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【発明の名称】 半田の鋳造装置
【発明者】 【氏名】渡辺 広光

【要約】 【課題】金型の気密性を不要とするとともに、金型の組み立て、分解も不要とし、かつ金型の再利用を可能とし、半田の鋳造を容易にした。

【構成】金型10は、第1金型11と第2金型12から構成され、第1金型11は、半田の熱伝導率が高く、室温では急速に固まる特性を生かすために、炭素鋼、ステンレス鋼などからなる金属製の板部材21で作製され、この板部材21の中央部には、所定長を有する円柱体22が植立されている。また、第2金型12は、同じく半田の熱伝導率が高く、室温では急速に固まる特性を生かすために、炭素鋼、ステンレス鋼などからなる金属製あるいは炭素繊維製で、かつ形成される半田の棒の長さより長めの円筒体23から作製される。前記第1金型11の板部材21に植立される円柱体22の直径は、第2金型12の円筒体23の内径より若干小さい径に形成され、円筒体23は円柱体22に嵌め合いが可能で、円筒体23が自立できるように構成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部に柱体が植立して形成された第1金型と、この第1金型の柱体に嵌入され、上部から半田が鋳込まれる筒体に形成された第2金型とからなることを特徴とする半田の鋳造装置。
【請求項2】
前記柱体および筒体が、円形あるいは多角形からなることを特徴とする請求項1記載の半田の鋳造装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、半田の鋳造装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
JEITA(日本電子産業情報協会)で推奨している、鉛フリー半田材料の化学成分は、Snが96.5(%,wt)、Agが(3.0%)、Cuが(0.5%)である。このような半田の機械的特性を求めるためには、通常では、丸棒か矩形の棒から、ダンベル(砂時計)形状の試験片を機械加工で作製している。
【0003】
上記半田の棒を作製するには、半田を溶融させ、金型に入れて固める、鋳造が必要である。通常では、鋳造は溶融した半田材料が漏れ出さず、所定の寸法で固まるように、金型を用いる。この金型は、鉄鋼や炭素繊維の材料が用いられ、鋳造後に固まった材料を取り出せるように、金型を分解できるように形成されている。
【0004】
従来の金型は材料が樹脂の場合では、材料の溶融温度が200℃程度であるため、金型の材料は金属(炭素鋼、アルミ合金など)で耐熱性は十分である。しかし、樹脂は流動性があり、かつ固まるまでの時間が長い(数分から数時間)ため金型の気密性と、注型(材料を金型に流し込む)際に巻き込んだ空気が抜けるように、上面に窪みがないようにすることが必要である。
【0005】
一方、半田の金型で、材料試験に用いる場合の丸棒の金型寸法は、日本材料学会より金型の直径と肉厚については、推奨寸法が発表されているが、金型の具体的な構造まで詳細な使用は決定されていない。
【0006】
また、先のJEITAの推奨材料(96.5%Sn−3.0%Ag−0.5%Cu)の溶融温度(液相線)は、220℃で樹脂の鋳込み時の温度と同程度であり、金型の材料は金属材料あるいは炭素繊維が用いられる(日本材料学会推奨)。ここで樹脂の場合と大きく異なるのは、半田の場合、熱伝導率が大きい(64 W/mk)ため、材料の冷却速度が樹脂(数W/mk)に比べてはるかに早く、注型直後から固化が始める点が異なる。
【特許文献1】特開2000−061585号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の金型は、固まった材料を取り出す際、金型を分解(ボルトで組み立てられている場合が多い)して取り出す方法であるため、金型の構造が複雑であり、気密性も要求されることから、作製したい半田の棒に対して金型が十分大きい寸法に形成されていた。
【0008】
このため、金型温度が室温に近く低い場合には、溶融させた半田を鋳込むと、金型の熱容量が大きいため、導入された半田が急激に冷却され、金属組織の不均一や材料のひけ(巣)が発生する問題がある。一方、金型の温度を高くすると、半田が固化し難くなり、金型の気密性を十分高くしないと、半田材料が金型から漏出してしまう問題がある。
【0009】
このように、気密性を考慮した金型では、構造が複雑となり金型のコストが上昇する問題も発生する。また、金型の数が少ない場合は、半田の棒を複数作製する場合には、半田を溶融している時間が長くなると、溶融中に酸化物などの不純物が生成されるため、材料の溶融を数回に分ける必要があり、作業が煩雑で、溶融コストも増加する問題も発生する。さらに、固まった材料を取り出す際に、金型を分解する工程が必要であった。
【0010】
この発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、金型の気密性を不要とするとともに、金型の組み立て、分解も不要とし、かつ金型の再利用を可能とし、半田の鋳造を容易にした半田の鋳造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
この発明は、上記の課題を達成するために、第1発明は、中央部に柱体が植立して形成された第1金型と、この第1金型の柱体に嵌入され、上部から半田が鋳込まれる筒体に形成された第2金型とからなることを特徴とするものである。
【0012】
第2発明は、前記柱体および筒体が、円形あるいは多角形からなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
以上述べたように、この発明によれば、半田鋳造用の金型を、円柱体からなる第1金型と円筒体からなる第2金型とで形成したので、次のような効果が得られる。
(1)円柱体と円筒体の隙間で、半田が固化するので、金型の気密性は不要となる。このため、金型の組み立て、分解も不要で、円柱体に円筒体を差し込むだけで、半田の鋳造が行える。
(2)金型から半田の棒を取り出すのは、円筒体の材料を炭素鋼またはステンレス鋼、あるいは炭素繊維材料にすることにより、棒の直径が円筒体の内径より小さくなるので、容易に行うことができる。また、円筒体を破壊する必要がないので、円柱体と円筒体とも再利用が可能となる。
(3)金型が円柱体と円筒体だけなので、金型のコストが極めて低廉で製作できる。
(4)金型の構造が極めて単純なので、分離もでき重量も軽く取り扱いが容易で、収納スペースが少なくてよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1において、金型10は、第1金型11と第2金型12から構成され、第1金型11は、半田の熱伝導率が高く、室温では急速に固まる特性を生かすために、炭素鋼、ステンレス鋼などからなる金属製の板部材21で作製され、この板部材21の中央部には、所定長を有する円柱体22が植立されている。また、第2金型12は、同じく半田の熱伝導率が高く、室温では急速に固まる特性を生かすために、炭素鋼、ステンレス鋼などからなる金属製あるいは炭素繊維製で、かつ形成される半田の棒の長さより長めの円筒体23から作製される。
【0015】
前記第1金型11の板部材21に植立される円柱体22の直径は、第2金型12の円筒体23の内径より若干小さい径に形成され、円筒体23は円柱体22に嵌め合いが可能で、円筒体23が自立できるように構成される。なお、円柱体22の厚みは、円筒体23を嵌入した際に、円筒体23が倒れないような高さにしてもよく、また、この部分を治具で固定してもよい。
【0016】
上記のように構成された金型を用いて半田の棒を作製するには、第1金型11の円柱体22に第2金型12の円筒体23を嵌入する。このとき、半田を円筒体23から図示矢印のように流し込む際には、第2金型12の円筒体23は、作製する半田の棒の直径や長さに応じて、予め加熱しておく。
【0017】
上記のように金型を準備した後、溶融してある半田を第2金型12の円筒体23の上部から注入すると、半田が第1金型11の円柱体22の上面に接触する。第1金型11は、金属製で熱容量が大きいものが室温となっているため、注入された半田は、直ぐに冷却されて固化され、円柱体22と円筒体23とに若干の隙間が生じていても、半田が固化されるために、上記隙間から漏れ出すことがないので、第1金型11と第2金型12との気密性は高くなくてもよい。
【0018】
上記半田(96.5%Sn−3.0%Ag−0.5%Cu)の溶融温度は、220℃であるが、保温してある恒温槽から出して、型に鋳込む間に大気中で冷却されるので、半田の温度は260℃〜280℃程度にしておく。
【0019】
上記金型で作製された半田を金型から取り出すには、第2金型12の円筒体23の材質が炭素鋼やステンレス鋼および炭素繊維の場合は、半田より線膨張係数が小さいため、半田が固化すると、その直径は円筒体23の内径より小さくなる。このため、円筒体23を円柱体22から引き抜くと、半田の棒は、容易に円筒体23から取り出すことができる。
【0020】
また、円筒体23の材料がアルミ合金の場合は、半田の棒は円筒体23の内径より若干小さくなる程度なので、円筒体23を固定して半田を木槌等で押し出せばよい。このとき、半田を木槌等で叩き過ぎると、半田が変形するため、円筒体23から取り出すことができなくなる恐れがあるため、なるべく衝撃的な荷重を作用させないようにする。
【0021】
なお、半田の棒を連続的に形成するには、円柱体22と円筒体23を複数個用意し、ベルトコンベアに円柱体22を取り付け、これを移動させ、円筒体23を円柱体22に嵌入して円筒体23を自立させる。
【0022】
その後、半田を円筒体23に流し込み、半田が固化したなら円筒体23を円柱体22から引き抜き、半田の棒を取り出す。これを繰り返すことにより、連続的に鋳造が可能になる。このように、連続的に作業を行うことにより、材料のばらつきが少なくなり、品質が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】この発明の実施形態を示す概略的な斜視図。
【符号の説明】
【0024】
10…金型
11…第1金型
12…第2金型
21…板部材
22…円柱体
23…円筒体
【出願人】 【識別番号】000006105
【氏名又は名称】株式会社明電舎
【出願日】 平成18年9月15日(2006.9.15)
【代理人】 【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛

【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久


【公開番号】 特開2008−68300(P2008−68300A)
【公開日】 平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願番号】 特願2006−250571(P2006−250571)