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ダイカスト鋳造装置及びダイカスト鋳造方法 - 特開2008−36647 | j-tokkyo
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【発明の名称】 ダイカスト鋳造装置及びダイカスト鋳造方法
【発明者】 【氏名】山本 直哉

【要約】 【課題】鋳抜き穴の側部の加圧効果が高められ、且つ装置がコンパクトに構成されるダイカスト鋳造装置及びダイカスト鋳造方法を提供する。

【構成】キャビティ2に充填された溶融金属3が凝固する過程で、キャビティ2に露出させた加圧ピン1が溶融金属3に対して軸線方向へ引抜かれることにより、鋳抜き穴6の側部6aが、加圧ピン1の外周面に突出させた加圧球5によって加圧され、鋳抜き穴6の側部6aの加圧効果を高めることができる。また、加圧ピン1を軸線方向へ移動させるだけで鋳抜き穴6の側部6aを加圧することができ、加圧ピン1を軸線回りに回転させる必要がないので、装置を簡素且つコンパクトに構成することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
キャビティに充填された溶融金属が凝固する過程で、前記キャビティに露出させた加圧ピンが溶融金属に対して軸線方向へ引抜かれることにより、溶融金属に鋳抜き穴が形成されるダイカスト鋳造装置であって、
前記加圧ピンは、外周面に対して突出された加圧体を備え、前記加圧ピンが溶融金属に対して軸線方向へ引抜かれることにより、前記加圧体によって前記鋳抜き穴の側壁面が加圧されることを特徴とするダイカスト鋳造装置。
【請求項2】
前記加圧ピンは、円筒状に形成され軸線方向へ移動可能なアウタピンと、該アウタピンの中空部に摺動可能に収容されるインナピンと、前記アウタピンに設けられ前記加圧体を前記アウタピンの外周面に対して出没可能に収容する加圧体収容部と、を備え、
前記加圧体は、前記インナピンの外周面によって押し出されて前記アウタピンの外周面に突出すると共に、前記インナピンの小径部に沿って前記加圧ピンの軸線寄りに移動して前記アウタピンの外周面に対して引き込むことを特徴とする請求項1に記載のダイカスト鋳造装置。
【請求項3】
前記加圧体は球状に形成された加圧球であって、該加圧球は前記加圧ピンの軸線の回りに複数個が環状に配設されることを特徴とする請求項1又は2に記載のダイカスト鋳造装置。
【請求項4】
前記加圧球は、前記加圧ピンの軸線方向へ間隔を空けて複数列で設けられ、隣接する加圧球列間の軸線回りの位相がずらされることを特徴とする請求項3に記載のダイカスト鋳造装置。
【請求項5】
前記加圧体はC形に形成された加圧リングであって、該加圧リングの両端部が前記加圧ピンの軸線方向へ間隔を空けて前記加圧ピンの周方向にオーバーラップされることを特徴とする請求項1又は2に記載のダイカスト鋳造装置。
【請求項6】
前記加圧体はC形に形成された加圧リングであって、該加圧リングは、前記加圧ピンの軸線方向へ間隔をあけて複数列で設けられ、隣接する前記加圧リング相互間の軸線回りの位相がずらされることを特徴とする請求項1又は2に記載のダイカスト鋳造装置。
【請求項7】
キャビティに溶融金属を充填し、該溶融金属が凝固する過程で、前記キャビティに露出させた加圧ピンを溶融金属に対して軸線方向へ引抜き、前記加圧ピンに相対する鋳抜き穴の側壁面を前記加圧ピンの外周面に突出させた加圧体によって加圧することを特徴とするダイカスト鋳造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイカスト鋳造装置及びダイカスト鋳造方法に関するもので、特に、キャビティに充填された溶融金属を局部的に加圧する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
ダイカスト法においては、金型のキャビティに溶融金属を充填した後、凝固する過程の溶融金属に加圧ピンを圧入して溶融金属を局部的に加圧することが従来から行われている。これにより、凝固収縮相当量の溶融金属が部分的に補給され、ひけ巣が少ない高い品質の製品(ダイカスト)を得ることができる。ところで、凝固する過程の溶融金属に圧入された加圧ピンによって製品に形成された鋳抜き孔をねじ穴の下穴として利用する場合、鋳抜き穴、特に鋳抜き穴の側壁面の機械的性質(材料力学的性質)が問題になる。即ち、鋳抜き穴の底部においては、加圧ピンの加圧力が直接的に作用することで十分な加圧効果を得ることができるが、鋳抜き穴の側壁面においては、加圧ピンの加圧力が溶融金属を介して間接的に作用するため十分な加圧効果を得ることができず、ねじ穴の下穴としての強度が不足する。
【0003】
そこで、特許文献1には、加圧ピン(コアピン)の断面非円形の部分をキャビティの内部に露出させ、該キャビティに溶融金属を充填させた後、加圧ピンをその軸線回りに回転させるダイカスト法(加圧方法)が開示されている。このダイカスト法は、加圧ピンにおける断面形状が非円形部分の実体積と、該断面形状が非円形部分の回転体積と、の差分の溶融金属が加圧ピンの側方へ押し動かされ、これにより、加圧ピンの側方の溶融金属に対する加圧効果を高めるものである。
【特許文献1】特開平8−10931号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のダイカスト法は、加圧ピンにおける断面形状が非円形部分を凝固する過程の溶融金属中で回転駆動させる回転駆動機構(例えば、ロータリー油圧シリンダ)が必要になるため、構造が複雑化すると共に装置が大型化する。そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、鋳抜き穴の側壁面の加圧効果が高められ、且つ装置がコンパクトに構成されるダイカスト鋳造装置及びダイカスト鋳造方法を提供することを課題としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明のダイカスト鋳造装置は、加圧ピンは、外周面に対して突出された加圧体を備え、加圧ピンが溶融金属に対して軸線方向へ引抜かれることにより、加圧体によって鋳抜き穴の側壁面が加圧されることを特徴とする。
本発明のダイカスト鋳造装置によれば、キャビティに充填された溶融金属が凝固する過程で、加圧ピンを溶融金属に対して軸線方向へ引抜くことにより、加圧ピンに設けられた加圧体によって鋳抜き穴の側壁面が加圧され、鋳抜き穴の側壁面の加圧効果を高めることができる。また、加圧ピンを軸線方向へ引抜くだけで鋳抜き穴の側壁面が加圧されるため、加圧ピンをロータリアクチュエータの駆動によって回転させる従来のダイカスト鋳造装置と比較して装置をコンパクトに構成することができる。
【0006】
また、上記課題を解決するために、本発明のダイカスト鋳造方法は、キャビティに溶融金属を充填し、該溶融金属が凝固する過程で、キャビティに露出させた加圧ピンを溶融金属に対して軸線方向へ引抜き、加圧ピンに相対する鋳抜き穴の側壁面を加圧ピンの外周面に突出させた加圧体によって加圧することを特徴とする。
本発明のダイカスト鋳造方法によれば、キャビティに溶融金属を充填し、該溶融金属が凝固する過程で、加圧ピンを溶融金属に対して軸線方向へ引抜くことにより、加圧ピンの加圧体によって鋳抜き穴の側壁面を加圧することにより、鋳抜き穴の側壁面の加圧効果を高めることができる。
【0007】
(発明の態様)
以下に、本願において特許請求が可能と認識されている発明(以下、請求可能発明と称する)の態様を例示し、例示された各態様について説明する。ここでは、各態様を、特許請求の範囲と同様に、項に区分すると共に各項に番号を付し、必要に応じて他の項の記載を引用する形式で記載する。これは、請求可能発明の理解を容易にするためであり、請求可能発明を構成する構成要素の組み合わせを、以下の各項に記載されたものに限定する趣旨ではない。つまり、請求可能発明は、各項に付随する記載、実施形態の記載等を参酌して解釈されるべきであり、その解釈に従う限りにおいて、各項の態様にさらに他の構成要素を付加した態様も、また、各項の態様から構成要素を削除した態様も、請求可能発明の一態様となり得る。
なお、以下の各項において、(1)〜(7)項の各々が、請求項1〜7の各々に相当する。
【0008】
(1)キャビティに充填された溶融金属が凝固する過程で、キャビティに露出させた加圧ピンが溶融金属に対して軸線方向へ引抜かれることにより、溶融金属に鋳抜き穴が形成されるダイカスト鋳造装置であって、加圧ピンは、外周面に対して突出された加圧体を備え、加圧ピンが溶融金属に対して軸線方向へ引抜かれることにより、加圧体によって鋳抜き穴の側壁面が加圧されることを特徴とするダイカスト鋳造装置。
本項に記載のダイカスト鋳造装置は、キャビティに充填された溶融金属が凝固する過程でキャビティに露出させた加圧ピンが溶融金属に対して軸線方向へ引抜かれる。これにより、加圧体によって鋳抜き穴の側壁面が加圧され、鋳抜き穴の側壁面の加圧効果が高められる。従来、断面形状が非円形の加圧ピンを回転させ、加圧ピンにおける断面非円形部分の実体積と断面非円形部分の回転体積との差分の溶融金属を鋳抜き穴の側壁面に押し動かすことにより、鋳抜き穴の側壁面の加圧効果を高めるものがあるが、加圧ピンの断面非円形部分をロータリアクチュエータ等の駆動によって回転させる必要があるため、装置が大型化する。本項に記載のダイカスト鋳造装置は、加圧ピンを軸線方向へ引抜く動作で鋳抜き穴の側壁面を加圧することができるため、装置をコンパクトに構成することができる。
本項の態様において、加圧ピンは、例えば、金型(入れ子)に嵌着された加圧ピンブッシュによって軸線方向へ案内され、油圧シリンダの駆動によって前進(押出し動作)及び後退(引抜き動作)される。
【0009】
(2)加圧ピンは、円筒状に形成され軸線方向へ移動可能なアウタピンと、該アウタピンの中空部に摺動可能に収容されるインナピンと、アウタピンに設けられ加圧体をアウタピンの外周面に対して出没可能に収容する加圧体収容部と、を備え、加圧体は、インナピンの外周面によって押し出されてアウタピンの外周面に突出すると共に、インナピンの小径部に沿って加圧ピンの軸線寄りに移動してアウタピンの外周面に対して引込む(1)項に記載のダイカスト鋳造装置。
本項に記載の態様では、加圧体をインナピンの外周面によって加圧ピンの半径方向へ押出してアウタピンの外周面に対して突出させ、この状態で、キャビティに露出させた加圧ピンを溶融金属に対して軸線方向へ引抜くことにより、加圧体によって鋳抜き穴の側壁面が加圧され、鋳抜き穴の側壁面の加圧効果が高められる。
加圧ピンを金型(入れ子)に完全に引込むには、アウタピンに対してインナピンを軸線方向へ相対移動させてアウタピンの加圧体収容部をインナピンの小径部に臨ませ、インナピンの小径部に沿って加圧ピンの軸線寄りに移動させる(金型と加圧体収容部と小径部とによって囲まれる空間に加圧体を収容する)ことにより、加圧体をアウタピンの外周面に対して引込む。
【0010】
(3)加圧体は球状に形成された加圧球であって、該加圧球は加圧ピンの軸線の回りに複数個が環状に配設される(1)又は(2)項に記載のダイカスト鋳造装置。
本項に記載の態様では、加圧球はインナピンの外周面によって加圧ピンの半径方向へ押し出されてアウタピンの外周面に対して突出し、この状態で、キャビティに露出させた加圧ピンが溶融金属に対して軸線方向へ引抜かれることにより、鋳抜き穴の側壁面が、該側壁面を転動する加圧球によって加圧され、鋳抜き穴の側壁面の加圧効果が高められる。
加圧ピンを金型(入れ子)に完全に引込むには、アウタピンに対してインナピンを軸線方向へ相対移動させてアウタピンの加圧体収容部をインナピンの小径部に臨ませ、インナピンの小径部に沿って加圧ピンの軸線寄りに移動させる(金型と加圧体収容部と小径部とによって囲まれる空間に加圧体を収容する)ことにより、加圧球をアウタピンの外周面に対して引込めばよい。ここで、加圧体収容部は截頭円錐筒形(テーパ状の孔)に形成され、該加圧体収容部の形状及び加圧球の外形寸法(直径)により、アウタピンの外周面に対する加圧球の突出高さが決まる。また、複数個の加圧球が環状に一列に配設される場合、インナピンに形成される小径部は、当該インナピンの先端を先細りに形成すればよい。
本項の態様において、加圧体を加圧ローラとし、複数個の加圧ローラを加圧ピンの軸線の回りに環状に配設してダイカスト鋳造装置を構成することができる。この場合、加圧ローラがインナピンの外周面によって加圧ピンの半径方向へ押し出されてアウタピンの外周面に対して突出し、この状態で、キャビティに露出させた加圧ピンを溶融金属に対して軸線方向へ引抜くことにより、鋳抜き穴の側壁面が、該側壁面を転動する加圧ローラによって加圧され、鋳抜き穴の側壁面の加圧効果が高められる。なお、この場合の加圧体収容部は、加圧ピンを溶融金属に対して軸線方向へ引抜くことで、各加圧ローラが転動しながら加圧ピンが鋳抜き穴に対して軸線方向へ相対移動するように、各加圧ローラを支持する。
【0011】
(4)加圧球は、加圧ピンの軸線方向へ間隔を空けて複数列で設けられ、隣接する加圧球列間の軸線回りの位相がずらされる(3)項に記載のダイカスト鋳造装置。
(3)項に記載のダイカスト鋳造装置では、複数個の加圧球が加圧ピンの軸線の回りに一列に配設される場合、隣接する加圧球間に加圧ピン周方向の隙間が空く。したがって、加圧ピンを軸線方向へ真直ぐ引抜いた場合、鋳抜き穴の側壁面に加圧されない部分が生じ、鋳抜き穴の側壁面全体を加圧することができない。そこで、本項に記載の態様では、加圧球が環状に配設された加圧球列を複数列で設け、さらに、軸線方向に隣接する加圧球列間の軸線回りの位相をずらすことにより、例えば、第1の加圧球列によって加圧することができなかった鋳抜き穴の側壁面を、第2の加圧球列によって加圧することが可能になり、鋳抜き穴の側壁面全体をムラなく加圧するようにしたものである。
本項の態様において、加圧球を加圧ローラとした場合も、加圧ローラが環状に配設された加圧ローラ列を複数列で設け、さらに、軸線方向に隣接する加圧ローラ列間の軸線回りの位相をずらすことにより、鋳抜き穴の側壁面全体をムラなく加圧することができる。
【0012】
(5)加圧体はC形に形成された加圧リングであって、該加圧リングの両端部が加圧ピンの軸線方向へ間隔を空けて加圧ピンの周方向にオーバーラップされる(1)又は(2)項に記載のダイカスト鋳造装置。
本項に記載の態様では、キャビティに露出させた加圧ピンが溶融金属に対して軸線方向へ引抜かれることにより、鋳抜き穴の側壁面がアウタピンの外周面に対して突出した加圧リングによって加圧され、鋳抜き穴の側壁面の加圧効果が高められる。そして、加圧リングの両端部をオーバーラップさせたことで、鋳抜き穴の側壁面全体をムラなく加圧することが可能になる。
加圧ピンを金型(入れ子)に完全に引込むには、アウタピンに対してインナピンを軸線方向へ相対移動させてアウタピンの加圧体収容部をインナピンの小径部に臨ませ、加圧リングを縮径させることにより、加圧リングをアウタピンの外周面に対して引込めばよい。
【0013】
(6)加圧体はC形に形成された加圧リングであって、該加圧リングは、加圧ピンの軸線方向へ間隔をあけて複数列で設けられ、隣接する加圧リング相互間の軸線回りの位相がずらされる(1)又は(2)項に記載のダイカスト鋳造装置。
本項に記載の態様では、キャビティに露出させた加圧ピンが溶融金属に対して軸線方向へ引抜かれることにより、鋳抜き穴の側壁面がアウタピンの外周面に対して突出した各加圧リングによって加圧され、鋳抜き穴の側壁面の加圧効果が高められる。そして、隣接する加圧リング相互間の軸線回りの位相をずらしたことにより、鋳抜き穴の側壁面全体をムラなく加圧することが可能になる。
加圧ピンを金型(入れ子)に完全に引込むには、アウタピンに対してインナピンを軸線方向へ相対移動させてアウタピンの加圧体収容部をインナピンの小径部に臨ませ、各加圧リングを縮径させることにより、加圧リングをアウタピンの外周面に対して引込めばよい。
【0014】
(7)キャビティに溶融金属を充填し、該溶融金属が凝固する過程で、キャビティに露出させた加圧ピンを溶融金属に対して軸線方向へ引抜き、加圧ピンに相対する鋳抜き穴の側壁面を加圧ピンの外周面に突出させた加圧体によって加圧することを特徴とするダイカスト鋳造方法。
本項に記載のダイカスト鋳造方法は、キャビティに充填された溶融金属が凝固する過程で、キャビティに露出させた加圧ピンを溶融金属に対して軸線方向へ引抜くことで、鋳抜き穴の側壁面が加圧体によって加圧され、鋳抜き穴の側壁面の加圧効果を高めることができる。
本項に記載の態様では、加圧ピンを金型(入れ子)に引込まれた状態でキャビティに溶融金属を充填した後、加圧体が引込まれた状態の加圧ピンを溶融金属内に押出し、溶融金属が凝固する過程で加圧ピンの外周面に加圧体を突出させ、該加圧ピンを溶融金属に対して軸線方向へ引抜き、加圧ピンに相対する鋳抜き穴の側壁面を加圧ピンの外周面に突出させた加圧体によって加圧することもできる。加圧ピンの周囲の溶融金属が部分的に加圧され、よりひけ巣の少ないダイカストを得ることができる。
【発明の効果】
【0015】
鋳抜き穴の側壁面の加圧効果が高められ、且つ装置がコンパクトに構成されるダイカスト鋳造装置及びダイカスト鋳造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の一実施形態を図1〜図6に基づき説明する。本ダイカスト鋳造装置は、加圧ピン1が露出させたキャビティ2に溶融金属3が充填され、凝固過程の溶融金属3から加圧ピン1が軸線方向へ引抜かれる。これにより、加圧ピン1の外周面(アウタピン4の外周面4a)に突出した複数個(本実施形態では、8個)の加圧球5(加圧体)によって鋳抜き穴6の側壁面6aが加圧され、鋳抜き穴6の側壁面6aの加圧効果が高められる。加圧ピン1は、金型(入れ子)8に嵌め込まれたブッシュ9によって、軸線方向(図1における左右方向)へ移動可能に支持され、円筒状に形成されたアウタピン4と、該アウタピン4の中空部に摺動可能に収容されるインナピン7とによって構成される。そして、加圧ピン1は、アウタピン駆動用油圧シリンダの駆動によってアウタピン4とインナピン7とが一体で軸線方向へ移動され、インナピン駆動用油圧シリンダの駆動によってアウタピン4に対してインナピン7が軸線方向へ相対移動される。
【0017】
アウタピン4は、端面から所定距離にある軸直角断面上に、複数個(本実施形態では、8個)の加圧球収容部10(加圧体収容部)が環状に設けられる。加圧球収容部10は、アウタピン4の内周面4bから外周面4aに向けて縮径された截頭円錐筒状(テーパ状)に形成され、各加圧球収容部10の軸線はアウタピン4の軸線上で交差する。なお、加圧球収容部10は、アウタピン4の外周面4a側の開口の外形寸法が加圧球5の直径よりも小さく、且つアウタピン4の内周面4b側の開口の外形寸法が加圧球5の直径よりも大きく形成される。そして、加圧ピン1は、各加圧球収容部10に、アウタピン4の内周面4b側からそれぞれ加圧球5が挿入され、インナピン7の外周面7aによって各加圧球5が加圧ピン1の半径方向へ押し出される。これにより、図6に示されるように、アウタピン4の外周面4aに、複数個の加圧球5が加圧ピン1の軸線の回りに環状に突出される。
【0018】
本ダイカスト鋳造装置は、図3に示されるように、アウタピン駆動用油圧シリンダの駆動によってアウタピン4とインナピン7とを一体で引抜き側(図3における右側)へ移動させることにより、鋳抜き穴6の側壁面6aを各加圧球5によって加圧しながら、加圧ピン1が凝固過程の溶融金属3から引抜かれる。そして、図4に示されるように、加圧ピン1の各加圧球5がブッシュ9に当接する直前のタイミングで、インナピン駆動用油圧シリンダの駆動によってインナピン7をアウタピン4に対して引抜き側へ所定ストロークだけ相対移動させることにより、各加圧球5が、インナピン7の先端のテーパ部11(小径部)に沿って加圧ピン1の軸線側へ移動可能になる。この状態で、アウタピン駆動用油圧シリンダの駆動によってアウタピン4とインナピン7とを一体で引抜き側へ移動させることにより、図5に示されるように、各加圧球5は、ブッシュ9と加圧球収容部10とテーパ部11とによって囲まれる空間に収容される。
【0019】
これにより、各加圧球5がアウタピン4の外周面4aに対して加圧ピン1の軸線側に引込まれ、加圧ピン1がブッシュ9に完全に収容される(アウタピン4の端面がブッシュ9の端面に対して突出しない)。なお、図1に示されるように、アウタピン4は、内周面4bの先端部(加圧球収容部10よりも先端側)がテーパ状に縮径して形成され、インナピン7の端面がアウタピン4の端面に対して突出しない構造になっている。
【0020】
次に、本ダイカスト鋳造方法を説明する。まず、図1に示されるように、金型8に形成されたキャビティ2に加圧ピン1を露出させておく。ここで、アウタピン4は前進限(図1における左側への移動限界)の状態にある。また、インナピン7はアウタピン4に対して前進限(図1における左側への移動限界)の状態にあり、各加圧球5(加圧体)はアウタピン4の外周面4aに対して突出した状態である。なお、アウタピン4の端面とインナピン7の端面とは同一高さにあり、加圧ピン1の端面におけるアウタピン4とインナピン7との隙間は溶融金属3の進入がない最小隙間である。この状態で、図2に示されるように、加圧ピン1が露出させたキャビティ2に溶融金属3が充填される。次に、キャビティ2に充填された溶融金属3が凝固する過程で、図3に示されるように、加圧ピン1が溶融金属3に対して軸線方向へ所定速度で引抜かれる。これにより、溶融金属3に形成された鋳抜き穴6(直径がアウタピン4の外形寸法d1に略等しい鋳抜き穴6)の側壁面6aが、転動する各加圧球5によって加圧ピン1の半径方向へ加圧され、直径がd2(d2>d1)に拡径される。
【0021】
そして、各加圧球5がブッシュ9に当接する直前のタイミングで加圧ピン1の引抜き動作を一時停止させ、インナピン7をアウタピン4に対して後退(図4における右方向へ移動)させる。これにより、各加圧球5はインナピン7のテーパ部(小径部)に沿って加圧ピン1の軸線に向けて移動可能、即ち、各加圧球5を配置する円環の直径d3(図6参照)を縮径可能な状態になる。そして、インナピン7がアウタピン4に対して後退限(図4における右側への移動限界)の状態になると、各加圧球5がアウタピン4の外周面4aに対して完全に引込まれ、図5に示されるように、加圧ピン1がブッシュ9に完全に引込まれる(鋳抜き穴6から完全に引抜かれる)。
【0022】
この実施形態では以下の効果を奏する。
本ダイカスト鋳造装置は、キャビティ2に充填された溶融金属3が凝固する過程で、キャビティ2に露出させた加圧ピン1が溶融金属3に対して軸線方向へ引抜かれることにより、鋳抜き穴6の側壁面6aが、加圧ピン1の外周面(アウタピン4の外周面4a)に突出させた加圧球5によって加圧され、鋳抜き穴6の側壁面6aの加圧効果を高めることができる。
また、本ダイカスト鋳造装置は、加圧ピン1を軸線方向へ移動させるだけで鋳抜き穴6の側壁面6aを加圧することができ、従来のダイカスト鋳造装置(特許文献1参照)のように、加圧ピン1を軸線方向へ移動させるのに加えて軸線回りに回転させる必要がないので、装置を簡素且つコンパクトに構成することができる。
さらに、本ダイカスト鋳造装置は、転動する各加圧球5によって鋳抜き穴6の側壁面6aが加圧されるので、加圧球5が鋳抜き穴6の側壁面6aで引きずられることがなく、鋳抜き穴6の側壁面6aの被加圧面(内周面)を精度よく仕上げることが可能になる。
【0023】
なお、実施形態は上記に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
本実施形態では、インナピン7の先端のテーパ部11を小径部としたが、図7に示されるように、インナピン7の中間部に環状の溝を設けてこれを小径部12としてもよい。
この場合、キャビティ2に加圧ピン1を露出させておき、この状態で、図8に示されるように、キャビティ2に溶融金属3が充填される。次に、キャビティ2に充填された溶融金属3が凝固する過程で、図9に示されるように、アウタピン4のみが溶融金属3に対して軸線方向へ所定速度で引抜かれる。これにより、溶融金属3に形成された鋳抜き穴6の側壁面6aが、転動する各加圧球5によって加圧ピン1の半径方向へ加圧される。そして、図10に示されるように、各加圧球5は、各加圧球5がブッシュ9に当接する直前で、インナピン7の小径部12に沿って加圧ピン1の軸線に向けて移動し、アウタピン4の外周面4aに対して完全に引込まれる。そして、図11に示されるように、アウタピン4がブッシュ9に完全に引込まれた時点で、型開きが可能になる。
【0024】
本実施形態では、複数個の加圧球5を加圧ピン1の軸線回りに環状に一列で配置したが、図12に示されるように、環状に配置された加圧球5を軸線方向へ複数列(図12は2列)で設けてもよい。
この場合、加圧球5の列間の軸線回りの位相がずらされる。これにより、最初の列の加圧球5によって加圧することができなかった部分(鋳抜き穴6の側壁面6a)を、次の列の加圧球5によって加圧することが可能になり、鋳抜き穴6の側壁面6a全体をムラなく加圧することが可能になる。また、加圧球5を複数列で設けた場合、小径部12(図7参照)はインナピン7の中間部に形成される。
【0025】
本実施形態では、転動する加圧球5(加圧体)によって鋳抜き穴6の側壁面6aが加圧される構成としたが、加圧球5を、鋳抜き穴6の側壁面6aを転動しながら加圧する加圧ローラとしてもよい。
この場合、キャビティ2に露出させた加圧ピン1を溶融金属3に対して軸線方向へ引抜くことにより、鋳抜き穴6の側壁面6aが、転動する加圧ローラによって加圧され、鋳抜き穴6の側壁面6aの加圧効果が高められる。なお、加圧ローラを用いた場合の加圧体収容部は、加圧ピン1を溶融金属に対して軸線方向へ引抜くことにより各加圧ローラが鋳抜き穴6の側壁面6aを転動するように各加圧ローラを支持する。
【0026】
図13に示されるように、加圧体をC形に形成された加圧リング13としてもよい。
この場合、キャビティ2に露出させた加圧ピン1が溶融金属3に対して軸線方向へ引抜かれることにより、アウタピン4の外周面4aに対して突出させた加圧リング13によって、鋳抜き穴6の側壁面6aが加圧され、鋳抜き穴6の側壁面6aの加圧効果を高めることができる。そして、加圧リング13の両端部を、加圧ピン1の軸線方向へ間隔を空けて加圧ピン1の周方向にLだけオーバーラップさせることにより、鋳抜き穴6の側壁面6a全体をムラなく加圧することが可能になる。なお、この場合の加圧体収容部はアウタピン4に形成される溝である。そして、アウタピン4とインナピン7とを相対移動させ、加圧リング13をインナピン7の小径部に沿わせて縮径させることにより、加圧リング13をアウタピン4の外周面4aに対して引込めることができる。
【0027】
また、図13に示されるように、加圧体をC形に形成された複数個の加圧リング14としてもよい。
この場合、キャビティ2に露出させた加圧ピン1が溶融金属3に対して軸線方向へ引抜かれることにより、アウタピン4の外周面4aに対して突出させた複数個の加圧リング14によって、鋳抜き穴6の側壁面6aが加圧され、鋳抜き穴6の側壁面6aの加圧効果を高めることができる。そして、加圧リング14相互間の軸線回りの位相をずらしたことにより、鋳抜き穴6の側壁面6a全体をムラなく加圧することが可能になる。加圧ピン1を金型(入れ子)8に完全に引込むには、アウタピン4に対してインナピン7を軸線方向へ相対移動させてアウタピン4の加圧体収容部をインナピン7の小径部に臨ませ、各加圧リング14を縮径させることにより、各加圧リング14をアウタピン4の外周面4aに対して引込めばよい。なお、この場合の加圧体収容部はアウタピン4に形成される複数個の溝である。そして、アウタピン4とインナピン7とを相対移動させ、加圧リング14をインナピン7の小径部に沿わせて縮径させることにより、加圧リング14をアウタピン4の外周面4aに対して引込めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本実施形態の説明図であって、加圧ピンがキャビティに露出した状態を示す図である。
【図2】図1の状態において、キャビティに溶融金属が充填された状態を示す図である。
【図3】図2の状態において、溶融金属の凝固過程で加圧ピンが軸線方向へ引抜かれ、鋳抜き穴の側壁面を加圧する加圧球がブッシュに当接する直前の状態を示す図である。
【図4】図3の状態において、インナピンをアウタピンに対して後退させた状態を示す図である。
【図5】本実施形態の説明図であって、加圧ピンが金型(入れ子)に完全に引込まれた状態を示す図である。
【図6】本実施形態の説明図であって、加圧球が加圧ピンの軸線回りに環状に配置された状態を示す図である。
【図7】他の実施形態の説明図であって、加圧ピンがキャビティに露出した状態を示す図である。
【図8】図7の状態において、キャビティに溶融金属が充填された状態を示す図である。
【図9】図8の状態において、溶融金属の凝固過程でアウタピンが軸線方向へ引抜かれ、鋳抜き穴の側壁面を加圧する加圧球がブッシュに当接する直前の状態を示す図である。
【図10】図9の状態において、アウタピン4がさらに軸線方向へ移動することで、各加圧球が小径部に沿って加圧ピンの軸線寄りに移動する状態を示す図である。
【図11】図10の状態において、アウタピン4がさらに軸線方向へ移動することで、各加圧球がアウタピンの外周面に対して完全に引込まれ、アウタピンが金型(入れ子)に完全に引込まれた状態を示す図である。
【図12】他の実施形態の説明図であって、加圧球が加圧ピンの軸線回りに環状に複数列で配置された状態を示す図である。
【図13】他の実施形態の説明図であって、加圧体が加圧リングである場合の説明図である。
【符号の説明】
【0029】
1 加圧ピン、2 キャビティ、3 溶融金属、4 アウタピン、4a 外周面、5 加圧球(加圧体)、6 鋳抜き穴、6a 側壁面、7 インナピン、7a 外周面、8 金型(入れ子)、10 加圧球収容部(加圧体収容部)、11 テーパ部(小径部)
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成18年8月2日(2006.8.2)
【代理人】 【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫

【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫

【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫

【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫

【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏

【識別番号】100093193
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 壽夫


【公開番号】 特開2008−36647(P2008−36647A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−211047(P2006−211047)