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金属ダイカスト用の付着防止離型層形成塗布液 - 特開2008−100244 | j-tokkyo
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【発明の名称】 金属ダイカスト用の付着防止離型層形成塗布液
【発明者】 【氏名】平光 規行

【氏名】林 宏明

【氏名】野口 高一

【氏名】大原 康之

【要約】 【課題】高温時においてガスの発生が無く、鋳物に微小な穴が生じることも無く、繰り返し使用可能な離型層を容易に得る手段を提供すること。

【解決手段】チタン酸アルミニウムを含有する無機材料粒子と無機系被膜形成液とからなることを特徴とする、金属ダイカスト用の付着防止離型層形成塗布液、及び前記塗布液を塗布して被膜を形成した金属ダイカスト用部材。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
チタン酸アルミニウムを含有する無機材料粒子と無機系被膜形成液とからなることを特徴とする、金属ダイカスト用の付着防止離型層形成塗布液。
【請求項2】
前記金属がアルミニウム、マグネシウム及び亜鉛からなる群から選択されるいずれか1種類の金属又はそれらの2種類以上の合金である請求項1に記載の塗布液。
【請求項3】
無機系被膜形成液が、Ml+(ORl−m
(式中、MはSi、Al、Zr及びTiからなる群から選択されるいずれか1種類の金属元素であり;lはMの価数を表し;Rは炭素数1〜5の炭化水素基、アルコキシアルキル基又はアシル基であり;Rはビニル、アミノ、イミノ、エポキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、フェニル、メルカプト及びアルキル基からなる群から選択される少なくとも1種を含む有機基であり;mはOR基の数を表し;l及びmはいずれも整数である。)で表される化合物の加水分解・重縮合物を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の塗布液。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載の塗布液を塗布して被膜を形成した金属ダイカスト用部材。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、金属ダイカスト用の付着防止離型層形成塗布液に関し、さらに詳細には、アルミニウム、マグネシウム及び亜鉛からなる群から選択されるいずれか1種類の金属又はそれらの2種類以上の合金のダイカスト用の付着防止離型層形成塗布液に関する。本発明は、また、前記塗布液を塗布して被膜を形成した金属ダイカスト用部材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属鋳造用金型からの鋳物を取り出す際、油、グリースやワックスが用いられてきたが、高温の型表面から蒸発や燃焼により発煙する問題があった。また、微粒黒鉛も用いられてきたが、鋳造物の表面に付着し変色を起こす問題があった。
【0003】
そのために、プロピレン重合体とシリコーンオイルとの混合物を主成分とする組成物が提案され(例えば、特許文献1参照。)、また、ガス発生が無く、均一な皮膜が形成でき、さらに十分な潤滑性、離型性が得られるアクリルシリコーンエマルジョンとポリアルキレンオキサイドとを主成分とする組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【特許文献1】特開平6−240286
【特許文献2】特開2001−192692
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の組成物では、成分中に含まれる低分子に起因するガス発生によって、鋳造物に微細な穴が発生する問題があり、また、特許文献2の組成物では、その問題は解決されるが、金属鋳造するたびにこの離型剤を塗布する必要があり、鋳物を製造する際に非常に多くの量の離型剤が必要であるという問題がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、高温時においてガスの発生が無く、鋳物に微小な穴が生じることも無く、繰り返し使用可能な離型層を容易に得る手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、無機材料粒子と無機系被膜形成液とからなる、アルミニウム、マグネシウム及び亜鉛からなる群から選択されるいずれか1種類の金属又はそれらの2種類以上の合金のダイカスト用の付着防止離型層形成塗布液により、上記問題点を解決するものである。
【0007】
本発明は、チタン酸アルミニウムを含有する無機材料粒子と無機系被膜形成液とからなることを特徴とする、金属ダイカスト用の付着防止離型層形成塗布液に関するものである。本発明は、また、前記塗布液を塗布して被膜を形成した金属ダイカスト用部材に関するものである。
本発明の塗布液を金属ダイカスト用部材に塗布して加熱硬化(焼成)させることにより、離型層となるべき被膜を形成させる。この離型層は、無機材料粒子の占める割合が高く、無機材料粒子同士を連結する無機系連結層は非常に薄く、実質的に該無機材料粒子が連続するように充てんされる。かくして、ダイカスト用金属との濡れ性の悪い離型層が得られることとなり、しかも離型層は無機系であるため、耐熱性が高くなりガス生成が無い。無機材料粒子の占める割合が高く、無機材料粒子同士を連結する無機系連結層が非常に薄くなるのは、塗布液の加熱硬化(焼成)により、無機系連結層を残して有機成分が消失するためである。
【0008】
無機材料粒子は、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛及びそれらの2種類以上の合金に対して離型性のあるチタン酸アルミニウムを用いることにより、離型性の優れた被膜となる。また、チタン酸アルミニウムと他の無機材料粒子を組み合わせて使用しても良い。この離型層は無機系であり耐熱性は非常に高く、高温時においてもガスの発生は見られない。
【0009】
また、金型、ラドル、スリーブ及びプランジャー等の金属ダイカスト用部材に対して密着性が高く、前記金属に対して離型性を有しているため、複数回の鋳物製造で繰り返し使用可能である。
【0010】
無機系被膜形成液は、Ml+(ORl−mの加水分解・重縮合物からなり、ここで、MはSi、Al、Zr及びTiからなる群から選択されるいずれか1種類の金属元素であり;lはMの価数を表し;Rは炭素数1〜5の炭化水素基、アルコキシアルキル基又はアシル基であり;Rはビニル、アミノ、イミノ、エポキシ、アクリロイルオキシ、メタクリロイルオキシ、フェニル、メルカプト及びアルキル基からなる群から選択される少なくとも1種を含む有機基であり;mはOR基の数を表し;l及びmはいずれも整数である。
【0011】
無機材料粒子の粒径は特に限定されるものではないが、分散性等を考慮すると、数μm〜数十μmとすることが好ましい。粒子形状は特に限定されるものではない。無機材料粒子は複数種類を併用することもできる。
【0012】
無機系被膜形成液は粘度が低く、無機材料粒子を多く混入しても流動性を保つことが可能である。
【0013】
離型層前駆材料である本発明の塗布液の流動性は、無機系被膜形成液と無機材料粒子との混合比、あるいは増粘剤等の助剤を加えることにより、適宜調整が可能である。また有機溶媒を適量加えることでも調整可能である。
また、無機系皮膜形成液を塗布する方法として刷毛塗り、スプレーさらにはエアゾール化が可能であり、利便性が高い。
【0014】
上記Ml+(ORl−mで表される化合物のうち、MがSiである化合物としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、γ−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシランなどが挙げられ、MがAlである化合物としては、アルミニウムトリイソプロポキシド、アルミニウムn−ブトキシド、アルミニウムトリt−ブトシキド、アルミニウムトリエトキシドなどが挙げられ、MがZrである化合物としては、ジルコニウムn−プロポキシド、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムi−ブトキシド、ジルコニウムt−ブトキシド、ジルコニウムジメタクリレートジブトキシドなどが挙げられ、MがTiである化合物としては、チタンテトライソプロポキシド、チタンテトラn−ブトキシド、チタンテトラi−ブトキシド、チタンメタクリレートトリイソプロポキシド、チタンテトラメトキシプロポキシド、チタンテトラn−プロポキシド、チタンテトラエトキシドなどが挙げられる。これらの化合物のうち1種類だけを用いてよいが、二種類以上を混合してもかまわない。
【0015】
上記Ml+(ORl−mで表される化合物の加水分解・重縮合反応は、例えば、特開2001−214093に記載されているような公知の方法によって行うことができる。
【0016】
加水分解・重縮合反応を行うために添加する水の量は、上記Ml+(OR−mで表される化合物1モルに対して0.1モル以上が好ましい。
【0017】
上記Ml+(ORl−mで表される化合物を加水分解・縮重合する際には、既知の触媒などを添加して加水分解・縮重合を促進しても良い。この場合、添加する触媒としては、酢酸、プロピオン酸、酪酸などの有機酸や、硝酸、塩酸、リン酸、硫酸などの無機酸を用いることができる。
【0018】
上記Ml+(ORl−mで表される化合物の加水分解・重縮合物は、好ましくは液状である。
【0019】
本発明の塗布液は、チタン酸アルミニウムを含有する無機材料粒子に対する無機系被膜形成液の重量比が、10以下であるのが好ましい。本発明の塗布液を金属ダイカスト用部材に塗布して加熱硬化(焼成)させることにより、離型層となるべき被膜を形成させる。
加熱硬化(焼成)の温度は、100〜1000℃である。100℃未満だと効果が十分でなく、1000℃を超えると、塗布される金属ダイカスト用部材の劣化の恐れがある。好ましくは、200〜700℃である。加熱硬化(焼成)の時間は、10分〜3時間である。10分未満だと効果が十分でなく、3時間を超えると、生産効率を考えると好ましくない。好ましくは、30分〜2時間である。雰囲気は、大気中でよいが、適宜他の雰囲気を採用することもできる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の塗布液を用いれば、アルミニウム、マグネシウム、亜鉛及びそれらの2種類以上の合金に対して離型性を有した、繰り返し使用可能な離型層を容易に得ることができる。
しかも本発明の塗布液から得られる離型層は全て無機成分であり、高温時においてガスの発生が無いため、鋳物に微小な穴が生じることも無く、さらに複数回連続して使用できるという利点がある。したがって、本発明の塗布液を金型、ラドル、スリーブ及びプランジャー等の溶融金属と接触するダイカスト用部材表面に塗布し、被膜形成すれば、離型性向上、ダイカスト用部材のメンテナンス性向上により、ダイカストの生産効率を上げる効果が得られる。
【0021】
図1は、本発明の塗布液により得られる離型層構成のイメージを示すものである。
【実施例】
【0022】
(実施例1)
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン10.3gに水6.1g及びイソプロピルアルコール13.2gを加え、室温で1時間撹拌した。この溶液に、チタン酸アルミニウム粒子(粒径約3μm)を44.2g入れ、ボールミルにて3時間分散作業を行った。
こうして得られた塗布液を刷毛により鋼板上へ塗布し、200℃30分、500℃30分で熱処理した後、アルミニウムの溶融物を鋼板へ流した。離型層形成部分にアルミニウムが付着することは無く、冷却後再度アルミニウムの溶融物を流しても付着しなかった。 この作業を複数回繰り返し実施したが、アルミニウムが付着することは無かった。
【0023】
(実施例2)
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン10.3gに水6.1g及びイソプロピルセロソルブ13.2gを加え、室温で1時間撹拌した。この溶液に、アルミナ粒子(粒径約0.2μm)11.4g及びチタン酸アルミニウム粒子(粒径約3μm)32.8gを入れ、ボールミルにて3時間分散作業を行った。こうして得られた離型層形成用塗布液をジメチルエーテルによってエアゾール化した。それを用いて鋼板へ塗布した後、700℃まで加熱した。その後、アルミニウムの溶融物を鋼板上へ流し、付着性の確認を行った。
この場合においても、実施例1と同様に複数回繰り返し実施したが、アルミニウムが付着することは無かった。
【0024】
(実施例3)
塗布液調製において、原料をγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン10.3g、水6.1g及びイソプロピルアルコール13.2gに代えて、メチルトリエトキシシラン10.0g、水2.0g、酢酸0.3g及びn−プロピルアルコール6.6gを使用した以外は、実施例1と同様に行い、実施例1と同様の結果を得た。
【0025】
(実施例4)
塗布液調製において、原料をγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン10.3g、水6.1g及びイソプロピルアルコール13.2gに代えて、ジルコニウムn−プロポキシドの70%n−プロピルアルコール溶液11.2g、ジエタノールアミン5.3gをn−プロピルアルコールによって25mlにした。そして約80℃で6時間加熱攪拌を行い、その後この溶液に、チタン酸アルミニウム粒子(粒径約3μm)を44.2g入れ、ボールミルにて3時間分散作業を行った。それ以降は実施例1と同様に行い、実施例1と同様の結果を得た。
【0026】
(実施例5)
アルミニウムの溶融物を鋼板へ流す代わりに、アルミニウム−マグネシウム合金を用いてダイカスト用金型に流した以外は、実施例1と同様に行い、実施例1と同様の結果を得た。
【0027】
(実施例6)
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン10.3gに水6.1g及びイソプロピルアルコール13.2gを加え、室温で1時間撹拌した。この溶液に、チタン酸アルミニウム粒子(粒径約2μm)を44.2g入れ、ボールミルにて3時間分散作業を行った。
こうして得られた塗布液をスプレーガンによりダイカスト用金型へ塗布し、200℃で30分、500℃で60分熱処理を行った。そのダイカスト用金型を用いて、アルミニウムダイカストを行ったが、金型にアルミニウムが付着することはなかった。また、再度塗布及び加熱硬化(焼成)することなく複数回連続してアルミニウムダイカストを実施したが、アルミニウムの付着は無かった。
【0028】
(実施例7)
塗布液をダイカスト用金型に塗布する代わりに、ラドルに塗布した以外は実施例6と同様に行ったところ、実施例6と同様にアルミニウムがラドルに付着することは無かった。
【0029】
(比較例1)
γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン10.3gに水6.1g及びイソプロピルアルコール13.2gを加え、室温で1時間撹拌した。この溶液に、シリカ粒子(粒径約0.5μm)を11.4g入れ、ボールミルにて3時間分散作業を行った。こうして得られた塗布液を刷毛により鋼板上へ塗布し、200℃30分、500℃30分で熱処理した後、アルミニウムの溶融物を鋼板へ流した。塗布された部分に、アルミニウムが付着してしまった。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の塗布液を金型に塗布して加熱硬化(焼成)させることにより、離型層となるべき被膜を形成させて得られる、離型層を設けた金型のイメージ図を示す。
【出願人】 【識別番号】000150774
【氏名又は名称】株式会社槌屋
【出願日】 平成18年10月18日(2006.10.18)
【代理人】 【識別番号】100066692
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 皓

【識別番号】100072040
【弁理士】
【氏名又は名称】浅村 肇

【識別番号】100107146
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 武生

【識別番号】100107504
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 克則


【公開番号】 特開2008−100244(P2008−100244A)
【公開日】 平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願番号】 特願2006−283223(P2006−283223)