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【発明の名称】 希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法
【発明者】 【氏名】石川 尚

【氏名】横沢 公一

【氏名】渡辺 邦夫

【要約】 【課題】還元拡散法において、合金粉末の磁気特性を低下させることを防ぎ、高い収率で、良好な保磁力と角形性を有する希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法を提供する。

【構成】希土類酸化物粉末を還元し鉄に拡散させることにより、希土類鉄系合金粉末と、還元によって生成した副生成物とを含有する多孔質塊状反応生成物を得る。その多孔質塊状反応生成物を水素雰囲気中に晒し塊状崩壊物を得る。得られた塊状崩壊物を粒度4メッシュ(タイラーメッシュ)分級し、篩上の塊状崩壊物は破砕して、窒素を含有する雰囲気中で熱処理をすることにより、希土類鉄系合金粉末を窒化し、湿式処理により、副生成物を除去する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
希土類酸化物粉末を還元し鉄に拡散させることにより、希土類鉄系合金粉末と、還元によって生成した副生成物とを含有する多孔質塊状反応生成物を得る第1工程、得られた多孔質塊状反応生成物を、水素を含有する雰囲気中に晒すことによって崩壊させ、崩壊物を得る第2工程、得られた崩壊物に、窒素を含有する雰囲気中で熱処理をすることにより、希土類鉄系合金粉末を窒化する第3工程、および、湿式処理をすることにより、前記副生成物を除去する第4工程を有する希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法において、第3工程において、得られた塊状崩壊物を分級し、タイラーメッシュで4メッシュ以下の崩壊物を第3工程に導入することを特徴とする希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法。
【請求項2】
前記塊状崩壊物の分級により得られた、タイラーメッシュで4メッシュを超える崩壊物のうち、水中に投入して水素ガスを発生しない崩壊物を第3工程にさらに導入することを特徴とする請求項1に記載の希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法。
【請求項3】
前記塊状崩壊物の分級により得られた、タイラーメッシュで4メッシュを超える崩壊物のうち、10N/cm2以下の圧力で破砕される崩壊物を第3工程にさらに導入することを特徴とする請求項1に記載の希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法。
【請求項4】
前記塊状崩壊物の分級により得られた、タイラーメッシュで4メッシュを超える崩壊物のうち、水中に投入して水素ガスを発生する崩壊物を、20N/cm2以上の圧力で破砕した後、第3工程にさらに導入することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法。
【請求項5】
第1工程において、多孔ルツボを使用することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法。
【請求項6】
前記多孔ルツボの壁面には、複数の孔が設けられ、該孔の開口面積の合計は、壁面の単位面積100cm2に対して、0.1cm2以上であることを特徴とする請求項5に記載の希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法。
【請求項7】
請求項1〜6の何れかの製造方法により得られ、菱面体晶Th2Zn17型結晶構造を有し、Smを22.9〜23.7質量%、Nを2.6〜3.9質量%をそれぞれ含有し、Hの含有量が0.1質量%以下であり、かつ、平均粒径2〜3μmに微粉砕して磁石粉末としたときに、保磁力(HcJ)が800kA/m以上、角形性(Hk)が400kA/m以上であるSm−Fe−N系合金粉末。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法、特に、還元拡散法を用いた希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
還元拡散法による希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法として、酸化サマリウム(Sm)粉末と鉄(Fe)粉末と粒状金属カルシウム(Ca)とを混合し、不活性ガス雰囲気中で加熱することによって、テルミット反応により、酸化Smを還元してFeに拡散させることにより(Sm23+17Fe+3Ca→Sm2Fe17+3CaO)、反応生成物であるSm2Fe17合金粉末を得て、副生成物であるCaOを湿式処理により分離除去し、乾燥を行った後、アンモニアと水素の混合雰囲気中で加熱することにより、Sm2Fe17合金粉末を窒化する方法が、「還元拡散法で製造するSm-Fe-N系異方性ボンド磁石」(石川 尚、日刊工業新聞社、「工業材料」1998年12号、45−48ページ)に、示されている。
【0003】
また、希土類酸化物粉末を還元して遷移金属に拡散させる還元工程に引き続き、反応生成物を、窒素を含有する雰囲気中で熱処理し、希土類−遷移金属粉末を窒化する工程を行った後、湿式処理により反応副生成物を除去し、所望の磁気特性を有する希土類−鉄−窒素系合金粉末を得る方法が、特開平05−148517号公報、特開平05−271852号公報、特開平05−279714号公報、特開平06−212342号公報に記載されている。
【0004】
たとえば、特開平05−148517号公報には、希土類酸化物粉末と、遷移金属粉末と、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および、これらの水素化物からなる群から選ばれる少なくとも1種とを混合し、この混合物を不活性雰囲気中で900℃〜1200℃に加熱し、反応生成物を窒素雰囲気中において300℃〜600℃の温度に保持して窒化した後、湿式処理を行う方法が示されている。
【0005】
これらの方法のいずれにおいても、得られた希土類−鉄−窒素系合金粉末を平均粒径10μm以下に粉砕することによって、優れた磁気特性を有する希土類−鉄−窒素系合金粉末を製造することが可能である。
【0006】
このような還元拡散工程で得られる反応生成物は、一般に数cmから数十cmの大きさである。このような大きさの反応生成物を、窒素を含有する雰囲気中で、そのまま熱処理をする場合、雰囲気ガスが反応生成物の内部まで拡散しにくく、反応生成物のバルクの表面近傍と内部とで窒化の度合いが異なって、湿式処理後に得られる希土類−鉄−窒素系合金粉末の磁気特性にばらつきが生ずると考えられるが。実際には、比較的、均一な窒化が得られている。この理由は、反応生成物が多孔質であり、その孔を通って窒素を含有する雰囲気ガスが、内部まで拡散できていたことにある。
【0007】
近年の電気・電子機器の小型化、高効率化に伴い、より小型で高効率な希土類ボンド磁石が求められている。その実現には、より高い磁気特性を示す磁石合金粉末が要求される。
【非特許文献1】「還元拡散法で製造するSm-Fe-N系異方性ボンド磁石」(石川 尚、日刊工業新聞社、「工業材料」1998年12号、45−48ページ)
【特許文献1】特開平05−148517号公報
【特許文献2】特開平05−271852号公報
【特許文献3】特開平05−279714号公報
【特許文献4】特開平06−212342号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、従来の還元拡散法により得られる希土類−鉄−窒素系合金粉末に比べて、さらに優れた保磁力と角形性を有する希土類−鉄−窒素系合金粉末を提供することを目的とする。さらに、このような優れた磁気特性を有する希土類−鉄−窒素系合金粉末を収率よく得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法は、希土類酸化物粉末を還元し鉄に拡散させることにより、希土類鉄系合金粉末と、還元によって生成した副生成物とを含有する多孔質塊状反応生成物を得る第1工程、得られた多孔質塊状反応生成物を、水素を含有する雰囲気中に晒すことによって崩壊させ、崩壊物を得る第2工程、得られた崩壊物に、窒素を含有する雰囲気中で熱処理をすることにより、希土類鉄系合金粉末を窒化する第3工程、および、湿式処理をすることにより、前記副生成物を除去する第4工程を有し、第3工程において、得られた塊状崩壊物を分級し、タイラーメッシュで4メッシュ以下の崩壊物を第3工程に導入することを特徴とする。
【0010】
前記塊状崩壊物の分級により得られた、タイラーメッシュで4メッシュを超える崩壊物のうち、水中に投入して水素ガスを発生しない崩壊物、または、10N/cm2以下の圧力で破砕される崩壊物についても、第3工程に導入することができる。
【0011】
一方、前記塊状崩壊物の分級により得られた、タイラーメッシュで4メッシュを超える崩壊物のうち、水中に投入して水素ガスを発生する崩壊物については、20N/cm2以上の圧力で破砕した後、第3工程に導入することができる。
【0012】
第1工程において、多孔ルツボを使用することが好ましい。
【0013】
多孔ルツボを使用する場合、該多孔ルツボの壁面に、複数の孔が設けられ、該孔の開口面積の合計は、壁面の単位面積100cm2に対して、0.1cm2以上であることが好ましい。
【0014】
本発明の製造方法により、Sm−Fe−N系合金粉末の場合、菱面体晶Th2Zn17型結晶構造を有し、Smを22.9〜23.7質量%、Nを2.6〜3.9質量%をそれぞれ含有し、Hの含有量が0.1質量%以下であり、かつ、平均粒径2〜3μmに微粉砕して磁石粉末としたときに、保磁力(HcJ)が800kA/m以上、角形性(Hk)が400kA/m以上という高い磁気特性が得られる合金粉末が得られる。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、従来の還元拡散法により得られる希土類−鉄−窒素系合金粉末と比較して、より優れた磁気特性を有する希土類−鉄−窒素系合金粉末を収率よく製造することが可能であり、より小型で高効率な希土類ボンド磁石を低コストに提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
これまでに、本発明者らは、還元拡散法を用いた製造方法の改良として、希土類酸化物粉末を還元し鉄に拡散させることにより、希土類鉄系合金粉末と、還元によって生成した副生成物とを含有する多孔質塊状反応生成物を得る第1工程、水素を含有する雰囲気中に、得られた多孔質塊状反応生成物を晒すことによって崩壊させる第2工程、崩壊した反応生成物を、窒素を含有する雰囲気中で熱処理することにより、希土類鉄系合金粉末を窒化する第3工程、および、湿式処理により、前記副生成物を除去する第4工程からなる希土類−鉄−窒素系合金粉末の製造方法を提案している。
【0017】
この方法では、還元温度を従来よりも低い領域に設定して還元拡散処理を行うとともに、これに水素を吸収させて崩壊させ、一旦特定温度以下に冷却してから、窒化処理時の雰囲気及び温度を制御し、均一に窒化した後、湿式処理粉砕することにより非磁性相を低減でき、高い飽和磁化が得られ、磁化反転の核になる結晶の歪み、α−Feを低減でき高保磁力を有し減磁曲線の角形性が良好になる磁石粉末を得ている。これにより、Sm2Fe173合金粉末の場合、保磁力(HcJ)が800kA/m以上であり、角形性(Hk)が400kA/m以上という優れた磁気特性を達成している。
【0018】
本発明者らは、この方法で得られる希土類−鉄−窒素系合金粉末の磁気特性をさらに高めるために、鋭意検討を行った。その中で、第3工程に持ち込む崩壊した反応生成物の性状が、磁気特性を左右するとの知見を得た。
【0019】
第2工程で得られる崩壊物には、大きさが100μm以下の粉体から数cmを超える塊まで混在している。これらを篩い分けた場合に、4メッシュ(タイラーメッシュ、目開き4.76mm)を超える大きさで、かつ、水中に投入して水素ガスを発生するような塊状崩壊物は、第3工程の窒化後も塊のまま存在するが、第4工程の湿式処理により合金粉末となる。しかしながら、かかる合金粉末は、高い磁気特性が得られないことから、第3工程による窒化が均一になされていないと考えられる。
【0020】
水中に投入したときに水素ガスを発生することは、塊状崩壊物の中に金属カルシウムまたは水素化カルシウムが存在していることを示している。このような塊状崩壊物を破断して、内部を観察したところ、還元拡散反応で生成した希土類−鉄系合金相粒子と直径3μm程度の酸化カルシウム粒子に加えて、ちぎれた形状の金属カルシウムが存在していた。
【0021】
4メッシュ(タイラーメッシュ)を超える大きさであって、かつ、水中に投入して水素ガスを発生する塊状崩壊物は、同様の大きさであっても、水素ガスを発生しないものに比べて、塊の強度が大きい。すなわち、水素ガスを発生しないものは、手で砕けるのに対して、還元拡散条件にもよるが、水素ガスを発生する塊状崩壊物を砕くためには、20N/cm2以上、好ましくは、50N/cm2以上の圧力が必要である。
【0022】
還元拡散法では、希土類酸化物などの酸化物原料を還元するための必要量に対して、通常は、金属カルシウムを過剰に配合する。そのため、過剰な量の金属カルシウムは、還元拡散反応後も金属カルシウムとして反応生成物中に残り、水素処理工程後には、金属カルシウムのまま、または、水素化カルシウムに変化して残留する。このように、反応生成物には、反応の副生成物である酸化カルシウムに加えて、金属カルシウムが残留する場合があり、これが糊の役目を果たして、4メッシュ(タイラーメッシュ)を超える大きさの塊状崩壊物が、水素処理工程あるいは窒化工程で崩壊することを妨げていると考えられる。
【0023】
一方、4メッシュ(タイラーメッシュ)未満の粉状崩壊物であれば、水中に投入して水素ガスを発生するものでも、雰囲気ガスが反応生成物の内部まで拡散できるので、窒化が均一に行われる。また、4メッシュ(タイラーメッシュ)以上の塊状崩壊物であっても、水中に投入して水素ガスを発生させないものであれば、窒化工程の終了時には4メッシュ(タイラーメッシュ)未満に崩壊する。したがって、これらの崩壊物は、窒化処理および湿式処理により、良好な磁気特性を有する希土類−鉄−窒素系合金粉末となる。
【0024】
このように、得られる合金粉末の磁気特性の低下は、塊状崩壊物に過剰な量の金属カルシウムが存在することが原因であるから、金属カルシウムの配合量を低減することが考えられる。しかしながら、単純に金属カルシウムの配合量を少なくすると、還元拡散反応が不均一となり、未還元の希土類酸化物が生じたり、拡散不足の鉄粉が生じたりする。
【0025】
したがって、第2工程の水素処理において崩壊させた反応生成物のうち、4メッシュ(タイラーメッシュ)を超える塊状崩壊物で、かつ、水中に投入して水素ガスを発生する塊状崩壊物を除去した後、その他の反応生成物を第3工程の窒化処理に導入することにより、窒化が均一に進まず高い磁気特性を得られない粉末の生成を抑制できるため、従来よりもさらに優れた磁気特性を有する希土類−鉄−窒素系磁石粉末を得ることができる。
【0026】
以下、本発明の希土類−鉄−窒素系磁石粉末の製造方法について詳細に説明する。
【0027】
[原料]
本発明においては、希土類酸化物粉末と鉄粉末を用いる。
【0028】
希土類酸化物粉末としては、特に制限されないが、Sm、Gd、Tb、およびCeからなる群から選ばれる少なくとも1種、あるいは、さらにLa,Pr、Nd、Dy、Ho、Er、Tm、およびYbからなる群から選ばれる少なくとも1種が含まれるものが好ましい。特に、Smが含まれるものは、本発明の効果を顕著に発揮させることが可能となるので特に好ましい。Smが含まれる場合、高い保磁力を得るためには、Smを希土類全体の60質量%以上、好ましくは90質量%以上とすることが、高い保磁力を得るために必要である。
【0029】
鉄粉末としては、たとえば、還元鉄粉、ガスアトマイズ粉、水アトマイズ粉,カルボニル鉄粉および電解鉄粉などが使用でき、必要に応じて最適な粒度になるように分級する。
【0030】
さらに、鉄粉末の30質量%までを、鉄酸化物粉末として投入し、還元拡散反応の発熱量を調整することもできる。また、鉄の20質量%以下をコバルトで置換した組成の希土類−鉄−窒素系磁石粉末を製造する場合には、コバルト源として、コバルト粉末、コバルト酸化物粉末および鉄−コバルト合金粉末などを用いる。なお、コバルト源としては、得られる希土類−鉄系母合金粉末中のコバルト組成の粒子間ばらつきを小さくするために、酸化物粉末を使用することが好ましく、また、取り扱い時の発火に対する安全性からも、酸化物粉末が好ましい。
【0031】
原料には、粒径が10μm〜70μmの粉末が全体の80%以上を占める鉄粉末と、粒径が0.1μm〜10μmの粉末が全体の80%以上を占める希土類酸化物粉末と、コバルト粉末およびコバルト酸化物粉末のうち少なくとも一方を使用し、必要に応じて鉄酸化物粉末を使用することが好ましい。
【0032】
鉄粉末は、粒径が10μm未満の粒子が多くなると、希土類−鉄系母合金粉末粒子が多結晶体となり、得られた希土類−鉄−窒素系磁石粉末の磁化が低下しやすい。一方、粒径が70μmを超えるものが多くなると、希土類−鉄系母合金粉末中に希土類元素が拡散していない鉄(−コバルト)部が多くなるとともに、希土類−鉄系母合金粉末の粒径も大きくなり、窒素分布が不均一になって、得られる希土類−鉄−窒素系合金粉末の角形性が低下しやすい。
【0033】
これに対し、他の原料である希土類酸化物粉末、鉄酸化物粉末およびコバルト酸化物粉末は、これらの中でもっとも多い希土類酸化物粉末でも、組成が30質量%未満であることから、還元拡散反応時に、反応容器内部で、鉄粉末の周りに均一に分布して存在していることが望ましい。したがって、粒径が0.1μm〜10μmの粉末が全体の80%以上を占めるとよい。粒径が0.1μm未満の粉末が多くなると、製造中に粉末が舞い上がり、取り扱いにくくなる。また、10μmを超えるものが多くなると、還元拡散法で得られた希土類−鉄系母合金粉末の組成が粒子間でばらつきやすくなり、希土類元素が拡散していない鉄(−コバルト)部が多くなる。
【0034】
鉄−コバルト合金粉末については、粒径が10〜80μmの粉末が全体の80%以上を占めるものが好ましい。粒径10μm未満のものが多くなると、希土類−鉄系母合金粒子が多結晶体となり、得られた希土類−鉄−窒素系磁石粉末の磁化が低下する。一方、粒径が80μmを超える粒子が多くなると、希土類−鉄系母合金中に希土類元素が拡散していない鉄−コバルト部が多くなるとともに、希土類−鉄系母合金粉末の粒径も大きくなり、窒素分布が不均一になって、得られる希土類−鉄−窒素系磁石粉末の角形性が低下しやすい。
【0035】
また、本発明の希土類−鉄−窒素系合金粉末には、Ti、V、Cr、Mn、Cu、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、W、Al、SiおよびCからなる群から選ばれる少なくとも一種以上を添加することで、保磁力や角形性を向上させることができる。ただし、磁気特性、特に飽和磁化が低下するため、含有量は12質量%以下であることが望ましい。これらの添加元素は、金属粉末、酸化物粉末および合金粉末の形で配合し、次の還元拡散工程に持ち込むことができる。同様の理由で、粒径は0.1μm〜10μmの粉末が、全体の80%以上を占めるものであるとよい。
【0036】
[第1工程:還元拡散]
本発明では、希土類酸化物、鉄、必要に応じてコバルトなどからなる原料粉末と還元剤とを混合後、反応容器に投入し、所定の温度で加熱処理をすることによって、希土類酸化物と他の酸化物原料とを還元するとともに、還元された希土類元素などの金属元素を鉄粉末に拡散させて、希土類−鉄(−コバルト)母合金粉末を含有する多孔質塊状反応生成物を生成させる。
【0037】
ここで、各原料粉末は、それぞれの粉体特性差によって、分離しないように、均一に混合することが重要である。混合方法としては、たとえば、リボンブレンダー、タンブラー、S字ブレンダー、V字ブレンダー、コーンブレンダー、ナウターミキサー、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、ハイスピードミキサー、ボールミル、振動ミル、アトライター、ジェットミルなどが使用できる。
【0038】
還元剤としては、アルカリ金属、アルカリ土類金属、および、これらの水素化物などが使用でき、取り扱いの安全性とコストの点で、5メッシュ(タイラーメッシュ、目開き4.00mm)以下に篩い分級した粒状金属カルシウムが好ましい。還元剤を、前記原料粉末と混合することにより、反応生成物が多孔質となり、引き続き行われる窒化処理を効率的に行うことができる。
【0039】
原料粉末や還元剤とともに、後の湿式処理工程において多孔質塊状反応生成物の崩壊を促進させる添加剤を混合することも効果的である。このような崩壊促進剤としては、塩化カルシウムなどのアルカリ土類金属塩や酸化カルシウムなどを用いることができ、原料粉末などと同時に均一に混合する。
【0040】
原料混合物は、たとえば、円筒状の鉄製容器(鉄製ルツボ)に投入し、鉄製ルツボは、円筒状のステンレス製反応容器に入れて、電気炉に設置する。
【0041】
さらに、鉄製ルツボを多孔ルツボとすることが好ましい。多孔ルツボは、鉄製ルツボの壁面に孔を開けて得る。孔は、たとえば、円筒状の鉄製ルツボであれば、側面のみならず底面にも形成することが望ましい。また、孔は、面積が1cm2以下であって、壁面100cm2あたりで、総面積が0.1cm2以上となる割合で開けられることが望ましい。孔の大きさが1cm2を超えると、多孔ルツボに投入した原料混合物が漏れ出てしまい、多孔ルツボを反応容器に設置するとき、取り扱いにくい。壁面100cm2あたりで、総面積が0.1cm2未満であると、拡散反応終了後、残留するカルシウムが蒸気として多孔ルツボ外に排出されにくいため、多孔質塊状反応生成物中に、金属カルシウムの状態で残るため、好ましくない。
【0042】
熱処理温度は、900℃〜1200℃の範囲とすることが望ましい。900℃未満では、鉄粉末に対して、希土類元素、コバルト等の添加元素の拡散が不均一となり、得られる希土類−鉄(−コバルト)−窒素系合金粉末の保磁力や角形性が低下する。一方、1200℃を超えると、多孔質塊状反応生成物に含まれる希土類−鉄(−コバルト)母合金粉末が粒成長を起こすとともに、互いに焼結するため、続く水素処理で多孔質塊状反応生成物が崩壊しにくくなり、合金粉末の残留磁束密度と角形性が低下する。
【0043】
還元拡散反応で得られる多孔質塊状生成物は、たとえば、還元剤として金属カルシウムを用いた場合には、Th2Zn17型結晶構造を有する希土類−鉄(−コバルト)母合金粉末と酸化カルシウム、未反応の余剰の金属カルシウムなどからなる塊状であり、多孔質である。
【0044】
なお、原料を混合する際、希土類酸化物を仕込む量は、第2工程である水素処理工程で多孔質塊状反応生成物を崩壊させるために重要である。通常、目的とする希土類−鉄系母合金相の生成に必要な量に対して、多めに投入されるが、本発明においては、還元拡散反応によって得られる多孔質塊状反応生成物の全体に対して21質量%〜26質量%の希土類元素を含有するように、仕込む量を設定する。ここで、還元拡散反応中に、希土類元素、特に、Smは、揮発する可能性があるので、炉の仕様を考慮して設定する必要がある。希土類元素が、多孔質塊状反応生成物の21質量%未満になると、第2工程で崩壊しにくくなり、26質量%を超えると、崩壊性には問題がないが、湿式処理後に得られる合金粉末の収率が低下するので、好ましくない。
【0045】
一方、金属カルシウムに代表される還元剤の投入量も、希土類酸化物のほかに酸化物原料を用いる場合には、酸化物原料を還元するための必要量に対して、十分に投入する必要があり、炉の仕様も考慮して設定される。通常、還元に必要な量を1当量としたとき、1.05当量〜1.50当量とするのがよい。1.05当量より少ないと、酸化物の還元反応が起こっても、還元された希土類元素などの鉄粉への拡散が進まず、1.50当量を超えると、特に、本発明では、第2工程である水素処理後に、先に述べた4メッシュ(タイラーメッシュ)を超える大きさであって、かつ、水中に投入したとき、水素ガスを発生するような塊状崩壊物が多くなり、良好な磁気特性を有する合金粉末の収率が低下するので好ましくない。
【0046】
[第2工程:水素処理]
第1工程において、還元剤に金属カルシウムを用いて還元拡散反応を行うと、得られる多孔質塊状反応生成物は、希土類−鉄系母合金粉末、酸化カルシウム、未反応の余剰の金属カルシウムなどからなる。第2工程の水素処理は、常温または300℃以下の温度で行われる。常温未満の低温であるか、300℃を超えると、水素吸収量が少なくなり、崩壊しにくくなるため、好ましくない。
【0047】
処理雰囲気としては、水素を含む雰囲気であればよく、水素100%を使用するか、または、反応をコントロールする必要があれば、不活性ガスと水素の混合ガスを使用してもよい。
【0048】
第1工程で得られた多孔質塊状反応生成物は、このような条件で水素を含む雰囲気に晒されると、たとえば、Th2Zn17型結晶構造相を含む場合、内部に含まれる希土類−鉄系合金相、特に、Th2Zn17型結晶構造相より希土類に富んでいる、たとえば、共晶相、RFe2相およびRFe3相(Rは希土類元素)が、Th2Zn17型結晶構造相より、多くの水素を吸収して発熱する。同時に、これらの希土類−鉄系合金相は、Th2Zn17型結晶構造相よりも大きな体積膨張を起こして崩壊する。
【0049】
なお、第1工程で得られた多孔質塊状反応生成物は、表面の活性が失われないように取り扱い、第2工程に持ち込む必要がある。第1工程から第2工程まで時間がある場合には、なるべく乾燥し、窒素またはアルゴンガスなどの不活性ガスからなる雰囲気下、あるいは真空中に保管することが望ましい。
【0050】
[第3工程:窒化処理]
第2工程で得られる塊状崩壊物には、大きさが100μm以下の粉体から数cmを超える塊まで、混在している。
【0051】
本発明においては、これらを篩い分けたとき4メッシュ(タイラーメッシュ)を超える大きさであって、かつ、水中に投入して水素ガスを発生するような塊状崩壊物を除去し、第3工程である窒化処理に導入しない。このような塊状崩壊物は、多孔質であったとしても窒化が均一に進まず、かつ、窒化処理後も塊のままであり、第4工程で湿式処理をすると、通常どおり合金粉末が得られるものの、高い磁気特性が得られない。
【0052】
このような塊状崩壊物を除去するに際して、4メッシュ(タイラーメッシュ)を超える大きさの塊状崩壊物をすべて除去することが考えられるが、収率の悪化をもたらすことになる。
【0053】
4メッシュ(タイラーメッシュ)を超える大きさであって、かつ、水中に投入したとき水素ガスを発生するような塊状崩壊物は、ガスを発生しないものに比べて、塊の強度が大きい。したがって、4メッシュ(タイラーメッシュ)を超える大きさの塊状崩壊物について、人の手で砕くのと同様の圧力(約10N/cm2)をかけて、塊状崩壊物が容易に砕けるか否かで、水中に投入した場合に水素ガスを発生するか否かを判別することができる。また、水中に投入して水素ガスを発生する反応生成物であっても、4メッシュ(タイラーメッシュ)以下の大きさであれば、窒化工程において窒化が均一に進行することから、4メッシュ(タイラーメッシュ)を超える大きさであって、人の手で砕くのと同様の圧力をかけても、容易に砕けないものについて、20N/cm2以上の圧力をかけて機械的に砕くことによって、窒化工程に導入することができる。ここでいう圧力は,破砕機の作用部(パンチなど)の単位断面積当たりの力である。選別法としては,例えばプレス機で圧壊させて篩い分けすることが可能である。
【0054】
このようにして得られた崩壊物を、速やかに窒素を含む雰囲気中に投入する。窒素を含む雰囲気は、公知のものでよく、たとえば、窒素またはアンモニアと、必要に応じて水素とからなる雰囲気でよい。かかる窒素を含む雰囲気中で、反応生成物を含む崩壊物を400℃〜500℃、好ましくは420℃〜480℃で熱処理をすることにより、窒化する。熱処理温度が400℃未満であると、窒化に時間がかかりすぎ、また、500℃を超えると、窒化して得られた一部が分解し、磁気特性が低下するため、それぞれ望ましくない。
【0055】
なお、第2工程で得られる崩壊物は、表面の活性が失われないように取り扱い、第3工程に持ち込む必要がある。第2工程から第3工程までに、長い時間がある場合には、なるべく乾燥し、窒素またはアルゴンガスなどの不活性ガスからなる雰囲気下、あるいは真空中に保管することが望ましい。
【0056】
熱処理温度、時間、または、窒化雰囲気を混合ガス雰囲気とするときのそれらのガス比率は、希土類−鉄系母合金粉末の粒径や表面状態などによって、目標窒素量となるように、適宜、選択される。目標窒素量は、菱面体晶系のTh2Zn17型結晶構造を有するSm2Fe173合金を例に挙げれば、2.6質量%〜3.9質量%、望ましくは3.0質量%〜3.6質量%、さらに望ましくは3.1質量%〜3.5質量%である。なお、窒素量は、たとえば、金属中酸素・窒素・アルゴン同時分析装置(LECO社製、TC−336/TC−436AR)を用いて、不活性ガス−インパルス加熱融解−熱伝導度法によって測定することができる。
【0057】
なお、窒化熱処理に引き続いて、水素ガスおよび不活性ガスの少なくとも一方の雰囲気中で、合金粉末の熱処理をすると、内部の窒素分布が均一化され、角形性を向上させることができる。不活性ガスとしては、アルゴンガス、窒素ガス、ヘリウムガスなどを用いることが可能である。ただし、先の窒化処理雰囲気が窒素および窒素を含む混合ガスの場合には、窒素以外の雰囲気を選択する。熱処理時間は、最終的に得られる希土類−遷移金属−窒素系合金粉末において、前述の目標窒素量の範囲となるように設定すればよい。
【0058】
[第4工程:湿式処理]
第3工程からは、灰色の合金粉末と、還元剤として金属カルシウムを用いた場合には緑色のCaO粉末と、場合により余剰の金属カルシウムや水素化カルシウムとの混合物が得られる。ただし、カルシウムの窒化物は、第3工程後には存在しないことが、X線回折から確認されている。第3工程の後は、可及的速やかに湿式処理工程に持ち込んで、CaOなどの還元剤成分に起因する副生成物(残留不純物)を分離除去する。
【0059】
可及的速やかに湿式処理工程に持ち込む理由は、第3工程後、長時間、大気中に放置すると、炭酸カルシウムなどの還元剤成分の炭酸化物が生成し、除去しにくくなるためである。したがって、第3工程は、大気中では3日以内、好ましくは1日以内、仕掛品として不活性ガス雰囲気や真空中に保管する場合には、2週間以内に湿式処理をするとよい。
【0060】
第4工程である湿式処理では、まず、水中に投入する。このとき、酸化カルシウムは水酸化カルシウム(Ca(OH)2)となり、また、金属カルシウムや水素化カルシウムが残留する場合には、水素ガスを発生しながら崩壊が進行する。引き続き、デカンテーション、注水およびデカンテーションを繰り返し行い、水酸化カルシウムの多くを除去する。
【0061】
次に、酢酸または塩酸の少なくとも一種からなる水溶液を用いて酸洗浄を行う。第3工程である窒化処理後に含まれる希土類−鉄−窒素系合金粉末においては、Th2Zn17型結晶構造を有する主相の化学量論組成に対して、希土類組成が過剰である。過剰な希土類成分は、主相よりも希土類リッチな相を形成するが、還元拡散法においては、その反応機構から、多くの場合、希土類リッチ相は、希土類−遷移金属系母合金粉末の表面や粒界に存在している。この過剰な希土類元素は、窒化された希土類リッチ相として存在し、この希土類リッチ相は、主相に比べて磁性の弱い相であるため、飽和磁化を低下させる原因となる。したがって、十分な飽和磁化を有する希土類−鉄−窒素系磁性粉末を得るために、酸洗浄し、これらの希土類リッチ相を除去する。このときの水溶液の水素イオン濃度は、pH4〜6の範囲で実施するとよい。pH4未満では、母合金の溶解速度が大きすぎて、均一に洗浄するためには洗浄時間の調整が難しく、pHが6を超えると、溶解速度が極端に遅く、希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の酸化が進行し、好ましくない。洗浄時間などの他の条件は、希土類−鉄−窒素系合金粉末において、その主相の化学量論組成に対する希土類元素の過剰量が、0.4質量%以下、好ましくは0.1質量%以下となるように、設定すればよい。0.4質量%を超えると、本発明の希土類−遷移金属−窒素系磁性粉末の飽和磁化が、従来に比べて同等レベルに留まる。
【0062】
酸洗浄後は、水洗し、アルコールあるいはアセトン等の有機溶媒で脱水し、不活性ガス雰囲気中または真空中で乾燥することで、目的の希土類−鉄−窒素系合金粉末を得ることができる。
【0063】
[熱処理]
第4工程である湿式処理後の希土類−鉄−窒素系合金粉末において、不可避不純物である水素の含有量を0.1質量%以下とするために、該粉末に対して熱処理を施して、その保磁力や角形性を向上させることができる。不可避不純物である水素の含有量が0.1質量%を超える場合には、真空中または不活性ガス雰囲気中、100℃〜500℃、好ましくは150℃〜300℃の温度で熱処理をすることによって、0.1質量%以下にすることができる。この熱処理は、第4工程において、酸洗浄または必要に応じて引き続いて行われる水洗および/または有機溶媒による脱水置換後の乾燥と同時に行うこともできる。不活性ガス雰囲気としては、アルゴン、窒素、ヘリウムなどの雰囲気が可能である。熱処理温度が500℃を超えると、αFeの生成により磁気特性の劣化が起こるので、好ましくない。熱処理時間は、最終的に得られる希土類−遷移金属−窒素系合金粉末において、水素含有量が0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下となるように、設定すればよい。水素含有量が0.1質量%を超えると、希土類−鉄−窒素系合金粉末の保磁力と角形性が低下する。ただし、非酸化性雰囲気として窒素ガスを選択する場合には、最終的に得られる希土類−鉄−窒素系合金粉末の窒素量が目標の範囲内となるように、設定する。なお、ここでの水素含有量はLECO法によって評価した。
【0064】
[希土類−鉄−窒素系合金粉末]
本発明の希土類−鉄−窒素系合金粉末は、還元剤として金属カルシウムを用いた場合、菱面体晶Th2Zn17型結晶構造を有するが、他の結晶構造の粉末、たとえば、正方晶系の合金粉末としてThMn12型結晶構造を有するNdFe11TiN1化合物からなる粉末、単斜晶系の合金粉末としてR3(Fe,Ti)29型結晶構造を有するSm3(Fe,Cr)29y化合物からなる粉末に対しても、本発明は適用できる。
【0065】
本発明により得られる、菱面体晶Th2Zn17型結晶構造を有するSm−Fe−N系合金粉末の場合、Smが22.9〜23.7質量%、Nが2.6〜3.9質量%、Hが0.1質量%以下であり、平均粒径2〜3μmに微粉砕して磁石粉末としたときの磁気特性は、保磁力(HcJ)が800kA/m以上、角形性(Hk)が400kA/m以上となる。
【実施例】
【0066】
(実施例1)
[原料]
原料粉末として、アトマイズ法で製造され、粒径が10μm〜70μmの粉末が全体の94%を占める鉄粉末(Fe純度99%)2071gと、粒径が0.1μm〜10μmの粉末が全体の96%を占める酸化サマリウム粉末(Sm23純度99.5%)970gを秤量し、粒度4.00mm以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)394gをミキサーで混合して、混合物を得た。
【0067】
[第1工程]
得られた混合物を、ステンレススチール反応容器に装入して、管状炉に装入し、容器内をロータリーポンプで真空引きして、Arガス置換した後、Arガスを流しながら1050℃まで昇温し、4時間保持し、その後、室温まで冷却して、多孔質塊状反応生成物を得た。
【0068】
[第2工程]
次に、反応容器から取り出した多孔質塊状反応生成物を可及的速やかに別のステンレススチール容器に投入し、該ステンレススチール容器内をロータリーポンプで真空引きして、ゲージ圧20kPaまで水素ガス置換したところ、反応生成物は、発熱しながら水素ガスを吸収した。このとき、ステンレススチール容器内の圧力が、ゲージ圧10kPa〜20kPaを維持するように調整した。水素ガスの吸収が終了し、温度が50℃以下になったところで、雰囲気を窒素ガスに置換し、試料を回収した。多孔質塊状反応生成物が5cm以下に崩壊していることが確認できた。
【0069】
[第3工程]窒化処理
得られた塊状崩壊物を篩で分級し、4メッシュ(タイラーメッシュ)篩下12メッシュ(タイラーメッシュ)篩上の成分を取り分けた。得られた分級成分の一部を水中に投入したが、水素ガスの発生はごくわずかだった。
【0070】
得られた分級成分を攪拌式電気炉に入れ、炉内をロータリーポンプで真空引きしてから、アンモニア分圧が0.33のアンモニア−水素混合ガスを流通させて昇温し、450℃で200分、保持することにより窒化し、その後、窒素ガスに切り替えて冷却した。以上の工程のうち、水素処理後に取り出してから、篩分級し、攪拌式電気炉に投入するまでの間は、大気中で1時間以内に取り扱った。
【0071】
成分組成を、希土類元素についてはICP発光分光分析装置(セイコー電子工業株式会社製、SPS4000)を用いたICP発光分析法で、窒素については金属中酸素・窒素・アルゴン同時分析装置(LECO社製、TC−336/TC−436AR)を用いた不活性ガス−インパルス加熱融解−熱伝導度法で評価した。また、結晶構造については、粉末X線回折装置(Cu−Kα、理学電機株式会社製、Rotaflex RAD−rVB、マックサイエンス株式会社製、SUN SP/IPX)によって評価した。
【0072】
回収された反応生成物は、灰色と緑色であり、12メッシュ(タイラーメッシュ)の篩を通過する粉末となっており、Sm2Fe173化合物粉末とCaOとからなることが分かった。
【0073】
[第4工程]
この粉末を直ちに純水中に投入すると、CaOはCa(OH)2となり、灰色と白色のスラリーが得られた。得られたスラリーから、Ca(OH)2懸濁物をデカンテーションによって除去し、合金粉末スラリーを分離した。次に、得られた合金粉末スラリーを攪拌しながら、希酢酸を滴下し、pH5.0に30分間、保持した。さらに、合金粉末を濾過後、エタノールで数回掛水洗浄し、250℃で真空乾燥することによって、Th2Zn17型結晶構造を有する23.4質量%Sm−bal.Fe−3.2質量%N合金粉末を得た。
【0074】
脱水エタノールを溶媒として、得られた23.4質量%Sm−bal.Fe−3.2質量%N合金粉末を、平均粒径2.5μmとなるまで、振動ボールミル粉砕することにより、Sm−Fe−N磁石粉末を得た。
【0075】
磁気特性は、最大印加磁界1200kA/mの振動試料型磁力計(東英工業株式会社製、VSM−3)で測定した。測定では、ボンド磁石試験法ガイドブックBMG−2005(日本ボンド磁石工業協会)に準じて、1600kA/mの配向磁界をかけて、試料を作製し、4000kA/mの磁界で着磁してから、評価した。このとき、磁石粉末の密度を7.67Mg/m3とした。
【0076】
得られたSm−Fe−N磁石粉末は、保磁力(HcJ)が939kA/m、角形性(Hk)が477kA/mであり、良好な磁気特性を有していた。測定結果を表1に示す。
【0077】
【表1】


【0078】
(実施例2)
第3工程において、分級成分を、12メッシュ篩下36メッシュ篩上で得たこと以外は、実施例1と同様にして、Th2Zn17型結晶構造を有する23.3質量%Sm−bal.Fe−3.3質量%N合金粉末を得た。また、本実施例においても、分級成分の一部を水中に投入したが、水素ガスの発生はほとんど認められなかった。
【0079】
脱水エタノールを溶媒として、得られた23.3質量%Sm−bal.Fe−3.3質量%N合金粉末を、平均粒径2.5μmとなるまで、振動ボールミル粉砕することにより、Sm−Fe−N磁石粉末を得た。
【0080】
得られたSm−Fe−N磁石粉末は、保磁力(HcJ)が950kA/m、角形性(Hk)が495kA/mであり、良好な磁気特性を有していた。測定結果を表1に示す。
【0081】
(実施例3)
第3工程において、分級成分を、36メッシュ篩下100メッシュ篩上で得たこと以外は、実施例1と同様にして、Th2Zn17型結晶構造を有する23.5質量%Sm−bal.Fe−3.3質量%N合金粉末を得た。また、本実施例においても、分級成分の一部を水中に投入したが、水素ガスの発生はほとんど認められなかった。
【0082】
脱水エタノールを溶媒として、得られた23.3質量%Sm−bal.Fe−3.3質量%N合金粉末を、平均粒径2.4μmとなるまで、振動ボールミル粉砕することにより、Sm−Fe−N磁石粉末を得た。
【0083】
得られたSm−Fe−N磁石粉末は、保磁力(HcJ)が915kA/m、角形性(Hk)が446kA/mであり、良好な磁気特性を有していた。測定結果を表1に示す。
【0084】
(実施例4)
第3工程において、分級成分を、100メッシュ篩下で得たこと以外は、実施例1と同様にして、Th2Zn17型結晶構造を有する23.4質量%Sm−bal.Fe−3.4質量%N合金粉末を得た。また、本実施例においても、分級成分の一部を水中に投入したが、水素ガスの発生はほとんど認められなかった。
【0085】
脱水エタノールを溶媒として、得られた23.3質量%Sm−bal.Fe−3.3質量%N合金粉末を、平均粒径2.4μmとなるまで、振動ボールミル粉砕することにより、Sm−Fe−N磁石粉末を得た。
【0086】
得られたSm−Fe−N磁石粉末は、保磁力(HcJ)が979kA/m、角形性(Hk)が501kA/mであり、良好な磁気特性を有していた。測定結果を表1に示す。
【0087】
(実施例5)
第3工程において、分級成分として、大きさが5cm以下で、4メッシュ篩上の塊の中から、手で容易に崩せるものを選別したこと以外は、実施例1と同様にして、Th2Zn17型結晶構造を有する23.3質量%Sm−bal.Fe−3.2質量%N合金粉末を得た。また、本実施例においても、分級成分の一部を水中に投入したが、水素ガスの発生はわずかだった。
【0088】
脱水エタノールを溶媒として、得られた23.3質量%Sm−bal.Fe−3.2質量%N合金粉末を、平均粒径2.6μmとなるまで、振動ボールミル粉砕することにより、Sm−Fe−N磁石粉末を得た。
【0089】
得られたSm−Fe−N磁石粉末は、保磁力(HcJ)が928kA/m、角形性(Hk)が458kA/mであり、良好な磁気特性を有していた。測定結果を表1に示す。
【0090】
(実施例6)
第3工程において、大きさが5cm以下で、4メッシュ篩上の塊状崩壊物の中から、手で容易に崩せないものを選別し、ハンディ油圧プレスで、50N/cm2の圧力をかけながら、機械的に砕き、その中から分級成分を、4メッシュ篩下12メッシュ篩上で得たこと以外は、実施例1と同様にして、Th2Zn17型結晶構造を有する23.5質量%Sm−bal.Fe−3.2質量%N合金粉末を得た。本実施例において、分級成分の一部を水中に投入したところ、激しく水素ガスが発生した。
【0091】
また、窒化後に回収された反応生成物には、12メッシュ篩上の成分が残っており、これらを湿式処理で水中に投入すると水素ガスが発生した。
【0092】
脱水エタノールを溶媒として、得られた23.3質量%Sm−bal.Fe−3.2質量%N合金粉末を、平均粒径2.5μmとなるまで、振動ボールミル粉砕することにより、Sm−Fe−N磁石粉末を得た。
【0093】
得られたSm−Fe−N磁石粉末は、保磁力(HcJ)が893kA/m、角形性(Hk)が437kA/mであり、良好な磁気特性を有していた。測定結果を表1に示す。
【0094】
(実施例7)
第3工程において、大きさが5cm以下で、4メッシュ篩上の塊状崩壊物の中から、手で容易に崩せないものを選別し、ハンディ油圧プレスで、50N/cm2の圧力をかけながら、機械的に砕き、その中から分級成分を12メッシュ篩下36メッシュ篩上で得たこと以外は、実施例1と同様にして、Th2Zn17型結晶構造を有する23.3質量%Sm−bal.Fe−3.2質量%N合金粉末を得た。本実施例において、分級成分の一部を水中に投入したところ、激しく水素ガスが発生した。
【0095】
また、窒化後に回収された反応生成物には、36メッシュ篩上の成分が残っており、これらを湿式処理で水中に投入すると水素ガスが発生した。
【0096】
脱水エタノールを溶媒として、得られた23.3質量%Sm−bal.Fe−3.2質量%N合金粉末を、平均粒径2.4μmとなるまで、振動ボールミル粉砕することにより、Sm−Fe−N磁石粉末を得た。
【0097】
得られたSm−Fe−N磁石粉末は、保磁力(HcJ)が941kA/m、角形性(Hk)が450kA/mであり、良好な磁気特性を有していた。測定結果を表1に示す。
【0098】
(比較例1)
実施例1と同様にして、第2工程までを行い、塊状崩壊物を得た。第3工程において、得られた塊状崩壊物を篩で分級し、大きさが5cm以下で、4メッシュ篩上の塊の中から、手で容易に崩せないものを分級成分として選別したこと以外は、実施例1と同様にして、分級成分に第3工程の窒化処理を施した。回収された反応生成物は、多少崩壊したものもあったが、4メッシュ以上で2〜3cmの塊であった。
【0099】
第4工程として、この粉末を直ちに純水中に投入すると、激しく水素ガスが発生し、最終的に灰色と白色のスラリーが得られた。その後は、実施例1と同様にして、Th2Zn17型結晶構造を有する23.8質量%Sm−bal.Fe−2.1質量%N合金粉末を得た。得られたTh2Zn17型結晶構造のXRD回折線は、実施例1〜7と同じ指数の回折線に比べて、高角度側にブロードに現れた。これは、主相の格子定数が各実施例の試料より小さく、かつ、ばらついており、窒化が不均一であることを示している。
【0100】
脱水エタノールを溶媒として、得られた23.8質量%Sm−bal.Fe−2.1質量%N合金粉末を、平均粒径2.5μmとなるまで、振動ボールミル粉砕することにより、Sm−Fe−N磁石粉末を得た。
【0101】
得られたSm−Fe−N磁石粉末は、保磁力(HcJ)が574kA/m、角形性(Hk)が183kA/mであり、実施例1〜7と比較して、磁気特性が劣っていた。測定結果を表1に示す。
【0102】
(比較例2)
アンモニア分圧が0.33のアンモニア−水素混合ガスを流通させて昇温し、450℃で400分保持することにより窒化した以外は、比較例1と同様にして、Th2Zn17型結晶構造を有する23.6質量%Sm−bal.Fe−2.5質量%N合金粉末を得た。なお、窒化後に回収された反応生成物は比較例1とほぼ同等の塊であり、これを湿式処理する際には、激しく水素ガスを発生した。得られたTh2Zn17型結晶構造のXRD回折線は、比較例1に比べて、やや低角度側にシフトしたが、まだブロードだった。これは、比較例1と同様に、窒化が不均一であることを示している。
【0103】
脱水エタノールを溶媒として、得られた23.6質量%Sm−bal.Fe−2.5質量%N合金粉末を、平均粒径2.5μmとなるまで、振動ボールミル粉砕することにより、Sm−Fe−N磁石粉末を得た。
【0104】
得られたSm−Fe−N磁石粉末は、保磁力(HcJ)が614kA/m、角形性(Hk)が215kA/mであった。大きさが5cm以下で、4メッシュ篩上の塊状崩壊物については、窒化処理において窒化時間を2倍に長くしても、得られたSm−Fe−N磁石粉末は、その窒素量が2.6質量%を超えず、磁気特性も低かった。測定結果を表1に示す。
【0105】
(実施例8)
[原料]
原料粉末として、アトマイズ法で製造され、粒径が10〜70μmの粉末が全体の94%を占める鉄粉末(Fe純度99%)2071gと、粒径が0.1〜10μmの粉末が全体の96%を占める酸化サマリウム粉末(Sm23純度99.5%)970gを秤量し、粒度4.00mm以下の金属カルシウム粒(Ca純度99%)394gをミキサーで混合して、混合物を得た。
【0106】
[第1工程]
得られた混合物を、直径10cm、高さ25cmの鉄製のルツボに投入し、このルツボをステンレススチール反応容器に入れてから、電気炉に装入し、ステンレススチール反応容器内をロータリーポンプで真空引きして、Arガス置換した後、Arガスを流しながら1050℃まで昇温し、4時間保持した後、ステンレススチール反応容器を電気炉から抜き出して、室温まで冷却した。鉄製のルツボの側面と底面には、直径5mmの孔(開口面積0.20cm2)が、ルツボ壁面の100cm2あたり2個(孔の総面積0.39cm2)の割合で設けてある。
【0107】
[第2工程]
次に、反応容器から取り出した多孔質塊状反応生成物を可及的速やかに別のステンレススチール容器に投入し、該ステンレススチール容器内をロータリーポンプで真空引きして、ゲージ圧20kPaまで水素ガス置換したところ、反応生成物は、発熱しながら水素ガスを吸収した。このとき、ステンレススチール容器内の圧力が、ゲージ圧10kPa〜20kPaを維持するように調整した。水素ガスの吸収が終了し、温度が50℃以下になったところで、雰囲気を窒素ガスに置換し、試料を回収した。多孔質塊状反応生成物が5cm以下に崩壊していることが確認できた。
【0108】
[第3工程]
得られた崩壊物を、4メッシュの篩で分級するとともに、水中投入による水素ガスの発生を確認したところ、4メッシュ以上であり、水中に投入して水素ガスが発生する塊が、全体の5.4質量%あった。
【0109】
このような塊を取り除いた94.6質量%の崩壊物を、攪拌式電気炉に入れ、炉内をロータリーポンプで真空引きしてから、アンモニア分圧が0.33のアンモニア−水素混合ガスを流通させて昇温し、450℃で200分、保持することによって窒化し、その後、窒素ガスに切り替えて冷却した。以上の工程のうち、水素処理後に取り出してから、篩分級し、攪拌式電気炉に投入するまでの間は、大気中で1時間以内に取り扱った。
【0110】
成分組成を、希土類元素についてはICP発光分光分析装置(セイコー電子工業株式会社製、SPS4000)を用いたICP発光分析法で、窒素については金属中酸素・窒素・アルゴン同時分析装置(LECO社製、TC−336/TC−436AR)を用いた不活性ガス−インパルス加熱融解−熱伝導度法で評価した。また、結晶構造については、粉末X線回折装置(Cu−Kα、理学電機株式会社製、Rotaflex RAD−rVB、マックサイエンス株式会社製、SUN SP/IPX)によって評価した。
【0111】
回収された反応生成物は、灰色と緑色であり、12メッシュの篩を通過する粉末となっており、XRDによりSm2Fe173化合物粉末とCaOとからなることが分かった。
【0112】
[第4工程]
この粉末を直ちに純水中に投入すると、CaOはCa(OH)2となり、灰色と白色のスラリーが得られた。得られたスラリーから、Ca(OH)2懸濁物をデカンテーションによって除去し、合金粉末スラリーを分離した。次に、得られた合金粉末スラリーを攪拌しながら、希酢酸を滴下し、pH5.0に30分間、保持した。さらに、合金粉末を濾過後、数回掛水洗浄し、250℃で真空乾燥することによって、Th2Zn17型結晶構造を有する23.3質量%Sm−bal.Fe−3.3質量%N合金粉末1950gを得た。得られた質量を、投入した鉄粉末と、酸化サマリウム粉末と、還元剤であるカルシウム粒との合計質量で割った値が収率であり、56.8%であった。
【0113】
得られた23.3質量%Sm−bal.Fe−3.3質量%N合金粉末に、エタノールを溶媒として用い、平均粒径2.5μmとなるまで、振動ボールミル粉砕することにより、Sm−Fe−N磁石粉末を得た。
【0114】
磁気特性は、最大印加磁界1200kA/mの振動試料型磁力計(東英工業株式会社製、VSM−3)で測定した。測定では、ボンド磁石試験法ガイドブックBMG−2005(日本ボンド磁石工業協会)に準じて、1600kA/mの配向磁界をかけて、試料を作製し、4000kA/mの磁界で着磁してから、評価した。このとき、磁石粉末の密度を7.67Mg/m3としている。
【0115】
得られたSm−Fe−N磁石粉末は、保磁力(HcJ)が935kA/m、角形性(Hk)が470kA/mであり、良好な磁気特性を有していた。測定結果を表2に示す。
【0116】
【表2】


【0117】
(実施例9)
鉄製のルツボの側面と底面に、直径2.6mmの孔(開口面積0.053cm2)を、ルツボ壁面の100cm2あたり2個(孔の総面積0.11cm2)の割合で設けたこと以外は、実施例8と同様にして、第2工程までを行った。
【0118】
得られた崩壊物を、4メッシュの篩で分級するとともに、水中投入による水素ガスの発生を確認したところ、4メッシュ以上であり、水中に投入して水素ガスが発生する塊が、全体の12.7質量%あった。このような塊を取り除いた87.3質量%の崩壊物により、実施例8と同様にして、第3工程および第4工程を行い、Th2Zn17型結晶構造を有する23.3質量%Sm−bal.Fe−3.3質量%N合金粉末1950gを得た。実施例8と同様に求めた収率は、52.4%であった。
【0119】
得られたSm−Fe−N磁石粉末は、保磁力(HcJ)が976kA/m、角形性(Hk)が479kA/mであり、良好な磁気特性を有していた。測定結果を表2に示す。
【0120】
(実施例10)
鉄製のルツボの側面と底面に、直径3mmの孔(開口面積0.071cm2)を、ルツボ壁面の100cm2あたり1個(孔の総面積0.071cm2)の割合で設けたこと以外は、実施例8と同様にして、第2工程までを行った。
【0121】
得られた崩壊物を、4メッシュの篩で分級するとともに、水中投入による水素ガスの発生を確認したところ、4メッシュ以上であり、水中に投入して水素ガスが発生する塊が、全体の21.7質量%あった。このような塊を取り除いた78.3質量%の崩壊物により、実施例8と同様にして、第3工程および第4工程を行い、Th2Zn17型結晶構造を有する23.3質量%Sm−bal.Fe−3.3質量%N合金粉末1950gを得た。実施例8と同様に求めた収率は、47.0%であった。
【0122】
得られたSm−Fe−N磁石粉末は、保磁力(HcJ)が921kA/m、角形性(Hk)が459kA/mであり、良好な磁気特性を有していた。測定結果を表2に示す。
【0123】
(実施例11)
鉄製のルツボを多孔ルツボとしなかったこと以外は、実施例8と同様にして、第2工程までを行った。
【0124】
得られた崩壊物を、4メッシュの篩で分級するとともに、水中投入による水素ガスの発生を確認したところ、4メッシュ以上であり、水中に投入して水素ガスが発生する塊が、全体の35.1質量%あった。このような塊を取り除いた64.9質量%の崩壊物により、実施例8と同様にして、第3工程および第4工程を行い、Th2Zn17型結晶構造を有する23.4質量%Sm−bal.Fe−3.3質量%N合金粉末1338gを得た。実施例8と同様に求めた収率は、39.0%であった。
【0125】
得られたSm−Fe−N磁石粉末は、保磁力(HcJ)が942kA/m、角形性(Hk)が468kA/mであり、良好な磁気特性を有していたが、塊量が多いために、収率が低かった。測定結果を表2に示す。
【0126】
(比較例3)
鉄製のルツボの側面と底面に、直径3mmの孔(面積0.071cm2)が、ルツボ壁面の100cm2あたり1個(孔の総面積0.071cm2)の割合で設けたこと以外は、実施例8と同様にして、第2工程までを行った。
【0127】
得られた崩壊物の全量により、実施例8と同様にして、第3工程および第4工程を行い、Th2Zn17型結晶構造を有する23.5質量%Sm−bal.Fe−3.0質量%N合金粉末を得た。実施例8と同様に求めた収率は、80.1%であった。
【0128】
得られたSm−Fe−N磁石粉末は、保磁力(HcJ)が658kA/m、角形性(Hk)が334kA/mであり、実施例8〜11と比較して、磁気特性が劣っていたように、多孔ルツボを用いても、粒度4メッシュ未満としたり、水中に投入したとき実質的に水素ガスが発生しないものを第三工程に持ち込むようにしないと、収率は良好であるものの、優れた磁気特性が得られないことが分かる。測定結果を表2に示す。
【出願人】 【識別番号】000183303
【氏名又は名称】住友金属鉱山株式会社
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100108877
【弁理士】
【氏名又は名称】鴨田 哲彰


【公開番号】 特開2008−1953(P2008−1953A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−173794(P2006−173794)