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【発明の名称】 鋳型の形成方法
【発明者】 【氏名】ロナルド・スコット・バンカー

【氏名】キャナン・ウスル・ハードウィック

【要約】 【課題】精密な表面構造を有する鋳型の形成方法を提供する。

【構成】鋳型(8,10)の形成方法が開示される。一実施形態では、鋳型(8、10)の形成方法は、凹面(24)を有する鋳型(8、10)を鋳造し、凹面(24)上に混合物(26)を含む表面構造を形成し、混合物(26)を熱処理することを含む。別の実施形態では物品が開示される。この方法は、装置のノズル(28)を通して前記混合物(26)を吐出することを更に含んでもよい。また、ノズル(28)の運動及び前記ノズル(28)を通して前記混合物(26)が吐出される流量を制御することを含んでもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋳型の形成方法において、凹面(24)を有する鋳型(8、10)を鋳造することと、
前記凹面(24)に表面構造を形成すると共に当該表面構造が混合物(26)を含むようにすることと、
前記混合物(26)を熱処理することと
を含む方法。
【請求項2】
装置のノズル(28)を通して前記混合物(26)を吐出することを更に含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ノズル(28)の運動及び前記ノズル(28)を通して前記混合物(26)が吐出される流量を制御することを更に含む、請求項2記載の方法。
【請求項4】
前記表面構造が、模様、滴、スミア、層、線、形状、及びこれらの少なくとも1つを含む組み合わせからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
鋳型の形成方法において、
ダイ(2,4)を形成することと、
セラミック組成物と共に、スリップ鋳造、ゲル鋳造、砂型鋳造、石膏型鋳造、ダイカスト、射出成形、スラリ注入、粉体成形(圧密)、反応成形、コロイド成形、冷間等静圧圧縮成形、熱間等静圧圧縮成形、及びこれらの少なくとも1つを含む組み合わせからなる群から選択される鋳造工程を用いて前記ダイ(2,4)内に鋳型(8,10)を鋳造することと、
前記鋳型(8,10)を加熱することと、
装置のノズル(28)を通して吐出される混合物(26)を前記鋳型(8,10)の凹面(24)上に吐出して、該凹面に表面構造を形成することと、
前記混合物(26)を熱処理することと
を含む方法。
【請求項6】
前記ノズル(28)の運動及び前記ノズル(28)を通して前記混合物(26)が吐出される流量を制御することを更に含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記表面構造が、模様、滴、スミア、層、線、形状、及びこれらの少なくとも1つを含む組み合わせからなる群から選択される、請求項5記載の方法。
【請求項8】
前記混合物が、金属、セラミック、及びこれらの少なくとも1つを含む組み合わせからなる群から選択される、請求項5記載の方法。
【請求項9】
請求項1記載の方法により形成される物品。
【請求項10】
請求項5記載の方法により形成される物品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本開示は一般に鋳造に関し、更に具体的には、鋳造作業で用いる鋳型の製造に関する。
【背景技術】
【0002】
鋳造法は物品の形成に広く用いられている。一般に鋳造法は、流動材料を鋳型に入れ、そこで凝固させて固形で取り出す、任意の工程として説明できる。代表的な鋳造法には、インベストメント鋳造、スリップ鋳造、ゲル鋳造、砂型鋳造、石膏型鋳造、ダイカスト、射出成形、スラリ注入、粉体成形(圧密)、反応成形、コロイド成形、冷間等静圧圧縮成形、熱間等静圧圧縮成形等がある。特にインベストメント鋳造は広範囲に使用されるが、これはインベストメントコアにより、他の鋳造工程で実現可能な成形物に比べて、更に精密な成形物の形成が可能であり、鋳型の効率的な製作が可能となるからである。
【0003】
インベストメント鋳造工程は、所望の鋳造部品と同様の幾何学的形状を備える犠牲ワックスの原型を製作することから始まる。原型は通常、ワックス射出成形工程によって金型に注入される、インベストメント鋳造ワックスで作成される。ワックス原型が製作されると、これは他のワックス部品と組み立てられて、ゲート及びランナ系が形成され、この系を通って鋳造材料が流れる。次に、ワックス組み立て品全体はセラミックスラリに浸漬されて、サンドスタッコで覆われ、乾燥される。この浸漬及びスタッコ塗り工程は、所望のシェル厚(例えば、約6乃至10mm(0.25乃至0.675インチ))が得られるまで繰り返される。セラミックが乾燥すると、組み立て品全体は蒸気オートクレーブに置かれ、ワックスの大半が除去される。オートクレーブ処理後、シェル内に未だワックスが残っている場合には、該ワックスが炉で燃焼される(例えば、約400℃)。この時点で、ワックス原型、ゲート、及びランナ系の痕跡がセラミック鋳型に残る。そしてこの鋳型は、所定温度まで予熱され、溶融金属が充填され、該溶融金属はそこで凝固して金属鋳物を形成する。鋳物が十分に冷却されると、鋳型シェルは鋳物から剥がし取られる。次に、ゲート及びランナが鋳物から切り取られ、任意選択として、この鋳物には最終的な後処理作業(例えば、サンドブラスト、機械加工等)が施される。
【0004】
別の工程では、セラミック鋳型は、モールドハーフ、あるいは更に多くの部分型等の複数部分から形成され、これらは互いに組み立てられて鋳型の完成品を形成する。このことは、鋳型を分解して鋳物部品を鋳型から取り出し、鋳型を何回でも使用できるので有利である。インベストメント鋳造は、精細度を高めると共に、浸漬工程を用いた鋳型形成を可能にするが、他のセラミック鋳型の成型工程と同様に、インベストメント鋳造でも、高精度の表面構造を複製するには、未だ十分でない。例えば、複雑な細部及び/又は比較的小さな詳細部(例えば、約0.010インチ以下の高さを有する線からなる模様)を含むパターン、突起、及び/又は形状部等の表面構造、及び/又はテクスチャを有するインベストメントコアについては一般に、鋳型の熱処理後では複製が良質でない(例えば、複製が均一でなく及び/又は歪んでいる)。
【特許文献1】米国特許第4,989,664号明細書
【特許文献2】米国特許第5,337,568号明細書
【特許文献3】米国特許第6,183,197号明細書
【特許文献4】米国特許第6,505,673号明細書
【特許文献5】米国特許第6,887,528号明細書
【特許文献6】米国特許第6,644,921号明細書
【特許文献7】米国特許第5,690,472号明細書
【特許文献8】米国特許第4,097,292号明細書
【特許文献9】米国特許第4,141,781号明細書
【特許文献10】米国特許第5,014,763号明細書
【特許文献11】米国特許第5,985,368号明細書
【特許文献12】米国特許第6,025,036号明細書
【特許文献13】米国特許第6,268,584号明細書
【特許文献14】米国特許第6,660,343号明細書
【特許文献15】米国特許出願公開第2004/0121182号明細書
【特許文献16】米国特許出願公開第2004/0265488号明細書
【特許文献17】米国特許出願公開第2005/0013926号明細書
【非特許文献1】米国特許出願番号10/841,366、Ronald Scott Bunker、2004年5月6日出願
【非特許文献2】米国特許出願番号11/170,579、Canan Hardwicke等、2005年6月25日出願
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
その結果、精密な表面構造を有する鋳型の形成方法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書では、鋳型の形成方法、及び物品の鋳造方法を開示する。
【0007】
一実施形態では、鋳型の形成方法は、凹面を有する鋳型を鋳造して、凹面上に混合物を含む表面構造を形成し、混合物を熱処理することを含む。別の実施形態では、物品を開示する。
【0008】
別の実施形態では方法を開示し、この方法は、ダイを形成し、セラミック組成物と、鋳造法、つまり、インベストメント鋳造、スリップ鋳造、ゲル鋳造、砂型鋳造、石膏型鋳造、ダイカスト、射出成形、スラリ注入、粉体成形(圧密)、反応成形、コロイド成形、冷間等静圧圧縮成形、熱間等静圧圧縮成形、及びこれらの少なくとも1つを含む組み合わせからなる群から選択される鋳造工程を用いて、ダイの内部に鋳型を鋳造し、鋳型を加熱し、この鋳型の凹面上に混合物を吐出させて凹面に表面構造を形成すると共に該混合物は装置のノズルを通して吐出されるものとし、その後に当該混合物を熱処理することを含む。
【0009】
他の実施形態では、開示した鋳型の形成方法により物品を作成する。
【0010】
以下に、図面及び詳細な説明に従って上述の特徴及び他の特徴を例示する。以下では代表的な実施形態の図面を参照するが、同様の構成要素には同様の符号を付している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書では、鋳型上に表面構造を形成する方法を開示し、該方法は、鋳型の形成後に、金属材料及び/又はセラミック材料を鋳型の表面に堆積させて所望の表面構造を形成することを含む。その後、この材料を熱処理して、これを硬化させて鋳型に結合させることができる。次に、この鋳型を用いて物品を鋳造し、鋳型中に形成される表面構造によって、当該表面構造とは逆の幾何学的形状を、鋳造部品に形成することが可能となる。
【0012】
セラミック製の鋳型上に表面構造を形成する本方法は、鋳型の作成から始まる。この鋳型は、セラミック形成法、例えば、インベストメント鋳造、スリップ鋳造、ゲル鋳造、砂型鋳造、石膏型鋳造、ダイカスト、射出成形、スラリ注入、粉体成形(圧密)、反応成形、コロイド成形、等静圧圧縮成形(例えば、冷間等静圧圧縮成形又は熱間等静圧圧縮成形)、並びにこれらの少なくとも1つを含む組み合わせを用いて形成される。鋳型については、鋳型の内面に接近することが可能であって、後工程において表面構造を内面に形成できるように作られる。従って、鋳型は複数の部分(例えば、2つのモールドハーフ)から形成され、これらを互いに組み立てることで、鋳型の完成品を形成すると共に、鋳造物を取り出すために分解することができる。
【0013】
鋳型の使用材料は、金属部品等の所望の鋳造物の鋳造中における持続温度に耐えられる材料、特に耐熱性超合金からなる。代表的な材料はアルミナ、シリカ等からなる。
【0014】
鋳型形成に用いる代表的な一方法では、鋳造工程を使用して、金属ダイを作成することでモールドハーフを形成する。このダイは、内部の幾何学的形状、つまり、鋳造部品における所望の外面を複製した形状をもつように形成され、そして鋳型の基本形状を含む。
例えば、図1及び図2を参照すると、代表的な第1のダイハーフ2及び第2のダイハーフ4が示されている。第1のダイハーフ2及び第2のダイハーフ4の幾何学的形状は、セラミック鋳型の形成に用いられ、この鋳型は、タービン動翼の鋳造に使用される。このダイは、工具用鋼鉄(例えば、American Iron and Steel Institute(AISI)による、0.28から0.40重量百分率の炭素、0.60から1.00重量百分率のマンガン、0.20から0.80重量百分率のケイ素、1.40から2.00重量百分率のクロム、0.30から0.55重量百分率のモリブデン、0.25重量百分率の銅、0.03重量百分率の燐、及び0.03重量百分率の硫黄を含有するP−20型鋼)、及び耐衝撃性鉄鋼(例えば、AISIによる、0.40から0.55重量百分率の炭素、0.30から0.50重量百分率のマンガン、0.90から1.20重量百分率のケイ素、0.30重量百分率のニッケル、0.30から0.50重量百分率のモリブデン、0.50重量百分率のバナジウム、0.25重量百分率の銅、0.03重量百分率の燐、及び0.03重量百分率の硫黄を含有するS2型鋼)等の金属から形成される。更に詳しくは、鋳型形成に使用する材料の処理温度、例えば一般的には、約700℃の温度に耐える(溶融せず、又は変形しない)、如何なる金属をも使用できる。このダイは、金属加工処理(放電加工、切削、及び研削等)、迅速な製造法(選択的レーザ焼結法、及び層成長法)、これらの少なくとも1つを含む組み合わせを用いて形成可能である。
【0015】
ダイの形成工程が完了すると、図3及び図4に示すように、ダイはセラミック組成物6で充填される。任意選択として、セラミック組成物6は、例えば機械的な圧縮(例えばパンチ)、等静圧圧縮技術等を用いてダイ内で圧縮することができる。一例では、一組のダイ(例えば、第1のダイハーフ2及び第2のダイハーフ4)がセラミック組成物で充填され、次に等静圧圧縮成形工程を受け、その場合に、セラミック組成物6は加圧エアチャンバ内で、1平方インチ当たり約15,000ポンド(psi)の圧力に曝される。
【0016】
セラミック組成物6には、アルミナ、シリカ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム(ジルコン)、ケイ酸アルミニウム(ムライト)、イットリア、ケイ酸イットリウム、アルミン酸イットリウム(ガーネット)、アルミン酸イットリウム(ペロブスカイト)、希土類酸化物、希土類ケイ酸塩、希土類アルミン酸塩等、並びにこれらの少なくとも1つを含む組み合わせ等のセラミック粉末を使用できる。選択される具体的なセラミック粉末は、熱伝導率及び耐摩耗性等の所望の鋳型特性に基づく。更に、使用する粉末の平均粒径は、表面粗度等、所望の具体的な特性による。平均粒径は、一般に、約100マイクロメートル(μm)以下であり、より具体的には、約70μm以下であり、更に具体的には約30μm以下である。粒径は、複製される具体的な表面構造の大きさ、及び結果として生じる鋳型の表面仕上げに影響する。例えば、特殊な実施形態で使用する粉末は、約0.001μmから約10μmの平均粒径をもつ場合がある。
【0017】
種々の粉末に加えて、セラミック組成物6は更に、スラリを形成するために液状媒体(アルコール類、水、及び/又は油類等)を含んでもよい。スラリは、複雑な鋳型の幾何学的形状(例えば、アンダーカットや溝等)に流し込むことができる場合に有利である。
【0018】
更に、セラミック組成物6に添加剤を加えてもよい。代表的な添加剤は、強化用繊維(例えば石英ファイバ)、加工助剤(パラフィンワックス等の離型剤等)、バインダ(例えば、ポリオキシメチレン、スターチ、セルロース等)、並びにこれらの少なくとも1つを含む組み合わせである。鋳型に使用する材料(例えばセラミック)、鋳型の幾何学的形状(例えば厚さ)、及び他の変数は、鋳型の耐久性、コスト、及び性能に影響することは明らかである。例えば、特定の一実施形態では、アルコールをシリカ粉末に添加して、所望の速度でダイに流入可能なスラリを形成する。更に、石英ファイバをセラミック組成物6に添加することで鋳型の強度が増加し、そして、鋳型の厚さ(例えば図示しない鋳型の壁)を設定することで、鋳造する金属が所望の速度で冷却されて、鋳造物に所望の微細構造をもたらす。代表的な材料は、米国特許第4,989,664号明細書(Roth)にも記載されており、これを参照により本明細書の一部として援用する。
【0019】
充填後に、ダイハーフ/モールドハーフ(例えば、ダイハーフは、その中にセラミック組成物6で形成されるモールドハーフを含む)が加熱される。これにより、セラミック組成物6内のバインダが互いに結合して、弱く結合した鋳型を形成することができる。このダイハーフ/モールドハーフは、一定時間、つまり、セラミック組成物6を結合させるのに充分な時間、炉内で加熱することができる。工程のこの時点では、鋳型を修正可能にするために、温度は焼結温度よりも低くされる。ある状況では、使用する添加剤及び/又は液状媒体にもよるが、ダイハーフ/モールドハーフは、さらなる時間に亘って加熱されることで、湿分又は蒸発性液体を除去できる。かかる状況では、使用する炉が、工程中に炉内の空気を乾燥可能な乾燥装置を備えてもよい。
【0020】
加熱処理中、セラミック組成物6はある程度(例えば容積的に)、収縮する場合がある。この収縮が予測可能な場合には、ダイを大き目にすることで、製作される鋳型が収縮して所望の仕様となる。セラミック組成物の収縮度の予測可能性については、組成(例えば、粒径及び純度等)及びセラミック鋳型の特性(例えば、密度)を制御することによって高めることができる。例えば、セラミックの粒径の均一性、セラミックの純度、添加剤の付加、及び他の変数は、収縮の予側可能性を高めることがある。一実施形態では、熱間等静圧圧縮成形工程を用いて、加熱の際にセラミック組成物6を圧縮する。かかる処理を採用することによって、セラミック粉末の密度を高めて、鋳型が焼結される際の収縮を低減できる。
【0021】
所望の時間(例えば、非スラリ性のセラミック組成物6の場合に、700℃で約4時間)に亘ってダイが加熱された後に、第1のモールドハーフ8及び第2のモールドハーフ10が(積極的に及び/又は受動的に)冷却され、次に、図5に示すようにダイハーフから取り出される。
【0022】
第1のモールドハーフ8及び第2のモールドハーフ10(モールドハーフ群、及びモールド群とも称する)は、バインダにより与えられるセラミック粉末の結合力が弱いために、ダイハーフから取り出す際に損傷を受け易い。しかし、慎重に取り扱えば、鋳型は検査可能であり、及び/又は任意選択的に、非焼結状態で修正可能である。例えば、図7を参照すると、第1のモールドハーフ8及び第2のモールドハーフ10が組み立てられ、それらのモールドハーフの嵌め合いが、特にパーティングライン14とキャビティ16の領域にて評価される。鋳型の修正が望ましい場合には、これを機械加工及び/又は他の修正方法を用いることによって実現可能である。例えば、ベント及びスプルは、キャビティ16内で鋳造材料が容易に流れるように、ドリル加工又はフライス切削加工によってモールドハーフに加工できる。更に、パーティングライン14の周辺のバリは全て、研削作業で除去することができ、そしてモールドハーフは、鋳造工程中に鋳型群が適切に組み合わされるように、ロケータ及び/又はガイドに取り付けられる。
【0023】
検査、及び任意選択による修正後に、鋳型はセラミック粉末が互いに付着するのに十分な温度で焼結される。一般に使用される代表的な温度は、約1,000℃から約2,200℃である。焼結工程の時間は、セラミック組成物6、鋳型群の幾何学的形状及び質量、並びに他の変数に従って変わるが、一般的には約8時間から約30時間である。焼結工程は種々の段階(例えば、温度維持段階、一定の温度上昇、徐冷段階等)を含み、これらによって、所望の微細構造をもつ鋳型を提供し、歪みを減少させ、収縮を減少させることができる。
【0024】
モールドハーフ群が焼結されるとそれらは冷却され、任意選択で二次的な作業が施される。代表的な作業は、検査、コーティング処理(例えば、表面粗度を低減させるコーティング、耐摩耗性コーティング等)、機械加工処理(例えば、ベント追加、スプル追加、バリ取り等)、ラベリング工程、安定化処理(例えば、キャリヤモールドベース内で)、修正工程(例えば、ガイド追加、鋳型を互いに取り付けるための要素の追加)等である。例えば、一実施形態では、キャビティ16(図7)が研磨される。
【0025】
キャビティ16の研磨は、ダイアモンドペーストを用いた超音波研磨装置等を使用して、キャビティ16の実際の内面を研磨することによって、及び/又は、所望の表面にコーティングを施して、コーティングを研磨し、コーティングを熱処理し、再研磨することによって実施できる。これらの工程は、許容可能な仕上げを得るために所望の回数だけ繰り返してもよい。例えば、一実施形態では、約100μm以下の平均粒径を有するセラミック粉末を含むスラリがキャビティ16の表面に塗布される。その後、スラリがキャビティの表面に作用(例えば研磨)し、凹面が焼結される。次に、この表面を更に研磨し、及び/又は、コーティングを更に施し、この工程を繰り返すことができる。
【0026】
更に具体的には、キャビティ16の内面は、研削又は磨き仕上げのいずれかで仕上げることができる。研削された(例えば研削工程で形成された)表面仕上げは、一般的に、約50マイクロインチ(μin)(1.27μm)以下の平均表面粗度(Ra)値をもつ。代表的な研削仕上げは、Society for the Plastic Industryの表面仕上げ特性システムで表すことができ、例えば、SPI6番の表面仕上げは、グリット数320番の紙やすりを用いて製作される表面を表し、Ra値が約38乃至約42μin(0.97μm乃至1.07μm)を示し、またSPI4番の表面仕上げは、グリット数600番の紙やすりを用いて製作される表面を表し、Ra値が約2乃至約3μin(0.051μm乃至0.075μm)を示す。代表的な研磨仕上げ(例えば、光沢をもつ仕上げ又は高光沢の仕上げ)は、一般的に5μin(0.127μm)以下のRa値をもち、例えば、SPI3番の表面仕上げは、等級15番のダイアモンドバフで研磨して製作される表面を表し、Ra値が約2乃至約3μin(0.051μm乃至0.075μm)を示し、またSPI1番の表面仕上げは、等級3番のダイアモンドバフで研磨して製作される表面を表し、Ra値で約1μin(0.025μm)を示す。
【0027】
焼結前又は焼結後のいずれにおいても、鋳型は適用可能な蒸着工程を用いて表面構造を修正できる。代表的な蒸着工程には、化学蒸着、イオンプラズマ蒸着、電子ビーム物理蒸着、及び電気メッキがある。特定の蒸着工程では、鋳型の表面上にセラミック材料を所望の忠実度で配置することができる。代表的な蒸着工程の1つは、「ダイレクトライト」(DW)工程であり、これはまた「ペンタイプ」又は「ノズル」蒸着工程とも呼ばれる。代表的なダイレクトライト技術(例えばペン、ノズル、レーザ、溶射等)が同一出願人の米国特許出願第11/170579号明細書(Hardwicke他)、及び米国公開特許出願第2005−0013926号明細書(Rutkowski他)に説明されており、これらを参照により本明細書の一部として援用する。
【0028】
ここで図8を参照すると、ペン20が混合物26を第2のモールドハーフ10の凹面24上に堆積させて、凹面に突起22を形成している。混合物26は、圧力下でペン20を通して流れ、ノズル28から流出する。使用圧は、所望の流量、並びに、ノズル28の内径及び混合物26の粘度等の他の変数に依存する。ノズル28の大きさは、一般に約0.010mm乃至約1.0mmであり、所望の吐出径を与えるように選択される。
【0029】
ペン20は、凹面24に対して配置され、凹面24に沿って平行移動が可能であり、凹面に表面構造を形成する。有利には、表面構造(例えば層)は、自動で複雑な形状の凹面24上に迅速且つ精密に堆積できる。ペン20から流出する混合物の制御に関連するペンの運動により、層、滴、スミア、及びこれらの組み合わせをペン20で形成することができる。更に、一領域に亘ってペン20を多数回通過させる操作により、混合物26の層を形成でき、及び/又は、多数のペンを使用して堆積工程の速度を増加させ、又は複数の鋳型の表面を同時に修正できる。このため、ペン20は多数の表面構造を形成可能であり、この表面構造という用語は、表面上に混合物26を堆積させることによって生成れる任意の形態、つまり、模様(例えばクロスハッチング、又は織り目)、滴、スミア、層、線、形状(例えば円、波線、鱗模様、モザイク、又は多角形)等として解釈すべきである。
【0030】
コントローラ30は、ペン20と操作的に繋がっている。コントローラ30は、作動中に、ペン20の運動、混合物26がペン20から吐出される流量、及び他の工程、及び/又は装置の動作を制御可能である。例えば、凹面24及び所望の表面構造(突起22)が生成され、これは、コンピュータ内で、コントローラ30によってアクセス可能であって、凹面24上に所望の表面構造を生成するために実行可能なCAD/CAMファイルとして保存される。従って、これらの方法は、上記の工程を実施するためのコンピュータ又はコントローラで実行されるプロセス及び装置の形態で具現化される。これらの方法はまた、有形媒体、例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、CD−ROM、ハードドライブ、又はコンピュータで読み取り可能な他の記憶媒体に具体化された命令を含むコンピュータプログラムコードの形態で具現化することも可能であり、コンピュータプログラムコードがコンピュータ又はコントローラにロード及び実行されると、コンピュータは、この方法を実行する装置となる。この方法はまた、例えば、記憶媒体に保存され、コンピュータ又はコントローラにロード及び/又は実行されるか、例えば電気配線もしくはケーブル、光ファイバを通して、又は電磁放射によって、何らかの伝送媒体上を伝送されるコンピュータプログラムコード又は信号の形態で具現化することも可能であり、コンピュータプログラムコードがコンピュータにロード及び実行されると、コンピュータは、この方法を実行する装置となる。汎用マイクロコンピュータ上で実施する場合には、コンピュータプログラムのコードセグメントがマイクロプロセッサを設定して、特定の論路回路を生成する。
【0031】
ペン20が使用する混合物26は、約50乃至約98重量百分率の固体及び液体を配合したスラリを含むことができる。固体は、金属(例えば銅、金、白金、ニッケル、コバルト、チタン、又は鉄)、セラミック(例えばアルミナ、ジルコニア、ケイ酸ジルコニウム(ジルコン)、ケイ酸アルミニウム(ムライト)、イットリア、ケイ酸イットリウム、アルミン酸イットリウム(ガーネット)、アルミン酸イットリウム(ペロブスカイト)、希土類酸化物、希土類ケイ酸塩、希土類アルミン酸塩、シリカ、炭化ケイ素等)、並びにこれらの少なくとも1つを含む組み合わせ、例えばコバルトベースの超合金、ニッケルチタン合金等である。使用する具体的な粉末は、凹面24との適合性(例えば、凹面との結合能力)や、結果としてもたらされる混合物の特性(例えば耐摩耗性又は熱伝達性)等の、他の変数に基づいて選択される。
【0032】
スラリに使用する液体は、固体と混合可能であって、固体を鋳型中に流し込めるようにする液体であれば如何なる液体でもよく、例えば水、油類、アルコール類、エーテル類等である。
【0033】
混合物26は添加剤を含んでもよく、例えば、界面活性剤、バインダ(例えば、ケイ酸エチル及びコロイド状シリカ)、加工助剤(例えばパラフィンワックス)、粘度調整剤、細孔形成剤等である。一実施形態では、混合物が約82重量百分率のアルミナ、約8重量百分率のスターチ、及び約10重量百分率のイソプロピルアルコールからなる。
【0034】
混合物26はバッチで配合してもよい。例えば、100ポンドのバッチを製造するには、まず約10ミクロン以下の平均粒径を有するシリカセラミック粉末を加えて回転ドラムに入れる。スターチバインダとアルコール担体をドラムに加える。次に、混合物26は、回転キャニスタ、高速ブレンダ、リボンブレンダ、又は剪断ミキサ(例えばロールミル)を用いて混合される。
【0035】
突起22が凹面24上に配置されてから、第2のモールドハーフ10が加熱される。加熱処理中に、突起22(例えば、隆起部及び線等)は硬化して凹面24に融合する。更に、如何なる液体、揮発性の添加剤も蒸発する。組成物の焼結に用いる時間及び温度は、混合物26の組成、突起22の大きさ、使用する熱源、他の変数に依存する。代表的な熱処理は、集中エネルギー源(例えばプラズマ、マイクロ波、レーザビーム、電子ビーム、及び/又は他の局所的な熱源を用いる)を含む。これに代わって又はこれに加えて、混合物26の焼結温度が第2のモールドハーフ10の損傷を受ける虞のある温度よりも低いことを条件として、熱処理は第2のモールドハーフ10を炉中で加熱することを含んでもよい。
【0036】
任意選択として、蒸着工程に先立ってマスキング工程を用い、表面構造をもたない凹面24の部分にマスクを施してもよい。使用する具体的なマスキング材は、凹面24に粘着可能であって、凹面から容易に除去できる材料とされる。代表的な一実施形態では、裏側に粘着性をもつ高分子シートが使用可能である。表面構造(例えば突起22)が焼結された後に、これらは(積極的に及び/又は受動的に)冷却される。任意選択ではその後、鋳型に上述した種々の作業を用いて後処理を施してもよい。換言すれば、表面構造は、鋳型の任意選択的な処理(例えば研磨、コーティング、及び/又は上述したその他の処理)の前及び/又は後に、モールドハーフ(群)の表面上に形成することができる。
【0037】
鋳型群が焼結されてから、これらは組み立てられて鋳造に使用される。その内部で鋳造可能な材料には、鋳型に損傷を起こし得る温度よりも低い温度で溶融する、如何なる物品材料をも含むことができる。更に、この材料は、ダイのキャビティ16が凝固前に充填可能とされる速度で流動することが望ましく、また鋳型を予熱して凝固を遅らせてもよい。図9に示す代表的な一実施形態では、鋳造材料34(例えばニッケルベースの超合金)がその融点を超えて加熱され、組み立てられたダイのスプル32に注入され、タービン動翼を(例えばキャビティ16内に)形成する。蒸着工程によって形成される突起22はキャビティ16内にあり、従って鋳造されたタービン動翼上に窪みを形成する。代表的な鋳造によるタービン動翼40を図10に示す。タービン動翼40は表面上に詳細部42(例えば、ディンプル)を含み、これらは第2のモールドハーフ10上の突起22によって鋳造物内に形成されるものである。
【0038】
物品材料が凝固してから鋳型は分解され、鋳物が鋳型から取り出される。この時点で、どのような追加の後処理、又は二次的な作業(例えば、機械加工、研磨、コーティング、組み立て等)を採用しても構わない。
【0039】
別の実施形態では、鋳型群が焼結された後で、これらには二次的な作業が施される。代表的な作業は、検査、コーティング処理(例えば、表面粗度を低減させるコーティング、及び耐摩耗性コーティング)、機械加工処理(例えば、ベント追加、スプル追加、バリ取り等)、ラベリング工程、安定化処理(例えば、キャリヤモールドベース内で)、修正工程(例えば、ガイド追加、鋳型群を互いに取り付けるための要素の追加等)等である。例えば、一実施形態では、断熱コーティングがキャビティに施され、凹面24及びその上に配置された突起22を覆い、均一な表面仕上げを施された表面がもたらされる。
【0040】
鋳造及び鋳造物のために使用する、如何なるセラミックダイ及び/又は金属ダイ及び/又は鋳型にも表面構造を形成できる。一実施形態では、高分子射出成形用のセラミックツールを製作することができ、所望部品のインベストメントコアがインベストメント鋳造工程で使用されて、セラミック鋳型を形成する。次に、この鋳型には蒸着工程が施されて鋳型の表面上に精細な模様が形成され、この模様は鋳型内に形成される射出成形物上の装飾部としての役目をもつ。これらの表面構造は約2,000μm以下の大きさ、又は、より具体的には約1,000μmよりも小さく、更に具体的には、約5μmから約500μmである。
【0041】
本明細書で開示した工程は、タービンエンジン部品の形成に使用する鋳型群の表面に表面構造を形成するために、特に有用である。本明細書ではタービン動翼の形成について述べてきたが、タービンは運転温度が高いため、その内部で使用する多くの部品は、本明細書に開示した方法を使用可能な鋳造工程により形成される。例えば、タービンエンジンの高圧段で使用する部品には、静翼(例えばノズル又はベーン)及び回転翼(例えばバケット又は動翼)がある。タービンエンジンの高圧段の外部で使用する他の構成要素は、シュラウドのクリアランス制御領域を含み、これはフランジ、ケーシング、リング、並びに燃焼器ライナ及び燃焼器ドームを含む。更に、本明細書の方法は、ブースタコーン、フィン等の、ミサイル部品及びロケット部品にも有用である。しかし、本明細書で開示した方法がかかる用途に限定されないことは明らかである。他の用途には、自動車用途(例えば燃料噴射器、ターボチャージャのタービン及びインペラ、燃料改質器等)、産業用途(例えば鋳造機械部品)、コンピュータ用途(例えば、記憶装置ドライブ又は冷却部品)等、そしてプラスチック製品を形成する用途が挙げられる。
【0042】
本明細書で述べた、鋳型上に表面構造を形成するための方法は、当分野でこれまで対処されていない要望に取り組むものである。この工程は、鋳型の凹面に構造をもつ表面を形成可能とするものであり、この表面構造は複雑な形状、模様等を含むことができる。表面構造をもつ鋳造物を製造する本方法は、特に鋳造物の試作に有用である。更に具体的には、本方法により、鋳造物の製造者は、標準的な鋳型群(例えば、表面構造をもたない鋳型群)を多数形成するために用いる標準的なダイの製造から始めることができる。この標準的な鋳型群は、本明細書に開示した材料堆積方法を用いて修正され、その上に種々の表面構造を形成することができる。表面構造が焼結されてから、鋳型群を使用して、鋳型内の表面構造によって形成される表面の細部を有する鋳造物を製作できる。例えば、種々の表面構造を有する一連のタービン動翼は、1つのダイから全て製作された鋳型群によって鋳造可能である。従って、低コストで短い時間内に、様々な表面の効果についての迅速な研究開発が可能となる。
【0043】
別段の規定がない限り、本明細書で使用する技術的及び科学的な用語は、本発明が属する分野の当業者によって通常理解される用語と同じ意味を有する。本明細書で使用した用語、「第1」、「第2」等は、如何なる順序、量又は重要度をも表すものではなく、1つの要素を他の要素と区別するために用いている。更に、「1つの」という用語は数量の限定を意味するものではなく、参照事項の少なくとも1つの存在を意味し、また、「前」、「後」、「底」及び/又は「上」という用語は、別段の記載がない限り、単に説明の便宜上使用したものであって、1つの位置又は空間的な配向に限定するものではない。範囲が開示されている場合に、同一の要素又は特性に対して指定された全ての範囲の端点が包含され、且つ独立に組み合わせることが可能である(例えば「約25重量百分率まで、又は、更に具体的には、約5重量百分率から約20量百分率」という範囲は、その端点と、「約5重量百分率から約25重量百分率」までの範囲の全ての中間値を包含する等)。数量に関連して使用した修飾子「約」は、記載した値を包含し、文脈で決まる意味を持つ(例えば、その特定の数量の測定に関する誤差の度合いを含む)。本明細書で用いた添え字「(群)」は、それが修飾する用語の単数形及び複数形の両方を包含するものであり、これによって、その用語の1つ又はそれ以上を含む(例えば着色剤(群)は、1つ又はそれ以上の着色剤を含む)。更には、本明細書で使用される「組み合わせ」は、混合されたもの、混合物、合金、反応生成物等を包含する。最後に、「例えば」が使用される場合には、それ以後の値又は用語は、例示であって限定を意味しない。
【0044】
代表的な実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明の技術的範囲内で様々な変更をなすことができ、構成要素を均等物で置換できることは当業者には明らかであろう。更に、本発明の技術的範囲内で、特定の状況又は材料を本発明の教示内容に適合させるため多くの修正をなすことができる。従って、本発明は、その最良の実施の形態として開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に属するあらゆる実施形態を包含する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】第1のダイハーフを例示した図。
【図2】第2のダイハーフを例示した図。
【図3】セラミック組成物で充填された第1のダイハーフを例示した図。
【図4】セラミック組成物で充填された第2のダイハーフを例示した図。
【図5】第1のダイハーフから取り出される第2のモールドハーフを例示した図。
【図6】第2のダイハーフから取り出される第1のモールドハーフを例示した図。
【図7】組み立てられた第1のモールドハーフ及び第2のモールドハーフを例示した図。
【図8】混合物を第2のダイの凹面上に堆積させ、凹面に突起を形成するペンを例示した図。
【図9】組み立てられたダイのスプルに溶融合金を注ぎ込んで、タービン動翼を成形する様子を例示した図。
【図10】代表的なディンプルパターンを備えた、鋳造タービン動翼を例示した図。
【出願人】 【識別番号】390041542
【氏名又は名称】ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【出願日】 平成19年6月21日(2007.6.21)
【代理人】 【識別番号】100093908
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 研一

【識別番号】100105588
【弁理士】
【氏名又は名称】小倉 博

【識別番号】100129779
【弁理士】
【氏名又は名称】黒川 俊久

【識別番号】100137545
【弁理士】
【氏名又は名称】荒川 聡志


【公開番号】 特開2008−6502(P2008−6502A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2007−163248(P2007−163248)