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【発明の名称】 鋳型材料又は鋳型部品、及びその製造方法
【発明者】 【氏名】ゲラック ラルフ−ヨーアヒム

【要約】 【課題】

【構成】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1〜10%のアルカリ珪酸塩からなる粘結剤と、1〜10重量%の非晶質二酸化珪素を含有する凝集体と、残部としての0.01〜5mmの粒径を有する珪砂とを含む鋳造用鋳型材料又は鋳型部品であって、
前記非晶質二酸化珪素が球状で、45μm以上の直径を有する粒子の割合が1.5重量%以下であり、
前記非晶質二酸化珪素の表面に平均粒径の0.5〜1%の厚みを有する膨潤相が形成されていることを特徴とする鋳型材料又は鋳型部品。
【請求項2】
前記非晶質二酸化珪素の平均粒径が10〜45μmであることを特徴とする請求項1に記載の鋳型材料又は鋳型部品。
【請求項3】
前記非晶質二酸化珪素が85%を超える純度を有することを特徴とする請求項1又は2に記載の鋳型材料又は鋳型部品。
【請求項4】
アルカリ性に設定された前記二酸化珪素が負に帯電した酸素基を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の鋳型材料又は鋳型部品。
【請求項5】
アルカリ性に設定された前記二酸化珪素と前記珪砂との間に、粘結中心部を介して粘結剤架橋が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の鋳型材料又は鋳型部品。
【請求項6】
前記粘結剤が0.01〜0.50%の鉄、アルミニウム及び/又はカドミウム含有量を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の鋳型材料又は鋳型部品。
【請求項7】
前記請求項1〜6のいずれかに記載の鋳造用鋳型材料又は鋳型部品の製造方法であって、
前記凝集体として、45μmを超える粒径を有する粒子の割合が1.5重量%以下である部分的に溶解した非晶質球状SiOを、二酸化珪素の固形分が20〜70%であり、pHが9〜14となるように懸濁液に投入し、
膨潤相が前記二酸化珪素の表面で形成されるまで、前記非晶質二酸化珪素に対してアルカリ処理を少なくとも4分間行い、
前記二酸化珪素を、鋳型砂に対する粘結剤/SiOの混合割合が1〜10:90となるように鋳型砂及び粘結剤と均一に混合し、前記二酸化珪素を前記鋳型砂及び前記粘結剤と共に圧力下で鋳型枠に吹き込み、乾燥して中子を形成することを特徴とする鋳型材料又は鋳型部品の製造方法。
【請求項8】
前記凝集体として、45μm以上の粒径を有する粒子の割合が1.5重量%以下である部分的に溶解した非晶質球状SiOを、二酸化珪素の固形分が20〜70%であり、pHが9〜14となるように懸濁液に投入することを特徴とする請求項8に記載の鋳型材料又は鋳型部品の製造方法。
【請求項9】
前記非晶質二酸化珪素の表面を部分的に溶解し、前記二酸化珪素の平均粒径を2%増加させると共に膨潤相を形成することを特徴とする請求項7又は8に記載の鋳型材料又は鋳型部品の製造方法。
【請求項10】
前記膨潤相を形成する処理を9〜14のpHで開始し、10分間以内に終了することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の鋳型材料又は鋳型部品の製造方法。
【請求項11】
前記9〜14のpHを1分間当たり0.1pH以下で低下させることを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の鋳型材料又は鋳型部品の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、1〜10%のアルカリ珪酸塩からなる粘結剤と、1〜10重量%の非晶質二酸化珪素を含有する凝集体と、残部としての0.01〜5mmの粒径を有する珪砂とを含有する鋳造用鋳型材料又は鋳型部品、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
上記の鋳型材料はドイツ特許出願公開第10 2004 042 535号から公知であり、非晶質二酸化珪素を使用しない水ガラス粘結剤と比較して曲げ強さに実質的に影響を与えることなく、向上したグリーン強度と耐湿性を有する鋳型部品を製造することができる鋳型材料が開示されている。
【0003】
中子造型機の鋳型に充填する際に鋳型材料の流動抵抗が高いと流動条件が不規則となり、鋳型材料の流速と剪断力が変化する。不規則な流動は鋳型部品(特に微細な部分を有する形材)の品質及び鋳型部品の表面に悪影響を与える。また、不規則な流動によって鋳型部品の密度が不均一となる場合がある。密度が不均一になると、鋳型部品の不利な圧密挙動が生じると共に、鋳型部品が部分的に多孔性となったり、不均一な熱伝導挙動が生じる。
【0004】
ドイツ特許出願公開第10 2004 042 535号は、グラファイト又はMoS等の層状添加剤を添加することによって混合物の流動特性を調整することを開示している。しかし、特に層状添加剤は乾燥時に隣接する鋳型材料粒子と共に平坦な側面に沿って局所的に粘結剤架橋を形成するため、不規則な架橋が生じる可能性が高まる。層状添加剤の側面と隣接する鋳型材料粒子との間の粘結剤架橋は、鋳型材料粒子間で直接形成される粘結剤架橋と比較して数、大きさ、安定性に関して予測できない変動が生じ得る。層状添加剤による鋳型材料粒子の局所的な架橋によって、局所的に制御することができない状態で鋳型部品の特性が変化する。高い架橋度を有する鋳型材料粒子群が不均一に分布すると、鋳造時の乾燥鋳型の均一な挙動は保証されなくなる。層状添加剤によって生じる鋳型材料粒子群は、粒子群の複数の粒子を架橋する強い粘結剤架橋を形成し、鋳型部品が不良品となるような鋳造誤差が生じ得る。
【0005】
一方、鋳型材料内の層状添加剤は、その幾何学的形状によって流動性を向上させるために必要な滑り表面となる。層状添加剤を使用する場合には、最新技術によれば、鋳型材料の組成と処理を製造する鋳型部品(例えば砂中子)の特性に複雑な試験によって調整しなければならない。
【0006】
鋳造に必要な砂中子は中子造型機で製造され、中子砂、粘結剤、混和材を含有する鋳型材料は、限られた量の圧縮空気の急激な膨張によって中子取り内で高速に吹き込まれる。
【0007】
できる限り短いサイクル時間とプラントの費用対効果に優れた操業を達成するために、中子砂の吹込速度を絶え間なく上昇させている。
【0008】
この場合、材料の輸送及び中子取り内の鋳型材料の高密度化に関連して問題が生じる。高い吹込速度では、小さな寸法を有する形状の複雑な中子鋳型に完全又は均一に鋳型材料を充填することができない。
【0009】
この問題を解決するために、最新技術に係る方法は、後工程での高密度化、多段階吹込法又は中子取り内でゆっくりと硬化する部分的に液体の反応性鋳型材料などの手段を開示している。そのような手段は複雑な装置及び/又は長いサイクル時間を必要とし、中子、鋳型又は鋳型部品の迅速かつ費用対効果に優れた製造に悪影響を与える。また、反応性鋳型材料による架橋は制御が困難である。均一な架橋反応を達成するためには、鋳型材料は均一な層厚で均一に反応させなければならない。しかし、鋳型部品は空間特性において鋳造時に局所的に熱分布が変化するように設計される。反応熱と反応時に放出される水又はCO等の反応生成物は反応に影響を及ぼす。そのため、鋳型部品の厚みが異なる領域では鋳型材料粒子の著しい架橋が生じ、鋳造時の鋳型部品の特性に影響を与える。反応性鋳型材料を使用する場合には、鋳型部品が鋳造のために十分に均一な特性を有するように、複雑な鋳造品には複雑で正確に制御された製造工程が必要となる。
【0010】
架橋は、得られる強度特性だけではなく、崩壊挙動にとっても重要である。一方、鋳型材料又は鋳型部品は最短時間で高いグリーン強度を達成することが求められる。また、製造される中子は、寸法安定性を失うことなく鋳造作業時に高い熱負荷に耐えることができなければならない。鋳造作業の完了後には、中子の枠組みは良好な崩壊特性を有していなければならない。すなわち、簡単な手段によって元の成分に分解することができなければならない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の目的は、費用対効果に優れた方法によって高品質の砂中子を製造することができ、鋳型材料粒子を均一に高密度化することができる鋳型材料又は鋳型部品及びその製造方法を提供することにある。また、鋳型の耐用寿命を伸ばしながら最新の鋳造法を行うことができるように製造する鋳型部品の熱負荷耐性を向上させると共に、鋳型と中子を機械的手段によって容易に破壊し、出発成分に戻すことを可能とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明においては、1〜10重量%の部分的に溶解した非晶質球状SiOを使用することが重要であり、45μm以上の直径、好ましくは45μmを超える直径を有する粒子が、珪砂とアルカリ珪酸塩からなる粘結剤の混合物に1.5重量%以下の割合で含まれる。二酸化珪素の表面には、平均粒径の0.5〜1%の厚みを有する膨潤相が形成されている。
【0013】
本発明において、「部分的に溶解」とは、pHが9〜14の懸濁液内の85%を超える純度を有する非晶質SiO上に膨潤相が形成されていることを意味する。膨潤相は、非晶質SiOの連結された硅酸塩基の空間的ネットワークを形成しながら非晶質SiO上に層状に形成される。硅酸塩基の間の空洞はアルカリ性液体によって満たされ、酸素架橋がアルカリ性液体の2OHイオンによって破壊され、HO分子が生成され、2つの負に帯電した−O基で置換され、ネットワークの空洞が大きくなる。膨潤相の空洞を大きくすることにより、局所的に範囲が定められた粘着アイランド(adhesion island)が形成される。部分溶解時に乾燥SiOの平均粒径を増加させることによって粒径が2%増加する。部分的に溶解した状態では、非晶質球状SiOは安定構造を有するゲル層としての膨潤相を含む。本発明では、そのような膨潤相を有する非晶質SiOをアルカリ性であるともいう。
【0014】
45μmを超える粒径を有する非晶質SiOの割合が1.5重量%を超えると、流動性能が変動し、必要なグリーン強度を達成するために長い乾燥時間を必要とする鋳型材料が得られる。大きな粒径を有する球状SiOが増加すると、重量百分率当たりの球状SiOの総数と粒子により得られる表面の大きさが減少する。また、直径が増加すると、粒子の単位長さ当たりの曲率角(angle of curvature)が減少する。大きな粒子が重なって配置されると、減少した曲率角によって強固な凝着と強い凝集を生じさせる大きな接触面が形成される。各粒子の不均一な分布と不規則な架橋は、凝集塊と球状SiOの総数の減少によって生じるものと考えられる。
【0015】
10〜45μmの平均粒径の球状粒子である非晶質SiOの割合が1〜10%の場合、45μmを超える粒径を有する粒子の割合が1.5%未満となり、常に高い流動性能と均一な乾燥時間で鋳型と鋳型部品を製造することができる。球状SiO粒子は珪砂粒子間で摺動媒介物として均一に分布し、珪砂粒子を相互に分離し、珪砂粒子の連結による遮断効果を防止する。表面上の安定した膨潤相によって摺動が生じ、流動工程時に珪砂粒子同士の高い移動性がもたらされる。
【0016】
SiOの純度が85%未満であれば、部分溶解時の球状SiOの化学的挙動が不純物によって局所的に変化し、粒径の増加に大きな変動が生じる。これは不安定で不均一な膨潤層によるものであると考えられる。85%未満の純度を有する非晶質SiOを使用して製造した鋳型部品は、鋳造後に鋳型材料粒子が金属に密着する傾向が大きく変動する。SiOの純度が85%を超えると、製造する鋳型部品の鋳型材料粒子は鋳造後に金属に付着する傾向が低くなる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、部分的に溶解した球状SiOは1〜10重量%の量で鋳型材料に添加する。本発明者らは、球状SiO粒子を取り囲む膨潤相が、隣接する珪砂粒子と比較して明らかに低い密着性と滑り摩擦を示すと推測している。低い密着性と滑り摩擦により、球状SiO粒子として使用される非晶質SiOが、流動工程時に互いに隣接する鋳型材料粒子を分離し、鋳型材料粒子は膨潤相によって低い滑り抵抗を有する球状SiOの球面上を摺動する。流動工程では、特に有利な滑り摩擦特性を有する非晶質SiO上の永久的で摩擦安定したゲル層によって流動性が向上するものと考えられる。接触点では、SiO粒子と鋳型材料粒子は安定した膨潤相によって互いに分離され、粒子表面の滑り摩擦は膨潤相によって決定される。
【0018】
本発明の鋳型材料は、珪砂と水性アルカリ珪酸塩粘結剤を含有する鋳型材料を乾燥する装置及び方法に、さらなる設計手段を取り入れることなく有利に使用することができる。同様に、部分的に溶解したSiOは乾燥工程時に水のみを放出し、別の化学的工程又は反応生成物を必要とする手段を必要とすることなく単純な反応工程を使用することができる。
【0019】
非晶質球状SiOの割合が10重量%を超えると、水を完全に除去するために長い乾燥時間が必要となる。鋳型部品におけるSiO粒子の割合が増加すると、隣接するSiO粒子が多数の接合接触点を形成する。接合接触点の領域では、表面上の膨潤相の隣接する空間的な水を含むネットワークの大きな領域が形成される。本発明者らは、水を含むネットワークの大きな領域の数が増加するために長い乾燥時間が必要になると考えている。非晶質球状SiOの割合が1〜10重量%であれば、一定の乾燥時間後に良好な再現性で必要なグリーン強度を有する鋳型材料が得られる。
【0020】
部分的に溶解した非晶質球状SiOは、高い流動性能に加えて、鋳型材料から製造した鋳型部品の強度における向上を示し、SiOの表面はアルカリ性である。本発明者らは、乾燥工程時に非晶質SiOの表面に形成される膨潤相によって、隣接する珪砂粒子の各接触点における粘結架橋を形成するためのアイランド状の粘結中心部の数が増加すると推測している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
さらなる有利な効果を以下の実施形態を参照して説明する。以下の実施形態は本発明について説明するためのものであり、それらの特徴の組み合わせによって本発明が限定されるものではない。それらの特徴は、本発明の範囲内において単独又は組み合わせて使用することができる。
【0022】
鋳型材料は、以下の出発材料を使用して各種混合物として使用した。平均粒径:0.32mmのH32洗浄珪砂;0.01〜0.5%の鉄、カドミウム及び/又はアルミニウム含有量を有するアルカリ珪酸塩からなる無機粘結剤;45μmを超える粒子の割合が1.5%以下であり、85%を超える純度を有する非晶質球状SiO
【0023】
平均粒径は、散乱光原理による粒度計内で、赤色光ダイオードレーザによって、磁気攪拌機を備えた15ml直立セル内でMultiplen検出器を使用して測定した。粒径分析は、DIN/ISO 13320に従ってレーザ回折法によって行った。測定する粒子は適当な分散剤と共に懸濁液に投入した。粒径を測定する際には、均質化した懸濁液0.1mlを蒸留水を入れた測定セル内に投入し、粒径を1分間以内に測定した。使用した非晶質SiOは30〜45μmの平均粒径を有していた。
【0024】
安定した膨潤相を測定する際には、懸濁液内の球状SiOを測定セルに導入し、さらなる変化が見られなくなるまで粒径を30秒間隔で測定した。
【実施例】
【0025】
実施例1
鋳型部品の熱負荷耐性
【0026】
2種類の混合物をブレードミキサー内で3分間以内で調製し、次に中子造形機に吹き込み、各4つの中子を形成した。成分の均一な混合物を迅速に得るために、粘結剤の一部を使用して予め調製した非晶質SiOの懸濁液を使用した。懸濁液は9.2のpHを有し、上述したようにミキサー内でその他の成分と混合した。吹込圧力は5バールとし、吹込時間は1秒間とし、真空度は0.9バールとした。中子は、中子造形機の中子取り内において180℃で30分間予め硬化させ、グリーン圧粉体として取り出し、1000ワットで3分間高周波乾燥炉で乾燥し、最後に秤量した。これらの中子は、185.4mm×22.7mm×22.7mmの縦長の屈曲可能ボルトを鋳造するための中子である。鋳造には、鋳造杓内において1275℃±25℃の平均温度の灰色鉄溶融物(grey iron melt)を使用した。鋳造したボルトは3日間の冷却時間後に中子から取り除いた。次に、各4本のボルトについて屈曲特性の試験を行った。
【0027】
鋳造品の屈曲特性は、鋳造作業時の中子への熱負荷及び流入金属によって発生する浮力によって生じる。屈曲特性は中子材料の温度耐性と寸法精度の尺度である。屈曲率は、ボルトの中心において測定装置を横切るように位置合わせしたボルトについて、水平線からの外側エッジの平均偏差として測定した。鋳型材料と測定値を表1に示す。
【0028】
【表1】


【0029】
表1にみられるように、本発明に従って製造した中子は、平均して鋳造作業時に低い屈曲傾向を示すことが確認された。
【0030】
低い屈曲率は、鋳型部品が熱負荷の下で生じる変形応力を収容することができる向上した構造を有することを示している。変形応力は、流入金属の高温によって引き起こされる脱水と焼結によって生じる。本発明者らは、乾燥工程時に均一に分布した球状SiOが表面膨潤相によって隣接する砂粒子と複数の粘結剤架橋を形成すると推測している。粒子を接続する多数の小さな粘結剤架橋により、鋳型材料粒子が粘結剤架橋を介して均一に連結される結果として変形応力が鋳型部品の大部分に分散され、弾性的に補償される。
【0031】
均一な連結は、本発明に従って製造された鋳型部品の高い熱負荷耐性を説明するものである。
【0032】
実施例2
鋳型部品の密度
【0033】
実施例1で説明したように、2種類の混合物を鋳造して中子を形成した。各混合物を使用して同一の体積を有する4つの同一な棒形状の中子を製造した。混合物と重量を表2に示す。
【0034】
【表2】


【0035】
本発明の中子は平均して大きな重量を有する。同じ体積の部材では、重いほど密度が高い。各中子の重量の平均値からの僅かな偏差は、シリコーン油を含有する鋳型材料混合物に対する高い流動・高密度化挙動によって説明される。
【0036】
流動化剤を添加したにもかかわらず、参考混合物を使用した中子は低い平均質量を有する。また、各中子の重量の平均値からの偏差も大きくなっている。
【0037】
達成された密度は、鋳型に吹き込む際の成形材料混合物のより均一かつ向上した流動性能を示している。表面に膨潤相を有する球状SiOによって、成形材料粒子は互いに容易に摺動することができる。膨潤相によって、鋳型砂粒子は球状SiO上の小さな表面接触点を容易に摺動することができる。このことは、流動工程時に成形材料混合物において珪砂粒子の連結による遮断が起こり難いことを説明するものである。各砂粒子は隣接する成形材料粒子に対して改善された移動性を有し、吹込作業を高い圧力で行う場合に生じるような高い剪断力においても、成形材料混合物は均一で改善された流動性能を有する。
【0038】
以下に説明するように、中子のグリーン強度と曲げ強度は重量測定の結果を反映している。本発明の中子では、変形までの点荷重下で測定したグリーン強度と曲げ強度の変動は明らかに減少している。
【0039】
本発明に係る混合物によって、低い粘結剤含有量で製造した中子の一定かつ高い密度を達成することが可能となる。
【0040】
実施例3
鋳型部品の曲げ強度
【0041】
添加したSiOの中子の曲げ強度への影響を調べるために、大量の粘結剤内の非晶質球状SiOの懸濁液を調製した。次に、その他の成分を含む合計で4つのバッチを実施例1と同様の条件で処理し、各4つの中子を得た。また、実施例2で説明したように参考混合物を調製し、4つの中子を形成した。
【0042】
SiOを添加した中子は、実施例1のように高い密度を示した。乾燥した中子を3点曲げ装置に配置し、中子が破断する力を測定した。以下の表では、中子が破断する力を「破断力」と示している。SiOを添加した中子は、中子バッチから中子バッチへと増加する曲げ強度を示した。この現象は、順次添加したSiO粘結剤懸濁液のpHに関連付けられた。最大曲げ強度は調製した懸濁液のpHが一定の際に得られた。懸濁液を添加した際に測定したpH、懸濁液のおおよその保持時間、各4つの中子の平均曲げ強度を表3に示す。
【0043】
【表3】


【0044】
表3にみられるように、部分的に溶解した非晶質球状SiOを鋳型材料混合物に添加することによって、鋳型材料混合物を使用して製造した中子の曲げ強度が向上するのが認められる。
【0045】
また、SiO懸濁液のpHの影響が明らかになった。まず、膨潤相の形成時にOHイオンが使用されることによってアルカリ懸濁液のpHが低下する。4分間後、pHは0.6減少する。その後、pHはわずかだけ変化する。発明者の説明モデルによれば、約4分間後に、非晶質SiOの表面は完全に部分的に溶解し、膨潤相によって取り囲まれるとみなすことができる。アルカリ性の非晶質SiOでは、製造した中子の曲げ強度は明らかに向上している。
【0046】
非晶質球状SiOのアルカリ懸濁液のpH安定性に関する試験を以下に説明するように行った。
【0047】
上述した純度と粒径特性を有する非晶質球状SiOを、9〜14のpHを有するアルカリ珪酸塩懸濁液及び/又は水酸化ナトリウム溶液に懸濁させた。懸濁液のSiO含有量は10〜80重量%、好ましくは20〜79重量%とした。アルカリ懸濁液のpHは30秒間隔で測定した。試験の開始時に、懸濁液は上述した急速なpHの低下を示した。4分間を超えると、1分間当たりのpHの最大変化は約0.1であり、安定していた。10分間の最大保持時間後に、アルカリ性非晶質SiOの懸濁液は数時間にわたってそれ以上のpHの変化を示さなかった。
【0048】
実施例2で述べた高い流動性に加えて、安定したpHを有するアルカリ性SiO懸濁液では、実施例3の表3に示すように、製造した中子の曲げ強度が向上している。
【0049】
pHが14のバッチのアルカリ濃度よりも高いアルカリ濃度では、SiO粒子のコア直径はゆっくりと確実に減少した。これは、アルカリの化学量論濃度を超えたことによりSiO粒子の溶解が遅くなったためと考えられる。このように製造した鋳型材料混合物では、高い流動性能も製造した鋳型の良好な曲げ強度も得られなかった。これは溶解したSiO表面のモフォロジの違いによるものと考えられる。
【0050】
pHが9未満の場合には、全ての懸濁液で、最初の4分間以内に1〜2%の膨張率の膨潤相を形成することはできなかった。膨張率が1%未満の場合には、懸濁液の流動性能の向上は変動し、安定した膨潤相によって達成された流動性能は達成されなかった。1〜2%の平均粒径の増加によって特徴付けられる膨潤相は、上述した高い流動性能を示した。その後の試験では、最初の4分間で安定したpHを達成し、乾燥SiOの平均粒径を1〜2%増加させる膨潤相を形成するために、懸濁液のpHは少なくとも9に設定した。
【0051】
さらなる試験では、砂粒子の平均粒径と非晶質SiOの平均粒径が同一の混合物を使用して有利に改良された鋳型部品が得られた。例えば、0.01mm(10μmに対応)の粒径を有する分級珪砂と、1〜10%の10〜45μmの平均粒径を有する非晶質球状SiOを含む鋳型材料混合物を調製した。同じ攪拌速度では、そのような鋳型材料混合物はより短い時間で均一な混合物となり、鋳型部品の製造時には、低い吹込圧力であっても、高い密度、均一性、形状精度を有する鋳型部品が得られた。
【0052】
実施例2の結果は、表面が活性化された非晶質SiO上の連続し、安定したアルカリ性膨潤相が、粘結中心部を介した粘結剤架橋の形成に寄与することを支持している。そのようなアルカリ性SiOの表面は負に帯電した酸素基によって特徴付けられると推測することができる。
【0053】
より具体的には、鋳型材料混合物の各成分を大きな容器内で数日間保存するプラントでは、乾燥した非晶質球状SiOをアルカリ性粘結剤と混合することによってアルカリ性SiO懸濁液を有利に製造することができる。使用する直前に懸濁液を製造することにより、非晶質SiOは新たな状態かつ均一な品質でアルカリ性に設定される。アルカリ性に設定したSiOの割合を砂の量に対して1〜10重量%とすることにより、試験では、高い流動性能を有し、鋳型部品の高い曲げ強度をもたらす鋳型材料混合物を得ることができた。
【0054】
燐酸及び/又は硼酸からなる添加剤を含有する鋳型材料混合物は不利であることが分かった。無機粘結剤を改良するために使用されるそのような添加剤は、鋳型材料混合物のpHを低下させ、混合物の流動性能に悪影響を与える。酸添加剤を含有するアルカリ珪酸塩からなる粘結剤は塩を形成しやすいことが分かった。上述した添加剤を含有せず、アルカリ珪酸塩のみからなる粘結剤を混合物全体の1〜10%の量で使用すると、本発明による効果が確実に得られた。
【0055】
また、珪酸塩構造に結合することができる金属酸化物などの僅かに塩基性の物質によって乾燥時間を短縮することができることが分かった。純粋なアルカリ珪酸塩粘結剤と比較すると、0.01〜0.50%の鉄、アルミニウム及び/又はカドミウム含有量を有するアルカリ珪酸塩からなる粘結剤によって、鋳型部品を製造する際に乾燥時間を5%減少できることが分かった。
【0056】
本発明の混合物により、高い強度を有する中子が得られる。
【0057】
実施例4
鋳造時の特性
【0058】
本発明の鋳型材料が鋳造時に粘着性架橋を形成する傾向に関する試験を行うために、実施例2で説明したように2種類の混合物を調製し、各4つの中子を形成した。中子は、H形の断面を有するボルトを鋳造するように設計した。このようにして、鋳造時に粘着性架橋が形成される表面を増加させた。上述したように、鋳造杓内において1275℃±25℃の平均温度の灰色鉄溶融物を使用し、3日間の冷却時間後に中子から鋳造したボルトを取り除いた。最初にハンマーによってボルトに振動を与え、必要に応じてマンドレルで付着した中子部分を除去し、洗浄し、強固な付着と差込みについて試験を行った。
【0059】
鋳型材料混合物と付着の評価を表4に示す。
【0060】
【表4】


【0061】
表4に示すように、鋳造後、本発明の中子はハンマーで数回たたくことによって容易に除去することができた。露出させたボルトには砂が付着しており、超音波槽内で除去した。
【0062】
参考中子は、ハンマーでたたくと部分的にのみボルトから除去することができた。マンドレルによってボルトを露出させた後、ボルトを超音波槽内で洗浄し、その後試験に供した。ボルトには砂が強固に付着しており、マンドレルによって砂を除去した。また、差込みが見られ、付着した砂は高い力を加えても部分的にしか除去することができず、その結果ボルトの表面が破損した。
【0063】
上記比較によって、本発明の鋳型材料混合物は鋳造後に容易かつ迅速に除去することができることが分かった。本発明の鋳型材料で製造した中子によって、容易に除去することができるわずかな砂の付着を示す鋳造品を製造することができた。参考鋳造品で発生したような差込みは見られなかった。
【0064】
実施例5
鋳型部品の崩壊
【0065】
本発明の鋳型材料混合物の鋳型部品の崩壊特性に関する試験を行うために、実施例2で説明したように2種類の混合物を調製し、各4つの中子を形成した。鋳造作業後、中子の崩壊特性について試験を行った。上述したように、鋳造杓内の灰色鉄溶融物を使用し、3日間の冷却時間後に鋳造したボルトを有する鋳型部品を試験に供した。鋳型部品は、振動生成装置に接続された鋳造品をオーバーヘッド位置に位置合わせした後に試験を行った。振動生成装置により、最大1.4kWのパルスピークを有する30Hzの振動を鋳造品に与えた。鋳型部品の90%及び99%が鋳造品から落下する時間を測定した。
【0066】
鋳型材料混合物と崩壊特性を表5に示す。
【0067】
【表5】


【0068】
表5に示すように、鋳造作業後、本発明の混合物の鋳型部品は明らかにより短い時間で鋳造品から除去することができた。本発明の混合物の鋳型部品は、急速に広がる小さなセル割れパターンを示し、その後短時間で鋳型部品を小さな部分に均一に剥離することができた。鋳造品の表面に付着した砂は、超音波槽内又は布で除去した。
【0069】
参考混合物の崩壊挙動は長い剥離時間を示し、鋳型部品に不規則な割れが発生すると共に異なる大きさの部分への不規則な剥離が発生した。また、鋳型部品の99重量%が剥離された後、表面は強固に付着した砂粒子で覆われており、本発明の混合物とは対照的に、自然に又は超音波槽内で完全に除去することができなかった。
【0070】
本発明者らは、優れた崩壊挙動は、砂粒子と非晶質SiOとの間に均一に形成され、連結された粘結剤架橋によるものと考えている。均一に分布する多数の粘結剤架橋によって鋳型部品の強度とねばり性が上昇し、局所及び各粘結剤架橋は急激なパルスの影響により小さな力で壊すことができた。そのため、架橋の連結はより均一であり、参考混合物の場合よりも著しいものではなかった。多数の粘結剤架橋と各架橋の低い荷重耐性により、高い強度と有利な崩壊挙動の有利な組み合わせが得られた。
【0071】
鋳造作業後に中子を除去した後、本発明の鋳型部品は迅速で均一な崩壊挙動を示した。
【0072】
本発明の鋳型材料混合物によって、鋳造時に熱負荷の下でより均一な補償効果を有する鋳型部品を製造することができる。鋳造品は、部分的に溶解した非晶質SiOによって形成された粘結剤架橋による鋳型材料粒子の均一な連結によるものと考えられる高い形状精度によって特徴付けられる。
【0073】
本発明に従って調製した鋳型材料混合物の高密度化挙動は特に有利であった。優れた流動性能と非常に均一な充填密度を達成することができた。
【0074】
表3は強度値の僅かな変動を示しており、本発明に従って製造した鋳型部品の高い均一性を表している。
【0075】
崩壊挙動に関しては、鋳造後の鋳型部品は均一で向上した割れの発生と明らかに短い中子除去時間によって特徴付けられる。
【0076】
SiO粒子上に形成された膨潤相により、均一な充填密度に関連して、中子を使用して製造したボルト部分の高い曲げ強度が得られる。膨潤層は、純粋な粘結剤架橋で強化されたSiOを含有する鋳型材料混合物と比較して非常に低い連結度を示す。低い連結度によって、小さく、局所的に区切られた粘着アイランド(モジュールブロック粘着性)が得られ、中子の使用後に崩壊(微小破壊)が促進される。そのため、本発明の鋳型材料と鋳型部品の崩壊挙動は非常に有利である。追加手段は全く必要なかった。

【出願人】 【識別番号】507253004
【氏名又は名称】ミネルコ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Minelco GmbH
【住所又は居所原語表記】Ruettenscheider Strasse 14 45128 Essen Germany
【出願日】 平成19年7月26日(2007.7.26)
【代理人】 【識別番号】100071663
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 保夫

【識別番号】100098682
【弁理士】
【氏名又は名称】赤塚 賢次


【公開番号】 特開2008−36712(P2008−36712A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2007−194165(P2007−194165)