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【発明の名称】 鋳型
【発明者】 【氏名】岩崎 順一

【氏名】羽片 豊

【要約】 【課題】見切り面上への溶融金属の漏出を防止するとともに、鋳型外への溶融金属の流出を防止することができる鋳型を提供する。

【解決手段】鋳物製品を鋳造するのに必要な所定の量の溶融金属が注入される製品輪郭形状の凹部を有する下鋳型と、該下鋳型に重ね合わせることにより、前記鋳物製品を鋳造するためのキャビティを画成する製品輪郭形状の膨出部を有する上鋳型とを備える鋳型であって、前記鋳物製品の鋳造に際して溶融金属が前記下鋳型と上鋳型とが重ね合わされた見切り面へ漏出するのを防ぐための漏れ防止構造が前記下鋳型と上鋳型の嵌合部位間に所定の隙間を有して形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳物製品を鋳造するのに必要な所定の量の溶融金属が注入される製品輪郭形状の凹部を有する下鋳型と、該下鋳型に重ね合わせることにより、前記鋳物製品を鋳造するためのキャビティを画成する製品輪郭形状の膨出部を有する上鋳型とを備える鋳型であって、
前記鋳物製品の鋳造に際して溶融金属が前記下鋳型と上鋳型とが重ね合わされた見切り面へ漏出するのを防ぐための漏れ防止構造が前記下鋳型と上鋳型の嵌合部位間に所定の隙間を有して形成されてなる鋳型。
【請求項2】
前記漏れ防止構造が、前記下鋳型の凹部の外周囲に沿って該下鋳型の見切り面より突出して形成される嵌合突起部と、該嵌合突起部と嵌合するために前記上鋳型に形成される溝部とからなる構造にされてなる請求項1記載の鋳型。
【請求項3】
前記上鋳型の膨出部の外周近傍に位置する嵌合部に少なくとも1個の溶融金属の揚がり用空洞が形成されてなる請求項1または2記載の鋳型。
【請求項4】
前記下鋳型と上鋳型の嵌合部位間の所定の隙間が0.1〜4.0mmに設定されている請求項1、2または3記載の鋳型。
【請求項5】
前記下鋳型並びに前記上鋳型の見切り面に対して前記嵌合突起部並びに前記溝部の垂直方向の断面がほぼ四角形である請求項2、3または4記載の鋳型。
【請求項6】
前記下鋳型並びに前記上鋳型の見切り面を基準とした前記嵌合突起部の高さ並びに前記溝部の深さが、前記所定の隙間を確保しながら、5〜50mmに設定されている請求項2、3、4または5記載の鋳型。
【請求項7】
前記嵌合突起部並びに前記溝部の幅が、前記所定の隙間を確保しながら、10〜50mmに設定されている請求項2、3、4、5または6記載の鋳型。
【請求項8】
前記上鋳型の膨出部の外周近傍に位置する嵌合部における鋳造製品の分割面の面積に対する前記揚がり用空洞の設置開口の面積の面積率が1〜20%に設定されている請求項3、4、5、6または7記載の鋳型。
【請求項9】
前記鋳物製品を製造するのに必要な所定の量の溶融金属の重量に対する前記揚がり用空洞に流入する余剰分の溶融金属の重量の重量率が1〜20%である請求項3、4、5、6、7または8記載の鋳型。
【請求項10】
前記漏れ防止構造が、前記上鋳型において、該上鋳型の膨出部の外周近傍に位置する嵌合部における鋳造製品の分割面と該分割面の外周囲に位置する該上鋳型の見切り面とのあいだの段差を5〜50mmに設定した構造にされてなる請求項1記載の鋳型。
【請求項11】
前記下鋳型と上鋳型の嵌合部位間の所定の隙間が0.1〜4.0mmに設定されている請求項10記載の鋳型。
【請求項12】
前記上鋳型の膨出部の外周近傍に位置する嵌合部に少なくとも1個の溶融金属の揚がり用空洞が形成されてなる請求項10または11記載の鋳型。
【請求項13】
前記上鋳型の膨出部の外周近傍に位置する嵌合部における鋳造製品の分割面の面積に対する前記揚がり用空洞の設置開口の面積の面積率が1〜20%に設定されている請求項12記載の鋳型。
【請求項14】
前記鋳物製品を製造するのに必要な所定の量の溶融金属の重量に対する前記揚がり用空洞に流入する余剰分の溶融金属の重量の重量率が1〜20%である請求項12または13記載の鋳型。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は鋳型に関する。さらに詳しくは、鋳物製品を鋳造するのに必要な所定の量の溶融金属が注入される下鋳型に上鋳型を重ね合わせた見切り面上への溶融金属の漏出を防止することができる鋳型に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、鋳物の生産においては、溶融金属の流動を制御し、かつ、不純物並びにガスの巻き込みを防止することで不良発生を防止し良品を得ることを目的に、鋳造方案と呼ばれる製品形状とは関係のない溶融金属の流路を設けることが慣習的に必要不可欠とされてきた(たとえば非特許文献1参照)。しかしながら、鋳造方案を設けることで鋳物の歩留まりが低下したり、鋳型の解枠後鋳造方案を除去したりする必要があるなど、鋳物の生産性並びにコストを阻害する要因となっていた。
【0003】
そこで、鋳物の歩留まりを上げる方法として、各種の鋳型造型法によって造型された主型でありかつ鋳造方案を達成するのに必要なキャビティを有せず鋳物製品鋳造用として必要なキャビティだけを有する下鋳型と、各種の鋳型造型法によって造型された主型でありかつ鋳造方案を達成するのに必要なキャビティを有せず前記下鋳型のキャビティとで鋳物製品鋳造用のキャビティを画成可能な突起部分を有する上鋳型とを用いて鋳造を行う方法であって、前記鋳物製品だけを鋳造するのに必要な量の溶融金属を前記下鋳型のキャビティ内に注入した後、前記上鋳型の突起部分を溶湯注入の前記キャビティ内に進入させて前記鋳物製品だけを鋳造するのに必要なキャビティを画成するようにして前記上鋳型を前記下鋳型に重ね合わせる鋳造方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0004】
本鋳造方法においては、鋳造方案に基づく湯口系、押湯等を鋳物素材から除去する作業を不要にする鋳物製品を鋳造するための鋳型に関して、各種の鋳型造型法によって造型された主型であり、かつ鋳造方案を達成するのに必要なキャビティを有せず鋳物製品鋳造用として必要なキャビティだけを有する下鋳型と、各種の鋳型造型法によって造型された主型でありかつ鋳造方案を達成するのに必要なキャビティを有せず、前記下鋳型のキャビティとで鋳物製品鋳造用のキャビティを画成可能な突起部分だけを有している上鋳型が記載されている。さらに、前記鋳物製品鋳造用として必要なキャビティに揚がり用キャビティを付加することも記載されている。この揚がり用キャビティを付加することにより、鋳物製品だけを鋳造するのに必要な溶融金属の量にある程度幅を持たせることができる。
【0005】
【非特許文献1】(社)日本鋳造工学会 図解 鋳造用語辞典 初版 日本国発行 日刊工業新聞社発行 1995年11月30日 212頁の湯口系
【特許文献1】特開2005−52871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記鋳造方法において下鋳型と上鋳型を重ね合わせる工程(以下、プレス工程という)の際、あらかじめ下鋳型に注入する溶融金属の量は、注湯装置の注湯精度などにより必要量と常に一致するとは限らず、若干の余剰分が発生することがある。この余剰分の溶融金属は特許文献2に記載されているように必ずしも全てが揚がり用キャビティに流入するとは限らず、下鋳型の見切り面上に漏出するおそれがある。見切り面上に溶融金属が漏出すると鋳物のバリとなり、後工程で除去に工数を要するという問題が発生する。また、漏出が多量になると、プレス工程における異物となり上下鋳型を完全にプレスすることができない問題となる。
【0007】
そこで、本発明は、叙上の事情に鑑み、見切り面上への溶融金属の漏出を防止するとともに、鋳型外への溶融金属の流出を防止することができる鋳型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の鋳型は、鋳物製品を鋳造するのに必要な所定の量の溶融金属が注入される製品輪郭形状の凹部を有する下鋳型と、該下鋳型に重ね合わせることにより、前記鋳物製品を鋳造するためのキャビティを画成する製品輪郭形状の膨出部を有する上鋳型とを備える鋳型であって、前記鋳物製品の鋳造に際して溶融金属が前記下鋳型と上鋳型とが重ね合わされた見切り面へ漏出するのを防ぐための漏れ防止構造が前記下鋳型と上鋳型の嵌合部位間に所定の隙間を有して形成されてなることを特徴としている。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、下鋳型と上鋳型の嵌合部位間に所定の隙間を有して形成される漏れ防止構造により、溶融金属の運動エネルギが減少されるため、プレス工程において余剰分の溶融金属が見切り面上に漏出するのを防止し、見切り面上を流れて鋳型外に流出するのを防止できる。このため、鋳物のバリ発生を少なくすることができる。また、プレス工程において余剰分の溶融金属が見切り面上の異物となることによるプレス不良を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の鋳型は、鋳物製品を鋳造するのに必要な所定の量の溶融金属が注入される製品輪郭形状の凹部を有する下鋳型と、該下鋳型に重ね合わせることにより、前記鋳物製品を鋳造するためのキャビティを画成する製品輪郭形状の膨出部を有する上鋳型とを備えている。前記下鋳型および上鋳型は、生型、シェル型、コールとボックス法鋳型または自硬性鋳型などの各種の鋳型造型法を用いて適宜造型することができる。また、本発明の鋳型は中子も含んでいる。また、本発明の鋳型には金型も含まれる。さらに、鋳型造型法は、スクイズ、ブロースクイズ、流気加圧造型法またはこれらの複合に限らず、切削、流し込み方法などの造型方法とすることができる。なお、前記鋳物製品とは、たとえば解枠後の鋳型から取り出された一般の鋳物素材から、湯口、湯道および堰などの湯口系、押湯、揚りおよびガス抜きなどの鋳造方案を取り除いたものであって、機械に最終部品として取り付けられたり、単独で販売される状態のものをいい、たとえば円形のブレーキドラムや四角いケースなどである。また、前記溶融金属とは、鉄や非鉄金属が溶解していて鋳型に注入可能なものをいう。
【0011】
以下、添付図面に基づいて本発明の鋳型を説明する。本発明の一実施の形態にかかわる鋳型は、図1〜4に示されるように、生砂1を用いて鋳枠2内に生型造型法によって造型された主型であり、鋳物製品Wを鋳造するのに必要な所定の量の溶融金属3が注入される製品輪郭形状の凹部4を有する下鋳型5と、生砂11を用いて鋳枠12内に生型造型法によって造型された主型であり、前記鋳物製品Wを鋳造するためのキャビティ13を画成する製品輪郭形状の膨出部14を有する上鋳型15とから構成されている。また、前記鋳物製品Wの鋳造に際して溶融金属3が前記下鋳型5の見切り面P1aと上鋳型15の見切り面P2aとが重ね合わされた見切り面Paへ漏出するのを防ぐための漏れ防止構造Aが、前記下鋳型5の嵌合部位F1と上鋳型15の嵌合部位F2とのあいだに所定の隙間(空隙)を有して形成されている。
【0012】
前記漏れ防止構造Aは、前記下鋳型5の凹部4の外周囲に沿って該下鋳型5の見切り面P1aより突出して形成される嵌合突起部6と、該嵌合突起部6と嵌合するために前記上鋳型15に形成される溝部16とからなる構造にされている。したがって、本実施の形態における嵌合部位F1、F2は、前記嵌合突起部6と溝部16であり、また、所定の隙間(空隙)とは、該嵌合突起部6の側面6aと前記上鋳型15の膨出部14の外周近傍に位置する嵌合部17の嵌合側面である溝部16の側面16aとのあいだの上下方向の隙間δ1、該嵌合突起部6の頂面6bと溝部16の底面16bとのあいだの水平方向の隙間δ2、および該嵌合突起部6の他の側面6cと溝部16の他の側面16cとのあいだの上下方向の隙間δ3のことである。この所定の隙間寸法は0.1〜4.0mmに設定されている。これは、隙間が0.1mmよりも狭い場合は上下鋳型5、15同士が接触してしまうおそれがあるからである。また、隙間が4.0mmを超える大きい場合は、図5に示されるように、隙間に凝固した金属Sを除去する際に鋳造製品Wに身食いを生じさせるおそれがあるため、これ以上距離を大きくすることは望ましくないからである。なお、前記嵌合突起部6は、たとえば輪郭が円形または四角などの製品の外周に沿って囲む形状であれば、とくに限定されるものではない。本実施の形態における嵌合突起部6では、図2〜3に示されるように、鋳造製品Wの輪郭形状が円形であるため、溶融金属の漏出防止で最も効果的な形状である円形(環状)にされているが、この円形に代えて、間隔を狭めた複数のピンまたは複数の半月片を並べて環状形状にすることもできる。
【0013】
前記嵌合突起部6と溝部16は、プレス工程において余剰分の溶融金属が下鋳型と上鋳型15の重ね合わせ面である見切り面Pa上へ漏出するのを防止するための機能を有する形態(たとえば形状および寸法)であれば、本発明において、とくに限定されるものではないが、本実施の形態における嵌合突起部6と溝部16の形状は、それぞれ前記下鋳型5の見切り面P1aおよび上鋳型15の見切り面P2aに対して垂直方向の断面が四角や台形などを含んだ形状としてほぼ四角形にされている。これにより、溶融金属3が下鋳型5と上鋳型15を重ね合わせることによって画成される隙間δ1〜δ3を通過するためには、一旦上鋳型15の方向へ上昇または回り込みする必要があるため、この上昇(回り込み)の際に該溶融金属3の運動エネルギが減少することで、見切り面Paへの溶融金属3の漏出を容易に防止できる。
また、前記嵌合突起部6の見切り面P1aを基準とした高さと前記溝部16の見切り面P2aを基準とした深さは、前記下鋳型5の嵌合部位F1と上鋳型15の嵌合部位F2とのあいだの所定の隙間δ1〜δ3を確保しながら、それぞれ5〜50mmに設定されている。これは、高さと深さが5mmより低い場合は、溶湯金属3の運動エネルギを減少させるのに不充分で嵌合突起部6と溝部16によって画成された隙間δ1〜δ3を溶融金属3が通過して見切り面Pa上に漏出するおそれがあるからである。また、高さと深さが50mmを超えると、嵌合突起部や溝部を造型するときの鋳型材料の充填に不都合を生じ、造型後の嵌合突起部や溝部の周辺凸部および角部において強度不足を引き起こすおそれがあるからである。
また、前記嵌合突起部6並びに溝部16の幅が、前記下鋳型5の嵌合部位F1と上鋳型15の嵌合部位F2とのあいだの所定の隙間δ1〜δ3を確保しながら、それぞれ10〜50mmに設定されている。これは、幅が10mmよりも狭い場合は上昇してきた溶融金属3がそのまま水平方向の隙間部分を通過して見切り面Paに漏出するおそれがあるからである。また、幅が50mmよりも広い場合は溶融金属3の漏出防止効果が高まる利点よりも見切り面の面積が減少されることで上下鋳型を重ね合わせる際に重要となる、見切り面における強度不足という欠点の方が顕在化するため、これ以上幅を広くすることは望ましくないからである。
【0014】
また、本実施の形態では、図6に示されるように、前記上鋳型15の膨出部14の外周近傍に位置する嵌合部17に溶融金属の揚がり用空洞(キャビティ)18を形成することができる。この揚がり用空洞18を形成することにより、図7に示されるように、注湯機の注湯精度などにより発生する溶融金属の余剰分S1を、プレス工程で最後に溶融金属が充填される溶湯最終充填域から吸収して、溶融金属が見切り面Pa上に漏出したり、見切り面Pa上を流れて鋳型外に流出したりするということを防止することができる。前記揚がり用空洞18の本数は、溶融金属の余剰分や、揚がり用空洞の形状の変更などにより、少なくとも1個とすることができるが、本実施の形態では、嵌合部17の周方向に等間隔にて12個形成されている。
【0015】
また、前記上鋳型15の嵌合部17における鋳造製品Wの分割面17aの面積に対する前記揚がり用空洞18の設置開口18aの面積の面積率(鋳物製品Wの肉厚方向の面積率)は、該揚がり用空洞18の1個あたり1〜20%に設定されているのが好ましい。
これは、面積率が20%より大きい時は鋳造後、揚がり用空洞に凝縮した湯の揚がり部が太くなり、この揚がり部を叩き折る際に鋳造製品Wに身食いを生じさせるおそれがあるため、またプレス工程で溶融金属へ充分な圧力が掛からず溶湯最終充填域の鋳造製品Wの角部の形状不良が発生するという問題があるからである。
【0016】
また、前記鋳物製品Wを製造するのに必要な所定の量の溶融金属の重量に対する前記揚がり用空洞18に流入する余剰分の溶融金属の重量の重量率は、該揚がり用空洞18の1個あたり1〜20%に設定されているのが好ましい。
これは、重量率が20%より大きい時は、プレス工程で溶湯金属へ過剰な圧力が掛かり溶湯最終充填域の鋳造製品Wに差し込みの形状不良が発生するという問題があるからである。
【0017】
つぎに本発明の他の実施の形態を説明する。前記実施の形態では、嵌合突起部6と溝部16からなる漏れ防止構造Aとされているが、本実施の形態では、図8に示されるように、上鋳型31の膨出部32の外周近傍に位置する嵌合部33における鋳造製品Wの分割面33aと該分割面33aの外周囲に位置する該上鋳型31の見切り面P2bとのあいだの段差Hが5〜50mmに設定される漏れ防止構造Bにされている。本実施の形態における漏れ防止構造Bは、前記実施の形態における漏れ防止構造Aにより構造が簡単でありながら、注湯精度が高く溶融金属の量が規定されている場合、見切り面への漏出を防止することができる。前記段差Hを5〜50mmに設定したのは、5未満の場合、溶融金属の運動エネルギを減少させるのに不充分で見切り面に溶融金属が漏出するためであり、50mmを超える場合は、製品輪郭形状の凹凸の複雑さ、たとえば膨出部が高く、凹部が深い場合によっては造型時の鋳型材料の充填に不都合を生じ、鋳型における凸部および角部において強度不足を引き起こすおそれがあるからである。
【0018】
また、本実施の形態においては、前記実施の形態と同様に、下鋳型21と上鋳型31の嵌合部位F3、F4間の所定の隙間が0.1〜4.0mmに設定されている。本実施の形態における下鋳型21の嵌合部位F3は、下鋳型21の見切り面P1bを形成する上端部(頂部)22であり、上鋳型31の嵌合部位F4は、該上鋳型31の嵌合部33である。また、所定の隙間(空隙)は、前記上端部22の内側面22aと前記上鋳型31の嵌合部33の嵌合側面33aとのあいだの上下方向の隙間である。
【0019】
また、本実施の形態においても、前記実施の形態と同様に、図9に示されるように、前記上鋳型31の嵌合部33に少なくとも1個の溶融金属の揚がり用空洞34を形成することができる。
【0020】
また、前記上鋳型31の嵌合部33における鋳造製品の分割面33aの面積に対する該嵌合部33に形成される前記揚がり用空洞34の設置開口34aの面積の面積率は1〜20%に設定するのが好ましい。
【0021】
さらに、鋳物製品を製造するのに必要な所定の量の溶融金属の重量に対する前記揚がり用空洞34に流入する余剰分の溶融金属の重量の重量率は1〜20%に設定するのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施の形態にかかわる鋳型における下鋳型と上鋳型の縦断面図である。
【図2】本実施の形態における鋳造製品の縦断面図である。
【図3】本実施の形態における鋳造製品の平面図である。
【図4】図1の上下鋳型を重ね合わせた状態を示す縦断面図である。
【図5】隙間に凝固した金属の状態を示す図である。
【図6】下鋳型と揚がり用空洞を形成した上鋳型を重ね合わせた状態を示す縦断面図である。
【図7】図6の揚がり用空洞に吸収された余剰分の金属の状態を示す図である。
【図8】本発明の他の実施の形態にかかわる鋳型における下鋳型と上鋳型を重ね合わせた状態を示す縦断面図である。
【図9】図8の下鋳型と揚がり用空洞を形成した上鋳型を重ね合わせた状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0023】
W 鋳物製品
Pa 重ね合わされた見切り面
P1a、P1b 下鋳型の見切り面
P2a、P2b 上鋳型の見切り面
F1、F3 下鋳型の嵌合部位
F2、F4 上鋳型の嵌合部位
1、11 生砂
2、12 鋳枠
3 溶融金属
4 凹部
5、21 下鋳型
6 嵌合突起部
6a、6c 嵌合突起部の側面
6b 嵌合突起部の頂面
13 キャビティ
14、32 膨出部
15、31 上鋳型
16 溝部
16a、16c 溝部の側面
16b 溝部の底面
17、33 嵌合部
17a、33a 分割面
18、34 揚がり用空洞
18a、34a 設置開口
22 上端部(頂部)
22a 上端部の内側面
【出願人】 【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
【出願日】 平成18年10月16日(2006.10.16)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−93727(P2008−93727A)
【公開日】 平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願番号】 特願2006−281354(P2006−281354)