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【発明の名称】 水溶性ダイカスト用離型剤組成物及びダイカスト方法
【発明者】 【氏名】鬼頭 雅幸

【氏名】依岡 敬吾

【氏名】早矢仕 昭博

【氏名】大平 博文

【氏名】小林 正尚

【氏名】中村 仁巳

【要約】 【課題】本発明は、酸化防止剤を配合することにより、油成分の熱劣化を抑え、もって油膜厚さの減少を遅らせて連続鋳造を可能にしえる水溶性ダイカスト用離型剤組成物及びそのダイカスト方法を提供することを課題とする。

【解決手段】アミン系、フェノール系、クレゾール系、金属系酸化防止剤からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とする水溶性ダイカスト用離型剤組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミン系、フェノール系、クレゾール系、金属系酸化防止剤からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とする水溶性ダイカスト用離型剤組成物。
【請求項2】
酸化防止剤を0.2〜5質量%含有することを特徴とする請求項1記載の水溶性ダイカスト用離型剤組成物。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の水溶性ダイカスト用離型剤組成物を使用してダイカストを行うことを特徴とするダイカスト方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ダイカストの既存設備、既存操業条件を変更することなく、広範囲の温度条件で連続鋳造を可能にする水溶性ダイカスト用離型剤組成物およびダイカスト方法に関する。
【背景技術】
【0002】
周知の如く、ダイカスト鋳造では、金型内キャビティー部の潤滑を行なうため、型開き後に離型剤と称する潤滑剤をスプレーで吹き付けてキャビティー表面上に油膜を形成することにより、アルミニウム,マグネシウム,亜鉛等の非鉄金属溶湯のキャビティーへの溶着を防止し、連続鋳造を可能にしている。このダイカスト用離型剤は、現在のところほとんどが水溶性ダイカスト用離型剤である。
【0003】
ところで、水溶性ダイカスト用離型剤には決定的な性能上の欠点がある。即ち、使用時に市販の離型剤は約40−160倍の水で希釈されるので、離型剤の主成分は水であり、約150℃付近から金型上でライデンフロスト現象と呼ばれる爆発的な水の蒸発を起す。これにより、離型剤ミストが約150℃の金型面で爆発的に蒸発し、金型面を水蒸気膜で覆うので、スプレー時、次に飛来してくる離型剤ミストが金型面へ到達できない。その結果、離型剤中の有効成分の金型への付着量が激減する。なお、高温になるほど爆発的な蒸発も強くなる。
【0004】
そのため、金型温度が250℃程度になると金型に付着する油膜がかなり薄くなり、それ以上の金型温度では焼付、溶着が発生し、連続鋳造が困難となる。加えて、鋳抜ピンのような細い部位は奥まった場所にある場合が多く、水溶性ダイカスト用離型剤を塗布しにくく、かつ、加熱冷却され易い部位である。このような部位は熱容量が低いので、アルミ溶湯に加熱され他の部位より高温になりやすく、時には300℃以上に至る場合がある。そのような部位では、特にライデンフロスト現象を起しやすく、付着効率がいっそう悪い。付着効率が悪いと、そのような部位での油膜はさらに薄くなり、多くの場合、この部位で焼付・溶着を起し、連続鋳造ができなくなる。
【0005】
そこで鋳抜ピンの様な細い部分に多量の水溶性ダイカスト用離型剤を塗布し、冷却しながら鋳造している。即ち、付着効率を犠牲にしても付着量を増やすため、大量の水溶性ダイカスト用離型剤を吹き付け、冷却している。事実、1ショット当たり、鋳造装置の締め付け圧のトン数とほぼ同量の水溶性ダイカスト用離型性(例えば、350トン装置で約350cc、2500トン装置で約2500cc)を塗布し、過剰に塗布することの弊害を知りながら焼付・溶着防止を優先させているのが現状である。
【0006】
高温に耐える離型剤として、最近、少量塗布(0.5〜5cc程度)の油性離型剤(特許文献1)が使われ始めている。この離型剤は、水溶性ダイカスト用離型剤の欠点である低付着効率を改善し、従来型の高粘度・油性離型剤の長所である優れた潤滑性を保ちながら、短所であるスプレー性を改善するものである。
【0007】
ところで、多くの長所を有する油性離型剤を使うためには、既存のスプレー装置を少量塗布型に変更すると共に、既存の鋳造条件を変更する必要がある。しかし、既存装置の変更・既存鋳造条件の変更を嫌うユーザーは、水溶性離型剤を高温に耐えうるよう改良することを望んでいる。
【0008】
また、従来、ゴム加硫作業時の金型の汚染防止を狙い、水溶性ダイカスト用離型剤中の脂分劣化を抑えるため酸化防止剤を配合した方法が提案されている(特許文献2)。
【特許文献1】WO/2006/025368
【特許文献2】特開平8−103913号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上述した課題を解決するためなされたもので、酸化防止剤を配合することで油成分の劣化を抑え、油膜厚さの現象を遅らせることにより、連続鋳造を可能にしえる水溶性ダイカスト用離型剤組成物及びダイカスト方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る水溶性ダイカスト用離型剤組成物は、アミン系、フェノール系、クレゾール系、金属系酸化防止剤からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とする。
本発明に係るダイカスト方法は、前記水溶性ダイカスト用離型剤組成物を使用してダイカストを行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、酸化防止剤を配合することにより、油成分の熱劣化を抑え、もって油膜厚さの減少を遅らせて連続鋳造を可能にしえる水溶性油性ダイカスト用離型剤組成物、及びこの離型剤組成物を用いたダイカスト方法を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明について更に詳しく説明する。
上記したように、本発明の水溶性ダイカスト用離型剤組成物は、アミン系、フェノール系、クレゾール系、金属系酸化防止剤からなる群から選ばれる1種又は2種以上を含有することを特徴とする。本発明において、アミン系、フェノール系、クレゾール系、金属系酸化防止剤からなる群から選ばれる1種又は2種以上が計0.2〜5質量部を含有することが好ましい。ここで、これらの酸化防止剤が0.2質量部未満では、高温時の酸化劣化の防止又は遅延させ、油膜厚さを維持し、潤滑性を確保して溶着を阻止することができない。一方、5質量部を超えると、酸化防止効果がほとんど増えず、添加量の割に酸化防止性が改善されない。
【0013】
前記アミン系酸化防止剤としては、例えば、モノノニルジフェニルアミン等のモノアルキルジフェニルアミン系、4,4’−ジブチルフェニルアミン、4,4’−ジペンチルジフェニルアミン、4,4’−ジヘキシルジフェニルアミン、4,4’−ジヘプチルジフェニルアミン、4,4’−ジオクチルジフェニルアミン、4,4’−ジノニルジフェニルアミン等のジアルキルジフェニルアミン系、テトラブチルジフェニルアミン、テトラヘキシルジフェニルアミン、テトラオクチルジフェニルアミン、テトラノニルジフェニルアミン等のポリアルキルジフェニルアミン系、a−ナフチルアミン、フェニル−a−ナフチルアミン、ブチルフェニル−a−ナフチルアミン、ペンチルフェニル−a−ナフチルアミン、ヘキシルフェニル−a−ナフチルアミン、ヘプチルフェニル−a−ナフチルアミン、オクチルフェニル−a−ナフチルアミン等が挙げられる。
【0014】
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、4,4−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2−メチレンビス(4−エチル−6−ブチルフェノール)、高分子量単環フェノリック、多環ターシャリーブチル・フェノール、BHT(Butylated Hydroxy Toluene)、BHA(Butylated Hydroxy Anisole)が挙げられる。
【0015】
クレゾール系酸化防止剤としては、例えば、ジターシャリーブチルパラクレゾール、2−6−ジーターシャリーブチル・ジメチルアミノ−p−クレゾールが挙げられる。
金属系酸化防止剤としては、ZnDDP,MoDTC,MoDTPが挙げられ、特に分解臭の少ないMoDTCが好ましい。
【0016】
(実施例及び比較例)
以下、本発明の実施例1〜11を比較例1,2,3とともに説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
(1)本発明の水溶性ダイカスト用離型剤組成物
(A)成分と配合割合
下記表1は、実施例1〜7に係る水溶性ダイカスト用離型剤組成物の成分と配合割合と試験結果を示す。下記表2は、実施例8〜11に係る水溶性ダイカスト用離型剤組成物の成分と配合割合とラボ酸化試験の耐久時間を示す。下記表3は、比較例1〜3に係る水溶性ダイカスト用離型剤組成物の成分と配合割合と試験結果を示す。
【表1】


【0017】
但し、表1中、「−」は測定しないことを示す。
水溶性離型剤−1:(株)青木科学研究所製の水溶性ダイカスト用離型剤(商品名:A−706)
水溶性離型剤−2:(株)青木科学研究所製の水溶性ダイカスト用離型剤(商品名:A−201)
フェノール系酸化防止剤:チバ・スペシャルティー・ケミカルズ製の商品名:L−135
アミン系酸化防止剤:アフトン・ケミカル製の商品名:HiTEC569
ラボ酸化試験には、上記の水溶性ダイカスト用離型剤の原液を使用した。
摩擦試験及び実機試験には、上記の水溶性ダイカスト用離型剤の原液を水で150倍希釈し、塗布した。
【表2】


【0018】
但し、表2中、
クレゾール系酸化防止剤:LIAONING TIANHE FINE CHEMICALS製の商品名:BHT、
金属系酸化防止剤:旭電化工業製の商品名:アデカ 165、MoDDCを示す。他の試料及びラボ酸化試験等の条件は表1と同様である。
【表3】


【0019】
但し、表3中、水溶性離型剤、酸化防止剤は表1,2と同様のものを使用し、ラボ酸化試験等の条件も表1,3と同様である。
【0020】
(B)製造方法
まず、酸化防止剤を含まない水溶性離型剤−2(又は水溶性離型剤−3)を用いる比較例1(又は比較例3)の製造方法を述べる。
最初に、水溶性離型剤−2又は水溶性離型剤−3の油分と乳化剤を80℃で約45分攪拌した。次に、熱源を切り、水溶性離型剤−2又は水溶性離型剤−3中の水溶性ワックス、水溶性シリコーンを追加し、30分攪拌しながら乳化した。このときの温度は約45℃であった。つづいて、水溶性離型剤−2又は水溶性離型剤−3中の所定量(約80質量%)の水を15分かけて混合し、その後、全体を15分攪拌した。
【0021】
次に、酸化防止剤入りの水溶性離型剤−1(又は水溶性離型剤−2)を用いる実施例1〜11及び比較例2の製造工程を述べる。
最初に、水溶性離型剤−1又は水溶性離型剤−2の油分と乳化剤と酸化防止剤を80℃で約45分攪拌した。次に、熱源を切り、水溶性離型剤−1又は水溶性離型剤−2の水溶性ワックス、水溶性シリコーンを追加し、30分攪拌しながら乳化した。このときの温度は約45℃であった。つづいて、水溶性離型剤−1又は水溶性離型剤−2中の所定量(約80質量%)の水を15分かけて混合し、その後、全体を15分攪拌した。
【0022】
(C)ラボ酸化試験
JIS−K−2514に沿って、回転式密閉型ポンプに試料と酸素を封入し、150℃の条件下で酸化し、急激に酸素圧力の低下を起すまでの時間を測定した。
【0023】
(D)摩擦試験
D−1)試験方法:塗布工程
まず、図1(A)に示すように、メックインターナショナル製の離型性試験機(商品名:LubテスターU)に属する熱電対1内蔵の摩擦試験台2(SKD−61製、200mm×200mm×厚さ34mm)を、市販の外部ヒータで所定の温度まで加熱する。次に、摩擦試験台2を垂直に立て、エアー圧0.2MPa、液圧1メーター、1秒間で0.3ccの条件でノズル3から離型剤4を塗布する。
【0024】
D−2)試験方法:塗布工程
次に、直ちに、試験台2を図1(B)に示すように試験機本体5の上に水平に置き、メックインターナショナル製のリング6(S45C製、内径75mm、外径100mm、高さ50mm)を中央に乗せる。つづいて、その中に陶芸用溶解炉に溶かしてある溶湯7(ADC−12、温度670℃)を90cc注ぎ、40秒間冷却し、固化させる。この後、直ちに、固化したアルミニウム(ADC−12)7上に鉄製重し8を静かに乗せ、リング6を同リングのギヤー(図示せず)で静かにX方向へ引っ張りながら、摩擦力を計測する。
【0025】
D−3)摩擦力測定条件
下記表4は、摩擦力測定条件を示す。なお、本試験機での結果は、実機との優れた相関を有しており、摩擦力(10kgf)が焼きつけ・溶着開始の目安となり、この値を超えると、実機で押しピンや鋳抜ピンがスムーズに動かなくなる不具合の発生が確認されている。
【表4】


【0026】
(E)測定結果のまとめ(酸化防止剤の効果)
実施例2〜8の7種類と比較例1,2の2種類は、同じ水溶性離型剤−2を使って、酸化防止剤濃度だけを因子としたラボ酸化防止性能の比較である。下記表5に示すように、酸化防止剤濃度が0.001質量%の比較例1に比べ、酸化防止剤濃度が1,2,5,10,15,20質量%と増えていくと、ラボ酸化試験の耐久時間(分)が15,25,35,40,50分と増えていき、酸化防止剤濃度が0.001質量%に比べ、20質量%添加で3倍程伸びていた。つまり、この結果は、水溶性離型剤に酸化防止剤を添加することで、金型面の油膜の酸化劣化が抑えられる可能性を示唆している。しかし、酸化防止剤を5質量%以上に増やしても、酸化耐久時間(分)の伸びは殆ど見られなかった。酸化防止剤を0.2〜5質量%加えると、比較的少ない酸化防止剤で大きな離型剤潤滑性の改善効果が得られる。一方、酸化防止剤濃度が0.1質量%となる比較例2の酸化耐久時間は比較例1の15分と同じであり、酸化耐久性は全く向上しなかった。こうしたことから、本発明においては、酸化防止剤の添加量の下限を0.2質量%とした。
【表5】


【0027】
なお、表5の比較例1において、酸化防止剤の濃度を「0質量%」とすると酸化耐久時間を作図することができないので、便宜上「0.001質量%」として酸化耐久時間を求めた。
【0028】
下記表6は、酸化防止剤の種類(実施例8〜11)の違いによる効果を示す。フェノール系、アミン系、クレゾール系、金属系酸化防止剤を5質量%配合した実施例8,9,10,11は酸化耐久時間(分)に差はあるが、40分〜70分であった。酸化防止剤の配合されていない比較例1の15分に比べ、酸化耐久時間が伸びており、全てのタイプの酸化防止剤で酸化耐久性が確認できた。
【表6】


【0029】
一方、実機における大きな問題としてコアーピン部位へのアルミの溶着による連続鋳造の停止が挙げられる。溶着が起こると、鋳抜ピンに溶着したアルミを落とすため、装置を止めて、鋳抜ピンを磨く。即ち、1回型を磨いた後、連続で鋳造できる回数の多い方が優れた離型剤と言える。酸化防止剤の添加量は5質量%が上限と考える。金型内の酸素濃度が高くなるダイカスト(酸素置換方法)においては、離型剤油膜の酸化により膜厚さが薄くなる傾向が強く、本研究の実機試験条件とし過酷な高濃度酸素条件を採用した。
【0030】
下記表7に示すように、酸化防止剤の入っていない比較例1では型磨き回数が647回であるのに対し、酸化防止剤を2質量%配合した実施例3の型磨き回数は1102回と連続鋳造で2倍の伸びであった。これにより、酸化防止剤の効果が実機で明らかに確認できた。このように、酸化防止剤を配合することで、高温での金型表面の油膜厚さが保持され、鋳造可能回数が向上する。また、高温時においてラボ酸化試験を行った結果、酸化防止剤なしの条件と比較して酸化耐久性が向上した。従って、金型内の酸素濃度が高くなるダイカスト(酸素置換方法)においても離型剤の寿命が長くなる。
【0031】
また、離型剤の種類を変えたときの型磨き回数は下記表8に示すとおりである。表8において、離型剤としては市販離型剤と酸化防止剤を加えたものを用いた。表8中の「酸」とは、酸化防止剤を混合した離型剤を示す。表8より次のことが言える。即ち、業界でトップレベルとみなされているMS−10は、本出願人の代表的なA−201と比べて、型磨き回数で優れている。また、性能が若干劣るA−201に酸化防止剤を配合すると、市場で評判の良いMS−10より型磨き回数が増える。更に、本出願人の強力なA−706に酸化防止剤を加えると、離型剤の他の品質と相まって、型磨き回数は大幅に伸びる。
【表7】


【0032】
【表8】


【0033】
下記表9は、摩擦試験と実機での連続鋳造回数を一覧に示した表である。
鋳造回数で見ると、比較例3は976回と比較例2の647回より良好である。比較例3は他社製品であり、比較例3に酸化防止剤は配合されていないと推定するが、その割には良好な連続回数である。離型剤の他の成分が厚い油膜を形成し溶着を防止していると推定する。なお、表9において、摩擦力=20Kgfは焼付を示す。
【0034】
そこで、焼付・溶着性に着目し、実施例1,比較例1と比較例3を図1に示す試験機で比較した。250℃における摩擦力は実施例1で8Kgf,比較例2及び比較例3は10Kgfと若干高い程度であった。この試験で10Kgfが焼付上限であることが分かっている。即ち、3種類とも焼付が始まるレベルにいる。
【表9】


【0035】
また、300℃の摩擦試験で実施例1はボーダーラインながら焼付に至っていないが、比較例2、比較例3ともに焼き付いた。実施例1の方が実機でも良い離型性を発揮するものと予測された。そこで、この実施例1(酸化防止剤入り)を実機で評価した結果、連続鋳造回数は4630回と比較例2の7倍、比較例3の5倍ほど長持ちした。これにより酸化防止剤の効果が確認できた。金型が高温に曝されるダイカストにおいて、この水溶性離型剤が特に効果を発揮することが確認できた。
【0036】
これらの実験から、酸化防止剤は高温で金型に付着した油分の酸化劣化を遅らせ、油膜厚さを保持し、溶着発生を減らし、連続鋳造回数を伸ばしたと考えられる。
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明は、ダイカスト鋳造の中で、金型が高温になる操業条件の鋳造に適している。特に、酸素置換法またはPF法(酸素を注入するためキャビティー内部で燃焼が加速され、金型が高温になること、及び他のダイカスト法に比べ、キャビティー内部の酸素濃度が高いため酸化劣化が促進される)に、本発明は適している。但し、本発明は高温に使えるので、低温にも適していると言える。
【0038】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更には、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】図1は試験片の摩擦力を計測するための方法を工程順に示す説明図である。
【符号の説明】
【0040】
1…熱電対、2…試験台、3…ノズル、4…離型剤、5…試験機本体、6…リング、7…固化したアルミニウム、8…鉄製重し。
【出願人】 【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
【識別番号】304028645
【氏名又は名称】株式会社青木科学研究所
【出願日】 平成18年10月17日(2006.10.17)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊

【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司

【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100092196
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 良郎


【公開番号】 特開2008−100237(P2008−100237A)
【公開日】 平成20年5月1日(2008.5.1)
【出願番号】 特願2006−282893(P2006−282893)