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【発明の名称】 鋳造金型装置及びこの鋳造金型装置を用いた鋳造方法
【発明者】 【氏名】山内 実

【要約】 【課題】従来の鋳造金型装置では、構造上、装置の大型化と型開き時における金型のかじりが発生しやすい。

【構成】上壁の上下面にアンダーカット部02aを有する第1凹部02と第2凹部03が形成された鋳造品01の鋳造金型装置である。前記各凹部をそれぞれ形成する上型2と下型1とを、それぞれセンターコア7,22と該各センターコアにスライド可能なフィリップコア8,9、23,24とからなる分割中子によって構成し、上型のセンターコアとフィリップコアを、スライド機構によってスライド可能に連繋すると共に、前記上側フィリップコアを自重によって前記センターコアに対して相対移動可能に形成した。これにより、特別な駆動機構を設ける必要がないので、装置の簡素化と小型化が図れる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定部位の表裏面にそれぞれ凹部が形成された鋳造品の鋳造金型装置であって、
前記鋳造品の各凹部をそれぞれ形成する上型と下型とを、それぞれセンターコアと該各センターコアに摺動可能なサイドコアとからなる分割中子によって構成し、
少なくとも前記上型のセンターコアとサイドコアを、スライド機構によってスライド可能に連繋すると共に、弾性力または重力によって相対移動可能に形成したことを特徴とする鋳造金型装置。
【請求項2】
前記所定部位の一方の凹部は、ほぼ円形状に形成されていると共に、アンダーカット部を有し、他方の凹部は、対向する内側面がほぼ垂直状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の鋳造金型装置。
【請求項3】
前記アンダーカット部を有する一方の凹部を成形する分割中子は、前記センターコアが横断面矩形状に形成されていると共に、両端面が先端先細り状のテーパ面に形成され、該テーパ状の両端面に前記一対のサイドコアが前記スライド機構を介してスライド移動可能に配置され、他方側の両側面に一対の第2のサイドコアが離接可能に配置され、
該一対の第2のサイドコアは、開閉可能な母型に支持されていると共に、前記センターコアとサイドコアの後退移動に伴って前記母型を介して互いに近接移動可能に設けられていることを特徴とする請求項2に記載の鋳造金型装置。
【請求項4】
アンダーカット部を有する一方の凹部を成形する分割中子は、少なくとも2平面の前記サイドコアがセンターコアに沿って配置され、該サイドコアとセンターコアは付勢部材によって相対的に離間する方向へ付勢されていることを特徴とする請求項3に記載の鋳造金型装置。
【請求項5】
前記他方の凹部を成形する分割中子は、両側面が先端先細り状のテーパ状に形成されたセンターコアと、
該センターコアのテーパ状両側面にスライド機構を介してスライド移動する一対のサイドコアと、を備え、
該各サイドコアは、前記鋳造品の外面の一部を成形するトップコアの内部に上下動可能に支持されていると共に、前記凹部のほぼ垂直壁に対して離接可能に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の鋳造金型装置。
【請求項6】
前記他方の凹部を形成する分割中子は、前記上型によって構成され、
前記センターコアは、上下動するアダプターの下面に固定されていると共に、該アダプターの下部に上下動可能に支持された前記トップコアの内部軸心方向に沿って配置されている一方、
前記サイドコアは、前記トップコアの内部に前記センターコアの上下摺動に伴って拡縮径可能に保持されていると共に、
該サイドコアとトップコアが、前記アダプターの下部にそれぞれの自重によって下降移動可能に支持されていることを特徴とする請求項1に記載の鋳造金型装置。
【請求項7】
前記センターコアとサイドコアは、前記アダプターを介して駆動機構によって上下動可能に設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の鋳造金型装置。
【請求項8】
前記他方の凹部を形成する分割中子は、前記上型によって構成され、
前記センターコアは、アダプターの下部に上下動可能に配置されていると共に、該アダプターの下部に固定されたトップコアの内部軸心方向に沿って配置されている一方、
前記サイドコアは、前記トップコアの内部に上下動可能に設けられていると共に、前記センターコアの上下摺動に伴って拡縮径可能に保持され、かつ、付勢部材によって前記センターコアに沿って下方向へ付勢させたことを特徴とする請求項1に記載の鋳造金型装置。
【請求項9】
前記アダプターの下面とサイドコアの上面との間に、隙間を形成したことを特徴とする請求項8に記載の鋳造金型装置。
【請求項10】
所定部位の上下面にそれぞれ凹部が形成された鋳造品の鋳造方法であって、
湯口及び湯道によって左右に分割された母型と、該分割母型間に配置固定されたベース部材と、前記分割母型の上下位置に配置されて、前記鋳造品の上下凹部を形成する上型と下型が、それぞれセンターコアと該センターコアにスライド可能なサイドコアとから構成された分割中子と、を備え、少なくとも前記一方の分割中子のセンターコアとサイドコアとをスライドキーによって互いにスライド移動可能に設けられ、
前記湯口から溶融材料を注入して鋳造品を形成した後に、
前記上型のセンターコアとサイドコアを互いに相対移動させつつ上昇させると共に、下型のセンターコアとサイドコアを互いに相対移動させつつ下降させて離型させ、
その後、前記両母型を型開きすることによって、前記鋳造品をベース部材に保持させたことを特徴とする鋳造品の鋳造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、鋳造品の例えば上壁の上下面にそれぞれ凹部を成形する鋳造金型装置及びこの鋳造金型装置を用いた鋳造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の鋳造金型装置としては、例えば以下の特許文献1に記載されているものが知られている。
【0003】
この従来の鋳造金型装置は、ピストン鋳造に使用するセンターコアと、該センターコアの左右に配置されたサイドコアからなる三分割中子の構造を備え、前記センターコアの傾斜状に形成された両側面の中央部に凸状のスライド片が設けられ、前記両サイドコアの傾斜状両側面に前記スライド片が嵌合するスライド溝が形成されている。
【0004】
そして、スライド溝にスライド片が嵌合しつつセンターコアが上方へ移動すると、両サイドコアが中央へ移動し、この状態で鋳造が行われることによって、三分割中子のセンターコア及び両サイドコアの先端外周部に、ピストンスカート部のリブを形成するアンダーカットの溝部が形成されるようになっている。
【特許文献1】特開平6−39515号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記従来の鋳造金型装置にあっては、前述のように、三分割のコアを用いて前記ピストンスカート部にアンダーカットの溝部を形成するようになっているが、この他に、例えばピストンの冠面上に別異のアンダーカットを同時に形成する場合などには、前記鋳造金型装置の他にさらに同じような鋳造金型装置を設けなければならない。
【0006】
このため、前記各センターコアを駆動させる駆動機構を設ける必要があり、この結果、装置全体の構造が複雑になると共に、大型化が余儀なくされてしまう。
【0007】
本発明は、前記従来における鋳造金型装置の技術的課題に鑑みて案出されたもので、一方の凹部を形成するサイドコアなどを付勢部材あるいは自重によって下方へ移動させることによって、新たな駆動源を確保する必要がなく、装置の簡素化と小型化が図れる鋳造金型装置及びその鋳造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、所定部位の表裏面にそれぞれ凹部が形成された鋳造品の鋳造金型装置であって、前記鋳造品の各凹部をそれぞれ形成する上型と下型とを、それぞれセンターコアと該各センターコアに摺動可能なサイドコアとからなる分割中子によって構成し、少なくとも前記上型のセンターコアとサイドコアを、スライド機構によってスライド可能に連繋すると共に、弾性力または重力によって相対移動可能に形成したことを特徴としている。
【0009】
この発明によれば、上型のサイドコアなどを、自重あるいは付勢力を利用してセンターコアに対して互いにスライド移動を含む相対移動可能としたため、これらサイドコアなどを駆動させる特別な駆動機構を設ける必要がない。したがって、鋳造金型装置の簡素化と小型化が図れる。
【0010】
しかも、前記センターコアに対してサイドコアをスライド移動させるようになっていることから、ダイカスト鋳造時におけるいわゆる金型のかじりの発生も防止できる。
【0011】
請求項2に記載の発明は、前記所定部位の一方の凹部は、ほぼ円形状に形成されていると共に、アンダーカット部を有し、他方の凹部は、対向する内側面がほぼ垂直状に形成されていることを特徴としている。
【0012】
請求項3に記載の発明にあっては、前記アンダーカット部を有する一方の凹部を成形する分割中子は、前記センターコアが横断面矩形状に形成されていると共に、両端面が先端先細り状のテーパ面に形成され、該テーパ状の両端面に前記一対のサイドコアが前記スライド機構を介してスライド移動可能に配置され、他方側の両側面に一対の第2のサイドコアが離接可能に配置され、該一対の第2のサイドコアは、開閉可能な母型に支持されていると共に、前記センターコアとサイドコアの後退移動に伴って前記母型を介して互いに近接移動可能に設けられていることを特徴としている。
【0013】
この発明によれば、鋳造品を鋳造した後に、例えば下型のセンターコアを後退移動させると、このテーパ両側面に沿ってサイドコアが摺動して該サイドコア同士が互いに接近する方向(縮径方向)へ移動する。また、下型のサイドコアは、前記センターコアとサイドコアの全体が後退移動した後に、互いに接近する方向(縮径方向)へ移動して鋳造品の凹部の内周面から離間する。このため、鋳造品が凹部全周壁にアンダーカット部を有している場合であっても、型抜きが容易になると共に、鋳造品の金型へのかじりを確実に防止できる。
【0014】
請求項4に記載の発明にあっては、アンダーカット部を有する一方の凹部を成形する分割中子は、少なくとも2平面の前記サイドコアがセンターコアに沿って配置され、該サイドコアとセンターコアは付勢部材によって相対的に離間する方向へ付勢されていることを特徴としている。
【0015】
この発明によれば、下型のセンターコアとサイドコアとを、付勢部材の付勢力によって相対的に離間方向へ移動させることができるため、これらを離間移動させるための特別な駆動機構が不要になる。したがって、装置の簡素化が図れる。
【0016】
請求項5に記載の発明にあっては、前記他方の凹部を成形する分割中子は、両側面が先端先細り状のテーパ状に形成されたセンターコアと、
該センターコアのテーパ状両側面にスライド機構を介してスライド移動する一対のサイドコアと、を備え、該各サイドコアは、前記鋳造品の外面の一部を成形するトップコアの内部に上下動可能に支持されていると共に、前記凹部のほぼ垂直壁に対して離接可能に配置されていることを特徴としている。
【0017】
この発明によれば、サイドコアを、凹部に有するほぼ垂直壁に対して容易に離間させることができるため、型抜き性が良好になると共に、鋳造品の金型へのかじりの発生を確実に防止できる。
【0018】
請求項6に記載の発明にあっては、前記他方の凹部を形成する分割中子は、前記上型によって構成され、前記センターコアは、上下動するアダプターの下面に固定されていると共に、該アダプターの下部に上下動可能に支持された前記トップコアの内部軸心方向に沿って配置されている一方、前記サイドコアは、前記トップコアの内部に前記センターコアの上下摺動に伴って拡縮径可能に保持されていると共に、該サイドコアとトップコアが、前記アダプターの下部にそれぞれの自重によって下降移動可能に支持されていることを特徴としている。
【0019】
この発明によれば、サイドコアを自重によって上下方向へ移動可能に形成したため、該サイドコアを駆動させる駆動機構が不要になり、装置の簡素化が図れると共に、コストの低減化が図れる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、前記センターコアとサイドコアを、前記アダプターを介して駆動機構によって上下動可能に設けたことを特徴としている。
【0021】
前記センターコアを前記駆動機構により上下駆動させて確実な駆動を確保したため、鋳造品に対する金型のかじりを確実に防止できる。
【0022】
請求項8に記載の発明にあっては、前記他方の凹部を形成する分割中子は、前記上型によって構成され、前記センターコアは、アダプターの下部に上下動可能に配置されていると共に、該アダプターの下部に固定されたトップコアの内部軸心方向に沿って配置されている一方、前記サイドコアは、前記トップコアの内部に上下動可能に設けられていると共に、前記センターコアの上下摺動に伴って拡縮径可能に保持され、かつ、付勢部材によって前記センターコアに沿って下方向へ付勢させたことを特徴としている。
【0023】
この発明によれば、サイドコアを、自重ではなく付勢部材によって強制的に下方へ付勢移動させるため、型締め作業能率が向上すると共に、該型締め時におけるセンターコアのテーパ状両側面との密着性が良好になり、鋳造品のバリなどの発生を防止できる。
【0024】
請求項9に記載の発明は、前記アダプターの下面とサイドコアの上面との間に、隙間を形成したことを特徴としている。
【0025】
隙間の形成によってサイドコアに僅かなガタを持たせることができるので、特に、型締め時に前記付勢部材の付勢力によってサイドコアを下方へ摺動させる際に、たとえサイドコアが傾いてもセンターコアに対する片当たりなど防止でき、スムーズな下降作用が得られる。
【0026】
請求項10に記載の発明は、所定部位の上下面にそれぞれ凹部が形成された鋳造品の鋳造方法であって、湯口及び湯道によって左右に分割された母型と、該分割母型間に配置固定されたベース部材と、前記分割母型の上下位置に配置されて、前記鋳造品の上下凹部を形成する上型と下型が、それぞれセンターコアと該センターコアにスライド可能なサイドコアとから構成された分割中子と、を備え、少なくとも前記一方の分割中子のセンターコアとサイドコアとをスライドキーによって互いにスライド移動可能に設けられ、前記湯口から溶融材料を注湯して鋳造品を形成した後に、前記上型のセンターコアとサイドコアを互いに相対移動させつつ上昇させると共に、下型のセンターコアとサイドコアを互いに相対移動させつつ下降させて離型させ、その後、前記両母型を型開きすることによって、前記鋳造品をベース部材に保持させたことを特徴としている。
【0027】
この鋳造方法によれば、上下型がそれぞれセンターコアとこれに摺動するサイドコアとによって構成されていることから、上下面に凹部を有する鋳造品の成形時の型かじりの発生を防止できる。
【0028】
また、特別な駆動源を必要としないので、鋳造金型装置の簡素化が図れる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明に係る鋳造金型装置の各実施の形態を図面に基づいて詳述する。
【0030】
この鋳造金型装置は、アルミニウム合金材によって鋳造品を製造するものであって、この鋳造品01は、図8に示すように、さいころブロック状に成形されて、上面部と下部内にそれぞれ第1凹部02と第2凹部03が形成され、下側の第1凹部02は、内周面にアンダーカット部02aが形成されている一方、上側の第2凹部03は、ほぼ平面矩形状に形成されて、底面03aから立ち上がった両側面03b、03cがほぼ垂直面状に形成されていると共に、前後両端面03d、03eが傾斜状に形成されている。また、凹部03の底面03aのほぼ中央位置には、前記両側面03b、03cを連結するような形で横方向に延びた突起部03fが形成されている。
【0031】
図1〜図7はこの鋳造金型装置の第1の実施形態を示し、図外の基台に上下動可能に支持された下型1と、図外の鋳造機に上下動自在に設けられた上型2と、前記下型1の上側位置に配置された移動規制用のプレート状のベース部材3と、該ベース部材3の上面と前記上型2との間に配置されて左右方向へ開閉型自在に設けられた母型4,5とを備えている。
【0032】
前記下型1は、前記基台に設けられた例えば油圧駆動機構によって上下動する矩形板状のセンターコアホルダー6と、該センターコアホルダー6のほぼ上面中央位置にボルトなどによって固定された平板状の下側センターコア7と、該センターコア7の両端面7a、7aに沿って上下摺動可能な左右一対のサイドコアである下側フィリップコア8,9と、該フィリップコア8,9の90度位置に配置されて、前記センターコア7に対して離接移動可能に設けられた一対のサイドコア10,11とから主として構成されている。
【0033】
前記センターコアホルダー6は、図1〜図3に示すように、横断面ほぼT字形状に形成された板状に形成されて、断面矩形状の上端部6aの上面に前記下側センターコア7の下面が当接固定されていると共に、前後部の内部に形成されたばね収容溝6b内に、前記両フィリップコア8,9を上方へ付勢する圧縮コイルスプリングであるばね部材12,13が収容配置されている。
【0034】
前記下側センターコア7は、両端面7a、7aが上方に向かって先細り状のテーパ面に形成されていると共に、該両端面7a、7aの幅方向の中央位置にスライド溝14,15が上下方向の所定範囲まで形成されている。
【0035】
前記両フィリップコア8,9は、矩形状の下端部8a、9aが前記センターコアホルダー6の上面に離接自在に配置され、対向する内端面が前記センターコア7の両側面7a、7aに摺接可能な平坦状に形成されていると共に、上端部8b、9b(中子)の外面が前記鋳造品01の下部内に形成されるアンダーカット部02aを含む凹部02の形状の一部を成形する凸形状に形成されている。また、この両フィリップコア8,9の各内端面の下部には、前記各スライド溝14,15に嵌合して上下方向へスライド案内されるスライドキー16,17が複数のボルト18によって固定されている。また、両フィリップコア8,9は、下端部の下面には、前記ばね部材12,13の上端部を嵌合保持する保持溝が形成されて、前記両ばね部材12,13のばね力によって前記センターコア7の両端面7a,7bのテーパに沿って下方から斜め上方へ付勢されている。なお、前記スライド溝14,15とスライドキー16,17によってスライド機構が構成されている。
【0036】
前記両サイドコア10,11は、図3に示すように、縦断面ほぼL字形状に形成された水平な基部10a、11aと、該基部10a、11aの対向端縁に立設されて、前記センターコア7とフィリップコア8,9の各両側面に離接可能な中子10b、11bとから構成されている。前記各基部10a、11aは、前記ベース部材3の下面に図外の移動機構によって互いに離接する方向(拡縮径方向)へ水平に移動可能に保持され、これによって前記各中子10b、11bがセンターコア7などに対して離接可能となるように配置されている。前記各中子10b、11bは、ほぼ平坦な円弧面状の首部の上部に有する外面が前記第1凹部02のアンダーカット部02aを含めた内周面の一部を成形するようになっている。
【0037】
前記ベース部材3は、ほぼ板状に形成されて、ほぼ中央にほぼ矩形状の肉厚部3aが一体に形成されていると共に、該肉厚部3aの中央に前記フィリップコア8,9の上端部8b、9bと前記各中子10b、11bが下方から挿入されて上方へ突出する挿入孔3bが形成されている。
【0038】
前記各母型4,5は、図1〜図3に示すように、左右に分割形成されて、対向する内面に前記鋳造品01の矩形状外形を共同して成形する半割状の凹状部4a、5aが形成されている共に、該凹状部4a、5aの上部位置に前記上型2の一部を共同して保持する半割状の保持溝4b、5bがそれぞれ形成されている。また、これらの側部には、凹状部4a、5a内に溶融金属を注入する湯口を構成する半割状の湯口用溝4c、5cが形成されている。
【0039】
前記上型2は、図1、図2及び図7に示すように、図外の油圧シリンダなどによって上下動可能に設けられたアダプター19と、該アダプター19の下部に上下動可能に配置された内部中空状のトップコア20と、該トップコア20の内部軸心方向に配置されて、アダプター19の下面にボルト21によって固定された上側センターコア22と、トップコア20の内部に配置されて、上側センターコア22の両側部に上下摺動自在に設けられた一対の上側フィリップコア23,24とから主として構成されている。
【0040】
前記アダプター19は、ほぼ肉厚なほぼ円板状に形成されて、ほぼ中央に前記ボルト21が挿通するボルト挿通孔25が上下方向に貫通形成されていると共に、外周部の4箇所には該アダプター19と前記トップコア20とを互いに離接可能に連繋する4本の連繋ボルト26が挿通される4つのボルト摺動孔27が上下方向に貫通形成されている。すなわち、前記連繋ボルト26は、軸方向の長さが比較的長く形成されて、頭部26aがボルト摺動孔27の上側大径部27aを摺動しつつ下側の小径部27bとの間の段差面27cに係脱可能になっている共に、先端部の雄ねじ部26bが前記トップコア20のフランジ状上端部20aに形成された4つの雌ねじ部20bに螺着固定し、これによって、トップコア20がアダプター19に対して、ボルト頭部26aの下面とボルト摺動孔27の段差面27cとの間の所定長さH分だけ上下摺動可能になっている。
【0041】
前記トップコア20は、下端先細り状のカップ状に形成され、鋳造品01の上面を形成する先端面20cが平坦面に形成されていると共に、内部に上側の円柱溝20dと、該円柱溝20dから下方へ貫通形成された横断面矩形状の保持孔20eと、前記円柱溝20dと保持孔20eとの間に形成された水平状の段差面20fがそれぞれ形成されている。
【0042】
前記上側センターコア22は、図7にも示すように、外形がほぼU字形状の板状に形成され、両側面22a、22aが先細り状のテーパ面状に形成されていると共に、平坦な上端面のほぼ中央位置に前記ボルト21が螺合固定する雌ねじ孔22bが形成されていると共に、両側面22a,22aの上部位置に蟻溝状のスライド溝22c、22cが上下に沿って形成されている。また、両端面の上下方向のほぼ中央位置に、前記トップコア20の段差面20fに係止可能な段差面22d、22dが形成されている。
【0043】
前記上側フィリップコア23,24は、前記トップコア20の内部にフリーな状態で上側センターコア22の両側面22a、22aに沿って上下移動可能に収容配置され、ほぼ半割円柱状の上端部23a、24aの対向内面側に、前記各スライド溝22c,22cに嵌合してスライド案内されるスライドキー28、28が複数のボルト29によって固定されていると共に、各上端部23a、24aの下端縁に、ほぼ半割円弧状の小径な下端部23b、24bが一体に設けられている。また、両外面の上下方向のほぼ中央位置、つまり上端部23a、24aと下端部23b、24bとの間の境界部に、前記トップコア20の段差面20fに係止可能な段差面23c、24cがそれぞれ形成され、かかる係止位置で前記下端部23b、24bの先端部が前記保持孔20eから下方へ突出可能に形成されて、前記鋳造品01の前記第2凹部03を成形するようになっている。なお、前記スライド溝22c、22cとスライドキー28,28によってスライド機構が構成されている。
【0044】
以下、前記鋳造金型装置による鋳造方法について説明する。
【0045】
まず、金型の型締め手順としては、図1及び図4〜図6に示すように、下型1の両サイドコア10、11の中子10b、11bをベース部材3の挿通孔3b内に下方から挿通配置する(図4参照)。
【0046】
その後、センターコアホルダー6を油圧シリンダなどによって上昇させて、下側フィリップコア8,9が前記挿通孔3b内に入り込むと共に、下端部8a、9aがベース部材3の下面に当接する。と同時に各ばね部材12,13が圧縮変形しつつセンターコア7が両フィリップコア8,9間を上昇移動し、これに伴ってテーパ状の両端面7a、7aにより各フィリップコア8,9を互いに離間する方向、つまり拡径方向へ移動させる(図5参照)。
【0047】
その後、両母型4,5を互いに接近移動させて対向面を当接させ、該母型4,5の凹状部4a、5a内に前記センターコア7とフィリップコア8,9及びサイドコア10,11の上端部を収容保持すると共に、上型2のアダプター19とトップコア20を下降移動させて母型4,5の保持溝4b、5b内に収容保持して全体の型締め作業を完了する(図6参照)。
【0048】
続いて、図1、図6に示す型締め状態において湯口から溶融されたアルミニウム合金材を注入して、各金型間のキャビティ内に所定の圧力を加えながら充填して上壁の上下面に凹部02,03が形成された鋳造品01を成形する。
【0049】
その後、鋳造品01を金型内で冷却固化させた後に、型開きを行うわけであるが、まず、下型1では、図2に示すように、センターコアホルダー6を下降移動させると、下側センターコア7も同じく下降移動するが、このとき、圧縮状態にあったばね部材12,13のばね力によって、下側フィリップコア8,9が上方向へ付勢される。このため、センターコア7は、スライド溝14,15とスライドキー16,17を介して下降移動するものの、両フィリップコア8,9は、僅かに下降移動しつつもテーパ状の下側両側面7a、7aに沿って上方位置に取り残された形になる。
【0050】
よって、該両フィリップコア8,9は、各上端部8b、9bが互いに接近する方向(縮径方向)へ移動した状態になって、これらの各外面が第1凹部02の内面から離間して各アンダーカット部02aから離れて中央側寄りに近接配置される。
【0051】
一方、上型2では、図2に示すように、アダプター19が前記各ボルト26を介して上昇移動すると、同じく上側センターコア22も同距離だけ上昇移動する。つまり、センターコア22は、スライド溝22cとスライドキー28,28を介して各フィリップコア23,24に対して上方へ先行してスライド移動する。
【0052】
このとき、トップコア20と各フィリップコア23,24は、自重によって前記各ボルト29のH分の長さだけ上昇せずに下降位置に残された形なる。このため、各フィリップコア23,24は、センターコア22のテーパ状の両側面22a、22aを摺動するにつれて互いに近接する方向(縮径方向)に移動する。
【0053】
その後、アダプター19が前記H分よりもさらに上昇すると、トップコア20が各ボルト29に引っ張られた形で上昇移動し、この際、両フィリップコア23,24も、段差面23c、24cがトップコア20の段差面20fに載置(係止)された状態になっていることから、同じく上昇移動する。
【0054】
これによって、センターコア22の下端部と各フィリップコア23,24の各下端部23b、24bが、第2凹部03内から上方へ移動して型抜きされる。
【0055】
その後、前記母型4,5が左右方向へ離間移動して金型全体が型開きされる。これにより、図8に示すさいころブロック状の鋳造品01がベース部材3の上面に載置され、所定の治具によって自動的に取り出されることになる。
【0056】
以上のように、本実施形態によれば、前記下型1と上型2のセンターコア7,22に対して各フィリップコア8,9、23,24を、スライド機構を介して相対的にスライド移動させて各フィリップコアを互いに離接移動としたため、鋳造品01の上壁上下面に形成されたアンダーカット部02aを有する第1凹部02と垂直状両側面03b及び突起部03fを有する第2凹部03とを同時かつ高精度に鋳造することが可能になる。また、型抜き性が良好になると共に、鋳造品01に対する金型のかじりを防止できる。
【0057】
しかも、アダプター19やトップコア20などからなる上型2は、これらの自重を利用して相対的に下降移動をさせることができるため、この上型2を駆動させるための特別な駆動機構を設ける必要がない。したがって、鋳造金型装置の簡素化と小型化が図れる。
【0058】
特に、トップコア20とフィリップコア23,24とは、アダプター19やセンターコア22に対してボルト26を介して上下方向へ自由に移動させることができ、これら自身の自重によって所定長さHだけ下降移動させることができるので、型締め作業が容易になると共に、型開き時のフィリップコア23,24のセンターコア22との相対移動に伴う縮径作用がスムーズとなり、かかる型開き作業を効率良くかつ精度良く行うことができる。
【0059】
また、前記下型1のフィリップコア8,9は、センターコア7に対してばね部材12,13により互いに上下方向へ離間するように付勢されているため、これら両者を離間させるための特別な駆動機構が不要になることから、この点でも装置の簡素化が図れる。
【0060】
図9〜図11は第2の実施形態を示し、下型1は第1実施形態の構造と同様であるが、上型2の構造を変更したものである。
【0061】
すなわち、アダプター19の上面に油圧シリンダ30が配置されていると共に、該油圧シリンダ30のピストンロッド31がアダプター19の摺動用孔19aを介して貫通配置され、このピストンロッド31の先端にセンターコア22が固定用孔22bを介して連結されており、このセンターコア22は油圧シリンダ30によって上下駆動されるようになっている。
【0062】
また、アダプター19の摺動用孔19aの下端に、前記センターコア22の上端部の一部を収容配置させる収容溝32が形成されている。また、前記トップコア20は、前記アダプター19の下面にボルト33によって固定されている。
【0063】
各フィリップコア23,24は、第1の実施形態と同じく、センターコア22のテーパ状の両側面22a、22aにスライド溝22cやスライドキー28からなるスライド機構を介して上下摺動可能に設けられていると共に、一対の第2ばね部材34,35によって下方向に付勢されている。この第2ばね部材34,35は、アダプター19の下部内に形成されたほぼV字傾斜状のばね収容溝19b、19b内にほぼ収容保持されて、下端部が前記フィリップコア23,24の各上面に形成された浅い保持溝の底部に弾持されており、該フィリップコア23,24をセンターコア22の両側面22a、22aに沿って付勢している。
【0064】
また、前記フィリップコア23,24の各上面とこれと対向するアダプター19の下面との間には、微小隙間Cが形成されている。
【0065】
したがって、この実施形態によれば、型締めする場合は、下型1については、第1実施形態と同様であるが、上型2側では、油圧シリンダ30やアダプター19などを含めた全体を図10に示す位置から母型4,5の両保持溝4b、5b内へ下降移動させるが、このとき、センターコア22は、油圧シリンダ30によって引き上げられて、上端部が前記収容溝32内に保持されている一方、各フィリップコア23,24は、第2ばね部材34,35のばね力によって下方へ付勢されて、互いに近接方向、つまりセンターコア22の中心方向へ所定量だけ移動している。
【0066】
その後、図9に示すように、トップコア20のフランジ状上端部20aの下面が前記両保持溝4b、5bの上端孔縁部に当接してそれ以上の下降が規制されると同時に、センターコア22が油圧シリンダ30によって収容溝32の深さ分だけ前記スライド機構を介して各フィリップコア23,24の対向内面に沿って下降移動する。そうすると、各フィリップコア23,24は、センターコア22のテーパ状両側面22a、22aによって互いに拡径方向へ移動し、センターコア22と共同して第2凹部03を成形する中子を構成する。
【0067】
続いて、前述と同じように、金型のキャビティ内に溶融金属が注入されて鋳造品01が成形される。
【0068】
次に、型開きを行う場合は、特に上型2では、まず、センターコア22が、図9に示す下降位置から油圧シリンダ30によって上昇移動すると、各フィリップコア23,24は、第2ばね部材34,35のばね力によって下方向へ付勢されていることから、センターコア22とは追随して上昇することなく、スライド機構を介して互いに縮径方向へ移動する。
【0069】
その後、図10に示すように、上型2全体が上昇すると共に、下型1が下降移動などして第1実施形態と同様な動作によって型開き作業が完了し、続いて鋳造品01の取り出しが行われる。
【0070】
したがって、この実施形態も第1の実施形態と同様な作用効果が得られることは勿論のこと、特に、センターコア22を油圧シリンダ30によって上下方向へ強制的に駆動させたため、各フィリップコア23,24との位置決めを確実にすることが可能になり、この結果、鋳造品01に対する金型のかじりの発生を防止できる。
【0071】
また、前記各フィリップコア23,24は、第2ばね部材34,35によって常時下方向へ付勢、つまり強制的に下方へ付勢されていることから、前述の型締め作業能率が向上すると共に、該型締め時におけるセンターコア22のテーパ状両側面22a、22aとの密着性が良好になる。これにより、鋳造品01のパーティングラインの発生が防止できると共に、バリの発生も効果的に防止できる。
【0072】
さらに、前記各フィリップコア23,24の上面とアダプター19の下面との間に微小隙間Cを形成したことにより、各フィリップコア23,24に僅かにガタを持たせることができるので、前記型締め時に、前記第2ばね部材34,35の付勢力によって各フィリップコア23,24を下降移動させる際に、該フィリップコア23,24が傾いてもセンターコア22に対する片当たりなどの発生を防止でき、スムーズな下降移動を確保できる。したがって、型締め作業性がさらに向上する。
【0073】
本発明は、前記各実施の形態の構成に限定されるものではなく、例えば、鋳造品01の凹部02,03の形状、つまりアンダーカット部などの形状に応じて各センターコア7、22やフィリップコア8,9、23,24などの外形を任意に変更することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る鋳造金型装置を示す縦断面図である。
【図2】本実施形態における型開き時の作用を説明する装置の縦断面図である。
【図3】本実施形態の鋳造金型装置の分解斜視図である。
【図4】同じく鋳造金型装置の型締め時の作用を示す斜視図である。
【図5】同じく鋳造金型装置の型締め時の作用を示す斜視図である。
【図6】同じく鋳造金型装置の型締め時の作用を示す斜視図である。
【図7】本実施形態に供される上型の分解斜視図である。
【図8】本実施形態の鋳造金型装置で成形された鋳造品を一部切り欠いた斜視図である。
【図9】本発明の第2の実施形態にかかる鋳造金型装置の縦断面図である。
【図10】本実施形態の型開き状態を示す装置の縦断面図である。
【図11】本実施形態に供される上型の分解斜視図である。
【符号の説明】
【0075】
01…鋳造品
02・03…凹部
02a…アンダーカット部
1…下型
2…上型
3…ベース部材
4・5…母型
6…センターコアホルダー
7…下側センターコア
7a・7b…両側面
8・9…下側フィリップコア
10・11…サイドコア
12・13…第1ばね部材
14・15…スライド溝
16・17…スライドキー
19…アダプター
20…トップコア
22…上側センターコア
22a…両側面
23・24…上側フィリップコア
【出願人】 【識別番号】000005108
【氏名又は名称】株式会社日立製作所
【出願日】 平成18年9月5日(2006.9.5)
【代理人】 【識別番号】100096459
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 剛

【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通

【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔


【公開番号】 特開2008−62244(P2008−62244A)
【公開日】 平成20年3月21日(2008.3.21)
【出願番号】 特願2006−239697(P2006−239697)