金属分散液に上記の添加剤が添加されている場合には、これらの分散液を混合して得られる分散液に対しては、必要最小限の添加剤を添加すればよく、場合によっては添加剤を添加しなくともよい。
【0039】
(第4の工程)
第3の工程にて得られた分散液を加熱処理する工程である。
この加熱処理条件は、分散液を構成する金含有コロイド金属、銀含有コロイド金属、分散媒、含有率等を考慮して最適条件を設定すればよく、特に制限されるものではないが、加熱処理温度としては、その最高保持温度の範囲が30℃以上かつ350℃以下が好ましく、より好ましくは40℃以上かつ250℃以下、さらに好ましくは50℃以上かつ150℃である。
【0040】
また、加熱処理時間は、分散液の固形分濃度や処理温度等の条件によって異なるが、例えば、固形分濃度が0.5%の分散液を70℃に保持した場合、1時間以上かつ48時間以内が好ましく、より好ましくは5時間以上かつ30時間以内、さらに好ましくは10時間以上かつ24時間以内である。
【0041】
加熱処理温度が70℃より低い温度範囲においては、一般に70℃における加熱処理時間より長い時間、保持することが好ましい。一方、70℃より高い最高保持温度においては、より短時間の加熱処理で同等の処理効果を得ることができる。ただし、加熱処理温度が30℃を下回ると、反応速度が低下して製造効率が低下し、一方、350℃を越えると、酸化反応が生じ易くなるので好ましくない。
これら生産性および反応性を考慮すると、30℃以上かつ350℃以下の加熱処理温度では、加熱処理時間は1分以上かつ100時間以内が好ましい。
【0042】
この加熱処理条件を制御することにより、金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質の直径、長さを制御することができる。
具体的には、加熱処理温度及び加熱処理時間と、金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質の直径及び長さとの関係を予め予備実験的に求めておき、目的とする金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質の直径及び長さに対応する加熱処理温度及び加熱処理時間を設定するのがよい。
【0043】
前記加熱処理に際しては、加熱処理前の分散液に紫外線、可視光線を照射してもよく、また、加熱処理しつつ紫外線、可視光線を照射してもよい。紫外線ランプを用いて紫外線を照射したり、ハロゲンランプを用いて可視光線を照射することにより、ナノワイヤ状金属物質の成長を促進することができ、目的とする金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質を効率良く製造することができる。
【0044】
(第5の工程)
加熱処理後の分散液を室温まで冷却し、必要に応じて、純水や有機溶媒を用いて洗浄、濃縮または希釈し、金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質の分散液を得る工程である。
【0045】
洗浄、濃縮、希釈等の方法は、特に制限されず、例えば、洗浄としては、透析、電気透析、イオン交換、限外濾過等の方法を用いることができる。
また、濃縮は、減圧エバポレータ、限外濾過等の常用の方法を用いることができる。
また、必要に応じて、固液分離して、金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質を得る。固液分離の方法としては、例えば、フィルタープレスを用いることができる。固液分離に際しては、沈殿を純水、あるいはアルコール等の有機溶媒で洗浄してもよい。
【0046】
以上、本実施形態のナノワイヤ状金属物質の製造方法について詳述したが、上記の第1〜第3の工程を経て得られた分散液を加熱処理する必要は必ずしもなく、例えば、金含有コロイド金属と銀含有コロイド金属とを分散してなる分散液を1つの工程で得て、この分散液を加熱処理してもよい。なお、1つの工程により分散液を作製する場合、上記の第1〜第3のいずれかの工程に準ずればよく、上述した添加剤は、この分散液に添加すればよい。
【0047】
「ナノワイヤ状金属物質」
本実施形態のナノワイヤ状金属物質は、本実施形態のナノワイヤ状金属物質の製造方法により作製された金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質であり、金含有コロイド金属と銀含有コロイド金属とが合金化したものである。
例えば、金微粒子分散液と銀微粒子分散液との混合液から作製された金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質にあっては、金微粒子同士が互いに結合し、この結合した金微粒子中に銀原子が拡散した構造を有している。
【0048】
このような合金化された金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質は、金含有コロイド金属と銀含有コロイド金属とにより、これらと成分組成の異なる金銀合金が生成される過程を伴って形成されると考えられる。
このように成分組成の異なる金銀合金が生成したことは、例えば、エネルギー分散型X線分析装置(EDS)を用いて個々の成分毎に面分析を行うことにより確認することができる。
【0049】
この金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質は、例えば、平均直径が3nm以上かつ60nm以下、平均長さが60nm以上かつ10μm以下のナノワイヤ状を呈している。
さらに、この金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質は、平均直径が金含有コロイド金属の平均一次粒子径よりも大であり、例えば、平均直径が金含有コロイド金属の平均一次粒子径の1.1倍以上かつ3倍以下の範囲内である。
【0050】
そのため、この金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質は、合金を形成していながら細線構造を維持しており、微細な構造体を形成する要素材料としての用途に有用となっている。
この金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質の具体的な適用分野としては、プラズモン吸収と称される共鳴吸収、あるいは導電性を利用した電気素子、光学素子、あるいは有機−無機複合材料等がある。
【0051】
「ナノワイヤ状金属物質含有組成物」
本実施形態のナノワイヤ状金属物質含有組成物は、本実施形態の金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質と、分散媒と、必要に応じてバインダー樹脂とを含有してなるものである。
この組成物においては、金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質の含有量は、特に制限はなく、例えば、0.1重量%以上かつ99.9重量%以下の範囲にて設定することができる。
【0052】
分散媒は、特に制限されるものではなく、ナノワイヤ状金属物質含有組成物の用途に応じた各種の分散媒を使用することができる。
例えば、水、トルエンやキシレン等の芳香族炭化水素、ミネラルスピリット等の石油系炭化水素、クロロベンゼン等のハロゲン炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル、2−エトキシエチルアセタート等のエステル類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル(メチルセロソルブ)、エチレングリコールモノエチルエーテル(エチルセロソルブ)、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類が好適に用いられ、これらの溶媒のうち1種または2種以上を用いることができる。
【0053】
バインダー樹脂も特に制限されるものではなく、ナノワイヤ状金属物質含有組成物の用途に応じた各種のバインダー樹脂を使用することができ、有機系樹脂、無機系樹脂のいずれでもよい。
有機系樹脂としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂等の各種有機樹脂、あるいは重合して樹脂を形成するラジカル重合性のオリゴマーやモノマーを用いることができる。これらは硬化剤やラジカル重合開始剤と併用してもよい。無機系樹脂としては、例えば、金属アルコキシドの部分加水分解物などを用いることができる。
【0054】
このナノワイヤ状金属物質含有組成物は、例えば、金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質を分散剤の存在下にて分散媒に分散させて分散液とし、この分散液を有機系樹脂や無機系樹脂のバインダー樹脂と混合することにより、得ることができる。
【0055】
このナノワイヤ状金属物質含有組成物により、金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質含有塗料、導電性ペースト、導電性インキ等を得ることができる。また、この塗料等を用いて、基材の表面に、金及び銀を含有するナノワイヤ状金属物質が分散した塗膜を形成することができる。
このナノワイヤ状金属物質含有組成物を塗料や塗膜として利用する場合、可視光域あるいは近赤外光域の特定波長に対する光学フィルタや光吸収材等として用いることができる。また、電磁波遮蔽材や多層干渉膜としても用いることができる。この多層干渉膜は、上記のナノワイヤ状金属物質含有組成物を含む多層干渉膜形成用塗料により容易に作製することができる。
また、このナノワイヤ状金属物質は、良く揃った形状と寸法を有するので、各種の材料として有利に利用することができる。
【0056】
また、このナノワイヤ状金属物質含有組成物により、吐出装置用の導電性インキを得ることもできる。この吐出装置用の導電性インキにあっては、分散媒として、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ヘキシレングリコール,1,3−プロパンジオール等のプロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール等のブタンジオール等を挙げることができる。
【0057】
この導電性インキの分散媒としては、例えば、1,2−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール等のペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,3−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、1,6−へキサンジオール等のヘキサンジオール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、グリセリン、1,2,6−へキサントリオール、1、2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、トリメチロールプロパン、チオジグリコール、ジチオジグリコール、ぺトリオール等の多価アルコ−ル類等を挙げることができる。
【0058】
さらに、エチレングリコールアルキルエーテル、ジエチレングリコールアルキルエーテル、トリエチレングリコ−ルアルキルエ−テル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ジプロピレングリコールアルキルエーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、ポリエチレングリコール300、ポリエチレングリコール400、ポリエチレングリコール600等のポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等を挙げることもできる。
【0059】
この導電性インキは、分散媒として、例えば、親水性の高沸点低揮発性溶剤として、アミン類化合物、アミン塩類化合物等の含窒素化合物、スルホン酸基等の含硫黄化合物、あるいはカルボン酸基を有する含酸素化合物等を用いてもよい。
これらの分散媒としては、例えば、N−メチル−2−ピロリドン等のラクタム構造を有する化合物、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン、ε−カプロラクタム等の含窒素複素環化合物、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン等のアミン類、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール、3−スルホレン、エチレン尿素、尿素等の含硫黄化合物類、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、γ−ブチロラクトン等を挙げることができる。
【0060】
これらの高沸点低揮発性溶剤は、水とともに、単独もしくは複数種を混合して用いられる。これらの親水性の高沸点低揮発性溶剤に分散することにより得られた導電性インキはノズルの中で詰まり難いので、インクジェット等の吐出装置のインキとして有用である。
【実施例】
【0061】
以下、実施例1〜8及び比較例1、2により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0062】
実施例1〜8及び比較例1、2に共通の分散液として、下記の金含有コロイド金属分散液及び銀含有コロイド金属分散液を作製した。
(金含有コロイド金属分散液)
0.18mmol/Lの塩化金酸、及び0.54mmol/Lのクエン酸ナトリウム二水和物を含有する水溶液10リットルに、1.2mmol/Lの水素化ホウ素ナトリウムを含有する水溶液1.4リットルを加え、コロイド状分散液を得た。次いで、このコロイド状分散液を限外濾過法により濃縮、精製し、分散濃度が15重量%の金含有コロイド金属分散液を得た。
この分散液中の金微粒子の粒子径を透過型電子顕微鏡(TEM)により測定したところ、その平均一次粒子径は5nmであった。
【0063】
(銀含有コロイド金属分散液)
93mmol/Lの硝酸銀、及び0.30mol/Lのクエン酸ナトリウム二水和物を含有する水溶液10リットルに、0.89mol/Lの硫酸第一鉄を含有する水溶液1.2リットルを加えて反応させ、赤褐色の銀ゾルを得た。次いで、この銀ゾルを遠心分離により洗浄して不純物イオンを除去し、その後、純水を加え、分散濃度が15重量%の銀含有コロイド金属分散液を得た。
この分散液中の銀微粒子の粒子径を透過型電子顕微鏡(TEM)により測定したところ、その平均一次粒子径は10nmであった。
【0064】
「実施例1〜8」
表1及び表2に示す金と銀の比率及び総固形分濃度となるように、金含有コロイド金属分散液と銀含有コロイド金属分散液とを混合し、必要に応じて純水を添加し、実施例1〜8それぞれの混合液を作製した。
次いで、これらの混合液各50gを、テフロン(登録商標)製の内筒型密閉容器(内容量100ml)に入れ、表1及び表2に示す条件下にて加熱処理を施し、その後、自然放冷により室温(25℃)まで冷却し、実施例1〜8それぞれのナノワイヤ状金属物質含有分散液を作製した。
【0065】
得られた分散液中のナノワイヤ状金属物質の形状を透過型電子顕微鏡(TEM:日立2000型、エネルギー分散型X線分析装置付属)を用いて調べた。観察のための試料は、上記の分散液をグリッドに滴下し,室温で乾燥して作製した。
各試料の透過型電子顕微鏡像(TEM像)から任意に10個のナノワイヤ状金属物質を選び出し、それぞれのナノワイヤ状金属物質の直径及び長さを実測し、平均直径及び平均長さを算出した。ここでは、平均直径は、ナノワイヤ状金属物質の断面を円形と仮定し、TEM像の線幅を測定した結果を平均して求めた。また、平均長さは、TEM像からナノワイヤ状金属物質の長さを測定した結果を平均して求めた。
【0066】
その結果、実施例1〜8の全てのナノワイヤ状金属物質において、平均直径が7nm以上かつ15nm以下であり、この平均直径が金微粒子の平均一次粒子径の1.1倍以上かつ3倍以下の範囲内であることが確認された。
また、同様に、実施例1〜8の全てのナノワイヤ状金属物質において、平均長さが60nm以上かつ1000nm(1μm)以下の範囲のナノワイヤ状金属物質が生成していることが確認された。
【0067】
「比較例1」
銀含有コロイド金属分散液を純水で希釈して、0.5重量%の濃度の分散液を作製した。この分散液50gをテフロン(登録商標)製の内筒型密閉容器(内容量100ml)に入れ、70℃にて24時間保持した後、自然放冷により室温(25℃)まで冷却した。
得られた生成物を実施例1に準じて観察したところ、表1に示すように、ナノワイヤ状金属物質は生成していないことが確認された。
【0068】
「比較例2」
金含有コロイド金属分散液を純水で希釈して、0.5重量%の濃度の分散液を作製した。この分散液50gをテフロン(登録商標)製の内筒型密閉容器(内容量100ml)に入れ、70℃にて24時間保持した後、自然放冷により室温(25℃)まで冷却した。
得られた生成物を実施例1に準じて観察したところ、表1に示すように、ナノワイヤ状金属物質は生成していないことが確認された。
【0069】
【表1】


【0070】
【表2】


【0071】
図1〜図5は、実施例1のナノワイヤ状金属物質の透過型電子顕微鏡(TEM)像である。
ここで、このナノワイヤ状金属物質を構成する粒状部の中央部分の分析領域(図4の1、図5の3)及び粒子の接触部分であるネック状部分の分析領域(図4の2、図5の4)それぞれの銀の比率(重量%)を、エネルギー分散型X線分析スペクトルによって調べた。その結果を表3に示す。
【0072】
【表3】


【0073】
これらの結果から、ナノワイヤ状金属物質の粒状部の中央部分及びネック状部分の双方から、金と銀の両原子が検出され、また、銀の比率はネック状部分より粒状部の方が高いことが確認された。これらの結果から、原料である金属微粒子の組成とは異なる組成を有する合金が生成されていることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0074】
本発明のナノワイヤ状金属物質の製造方法は、金微粒子及び金合金微粒子のうち少なくとも1種を含む金含有コロイド金属と、銀微粒子及び銀合金微粒子のうち少なくとも1種を含む銀含有コロイド金属とを分散してなる分散液を加熱処理するものであるから、金及び銀を含むナノワイヤ状金属物質を、簡便かつ廉価に得ることはもちろんのこと、このナノワイヤ状金属物質を様々なデバイスや基材に対しても適用可能であり、その有用性は非常に大きいものである。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の実施例1の金及び銀を含むナノワイヤ状金属物質を示す透過型電子顕微鏡像である。
【図2】本発明の実施例1の金及び銀を含むナノワイヤ状金属物質を示す透過型電子顕微鏡像である。
【図3】本発明の実施例1の金及び銀を含むナノワイヤ状金属物質を示す透過型電子顕微鏡像である。
【図4】本発明の実施例1の金及び銀を含むナノワイヤ状金属物質を示す透過型電子顕微鏡像である。
【図5】本発明の実施例1の金及び銀を含むナノワイヤ状金属物質を示す透過型電子顕微鏡像である。
【符号の説明】
【0076】
1、3 粒状部の中央部分の分析領域
2、4 ネック状部分の分析領域
【出願人】 【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
【出願日】 平成18年7月4日(2006.7.4)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義

【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦


【公開番号】 特開2008−13798(P2008−13798A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−184513(P2006−184513)