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溶融金属の連続鋳造方法 - 特開2008−30069 | j-tokkyo
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【発明の名称】 溶融金属の連続鋳造方法
【発明者】 【氏名】塚口 友一

【要約】 【課題】タンディッシュ内に旋回流付与機構を設けることにより、浸漬ノズルの詰まりを解消し、鋳型内での溶融金属の流動を安定化することのできる連続鋳造方法を提供する。

【構成】外筒と内筒を有する耐火物製構造体であり、外筒側壁には側孔が設けられ、その側孔は該構造体の水平方向断面の中心から放射状に伸びる仮想線と外筒内面との交点に外筒側孔の出側開口部の中心を有し、かつ出側開口部において仮想線に対して角度θ1だけ傾斜させて設けられ、内筒はその下部が外筒よりも短い該構造体を、その軸を鉛直にして、浸漬ノズル上方のタンディッシュ内に配置し、溶融金属を、外筒外面の側孔入側開口部から内面の出側開口部に向かって通過させることにより、浸漬ノズル内で溶融金属に旋回流を付与する溶融金属の連続鋳造方法。前記水平方向断面における外筒の最大内径は150〜3000mm、内筒の最大内径が50〜1000mm、θ1は15〜80°とすることが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒および内筒の二重構造を有し、該外筒が円筒状、円錐状または円錐台状の耐火物製構造体を、該耐火物製構造体の軸を鉛直にして、浸漬ノズル上方のタンディッシュ内に配置し、溶融金属を鋳造する連続鋳造方法であって、
該内筒は、該外筒の下端をタンディッシュ底面に接するように配置したとき、該内筒の下端とタンディッシュ底面または上ノズルの上面との間に10〜300mmの間隙を有する長さであり、
該外筒の側壁には1つ以上の側孔が設けられ、該外筒の側孔は該耐火物製構造体の水平方向の円形断面の中心から放射状に伸びる仮想線と外筒の内面との交点に該外筒の側孔の出側開口部の中心を有し、
該出側開口部において該仮想線に対して外筒の側孔の中心軸を水平面内で角度θ1だけ傾斜させて設けられた耐火物製構造体を、該耐火物製構造体の軸を鉛直にして、浸漬ノズル上方のタンディッシュ内に配置し、
タンディッシュ内の溶融金属を、外筒の外面に開口した側孔の入側開口部から外筒の内面に開口した出側開口部に向かって通過させることにより、タンディッシュから浸漬ノズル内に供給される溶融金属に旋回流を付与して鋳造することを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法。
【請求項2】
前記耐火物製構造体の外筒の水平方向の円形断面における最大内径が150mm〜3000mm、内筒の水平方向の円形断面における最大内径が50mm〜1000mmであり、かつ、外筒の水平方向の円形断面における最大内径は内筒の水平方向の円形断面における最大内径の1.5倍以上であり、外筒の内面高さが50mm〜2000mmであり、前記角度θ1が15°〜80°であることを特徴とする請求項1に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
【請求項3】
前記タンディッシュ下部に配置された上ノズル、スライディングゲートおよび浸漬ノズルのうちの少なくとも1つにおいて、内面の1箇所以上から溶融金属中に不活性ガスを吹き込むことを特徴とする請求項1または2に記載の溶融金属の連続鋳造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、溶鋼などの溶融金属の連続鋳造において、タンディッシュから浸漬ノズル内に供給される溶融金属に旋回流を発生させて、ノズル詰まりを防止し、鋳型内における溶融金属の流動を安定化する連続鋳造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
スラブの連続鋳造のように幅の広い鋳型内に、対向する吐出孔を有する一本の浸漬ノズルを浸漬して溶融金属を供給する連続鋳造においては、鋳型内の流動が自励振動を起こし、流速の変動や湯面の波立ちが発生しやすい。その結果、鋳片表層部の品質に異常が発生し、鋳造速度の低下を余儀なくされることがある。
【0003】
従来、この鋳型内流動を制御することを目的として、電磁気力を用いた電磁ブレーキや電磁撹拌、または特許文献1や特許文献2に開示されているとおりの旋回流を付与する浸漬ノズルが公知である。すなわち、上記特許文献1には、浸漬ノズル内の溶鋼流に旋回を付与するためのねじりテープ状の部材を備えてなる浸漬ノズルが記載されている。また、特許文献2には、内部にねじり板型旋回羽根を設置した浸漬ノズルであって、旋回羽根捩りピッチ、旋回羽根捩り角、旋回羽根の外径、旋回羽根の厚みを所定範囲内の値とし、旋回羽根下端と吐出孔との間において内径を絞り、絞り後の横断面を規定するとともに、タンディッシュと鋳型間の必要ヘッドの予測値を適正範囲内におさめた連続鋳造用浸漬ノズルが記載されている。
【0004】
さらに、特許文献3に開示されたようにノズル底部の滝壺状凹みの深さを大きくした浸漬ノズル、または特許文献4に開示されたようにノズル内径に段差を設けた浸漬ノズルが公知である。上記特許文献3には、鋳片短辺壁の内側に位置するノズル本体とノズル本体の側壁に形成し且つ鋳片短辺壁に向けて下向きに開口した吐出孔と、ノズル本体の底部凹状のボックスとを有する連続鋳造用ノズルにおいて、ボックスの深さと内径との比、および吐出孔の吐出角度を規定した連続鋳造用浸漬ノズルが開示されている。そして、特許文献4には、溶鋼と接する部分を構成する耐火材料が黒鉛を含有してなり、ノズル内孔部に、段差構造部位が長さを有する段差構造を複数有する連続鋳造用浸漬ノズルにおいて、溶鋼通過量に対してノズル内孔部の最小内径、最小横断面積、吐出孔の断面積を規定した浸漬ノズルが開示されている。
【0005】
しかしながら、電磁気力を用いる方法は、設備コストが高く、設備投資に見合ったメリットが得られないことが多い。また、制御対象である溶融金属の流れを計測することが難しいので、制御対象の状態が不明確なまま制御を行うことが多く、技術的にも十分な効果を発揮することが難しい。
【0006】
一方、前記特許文献1または特許文献2に開示された旋回流を付与する浸漬ノズル(以下、「旋回流付与浸漬ノズル」とも記す)に関する技術は、鋳型内流動を安定化することができる現実的手段としてその有効性が確認されているが、非金属介在物を多く含む清浄度の低い溶融金属を鋳造すると、ノズル内に設けられた旋回羽根に非金属介在物が付着しやすく、多量の溶融金属を連続して鋳造することが難しいという問題がある。
【0007】
また、特許文献3に開示された浸漬ノズルを用いれば、鋳造速度を増加させても鋳型内の表面流速は増加することがなく、モールドパウダーの巻き込みを有効に防止することができるとされているが、実操業においては安定した巻き込み防止効果は得られにくい。さらに、特許文献4に開示された浸漬ノズルは、アルミナの付着による浸漬ノズルの閉塞を防止するとともに、浸漬ノズル内の溶鋼の偏流を抑制することにより鋳型内の流動を均一化し、鋳片品質の向上およびブレークアウトの発生防止を狙ったものである。しかしながら、このようなノズルを使用しても、現実の連続鋳造操業においてはノズル詰まりが発生しやすく、また、安定した偏流抑制効果も得られにくい。
【0008】
【特許文献1】WO99/15291号公報(特許請求の範囲および5頁10行〜6頁8行)
【特許文献2】特開2002−239690号公報(特許請求の範囲および段落[0010]〜[0013])
【特許文献3】特許第3027645号公報(特許請求の範囲および段落[0005])
【特許文献4】特許第3207793号公報(特許請求の範囲および段落[0015]および[0016])
【特許文献5】特願2005−258647号(特許請求の範囲および段落[0015]〜[0018])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その課題は、浸漬ノズル上方のタンディッシュ内において簡便な旋回流付与機構を設けることにより、旋回羽根を有した旋回流付与浸漬ノズルの欠点であるノズル詰まりを解消し、鋳型内における溶融金属の流動を安定化して、鋳片の品質向上を達成できる連続鋳造方法を提供することにある。具体的には、本発明は、本発明者が先に特許文献5において提案した溶融金属の連続鋳造方法にいて、耐火物製構造体の内部に生じた旋回流が、タンディッシュ内湯面から浸漬ノズル内にまで到る渦を発生させ、タンディッシュ内湯面上に存在するスラグを吸い込んで、鋳型内に混入させるおそれがあるという問題を、内筒および外筒の二重構造を有する耐火物製構造体を配置することにより解消するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上述の課題を解決するために、従来の問題点を踏まえて、浸漬ノズルにおけるノズル詰まりを起こすことなく、浸漬ノズルを通過する溶融金属流に旋回流を付与し、鋳型内における溶融金属の流動を安定化することのできる鋳造方法について検討を重ねた結果、下記の(a)〜(d)の知見を得て、本発明を完成させた。
【0011】
(a)浸漬ノズル内にねじり板状の旋回羽根を設置して旋回流を形成する方法は、浸漬ノズル内の溶融金属下降流が旋回羽根に当たる際に流れの淀みや渦を生じ、Al23などの非金属介在物の付着を招く。また、流速の大きな浸漬ノズル内にねじり板状旋回羽根のような旋回流付与機構を設置すると、溶融金属の摩擦抵抗が増大し、溶融金属の落差すなわち、位置のエネルギの有効利用の面で好ましくない。
【0012】
(b)浸漬ノズル上方のタンディッシュ内に、直径の比較的大きな中空の円筒状、円錐状または円錐台状の側面を有し、その側面に、側面を通過して内部に流入する溶融金属に円周方向の速度成分を付与する側孔を設けた旋回流付与機構を設置することにより、旋回流付与機構における溶融金属通路の断面積を大きくすることができ、溶融金属の流速が低い状態で旋回流を付与することができる。
【0013】
(c)上記(b)の構成とすることにより、Al23などの非金属介在物が旋回流付与機構に付着しにくくなり、また、たとえ付着したとしても、旋回流付与機構の閉塞には至りにくくなる。さらに、溶融金属の摩擦抵抗を小さくできるので、タンディッシュヘッドを有効に活用でき、強い旋回流を得ることができる。
【0014】
(d)上記(b)の方法において、旋回流付与機構を、外筒および内筒の二重構造を有し、内筒の長さは、外筒の下端をタンディッシュ底面に接するように配置したとき、内筒の下端とタンディッシュ底面または上ノズルの上面との間に溶融金属が通過できる間隙を確保できる長さとし、外筒の側壁には円周方向に傾斜させて設けられた側孔を備えた構造とするのが効果的である。この旋回流付与機構を、該耐火物製構造体の軸を鉛直にして、浸漬ノズル上方のタンディッシュ内に配置し、タンディッシュ内の溶融金属を、外筒の外面に開口した側孔の入側開口部から外筒の内面に開口した出側開口部に向かって通過させることにより、溶融金属に旋回流を付与し、かつ、タンディッシュ内湯面から浸漬ノズルにまで達する有害な渦の発生を抑制し、タンディッシュ内湯面上に存在するスラグの吸い込みによる鋳型内へのスラグの混入の問題をも解決できる。
【0015】
本発明は、上記の知見に基づいて完成されたものであり、その要旨は、下記の(1)〜(3)に示す溶融金属の連続鋳造方法にある。
【0016】
(1)外筒および内筒の二重構造を有し、該外筒が円筒状、円錐状または円錐台状の耐火物製構造体を、該耐火物製構造体の軸を鉛直にして、浸漬ノズル上方のタンディッシュ内に配置し、溶融金属を鋳造する連続鋳造方法であって、該内筒は、該外筒の下端をタンディッシュ底面に接するように配置したとき、該内筒の下端とタンディッシュ底面または上ノズルの上面との間に10〜300mmの間隙を有する長さであり、該外筒の側壁には1つ以上の側孔が設けられ、該外筒の側孔は該耐火物製構造体の水平方向の円形断面の中心から放射状に伸びる仮想線と外筒の内面との交点に該外筒の側孔の出側開口部の中心を有し、該出側開口部において該仮想線に対して外筒の側孔の中心軸を水平面内で角度θ1だけ傾斜させて設けられた耐火物製構造体を、該耐火物製構造体の軸を鉛直にして、浸漬ノズル上方のタンディッシュ内に配置し、タンディッシュ内の溶融金属を、外筒の外面に開口した側孔の入側開口部から外筒の内面に開口した出側開口部に向かって通過させることにより、タンディッシュから浸漬ノズル内に供給される溶融金属に旋回流を付与して鋳造することを特徴とする溶融金属の連続鋳造方法(以下、「第1発明」とも記す)。
【0017】
(2)前記耐火物製構造体の外筒の水平方向の円形断面における最大内径が150mm〜3000mm、内筒の水平方向の円形断面における最大内径が50mm〜1000mmであり、かつ、外筒の水平方向の円形断面における最大内径は内筒の水平方向の円形断面における最大内径の1.5倍以上であり、外筒の内面高さが50mm〜2000mmであり、前記角度θ1が15°〜80°であることを特徴とする前記(1)に記載の溶融金属の連続鋳造方法(以下、「第2発明」とも記す)。
(3)前記タンディッシュ下部に配置された上ノズル、スライディングゲートおよび浸漬ノズルのうちの少なくとも1つにおいて、内面の1箇所以上から溶融金属中に不活性ガスを吹き込むことを特徴とする前記(1)または(2)に記載の溶融金属の連続鋳造方法(以下、「第3発明」とも記す)。
【0018】
本発明において、「円形断面における最大内径」とは、耐火物製構造体の水平方向断面の内径の最大値を意味し、内径が構造体の軸方向で変化する場合には、その最大値を意味する。
【0019】
また、「角度θ1」を以下の説明においては、「側孔の傾斜角度θ1」とも記す。
【発明の効果】
【0020】
本発明の方法によれば、浸漬ノズルの閉塞などの弊害を伴うことなく、浸漬ノズル内の溶融金属に旋回流を形成させ、旋回流付与浸漬ノズルが有する、鋳型内溶融金属の優れた流動安定性や、非金属介在物の除去などの効果を享受し、かつ、安定した連続鋳造操業および鋳片の品質向上を達成することができる。特に、ストッパーロッドを有しない連続鋳造機の場合においても、旋回流の形成に伴って発生しやすいタンディッシュ内湯面から浸漬ノズルに達する有害な渦の形成を抑制し、鋳型内へのスラグの混入を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
前述のとおり、本発明は、外筒および内筒の二重構造を有し、外筒が円筒状、円錐状または円錐台状の耐火物製構造体を、浸漬ノズル上方のタンディッシュ内に配置し、溶融金属を鋳造する連続鋳造方法である。ここで、内筒は、外筒の下端をタンディッシュ底面に接するように配置したとき、内筒の下端とタンディッシュ底面または上ノズルの上面との間に10〜300mmの間隙を有する長さであり、外筒の側壁には側孔が設けられ、外筒の側孔は耐火物製構造体の水平方向断面の中心から放射状に伸びる仮想線と外筒の内面との交点に外筒の側孔の出側開口部の中心を有し、出側開口部において仮想線に対して外筒の側孔の中心軸を水平面内で角度θ1だけ傾斜させて設けられている。この耐火物製構造体を、その軸を鉛直にして、浸漬ノズル上方のタンディッシュ内に配置し、タンディッシュ内の溶融金属を、外筒の外面に開口した側孔の入側開口部から外筒の内面に開口した出側開口部に向かって通過させることにより、タンディッシュから浸漬ノズル内に供給される溶融金属に旋回流を付与して鋳造する。本発明の内容について、下記にさらに詳細に説明する。
【0022】
図1は、本発明の方法を実施するための連続鋳造装置を模式的に示す図であり、同図(a)は同図(c)におけるA−A断面図を表し、同図(b)は同図(c)の平面図を表し、同図(c)は連続鋳造装置の縦断面図を表す。
【0023】
同図に示されるとおり、浸漬ノズル4上方のタンディッシュ5内に、外筒101および内筒102の二重構造を有し、水平方向の円形断面の中心Oから放射状に伸びる仮想線X1〜X5上に孔出口の中心を有し、仮想線X1〜X5に対して孔の中心軸の方向Y1〜Y5を角度θ1だけ傾斜させて開口した側孔2が、その外筒101の側壁に1つ以上設けられた中空の筒状の耐火物製構造体1が、その耐火物製構造体1の軸3を鉛直にして、配置されている。タンディッシュ5内の溶融金属6は、側孔2を通過して耐火物製構造体1内に流入する際に、円周方向の速度成分を付与されて旋回流を形成し、タンディッシュ5から浸漬ノズル4内を経由して鋳型11に供給される。
【0024】
(1)第1発明
前記のとおり、第1発明は、外筒101および内筒102の二重構造を有し、外筒101が円筒状、円錐状または円錐台状の耐火物製構造体1を、浸漬ノズル4の上方のタンディッシュ5内に配置し、溶融金属6を鋳造する連続鋳造方法である。ここで、上記内筒102は、外筒101の下端をタンディッシュ5の底面に接するように配置したとき、内筒102の下端とタンディッシュ5の底面または上ノズル8の上面との間に10〜300mmの間隙を有する長さであり、外筒101の側壁には1つ以上の側孔2が設けられ、外筒101の側孔2は耐火物製構造体1の水平方向の円形断面の中心から放射状に伸びる仮想線X1〜XN(ただし、Nは仮想線の数)と外筒101の内面との交点に外筒101の側孔2の出側開口部の中心を有し、出側開口部において上記仮想線X1〜XNに対して外筒101の側孔2の中心軸を水平面内で角度θ1だけ傾斜させて設けられている。
【0025】
この耐火物製構造体1を、耐火物製構造体1の軸3を鉛直にして、浸漬ノズル4の上方のタンディッシュ5内に配置し、タンディッシュ5内の溶融金属6を、外筒101の外面に開口した側孔2の入側開口部から外筒101の内面に開口した出側開口部に向かって通過させることにより、タンディッシュ5から浸漬ノズル4内に供給される溶融金属に旋回流を付与して鋳造する。
【0026】
本発明者は、先に特許文献5において、第3発明として、タンディッシュ内の湯面から浸漬ノズル内にまで到る渦が発生することを防止するために耐火物製構造体の中心部に耐火物製のストッパーロッドを設置する鋳造方法を提案した。本発明は、上記のようなストッパーロッドを用いない場合であっても、旋回流の発生に伴って生じる上記の有害な渦の発生を防止できる連続鋳造方法を提供することを主たる目的としている。
【0027】
旋回流の発生に伴って、耐火物構造体1の中心部を貫き、湯面から浸漬ノズル4内にまで到る渦は、タンディッシュ5内湯面上のスラグを吸い込んで鋳型11内に混入させ、鋳片品質を低下させる。本発明では、耐火物製構造体1を外筒101および内筒102の二重構造とし、外筒101が旋回流を浸漬ノズル4内に付与する役割を果たし、内筒102が旋回流の発生に伴う有害な渦の形成を防止する役割を果たす。外筒側壁の側孔2を通過することにより発生した旋回流は、内筒102の下端とタンディッシュ5の底面または上ノズル8の上面との間隙を通って、浸漬ノズル4内に流下する。このとき、内筒102が存在すると、旋回流に対する減衰作用が発揮され、旋回流の作用が上方のタンディッシュ5内湯面にまで及ぶのが防止され、有害な渦の発生を抑制することができる。
【0028】
ここで、タンディッシュ5の底面または上ノズル8の上面から内筒102の下端までの距離を10〜300mmの範囲としたのは、下記の理由による。すなわち、この距離が10mm未満では、溶融金属6の旋回流が浸漬ノズル4内に流下するときの溶融金属の通路が狭くなり過ぎ、通路が閉塞するおそれが高くなるからである。また、タンディッシュ5内の湯面高さが内筒下端よりも低くなると、内筒102の渦抑制作用は失われるので、タンディッシュ5の底面または上ノズル8の上面から内筒下端までの距離が300mmを超えて大きくなると、鋳造開始時や鋳造終了直前のようにタンディッシュ5内の湯面高さが低下する条件下では、旋回流の発生に伴い生じる有害な渦の形成を抑制できなくなるからである。
【0029】
耐火物製構造体1の外筒101に設けられる傾斜角度θ1を有する側孔2は、1個であってもよいが、閉塞防止の観点からは、外筒101の全周にわたり複数設けることが好ましい。また、側孔2は、外筒101の全周に複数個かつ高さ方向に複数段設けてもよい。複数個設ける側孔の傾斜角度θ1は同一としてもよいし、ある範囲内の角度で変化させてもよいが、溶融金属に付与する旋回流の回転方向を、同一方向とする傾斜角度θ1であることが好ましい。
【0030】
(2)第2発明
第2発明は、第1発明において、耐火物製構造体1の外筒101の水平方向の円形断面における最大内径が150mm〜3000mm、内筒102の水平方向の円形断面における最大内径が50mm〜1000mmであり、かつ、外筒101の水平方向の円形断面における最大内径は内筒102の水平方向の円形断面における最大内径の1.5倍以上であり、外筒101の内面高さが50mm〜2000mmであり、前記側孔の傾斜角度θ1が15°〜80°である溶融金属の連続鋳造方法である。
【0031】
耐火物製構造体1の外筒101の水平方向の円断面の最大内直径が150mm未満では、旋回流付与機構として小さすぎるので、溶融金属通路の横断面積が狭くなり、側孔2の閉塞や溶融金属6の摩擦抵抗の増大などの問題が生じやすい。また、耐火物製構造体1の外筒101の円形断面の最大内直径が3000mmを超えて大きくなると、耐火物構造体として大きくなり過ぎるので、耐火物構造体のコストが増加することはもちろんのこと、専用のタンディッシュが必要になり、鋳造設備のコスト増大をきたす。したがって、耐火物製構造体1の外筒101の水平方向の円形断面の最大内径は、150mm〜3000mmとすることが好ましい。なお、耐火物製構造体1の外筒101の水平方向の円形断面の最大内径のさらに好ましい範囲は、300mm〜800mmである。
【0032】
耐火物製構造体1の内筒102の水平方向の円形断面の最大内直径が50mm未満では、タンディッシュ5の上部から内筒102内を通して上ノズル8やスライディングゲート9、浸漬ノズル4内を酸素ランスにより洗浄する作業や、鋳造開始時に上ノズル8から浸漬ノズル4内にかけて溶融金属6が凝固するトラブルが発生した際に、酸素ランスによりタンディッシュ5上部から内筒102内を通して凝固金属を溶解させる作業が困難になる。また、耐火物製構造体1の内筒102の水平方向の円形断面の最大内直径が1000mmを超えて大きくなると、耐火物構造体として大きくなり過ぎるので、専用のタンディッシュが必要になり、鋳造設備コストの増大をもたらす。したがって、耐火物製構造体1の内筒102の水平方向の円形断面の最大内径は、50mm〜1000mmとすることが好ましい。なお、耐火物製構造体1の内筒102の水平方向の円形断面の最大内径のより好ましい範囲は100mm〜300mmである。
【0033】
外筒101の水平方向の円形断面の最大内径を、内筒102の円形断面の最大内径の1.5倍以上とするのは、外筒101の最大内径が1.5倍未満の場合には、内筒102による旋回流の減衰作用が相対的に強くなり過ぎて、浸漬ノズル4内に強い旋回流を発生させることが困難となり、好ましくないからである。
【0034】
耐火物製構造体1の外筒101の内面の高さが50mm未満では、側孔2の高さが十分に確保できないので、側孔2が閉塞しやすくなる。また、耐火物構造体1の上端部に蓋がある場合には、溶融金属6の通路が狭くなり過ぎ、耐火物製構造体1の内部における閉塞もまた生じやすくなる。耐火物製構造体1の外筒101の高さは、タンディッシュ5内部の深さにより制約されるので、耐火物製構造体1の内面の高さは、通常、2000mm以内となる。したがって、耐火物製構造体1の外筒101の内面高さは、50mm〜2000mmとすることが好ましい。耐火物製構造体1の外筒101の上端部7は、タンディッシュ5内の湯面より高くてもよいし、低くてもよい。
【0035】
第2発明において内筒102の長さは特に規定していないが、内筒102の長さが短か過ぎると、有害な渦の発生を抑制する作用が不足するので、少なくとも200mm以上の長さを有することが好ましい。内筒102の長さの最大値はタンディッシュ内部の深さによって制約されるので、その長さは、2000mm程度以下とすることが好ましい。内筒102の上端部は、タンディッシュ5内の湯面よりも高くてもよいし、低くてもよいが、タンディッシュ5内の湯面よりも高い場合の方が、内筒102の内部にタンディッシュスラグが入りにくいので好ましい。
【0036】
耐火物製構造体1の外筒101に設けられた側孔2の傾斜角度θ1が15°未満では、付与される旋回流の強さが不足する。また、一方、傾斜角度が80°を超えて大きくなると、耐火物製構造体1の外筒101の側壁の厚みが薄くなるので、構造体としての強度が低下するおそれがある。上記の理由から、側孔2の傾斜角度θ1は、15°〜80°の範囲とすることが好ましい。
【0037】
(3)第3発明
第3発明は、第1発明または第2発明において、タンディッシュ5内に配置された上ノズル、スライディングゲートおよび浸漬ノズルのうちの少なくとも1つにおいて、内面の1箇所以上から溶融金属中に不活性ガスを吹き込む溶融金属の連続鋳造方法である。
【0038】
耐火物製構造体1の外筒101に設けられた側孔2を通過することにより形成された溶融金属6の旋回流は、上ノズル8の内径の縮小に伴って、角運動量保存の法則にしたがって、より大きな旋回流速を得る。ここで、大きな旋回流速とは、例えば1m/s以上の周速度を意味する。
【0039】
このような強い旋回流が生じた状態で、旋回流の周囲、すなわち上ノズル8、スライディングゲート9または浸漬ノズル4の内壁面からArガスなどの不活性ガスを吹き込むと、吹き込まれた不活性ガスが、溶融金属6に作用する遠心力により中心部に向けて吸い出され、周辺部から中心部へと向かう気泡膜を形成し、溶鋼中のAl23などの非金属介在物を効率良く捕捉するので、浸漬ノズル4内への非金属介在物の付着量が減少する。気泡膜に捕捉された非金属介在物は、鋳型内で気泡とともに浮上し、除去される。上記のような気泡膜形成の観点からは、不活性ガス10は、上ノズル8、スライディングゲート9または浸漬ノズル4の内壁面の全周から均等に吹き込むことが好ましい。
【実施例】
【0040】
本発明の溶融金属の連続鋳造方法の効果につき、さらに実施例に基づいて詳細に説明する。なお、以下では、溶融金属として溶鋼を用いた場合を対象として説明する。
【0041】
(実施例1)
図1は、前述のとおり、本発明の方法を実施するための連続鋳造装置を模式的に示す図であり、同図(a)は同図(c)におけるA−A断面図を表し、同図(b)は同図(c)の平面図を表し、同図(c)は連続鋳造装置の縦断面図を表す。同図に示す実施例は、前記の第1発明、第2発明および第3発明のいずれで規定する条件をも満足する実施例である。
【0042】
耐火物製構造体1は、外筒101および内筒102を有し、外筒101は内径400mm、外径550mmおよび高さ1200mmであり、内筒102は内径90mm、外径140mmおよび高さ1200mmであって、外筒101の下端はタンディッシュの底面に接しており、内筒102の下端とタンディッシュ底面または上ノズル8の上面との間隙が200mmである。外筒101と内筒102とは、外筒101の上端部において円周方向の4ヶ所で繋がっており、外筒101および内筒102はともに、アルミナ・シリカ系耐火物で構成されており、外筒側壁には傾斜角度θ1が40°、高さが200mmおよび幅が110mmの側孔2が円周方向に5箇所、かつ高さ方向に2段設けられている。内筒側壁には、側孔は設けられていない。
【0043】
ここで、本発明における傾斜角度θ1は、図1(a)の平面図に示されるとおり、耐火物製構造体1の外筒101の内面において、側孔2の中心軸Y1、Y2、Y3、Y4およびY5と、耐火物製構造体1の中心から放射状に伸びる仮想線X1、X2、X3、X4およびX5とのそれぞれが交叉する角度として定義される。また、定常操業時におけるタンディッシュ5内の湯面高さは、外筒101の上端部7よりも200mm下方に位置する。
【0044】
図1において、側孔2を通過した溶鋼6は、旋回周速度を付与され、下方に進むにつれて内径の絞られた上ノズル8およびスライディングゲート9を通過する際に、角運動量保存の法則に従って旋回周速度を増し、浸漬ノズル4内において強い旋回流を形成する。浸漬ノズル4内に形成された旋回流は、遠心力の作用により浸漬ノズル4の下端近傍の2つの吐出孔から均一に、また均等に吐出され、鋳型11内において安定した溶鋼流動を形成する。
【0045】
さらに、同図に示されたとおり、二層式スライディングゲート9の上側の固定盤内周部よりArガス10が吹き込まれ、溶鋼6に作用する遠心力によりArガスが逆円錐状の気泡膜を形成するので、この気泡膜を横切って流下する溶鋼6中の非金属介在物は、効果的に気泡に捕捉され、気泡とともに鋳型11内において浮上し、除去される。
【0046】
上述の鋳型11内流動の安定化効果と介在物の捕捉および浮上効果により、清浄な鋼を得ることができる。また同時に、旋回流が生じると、浸漬ノズル4の内壁近傍に流れの淀み域が生じにくくなるので、非金属介在物の付着による浸漬ノズル4の閉塞が生じにくいというメリットも見出される。
【0047】
図1に示した耐火物製構造体1では、外筒101の上端部7をタンディッシュ5内の湯面よりも高くし、耐火物製構造体1の内部へのタンディッシュスラグの侵入を防止しているので、耐火物製構造体1の内部に渦が生じても、鋳型11内にタンディッシュ5内のスラグを巻き込むおそれは少ない。しかも、耐火物製構造体1は内筒102を有しているので、タンディッシュ5を再使用する場合に外筒101あるいは内筒102の内部にタンディッシュスラグが侵入しても、内筒102が有害な渦の発生を抑制し、タンディッシュスラグが鋳型11内に持ち込まれるのを防止することができる。
【0048】
(実施例2)
図2は、本発明の方法を実施するための別の連続鋳造装置を模式的に示す図であり、同図(a)は同図(b)におけるA−A断面図を表し、同図(b)は連続鋳造装置の縦断面図を表す。同図に示す実施例もまた、前記の第1発明〜第3発明のいずれで規定する条件をも満足する実施例である。
【0049】
耐火物製構造体1は、中空円錐台形状の外筒101と内筒102とからなっている。外筒101は、内径がその下端部で700mmおよび上端部で400mmであり、外径は下端部で860mmおよび上端部7で560mmであり、内面高さが400mmおよび外面高さが480mmの形状を有し、アルミナ・マグネシア系耐火物により構成されている。外筒101の側壁には、同図(a)に示すとおり、その内面において、仮想線X1〜X8に対して側孔2の中心軸Y1〜Y8がそれぞれ傾斜角度(θ1)60°をなし、高さが300mmおよび幅が100mmの側孔2が円周方向の8箇所に設けられている。外筒101の下端はタンディッシュ底面に接している。
【0050】
また、同図(b)に示すとおり、内筒102は、内径が120mm、外径が180mmおよび高さが400mmの内筒本体部112と、内径が上部に向かうにつれて徐々に200mmまで拡大し、外径も同様にして徐々に260mmまで拡大し、高さが400mmである内筒上部122とから成っている。内筒102の下端は、タンディッシュ底面または上ノズル8の上面から80mm上方に位置しており、内筒本体部112の上端部および内筒上部122の下端部は、いずれも、外筒101の上部と結合している。また、定常操業時におけるタンディッシュ5内の湯面高さは、内筒102の上端部を超え、耐火物製構造体1が完全に溶鋼6中に浸漬する高さとなる。
【0051】
上記のように、内筒上部122の内径および外径は、上方に向かうにつれて拡大した形状を採用している。これは、溶鋼6がタンディッシュ5内に満たされた状態での鋳造操業中に、タンディッシュ5の上方から介在物除去棒を挿入して、上ノズル8内あるいはスライディングゲート9から浸漬ノズル4内にかけて付着した介在物を除去したり、また、酸素ランスを挿入して、付着した介在物や凝固した地金を除去する必要が生じた場合に、上記の除去棒や酸素ランスを挿入するためのガイド的役割を有するからである。
【0052】
図2に示される耐火物構造体1を用いた場合においても、前記図1に示された耐火物構造体1を用いた場合と同様に、側孔2を通過した溶鋼6は旋回周速度を付与され、下方に進むにつれて内径の絞られた上ノズル8およびスライディングゲート9を通過する際に、角運動量保存の法則に従って旋回周速度を増し、浸漬ノズル4内において強い旋回流を形成する。浸漬ノズル4内に形成された旋回流は、遠心力の作用により浸漬ノズル4の下端近傍に設けられた2つの吐出孔から均一に、また均等に吐出され、鋳型11内において安定した溶鋼流動を形成する。
【0053】
また、図2に示される方法においては、上ノズル8の内周部からArガス10が吹き込まれ、溶鋼6に作用する遠心力によりArガスが逆円錐状の気泡膜を形成しているので、この気泡膜を横切って流下する溶鋼6中の非金属介在物は、効果的に気泡に捕捉され、気泡とともに鋳型11内を浮上し、除去される。
【0054】
上述の鋳型11内流動の安定化効果と介在物の捕捉および浮上効果により、清浄な鋼を得ることができる。また同時に、旋回流が生じると、浸漬ノズル4の内壁近傍に流れの淀み域が生じにくくなるので、非金属介在物の付着による浸漬ノズル4の閉塞が生じにくいという利点も有する。
【0055】
図2に示される方法においても、内筒102が存在することにより、旋回流に起因して発生しやすい有害な渦の形成が防止されるので、タンディッシュスラグが鋳型11内に持ち込まれる可能性を低減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の方法によれば、浸漬ノズルの閉塞などの弊害を伴うことなく、浸漬ノズル内の溶融金属に旋回流を形成させ、旋回流付与浸漬ノズルが有する、鋳型内溶融金属の優れた流動安定性や、非金属介在物の除去などの効果を享受し、かつ、安定した連続鋳造操業および鋳片の品質向上を達成することができる。特に、ストッパーロッドを有しない連続鋳造機の場合においても、旋回流の形成に伴って発生しやすいタンディッシュ内湯面から浸漬ノズルに達する有害な渦の形成を抑制し、鋳型内へのスラグの混入を防止できる。
【0057】
したがって、本発明の溶融金属の連続鋳造方法は、高い経済性のもとに操業の安定化と鋳片の高清浄度化を要求される金属精錬および鋳造分野において、広範に適用できる技術である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の方法を実施するための連続鋳造装置を模式的に示す図であり、同図(a)は同図(c)におけるA−A断面図を表し、同図(b)は同図(c)の平面図を表し、同図(c)は連続鋳造装置の縦断面図を表す。
【図2】本発明の方法を実施するための別の連続鋳造装置を模式的に示す図であり、同図(a)は同図(b)におけるA−A断面図を表し、同図(b)は連続鋳造装置の縦断面図を表す。
【符号の説明】
【0059】
1:耐火物製構造体、 101:耐火物製構造体の外筒、 102:耐火物製構造体の内筒、 112:内筒本体部、 122:内筒上部、 2:側孔、 3:耐火物製構造体の軸、 4:浸漬ノズル、 5:タンディッシュ、 51:タンディッシュ耐火物、 52:タンディッシュ鉄皮、 6:溶融金属(溶鋼)、 7:耐火物製構造体の外筒上端部、 8:上ノズル、 9:スライディングゲート、 10:不活性ガス、 11:鋳型、
12:凝固シェル、 13:モールドパウダー、 14:ストッパーロッド、
O:水平方向の円形断面の中心、 X1〜X8:放射状に伸びる仮想線、
Y1〜Y8:側孔の中心軸、 θ1:側孔の傾斜角度、
【出願人】 【識別番号】000002118
【氏名又は名称】住友金属工業株式会社
【出願日】 平成18年7月27日(2006.7.27)
【代理人】 【識別番号】100103481
【弁理士】
【氏名又は名称】森 道雄


【公開番号】 特開2008−30069(P2008−30069A)
【公開日】 平成20年2月14日(2008.2.14)
【出願番号】 特願2006−204141(P2006−204141)