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【発明の名称】 浸漬ノズル管理方法
【発明者】 【氏名】寺内 雅彦

【要約】 【課題】安定的に鋳造が行うことができて、モールドパウダーの巻き込みや鋳片の表面割れが発生することがない。

【構成】タンディッシュ4内の溶鋼3を浸漬ノズル7を介して鋳型5に供給し、この供給された溶鋼3を電磁攪拌しながら溶鋼3を鋳造する浸漬ノズル管理方法において、鋳型5に対する浸漬ノズル7の位置が(L0-L1)/L0≧0.23を満たす状態で鋳造を行う。L0は浸漬ノズル7が中心にあるときの鋳型5の内面から浸漬ノズル7の外周面までの最短距離、L1は鋳造中の鋳型5の内面から浸漬ノズル7の外周面までの最短距離を示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンディッシュ内の溶鋼を浸漬ノズルを介して鋳型に供給し、この供給された溶鋼を電磁攪拌しながら連続鋳造を行うに際し、
前記鋳型に対する浸漬ノズルの位置が式(1)を満たす状態で溶鋼の鋳造を行うことを特徴とする浸漬ノズル管理方法。
【数1】


【請求項2】
タンディッシュ内の溶鋼を浸漬ノズルを介して鋳型に供給し、この供給された溶鋼を電磁攪拌しながら連続鋳造を行うに際し、
前記溶鋼の炭素含有量が0.08〜0.20重量%を鋳造する際は、鋳型に対する浸漬ノズルの位置が式(2)を満たす状態で鋳造を行うことを特徴とする浸漬ノズル管理方法。
【数2】


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、浸漬ノズル管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、タンディッシュ内の溶鋼を浸漬ノズルを介して鋳型に供給し、この供給された溶鋼を電磁攪拌しながら鋳造する連続鋳造方法がある(例えば、特許文献1)。
溶鋼を電磁攪拌しながら鋳造する連続鋳造方法では、例えば、溶鋼のメニスカス(湯面)において溶鋼の流速が部分的に速くなるところがあると、流速が速くなったところでメニスカス上にあるモールドパウダーを溶鋼中に巻き込む恐れがある。モールドパウダーを溶鋼中に巻き込んでしまうと、鋳片中の介在物が増加し、品質が低下することとなる。
また、流速が速くなった部分では、シェルに対する溶鋼の供給量が多く供給熱量が増加するため、シェルの成長が阻害されてシェル厚不足になり、鋳片の表面に縦割れが発生する原因となる。場合によってはブレーククアウトを引き起こす恐れがある。
【0003】
このように、メニスカスおける溶鋼の流速が部分的に速くなるところがあると、様々な問題を引き起こすことから、溶鋼の流速が部分的に速くならないように、溶鋼のメニスカスを定常的に安定させる技術が開発されている。
溶鋼の流速が部分的に速くなる原因として鋳型に対する浸漬ノズルの位置ずれが知られている。即ち、図2に示すように、浸漬ノズルを鋳型の略中心に位置するように当該浸漬ノズルを鋳型内にセットして鋳造を行うのが理想的だが(図2の理想位置)、例えば、溶鋼の熱等によるタンディッシュの変形により、鋳造中に鋳型に対する浸漬ノズルの位置が変化することがある(図2の鋳造位置)。浸漬ノズルの位置が変化し、当該浸漬ノズルが鋳型に近づくと、浸漬ノズルと鋳片との距離が小さくなった範囲での溶鋼の流速が速くなる。
【0004】
さて、特許文献2に鋳型に対する浸漬ノズルの位置を調整できる方法が開示されており、この特許文献2に開示されているノズル調整機構を用いて、溶鋼の流速が部分的に速くならないように、鋳型に対する浸漬ノズルの位置を調整することが考えられる。
【特許文献1】特開2002−346706号公報
【特許文献2】特許3012496号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、浸漬ノズルと鋳型との相対位置は、タンディッシュの熱膨張やタンディッシュに溶鋼を供給することにより生じるたわみによって刻々と変化しているのが実情である。
よって、鋳型に対する浸漬ノズルの位置変化に対応して浸漬ノズルの位置調整を鋳造中に頻繁に行った場合、頻繁な位置調整によって位置鋳型内の溶鋼の流れを逆に乱し、安定的に鋳造することができない問題がある。
そこで、本発明では、上記問題に鑑み、安定的に鋳造が行うことができて、溶鋼の流速が部分的に速くなることによって生じる問題が発生しない浸漬ノズル管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明は、次の手段を講じた。
即ち、タンディッシュ内の溶鋼を浸漬ノズルを介して鋳型に供給し、この供給された溶鋼を電磁攪拌しながら溶鋼を鋳造するに際し、前記鋳型に対する浸漬ノズルの位置が式(1)を満たす状態で溶鋼の鋳造を行う点にある。
【0007】
【数3】


【0008】
発明者は、鋳型に対する浸漬ノズルのずれ量とモールドパウダーの巻き込みとの関係について様々な調査を行った。具体的には、モールドバウダーの巻き込みによって鋳片内に介在物が介在してしまうことに着目し、所定の大きさの介在物が鋳片に存在する頻度と、鋳型に対する浸漬ノズルのずれ量との関係を調べた。
その結果、浸漬ノズルが中心にあるときの鋳型の内面から浸漬ノズルの外周面までの最短距離に対して、鋳造中の鋳型の内面から浸漬ノズルの外周面までの最短距離が23%以内であれば、大きな介在物が鋳片内に存在することがなくなる。即ち、鋳造中に、浸漬ノズルの位置が式(1)を満たす状態であれば、浸漬ノズルが鋳型に対して位置ずれをしても鋳片に悪影響を及ぼさない。
【0009】
本発明の他の手段は、タンディッシュ内の溶鋼を浸漬ノズルを介して鋳型に供給し、この供給された溶鋼を電磁攪拌しながら溶鋼を鋳造する浸漬ノズル管理方法において、前記溶鋼の炭素含有量が0.08〜0.20重量%を鋳造する際は、鋳型に対する浸漬ノズルの位置が式(2)を満たす状態で鋳造を行う点にある。
【0010】
【数4】


【0011】
さて、炭素含有量が0.08〜0.20重量%の溶鋼を鋳造した場合、鋳造中の凝固シェルが亜包晶鋼になり易いために、当該凝固シェルに割れが生じて、鋳造後の鋳片の表面に縦割れ(鋳片の内部であって表面側に現れる開口部)が生じやすいことは良く知られている。
そこで、発明者は、炭素含有量が0.08〜0.20重量%の溶鋼を鋳造した際、鋳型に対する浸漬ノズルのずれ量と鋳片の表面側に生成される縦割れの頻度についてさらに調査を行った。その結果、炭素含有量が0.08〜0.20重量%の溶鋼を鋳造した場合、凝固シェルが割れやすいが、浸漬ノズルが中心にあるときの鋳型の内面から浸漬ノズルの外周面までの最短距離に対して、鋳造中の鋳型の内面から浸漬ノズルの外周面までの最短距離が20%以内であれば、鋳片において大きな縦割れが生じることがない。
【0012】
言い換えれば、炭素含有量が0.08〜0.20重量%の溶鋼を鋳造する場合、浸漬ノズルの位置が式(2)を満たす状態であれば、浸漬ノズルが鋳型に対して位置ずれをしても鋳片の表面側に大きな割れは発生しなかった。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、安定的に鋳造が行うことができて、モールドパウダーの巻き込みや鋳片の表面割れが発生することがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の浸漬ノズル管理方法について説明する。
図1は、本発明の浸漬ノズル管理方法によって鋳造を行う連続鋳造装置を示している。ただし、本発明はこの設備を使用するものに限定されるものではない。
図1に示すように、連続鋳造装置1は、ビレット連続鋳造装置であって、取鍋2から供給される溶鋼3を一時的に貯留するタンディッシュ4と、このタンディッシュ4からの溶鋼3が供給される鋳型5とを有している。鋳型5の外側には鋳型5内の溶鋼3を電磁攪拌する電磁攪拌装置(M-EMS)6が配置されている。
【0015】
タンディッシュ4は、全体として有底箱形となっており、タンディッシュ4の底部に浸漬ノズル7が設けられている。浸漬ノズル7は、図示しないスライドバルブ或いはストッパーの開閉によりタンディッシュ4による鋳型5への溶鋼3の注入が停止又は再開できるようになっている。このタンディッシュ4には、複数の浸漬ノズル7が設けられており、この実施の形態では、タンディッシュ4の下側に4つの浸漬ノズル7が設けられ、浸漬ノズル7に対応してタンディッシュ4の下側に4つの鋳型5が配置されている。
電磁攪拌装置6は、従来から連続鋳造装置1に用いられている一般的なもので、溶鋼3に磁場を加えることで右旋回(右回り)させたり、溶鋼3を左旋回(左回り)させたりすることができる。
【0016】
連続鋳造装置1では、転炉や二次精錬設備等から出鋼された溶鋼3を取鍋2によってタンディッシュ4まで搬送し、搬送された取鍋2内の溶鋼3をタンディッシュ4へ注入後、スライドバルブ或いはストッパーを開くと共に、電磁攪拌装置6で鋳型5内の溶鋼3を攪拌しつつ溶鋼3を連続的に4ストランド鋳造することができるようになっている。なお、連続鋳造装置では、同じ鋼種の溶鋼3を連続的に数チャージ鋳造したり、鋼種の異なる溶鋼3を連続的に鋳造することができる。
以下、本発明の浸漬ノズル管理方法について詳しく説明する。
【0017】
浸漬ノズル管理方法では、鋳型5に対する浸漬ノズル7の位置が式(1)を満たす状態で溶鋼3の鋳造を行っている。
【0018】
【数5】


【0019】
具体的には、タンディッシュ4を鋳型5の上側にセッティングをし、タンディッシュ4の下側から突出する浸漬ノズル7を、鋳型5の中心に合わせる。詳しくは、鋳型5の幅方向(厚み方向)の略真ん中にそれぞれの浸漬ノズル7の中心が位置するように、鋳型5に対するタンディッシュ4の位置調整を行う。
図2に示すように、タンディッシュ4の熱等の変形によって、すべての浸漬ノズル7が鋳型5の幅方向真ん中に位置させることができない場合は、セッティングしたときの浸漬ノズル7の外周面と鋳型5の内面との最少距離L2(セッティング距離)と、浸漬ノズル7が中心にあると仮定したときの鋳型5の内面から浸漬ノズル7の外周面までの最短距離L0(以降、理想距離ということがある)とを比較し、セッティング距離L2が当該理想距離の77%以下にならにように、タンディッシュ4を移動させて各浸漬ノズル7の位置を調整する。即ち、式(1)のL1(後述する鋳造距離)をセッティング距離L2に置き換えても式(1)を満たすように、セッティング時に浸漬ノズル7の位置を決定する。
【0020】
そして、各浸漬ノズル7の位置決め後、タンディッシュ4内の溶鋼3を鋳型5に供給し、溶鋼3を、例えば、右旋回させて当該溶鋼3を攪拌しながら鋳造を行う。鋳造中においては、例えば、鋳型5に対する浸漬ノズル7をセンサ等によって計測し、式(1)を満たす状態であるか確認しながら鋳造を継続する。
タンディッシュ4の熱変形等によって鋳型5に対する浸漬ノズル7の位置が徐々に変化し、鋳造中における浸漬ノズル7の外周面と鋳型5の内面との最少距離L1(鋳造距離)がセッティング距離L2よりも短くなって、当該鋳造距離L1が理想距離L0の77%に限りなく近づいた場合、言い換えれば、式(1)を満たすものの式(1)の左辺の値が0.23に近づいた場合、当該チャージにおける鋳造を完了後、鋳型5に対する溶鋼3の注入を一旦停止して、タンディッシュ4や浸漬ノズル7を交換又は調整した後、鋳造を再開する。
【0021】
また、鋳造中に、鋳型5に対する浸漬ノズル7の位置が式(1)を満たさなくなった場合、式(1)を満たさなくなった浸漬ノズル7を閉鎖して溶鋼2の供給を停止する。例えば、4つの浸漬ノズル7のうち、1つの浸漬ノズル7が式(1)を満たさなくなった場合は、式(1)を満たさなくなった浸漬ノズル7のみを閉鎖し、他の3つの浸漬ノズル7については閉鎖せず鋳造を続ける。この場合、3ストランドの鋳造となる。
そして、当該チャージにおける鋳造を完了後、鋳型5に対する溶鋼3の注入を一旦停止して、タンディッシュ4を交換するか、位置ズレした浸漬ノズル7のみ又はすべての浸漬ノズル7を交換する。
【0022】
さて、溶鋼3の炭素含有量が0.08〜0.20重量%を鋳造する場合は、前記式(1)に代え、鋳型5に対する浸漬ノズル7の位置が式(2)を満たす状態で鋳造を行っている。
【0023】
【数6】


【0024】
具体的には、炭素含有量が0.08〜0.20重量%の溶鋼3を鋳造する場合でも、まず、タンディッシュ4を鋳型5の上側にセッティングをし、タンディッシュ4の下側から突出する浸漬ノズル7を、鋳型5の中心に合わせる。詳しくは、鋳型5の幅方向の略真ん中にそれぞれの浸漬ノズル7の中心が位置するように、鋳型5に対するタンディッシュ4の位置調整を行う。
このとき、すべての浸漬ノズル7が鋳型5の幅方向真ん中に位置させることができない場合は、セッティング距離L2と、理想距離L0とを比較し、セッティング距離L2が当該理想距離L0の80%以下にならにように、タンディッシュ4を移動させて各浸漬ノズル7の位置を調整する。
【0025】
このように、炭素含有量が0.08〜0.20重量%の溶鋼3を鋳造する場合は、鋳型5に対する浸漬ノズル7の位置ずれの許容を他の溶鋼3に比べ厳しくしている。
そして、各浸漬ノズル7の位置決め後、タンディッシュ4内の溶鋼3を鋳型5に供給し、溶鋼3を、例えば、右旋回させて当該溶鋼3を攪拌しながら鋳造を行う。鋳造中においては、例えば、鋳型5に対する浸漬ノズル7をセンサ等によって計測し、鋳型5に対する浸漬ノズル7の位置が式(2)を満たす状態であるか確認しながら鋳造を継続する。
ここで、タンディッシュ4の熱変形等によって鋳型5に対する浸漬ノズル7の位置が徐々に変化し、鋳造中における浸漬ノズル7の外周面と鋳型5の内面との最少距離L1(鋳造距離)がセッティング距離L2よりも短くなって、当該鋳造距離L1が理想距離L0の80%に限りなく近づいた場合、言い換えれば、式(2)を満たすものの式(2)の左辺の値が0.20に近づいた場合、当該チャージにおける鋳造を完了後、鋳型5に対する溶鋼3の注入を一旦停止して、タンディッシュ4や浸漬ノズル7を交換又は調整した後、鋳造を再開する。
【0026】
鋳造中に、鋳型5に対する浸漬ノズル7の位置が式(2)を満たさなくなった場合、式(2)を満たさなくなった浸漬ノズル7を閉鎖して溶鋼2の供給を停止する。例えば、4つの浸漬ノズル7のうち、1つの浸漬ノズル7が式(2)を満たさなくなった場合は、式(2)を満たさなくなった浸漬ノズル7のみを閉鎖し、他の3つの浸漬ノズル7については閉鎖せず鋳造を続ける。この場合、3ストランドの鋳造となる。
そして、当該チャージにおける鋳造を完了後、鋳型5に対する溶鋼3の注入を一旦停止して、タンディッシュ4を交換するか、位置ズレした浸漬ノズル7のみ又はすべての浸漬ノズル7を交換する。
【0027】
次に、鋳型5に対する浸漬ノズル7の位置を式(1)を満たした状態で鋳造したり、鋳型5に対する浸漬ノズル7の位置を式(2)を満たした状態で鋳造することについて詳しく説明する。
図2に示すように、浸漬ノズル7をセッティングしたときや鋳造中ときに、浸漬ノズル7の中心位置が鋳型5の中心位置から外れ、浸漬ノズル7が鋳型5に近づいてしまうと、浸漬ノズル7の外周面と鋳型5の内面との距離が短くなる狭い部分ができてしまう。狭い部分では溶鋼3の流速が速くなり、これにより、モールドパウダーの巻き込みの原因となる。
【0028】
そこで、発明者は、図3に示すように、鋳型5に対する浸漬ノズル7の位置を測定しながら鋳造を繰り返し行い、鋳型5に対する浸漬ノズル7のずれ量と、鋳片に介在物が混入する度合い(皮下介在物要因不良発生率)についての実験を行った。
鋳型5に対する浸漬ノズル7のずれ量は、理想距離L0から鋳造距離L1を引き、この値を理想距離L0で割ることで求めた。また、皮下介在物要因不良発生率については、鋳造した鋳片のサンプルを採取し、UT検査装置で介在物の有無を検査し、サンプルで300μm以上の介在物を1個以上検出すると「欠陥有り」、それ以外を「欠陥無し」とし、「欠陥有り」とした数から検査を行ったサンプルの総数を割ることで求めた。
【0029】
図3に示すように、浸漬ノズル7のずれ量が23%よりも大きくなると、皮下介在物要因不良発生率が0.2%以上となっている。よって、浸漬ノズル7のずれ量が23%よりも大きくなると、大量のモールドパウダーが溶鋼3中に巻き込まれてしまい、鋳片の品質低下につながることがわかった。
したがって、浸漬ノズル7のずれ量が23%よりも大きくならないように、即ち、鋳型5に対する浸漬ノズル7の位置が式(1)を満たすように、溶鋼3の鋳造を行う必要がある。
【0030】
さて、炭素含有量が0.08〜0.20重量%の溶鋼3を鋳造した場合、鋳造中の凝固シェルが亜包晶鋼になり易く、溶鋼3の流速が速い部分があると、通常の鋼よりも凝固シェルの収縮によって当該凝固シェルが割れ易く、その結果、鋳片の表面に縦割れが生じたり、ブレークアウトの原因となる。
そこで、発明者は、図4に示すように、炭素含有量が0.08〜0.20重量%の溶鋼3の鋳造を繰り返し行い、鋳型5に対する浸漬ノズル7のずれ量と、鋳片の表面に縦割れ不良発生率についての実験を行った。また、縦割れ不良発生率については、鋳造した鋳片の表面をMT検査装置で検査し、鋳片の表面において5mm以上の開口があいているものを「欠陥有り」、5mm未満の開口のものを「欠陥無し」とし、「欠陥有り」とした数から検査を行った鋳片の総数を割ることで求めた。
【0031】
表1は、本発明の浸漬ノズル管理方法で鋳造を行った実施例と、本発明の浸漬ノズル管理方法で鋳造を行わなかった比較例とをまとめたものである。
【0032】
【表1】


【0033】
表1での磁束密度は、メニスカス位置での鋳型5の外面から15mm離れたところで測定した値である。浸漬ノズル7の深さは、湯面から浸漬ノズル7の吐出孔上端までの距離とした。電磁攪拌装置6における周波数は1〜3Hzとした。
表1における鋳造前の位置ずれは、理想距離L0からセッティング距離L2を引くことで求めた位置ずれ値(L0−L2)であり、鋳造中の位置ずれは、セッティング距離L2から鋳造距離L1を引くことでもとめた位置ずれ値(L2−L1)である。
トータルの位置ずれは、鋳造前の位置ずれ値と、鋳造中の位置ずれ値とを足したもの(L0−L1)で、トータルの位置ずれ率は、式(1)又は式(2)の左辺の値で、単位を「%」とした。
【0034】
実施例1〜48は、鋳型5に対する浸漬ノズル7の位置が少なくとも式(1)を満たす状態で溶鋼3の鋳造を行ったものである。この実施例1〜48では、UT検査で「欠陥有り」と判定されるサンプルがなく、モールドパウダーの巻き込みが非常に少なかった。
特に、実施例1〜41において、溶鋼3の炭素含有量が0.08〜0.20重量%未満を鋳造する場合にあっては、トータルの位置ずれ率が20%以下であって、式(2)を満たしており、MT検査で「欠陥有り」と判定されるサンプルがなく、5mm以上の鋳片の縦割れはなかった。
【0035】
比較例49〜58については、鋳型5に対する浸漬ノズル7の位置が式(1)や式(2)を満たしておらず、モールドパウダーの巻き込みや5mm以上の鋳片の縦割れがあった。
本発明の浸漬ノズル管理方法は、ビレット連続鋳造装置に適用されるものに限らず、ブルーム又はスラブ連続鋳造装置に適用されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】連続鋳造装置の概念図である。
【図2】鋳型に対する浸漬ノズルの位置を示す図である。
【図3】浸漬ノズルの位置ずれと皮下介在物要因不良発生率との関係を示す図である。
【図4】浸漬ノズルの位置ずれと縦割れ不良発生率との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0037】
1 連続鋳造装置
2 溶鋼
3 タンディッシュ
4 鋳型
5 サポートロール
6 電磁攪拌装置
7 浸漬ノズル
【出願人】 【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
【出願日】 平成18年7月12日(2006.7.12)
【代理人】 【識別番号】100061745
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 敏雄

【識別番号】100120341
【弁理士】
【氏名又は名称】安田 幹雄


【公開番号】 特開2008−18449(P2008−18449A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−191690(P2006−191690)