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ラックの製造方法 - 特開2008−183585 | j-tokkyo
トップ :: B 処理操作 運輸 :: B21 本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き

【発明の名称】 ラックの製造方法
【発明者】 【氏名】小林 一登

【氏名】廣田 浩太郎

【要約】 【課題】クラウニング形状のラック歯を容易に形成できる製造方法を実現する。

【解決手段】素材に金型の加工面を押し付ける事により得られる中間素材15に形成された、サイジング加工以前の素ラック歯28の歯先部分中央部16を盛り上げる。又は、この素ラック歯28の歯底部分中央部を盛り上げる。これにより、サイジング加工を施す際の押し付け方向に関する金型の弾性変形量を、加工用凹凸歯の歯筋方向中央部で少なく、歯筋方向端部で多くする。この弾性変形量の違いに基づき、上記中間素材15に対する上記加工用凹凸歯の食い込み量を、この加工用凹凸歯の歯筋方向中央部で少なく、歯筋方向端部で多くする。これにより、上記課題を解決する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラック状で、各歯の厚さが歯底部分から歯先部分にかけて漸減する、加工用凹凸歯を形成した金型の加工面を、金属製の素材の片面に押し付ける事により、この素材の片面を塑性変形させてこの片面にラック歯を形成するラックの製造方法に於いて、上記金型として、上記加工用凹凸歯の歯筋方向の形状が直線状であるものを使用し、上記加工面を上記素材の片面に押し付けた状態での、この押し付け方向に関する上記金型の弾性変形量を、上記加工用凹凸歯の歯筋方向に関して互いに異ならせ、上記素材に対するこの加工用凹凸歯の食い込み量を、この加工用凹凸歯の歯筋方向中央部で少なく、歯筋方向端部で多くする事により、上記素材の片面に形成するラック歯の形状を、このラック歯の歯筋方向同一高さ位置での厚さ寸法が歯筋方向中央部で大きく、歯筋方向端部で小さくなるクラウニング形状とする事を特徴とするラックの製造方法。
【請求項2】
押し付け方向に関する金型の加工面の、素材の被加工面から退避する方向への弾性変形量を、加工用凹凸歯の歯筋方向中央部で大きくし、歯筋方向両端部で小さくする、請求項1に記載した、ラックの製造方法。
【請求項3】
素材に予備成形を施す事により得られる中間素材に形成された素ラック歯の歯先部分中央部を盛り上げる事により、押し付け方向に関する金型の弾性変形量を異ならせる、請求項2に記載した、ラックの製造方法。
【請求項4】
素材に予備成形を施す事により得られる中間素材に形成された素ラック歯の歯底部分中央部を盛り上げる事により、押し付け方向に関する金型の弾性変形量を異ならせる、請求項2〜3のうちの何れか1項に記載した、ラックの製造方法。
【請求項5】
金型の加工用凹凸歯を形成した面と反対側の面の形状を、この加工用凹凸歯の歯筋方向両端部から歯筋方向中央部に向かう程上記金型の厚さ寸法が小さくなる凹形状とし、この金型の加工用凹凸歯を形成した面を素材に向け、平面により押し付ける事で、押し付け方向に関する金型の弾性変形量を異ならせる、請求項2に記載した、ラックの製造方法。
【請求項6】
素材として、金型の押し付け方向に関する厚さが、歯筋方向中央部で大きく、同じく両端部で小さいものを使用し、上記素材に予備成形を施す事により得られる中間素材のうちで上記金型と反対側の面を、平坦な支持面と、この支持面とこの中間素材の中央部乃至端部との間に備えた1対の弾性部材とにより支持する事で、押し付け方向に関する上記中間素材及び上記金型の弾性変形量を異ならせる、請求項2に記載した、ラックの製造方法。
【請求項7】
素材として、金型の押し付け方向に関する厚さが、歯筋方向中央部で大きく、同じく両端部で小さく、この押し付け方向に関して上記金型と反対の面の歯筋方向中央部が平坦面となっているものを使用し、この平坦面を、平坦な支持面で支持する事により、押し付け方向に関するこの素材及び上記金型の弾性変形量を異ならせる、請求項2に記載した、ラックの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば自動車用操舵装置を構成するステアリングギヤに組み込み、軸方向の変位に伴ってタイロッドを押し引きするラックの製造方法の改良に関する。具体的には、容易且つ低コストで実施できて、十分な剛性及び強度を有するラックを得られる製造方法を実現する事を目的としている。
【0002】
図12に示す構造の、自動車の操舵輪(フォークリフト等の特殊車両を除き、一般的には前輪)に舵角を付与する為の操舵装置では、ステアリングホイール1の操作に伴って回転するステアリングシャフト2の動きを、自在継手3、3及び中間シャフト4を介して、ステアリングギヤ5の入力軸6に伝達する。このステアリングギヤ5は、この入力軸6により回転駆動されるピニオンと、このピニオンと噛合したラックとを備える。上記入力軸6と共にこのピニオンが回転すると、このラックが軸方向に変位し、その両端部に結合した1対のタイロッド7、7を押し引きし、上記操舵輪に所望の舵角を付与する。
【0003】
例えば、上述の様なステアリングギヤ用のラックとして、図13に示す特願2006―299437に開示されている構造がある。この先発明に係るラック8は、炭素鋼、ステンレス鋼等の金属材製で、中実材である断面円形のロッド部9と、このロッド部9の軸方向一部(図13の左部)の径方向片側面に、塑性加工により形成されたラック歯10とを備える。図13に示した構造の場合、上記ロッド部9は、全長に亙り、外周面から中心部迄同種金属材により一体に造られている。
【0004】
上述の様なステアリングギヤ用のラックを製造する場合に、素材に削り加工を施してラック歯を形成する切削加工により造ると、製造コストが嵩む割合に、このラック歯の強度及び剛性を確保しにくい。これに対して、素材を塑性変形させてラック歯を加工すれば、このラック歯の加工に要する時間を短縮して、製造コストを低減でき、しかも、得られるラック歯の金属組織が緻密になる為、このラック歯の強度及び剛性を確保し易い。この様に、ラック歯を塑性変形により加工したラック及びその製造方法に関する発明として従来から、特許文献1〜4に記載された発明が知られている。
【0005】
このうちの特許文献1、2には、円杆状の素材を、1対の金型同士の間で強く挟持し、この素材の一部外周面に、このうちの一方の金型に設けた凹凸形状を転写してラック歯とする、ラックの製造方法に関する発明が記載されている。
【0006】
又、ラック歯の形状はクラウニング形状とした方が、クラウニング形状でない場合(ストレート形状の場合)に比べて、ピニオンとの噛合部に、エッジロードに基づく過大面圧が生じる事を防止すると共に、歯の端部が欠けるのを防止して、耐久性確保、品質維持の面で優れている事が知られている。図14〜15は、クラウニング形状のラック歯10を示している。このラック歯10の形状は、ラック歯10の歯筋方向(図14〜15の左右方向)中央部の厚さAを、同じく端部の厚さBに比べて大きくしている(A>Bとしている)。この様な、クラウニング形状は、上述した特許文献1、2等に記載された方法により製造したストレート形状のラック歯に対して、切削加工によるサイジング加工を施して形成する事が知られている。但し、ストレート形状を切削加工によりクラウニング形状に加工する事は面倒で加工時間を要するだけでなく、切削工具が磨耗する為に精度のばらつきが生じ、切削工具が消耗する為にコストが上昇する等の不利がある。この為、近年、金型を用いた鍛造加工によりサイジング加工を施す事が考えられている。特許文献5には、ラック歯の製造方法ではないが、クラウニング形状の歯を製造する為の金型の製造方法と、この金型を用いてクラウニング形状の歯を製造する方法が記載されている。
又、上記特許文献5に記載されている製造方法とは異なるが、図16に示す様なクラウニング状のラック歯10を備えたラック8の製造方法として、同じく図16に示す様な湾曲した金型12を使用する事が考えられる。この先発明に係る製造方法の場合、この湾曲した金型12の加工用凹凸歯13、13を形成した加工面14を、サイジング加工以前でストレート形状の歯を備えた中間素材の素ラック歯に対して押し付ける。上記加工面14の形状は、この押し付け方向の厚さ寸法が、この加工面14の歯筋方向端部で大きく、この加工面14の歯筋方向中央部に向かう程小さくなっている。この加工面14の形状に基づき、上記ストレート形状の歯に対する上記加工面14の、押し付け方向の食い込み量を、このストレート形状の歯の歯筋方向中央部(上記ラック歯10の歯筋方向中央部16に相当する位置)で少なく、歯筋方向端部(上記ラック歯10の歯筋方向端部17、17に相当する位置)に向かう程多くする。これにより、上記ストレート形状の素ラック歯を塑性変形させて、歯筋方向同一高さ位置で、歯筋方向と直角方向の厚さ寸法が、この歯筋方向の中央部で大きく、同じく両端部で小さくなるクラウニング形状に塑性変形させる事ができる。
上述した様な、金型を用いた鍛造加工によるサイジング加工の場合、切削加工によるサイジング加工の場合に比べて、作業効率面、品質精度面、コスト面で有利になる。但し、上述の様な、それぞれが歯筋方向に湾曲した形状を有する多数の加工用凹凸歯13、13を加工面14に設けた湾曲した金型12を造る事は難しく、この湾曲した金型12の加工コスト、延いてはこの金型12により造るラック8の製造コストが嵩んでしまう。
【0007】
【特許文献1】特開平10−58081号公報
【特許文献2】特開2001−79639号公報
【特許文献3】特開2000−153336号公報
【特許文献4】特開2006−103644号公報
【特許文献5】特開2003−80338号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上述の様な事情に鑑み、容易に製造できる金型を用いて、クラウニング形状のラック歯を持つラックの製造を作業効率面、品質精度面、コスト面を有利に行なえる様にする事により、高品質のラックを低コストで造れる製造方法を実現すべく発明したものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のラックの製造方法は、ラック状で、各歯の厚さが歯底部分から歯先部分にかけて漸減する、加工用凹凸歯を形成した金型の加工面を、金属製の素材の片面に押し付ける事により、この素材の片面を塑性変形させてこの片面にラック歯を形成する。
特に、本発明のラックの製造方法に於いては、上記金型として、上記加工用凹凸歯の歯筋方向の形状が直線状であるものを使用する。又、上記加工面を上記素材の片面に押し付けた状態での、この押し付け方向に関する上記金型の弾性変形量を、上記加工用凹凸歯の歯筋方向に関して互いに異ならせる。そして、上記素材に対する上記加工用凹凸歯の食い込み量を、この加工用凹凸歯の歯筋方向中央部で少なく、歯筋方向端部で多くする。これにより、上記素材の片面に形成するラック歯の形状を、このラック歯の歯筋方向同一高さ位置での(歯筋方向に存在する同一仮想平面上での)厚さ寸法が歯筋方向中央部で大きく、歯筋方向両端部で小さくなるクラウニング形状とする。
【0010】
上述の様な本発明のラックの製造方法を実施する場合、具体的には、請求項2に記載した様に、押し付け方向に関する金型の加工面の、素材の被加工面から退避する方向への弾性変形量を、加工用凹凸歯の歯筋方向中央部で大きくし、歯筋方向両端部で小さくする。
又、この様な請求項2に記載したラックの製造方法を実施する場合に、より具体的には、請求項3に記載した様に、上記素材に予備成形を施す事により得られる中間素材に形成された素ラック歯の歯先部分中央部を盛り上げる事により、押し付け方向に関する金型の弾性変形量を異ならせる。
或いは、請求項4に記載した様に、上記素材に予備成形を施す事により得られる中間素材に形成された素ラック歯の歯底部分中央部を盛り上げる事により、押し付け方向に関する金型の弾性変形量を異ならせる。
或いは、請求項5に記載した様に、金型の加工用凹凸歯を形成した面と反対側の面の形状を、この加工用凹凸歯の歯筋方向両端部から歯筋方向中央部に向かう程上記金型の厚さ寸法が小さくなる凹形状とする。そして、上記加工用凹凸歯を形成した面を素材に向け、平面により押し付ける事で、押し付け方向に関する金型の弾性変形量を異ならせる。
或いは、請求項6に記載した様に、素材として、金型の押し付け方向に関する厚さが、歯筋方向中央部で大きく、同じく両端部で小さいものを使用する。そして、上記素材に予備成形を施す事により得られる中間素材のうちで上記金型と反対側の面を、平坦な支持面と、この支持面とこの中間素材の中央部乃至端部との間に備えた1対の弾性部材とにより支持する事で、押し付け方向に関する上記中間素材及び上記金型の弾性変形量を異ならせる。
或いは、請求項7に記載した様に、素材として、金型の押し付け方向に関する厚さが、歯筋方向中央部で大きく、同じく両端部で小さく、この押し付け方向に関して上記金型と反対の面の歯筋方向中央部が平坦面となっているものを使用する。そして、この平坦面を、平坦な支持面で支持する事により、押し付け方向に関するこの素材及び上記金型の弾性変形量を異ならせる。
【発明の効果】
【0011】
上述の様な本発明のラックの製造方法によれば、ラック歯のクラウニング形状を、金型に設けた加工用凹凸歯の押し付けによる、塑性加工により得る為、切削加工に比べて、容易に、且つ、少ない加工時間で、クラウニング形状のラック歯を形成する事ができる。
又、上記金型の加工用凹凸歯の形状は、自由状態(非加工工程時)では直線形であり、容易に造る事ができる。この為、上記金型の製造コスト、延いては、この金型を使用して造るラックの製造コストを低く抑えられる。
尚、ラック歯の形状をクラウニング形状とする事で、ラックの歯面とピニオンの歯面との接触部に、エッジロードに基づく過大面圧が生じにくくなる。この為、ラック歯及びピニオン歯の磨耗量を低減できて、上記ラック及びピニオンの耐久性確保を図り易くなる。又、ラック歯の強度が増す為に、ラック歯にチッピング等の欠損が生じにくくできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
[実施の形態の第1例]
図1〜4は、請求項1〜3に対応する、本発明の実施の形態の第1例を示している。
本例の特徴は、ラックの製造方法のうち、クラウニング形状を形成するサイジング加工に於いて、図1に示す様な、加工用凹凸歯の歯筋方向の形状が直線状であるストレート形状金型11を用いて、前述した図16に示す湾曲した金型12を用いた場合と同様の効果を得られる様に、サイジング加工以前(荒成形状態で)の素ラック歯の歯形状に工夫した点にある。又、本例では、図13に示す様な構造のラックを対象としており、上記素ラック歯の製造方法は、特に限定するものではない。この為、前述した従来構造と同等部分には同一符号を付して、重複する説明を省略若しくは簡略にし、以下、本例の特徴部分を中心に説明する。尚、以下の加工は、温間若しくは冷間で行なう事ができる。
【0013】
本例の場合、素材として、断面円形の丸棒状で、歯筋方向中央部の厚さが大きく、同じく両端部の厚さが小さいものを使用する。そして、上記素材に荒成形用の金型の加工面を押し付ける事により得られる、図2に示すサイジング加工以前の中間素材15の形状を、この中間素材15の素ラック歯28、28の歯先部分歯筋方向中央部16、16を、歯先部分歯筋方向端部17、17からH1 (図3参照)だけ、上記中間素材15の径方向外方に盛り上げている。
【0014】
この様な中間素材15に、サイジング加工を施す場合、上記ストレート形状金型11の片側面で加工用凹凸歯13、13を形成した加工面14を、上記各素ラック歯28、28に押し付ける。すると、上記ストレート形状金型11の加工面14は、上述した歯先部分歯筋方向中央部16の盛り上がりH1 に基づき、上記加工用凹凸歯13、13の歯筋方向に関して、不均一に弾性変形する。即ち、上記加工面14のうちで歯底部分と上記歯先部分歯筋方向中央部16との当接により、この加工面14の中央部が押し付け方向(と反対方向)に比較的大きく弾性変形する傾向になるのに対し、この加工面14の両端部は同方向に弾性変形する傾向が小さくなる。この為、図4に示す様に、この加工面14のうちで、加工用凹凸歯歯筋方向端部20、20{押し付けの際に、上記ラック歯10の歯先部分歯筋方向端部17、17を結んだ仮想線γ(図2参照)と整合する位置}は、弾性変形前にこの加工面14があった仮想面α(図4に鎖線で示す面)からH20(上記H1 より小さい値)だけ、上記中間素材15の被加工面から退避する方向に弾性変形する。又、上記加工面14のうちで、加工用凹凸歯歯筋方向中央部21{押し付けの際に上記ラック歯10の歯先部分歯筋方向中央部16、16を結んだ仮想線β(図2参照)と整合する位置}は、上記仮想面αからH21(上記H20よりも大きく、上記H1 よりも小さい値)だけ、上記中間素材15の被加工面から退避する方向に弾性変形する。この様に、上記ストレート形状金型11の弾性変形量が、上記加工用凹凸歯13、13の歯筋方向に亙り異なる理由は、上述の様に、上記中間素材15に形成した、前記各素ラック歯28、28が、歯筋方向中央部で盛り上がっている為、上記ストレート形状金型11の加工面14に加わる反力が、歯筋方向中央部で、同じく両端部よりも大きくなる為である。尚、この加工面14を構成する、上記加工用凹凸歯13、13と上記各素ラック歯28、28との形状及び大きさは、これら各素ラック歯28、28の歯先部分歯筋方向中央部16、16と上記加工用凹凸歯13、13の歯底部分中央とが当接した状態で、上記各歯13、28の側面同士が互いに密接する様に、規制している。
【0015】
上述の様に、上記ストレート形状金型11の弾性変形量は、上記加工用凹凸歯13、13の歯筋方向で異なり、上記加工用凹凸歯歯筋方向端部20、20で小さく、上記加工用凹凸歯歯筋方向中央部21に向かう程大きく(H20<H21)なる。この為、上記ストレート形状金型11の加工面14の形状は、上記中間素材15にサイジング加工を施す状態では、前記図16に示した、湾曲した金型12の加工面と同様の形状となり、この湾曲した金型12を上記中間素材15の被加工面に押し付けている状態と同様の加工を行なえる。
即ち、弾性変形している上記ストレート形状金型11の加工面14が押し付けられる、上記中間素材15の素ラック歯28、28の塑性変形量(素ラック歯28、28に対する上記加工用凹凸歯13、13の食い込み量)は、上記仮想線β(図2参照)に相当する位置で小さく、上記仮想線γに相当する位置に向かう程大きくなる。これにより、上記中間素材15の素ラック歯28、28の形状(歯筋方向に対し直角方向の厚さ)を、この素ラック歯28、28の歯筋方向同一高さ位置で歯筋方向に亙り連続的に異ならせて、前述の図15に示す様なクラウニング形状に加工できる。
【0016】
本例の製造方法を採用する場合、上記ストレート形状金型11は、容易に製造する事ができる為、切削加工によりサイジングを施したり、加工面自体をクラウニング形状とした複雑な金型を用いる場合に比べて、作業効率面、コスト面で有利になり、ラックの製造コストを低減できる。
尚、上記中間素材15の歯先部分歯筋方向中央部16、16の盛り上げ量を調整する事により、サイジング加工後の上記ラック歯10のクラウニング量を調整する事ができる。
【0017】
[実施の形態の第2例]
図5〜6は、請求項1〜2、4に対応する、本発明の実施の形態の第2例を示している。本例の場合、素材に金型の加工面を押し付ける事により得られる、図5に示すサイジング加工以前の中間素材15aに形成した素ラック歯28a、28aの歯底部の形状を工夫している。具体的には、これら各素ラック歯28a、28aの歯底部のうち、歯底部分歯筋方向中央部18を、歯底部分歯筋方向端部19、19からH2 (図6参照)だけ盛り上げている。
この様な、上記中間素材15aに、サイジング加工を施す場合、ストレート形状金型11の片側面で加工用凹凸歯13、13を形成した加工面14(図1参照)を、これら各加工用凹凸歯13、13の歯先面のうちの歯筋方向中央部が、各素ラック歯28a、28aの歯底面の歯筋方向中央部(歯底部分筋方向中央部18)に突き当たるまで押し付ける。この状態で、これら各素ラック歯28a、28aの側面と上記各加工用凹凸歯13、13の側面とが密接する様に、各歯28a、13の寸法、形状を規制しておく。そして、この状態から更に上記ストレート形状金型11の押し付けを継続すると、上記加工面14は、図4に示す実施の形態の第1例の場合と同様に、弾性変形する。この為、湾曲した金型12(図16参照)を押し付けている状態と同様の効果を得る事ができる。
その他の部分の構成及び作用に就いては、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する説明は省略する。
尚、中間素材の形状を、前述した実施の形態の第1例と本例とを組み合わせた如き形状としても良い。
【0018】
[実施の形態の第3例]
図7〜9は、請求項1〜2、5に対応する、本発明の実施の形態の第3例を示している。
本例の場合、ストレート形状金型11aの加工用凹凸歯13、13を形成した加工面14と反対側の面の形状を、図7、8に示す様に、反対面歯筋方向端部23、23から反対面歯筋方向中央部24に向かう程、この金型の厚さ寸法が小さくなる凹形状の凹面22としている。
この様に、上記反対面歯筋方向中央部24の厚さ寸法を小さくする事で、この反対面歯筋方向中央部24は押し付け方向の力に対する剛性が低くなる。この為、図示しない中間素材への押し付けの際に、上記ストレート形状金型11aの歯筋方向中央部は、歯筋方向両端部に比べて、押し付け方向(と反対方向)に大きく弾性変形する傾向になる。
【0019】
この様な、上記ストレート形状金型11aを用いて、サイジング加工を施す場合、このストレート形状金型11aを、プレス加工機のラムに設けた、平坦な押圧面により、被加工物である中間素材に向け押し付ける。この様にして、上記ストレート形状金型11aの加工面14を中間素材に押し付けると、この加工面14は図9に示す様に、歯筋方向中央部が凹む方向に弾性変形する。即ち、上記加工面14のうち、加工用凹凸歯歯筋方向端部20a、20aは、弾性変形前に上記加工面14があった仮想面α(図9に鎖線で示す面)からH20だけ、上記中間素材の被加工面から退避する方向に弾性変形する。又、この加工面14の加工用凹凸歯歯筋方向中央部21aは、上記仮想面αから、上記加工用凹凸歯歯筋方向端部20a、20aの変形量H20よりも大きな変形量H21だけ、上記中間素材の被加工面から退避する方向に弾性変形する。
この様にして、本例の場合には、中間素材にサイジング加工を施す際に、上記ストレート形状金型11aの加工面が、被加工物である中間素材から退避する方向に弾性変形する。この弾性変形量は、上記加工用凹凸歯13、13の歯筋方向で異なり、具体的には、上記加工用凹凸歯歯筋方向端部20a、20aで小さく、上記加工用凹凸歯歯筋方向中央部21aに向かう程大きく(H20<H21)なる。この為、本例の場合も、湾曲した金型12(図16参照)を押し付けている状態と同様の効果を得る事ができる。
その他の部分の構成及び作用に就いては、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する説明は省略する。
【0020】
[実施の形態の第4例]
図10は、請求項1〜2、6に対応する、本発明の実施の形態の第4例を示している。
本例の場合、素材として、歯筋方向中央部の厚さが大きく、同じく両端部の厚さが小さいものを使用する。そして、上記素材に金型の加工面を押し付ける事により得られる中間素材15cを、支持平坦面25と、この支持平坦面25とこの中間素材15cの下面中央部乃至歯筋方向両端部との間に設置した、ゴムの如き1対の弾性部材26、26とにより、がたつかない程度に支持する。又、サイジング用の金型としてストレート形状金型11(図1参照)を使用する。
【0021】
この様に上記中間素材15cを支持すると、サイジング加工の際の押し付け方向の応力に対するこの中間素材15cの剛性(図10の上下方向への弾性変形しにくさ)が、この中間素材15cの素ラック歯28の歯筋方向中央部で高く、歯筋方向端部で低くなる。この為、この中間素材15cに金型の加工面を押し付ける事によるサイジング加工時に、この中間素材15cが、歯筋方向両端部程、中央部に比べて、上記金型から退避する方向に弾性変形し易くなる。そして、上記中間素材15の素ラック歯28の、上記ストレート形状金型11の押し付け方向の塑性変形量{上記素ラック歯28に対する加工用凹凸歯13、13(図1参照)の食い込み量}が、この素ラック歯28の歯筋方向中央部で少なく、歯筋方向端部で多くなる。一方で、上記中間素材15に押し付けている上記ストレート形状金型11の、この中間素材15の被加工面から退避する方向への弾性変形量は、このストレート形状金型11の加工用凹凸歯13、13の歯筋方向中央部で多く、歯筋方向端部で少なくなる。この結果、湾曲した金型12(図16参照)を押し付けている状態と同様の効果を得る事ができる。
その他の部分の構成及び作用に就いては、上述した実施の形態の第1例と同様であるから、重複する説明は省略する。
【0022】
[実施の形態の第5例]
図11は、請求項1〜2、7に対応する、本発明の実施の形態の第5例を示している。
本例の場合、素材として、歯筋方向中央部の厚さが大きく、同じく両端部の厚さが小さく、下端面が平坦面となっているものを使用し、上記素材に金型の加工面を押し付ける事により得られる中間素材15dの下端平坦面27を、支持平坦面25aでがたつかない程度に支持する。又、サイジング用の金型としてストレート形状金型11(図1参照)を使用する。
その他の部分の構成及び作用に就いては、上述した実施の形態の第4例と同様であるから、重複する説明は省略する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】ストレート形状金型を説明する部分斜視図。
【図2】本発明の実施の形態の第1例を説明する為の中間素材の部分斜視図。
【図3】同じく、図2のイ矢視図。
【図4】同じく、金型の弾性変形量を説明する為の、加工時の状態での、図1のA−A断面に相当する図。
【図5】本発明の実施の形態の第2例を説明する為の中間素材の部分斜視図。
【図6】同じく、図5のロ矢視図。
【図7】本発明の実施の形態の第3例を説明する為の金型の斜視図。
【図8】同じく、図7のB−B断面図。
【図9】同じく、サイジング加工の進行に伴って金型が弾性変形した状態での断面図。
【図10】本発明の実施の形態の第4例を説明する為の、図3と同様の図。
【図11】本発明の実施の形態の第5例を説明する為の、図3と同様の図。
【図12】ラックを組み込んだステアリング装置を示す部分切断側面図。
【図13】従来から知られているラックの1例を示す斜視図。
【図14】クラウニング形状のラック歯を示す正面図。
【図15】図14のC−C断面図。
【図16】先に考えられた製造方法で用いる、ラック歯をサイジングする為の金型及びラックの部分斜視図。
【符号の説明】
【0024】
1 ステアリングホイール
2 ステアリングシャフト
3 自在継手
4 中間シャフト
5 ステアリングギヤ
6 入力軸
7 タイロッド
8 ラック
9 ロッド部
10、10a、10b、10c ラック歯
11、11a ストレート形状金型
12 湾曲した金型
13 加工用凹凸歯
14 加工面
15、15a、15b、15c、15d 中間素材
16、16a、16b 歯先部分歯筋方向中央部
17、17a、17b 歯先部分歯筋方向端部
18 歯底部分歯筋方向中央部
19 歯底部分歯筋方向端部
20、20a 加工用凹凸歯歯筋方向端部
21、21a 加工用凹凸歯歯筋方向中央部
22 凹面
23 反対面歯筋方向端部
24 反対面歯筋方向中央部
25、25a 支持平坦面
26 弾性部材
27 下端平坦面
28、28a 素ラック歯
【出願人】 【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
【出願日】 平成19年1月30日(2007.1.30)
【代理人】 【識別番号】100087457
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 武男

【識別番号】100141508
【弁理士】
【氏名又は名称】大田 隆史

【識別番号】100148677
【弁理士】
【氏名又は名称】武藤 正樹

【識別番号】100056833
【弁理士】
【氏名又は名称】小山 欽造


【公開番号】 特開2008−183585(P2008−183585A)
【公開日】 平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願番号】 特願2007−18687(P2007−18687)