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【発明の名称】 ウイリアムスコア形成用部品及び鋳型製作用模型
【発明者】 【氏名】栗屋 一光

【要約】 【課題】

【構成】ウイリアムスコア形成用部品1は、鋳型15に形成されるウイリアムスコア5の形状をかたどった凹部2と、凹部2の先端部分に形成されるエアー抜き用のベンドホール3と、ウイリアムスコア形成用部品1の外表面に形成される固定手段4であって鋳型製作用模型6に着脱自在に固定するための固定手段4とを備える。鋳型製作用模型6は、鋳物空隙形成部22と、メクラ押湯形成部23とを備え、ウイリアムスコア形成用部品1を埋設するための埋設孔14が形成されている。ウイリアムスコア形成用部品1は、鋳型製作用模型16の埋設孔14に着脱自在であるため、取替使用ができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳型にウイリアムスコアを形成するためのウイリアムスコア形成用部品であって、
前記ウイリアムスコアの形状をかたどった凹部と、
前記凹部の先端部分に形成されるエアー抜き用のベンドホールと、
当該ウイリアムスコア形成用部品の外表面に形成され、かつ、鋳型製作用模型に着脱自在に固定するための固定手段と、
を備えたことを特徴とするウイリアムスコア形成用部品。
【請求項2】
前記固定手段は、ねじ山であることを特徴とする請求項1に記載のウイリアムスコア形成用部品。
【請求項3】
前記ウイリアムスコア形成用部品の取り付け取り外しに用いられる溝を備えたことを特徴とする請求項1又は2に記載のウイリアムスコア形成用部品。
【請求項4】
鋳物本体を鋳造するための部分と、
メクラ押湯を形成するための部分とを備えた鋳型製作用模型であって、
請求項1から3のいずれかに記載のウイリアムスコア形成用部品を埋設するための埋設孔が形成されていることを特徴とする鋳型製作用模型。
【請求項5】
前記埋設孔の内周面にねじ山を刻んだことを特徴とする請求項4に記載の鋳型製作用模型。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイリアムスコア形成用部品及び鋳型製作用模型に関し、更に詳しくは、鋳型にウイリアムスコアを形成するための技術及び品質の良い鋳造品を製造するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
「鋳型」とは、溶湯(溶融金属・合金)を注入し、凝固させ、所要の構造物(鋳物)が得られるような空隙のある型である。鋳型の種類としては、砂型、金型、石膏型、セメント型、シェルモールド型等が知られているが、本願で対象とする鋳造には、一般に、砂型、シェルモールド型が用いられる。
図4に、鋳型51の断面図を模式的に示す。同図に示す鋳型51には、鋳物本体を鋳造する空隙52(鋳型空隙52)の他に、溶湯の通路となる湯口,湯道(湯口系53)や、凝固収縮を補う押湯54、その押湯による効果を増大させるためのウイリアムスコア55、汚塵等を除去する揚がり、ガス抜き用の空隙が形成される。なお、鋳型51は、通常、上型と下型とが別個に製作され、これらを重ね合わせて使用される(図4においては、つなぎ目を点線で示した)。
【0003】
これらのうち、「押湯」とは、一般に「鋳物本体を鋳造する空隙」以外の空隙であり、体積収縮を補う量の溶湯を供給するための空隙である。溶融金属は冷却・凝固時に一般に体積収縮を生じる。そのため、溶融金属は、注湯後の温度低下に伴い、その溶湯面が低下する。すると、溶融金属の冷却中に、そこに、凹み(引け)が発生し、鋳物内部にも空洞(引け巣)が発生することがある。これを防止するために押湯を設ける。図4に示す押湯54は、鋳型51内に設けられ大気に直接接しないため(メクラ押湯)、比較的冷却速度が遅く、大気に開放されている押湯(開放押湯)に比べると少量で押湯効果が得られる特長がある。なお、押湯部分に凝固した金属・合金は、離型後鋳物と一体になっているが、製品とはならない部分であるため、最終的には切り落とされる。
【0004】
また、「ウイリアムスコア」とは、押湯54のようなメクラ押湯を形成する鋳型壁面に形成される細い円錐状の突起である。ウイリアムスコアを形成する理由は、溶湯の熱がその細い円錐状の突起に集まるために、その周りの溶湯の凝固を遅らせ、押湯を設けた効果を増大させることができるからである(溶融金属の凝固が遅れると、金属が溶融状態のままであるため、その部分に鋳造時の圧力を作用させ得る)。従って、メクラ押湯が形成された鋳型にウイリアムスコアを形成することは重要であり、これに関する多くの出願がなされている(特許文献1等)。
【0005】
図5に示したように、一般的に、鋳型51及び鋳物の製造方法は次の通りである。
(1)鋳型製作用模型61の製作
同図(a)に示すように、鋳物と同じ形の鋳型製作用模型61、具体的には、「鋳物本体を鋳造するための部分」としての鋳物空隙形成部62と、湯口系と、「押湯を形成するための部分」としての押湯形成部63と、「ウイリアムコアを形成する部分」としてのウイリアムスコア形成部64と、ブローホール65とが設けられた「鋳物と同じ形の中空の鋳型製作用模型61」を製作する。なお、鋳型製作用模型61は、通常、分割線Dで示したところで上型と下型とが別個に製作される。
(2)鋳枠67の製作
同図(b)に示すように、鋳型製作用模型61に被せる適切な大きさの枠67(鋳枠67)を製作する。なお、鋳枠67は、通常、分割線Dで示したところで上型用と下型用とが別個に製作される。また、鋳枠67には型砂充填時にエアーを逃がすための孔があちこちに形成されるがここではその図を省略している。
(3)型砂の充填
同図(c)に示すように、鋳型製作用模型61と鋳枠67との間に型砂(型材)を充填する(点線矢視参照)。なお、型砂の充填は、通常、分割線Dで示したところで上型と下型とについて別個に行われる。
(4)型砂の硬化
同図(d)に示すように、充填された型砂を硬化させる(硬化させた型砂が鋳型51となる)。そして、鋳型製作用模型61と鋳枠67とを外して、上型と下型とを接合させる(同図においては点線でつなぎ目を示した)。
(5)減圧鋳造
同図(e)に示すように、鋳型51の鋳型空隙52に溶融金属を鋳込むと鋳物が出来上がる。同図では、減圧鋳造法により鋳込を行う例を示す。
【0006】
従来の鋳型製作用模型61は、同図(a)示したように、鋳物空隙形成部62と、押湯形成部63と、ウイリアムスコア形成部64とを備えるが、これらは一体的に製作されるため、連続的に繋がっている(但し、分割面Dで上型、下型に分割される)。
このような鋳型製作用模型61を用いて、型砂を充填するときには(上記(3))、コールドボックス造型法(コア,ブロー)により、樹脂をコーティングした砂を吹き込んで鋳型製作用模型61の外表面に付着させる。そのため、型砂はウイリアムスコア形成部64に堆積してウイリアムスコア55を形成する。このとき、エアーは、ウイリアムスコア形成部64に形成されたブローホール65を通り、型砂はブローホール65を通らずに、鋳枠67の図示しない孔を通って外部へ抜ける。しかしながら、型砂には樹脂がコーティングされているため、ブローホール65に樹脂が染みつき、型砂が詰まることがある。型砂が詰まったままの状態で鋳型製作用模型61と、鋳枠67を外せば、出来上がる鋳型51のウイリアムスコア55に形状不良が生じる。
【0007】
【特許文献1】特開昭54−160517
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来の鋳型製作用模型61は、ウイリアムスコア形成部64が、押湯形成部63に直彫りされた一体型のものであったため、ブローホール65が詰まるとウイリアムスコア形成部64だけを取り替えることができないという問題があった。従って、ブローホール65の詰まりが原因で、ブローホール65が破損すると、鋳型製作用模型61の破損部分だけの修理修正が困難で結局模型一式の再製作を業者に依頼しなければならず、費用や時間がかかるという問題があった。
【0009】
さらに、鋳型製作用模型61のウイリアムスコア形成部64に形状不良が生じて、その部分が異形状になったものを用いて鋳型51を製作し、鋳型51を用いて鋳造を行うと、押湯54を設けても鋳物本体に引け巣が発生するという問題があった。さらに、鋳型製作用模型61のウイリアムスコア形成部64に形状不良が生じると、そこで生産を停止して、場合によっては生産ラインを変更する等の対応をしなければならず、生産ラインに悪影響を与えるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、鋳型製作用模型の「ウイリアムスコアを形成するための部分」を取替可能とするウイリアムスコア形成用部品及び鋳型製作用模型を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係るウイリアムスコア形成用部品は、
鋳型にウイリアムスコアを形成するためのウイリアムスコア形成用部品であって、
前記ウイリアムスコアの形状をかたどった凹部と、
前記凹部の先端部分に形成されるエアー抜き用のベンドホールと、
当該ウイリアムスコア形成用部品の外表面に形成され、かつ、鋳型製作用模型に着脱自在に固定するための固定手段と、
を備えたことを要旨とするものである。
この場合に、前記固定手段は、ねじ山であればよい。
この場合に、ウイリアムスコア形成用部品の取り付け取り外しに用いられる溝を備えることが望ましい。
【0012】
上記課題を解決するために、本発明に係る鋳型製作用模型は、
鋳物本体を鋳造するための部分と、
メクラ押湯を形成するための部分とを備えた鋳型製作用模型であって、
上記記載のウイリアムスコア形成用部品を埋設するための埋設孔が形成されていることを要旨とするものである。
この場合に、前記埋設孔の内周面にねじ山を刻むことが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係るウイリアムスコア形成用部品は、その外周面に形成される固定手段であって鋳型製作用模型に着脱自在に固定するための固定手段を備えたものであるから、鋳型製作用模型へ着脱自在に固定することができる。従って、ウイリアムスコア形成用部品は、取り替え使用ができる。
また、ウイリアムスコア形成用部品は、その取り付け取り外しに用いられる溝を備えたものであるから、ドライバー等のジグを溝に差し込んで回すことにより、鋳型製作用模型へ取り付けたり、そこから取り外したりすることができる。従って、ウイリアムスコア形成用部品は、取り替え使用ができる。
本発明に係る鋳型製作用模型は、ウイリアムスコア形成用部品を固定するための埋設孔が形成されたものであるから、ウイリアムスコア形成用部品をその埋設孔に埋設したり、その埋設孔から取り外したりすることができる。従って、本発明に係る鋳型製作用模型は、ウイリアムスコア形成用部品を取り替えて使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るウイリアムスコア形成用部品1の平面図、A−A線断面図及び底面図を示す。ウイリアムスコア形成用部品1は、凹部2と、ベンドホール3と、固定手段4とを備える。凹部2は、鋳型15(図3(d)参照)に形成されるウイリアムスコア5(図3(d)参照)の形状をかたどったものである。凹部2の形状によってウイリアムスコア5の形状が決まるため、凹部2の形状は重要であるが、特に限定されるものではなく、円錐状、角錐状など先端にかけて細くなっていくもの、板状のもので先端にかけて薄くなっていくものであればよい。
【0015】
ベンドホール3は、略長方形状のスリット状の複数の孔であり、凹部2の先端部分に形成されるエアー抜き用の孔である。ベンドホール3は、凹部2に連通した貫通孔であり、鋳型製作用模型6(図3(a)参照)にウイリアムスコア形成用部品1を固定した状態で、外気と鋳型製作用模型6の内部とを貫通させる孔である。ベンドホール3は、鋳型製作用模型6の製作時にコールドボックス造型法(コア,ブロー)を行うときの空気の通り道となる孔であるが、型砂は通さない孔である。ベンドホール3は、このような条件を満たせば、その大きさや形状は特に限定されるものではない。従って、スリットの形状は限定されず、孔も丸孔、楕円孔、角穴、多角形孔を複数個形成したものでもよい。
【0016】
固定手段4は、ウイリアムスコア形成用部品1の外周面7に形成されるものであり、ウイリアムスコア形成用部品1を鋳型製作用模型6に着脱自在に固定するためのものである。固定手段4は、具体的な図示は省略するが、例えば、外周面7に刻んだねじ山(雄ねじ)である。なお、ねじ山を刻む位置は、特に限定されるものではなく、外周面7’などのその他の位置でもよい。また、ねじ山に代えて所定の突起を設け、これを固定手段4としてもよい。
【0017】
溝8は、ウイリアムスコア形成用部品1の鋳型製作用模型6への取り付け取り外しに用いられる部分である。溝8は、ウイリアムスコア形成用部品1の頂部端面に形成された二箇所の溝である。これらの溝は、ウイリアムスコア形成用部品1の長手方向の軸を中心に丁度180°の位置関係で形成されるが、この位置に限定されるものではない。溝8に、ドライバー等を差し込んで、これをウイリアムスコア形成用部品1ごと回すことにより、ウイリアムスコア形成用部品1の取り付けや取り外しができればよく、溝8の形状、個数及び位置は限定されない。従って、溝8に代えて凸部や凹凸部等を形成しても良く、その個数も一箇所でも三箇所以上でも良い。
【0018】
ウイリアムスコア形成用部品1は、大きく分けると、加工の容易な真鍮製の本体9と耐摩耗性が高いステンレス製のベンドホール部10とからなる。上述した凹部2は、本体9にベンドホール部10を圧入した状態でこれらを切削加工することにより両者に跨って形成されるものであり、凹部2の先端部分以外の部分が本体9に形成され、凹部2の先端部分がベンドホール部10に形成される。スリット状の複数のベンドホール3は、ベンドホール部10に形成され、固定手段4及び溝8は、本体9に形成される。なお、本体9及びベンドホール部10は、その材質や形状は特に限定されるものではない。また、本体9とベンドホール部10とは、異なる材料で別個に製作することに限定されるものではなく、同一材料で一体的に製作してもよい。
【0019】
図2を参照して、本発明の一実施形態に係るウイリアムスコア形成用部品1の製作方法について説明する。
(1)本体原型及びベンドホール部原型の製作
同図(a)に示すように、本体9の原型としてベンドホール部10を圧入できる孔11が形成されたものを製作する。また、ベンドホール部10の原型としてベンドホール3が形成されたものを製作する。
(2)本体原型へのベンドホール部原型の圧入
同図(b)に示すように、本体9の原型へベンドホール部10の原型を圧入する。
(3)切削加工
同図(c)に示すように、本体原型の上部から切削加工を行い、凹部2や溝8等を形成する。凹部2は、本体9とベンドホール部10とを跨って形成される。また、凹部2はベンドホール3と連通させる。
(4)ウイリアムスコア形成用部品の完成
同図(d)に示すように、以上の工程によってウイリアムスコア形成用部品1が得られる。また、ウイリアムスコア形成用部品1は、本体9の外周面7にねじ山を刻むことによって、鋳型製作用模型6への固定が可能になる。
【0020】
次に、本発明の一実施形態に係る鋳型製作用模型6について説明する。
図3(a)に示す鋳型製作用模型6は、鋳型空隙形成部12と、押湯形成部13と、埋設孔14とを備える。鋳型空隙形成部12は、鋳型15(同図(d)参照)の「鋳物本体を鋳造するための部分」であり、その形状及び数は特に限定されるものではなく、目的とする鋳物に応じて任意に選択される。押湯形成部13は、鋳型15の「メクラ押湯を形成するための部分」であり、その形状及び数は特に限定されるものではなく、目的とする鋳物に応じて任意に選択される。一般に、目的とする鋳物の肉厚が厚くなるほど凝固収縮による引け巣が発生しやすいため、押湯形成部13は、厚肉の鋳型空隙形成部12に設けることが望ましい。
【0021】
埋設孔14は、ウイリアムスコア形成用部品1を埋設するための孔である。埋設孔14は、押湯形成部13の頂部周辺に形成されるが、その数及び位置は限定されるものではない。埋設孔14の内周面16には、ねじ山を刻むことが望ましい。ウイリアムスコア形成用部品1の外周面7に形成されたねじ(雄ねじ)を、埋設孔14の内周面16に形成されたねじ(雌ねじ)に螺合させることによって、ウイリアムスコア形成用部品1を着脱自在に取り付けることができる。
なお、ウイリアムスコア形成用部品1の外周面7に所定の突起を設ける場合には、内周面16に、その突起と係合する溝を設ければよい。例えば、埋設孔14の開口に向かって開口し、内周面16の周回方向に延びる溝を形成する。ウイリアムスコア側に設けた所定の突起を、埋設孔14の開口方向から挿入し、周回方向へ回すことで、溝に係合させる。こうすることでウイリアムスコア形成用部品1を取り付けることができる。
【0022】
図3を参照し、本発明の一実施形態に係るウイリアムスコア形成用部品1と鋳型製作用模型6とを使用した鋳型15の製作方法及び鋳物の製造方法について説明する。なお、同図において符号Dは、分割面を示し、鋳型製作用模型6が、通常、上型と下型とが別個に製作されることを示す。
(1)ウイリアムスコア形成用部品1の鋳型製作用模型6への固定
同図(a)に示すように、ウイリアムスコア形成用部品1を鋳型製作用模型6の埋設孔14に固定する。この固定を行うときにはドライバー等を溝8に差し込んで、ウイリアムスコア形成用部品1を埋設孔14に取り付ける。ウイリアムスコア形成用部品1の外周面7及び埋設孔14の内周面16にねじ山が刻まれているときには、ウイリアムスコア形成用部品1を埋設孔14にねじ込めばよい。なお、接着材をウイリアムスコア形成用部品1のねじ山に塗布して、ウイリアムスコア形成用部品1を埋設孔14に埋設してもよい。こうすることで確実に固定することができる。
【0023】
(2)鋳枠17の製作
同図(b)に示すように、鋳枠17を製作し、これを、ウイリアムスコア形成用部品1が埋設された鋳型製作用模型6の上に被せる。実際には分割面Dで分割された各型ごとに、鋳枠17を被せる。
(3)型砂の充填
同図(c)に示すように、鋳型製作用模型6と鋳枠17との間に、コールドボックス造型法(コア,ブロー)により、樹脂をコーティングした砂を吹き込むことにより、型砂を充填する(点線矢視参照)。この型砂の充填により、ウイリアムスコア5が形成された中空の鋳型15の原型が得られる。型砂の充填は、実際には、分割面Dで分割された各型ごとに行う。
(4)型砂の硬化及び鋳型の完成
同図(d)に示すように、充填された型砂を硬化させる(硬化させた型砂が鋳型15となる)。そして、図示を省略するが、鋳型製作用模型6及び鋳枠17を取り外して、硬化した上型の型砂と、硬化した下型の型砂とを接合する。接合面は点線で示す。これによって、同図(d)に示した鋳型15が完成する。鋳型15には、ウイリアムスコア5が形成されている。
【0024】
(5)減圧鋳造
溶解用るつぼ18に金属を入れて溶解させ、溶湯Mとする。鋳型15を減圧室19にセットし、湯口20を溶湯Mに浸漬する。この状態から減圧室19を減圧すると、溶湯Mが湯口20、湯道21を通って、鋳物空隙22、メクラ押湯23へ流れ込み、凝固し、鋳物が得られる。メクラ押湯23に形成されたウイリアムスコア5には、熱が集中し、ウイリアムスコア5の周囲は、流れ込んだ溶湯Mが最後に凝固するところになる。そのため、引け巣が鋳物空隙22には発生しない。引け巣ができるとすれば、ウイリアムスコア5の周囲に符号Hで示す態様で発生することになるが、押湯19の部分は切り捨てられる部分であるため、問題はない。
【0025】
(6)鋳型製作用模型6の取り替え
上記手順に従って、鋳型製作用模型6を用いて、鋳型15が繰り返し製造される。このときに、ベンドホール3に樹脂が付着して詰まったりしたときや、その虞があるときは、ウイリアムスコア形成用部品1を外して別のウイリアムスコア形成用部品1を固定すればよい。
【0026】
次に、本発明の一実施形態に係るウイリアムスコア形成用部品1及び鋳型製作用模型6の作用について説明する。
コールドボックス造型法(コア、ブロー)により型砂を吹き込むときには(上記(3))、ベンドホール3からエアーだけが抜けて、ウイリアムスコアの形状をかたどった凹部2に型砂が堆積し、ウイリアムスコア5が形成される。しかしながら、型砂は樹脂がコーティングされているため、ウイリアムスコア形成用部品1を埋設した状態の鋳型製作用模型6を繰り返し使用していると、ベンドホール3が目詰まりを起こすことがある。このようなときでも、ウイリアムスコア形成用部品1を外して、ここだけを新しいものに取り替えることができる。従って、鋳型製作用模型一式の再製作が不要となり、費用や時間を無駄にすることがない。
【0027】
さらに、ウイリアムスコア形成用部品1に形状不良が生じても、ウイリアムスコア形成用部品1を取り替えればすむため、形状不良品を使用し続けることによる、鋳型の品質悪化を免れる。さらに、ウイリアムスコア形成用部品1に形状不良が生じて、その時点で生産を停止させても、ウイリアムスコア形成用部品1を取り替えれば、生産を続行することができるため、生産ラインに悪影響を与えることはない。
【0028】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0029】
本発明に係るウイリアムスコア形成用部品及び鋳型製作用模型は、ウイリアムスコアが取り付けられる種々の鋳型に適用することができる。従って、自動車産業をはじめとする多くの産業において利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の一実施形態に係るウイリアムスコア形成用部品の断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るウイリアムスコア形成用部品の製作工程図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るウイリアムスコア形成用部品と鋳型製作用模型とを使用した鋳型の製造工程図である。
【図4】一般的な鋳型の断面図である。
【図5】従来の鋳型製作用模型を使用した鋳型の製作工程図である。
【符号の説明】
【0031】
1 ウイリアムスコア形成用部品
2 凹部
3 ベンドホール
4 固定手段
5 ウイリアムスコア
6 鋳型製作用模型
7 外周面
8 溝
9 本体
10 ベンドホール部
11 孔
12 鋳物空隙形成部
13 押湯形成部
14 埋設孔
15 鋳型
16 内周面
17 鋳枠
18 溶解用るつぼ
19 減圧室
20 湯口
21 湯道
22 鋳物空隙
23 メクラ押湯
【出願人】 【識別番号】502230882
【氏名又は名称】株式会社大同キャスティングス
【出願日】 平成18年7月4日(2006.7.4)
【代理人】 【識別番号】100123537
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 かおる

【識別番号】100110227
【弁理士】
【氏名又は名称】畠山 文夫


【公開番号】 特開2008−12551(P2008−12551A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−184037(P2006−184037)