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【発明の名称】 動力伝達チェーンの製造方法および製造装置
【発明者】 【氏名】安原 伸二

【要約】 【課題】予張力を大きくしてより適切な残留圧縮応力をリンクに付与するに際し、ピンの損傷を防止することができる動力伝達チェーンの製造方法および製造装置を提供する。

【解決手段】無端状チェーン1を巻き掛ける予張力付与用第1プーリ32および予張力付与用第2プーリ33を有する予張力付与装置31を備えている。各予張力付与用プーリ32,33の相対向するシーブ面32a,33aがピン14端面の凸状湾曲部14aに対応する凹状とされている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のリンクおよびこれらを連結する複数のピンからなり2つのプーリ間に巻き掛けられて使用される動力伝達チェーンの製造方法であって、
予張力付与用第1プーリと予張力付与用第2プーリとの間に無端状チェーンを巻き掛けてチェーンに予張力を付与する工程を備えており、各予張力付与用プーリの相対向するシーブ面をピン端面の凸状湾曲部に対応する凹状とすることを特徴とする動力伝達チェーンの製造方法。
【請求項2】
複数のリンクおよびこれらを連結する複数のピンからなり2つのプーリ間に巻き掛けられて使用される動力伝達チェーンの製造装置であって、
無端状チェーンを巻き掛ける予張力付与用第1プーリおよび予張力付与用第2プーリを有する予張力付与装置を備えており、各予張力付与用プーリの相対向するシーブ面がピン端面の凸状湾曲部に対応する凹状とされていることを特徴とする動力伝達チェーンの製造装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、動力伝達チェーンの製造方法および製造装置、さらに詳しくは、自動車等の車両の無段変速機(CVT)に好適な動力伝達チェーンの製造方法および製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車用無段変速機として、図8に示すように、固定シーブ(2a)および可動シーブ(2b)を有しエンジン側に設けられたドライブプーリ(2)と、固定シーブ(3b)および可動シーブ(3a)を有し駆動輪側に設けられたドリブンプーリ(3)と、両者間に架け渡された無端状動力伝達チェーン(1)とからなり、油圧アクチュエータによって可動シーブ(2b)(3a)を固定シーブ(2a)(3b)に対して接近・離隔させることにより、油圧でチェーン(1)をクランプし、このクランプ力によりプーリ(2)(3)とチェーン(1)との間に接触荷重を生じさせ、この接触部の摩擦力によりトルクを伝達するもの(チェーン式無段変速機)が知られている。
【0003】
動力伝達チェーンとしては、特許文献1に、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、一のリンクの前挿通部に固定されかつ他のリンクの後挿通部に移動可能に嵌め入れられた第1ピンと一のリンクの前挿通部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの後挿通部に固定された第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされているものが提案されている。
【0004】
そして、この種の動力伝達チェーンでは、耐久性を向上させるために、その製造工程において、張力をチェーンに予め付与(予張)して、リンクに適当な残留圧縮応力を付与することが行われている。
【特許文献1】特開2006−102784号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の予張力付与装置では、使用される無段変速機(実機)に合わせるという考えから、各予張力付与用プーリの相対向するシーブ面は、円錐面(断面形状は直線)とされている。予張力付与装置によってリンクに適当な残留圧縮応力を付与するには、予張力を所定値以上にすることが好ましいが、ピン端面が凸状湾曲部とされているため、大きい予張力を与えると、ピン端面損傷の原因となる可能性がある。
【0006】
この発明の目的は、予張力を大きくしてより適切な残留圧縮応力をリンクに付与するに際し、ピンの損傷を防止することができる動力伝達チェーンの製造方法および製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明による動力伝達チェーンの製造方法は、複数のリンクおよびこれらを連結する複数のピンからなり2つのプーリ間に巻き掛けられて使用される動力伝達チェーンの製造方法であって、予張力付与用第1プーリと予張力付与用第2プーリとの間に無端状チェーンを巻き掛けてチェーンに予張力を付与する工程を備えており、各予張力付与用プーリの相対向するシーブ面をピン端面の凸状湾曲部に対応する凹状とすることを特徴とするものである。
【0008】
この発明による動力伝達チェーンの製造装置は、複数のリンクおよびこれらを連結する複数のピンからなり2つのプーリ間に巻き掛けられて使用される動力伝達チェーンの製造装置であって、無端状チェーンを巻き掛ける予張力付与用第1プーリおよび予張力付与用第2プーリを有する予張力付与装置を備えており、各予張力付与用プーリの相対向するシーブ面がピン端面の凸状湾曲部に対応する凹状とされていることを特徴とするものである。
【0009】
予張力を付与する際に使用されるプーリは、従来、その相対向する円錐状シーブ面の断面形状が直線または凸状の湾曲面とされていたのに対し、ピン端面が凸状湾曲部とされていることを考慮して、凹状の湾曲面とされる。これにより、ピン端面の凸状湾曲部とプーリの凹状湾曲部との接触面積が増加することで、ピンに作用する接触面圧が小さくなり、大きい予張力を付与した場合でもピンの損傷を防止することができる。ピン端面の凸状の湾曲部は、球面とされたり、クラウニング加工によって形成されたり、種々の形状とされる。プーリの凹状湾曲部は、凹状であればよく(ピンの凸状湾曲部との接触面積が断面が直線の円錐面に比べて大きければよく)、ピン端面の凸状の湾曲部と同じにする必要はない。プーリの凹状湾曲部の曲率半径Rは、ピン端面の凸状湾曲部の曲率半径をrとして、0.8r≦R≦5rとされていることが好ましい。Rが0.8rよりも小さくなると、プーリに必要な接触面を確保することが難しくなり、Rが5rよりも大きくなると、接触面積の増加量が小さくなってピンの損傷防止効果が小さいものとなる。プーリの凹状湾曲部の曲率半径Rは、より好ましくはr≦R≦2rとされる。
【0010】
この発明による製造方法および製造装置で得られる動力伝達チェーンは、各プーリのシーブ間距離の変化に伴って巻き掛け径が無段階に変更されて無段階の変速が行われる無段変速機で使用されるのに適している。
【0011】
予張を行うための予張力付与装置は、シーブ面形状を除いて無段変速機(実機)を模擬したものとすることができ、例えば、予張力付与装置は、円錐面状シーブ面をそれぞれ有する固定シーブおよび可動シーブからなる第1のプーリと、円錐面状シーブ面をそれぞれ有する固定シーブおよび可動シーブからなる第2のプーリとを備えており、可動シーブを固定シーブに対して接近・離隔させることにより、チェーンをクランプするものとされる。予張力付与装置は、実機を模擬したものにする必要はなく、例えば、上記の各プーリの可動シーブを固定とし、予張力付与装置は、円錐面状シーブ面をそれぞれ有する1対の固定シーブが第1の間隔をおいて対向させられた第1のプーリと、円錐面状シーブ面をそれぞれ有する1対の固定シーブが第2の間隔をおいて対向させられた第2のプーリとを備えており、プーリを回転駆動しながら、第1のプーリと第2のプーリとの軸間距離を接近・離隔させることにより、チェーンに張力を与えるものとされてもよい。
【0012】
予張力付与時には、少なくとも一方のプーリの径が実際の最小径以下とされていることが好ましい。無段変速機では、低速走行時に対応する変速比が最大のアンダー・ドライブ(以下、「U/D」と称す。)と、高速走行時に対応する変速比が最小のオーバー・ドライブ(以下、「O/D」と称す。)との間で変速比が変化する。ピンの動きにしたがってリンクに作用する応力振幅は、巻き掛け径が大きいプーリに沿って回るときよりも巻き掛け径が小さいプーリに沿って回るときに大きなものとなる。そこで、予張力付与時の巻き掛け径が無段変速機で得られる最小巻き掛け径以下の大きさを含むようにすることにより、リンクに広い範囲にわたって均等な応力を付与することが可能となり、リンクを偏りなく伸ばすことができる。この場合、予張力付与時の巻き掛け径は、無段階に変化させられてもよく、一定でもよく、予張力付与用第1プーリおよび予張力付与用第2プーリのいずれか一方の巻き掛け径が、一時的にまたは常時、無段変速機で得られる最小巻き掛け径以下の大きさとされる。
【0013】
予張力の大きさは、無段変速機で使用された場合にかかる最大張力の2倍以上(2〜3倍)とすることが好ましい。無段変速機が自動車用の場合には、車の公称トルクがかかったときの張力の2倍以上(2〜3倍)としてもよい。これにより、適切な残留圧縮応力をリンクに付与することができる。
【0014】
上記の製造方法および製造装置は、種々の動力伝達チェーンを製造するのに適しているが、ピンが挿通される前後挿通部を有する複数のリンクと、一のリンクの前挿通部と他のリンクの後挿通部とが対応するようにチェーン幅方向に並ぶリンク同士を連結する前後に並ぶ複数の第1ピンおよび複数の第2ピンとを備え、第1ピンと第2ピンとが相対的に転がり接触移動することにより、リンク同士の長さ方向の屈曲が可能とされており、第1ピンおよび第2ピンのうちの一方は、一のリンクの前挿通部に固定されかつ他のリンクの後挿通部に移動可能に嵌め入れられ、同他方は、一のリンクの前挿通部に移動可能に嵌め入れられかつ他のリンクの後挿通部に固定されているものである動力伝達チェーンを製造するのにより適している。
【0015】
この動力伝達チェーンでは、第1ピンおよび第2ピンの少なくとも一方がプーリと接触して摩擦力により動力伝達する。いずれか一方のピンがプーリと接触するチェーンにおいては、第1ピンおよび第2ピンのうちのいずれか一方は、このチェーンが無段変速機で使用される際にプーリに接触する方のピン(以下では、「第1ピン」または「ピン」と称す)とされ、他方は、プーリに接触しない方のピン(インターピースまたはストリップと称されており、以下では、「第2ピン」または「インターピース」と称す)とされる。
【0016】
リンクは、例えば、ばね鋼や炭素工具鋼製とされる。リンクの材質は、ばね鋼や炭素工具鋼に限られるものではなく、軸受鋼などの他の鋼でももちろんよい。リンクは、前後挿通部がそれぞれ独立の貫通孔(柱有りリンク)とされていてもよく、前後挿通部が1つの貫通孔(柱無しリンク)とされていてもよい。ピンの材質としては、軸受鋼などの適宜な鋼が使用される。
【0017】
ピンが前後挿通部に固定される場合の前後挿通部へのピンの固定は、例えば、機械的圧入による挿通部内縁とピン外周面との嵌合固定とされるが、これに代えて、焼き嵌めまたは冷やし嵌めによってもよい。1つの挿通部には、第1ピンと第2ピンとがチェーンの長さ方向に対向するように嵌め合わせられ、このうちのいずれか一方がリンクの挿通部の周面に嵌合固定される。嵌合固定は、挿通部の長さ方向に対して直交する部分の縁(上下の縁)で行われるのが好ましい。この嵌合固定の後、上記の予張力付与工程において予張力が付与されることにより、リンクのピン固定部(ピン圧入部)に均等にかつ適正な残留圧縮応力が高精度に付与される。
【発明の効果】
【0018】
この発明の動力伝達チェーンの製造方法および製造装置によると、各予張力付与用プーリの相対向するシーブ面について、従来は、実機に合わせて例えば円錐面とされていたのに対し、これをピン端面の凸状湾曲部に対応する凹状とすることにより、実機でかかるよりも大きな予張力を付与した場合であっても、ピン端面の損傷を防ぐことができ、チェーンの耐久性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、この発明の実施形態について説明する。以下の説明において、上下は、図3の上下をいうものとする。
【0020】
図1および図2は、この発明による動力伝達チェーンの製造方法で製造される動力伝達チェーンの一部を示しており、動力伝達チェーン(1)は、チェーン長さ方向に所定間隔をおいて設けられた前後挿通部(12)(13)を有する複数のリンク(11)と、チェーン幅方向に並ぶリンク(11)同士を長さ方向に屈曲可能に連結する複数のピン(第1ピン)(14)およびインターピース(第2ピン)(15)とを備えている。
【0021】
図3に示すように、前挿通部(12)は、ピン(14)(実線で示す)が固定されるピン固定部(12a)およびインターピース(15)(二点鎖線で示す)が移動可能に嵌め合わせられるインターピース可動部(12b)からなり、後挿通部(13)は、ピン(14)(二点鎖線で示す)が移動可能に嵌め合わせられるピン可動部(13a)およびインターピース(15)(実線で示す)が固定されるインターピース固定部(13b)からなる。そして、チェーン幅方向に並ぶリンク(11)を連結するに際しては、一のリンク(11)の前挿通部(12)と他のリンク(11)の後挿通部(13)とが対応するようにリンク(11)同士が重ねられ、ピン(14)が一のリンク(11)の前挿通部(12)に固定されかつ他のリンク(11)の後挿通部(13)に移動可能に嵌め合わせられ、インターピース(15)が一のリンク(11)の前挿通部(12)に移動可能に嵌め合わせられかつ他のリンク(11)の後挿通部(13)に固定される。そして、このピン(14)とインターピース(15)とが相対的に転がり接触移動することにより、リンク(11)同士の長さ方向(前後方向)の屈曲が可能とされる。
【0022】
ピン(14)を基準としたピン(14)とインターピース(15)との接触位置の軌跡は、インボリュート曲線とされており、この実施形態では、ピン(14)の接触面(14a)が、断面において半径Rb、中心Mの基礎円を持つインボリュート形状を有し、インターピース(15)の接触面(15a)が平坦面(断面形状が直線)とされている。これにより、各リンク(11)がチェーン(1)の直線部分から円弧部分へまたは円弧部分から直線部分へと移行する際、前挿通部(12)においては、インターピース(15)がインターピース可動部(12b)内を固定状態のピン(14)に対してその接触面(15a)がピン(14)の接触面(14a)に転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながら移動し、後挿通部(13)においては、ピン(14)が固定状態のインターピース(15)に対してその接触面(14a)がインターピース(15)の接触面(15a)に転がり接触(若干のすべり接触を含む)しながらピン可動部(13a)内を移動する。なお、図3において、符号AおよびBで示す箇所は、チェーン(1)の直線部分においてピン(14)とインターピース(15)とが接触している線(断面では点)であり、AB間の距離がピッチである。
【0023】
チェーン(1)は、幅方向同位相の複数のリンクで構成されるリンク列を進行方向(前後方向)に3つ並べて1つのリンクユニットとし、この3列のリンク列からなるリンクユニットを進行方向に複数連結して形成されている。この実施形態では、リンク枚数が9枚のリンク列とリンク枚数が8枚のリンク列2つとが1つのリンクユニットとされている。
【0024】
この動力伝達チェーン(1)は、図4に示したV型プーリ式CVTで使用されるが、この際、例えば、インターピース(第2ピン)(15)がピン(第1ピン)(14)よりも短くされ、インターピース(15)の端面がプーリ(2)の固定シーブ(2a)および可動シーブ(2b)の各円錐状シーブ面(2c)(2d)に接触しない状態で、ピン(14)の端面がプーリ(2)の円錐状シーブ面(2c)(2d)に接触し、この接触による摩擦力により動力が伝達される。プーリ(2)の円錐状シーブ面(2c)(2d)に接触するピン(14)の端面形状は、凸の湾曲状に形成されている。ピン(14)とインターピース(15)とは、上述のように、転がり接触移動するので、プーリ(2)のシーブ面(2c)(2d)に対してピン(14)はほとんど回転しないことになり、摩擦損失が低減し、高い動力伝達率が確保される。
【0025】
図4において、実線で示した位置にあるドライブプーリ(2)の可動シーブ(2b)を固定シーブ(2a)に対して接近・離隔させると、チェーン(1)の巻き掛け径は、同図に鎖線で示すように、接近時には大きく、離隔時には小さくなる。ドリブンプーリ(3)では、図示省略するが、その可動シーブがドライブプーリ(2)の可動シーブ(2b)とは逆向きに移動し、ドライブプーリ(2)の巻き掛け径が大きくなると、ドリブンプーリ(3)の巻き掛け径が小さくなり、ドライブプーリ(2)の巻き掛け径が小さくなると、ドリブンプーリ(3)の巻き掛け径が大きくなる。この結果、図5に示すように、変速比が1:1である状態(初期値)を基準にして、ドライブプーリ(2)の巻き掛け径が最小で、ドリブンプーリ(3)の巻き掛け径が最大であるU/D状態が得られ、また、ドライブプーリ(2)の巻き掛け径が最大で、ドリブンプーリ(3)の巻き掛け径が最小のO/D状態が得られる。
【0026】
この動力伝達チェーン(1)は、必要な数のピン(14)およびインターピース(15)を台上に垂直状に保持した後、リンク(11)を1つずつあるいは数枚まとめて圧入していくことにより製造される。この圧入は、ピン(14)およびインターピース(15)の上下縁部とピン固定部(12a)およびインターピース固定部(13b)の上下縁部との間において行われており、その圧入代は0.005mm〜0.1mmとされている。こうして、組み立てられたチェーン(1)には予張力が付与される。
【0027】
図6に、この発明による製造方法および製造装置において使用される予張力付与装置を示す。
【0028】
予張力付与装置(31)は、巻き掛け径が無段変速機で得られる最小巻き掛け径の大きさとされた小径プーリ(32)と、巻き掛け径が無段変速機で得られる最大巻き掛け径の大きさとされた大径プーリ(33)と、プーリ(32)(33)同士を接近・離隔させてチェーン(1)に作用する張力を調整するプーリ軸移動装置(34)と、プーリ(32)(33)を回転させる回転駆動装置(35)と備えている。
【0029】
この予張力付与装置(31)の各予張力付与用プーリ(32)(33)の相対向するシーブ面(32a)(33a)は、従来、実機に合わせて例えば円錐面とされていたのに対し、図7に拡大して示すように、ピン(14)端面の凸状湾曲部(14a)に対応する凹状湾曲面とされている。プーリ(32)(33)のシーブ面(凹状湾曲部)(32a)(33a)の曲率半径Rは、ピン(14)端面の凸状湾曲部(14a)の曲率半径をrとして、0.8r≦R≦5rとされる。
【0030】
予張力付与装置(31)の小径プーリ(32)と大径プーリ(33)との径の組合せは、U/D状態と同じ(O/D状態とも同じ)であり、ピン(14)およびインターピース(15)の動きが大きく、チェーン(1)にとって厳しい条件となっており、予張力付与時の巻き掛け径が無段変速機で得られる最小巻き掛け径以下の大きさを含むようになされていることで、リンク(11)に均等に残留圧縮応力が付与され、チェーン(1)の耐久性が向上する。
【0031】
予張力の大きさは、リンク(11)内部(特にピン固定部(12a)およびインターピース固定部(13b)における圧入部)に発生する最大主応力値がリンク(11)の弾性限界以上でかつ塑性限界以下となるように設定され、これにより、リンク(11)内部に適正な残留圧縮応力が付与される。適正な残留圧縮応力を得るには、実機でかかるよりも大きな予張力を付与することが必要であり、この場合、ピン(14)の端面が損傷する可能性があるが、予張付与時のプーリ(32)(33)の形状を上記のようにすることにより、この損傷を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】図1は、この発明による動力伝達チェーンの製造方法で製造される動力伝達チェーンの1実施形態の一部を示す平面図である。
【図2】図2は、同拡大斜視図である。
【図3】図3は、リンクの拡大側面図である。
【図4】図4は、動力伝達チェーンがプーリに取り付けられた状態を示す正面図である。
【図5】図5は、無段変速機の変速に伴って動力伝達チェーンが変化する様子を模式的に示す側面図である。
【図6】図6は、予張力付与装置を模式的に示す図である。
【図7】図7は、図6の要部の拡大図である。
【図8】図8は、無段変速機を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0033】
(1) 動力伝達チェーン
(2)(3) プーリ
(11) リンク
(14) ピン(第1ピン)
(14a) 凸状湾曲部
(15) インターピース(第2ピン)
(32) 予張力付与用第1プーリ
(33) 予張力付与用第2プーリ
(32a)(33a)凹状湾曲部
【出願人】 【識別番号】000001247
【氏名又は名称】株式会社ジェイテクト
【出願日】 平成18年10月31日(2006.10.31)
【代理人】 【識別番号】100083149
【弁理士】
【氏名又は名称】日比 紀彦

【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助

【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 彰

【識別番号】100069338
【弁理士】
【氏名又は名称】清末 康子


【公開番号】 特開2008−110378(P2008−110378A)
【公開日】 平成20年5月15日(2008.5.15)
【出願番号】 特願2006−295180(P2006−295180)