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【発明の名称】 鋳造製シリンダヘッドにおけるポート用中子の構造
【発明者】 【氏名】三百田 渉

【要約】 【課題】シリンダヘッドをその鋳物型1にて鋳造するときに吸気ポート及び排気ポートのうちいずれか一方又は両方を形成するポート用中子6において,このポート用中子の鋳造時における位置ずれを防止する。

【構成】前記ポート用中子6のうち前記シリンダヘッドにおける側面側の一端部を,前記シリンダヘッドにおける側面より突出してシリンダヘッド用鋳物型にて支持する一方,前記ポート用中子6のうち前記シリンダヘッドにおける燃焼室側の他端に,前記シリンダヘッド用鋳物型1のうち前記燃焼室形成部分5に対して,当該燃焼室形成部分5から離れることがないように着脱自在に係合する嵌合部8を一体に設ける。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダヘッドをその鋳物型にて鋳造するときに吸気ポート及び排気ポートのうちいずれか一方又は両方を形成するポート用中子において,
前記ポート用中子のうち前記シリンダヘッドにおける側面側の一端部を,前記シリンダヘッドにおける側面より突出してシリンダヘッド用鋳物型にて支持する一方,前記ポート用中子のうち前記シリンダヘッドにおける燃焼室側の他端に,前記シリンダヘッド用鋳物型のうち前記燃焼室形成部分に対して,当該燃焼室形成部分から離れることがないように着脱自在に係合する嵌合部を一体に設けたことを特徴とする鋳造製シリンダヘッドにおけるポート用中子の構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は,内燃機関におけるシリンダヘッドの鋳造に際し,このシリンダヘッドに吸気ポート及び排気ポートのいずれか一方又は両方を形成する場合に使用するポート用中子に関するものである。
【背景技術】
【0002】
鋳造製シリンダヘッドにおける吸気ポート又は排気ポートは,従来から良く知られているように,シリンダヘッド用鋳物型にポート用中子を装着することによって形成されるが,このポート用中子におけるシリンダヘッド用鋳物型への装着は,その組み立て性を考慮して,当該ポート用中子のうち前記シリンダヘッドの側面側の一端部を前記シリンダヘッドの側面より突出し,この部分を前記シリンダヘッド用鋳物型にて支持しているものの,当該ポート用中子のうち前記シリンダヘッドにおける燃焼室側の他端部を,前記シリンダヘッド用鋳物型のうち前記燃焼室を形成する部分に対して接当することで行うように構成している。
【0003】
このように,前記ポート用中子のうち前記シリンダヘッドにおける燃焼室側の他端部を,前記シリンダヘッド用鋳物型のうち前記燃焼室を形成する部分に対して接当したままの構成であると,前記シリンダヘッドを鋳造するとき,前記ポート用中子のうち燃焼室側の他端部が,前記シリンダヘッド用鋳物型のうち前記燃焼室を形成する部分から浮き上がるように離れることになるから,当該ポート用中子に位置ずれが発生するおそれが大きいのであった。
【0004】
そこで,先行技術としての特許文献1は,前記ポート用中子のうち燃焼室側の他端部を,前記シリンダヘッド用鋳物型のうち前記燃焼室を形成する部分に,これら両方に跨がって設けたボルトにて締結することによって,前記ポート用中子の位置ずれを阻止することを提案している。
【特許文献1】実開昭61−120057号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし,この先行技術のように,前記ポート用中子のうち燃焼室側の先端部をボルトにて締結するという構成であると,前記ポート用中子の位置ずれを確実に阻止することができるという利点を有するが,その反面,前記ボルトを前記ポート用中子を形成するときにこれに前記ボルトを埋設することに多大の手数を必要とするばかりか,ポート用中子におけるボルトをシリンダヘッド用鋳物型におけるボルト孔に挿入しながら前記ポート用中子を組み立てることにも多大の手数を必要とし,しかも,鋳造後における鋳物型の分解にも多大の手数を必要とするから,生産性が著しく低くて,コストの大幅なアップを招来するという問題があった。
【0006】
本発明は,この問題を解消したポート用中子を提供することを技術的課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的課題を達成するため本発明は,
「シリンダヘッドをその鋳物型にて鋳造するときに吸気ポート及び排気ポートのうちいずれか一方又は両方を形成するポート用中子において,
前記ポート用中子のうち前記シリンダヘッドにおける側面側の一端部を,前記シリンダヘッドにおける側面より突出してシリンダヘッド用鋳物型にて支持する一方,前記ポート用中子のうち前記シリンダヘッドにおける燃焼室側の他端に,前記シリンダヘッド用鋳物型のうち前記燃焼室形成部分に対して,当該燃焼室形成部分から離れることがないように着脱自在に係合する嵌合部を一体に設ける。」
ことを特徴としている。
【発明の効果】
【0008】
前記ポート用中子をシリンダヘッド用鋳物型に装填したとき,このポート用中子は,前記シリンダヘッド用鋳物型に対して,その一端部と,その他端における嵌合部とによって支持され,且つ,前記他端における嵌合部が,前記シリンダヘッド用鋳物型のうち前記燃焼室を形成する部分に対して当該部分から離れることがないように係合していることにより前記シリンダヘッドの鋳造に際して,前記ポート用中子のうち燃焼室側の他端が前記シリンダヘッド用鋳物型のうち前記燃焼室を形成する部分から浮き上がるように離れることを確実に阻止できるから,前記ポート用中子に位置ずれが発生することを大幅に低減できる。
【0009】
しかも,前記ポート用中子の他端における嵌合部は,前記シリンダヘッド用鋳物型のうち前記燃焼室を形成する部分に対する着脱自在な係合であることにより,このポート用中子をシリンダヘッド用鋳物型に装着することが,前記先行技術のようにボルトを使用することなく至極簡単にでき,しかも,前記ポート用中子の他端における係合部は,当該ポート用中子に一体に設けるという構成であり,前記ポート用中子を,砂と樹脂とを混合して成る等のような適宜の材料にて固め成形するときにおいて同時に形成することができるから,このポート用中子を使用してシリンダヘッドを鋳造することに要するコストを大幅に低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下,本発明の実施の形態を,図1〜図3の図面について説明する。
【0011】
これらの図において,符号1は,シリンダヘッドを鋳造するための鋳物砂又は金属による鋳物型を示し,この鋳物型1は,前記シリンダヘッドにおける下面を形成する下面型2と,前記シリンダヘッドにおける側面の下半分を形成する側面下型3と,前記シリンダヘッドにおける側面の上半分を形成する側面上型4と,前記シリンダヘッドの上面を形成する上面型(図示せず)とから構成されており,前記下面型2には,前記シリンダヘッドの下面に燃焼室を凹み形成するための燃焼室形成部分5が一体に設けられている。
【0012】
次に符号6は,前記シリンダヘッドに吸気ポート又は排気ポートを形成するためのポート用中子を示し,このポート用中子6は,例えば,鋳物砂と樹脂とを混合して成る材料等のような適宜の材料を,所定の形状に固め形成することによって,鋳造後において容易に崩壊できるような材料にて形成されている。
【0013】
本実施の形態の場合,前記ポート用中子6は,図2に示すように,シリンダヘッドにおける燃焼室に対して平面視で二つのポートを並べて開口するように二股状に分岐する構成になっている。
【0014】
そして,前記ポート用中子6のうち前記シリンダヘッドの側面側の一端には,前記シリンダヘッドの側面より外向きに突出する支持部7を一体に設けて,この支持部7を,前記鋳物型1における側面下型3と側面上型4とで挟むようにして前記ポート中子6を支持する。
【0015】
なお,この支持部7における上下両面には,前記側面下型3の凹所3aと側面上型4の凹所4aとの両方に同時に嵌まって,側面下型3,側面上型4及びポート用中子6との相互における位置決めを行うための突起7a,7bを一体に備えている。
【0016】
一方,前記ポート用中子6のうち前記シリンダヘッドの燃焼室側の他端には,側面視において鉤型した嵌合部8を一体に設け,この嵌合部8を,前記下面型2のうち前記燃焼室形成部分5に一体に設けた側面視で鉤型の嵌合部9に対して着脱自在に係合するように構成する。
【0017】
すなわち,前記一方の嵌合部8と,前記他方の嵌合部9とは,一方の嵌合部8にポートの軸線を横切る方向に延びるように設けた上向きの係合面8aが他方の嵌合部9に同じくポートの軸線を横切る方向に延びるように設けた下向きの係合面9aに対して密接するように互いに係合するものであり,この係合により,前記ポート用中子6のうち前記シリンダヘッドの燃焼室側の他端を,前記鋳物型1における下面型2のうち前記燃焼室形成部分5にて支持することができるとともに,前記燃焼室形成部分5に対してこれから離れることがないように連結できる。
【0018】
なお,前記鋳物型1の内部には,シリンダヘッドの内部に冷却水ジャケットを形成するための中子10が装填されていることはいうまでもない。
【0019】
この構成において,前記ポート用中子6の前記鋳物型1への装填は,先ず,図3に示すように,前記鋳物型1のうち下面型2に対して側面下型3を組み合わせ,これに冷却水ジャケット用の中子10を装填する。
【0020】
次いで,前記ポート用中子6を斜めにして挿入したのちポートの軸線を横切る方向にずらせ移動することによって,このポート用中子6の他端における嵌合部8を,前記下面型2の燃焼室形成部分5における嵌合部9に対して係合し,更に,このポート用中子6の一端における支持部7を,前記側面下型3に対して嵌め込みすることによって,所定位置に装填する。
【0021】
次いで,前記鋳物型1のうち前記下面型2及び側面下型3を除くその他の型,例えば,側面上型4及び図示しない上面型等を組み合わせたのち,その内部に溶融した金属を注ぎ込むという鋳造を行う。
【0022】
この場合,前記ポート用中子6は,その一端と他端とにおいて鋳物型1に支持されていることに加えて,特に,他端において前記鋳物型1のうち燃焼室形成部分5に対して,前記両嵌合部8,9における係合面8a,9aが互いに密接することで,当該燃焼室形成部分5から離れることがないように確実に連結されているから,シリンダヘッドの鋳造に際して,前記ポート用中子6に位置ずれが発生することを確実に阻止することができる。
【0023】
前記ポート用中子6は,前記したように鋳造後において容易に崩壊できるような材料にて形成されていることにより,このポート用中子6における嵌合部8は,鋳造後において下面型2を分解するときにおいて,その下面型2に設けられている嵌合部9にて容易に破壊されることになる。
【0024】
なお,前記実施の形態は,シリンダヘッドに,二つの開口を有する吸気ポートを形成する場合であったが,本発明は,これに限らず,一つの開口を有する吸気ポート,一つ又は二つの開口を有する排気ポートを形成する場合においても同様に適用できることはいうまでもない。
【0025】
また,前記ポート用中子6は,これを例えば,鋳物砂と樹脂とを混合して成る材料にて製作するときには,図4に示すように,互いに矢印方向に分解される下面型A,上面型B及び側面型Cの三つの成形型を使用することによって固め成形される。
【0026】
この場合,前記ポート用中子6における嵌合部8及び前記燃焼室形成部分5における嵌合部9の各々を,図5に示すように,係合面8a,9aに対する鉛直面8b,9bを設けた形状にすることにより,このポート用中子6を,図6に示すように,下面型A及び上面型Bの二つの成形型を使用して固め成形することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】シリンダヘッド用鋳物型の縦断正面図である。
【図2】図1のII−II視平断面図である。
【図3】鋳物型の組み立て途中の状態を示す図である。
【図4】ポート用中子を固め成形している状態を示す図である。
【図5】ポート用中子の別例を示す図である。
【図6】別例のポート用中子を固め成形している状態を示す図である。
【符号の説明】
【0028】
1 鋳物型
2 鋳物型のうち下面型
3 鋳物型のうち側面下型
4 鋳物型のうち側面上型
5 鋳物型のうち燃焼室形成部分
6 ポート用中子
7 ポート用中子の一端における支持部
8 ポート用中子の他端における嵌合部
8a 上向きに係合面
9 燃焼室形成部分における嵌合部
9a 下向き係合面
【出願人】 【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100079131
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 暁夫

【識別番号】100096747
【弁理士】
【氏名又は名称】東野 正

【識別番号】100099966
【弁理士】
【氏名又は名称】西 博幸

【識別番号】100134751
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 隆一


【公開番号】 特開2008−771(P2008−771A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171180(P2006−171180)