トップ :: B 処理操作 運輸 :: B22 鋳造;粉末冶金

【発明の名称】 石膏鋳型造型用の型構造
【発明者】 【氏名】福田 時春

【要約】 【課題】型枠の型合わせ部からの石膏の漏出が防止できるとともに、石膏鋳型の型枠に対する良好な離型性を得ることができ、石膏鋳型についての鋳型不良や離型時の破壊が防止され、生産性の向上及び製品コストの低減を図ることができる石膏鋳型造型用の型構造を提供すること。

【解決手段】鋳枠10(上型)及び金型プレート20(下型)に分割形成された型枠1と、型枠1内にセットされ石膏鋳造による成型品の形状部分を含むゴム型30とにより、石膏が流しこまれる成型空間2を形成する石膏鋳型造型用の型構造であって、ゴム型30に、金型プレート20における鋳枠10に対向する側の面(表側面21)のうち少なくとも成型空間2を形成する部分を覆うとともに、型枠1の型合わせ部の全周にわたって鋳枠10と金型プレート20とにより挟持される延設部32を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上型及び下型に分割形成された型枠と、該型枠内にセットされ石膏鋳造による成型品の形状部分を含むゴム型とにより、石膏が流しこまれる成型空間を形成する石膏鋳型造型用の型構造であって、
前記ゴム型に、前記下型における前記上型に対向する側の面のうち少なくとも前記成型空間を形成する部分を覆うとともに、前記型枠の型合わせ部の全周にわたって前記上型と前記下型とにより挟持される延設部を設けたことを特徴とする石膏鋳型造型用の型構造。
【請求項2】
前記上型及び下型の少なくともいずれか一方に、被押圧面を有し該被押圧面が押圧されることで前記型枠をその型合わせ方向に押し付ける突起部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の石膏鋳型造型用の型構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、石膏鋳型を造型する際に用いられる型構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、アルミニウム等の金属を材料とする成型品の製造に際し、石膏鋳型が用いられて金属の鋳造が行われる石膏鋳造法が用いられている(例えば、特許文献1参照。)。石膏鋳造に用いられる石膏鋳型の造型は次のようにして行われる。
特許文献1にも示されているように、例えば、シリコンゴム等により構成されるゴム型が型枠内に入れられること等により、型枠とゴム型とによって石膏が流し込まれる成型空間が形成される。そして、その成型空間に流し込まれた石膏が反応固化した後、型枠及びゴム型が取り外されることにより石膏鋳型が得られる。
【0003】
こうした石膏鋳型造型においては、その石膏鋳型の形状(石膏鋳造による成型品の形状)等により、固化した石膏についての型枠からの取出しやゴム型の取外し(脱型)の関係上、型枠が分割形成された型構造が用いられる場合がある。
つまりこの場合、例えば上下二つに分割形成された型枠が合わさった(閉じられた)状態で形成される空間内にゴム型がセットされること等により、型枠とゴム型とによって石膏が流し込まれる成型空間が形成される。
【0004】
このような分割形成された型枠を備える石膏鋳型造型用の型構造の従来例について、図3を用いて説明する。
図3に示すように、本型構造においては、上下に分割形成された型枠101として、鋳枠(上型)110と、アルミニウム等を材料とする金型プレート(下型)120とが備えられる。
本例において、鋳枠110は、円錐の底面側半部形状の上下両側(頂点側及び底面側)が開口されその底面側開口部の外周に鍔部111を有する略ハット状の形状を有する。鋳枠110においてはその鍔部111の底面(下面)が、下型としての金型プレート120に対する合わせ面112となる。
金型プレート120は、全体として円板状に形成され、その一側の板面である表側面121が、上型としての鋳枠110に対する合わせ面122を形成する。
【0005】
つまり、鋳枠110がその鍔部111側から金型プレート120の表側面121上に載置されることで、鋳枠110の合わせ面112が金型プレート120の合わせ面122に接した状態、即ち型枠101の型閉じ状態(型合わせ状態)となる。
また、金型プレート120における表側面121の(合わせ面122の)周囲には、鋳枠110に対する位置決めのための、鍔部111の外周形状に沿う突条123が設けられている。
【0006】
型枠101の型合わせ状態で、鋳枠110と金型プレート120とにより形成される空間内に、石膏鋳造による成型品の形状と同一形状部分を有するゴム型(模型)130がセットされる。本例では、金型プレート120の表側面121により形成される載置面124に対し、ゴム型130が鋳枠110に対する略中央位置に載置固定されることにより、ゴム型130がセットされる。ここで、ゴム型130は、金型プレート120の下面(裏面)側から螺挿されるボルトが用いられること等により載置面124に対して固定される。
【0007】
このように、型枠101の型閉じ状態であってゴム型130がセットされた状態で、鋳枠110の内周面と、金型プレート120の表側面121の一部と、ゴム型130の外周面の一部とにより、型枠101の成型空間102が形成される。この成型空間102に対し、鋳枠110の上側開口部113から泥状の石膏(石膏スラリー)が流し込まれる。
そして、成型空間102内の石膏が反応固化した後、固化した石膏に対して、載置面124に固定されて金型プレート120と一体のゴム型130が抜き取られるとともに鋳枠110が取り外される。これにより、ゴム型130の成型品形状部分が転写された部分を成型面(成型空間)とする石膏鋳型が造型される。
【特許文献1】特開平11−156484号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
前記従来の石膏鋳型造型用の型構造においては、次に示すような問題が生じており、これらの問題が生産性の低下や鋳型不良の多発によるコストアップの要因となっていた。
【0009】
まず、上下に分割形成される型枠の分割面(型合わせ部)から、成型空間に流し込まれる石膏が漏出し、石膏鋳型の鋳型不良が生じるという問題がある。
すなわち、図3を用いて説明した型構造においては、鋳枠110及び金型プレート120についてその長期の繰返し使用等による熱変形等の変形が生じ、鋳型101の型合わせ部となる鋳枠110と金型プレート120の各合わせ面112・122間に隙間が生じる場合がある。こうした場合、成型空間102に流し込まれる石膏が、型合わせ部に生じた隙間を介して成型空間102の外部に漏出することとなる。これにより、成型空間102内の石膏の量が不十分となる等して造型される石膏鋳型の鋳型不良が生じる。
【0010】
次に、成型空間を形成する型枠の成型面においてその表面加工上生じる加工面の凹凸に石膏が入り込み、型枠と固化した石膏とが固着した状態となって、型枠に対する石膏鋳型の離型時に石膏鋳型に破壊が生じるという問題がある。
すなわち、図3を用いて説明した型構造においては、金型プレート120の表側面121に加工上生じる加工面の凹凸として、旋盤等による表面切削にともなうカッターマークが存在する場合がある。こうした場合、金型プレート120の表側面121上の凹凸(加工面のカッターマーク)に、成型空間102内に流し込まれる石膏が入り込み、金型プレート120と固化した石膏とが固着した状態となって、金型プレート120に対する石膏鋳型の離型時に石膏鋳型に破壊が生じる。
【0011】
これらの問題のうち、後者の問題、つまり型枠の成型面の凹凸に石膏が入り込むことによる石膏鋳型の離型時に生じる破壊についての対策としては、図3に示すように、金型プレート120の表側面121に、カリ石鹸や油等の離型剤の塗布あるいはテフロン(登録商標)加工等の表面処理を施すことにより表面処理部125を設ける方法が考えられる。つまり、金型プレート120の表側面121にテフロン(登録商標)加工等の表面処理を施すことで凹凸を均し、固化した石膏(石膏鋳型)の金型プレート120に対する分離性(離型性)を向上させ、石膏鋳型の離型時における破壊を防止する。
しかし、金型プレート120の表側面121に表面処理部125を設ける方法は、その耐久性の問題からコストメリットが少ない。すなわち、前記のようなテフロン(登録商標)加工等による表面処理部125は、成型空間102に流し込んだ石膏を反応固化させるための乾燥温度で軟化し、その変形や荒れを生じさせる場合がある。このため、表面処理部125による効果を得続けるためには、表面処理をやり直す必要性が生じ、結果的に高コストとなる。
【0012】
一方、前記の問題のうち、前者の問題、つまり型枠の型合わせ部からの石膏の漏出についての対策としては、図3に示すように、型枠101の型合わせ部、つまり鋳枠110と金型プレート120の各合わせ面112・122間に、Oリングパッキン126等のシール部材を介装する方法が考えられる。つまり、Oリングパッキン126を用いて型合わせ部をその全周にわたって密封し、成型空間102に流し込まれる石膏の型合わせ部からの漏出を防止する。
しかし、Oリングパッキン126等を用いて型枠101の型合わせ部を密封する方法では、後者の問題も含めた従来の型構造における問題を解決するには至らない。
【0013】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、型枠の型合わせ部からの石膏の漏出が防止できるとともに、石膏鋳型の型枠に対する良好な離型性を得ることができ、石膏鋳型についての鋳型不良や離型時の破壊が防止され、生産性の向上及び製品コストの低減を図ることができる石膏鋳型造型用の型構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0015】
すなわち、請求項1においては、上型及び下型に分割形成された型枠と、該型枠内にセットされ石膏鋳造による成型品の形状部分を含むゴム型とにより、石膏が流しこまれる成型空間を形成する石膏鋳型造型用の型構造であって、前記ゴム型に、前記下型における前記上型に対向する側の面のうち少なくとも前記成型空間を形成する部分を覆うとともに、前記型枠の型合わせ部の全周にわたって前記上型と前記下型とにより挟持される延設部を設けたものである。
【0016】
請求項2においては、前記上型及び下型の少なくともいずれか一方に、被押圧面を有し該被押圧面が押圧されることで前記型枠をその型合わせ方向に押し付ける突起部を設けたものである。
【発明の効果】
【0017】
本発明の効果として、以下に示すような効果を奏する。
【0018】
請求項1においては、型枠の型合わせ部からの石膏の漏出が防止できるとともに、石膏鋳型の型枠に対する良好な離型性を得ることができ、石膏鋳型についての鋳型不良や離型時の破壊が防止され、生産性の向上及び製品コストの低減を図ることができる。
【0019】
請求項2においては、ゴム型の延設部により得られる型枠の型合わせ部におけるシール性を向上することができ、型枠の型合わせ部からの石膏の漏出をより確実に防止することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、発明の実施の形態を説明する。
本発明に係る石膏鋳型造型用の型構造は、例えばアルミニウム等の金属を材料とする成型品の製造に際して行われる石膏鋳造法に用いられる石膏鋳型を造型するためのものであり、上型及び下型に分割形成された型枠と、この型枠内にセットされ石膏鋳造による成型品の形状部分を含むゴム型とにより、石膏が流しこまれる成型空間を形成する。
そして、前記ゴム型に、下型における上型に対向する側の面のうち少なくとも前記成型空間を形成する部分を覆うとともに、型枠の型合わせ部の全周にわたって上型と下型とにより挟持される延設部が設けられている。
【0021】
かかる構成により、型枠の型合わせ部からの石膏の漏出が防止できるとともに、石膏鋳型の型枠に対する良好な離型性を得ることができ、石膏鋳型についての鋳型不良や離型時の破壊が防止され、生産性の向上及び製品コストの低減を図ることができる。
【0022】
すなわち、ゴム型の一部となる前記延設部が、型枠の型合わせ部において上型と下型とにより挟持されることでシール部材の役割を果たすこととなり、型枠の変形によってその型合わせ部に隙間が生じた場合であっても、その隙間がゴムの有する弾性変形能によって埋められ、成型空間内に流し込まれる石膏の漏出が防止できる。これにより、石膏鋳型の鋳型不良が防止できる。
【0023】
また、ゴム型の一部となる前記延設部により、石膏が流し込まれる成型空間の底面部分を形成する下型の表面が覆われることから、下型が石膏に直接接触せずに下型の石膏に対する接触面がゴム面となるので、ゴムの有する柔軟性や石膏に対する低い濡れ性により、上型と下型とを分離させる際における石膏鋳型の離型性が向上する。これにより、石膏の張付きによる離型時の破壊が防止でき、石膏鋳型についての鋳型欠損不良が防止できる。また、上型と下型との分離性が向上し、石膏鋳型の脱型が容易となる。
これらの効果により、石膏鋳型や石膏鋳造による成型品についての生産性の向上や製品コストの低減が図れる。
【0024】
以下、本発明に係る石膏鋳型造型用の型構造の一実施形態について説明する。
本実施形態に係る石膏鋳型造型用の型構造(以下単に「型構造」ともいう。)は、例えば、自動車エンジンのターボチャージャーの構成部品であるアルミニウム製の羽根車を成型品とする石膏鋳造用の石膏鋳型の造型に用いられる。
図1に示すように、本実施形態に係る型構造は、上型としての鋳枠10、及び下型としての金型プレート20に分割形成された型枠1と、この型枠1内にセットされ石膏鋳造による成型品の形状部分を含むゴム型30とにより、石膏が流しこまれる成型空間2を形成する。
【0025】
鋳枠10は、円錐の底面側半部形状の上下両側(頂点側及び底面側)が開口されその底面側開口部の外周に鍔部11を有する略ハット状の形状を有しており、その内周面10aは、上端側から下端側へ向かって拡径するテーパー面に形成されている。
鋳枠10においては、その鍔部11の底面(下面)が、下型としての金型プレート20に対する合わせ面12となる。
【0026】
金型プレート20は、主としてアルミニウムやステンレス等が材料として構成され、全体として鋳枠10の鍔部11の外形に対応する大きさ及び形状を有する円板状に形成される。金型プレート20は、その一側の板面が、金型プレート20における鋳枠10に対向する側の面となる表側面21となる。
金型プレート20は、その表側面21において、上型としての鋳枠10に対する合わせ面22を形成する。つまり、金型プレート20において、鋳枠10の合わせ面12に対応する部分となる表側面21の周縁部に合わせ面22が形成される。
【0027】
つまり、鋳枠10及び金型プレート20の合わせ面12・22同士が接する部分を含む部分により、型枠1の型合わせ部が形成され、鋳枠10がその鍔部11側から金型プレート20の表側面21上に載置されることで、鋳枠10の合わせ面12が金型プレート20の合わせ面22に接した状態、即ち型枠1の型合わせ状態(型閉じ状態)となる。
【0028】
また、金型プレート20における表側面21の外縁部(合わせ面22の周囲)には、鋳枠10に対する位置決めのためのテーパガイド23が配備されている。テーパガイド23は、鋳枠10の鍔部11の外周形状に沿う突条であり、その内側に鍔部11の外周面11aを沿わせるテーパ面23aを有する。
すなわち、テーパガイド23が有するテーパ面23aは、金型プレート20の内側にかけて下る斜面に形成される一方、鋳枠10の鍔部11の外周面11aは、テーパ面23aの形状に沿うように鍔部11がその底面側(下側)にかけて縮径するような斜面に形成される。かかる構成により、鋳枠10が金型プレート20の表側面21に載置された状態となるに際し、鋳枠10がその鍔部11の外周面11aをテーパ面23aに沿わせてテーパガイド23を介して金型プレート20に嵌合する。これにより、型枠1の型合わせに際し、鋳枠10と金型プレート20との互いの位置決めが容易に行われる。
【0029】
型枠1の型合わせ状態で、鋳枠10と金型プレート20とにより形成される空間内に、石膏鋳造による成型品の形状部分を含むゴム型(模型)30がセットされる。
ゴム型30は、石膏鋳型造型に用いられる周知のゴム材料が用いられて構成されるものであり、そのゴム材料としては、例えばシリコンゴムが好適に用いられる。
【0030】
ゴム型30は、主として石膏鋳造による成型品の形状部分を構成する本体部31を有する。ゴム型30は、金型プレート20の表側面21に対し、その本体部31が鋳枠10に対する略中央に位置するように載置固定されることにより、型枠1の内部空間にセットされる。
ここで、ゴム型30の、金型プレート20の表側面21に対する固定方法は特に限定されるものではないが、例えば次のような固定方法が用いられる。
【0031】
すなわち、金型プレート20の表側面21に一または複数の穴等の凹部が設けられる一方、ゴム型30の底面に前記凹部に対応する突起等の凸部が設けられる。そして、ゴム型30の凸部が金型プレート20の凹部に嵌合することにより、ゴム型30が金型プレート20の表側面21に対して固定される。
また、他の固定方法としては、ゴム型30の底面部にネジ穴が設けられる一方、金型プレート20にネジ孔または挿通孔が設けられる。そして、金型プレート20の下面(表側面21と反対側面)側からボルト等の締結具が螺挿されることにより、ゴム型30が金型プレート20の表側面21に対して固定される。
【0032】
本実施形態において、ゴム型30は、型枠1の空間内にセットされた状態で、その本体部31が鋳枠10の内周面の全周(全面)に対して隙間(空間)を隔てた状態となる。
したがって、本実施形態の型構造においては、型枠1の型合わせ状態であってゴム型30がセットされた状態で、型枠1の内部空間であってゴム型30が占める空間以外の部分が、型枠1の成型空間2となる。この成型空間2に対し、鋳枠10の上側開口部13から泥状の石膏(石膏スラリー)が流し込まれる。
【0033】
そして、以上の構成を有する型構造においては、ゴム型30に、金型プレート20における表側面21のうち少なくとも成型空間2を形成する部分を覆うとともに、型枠1の型合わせ部の全周にわたって鋳枠10と金型プレート20とにより挟持される延設部32が設けられている。
【0034】
図1に示すように、延設部32は、ゴム型30においてその本体部31の底部が外周側に板状あるいは膜状に延出されることにより、本体部31に対して鍔状に延設された部分となる。
延設部32は、金型プレート20の表側面21の一部を覆う被覆部32aと、型枠1の型合わせ部において鋳枠10と金型プレート20とにより挟持される被挟持部32bとを有する。
【0035】
すなわち、延設部32の被覆部32aは、金型プレート20の表側面21のうち、型枠1の内部空間を形成する部分であってゴム型30の本体部31の底面に対応する(接する)部分以外の部分を覆うように形成される。
【0036】
延設部32の被挟持部32bは、延設部32において、前記のように金型プレート20の表側面21を覆う被覆部32aからさらに外周側に延出された部分であり、型枠1の型合わせ部の全周にわたって鋳枠10(の合わせ面12)と金型プレート20(の表側面21)との間に介装される部分となる。
本実施形態では、延設部32の被挟持部32bは、型枠1の型合わせ部において鋳枠10の合わせ面12と金型プレート20の表側面21との間に介装された状態で、鋳枠10と金型プレート20とにより挟持される構成であるが、被挟持部32bが、鋳枠10及び金型プレート20の合わせ面12・22間に介装された状態で、鋳枠10と金型プレート20とにより挟持される構成であってもよい。
【0037】
このように、本実施形態では、延設部32において被覆部32aと被挟持部32bとが、同一の板状あるいは膜状部分により連続的に形成され、この延設部32及び本体部31を含むゴム型30の底面が一つの平面となるように形成される。
そして、金型プレート20の表側面21には、延設部32を含むゴム型30が嵌合可能な凹部24が形成されている。つまり、凹部24は、延設部32の形状に沿う外形を有する穴部であり、この凹部24にゴム型30が嵌合することにより、ゴム型30の金型プレート20に対する位置決めが行われる。
【0038】
なお、ゴム型30の延設部32において、被覆部32aと被挟持部32bとは互いに異なる厚さを有する部分であってもよい。ただし、被挟持部32bについては、少なくとも被挟持部32bが型枠1の型合わせ部において泥状の石膏に対するシール部材として機能する程度の厚さを有する部分として形成される。
また、被挟持部32bの面積、つまり延設部32において鋳枠10と金型プレート20に挟持される部分の面積についても、被挟持部32bが前記のとおりシール部材として機能する程度の大きさの面積を有する部分として形成される。
【0039】
以上のように、ゴム型30に延設部32が設けられている本実施形態の型構造においては、型枠1の型合わせ状態であってゴム型30がセットされた状態で、鋳型10の内周面10aと、ゴム型30の本体部31の外周面と、ゴム型30の延設部32における被覆部32aの表面とにより、型枠1の成型空間2が形成される。
つまり、金型プレート20の表側面21のうち成型空間2を形成する部分がゴム型30の延設部32により覆われることから、金型プレート20は、その表側面21によってゴム型30の延設部32の被覆部32aを介して成型空間2を形成することとなる。
【0040】
このように、ゴム型30に延設部32を設けることにより、ゴム型30の一部となる延設部32が、型枠1の型合わせ部において鋳枠10と金型プレート20とにより挟持されることでシール部材の役割を果たすこととなり、型枠1の変形によってその型合わせ部に隙間が生じた場合であっても、その隙間がゴムの有する弾性変形能によって埋められ、成型空間2内に流し込まれる石膏の漏出が防止できる。これにより、石膏鋳型の鋳型不良が防止できる。
【0041】
また、ゴム型30の一部となる延設部32により、石膏が流し込まれる成型空間2の底面部分を形成する金型プレート20の表面が覆われることから、金型プレート20が石膏に直接接触せずに金型プレート20の石膏に対する接触面がゴム面となるので、ゴムの有する柔軟性や石膏に対する低い濡れ性により、鋳枠10と金型プレート20とを分離させる際における石膏鋳型の離型性が向上する。これにより、石膏の張付きによる離型時の破壊が防止でき、石膏鋳型についての鋳型欠損不良が防止できる。また、鋳枠10と金型プレート20との分離性が向上し、石膏鋳型の脱型が容易となる。
これらの効果により、石膏鋳型や石膏鋳造による成型品についての生産性の向上や製品コストの低減が図れる。
【0042】
また、本発明に係る型構造においては、鋳枠10及び金型プレート20の少なくともいずれか一方に、被押圧面41を有しこの被押圧面41が押圧されることで型枠1をその型合わせ方向に押し付ける突起部が設けられている。
本実施形態では、鋳枠10側に、被押圧面41を有する突起部としての鋳枠押え部40が設けられている。
【0043】
鋳枠押え部40は、鋳枠10の外周面10bにおいて周方向に部分的あるいは全周にわたって設けられる板状突部として構成される。
鋳枠押え部40は、型枠1の型合わせ方向(鋳枠10と金型プレート20とが近接する方向)に対して略垂直方向に突設され、その上面(金型プレート20側と反対側の面)が被押圧面41となる。つまり、本実施形態においては、鋳枠押え部40の被押圧面41は、型枠1の型合わせ方向に対して略垂直方向の平面を形成する。
鋳枠押え部40は、鋳枠10との一体鋳造や、鋳枠10とは別部材として構成され鋳枠10の外周面10bに取り付けられること等により設けられる。
【0044】
このように構成される鋳枠押え部40が、外部装置等によって被押圧面41を介して押圧されることにより、型枠1がその型合わせ方向に押し付けられる。本実施形態では、鋳枠10が金型プレート20に対して押し付けられることとなる。
鋳枠押え部40の被押圧面41の押圧に際しては、この被押圧面41に接する部分となる押圧部51を有する鋳枠押えクランプ50が用いられる。
【0045】
鋳枠押えクランプ50は、略筒状に構成され、その先端部に形成される押圧部51を被押圧面41に当接させた状態で該被押圧面41を押圧する。
鋳枠押えクランプ50は、鋳枠押え部40の被押圧面41に対して、鋳枠10が型合わせ方向に全体的に略均等に押し付けられるような部分に当接する。つまり、鋳枠押え部40の被押圧面41において鋳枠押えクランプ50の押圧部51が当接する部分は、鋳枠押えクランプ50による押圧により、鋳枠10が金型プレート20に対して型合わせ部の全周にわたって略均等に押し付けられるように配される。
【0046】
本実施形態では、鋳枠押えクランプ50による複数の押圧部(押圧部51の被押圧面41に対する当接部)が、例えば、鋳枠10の外周方向に対して等間隔に配されたり、平面視(上面視)で略円形状となる鋳枠10においてその円形状の中心位置に対して対称的に配されたりすることにより、鋳枠押えクランプ50によって鋳枠10が型合わせ方向に全体的に略均等に押し付けられる。
【0047】
このような鋳枠押えクランプ50が、例えば外部装置として、スプリング等を備えそのバネ圧を利用する押圧ローラや、油圧シリンダ等のシリンダ機構等が用いられ、鋳枠押え部40の被押圧面41を押圧する方向の力が加えられる。
この際、本実施形態のように、鋳枠押えクランプ50が複数用いられる場合、各鋳枠押えクランプ50における押圧力は、前記のとおり鋳枠10が型合わせ方向に全体的に略均等に押し付けられるように調整される。かかる構成により、鋳枠10が金型プレート20に対して押し付けられる。
【0048】
なお、本実施形態では、被押圧面41を有する突起部が、鋳枠押え部40として鋳枠10側に設けられているが、金型プレート20側に設けられる構成、あるいは鋳枠10及び金型プレート20の両側に設けられる構成であってもよい。
また、本実施形態では、複数の鋳枠押えクランプ50によって被押圧面41の複数箇所が押圧されるが、一体の鋳枠押えクランプによって、その押圧部が被押圧面41の全周にわたって当接した状態で被押圧面41が押圧されてもよい。
【0049】
このように、型枠1において、被押圧面41を有しこの被押圧面41が押圧されることで型枠1をその型合わせ方向に押し付ける突起部を設けることにより、ゴム型30の延設部32により得られる型枠1の型合わせ部におけるシール性を向上することができ、型枠1の型合わせ部からの石膏の漏出をより確実に防止することが可能となる。
【0050】
以上の構成を備える本実施形態の型構造において、石膏鋳型は次のようにして造型される。
まず、図2(a)に示すように、ゴム型30が固定された状態の金型プレート20に対して鋳枠10が載置されること等により、鋳枠10と金型プレート20とが合わせられ、型枠1が型合わせ状態とされる。つまり、型枠1の型合わせ状態であってゴム型30がセットされた状態とされることにより、成型空間2が形成される。
ここで、鋳枠押え部40の被押圧面41が、鋳枠押えクランプ50の押圧部51により押圧されることにより(矢印P参照)、鋳枠10が金型プレート20に対して押し付けられる。
【0051】
次に、図2(b)に示すように、型枠1の成型空間2内に、鋳枠10の上側開口部13から泥状の石膏4が流し込まれて充填される。
ここで、型枠1の型合わせ部においてゴム型30の延設部32がシール部材として機能すること、及び鋳枠押え部40が用いられて型枠1が型合わせ方向に押し付けられることにより、型枠1の型合わせ部において良好なシール性が得られ、型合わせ部からの石膏の漏出が防止される。
型枠1の成型空間2内に充填された石膏4は、加熱されること等によって反応固化する。
【0052】
そして、図2(c)に示すように、成型空間2内の石膏4が反応固化した後、鋳枠押えクランプ50による鋳枠押え部40を介した押圧が解除され、石膏鋳型5に対する脱型が行われる。つまり、固化した石膏4(石膏鋳型5)に対して、金型プレート20と一体のゴム型30が抜き取られるとともに鋳枠10が取り外される。
ここで、ゴム型30の延設部32により、金型プレート20の石膏4に対する接触面がゴム面となるので、石膏鋳型5について良好な離型性が得られる。
【0053】
このようにして、ゴム型30の成型品形状部分が転写された部分を成型面(成型空間)5aとする石膏鋳型5が造型される。
そして、この石膏鋳型5が用いられ、アルミニウム等の金属を材料とする製品を成型品とする石膏鋳造が行われる。
【0054】
以上のように、本発明に係る石膏鋳型造型用の型構造においては、型枠1を構成する鋳枠10と金型プレート20との型合わせ部における密着度の向上が図れるとともに、型枠と石膏との接触面における面性状の向上及び濡れ性の低減が図れ、石膏鋳型不良を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態に係る石膏鋳型造型用の型構造の構成を示す断面図。
【図2】石膏鋳型の造型過程を説明する図。
【図3】従来における石膏鋳型造型用の型構造の構成を示す断面図。
【符号の説明】
【0056】
1 型枠
2 成型空間
4 石膏
10 鋳枠(上型)
20 金型プレート(下型)
21 表側面
30 ゴム型
32 延設部
32a 被覆部
32b 被挟持部
40 突起部
41 被押圧面
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成18年10月13日(2006.10.13)
【代理人】 【識別番号】100080621
【弁理士】
【氏名又は名称】矢野 寿一郎


【公開番号】 特開2008−93716(P2008−93716A)
【公開日】 平成20年4月24日(2008.4.24)
【出願番号】 特願2006−279793(P2006−279793)