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【発明の名称】 スラリー製造方法及びスラリー製造装置
【発明者】 【氏名】内田 正志

【氏名】佐藤 智

【氏名】佐々木 寛人

【氏名】前田 琢磨

【氏名】花田 和直

【氏名】菊池 政男

【氏名】長澤 理

【要約】 【課題】高い品質の成形品を安定して得るために、一定の性状、即ち成形に適した固相率及び微細粒状結晶からなるスラリーを安定して供給するためのスラリー製造方法及びスラリー製造装置を提供する。

【構成】カップ冷却装置9において、水槽8の貯水部14の水温Tが下限温度TLから上限温度THの範囲に保持され、該貯水部14の水に、カップ3が所定時間だけ浸漬されて冷却されるので、冷却後のカップ3の温度、延いてはスラリー生成装置に装着されるカップ3の温度が安定し、該カップ3に生成されるスラリーの性状、即ち成形に適した固相率及び微細粒状組織を得ることができる。そして、性状(固相率及び組織)が安定したスラリーを用いることで、高い品質の成形品(製品)を安定して得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スラリー生成部に装着された保持容器に溶融金属を給湯する給湯工程と、該保持容器に給湯された溶融金属を固液共存状態のスラリーに生成するスラリー生成工程と、該保持容器に収容された前記スラリーを成形機に供給するスラリー供給工程と、前記スラリーが排出された前記保持容器を水槽の水に浸漬して冷却する冷却工程と、該冷却工程によって冷却された前記保持容器の内側面に洗浄用流体を噴射して該保持容器の内側面を洗浄する洗浄工程と、該洗浄工程によって洗浄された前記保持容器の内側面に離型剤を塗布する塗布工程と、を含むスラリー製造方法であって、
前記冷却工程において、前記保持容器を、所定温度に保持された前記水槽の水に所定時間だけ浸漬して冷却することを特徴とするスラリー製造方法。
【請求項2】
前記冷却工程において、冷却時における前記水槽の水温を監視し、該水槽の水温が昇温して上限温度に達した時点で、前記水槽への給水を開始して該水槽の水を冷却し、該給水によって前記水槽の水温が降温して下限温度に達した時点で、前記水槽への給水を停止することを特徴とする請求項1に記載のスラリー製造方法。
【請求項3】
保持炉によって所定温度に保持された溶融金属を汲み上げて保持容器に給湯する給湯手段と、該保持容器に給湯された溶融金属を固液共存状態のスラリーに生成するスラリー生成手段と、前記スラリーが排出された前記保持容器を水槽の水に浸漬して冷却する冷却手段と、該冷却手段によって冷却された前記保持容器の内側面に洗浄用流体を噴射して該保持容器の内側面を洗浄する洗浄手段と、該洗浄手段によって洗浄された前記保持容器の内側面に離型剤を塗布する塗布手段と、前記保持容器を操作する操作手段と、を含むスラリー製造装置であって、
前記冷却手段は、前記水槽の水を所定温度に保持する水温保持手段を備えることを特徴とするスラリー製造装置。
【請求項4】
前記水温保持手段は、前記水槽の水温を測定する水温測定部と、前記水槽への給水を制御する制御バルブと、前記水温測定部の測定結果に基づいて前記制御バルブのON/OFFを制御する制御部と、を備えることを特徴とする請求項3に記載のスラリー製造装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、成形機に供給されるスラリー(半凝固成形用金属)の製造方法及びスラリー製造装置に関するもので、特に、保持容器に給湯された溶融金属がスラリーに生成されるスラリー製造方法及びスラリー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、固液共存状態の金属、即ち、状態図において液相線と固相線との間で液相と固相とが共存する状態の半凝固金属(以下、スラリーと称する)を材料に用いる成形技術が注目されている。例えば、レオキャスト法においては、キャビティに充填されるスラリーの温度が溶融金属と比較して低いことから金型の寿命が延び、製造コストが削減される。また、鋳造時にキャビティ内のガスがスラリーに巻き込まれる可能性が低く、さらに、キャビティに充填された後のスラリーは、凝固収縮量が溶融金属と比較して少なくなることから、エア巻き込みによる気泡や引け巣等の鋳造欠陥が発生することがなく、高い品質の製品を安定して得ることができる。ところで、このような技術を開示する特許文献1に記載のスラリー処理供給装置においては、保持炉から汲み上げられた溶融金属は、スラリー製造装置によって電磁攪拌されながらスラリー製造装置に配したステンレス製のカップに給湯され、さらに一定時間冷却保持された後、スラリーが得られる。そして、該カップを多関節ロボットアームによって操作して、該カップに生成されたスラリーが成形機に供給される。
【0003】
上記スラリー処理供給装置では、スラリーが排出された後の空のカップは、水槽の冷却水に所定時間だけ浸漬されて冷却され(冷却手段)、該冷却後、ノズルからエアが所定時間だけ噴射されて内側面に付着した材料(アルミニウム粕)が取除かれる(清掃手段)。そして、清掃されたカップは、内側面に離型剤が塗布された後(離型剤塗布手段)、ロボットアームによってスラリー製造装置へ装着され、給湯装置によって溶融金属が給湯される。ここで、成形に向けてより好適な性状のスラリーを得るためには、溶融金属が給湯される直前のカップの温度管理が極めて重要である。しかしながら、上記スラリー処理供給装置においては、溶融金属が給湯される直前のカップの温度管理が実施されておらず、例えば、カップの温度が適温よりも低い状態では、給湯された溶融金属がカップによって急激に冷却され、スラリー生成時にデンドライト状結晶が成長することからキャビティ充填時にスラリーの流動性が低下し、湯廻り不良や組織が不均一な成形品となる。
【0004】
また逆に、カップの温度が適温よりも高い状態では、給湯時にカップの壁面で生成される結晶核の数が少なくなることから成形品の組織が粗くなるばかりか、所望よりも固相率が低いスラリーが生成されるため、エア巻き込みや引け巣などの鋳造欠陥が生じる可能性が高くなり、成形品の品質が低下する。そこで、特許文献2には、清掃及び離型剤塗布が施されたカップが加熱炉によって所定温度に加熱され、該所定温度に保持されたカップがスラリー製造装置へ供給される半溶融成形用金属の開示があるが、上記スラリー処理供給装置に加熱炉を設備した場合、設備が大型化すると共に設備コストが増大する問題がある。
【特許文献1】特開2006−51518号公報
【特許文献2】特許第3211754号公報、段落番号(0031)、図面(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、第1の目的は、高い品質の成形品を安定して得るために、一定の性状、即ち成形に適した固相率及び微細粒状結晶からなるスラリーを安定して供給するためのスラリー製造方法を提供することにある。
また、第2の目的は、高い品質の成形品を安定して得るために、一定の性状、即ち成形に適した固相率及び微細粒状結晶からなるスラリーを安定して供給するためのスラリー製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記第1の目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、スラリー生成部に装着された保持容器に溶融金属を給湯する給湯工程と、該保持容器に給湯された溶融金属を固液共存状態のスラリーに生成するスラリー生成工程と、該保持容器に収容されたスラリーを成形機に供給するスラリー供給工程と、スラリーが排出された保持容器を水槽の水に浸漬して冷却する冷却工程と、該冷却工程によって冷却された保持容器の内側面に洗浄用流体を噴射して該保持容器の内側面を洗浄する洗浄工程と、該洗浄工程によって洗浄された保持容器の内側面に離型剤を塗布する塗布工程と、を含むスラリー製造方法であって、冷却工程において、保持容器を、所定温度に保持された水槽の水に所定時間だけ浸漬して冷却することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のスラリー製造方法において、冷却工程において、冷却時における水槽の水温を監視し、該水槽の水温が昇温して上限温度に達した時点で、水槽への給水を開始して該水槽の水を冷却し、該給水によって水槽の水温が降温して下限温度に達した時点で、水槽への給水を停止することを特徴とする。
【0008】
上記第2の目的を達成するために、本発明のうち請求項3に記載の発明は、保持炉によって所定温度に保持された溶融金属を汲み上げて保持容器に給湯する給湯手段と、該保持容器に給湯された溶融金属を固液共存状態のスラリーに生成するスラリー生成手段と、スラリーが排出された保持容器を水槽の水に浸漬して冷却する冷却手段と、該冷却手段によって冷却された保持容器の内側面に洗浄用流体を噴射して該保持容器の内側面を洗浄する洗浄手段と、該洗浄手段によって洗浄された保持容器の内側面に離型剤を塗布する塗布手段と、保持容器を操作する操作手段と、を含むスラリー製造装置であって、冷却手段は、水槽の水を所定温度に保持する水温保持手段を備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のスラリー製造装置において、水温保持手段は、水槽の水温を測定する水温測定部と、水槽への給水を制御する制御バルブと、水温測定部の測定結果に基づいて制御バルブのON/OFFを制御する制御部と、を備えることを特徴とする。
【0010】
したがって、請求項1及び3に記載のスラリー製造方法及びスラリー製造装置では、冷却時における水槽の水温を所定の温度範囲内に保持することができる。
請求項2及び4に記載のスラリー製造方法及びスラリー製造装置では、水槽への給水を制御することで冷却時における水槽の水温を保持することができる。
【発明の効果】
【0011】
高い品質の成形品を安定して得るために、一定の性状、即ち成形に適した固相率及び微細粒状結晶からなるスラリーを安定して供給するためのスラリー製造方法及びスラリー製造装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の一実施形態を図1〜図3に基づいて説明する。本スラリー製造装置1は、保持炉2によって所定温度に保持された溶融金属を、ラドル11によってステンレス製のカップ3(保持容器)に給湯する給湯装置4(給湯手段)と、該カップ3に給湯された溶融金属を固液共存状態のスラリーに生成するスラリー生成装置5(スラリー生成部、スラリー生成手段)と、カップ3の操作(ハンドリング)を行う多関節型ロボットアーム6(操作手段)と、スラリーが排出されて空になったカップ3を、水槽8に貯留された水に浸漬して冷却するカップ冷却装置9(冷却手段)と、該カップ冷却装置9によって冷却されたカップ3の内側面3aを洗浄すると共に該洗浄されたカップ3の内側面3aに離型剤を塗布するカップ洗浄スプレー装置10(洗浄手段及び塗布手段)と、を具備する。
【0013】
上記スラリー生成装置5は、上記ロボットアーム6の操作によってカップ3が開口を上向きに装着されるカップ収容部12を備え、該カップ収容部12に装着されたカップ3に、ラドル11によって溶融金属が給湯される。そして、スラリー生成装置5は、ラドル11によってカップ3に溶融金属が給湯されると同時に該給湯された溶融金属の電磁攪拌が開始され、給湯完了後、溶融金属の電磁攪拌が停止される。これにより、カップ3内の溶融金属が固液共存状態のスラリーに生成される構造になっている。そして、本スラリー製造装置1では、ロボットアーム6の操作によってカップ3がスラリー生成装置5から取り出され、当該カップ3から成形機7の射出スリーブへスラリーが直接投入(供給)される構造になっている。なお、図1に示される符号23は、成形機7がトラブル等で停止している間に順次製造されるスラリーを廃棄するための排出バケットである。図2に示されるように、上記カップ冷却装置9は、側壁8aよりも低い高さの隔壁13によって貯水部14と排水部15とに仕切られた上記水槽8を備える。また、カップ冷却装置9は、上記貯水部14に外部から給水管16を介して水(常温の水道水)が供給され、該貯水部14から排水部15へ溢れ出た水が、該排水部15の底部に設けられた排水口17から水槽8の外へ排出される構造になっている。
【0014】
上記カップ冷却装置9は、カップ3が開口を上向きに装着され、主制御装置19(制御部)の制御に基づいて作動されるエアシリンダ34の駆動によって昇降されるカップホルダ18を備える。そして、カップ3は、上記ロボットアーム6の操作によって、上昇端に位置決めされたカップホルダ18に装着/取り出しされる構造になっている。また、カップ冷却装置9は、貯水部14に貯留された水の温度Tを測定する水温センサ21(水温測定部)と、該水温センサ21によって測定された貯水部14の水温Tに基づき作動して貯水部14に貯留された水を加熱するヒータ20と、上記給水管16に設けられて水温センサ21によって測定された水温Tに基づき上記貯水部14への給水を制御する電磁バルブ22(制御バルブ)と、を備える。そして、カップ冷却装置9では、スラリーが排出された直後の高温のカップ3が上記カップホルダ18に装着され、該カップ3がカップホルダ18に装着された状態で水槽8の貯水部14に貯留された水に所定時間だけ浸漬される。これにより、上記高温のカップ3が所定温度に冷却される構造になっている。
【0015】
そして、カップ冷却装置9では、カップ3の冷却時に水槽8の貯水部14に貯留された水が該カップ3の熱を奪って昇温され、該貯水部14の水温Tが上限温度THに達した時点で、上記電磁バルブ22が開側に作動され、これにより給水管16から貯水部14へ給水されて該給水によって貯水部14に貯留された水が冷却される。また、給水によって降温される貯水部14の水温Tが下限温度TLに達した時点で、上記電磁バルブ22が閉側に作動されて給水管16から貯水部14への給水が停止され、貯水部14に貯留された水の冷却が停止される構造になっている。このように、本スラリー製造装置1では、貯水部14の水温T(水温センサ21の測定結果)に基づいて上記電磁バルブ22のON/OFFを制御することにより、貯水部14の水温Tが所定温度(TL≦T≦TH)に保持される構造になっている。なお、上記ヒータ20は、スラリー製造装置1のサイクルスタート前、或いはトラブルによる停止中、復旧後の貯水部14の水温Tをウォームアップする場合のみに使用される。
【0016】
図1に示されるように、上記カップ洗浄スプレー装置10は、洗浄ポジションP1(洗浄手段)、加熱ポジションP2、スプレーポジションP3(塗布手段)を備える。また、カップ洗浄スプレー装置10は、円盤状に形成されて軸心回りに旋回且つ位置決めされる旋回テーブル24を備える。該旋回テーブル24は、円筒状に形成されて軸心(旋回軸)の回りに120°の角度位相で等配された3個のカップ台25を備える。そして、カップ洗浄スプレー装置10では、上記カップ冷却装置9によって冷却されたカップ3が、上記ロボットアーム6の操作によって、洗浄ポジションP1に位置決めされたカップ台25に開口を下向きに装着され、この状態で、旋回テーブル24を軸心回りに120°の角度位相づつ旋回させることにより、該洗浄ポジションP1に位置するカップ3が、加熱ポジションP2、スプレーポジションP3に順次位置決めされる構造になっている。なお、図3に示されるように、各カップ台25は、中空部25aが旋回テーブル24を貫通し、内周面上端部には段加工によって形成されたカップ載置部26が設けられる。
【0017】
図3に示されるように、上記洗浄ポジションP1には、当該洗浄ポジションP1に装着されたカップ3をカップ台25に押し付けて該カップ台25に固定するカップ押え27と、水スプレーノズル28とエアブローノズル29とを備えるノズルユニット30と、該カップ3に対して水平方向へ進退可能に設けられて洗浄時におけるカップ3の所定位置の温度を測定する温度センサ31と、が構成される。そして、該洗浄ポジションP1では、上記カップ押え27によってカップ台25に固定されたカップ3の内部空間に、上下にストロークされるノズルユニット30が繰り返し出し入れされ、該ノズルユニット30の水スプレーノズル28及びエアブローノズル29から噴射される洗浄水及びエアによってカップ3の内周面に付着したアルミニウム粕33が除去される構造になっている。
【0018】
なお、本スラリー製造装置1では、カップ洗浄スプレー装置10において、まず、所定時間のエアブロー後、水スプレー及びエアブローによって所定時間だけカップ3が洗浄され、該洗浄後、温度センサ31によってカップ3の温度を監視しながら、該カップ3の温度が所定温度に達するまで、エアブローによってカップ3が冷却される。これにより、洗浄ポジションP1において処理(洗浄及び冷却)が完了したカップ3、即ち、加熱ポジションP2によって加熱(予熱)するカップ3の温度を安定させることができる構造になっている。そして、上記加熱ポジションP2では、上記洗浄ポジションP1によって洗浄及び冷却されたカップ3が、次のスプレーポジションP3に向けて離型剤が定着し易いように、ヒータによって所定時間(洗浄ポジションP1における処理時間)だけ加熱(予熱)される。上記スプレーポジションP3では、上記加熱ポジションP2によって予熱されたカップ3の内側面に、ノズルから噴射されたBN(ボロンナイトライド)等の離型剤が塗布される。ここで、スプレーポジションP3では、カップ3の温度が温度センサによって監視され、主制御装置19が、該カップ3の温度(温度センサの測定値)が設定温度の範囲外であると判定した場合に、該主制御装置19によってアラームが発せられる構造になっている。
【0019】
なお、図1に示される符号32は、本スラリー製造装置1に供給される空のカップ3が載置されるカップバッファ装置であって、該カップバッファ装置に載置されたカップ3がロボットアーム6によってスラリー製造装置1に順次供給される。また、P0は、上記スラリー生成装置5において内部にスラリーが生成されたカップ3が、ロボットアーム6によって移送されてホルダに装着される保持ステーションである。該保持ステーションP0では、ホルダに装着されたカップ3を所定時間保持することでカップ3内のスラリーが自然冷却され、スラリー生成装置5によって生成されたスラリーの固相率がさらに高められるようになっている。そして、スラリーが入ったカップ3は、保持ステーションP0にて所定時間保持された後、ロボットアーム6によってホルダから取り出され、スラリーが成形機7の射出スリーブへ投入される。また、保持ステーションPOは、溶融金属の種類、スラリーのサイズ、運転サイクル等によって使用の有無が選択される。また、本スラリー製造装置1において用いられるカップ3(保持容器)は、凹形状の底部を有する円筒形に形成され、開口周縁部や底部の板厚が、他の部分の板厚よりも薄く形成される。これにより、冷却速度が相対的に大きいカップ3の開口周縁部や底部の熱容量が軽減され、冷却時にカップ3全体が均一な冷却速度で冷却されて当該カップ3の温度が均一化される構造になっている。
【0020】
次に、本スラリー製造方法を説明する。なお、ここでは、AC4C合金による3kgカップを50秒のサイクルで運転した例を説明する。まず、スプレーポジションP3において内側面にBN(ボロンナイトライド)等の離型剤が塗布されたカップ3(保持容器)が、ロボットアーム6(操作手段)の操作によって、カップ洗浄スプレー装置10から取り出されて開口を上向きにスラリー生成装置5(スラリー生成手段)のカップ収容部12に装着される。次に、給湯装置4(給湯手段)のラドル11によって、保持炉2の溶融金属が所定量だけ汲み上げられて該カップ3に給湯される(給湯工程)。そして、該スラリー生成装置5において、カップ3の溶融金属が給湯と同時に電磁攪拌され、給湯完了後の冷却保持によって、該カップ3内に固液共存状態のスラリーが生成される(スラリー生成工程)。次に、該カップ3は、ロボットアーム6の操作によって、スラリー生成装置5からスラリー保持ステーションP0に移動され、該スラリー保持ステーションP0においてカップ3内のスラリーの固相率が高められる。
【0021】
なお、スラリー保持ステーションP0における冷却保持の間に、ロボットアーム6の操作によって、カップ冷却装置9における冷却が完了したカップ3が、カップ洗浄スプレー装置10の洗浄ポジションP1(洗浄手段)に位置決めされたカップ台25に開口を下向きに載置され、さらに、ロボットアーム6の操作によって、スプレーポジションP3において内側面に離型剤が塗布されたカップ3が、カップ洗浄スプレー装置10から取り出されて開口を上向きにスラリー生成装置5のカップ収容部12に装着される。次に、スラリー保持ステーションP0において冷却保持されたスラリーは、ロボットアーム6の操作によって、カップ3から成形機7の射出スリーブに供給される(スラリー供給工程)。そして、スラリーが排出されて空になったカップ3は、ロボットアーム6の操作によって、カップ冷却装置9(冷却手段)のカップホルダ18に開口を上向きに装着される。
【0022】
そして、カップホルダ18に装着されたカップ3は、水槽8の貯水部14に貯留された水(40℃)に所定時間(5秒)だけ浸漬され、570〜590℃から100〜120℃まで冷却される(冷却工程)。ここで、カップ冷却装置9においては、カップ3の冷却時に、水槽8の貯水部14の水温Tが上限温度TH(45℃)に達した時点で、電磁バルブ22が開側に作動して給水管16から貯水部14へ給水され、該給水によって貯水部14に貯留された水が冷却される。そして、該給水によって貯水部14の水温Tが降温し、該水温Tが下限温度TL(40℃)に達した時点で、上記電磁バルブ22が閉側に作動して給水が停止する。次に、カップ冷却装置9における冷却が完了したカップ3は、ロボットアーム6の操作によって、カップ洗浄スプレー装置10の洗浄ポジションP1(洗浄手段)に位置決めされたカップ台25に開口を下向きに装着され、該カップ台25にカップ押え27によって固定される。
【0023】
この状態で、ノズルユニット30が上下に繰り返しストロークされ、該ノズルユニット30の水スプレーノズル28及びエアブローノズル29から噴射される洗浄水及びエアによって、カップ3の内周面に付着したアルミニウム粕33が除去される(洗浄工程)。ここで、洗浄ポジションP1においては、カップ3は、まず、所定時間(10秒)のエアブロー後、水スプレー及びエアブローによって所定時間(1.5秒)だけ洗浄され、さらに所定位置の温度が所定温度(80℃)に達するまでエアブローによって冷却される。そして、洗浄ポジションP1における処理が完了し、カップ3がカップ押え27による押圧力から解放されると、旋回テーブル24が所定方向(図1における時計回り方向)に120°だけ旋回され、カップ3が洗浄ポジションP1から加熱ポジションP2へ移動される。そして、加熱ポジションP2においては、次のスプレーポジションP3(塗布手段)において内周面3aに離型剤が定着し易いように、カップ3がヒータによって所定時間(次のカップ3が洗浄ポジションP1で処理されている間)だけ加熱(予熱)される。
【0024】
そして、カップ3の予熱が完了(洗浄ポジションP1における次のカップ3の処理が完了)すると、旋回テーブル24が所定方向(図1における時計回り方向)に120°だけ旋回され、最初のカップ3が加熱ポジションP2からスプレーポジションP3へ移動される。該スプレーポジションP3においては、予熱されたカップ3の内側面にノズルから噴射された離型剤が塗布される(塗布工程)。そして、離型剤が塗布されたカップ3は、ロボットアーム6の操作によって、カップ洗浄スプレー装置10から取り出されてスラリー生成装置5のカップ収容部12に開口を上に向けて装着される。
【0025】
この実施形態では以下の効果を奏する。
本スラリー製造装置1では、カップ冷却装置9(冷却手段)において、水槽8の貯水部14の水温Tが昇温して該水温Tが上限温度THに達した時点で、給水管16から貯水部14へ給水され、貯水部14に貯留された水が冷却される。また、貯水部14の水温Tが降温して該水温Tが下限温度TLに達した時点で、給水が停止される。
したがって、本スラリー製造装置1では、カップ冷却装置9における水槽8の貯水部14の水温Tが下限温度TLから上限温度THの範囲に保持され、該貯水部14の水に、カップ3が所定時間だけ浸漬されて冷却されるため、冷却後のカップ3の温度を安定させることができる。
【0026】
また、本スラリー製造装置1では、カップ洗浄スプレー装置10(洗浄手段及び塗布手段)において、カップ3は、所定時間のエアブロー後、水スプレー及びエアブローによって所定時間だけ洗浄され、さらに所定位置の温度が所定温度に達するまでエアブローによって冷却されるため、洗浄及び冷却後のカップ3の温度を安定させることができる。
【0027】
これにより、本スラリー製造装置1では、スラリー生成装置5(スラリー生成手段)に装着されるカップ3の温度が安定することにより、該カップ3に生成されるスラリー性状、即ち成形に適した固相率及び微細粒状組織を維持することができる。そして、性状(固相率及び組織)が安定したスラリーを用いることで、高い品質の成形品(製品)を安定して得ることができる。
【0028】
なお、実施形態は上記に限定されるものではなく、例えば次のように構成してもよい。
カップ冷却装置9においては、処理(冷却)が完了したカップ3の温度を統一、即ち、カップ3間における温度のばらつきをなくし、最終的にスラリー生成装置5に供給されるカップ3の温度を安定させることが重要であり、この要件が満たされれば、貯水部14の水温Tの上限温度TH及び下限温度TL、並びに該貯水部14に貯留された水にカップ3を浸漬させる時間(冷却時間)は、必要に応じて適宜に設定すればよい。
カップ洗浄スプレー装置10の洗浄ポジションP1においては、温度センサ31によって温度測定されるカップ3の部位をカップ3間で統一、即ち、カップ3間における温度のばらつきをなくし、最終的にスラリー生成装置5に供給されるカップ3の温度を安定させることが重要であり、この要件が満たされれば、カップ3のどの部位の温度を測定してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】成形機を含む本スラリー製造装置の概略を示す平面図である。
【図2】カップ冷却装置(冷却工程)の説明図である。
【図3】カップ洗浄スプレー装置の説明図であって、特に、洗浄ポジション(洗浄工程)の構造を示す図である。
【符号の説明】
【0030】
1 スラリー製造装置、2 保持炉、3 カップ(保持容器)、4 給湯装置(給湯手段)、5 スラリー生成装置(スラリー生成部、スラリー生成手段)、6 ロボットアーム(操作手段)、7 成形機、8 水槽、9 カップ冷却装置(冷却手段)、10 カップ洗浄スプレー装置、19 主制御装置(制御部)、21 水温センサ(水温測定部)、22 電磁バルブ(制御バルブ)
【出願人】 【識別番号】300041192
【氏名又は名称】宇部興産機械株式会社
【識別番号】505164977
【氏名又は名称】株式会社ナノキャスト
【識別番号】390037257
【氏名又は名称】株式会社東京理化工業所
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100068618
【弁理士】
【氏名又は名称】萼 経夫

【識別番号】100104145
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 嘉夫

【識別番号】100109690
【弁理士】
【氏名又は名称】小野塚 薫

【識別番号】100135035
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 明夫

【識別番号】100131266
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼ 昌宏

【識別番号】100093193
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 壽夫


【公開番号】 特開2008−776(P2008−776A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171445(P2006−171445)