トップ :: B 処理操作 運輸 :: B22 鋳造;粉末冶金

【発明の名称】 タンディッシュ
【発明者】 【氏名】小林 利行

【氏名】中岡 威博

【要約】 【課題】非金属介在物の浮上分離を促進できるように溶融金属の流れをできるだけ乱さず、かつ簡易な構造のタンディッシュを提供する。

【構成】長手方向を有する連通路4が設けられ、かつその連通路4の長手方向に対する垂直断面が、受容室3から注湯室5に向かって徐々に広がって形成されている、タンディッシュ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取鍋から溶融金属を受容する受容室と、前記溶融金属を鋳型に注湯する注湯室と、前記受容室と前記注湯室とを連通して前記溶融金属を前記受容室から前記注湯室に流すための連通路とを備えたタンディッシュであって、
前記連通路は、長手方向を有し、かつ当該長手方向に対する垂直断面が、前記受容室から前記注湯室に向かって徐々に広がって形成されていることを特徴とする、タンディッシュ。
【請求項2】
前記連通路の前記垂直断面は、前記受容室から前記注湯室に向かって、3°以上20°以下の角度のうちいずれか一定の角度で広がって形成されていることを特徴とする、請求項1に記載のタンディッシュ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融金属を鋳型内に注湯する際に用いられる溶融金属の容器であるタンディッシュに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、タンディッシュ内に受容した溶融金属中に存在する非金属介在物の分離除去において、CaO系耐火物からなる複数の板に非金属介在物を付着吸収させる構成を有した溶融金属の清浄化方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。この溶融金属の清浄化方法は、タンディッシュ内にCaO系耐火物からなる複数の板を交互に配置して、これらCaO系耐火物の板の間を通過する溶融金属の流速を速くして流れに発生する乱れを大きくし、さらにCaO系耐火物近傍を溶融金属が通過する時間を長くとることにより、非金属系介在物のCaO系耐火物への付着吸収を促進しようとする方法である。
【0003】
また、溶融金属を旋回槽に受容し、この溶融金属を水平旋回させて非金属介在物を浮上分離するタンディッシュに係る技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。この非金属介在物を浮上分離する技術は、溶融金属を充填した旋回槽に移動磁場を印加して水平旋回による遠心力を溶融金属に与え、溶融金属と非金属介在物との比重差により非金属介在物を旋回槽中心に集め、衝突、吸着、凝集合体を促進することにより非金属介在物を浮上分離するという技術である。
【0004】
また、溶融金属を回流槽に受容し、この溶融金属を水平旋回させるとともに回流槽に不活性ガスを流して非金属介在物を浮上分離するタンディッシュに係る技術も知られている(例えば、特許文献3参照)。この非金属介在物を浮上分離する技術は、溶融金属を回流槽に受容する際に、水平一方向成分を有する角度の吐出孔を少なくとも1つ備えたロングノズル内から溶融金属を回流槽に導入し、このロングノズル内に不活性ガスを流しつつ、溶融金属を回流槽の旋回中心から離れた底面近傍位置で回流槽の接線方向に吐出することにより、溶融金属に遠心力を付与して非金属介在物を回流槽中心に集めると同時に、不活性ガスの気泡を回転中心部に集中させることによって、溶融金属中の非金属介在物をガス気泡に凝集・合体させて非金属介在物を浮上分離するという技術である。
【0005】
【特許文献1】特開平05−50193号公報
【特許文献2】特開平06−597号公報
【特許文献3】特開平07−290210号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されたCaO系耐火物からなる複数の板に非金属介在物を付着吸収させる溶融金属の清浄化方法においては、長期の連続使用により非金属系介在物のCaO系耐火物で形成された板への付着吸収が累積し、適切な板の間隔を維持できなくなる場合がある。よって、この構成では非金属系介在物の板への付着吸収が累積することにより、場合によっては操業を停止しなければならないという問題がある。また、この方法は積極的に乱流を発生させるために非金属系介在物の混合が促進され、タンディッシュ内での非金属系介在物の浮上分離の面においては、浮上率の低下をまねくことになる。
【0007】
一方、特許文献2に記載された溶融金属を水平旋回させて非金属介在物を浮上分離する技術においては、旋回槽内で発生した溶融金属の流速の旋回成分が浮上槽内まで達し、浮上槽内での溶融金属の流れが乱れることによって、浮上槽内での非金属介在物の浮上が阻害される場合がある。また、浮上槽に設けられた注湯ノズルが複数の場合には、浮上槽内での不均一な流速分布のために、各注湯ノズル出口での溶融金属の流量が不均一となることもある。ならびに、本技術は、移動磁場発生装置が必要であり、コストの増大、装置の複雑化をまねくことも考えられる。
【0008】
また、特許文献3に記載された溶融金属を水平旋回させるとともに回流槽に不活性ガスを流して非金属介在物を浮上分離する技術においては、特許文献2に記載された技術と同様、回流槽内で発生した溶融金属の流速の旋回成分が整流槽内まで達し、整流槽内での溶融金属の流れが乱れることによって、整流槽内での非金属介在物の浮上が阻害される場合がある。また、整流槽に設けられた注湯ノズルが複数の場合には、整流槽内での不均一な流速分布のために、各注湯ノズル出口での溶融金属の流量が不均一となることもある。ならびに、本技術は、回流槽の旋回中心から離れた位置にロングノズルを配置するため、構造上十分な強度を持たせたロングノズルが必要であり、また、不活性ガスの注入装置も必要となるので、コストの増大、装置の複雑化をまねくことも考えられる。
【0009】
本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであって、その目的は、非金属介在物の浮上分離を促進できるように溶融金属の流れをできるだけ乱さず、かつ簡易な構造のタンディッシュを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び効果】
【0010】
本発明に係るタンディッシュは、取鍋から溶融金属を受容する受容室と、前記溶融金属を鋳型に注湯する注湯室と、前記受容室と前記注湯室とを連通して前記溶融金属を前記受容室から前記注湯室に流すための連通路とを備えたタンディッシュに関する。そして、本発明に係るタンディッシュは、上記目的を達成するために以下のようないくつかの特徴を有している。すなわち、本発明のタンディッシュは、以下の特徴を単独で、若しくは、適宜組み合わせて備えている。
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係るタンディッシュにおける第1の特徴は、前記連通路は、長手方向を有し、かつ当該長手方向に対する垂直断面が、前記受容室から前記注湯室に向かって徐々に広がって形成されていることである。
【0012】
この構成によると、連通路が長手方向を有さない場合に比較して、取鍋から受容された溶融金属の連通路内での流速が落とされる効果は大きく、よって、連通路が長手方向を有さない場合に比較して、この連通路を経由して注湯室内に導入される溶融金属流の流速をより低下させることができる。従って、連通路が長手方向を有することにより、この連通路を経由して注湯室内に導入される溶融金属流の注湯室内での乱れをより抑えることができる。
【0013】
また、連通路の垂直断面が受容室から注湯室に向かって徐々に広がって連通路が形成されていることにより、この連通路内を流れる溶融金属は、その流れをほとんど乱されることなく徐々にその流速を低下して注湯室内に導入される。よって、注湯室に導入された際には、溶融金属の流速が低下しており、従って、溶融金属流の注湯室内での乱れは抑えられる。
【0014】
よって、溶融金属中に存在する非金属介在物の浮上率を高め、非金属介在物の浮上分離を促進できる。また、例えば、特許文献2に記載された移動磁場発生装置や、特許文献3に記載された不活性ガスの注入装置等の追加装置を有さないのでコストも抑えられ、構造も簡易なものとなる。
【0015】
また、本発明に係るタンディッシュにおける第2の特徴は、前記連通路の前記垂直断面は、前記受容室から前記注湯室に向かって、3°以上20°以下の角度のうちいずれか一定の角度で広がって形成されていることである。
【0016】
この構成によると、連通路内を流れる溶融金属流の乱れを防止する効果がより大きくなる。例えば、連通路の広がる角度が3°よりも小である場合、受容室出口の連通路の大きさ、注湯室入口の連通路の大きさ等によっては、連通路の内壁近傍で溶融金属流の乱れが生じることがある。また、連通路の広がる角度が20°よりも大である場合は、受容室出口の連通路の大きさ、注湯室入口の連通路の大きさに関わらず、連通路の内壁近傍で溶融金属流の乱れが生じることがある。よって、連通路の広がる角度を3°以上20°以下とすることにより、注湯室に導入された際の溶融金属流の注湯室内での乱れをより確実に抑えることができる。従って、溶融金属中に存在する非金属介在物の浮上率を高め、非金属介在物の浮上分離を促進できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面を参照しつつ説明する。本発明に係るタンディッシュは、例えば、製鉄プロセスの連続鋳造に用いるものである。但し、インゴット造塊などのバッチ式の鋳造プロセスでも用いることができる。
【0018】
図1は、本発明の一実施形態に係るタンディッシュ1の縦断面模式図である。本実施形態に係るタンディッシュ1は、取鍋から受容した溶融金属の中に含まれる非金属介在物を浮上分離して除去し、非金属介在物が除去された溶融金属を鋳型に注湯するための鋳造用の容器である。図1に示すように、このタンディッシュ1は、取鍋からの溶融金属を受容するための受容ノズル2が設けられこの溶融金属を受容する受容室3と、溶融金属中の非金属介在物を浮上分離し、かつ底面に溶融金属を鋳型に注湯するための注湯出口6が設けられ溶融金属を鋳型に注湯する注湯室5と、受容室3と注湯室5とを連通して溶融金属を受容室3から注湯室5に流すための連通路4とを備える溶解金属の容器である。図1における矢印は、溶融金属の流れ方向を示す。
【0019】
受容室3は、受容ノズル2を介して取鍋からの溶融金属を受容し、連通路4を介して溶融金属を注湯室5に流すためのものであり、受容室3の上部には溶融金属よりも比重が軽いアルミナ系やジルコニア系等の非金属介在物が浮上した非金属介在物層11が形成される。注湯室5は、連通路4を介して溶融金属を受け入れ、注湯出口6を介して溶融金属を後段設備の鋳型に注湯するためのものであり、また、溶融金属の中に含まれる上記非金属介在物を浮上分離し、除去するためのものである。注湯室5の上部には上記の非金属介在物が浮上した非金属介在物層11が形成される。尚、本実施形態に係る連通路4の断面形状は、円形であるが、連通路4の断面形状は、矩形でも、多角形でも良い。
【0020】
連通路4は、受容室3から注湯室5に向かって長手方向を有し、この長手方向に対する垂直断面が、受容室3から注湯室5に向かって徐々に広がって形成されている。これにより、連通路4内を流れる溶融金属は、その流れをほとんど乱されることなく徐々にその流速を低下して注湯室5内に導入される。よって、注湯室5に導入された際には、溶融金属の流速が低下しており、従って、溶融金属流の注湯室5内での乱れは抑えられる。また、簡易な構造であるため、製作等のコストも抑えることができる。尚、連通路4の断面積については、タンディッシュ1の大きさや鋳込み速度、連通路4の設けられる高さ等によって最適な大きさとするのが望ましい。
【0021】
次に、連通路4の垂直断面は、受容室3から注湯室5に向かって、一定の広がり角度αで広がって形成されており、かつ連通路4の長手方向に沿う中心線Cが水平になるように広がり角度αは設定されている。中心線Cが水平であることにより、溶融金属の主な流れが斜め下向きにならず、注湯室5の底面に設けられた注湯出口6に直接向かうことを防止でき、非金属介在物を含む溶融金属が最短経路で注湯出口6から吐出していくというような、非金属介在物の除去率の低下を抑制することができる。また、注湯室5内の上部に形成される非金属介在物層11に向かう斜め上向きの流れも防止でき、非金属介在物層11を攪拌するというような、非金属介在物の除去率の低下を招く流れを抑制することができる。ただし、必ずしも、連通路4の中心線Cが水平である必要はなく、注湯室5の形状や注湯出口6の位置等により、適宜変更される。
【0022】
また、連通路4の垂直断面は、必ずしも一定の広がり角度αで広がって形成されている必要はなく、例えば、連通路4の入口から出口に向かって、徐々に広がり角度αが大となっても良いし、逆に徐々に広がり角度αが小となっても良い。
【0023】
図2は、本発明の一実施形態に係るタンディッシュ1の平断面模式図である。図2に示すように、本実施形態に係るタンディッシュ1は、連通路4aと連通路4bとから形成される2本の連通路4を有している。連通路4が複数設けられることにより、例えば、1本の連通路4aが閉塞した場合でも、残りの連通路4bを使用することができるので、1本の連通路4aが閉塞したことによる操業の停止を避けることができる。また、連通路4が複数設けられることにより、例えば、連通路4の総断面積を等しくした場合には、連通路4が1つの場合に比較して溶融金属の連通路壁への接触総面積が大きくなり圧損抵抗が大きくなるので、連通路4が1つの場合に比較して溶融金属の連通路4内での流速が落とされる効果は大きく、よって、連通路4が複数設けられることにより、この連通路4を経由して注湯室内5に導入される溶融金属流の注湯室内での乱れをより小さくできる。尚、連通路4は2本に限られることはなく、1本でも良いし、3本等複数設けられていても良い。また、本実施形態では2つの連通路4を同じ形状としたが、これら連通路4の形状は、タンディッシュ1の大きさや、注湯出口6の形状・大きさ・位置・鋳込み条件等によって、適宜変更されても良い。
【0024】
また、本実施形態においては、連通路4aと連通路4bとは、互いに平行に配置されている。しかし、連通路4aにおける長手方向に沿う中心線C1の延長線と、連通路4bにおける長手方向に沿う中心線C2の延長線とは、連通路4が注湯室5に接続する注湯室5の接続壁面に対向する注湯室の対向壁面の近傍で交差しても良い。このようにすると、連通路4aからの溶融金属流と、連通路4bからの溶融金属流とが、連通路4から離れた上記対向壁面の近傍で合流することにより、溶融金属流の合流角度が小さくなるため、この2つの溶融金属流は、滑らかに合流することになる。従って、溶融金属の流れの乱れをより抑制することができる。
【0025】
さらに、この交差点は、連通路4が注湯室5に接続する注湯室5の接続壁面に対して垂直方向に注湯室5を2等分する垂直対称面A上でもあるとさらに好ましい。このようにすると、上記垂直対称面A上で連通路4aからの溶融金属流と、連通路4bからの溶融金属流とが合流するため、合流後の溶融金属流は、上記垂直対称面Aを基準面として対称に分散していく。従って、溶融金属の流れの乱れをより抑制することができる。
【0026】
尚、連通路4aにおける長手方向に沿う中心線C1の延長線と、連通路4bにおける長手方向に沿う中心線C2の延長線との交差点である溶融金属流の合流する位置は、注湯室5内であれば良く、上述のように、連通路4が注湯室5に接続する注湯室5の接続壁面に対向する注湯室の対向壁面の近傍で合流することに限られるものではない。合流後1つの大きな流れとなった溶融金属流は、注湯室5内の水平面上で対称な流動を実現し、よって溶融金属中に存在する非金属介在物の浮上率を高め、非金属介在物の浮上分離を促進できる。
【0027】
また、本実施形態に係るタンディッシュ1の連通路4aと、連通路4bとは、図2に示すように、連通路4が注湯室5に接続する注湯室5の接続壁面に対して垂直方向に注湯室5を2等分する上記垂直対称面Aの両側であって対称に設けられ、また、図1に示すように、どちらも垂直高さが等しくなるように設けられている。連通路4aと連通路4bとを、このように配置することは、注湯室5内での溶融金属の不均一な流れを防止するために好ましい。しかし、連通路4aと連通路4bとの配置は、これに限られるわけではない。
【0028】
また、注湯室5の底面には、溶融金属を後段設備の鋳型に注湯するための注湯出口6が2つ設けられている。尚、この注湯出口6は、生産効率やメンテナンス性を考慮して本実施形態のように複数、設けられることが好ましいが、本実施形態のように2つに限られるものでない。
【0029】
次に図3は、図1に示す連通路内の溶融金属流の状態を示す縦断面模式図である。図4は、断面が円形で徐々にその断面積が広がっていく通路のモデルを示す図である。また、図5は、図4に示すモデルの抵抗係数を示す図である。ここで、図3における矢印は、溶融金属の流れの状態及び方向を示す。また、図4及び図5におけるF及びFは、それぞれ通路の入口部及び出口部における通路の断面積を示し、w及びwは、それぞれ通路の入口部及び出口部における流体の流速を示し、D及びDは、それぞれ通路の入口部及び出口部における通路の直径を示し、l、l及びlは、それぞれ通路の各部の長さを示し、νは、流体の動粘性係数を示し、βは、通路の広がる角度を示し、Reは、レイノルズ数を示し、ζは、通路の抵抗係数を示す。尚、通路の広がる角度βは、本発明の一実施形態に係るタンディッシュ1の連通路4の広がり角度αに相当するものである。ここで、このζが大きくなると、図3に示すように、連通路4の内壁近傍に渦が発生し、渦が巻くことによる溶融金属流の逆流現象により、溶融金属流に乱れが生じる。
【0030】
図5に示すように、通路の広がる角度βが3°よりも小である場合、通路入口の断面積F、通路出口の断面積F等の条件によっては、通路の抵抗係数ζが大きくなる傾向がある(図5に示す、n=2,4の場合)。一方、nに対応する本実施形態に係るタンディッシュ1における注湯室5入口の連通路4の断面積と、受容室3出口の連通路4の断面積との比は、2以下である場合が多い。よって、受容室3出口の連通路4の大きさ、注湯室5入口の連通路4の大きさによっては、連通路4の抵抗係数が大きくなり、連通路4の内壁近傍に渦が発生し、溶融金属流の乱れが生じることがある。また、通路の広がる角度βが20°よりも大である場合は、通路入口の断面積F、通路出口の断面積F等の条件に関わらず、通路の抵抗係数ζが大きくなる傾向がある(図5に示す、n=2,4、6等の場合)。よって、受容室3出口の連通路4の大きさ、注湯室5入口の連通路4の大きさに関わらず、連通路4の抵抗係数が大きくなり、連通路4の内壁近傍に渦が発生し、溶融金属流の乱れが生じることがある。従って、連通路4の広がり角度αを3°以上20°以下とすることにより(図5に示す角度範囲B)、注湯室5に導入された際の溶融金属流の注湯室5内での乱れをより確実に抑えることができる。尚、本発明に係るタンディッシュにおける連通路の断面形状が円形でなく、例えば矩形等の場合は、その形状を円形形状に換算した大きさの断面で連通路4の広がり角度αを評価すれば良い。
【0031】
以下、図1及び図2に示す本発明の一実施形態に係るタンディッシュ1に基づいて行われた溶融金属中に含まれる非金属介在物の浮上分離についての数値解析結果に関して説明する。タンディッシュ1は、直径φ160mmの円形断面から直径φ200mmの円形断面に、受容室3から注湯室5まで一定の割合で広がる互いに平行な連通路4を2通路備えたものである。図6は、連通路4’a及び連通路4’bの長手方向に対する垂直断面積が、いずれも受容室3から注湯室5まで一定で、その他の構成は、上述するタンディッシュ1と同じタンディッシュ30を示す模式図であり、このタンディッシュ30に基づいて行われた数値解析結果を、比較対象として示す。尚、タンディッシュ30は、直径φ160mmの一定の円形断面を有した互いに平行な連通路4を2通路備えたものである。
【0032】
解析条件は、タンディッシュ1の数値解析も、タンディッシュ30の数値解析も同じ条件とし、100μmの粒子径を有するアルミナ系の非金属介在物粒子の流動解析を実施した。
【0033】
数値解析結果として、本発明の一実施形態に係るタンディッシュ1の解析結果は、浮上粒子の割合が約50%であった。それに対し、2つの連通路4’の長手方向に対する垂直断面積が受容室3から注湯室5までいずれも一定のタンディッシュ30の解析結果は、浮上粒子の割合が約38%であった。よって、タンディッシュ1の解析結果の方が明らかに浮上粒子の割合が高く、つまり、連通路4の垂直断面が受容室3から注湯室5に向かって徐々に広がって形成されるタンディッシュ1のほうが、浮上分離効率が高いことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係るタンディッシュを示す縦断面模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るタンディッシュを示す平断面模式図である。
【図3】図1に示す連通路内の溶融金属流の状態を示す縦断面模式図である。
【図4】断面が円形で徐々にその断面積が広がっていく通路のモデルを示す図である。
【図5】図4に示すモデルの抵抗係数を示す図である。
【図6】断面積一定の連通路が配置されたことを特徴とする他のタンディッシュを示す平断面模式図である。
【符号の説明】
【0035】
1 タンディッシュ
2 受容ノズル
3 受容室
4 連通路
5 注湯室
6 注湯出口
11 非金属介在物層
α 連通路4の広がり角度
A 注湯室5の垂直対称面
C 連通路4の中心線
30 断面積一定の連通路が配置された他のタンディッシュ
【出願人】 【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
【出願日】 平成18年8月3日(2006.8.3)
【代理人】 【識別番号】100089196
【弁理士】
【氏名又は名称】梶 良之

【識別番号】100104226
【弁理士】
【氏名又は名称】須原 誠


【公開番号】 特開2008−36660(P2008−36660A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−211904(P2006−211904)