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溶鋼の連続鋳造用浸漬ノズルおよび連続鋳造方法 - 特開2008−30089 | j-tokkyo
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【発明の名称】 溶鋼の連続鋳造用浸漬ノズルおよび連続鋳造方法
【発明者】 【氏名】上本 和雄

【要約】 【課題】連続鋳造において、モールドパウダーに起因する非金属介在物の欠陥が少なく、凝固シェルの再溶解による表面微小割れの少ない鋳片を安定して鋳造可能とする形状の浸漬ノズルおよびその鋳造方法を提供する。

【構成】水平から上向きに5〜15°の4孔の吐出口2を持ち、モールド3内の溶鋼に浸漬したときの溶鋼表面のメニスカス4におけるノズル断面径をDmとし、吐出口でのノズル断面径をDtとするとき、Dm>Dtを満足し、連続鋳造機の長方形モールドの縦をH、横をWとするとき、吐出口2でのノズル断面径のDtは、Dt≦0.4×(H・W)1/2を満足する溶鋼の連続鋳造用の浸漬ノズル1。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モールド内の溶鋼に浸漬したときの溶鋼表面のメニスカスにおけるノズル断面径をDmとし、吐出口でのノズル断面径をDtとするとき、Dm>Dtを満足し、連続鋳造機の長方形モールドの縦をH、横をWとするとき、吐出口でのノズル断面径のDtは、Dt≦0.4×(H・W)1/2(以下、「0.4√(H・W)」と示す。)を満足することを特徴とする溶鋼の連続鋳造用の浸漬ノズル。
【請求項2】
水平から上向きに5〜15°の4孔の吐出口を持ち、モールド内の溶鋼に浸漬したときの溶鋼表面のメニスカスにおけるノズル断面径をDmとし、吐出口でのノズル断面径をDtとするとき、Dm>Dtを満足し、連続鋳造機の長方形モールドの縦をH、横をWとするとき、吐出口でのノズル断面径のDtは、Dt≦0.4√(H・W)を満足することを特徴とする溶鋼の連続鋳造用の浸漬ノズル。
【請求項3】
縦をH、横をWとする長方形のモールドにより連続鋳造を行う際、上記の請求項1または2に記載の浸漬ノズルを用いることを特徴とする溶鋼の連続鋳造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、断面形状が長方形の鋼ブルームの連続鋳造において、微小割れやパウダー欠陥を防止しうる連続鋳造用の浸漬ノズルおよびこの浸漬ノズルを使用の連続鋳造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
溶鋼の連続鋳造においては、鋳型内における凝固過程の安定性と、製品の欠陥の原因となる鋳片内非金属介在物や鋳片の表面疵の低減が求められている。溶鋼の連続鋳造においては、鋳型内に溶鋼を注入する手段として耐火物製の浸漬ノズルが使用される。この浸漬ノズルには種々の形状のものがあるが、ブルームなどを鋳造する際には、斜め上向きの4孔の吐出口を持つ浸漬ノズルを用いることが多い。
【0003】
長時間にわたり連続鋳造を行うと、浸漬ノズルの耐火物がモールド内の溶鋼表面上のモールドパウダーによって溶損されるため、浸漬ノズルの耐火物の肉厚を厚くした太い径の浸漬ノズルを使用することがある。
【0004】
このような肉厚を厚くした太い径の浸漬ノズルを使用すると、吐出口からの吐出流の直進性が強くなる結果、モールド内の上部のメニスカスの方に溶鋼が流れ、この高温の溶鋼の流れによって鋳片ブルームの凝固シェルの厚さが薄くなり、ブルーム表面の微小割れが生じ、微小割れの中にモールドパウダーが流れ込むことにより、製品にパウダー欠陥などが生成していた。
【0005】
従って、モールド内部の溶鋼流れを安定化させることが重要であり、このために浸漬ノズルの形状を規定することで、メニスカスの方の流れを安定させる方法が種々提案されている。
【0006】
従来の方法として、タンディッシュから溶湯を供給する給湯口1と、筒状の側壁部2と、側壁部の下面開口を覆う底壁部3と、側壁部2に形成され、溶湯を鋳型内に吐出する第1出湯口と、底壁部3に形成され、第1出湯口からの吐出流速を調整する第2出湯口を設けたことにより、第1出湯口からの吐出量を調整でき、凝固シェルの再溶解による問題発生を効果的に防止することができる考案が提案さている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
しかし、この方法では、長い連々鋳を行った場合、第2出湯口近傍の耐火物が溶損し、第1出湯口への溶鋼供給量の低下および第2出湯口からの溶鋼供給過多による介在物の巻き込みを引き起こす可能性がある。
【0008】
出願人は、ノズル先端側の側面に周方向の90度毎に各1つの吐出口を配して計4つの吐出口を均等間隔に配する浸漬ノズルにおいて、隣り合う90度毎の吐出口の口径を相違する大きさとし、かつ、一つ置きの180度毎の吐出口の口径を同一の大きさとし、これらの4つの吐出口のうち小径である2つの吐出口の各開口面積を大径である2つの吐出口の各開口面積の50%〜95%とした連続鋳造用浸漬ノズルを提案している(例えば、特許文献2参照。)。
【0009】
この方法でも長い連々鋳を行うためには、浸漬ノズルの耐火物の肉厚を厚くした太い径の浸漬ノズルを使用する必要があり、その際、ブルーム表面の微小割れや微小割れの中にモールドパウダーが流れ込むことにより、製品にパウダー欠陥などが生成する可能性がある。
【0010】
【特許文献1】実開平06−41950号公報
【特許文献2】特開20006−116580号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
連続鋳造において、モールドパウダーに起因する非金属介在物の欠陥が少なく、凝固シェルの再溶解による表面微小割れの少ない鋳片を安定して鋳造可能とする形状の浸漬ノズルおよびその鋳造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するための手段は、浸漬ノズルの最も溶損する部分であるメニスカスと接触する部分のノズル径は耐火物肉厚を確保するため、必要なだけ径を厚くし、溶鋼に浸漬しているノズル部分は吐出流が上向きに流れ過ぎないように径を小さくする。すなわち、請求項1の発明では、モールド内の溶鋼に浸漬したときの溶鋼表面のメニスカスにおけるノズル断面径をDmとし、吐出口でのノズル断面径をDtとするとき、Dm>Dtを満足し、連続鋳造機の長方形モールドの縦をH、横をWとするとき、吐出口でのノズル断面径のDtは、Dt≦0.4×(H・W)1/2(以下、「0.4√(H・W)」と示す。)を満足することを特徴とする溶鋼の連続鋳造用の浸漬ノズルである。
【0013】
請求項2の発明では、水平から上向きに5〜15°の4孔の吐出口を持ち、モールド内の溶鋼に浸漬したときの溶鋼表面のメニスカスにおけるノズル断面径をDmとし、吐出口でのノズル断面径をDtとするとき、Dm>Dtを満足し、連続鋳造機の長方形モールドの縦をH、横をWとするとき、吐出口でのノズル断面径のDtは、Dt≦0.4√(H・W)を満足することを特徴とする溶鋼の連続鋳造用の浸漬ノズルである。
【0014】
請求項3の発明では、縦をH、横をWとする長方形のモールドにより溶鋼の連続鋳造を行う際、上記の請求項1または2の手段の浸漬ノズルを用いることを特徴とする溶鋼の連続鋳造方法である。
【0015】
上記の手段の条件設定の理由を説明すると、通常、浸漬ノズルは、モールド内のメニスカス付近の溶鋼の置換および温度供給を目的として、水平より上向きに吐出口を配設している。また、長連々の連続鋳造方法を実施する際には、メニスカスで浸漬ノズルが溶損するため、ノズルの耐火物の肉厚を厚くして、より長い連続鋳造に耐えられるようにするのが一般的である。
【0016】
しかし、モールドの断面積に対し、浸漬ノズルの断面積が大きくなると、浸漬ノズルからの吐出流が直線的に流れやすくなり、その結果、モールドの上部まで吐出流が影響し、ブルーム表面の微小割れやモールドパウダーによる欠陥を生じやすくなる。
【0017】
特に、それはモールド断面の縦をH、横をWとし、浸漬ノズルの吐出口でのノズル断面径をDtとした場合、Dt>0.4√(H・W)を満足するときに生じやすくなる。従って、長連々のため、浸漬ノズルの径を太くしなければならない場合、メニスカスでの浸漬ノズル径を太くし、溶鋼中に浸漬するノズル径はDt≦0.4√(H・W)とすることで、ブルーム表面の微小割れやパウダー欠陥を低減することが可能となる。
【0018】
さらに、浸漬ノズルの孔の吐出口の向きを水平から5〜15°上向きに限定した理由を説明すると、浸漬ノズルの孔の吐出口の向きを水平から上向きとする角度が5°未満であると、メニスカスの方への溶鋼の流れが少なくなって溶鋼の置換が少なくデッケルすなわち凝固シェルなどの生成が懸念される。一方、浸漬ノズルの孔の吐出口の向きを水平から上向きとする角度が15°を超えると、メニスカスへの流れが強すぎ、パウダーなどの巻き込みが懸念されるからである。さらに、浸漬ノズルの孔の数を4孔とした理由について説明する。浸漬ノズルは2孔と4孔のものがあるが、2個のものはスラブ連鋳機用で、4孔のものはブルーム用またはビレット用であるのが一般的である。スラブ連鋳機は横長の長方形であるため、この2孔の浸漬ノズルは、浸漬部分の径を細くすることで流れを制御し、疵を抑制するためには効果がない。そこで、ブルームに適した4孔の浸漬ノズルとする。
【発明の効果】
【0019】
以上に説明したように、本発明の手段の浸漬ノズルを溶鋼の連続鋳造に適用することにより、連続鋳造による鋳片ブルームにおけるブルーム表面の微小割れやモールドパウダーの流れ込みによるパウダー欠陥の少ない鋼を鋳造することができるなど、本発明は優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明の実施の最良の形態について、表および図面を参照して下記の実施例1を通じて説明する。先ず、本発明の連続鋳造用の浸漬ノズル1について説明する。浸漬ノズル1は、モールド3内の溶鋼に浸漬したときの溶鋼表面のメニスカス4におけるノズル断面径をDmとし、吐出口2の側のノズル断面径をDtとするとき、Dm>Dtを満足する。さらに、長方形のモールド3の縦をH、横をWとするとき、本発明における浸漬ノズル1は以下の実施例1の発明例1〜7における仕様からなり、これらの実施例におけるノズル下部の吐出口2の側におけるノズル断面径Dtは、Dt≦0.4√(H・W)を満足するものであった。
【0021】
さらに、本発明の連続鋳造用の浸漬ノズル1は、図1に示すように、ノズル下端部に水平から上向きに5〜15°の4孔の吐出口2を有するものとすることができる。この浸漬ノズル1はモールド3内の溶鋼に浸漬したときの溶鋼表面のメニスカス4におけるノズル断面径をDmとし、吐出口2の側のノズル断面径をDtとするとき、Dm>Dtを満足する。さらに、長方形のモールド3の縦をH、横をWとするとき、本発明における浸漬ノズル1は吐出口2の孔の数が4孔であり、それらの孔の向きが規定されるが、上記と同様に実施例1の発明例1〜7における仕様からなり、これらの実施例におけるノズル下部の吐出口2の側におけるノズル断面径Dtは、Dt≦0.4√(H・W)を満足するものであった。
【0022】
さらに縦型の連続鋳造機により溶鋼(鋼種は軸受鋼(JIS規格 SUJ2))を連続鋳造する際に、タンディッシュのノズルとして下記の実施例1の発明例1〜7の仕様の浸漬ノズル1を使用して、縦H、横Wの長方形モールド3により、溶鋼を連続鋳造し、鋳片であるブルーム表面に微小割れやモールドパウダーの流れ込みによるパウダー欠陥の少ないブルームを得た。
【実施例1】
【0023】
以下、詳細な実施例を表1の比較例1〜7、本発明例1〜7を通じて説明する。連続鋳造で鋳片を鋳造速度0.5m/minで鋳造した場合の、モールドサイズの縦H、横W、および、浸漬ノズルの仕様および条件であるメニスカス径Dm、浸漬部径、並びに、微小割れ指数、パウダー介在物指数を表1に示す。なお、全ての例において、浸漬ノズルの孔の吐出口の向きは、水平から上向きに10°とし、孔の数は4孔とした。
【0024】
【表1】


【0025】
表1において、微小割れ指数は、鋳造後のブルームの基準単位長さ当たりの疵総長さを指数化して示したものである。全く疵のない場合が0で、比較例1の疵総長さを100とした相対値で示す。さらに、パウダー介在物指数は、具体的には490×380mmのブルームをφ167mmに圧延した鋼片の中心から40mmの位置を中心とした40mm×40mm、長さ70mmのテストピースを切り出し、それらをスライム溶解したのち、スライム溶解で抽出された37μm以上の非金属介在物のうち、EPMAを用いて得たモールドパウダー成分であるNa2O、SiO2、Al23、CaOを含んでいるものの個数を、比較例1を100として指数で示したものである。いずれの指数も80以下となることが望ましい。
【0026】
表1において、比較例1、2、5のようにメニスカス径Dmが浸漬部径Dtより大きい段つきの浸漬ノズルで、浸漬部径Dtが0.4√(H・W)の値以上の場合、また、比較例3、4、6、7のようにメニスカス部径Dmが浸漬部径Dtと同じ大きさの段なしの浸漬ノズルでも、浸漬部径Dtが0.4√(H・W)の値以上の場合は、吐出流が上方に向かうため、ブルーム表面の微小割れ指数や、パウダー介在物指数が相対的に高い。
【0027】
すなわち、比較例1〜7は、いずれも溶鋼浸漬部分のノズル吐出口の浸漬部径Dtが0.4√(H・W)の値より大きく、ブルーム表面の微小割れ指数が最小でも85であり、パウダー介在物指数も最小で80であり、いずれも本発明に比し高いことがわかる。
【0028】
これに対し、本発明例1〜7のように溶鋼浸漬部分のノズル吐出口の浸漬部径Dtが0.4√(H・W)の値以下とすることで、吐出流が適正範囲に保たれ、凝固シェルの再溶解が低減し、その結果、ブルーム表面の微小割れ指数が最大でも78であり、パウダー介在物指数も最大で79であり、いずれも80以下で低く、ブルーム表面の微小割れやモールドパウダーの流れ込みによるパウダー欠陥の少ない鋼を鋳造できたことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の浸漬ノズルの模式図である。
【符号の説明】
【0030】
1 浸漬ノズル
2 吐出口
3 長方形モールド
4 メニスカス
Dm メニスカス側のノズル径
Dt 吐出口側のノズル径
H 長方形モールドの縦
W 長方形モールドの横
【出願人】 【識別番号】000180070
【氏名又は名称】山陽特殊製鋼株式会社
【出願日】 平成18年7月28日(2006.7.28)
【代理人】 【識別番号】100101085
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 健至

【識別番号】100134131
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 知理


【公開番号】 特開2008−30089(P2008−30089A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−205724(P2006−205724)