トップ :: B 処理操作 運輸 :: B21 本質的には材料の除去が行なわれない機械的金属加工;金属の打抜き

【発明の名称】 体積が不均一な区分からなるフランジ部を有する部材のフラッシュ無し鍛造法
【発明者】 【氏名】中崎 盛彦

【氏名】竹内 博

【要約】 【課題】フラッシュ無し鍛造により、鍛造後のバリ取り作業を必要とせずに、非軸対称性の高いフランジ部のハブ外輪を効率よく低コストで鍛造する方法を提供する。

【解決手段】据込工程後の予成形においてフランジ部1の外周の非軸対称形状の凸部4及び凹部5に対応するフランジ部1の上面2を、凸部4の部分では凸面6からなりかつ凹部5の部分では凹面7からなるウェーブ状に、及びフランジ部1の凹部5の部分の下面3を凹面状に成形する予成形において、予成形形状の凸部4及び凹部5の体積配分差を、本成形における最終形状の凸部4及び凹部5の体積配分差より5%〜10%大きくし、次いで本成形によりフランジ部11を有する部材のハブ外輪に成形する高非軸対称性のフランジ部11を有するハブ外輪のフラッシュ無し鍛造法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素形材の鍛造によりフランジ部のフランジ面の中心を頂点とする複数の扇状部位に区分し、該フランジ部の区分を該扇状部位の平均体積よりも大きな体積の扇状部位Aと小さな体積の扇状部位Bの2種類の扇状部位とし、扇状部位Aと扇状部位Bの体積比A/Bを1.1〜2.0とする際に、素形材の据え込み工程後にフランジ部の扇状部位A及び扇状部位Bに対応する凸面を有する扇状部位A’及び凹面を有する扇状部位B’からなるウェーブ状のフランジ部に予成形し、次いで本成形工程によりフランジ部を扇状部位A及び扇状部位Bを有する部材に成形することを特徴とする体積が不均一な区分からなるフランジ部を有する部材のフラッシュ無し鍛造法。
【請求項2】
凸面を有する扇状部位A’はその凸面を上面及び下面の一面または両面に有し、該凸面を有する面をウェーブ状に予成形することを特徴とする請求項1に記載の体積が不均一な区分からなるフランジ部を有する部材のフラッシュ無し鍛造法。
【請求項3】
凹面を有する扇状部位B’はその凹面を上面及び下面の一面または両面に有し、該凹面を有する面をウェーブ状に予成形することを特徴とする請求項1に記載の体積が不均一な区分からなるフランジ部を有する部材のフラッシュ無し鍛造法。
【請求項4】
凸面を有する扇状部位A’及び凹面を有する扇状部位B’はその凸面及び凹面を上面及び下面の一面または両面に有し、該凸面及び凹面を有する面をウェーブ状に予成形することを特徴とする請求項1に記載の体積が不均一な区分からなるフランジ部を有する部材のフラッシュ無し鍛造法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、非軸対称性の高い体積が不均一な区分からフランジ部を有する部材、特にハブ外輪、をフラッシュ無し鍛造により成形する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱間鍛造で異形フランジ部を有する自動車のハブ外輪を製造している。しかし、このハブ外輪は異形フランジ部を有し、このフランジ部外周が高非軸対称形状の凸部及び凹部からなる異形であることから、従来の軸対称形状の予成形を用いてフラッシュ無し鍛造を行うと、本成形においてフランジ凸部よりも凹部が先に充填し、フランジ凹部でバリが発生するため、成形ができない。このため、このように非軸対称性の高いフランジ部を有するハブ外輪の鍛造は、従来、バリを有するフラッシュ出し鍛造法にせざるを得なかった。
【0003】
上記の従来の方法におけるバリを有するフラッシュ出し鍛造の工程を説明すると、図2に示すように、鍛造の第1工程で素材の据込を行い、第2工程で軸対称形状の予成形を行い、第3工程で予めフランジ部11の凹部5にフラッシュ8を出した状態で本成形を行って非軸対称形状に仕上げ、第4工程で中央の連結部のポンカス10を抜くポンカス抜きをしてリング形状とし、第5工程でフラッシュ8を抜くフラッシュ抜きを行っている。このように、従来の工法では、予め付けたフラッシュ8を最終工程で打ち抜かなければならない分、非常に歩留りが悪い鍛造方法であり、またフラッシュ8を出すことで圧下面積が大きくなるため、鍛造に要する荷重も大きくなってしまい、型割れも生じ易いなどというコストデメリットもあった。なお、第2工程の上段の図は予成形の成形体の平面図で、その下段の図は、全て、平面図の点線イ−イで示すように平面図の上から見て中心から右側の最凸部と中心から左斜め下側の最凹部でそれぞれ切断した縦断面を示す立面図であり、第3工程から第5工程の立面図は、中心より右側にフランジ部外周面の凸部4の側の縦断面を、中心より左側にフランジ部外周面の凹部5の側の縦断面をそれぞれ示している。
【0004】
そこで、これまで、フラッシュ無し鍛造法によるバリ発生の問題を改善するため対策として、予成形形状の変更を実施してきた。予成形形状をこれまでの軸対称形状から非軸対称形状へ変更することにより、本成形で発生するバリの高さをある程度低く緩和することができるようになってきた。しかしながら、現状は図4に示すように、依然として最終形状でバリが発生している状態であるので、得られた製品は、鍛造後にグラインダー等によりバリを除去する必要があり、そのために工数の増加とコスト上昇をもたらしていた。したがって、本成形工程におけるバリ発生の防止、すなわち、フラッシュ無し鍛造による成形法の確立に向けた一層の改善が望まれている。
【0005】
他社の類似の成形方法として、薄肉の異形フランジ製品では、図3に示す工程で成形している。図3において、各図の上側は平面図で、下側は立面図であり、第2工程および第3工程では、平面図の点線イ−イで切断した縦断面の立面図を下部に示している。先ず、aに示す素材を用いて鍛造の第1工程で据込を行って形状bとし、第2工程で異形のフランジ部1の中心に近い外周の凹部5をcに示すように、局部的に型打ちして肉流れの変形抵抗を大きくするように薄肉成形を行い、次いで、第3工程として、フランジ部1の中心から遠い外周の凸部4をdに示すように、局部的に型打ちにより局部型打部9に成形して肉を外側へ張り出すように薄肉成形することで、薄肉の異形フランジ製品をフラッシュ無し鍛造法で成形することを可能にしている(例えば、特許文献1参照。)。しかしながら、本発明で述べるような、厚肉の異形フランジ製品の場合だと、このような成形方法は難しいと考えられる。
【0006】
また他に、従来の方法として、ポンチと対向マンドレルの間で鍛造する鍛造装置において、マンドレルの素材との接触面に溝または傾斜部からなる案内部を形成し、この案内部により素材を圧縮して横方向に流出させて異形の非軸対称度の高い製品を予成形工程を短縮する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。また、鍛造によりフランジ部の周囲の間に同時に張り出すバリ内に偏肉部を形成し、これを位置決めとして抜き型にセットしてバリを高精度で剪断除去する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、これら上記の方法はいずれもバリ出し工法であり、最終的にバリ取りを必要とする方法である。
【0007】
【特許文献1】特公昭58−38261号公報
【特許文献2】特開平05−200474号公報
【特許文献3】特開2001−18032号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明が解決しようとする課題は、非軸対称性の高いフランジ部を有するハブ外輪の鍛造方法において、従来必要であった鍛造後のグラインダーによるバリ取り作業を不要とすることを可能としたフラッシュ無し鍛造法によって、非軸対称性の高いフランジ部を有するハブ外輪を製造でき、かつその生産能率を高めコストを下げる鍛造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の手段は、高非軸対称形状の厚肉のフランジ部11を有するハブ外輪の鍛造方法である。すなわち、パンチ及びダイからなる鍛造装置において、予成形パンチ及び予成形ダイの環状外周部に凸部及び凹部を設け、据込した素材をこれらの予成形パンチ及び予成形ダイを用いて鍛造してフランジ部1の凸部4及び凹部5に凹凸形状の体積配分を施した予成形を行い、この予成形した部材を用いて本成形することにより、フランジ部11の外周の凸部4及び凹部5への材料充填を同時に終了させるものとする。これにより、バリ12のないフラッシュ無し鍛造による高非軸対称性のフランジ部11を有する部材であるハブ外輪の成形を可能とする方法である。
【0010】
すなわち、上記の課題を解決するための本発明の手段は、請求項1の手段では、非軸対称性の高いフランジ部11の外周を有する厚肉の部材すなわちハブ外輪の鍛造方法において、図6に示すように、素形材の鍛造により予成形のフランジ部1のフランジ面の中心を頂点とする複数の放射状の扇状部位に区分し、例えば8区分し、該フランジ部1の区分を該扇状部位の平均体積よりも大きな体積の扇状部位Aと小さな体積の扇状部位Bの2種類とする。そしてこれらの扇状部位Aと扇状部位Bの体積比A/Bを1.1〜2.0とする。この体積比とする際に、素形材の据え込み工程後にフランジ部1の扇状部位A及び扇状部位Bに対応する凸面6を有する扇状部位A’及び凹面7を有する扇状部位B’からなるウェーブ状のフランジ部1に予成形し、次いで本成形工程によりフランジ部11を扇状部位A及び扇状部位Bを有する部材に成形することを特徴とする体積が不均一な区分からなるフランジ部11を有する部材のフラッシュ無し鍛造法である。なお、図1の第2工程の予成形の(b’)の平面図の点線イ−イは(b)の立面図の断面の切断線を示す。
【0011】
請求項2の発明では、凸面6を有する扇状部位A’はその凸面6を上面2及び下面3の一面または両面に有し、該凸面6を有する面をウェーブ状に予成形することを特徴とする請求項1の手段の体積が不均一な区分からなるフランジ部11を有する部材のフラッシュ無し鍛造法である。
【0012】
請求項3の発明では、凹面7を有する扇状部位B’はその凹面7を上面2又は下面3のいずれか一面または両面に有し、該凹面7を有する面をウェーブ状に予成形することを特徴とする請求項1の手段の体積が不均一な区分からなるフランジ部11を有する部材のフラッシュ無し鍛造法である。
【0013】
請求項4の発明では、凸面6を有する扇状部位A’及び凹面7を有する扇状部位B’はその凸面6及び凹面7を上面2及び下面3の一面または両面に有し、該凸面6及び凹面7を有する面をウェーブ状に予成形することを特徴とする請求項1の手段の体積が不均一な区分からなるフランジ部11を有する部材のフラッシュ無し鍛造法である。
【0014】
予成形工程において、成形形状のフランジ部11の外周面が凸部4である部分は予成形のフランジ部1の上面2を凸面6とし、フランジ部11の外周面が凹部5である部分はフランジ部1の上面2を凹面7とするウェーブ状とし、さらにフランジ部11の外周面が凸部4である部分はフランジ部1の下面3を凸面6とし、フランジ部11の外周面が凹部5である部分はフランジ部1の下面3を凹面7とするウェーブ状とすることからなる成形方法は、予成形のフランジ部1の外周面の凸部4を有する扇状部位の体積部分及び凹部5を有する扇状部位の体積部分の体積配分差を、本成形における最終形状の凸部4を有する扇状部位の体積部分と及び凹部5を有する扇状部位の体積部分との体積配分差より5%〜10%大きくして行う鍛造方法である。
【0015】
図6に示すように予成形の形状を軸方向真上から見た平面図で、外周面の凸部4と凹部5の境目で8分割した場合のそれぞれ4個分ずつの凸部4と凹部5において、上記の体積配分差とは、凸部4の4個分の体積の予成形全体積に占める割合と、凹部5の4個分の体積の予成形全体に占める割合との差のことをいう。すなわち、凸部4を有する扇状部位の1個の体積をVaとし、凹部5を有する扇状部位の1個の体積をVbとするとき、体積配分差(%)={100・Va/(Va+Vb)}−{100・Vb/(Va+Vb)}である。
【0016】
本発明の方法における限定理由を説明する。従来の鍛造方法では、非軸対称性のフランジ部11を有する部材、例えば、ハブ外輪の成形において、フランジ部11の非軸対称性がきわめて高い場合、予成形のフランジ部1の外周面に凸部4及び凹部5を設けただけでは、十分な凸部4の扇状部位と凹部5の扇状部位との間に体積配分差のある予成形形状とならず、この状態でフラッシュ無し鍛造を行うと、本成形工程で凹部5で軸方向にバリ12が発生してしまって成形ができない。したがって、予成形工程でフラッシュ8を周方向に発生した状態で成形し、本成形後、最終工程でそのフラッシュ抜きを行うフラッシュ出し鍛造にせざるを得ない。しかし、本発明の鍛造方法では、予成形形状をフランジ部1の上面2を凸面6及び凹面7としたウェーブ状とし、かつ凸部4の扇状部位及び凹部5の扇状部位の素材の体積配分差を、最終形状の凸部4の扇状部位及び凹部5の扇状部位の体積配分差の5%〜10%大きくすることで、本成形工程において凹部5で軸方向へのバリ12を発生させることなく、凸部4及び凹部5を同時に充填させることができる。このため、フラッシュ無し鍛造で、高非軸対称形状のフランジ部11を有する部材、例えばハブ外輪を成形することができ、結果として鍛造後のバリ取り工程を不要とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明の手段における予成形方法とすることにより、高非軸対称形状のフランジ部を有する部材すなわちハブ外輪をフラッシュ無し鍛造法で成形可能となり、その結果、フラッシュ出し方法で最終工程に必須であったフラッシュ抜き工程や、従来のフラッシュ無し鍛造方法で鍛造後に必要であったバリ取り作業が不要となり、高効率で鍛造でき、かつ、コストを低減を図ることができるなど、本発明は優れた効果を奏するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、図面を参照しながら本発明の実施の形態を説明する。先ず、本願の方法に先立ち、現状の鍛造による図4に示す第1工程〜第4工程の成形方法を説明する。現状の方法の予成形形状では、フランジ部1の外周は(b’)の平面図に見られるように、非軸対称形状としているが、(b)の立面図に見られるようにフランジ部1の上面2及び下面3は凹凸をつけず平らであり、凸部4及び凹部5の体積配分差が十分でないため、図4の第3工程の終了時では、フランジ部11の凸部4または凹部5への材料の充填時期に差が生じる。すなわち、図5の平面図に示すように、本成形では、フランジ部11の凸部4には鍛造のストローク率100%で材料が充填されるが、凹部5ではそれよりも先のストローク率97%で充填されてしまうこととなる。このため、鍛造により材料を凸部4に100%充填しようとすると、図4の(c)の第3工程に示すように、凹部5の外周上部に高さ1.5mm以内の僅かなバリ12を発生することとなる。そこで、このバリ12は鍛造後に、グラインダーによるバリ取り作業やショットブラスト等により除去するのが現状である。
【0019】
これに対し、本発明では、最終形状のバリ12を後でグラインダーによるバリ取り作業をする必要のないように、バリ12の発生を抑制することを目標とするものである。このために、予成形を、最終工程におけるフランジ部11の外周の凸部4及び凹部5への材料充填を同時に終了するように形状化する必要がある。
【0020】
そこで、予成形のフランジ部1の非軸対称形状を、図6に示すように、真上から見た平面図で、フランジ部1の外周の凸部4と凹部5の境目で区切って8分割し、凸部4の部分のフランジ部1の上面2には膨らみの凸面6に設け、凹部5の部分のフランジ部1の上面2に凹みを有する凹面7に設ける。このようにすることで、フランジ部1の上面2を凸面6及び凹面7からなるウェーブ形状として本成形工程の最終形状に成形できるようにするために、予成形における凸部4と凹部5の間に体積配分差をつけるものとする。さらに、図1に示すフランジ部1の凹部5の下面3にも、図6に示すフランジ部1の上面2を凹面7にとしている様に、図示しないが下面3を凹面7にすることで、予成形の凸部4と凹部5の部分の体積配分にさらに差をつけ、本成形工程におけるフランジ部11の凹部5の部分での外側方向への材料流動量を小さくすることにより、凸部4及び凹部5の外周への材料の充填を同時終了となるようにしてフランジ部11を形状化するものである。
【0021】
このため、同一型番の非軸対称形状のフランジ部11を有するハブ外輪について、CAE(コンピュータ支援エンジニアリング)解析により、本方法について以下の検討を行った。すなわち、予成形のフランジ部1の外周の凸部4及び凹部5の部分のうち、凹部5の上面2及び下面3に当接するパンチ面及びダイ面にそれぞれ膨らみを有し、凸部4の上面2に当接するパンチ面に凹みを有する予成形パンチ及び予成形ダイを用いたことで、予成形の凸部4及び凹部5の体積配分の差は34%となって、本成形工程においてフランジ部11の凸部4及び凹部5の外周に対して同時に充填終了して形状化することを可能とした。なお、本成形(最終)形状の凸部4と凹部5の体積配分差は25%であった。
【0022】
これに対し、従来のフランジ部1の外周の凸部4の上面2及び凹部5の上面2、下面3に当接するパンチ面及びダイ面に凹凸を有しない平らな予成形パンチ及び予成形ダイを用い、図4に示す現状の手段では、第1工程の据込部材を第2工程の(b)及び(b’)で示すように、予成形する場合の予成形形状の凸部4と凹部5の体積配分の差は27%であった。このものは、本成形工程の最終形状の鍛造において、凸部4及び凹部5の外周に対して同時に充填できないため、フランジ部11の凹部5の外周上部にバリ12が発生し、完全な形状に成形できなかった。これは予成形形状の凸部4と凹部5の体積配分差が十分でなかったためと考えられる。また、図7に示すように、第2工程の予成形において、フランジ部1の凹部5の外周面上の中心側への凹みを増大させたものでは、予成形の凸部4と凹部5の体積配分差は32%と十分であるが、第2工程の予成形工程でフランジ部1の凹部5にバリ12が発生し、完全な形状に成形できなかった。なお、図7の第2工程の上部は平面図で、この平面図の点線イ−イで切断して縦断面図の立面図を下部に示す。ところで、完全に成形できなかった理由は、予成形のフランジ部1の上面2及び下面3を凹面としたのではなく、外周面の凹部5に凹面を設けたために、予成形の段階で凹部5に先に材料が充填されることとなり、バリ12が発生したためである。なお、本発明における「高非軸対称性」とは、最終の本成形の形状の凸部4及び凹部5の体積配分差が15%を超えるもの、と定義して使用している。
【0023】
本成形工程におけるフランジ部11の外周の凸部4及び凹部5への材料の同時充填の挙動について、さらに説明する。図1に示すように、第2工程では、フランジ部1の凸部4の上面2及び凹部5の上面2と下面3に当接するパンチ面及びダイ面にそれぞれ膨らみ及び凹みを有するパンチ及びダイを用いて予成形を成形する。この予成形したものを用いることで、第3工程の本成形において、充填直前では、予成形したフランジ部1の外周の凹部5の中央部がダイ壁面の凸部へ到達し、そこから変形余地のある上面2及び下面3の方向に流動し始める。その時点では、まだフランジ部1の凸部4はダイ壁面に到達しておらず、ダイの壁面へ材料流動が進行する。その後、フランジ部1の凹部5の中央部材料の上面2及び下面3への材料流動により凹部5が充填完了する時期と、フランジ部1の凸部4のダイ壁面への材料流動により凸部4が充填完了する時期が重なって同時となり、フランジ部11を形成した第3工程は終了する。
【0024】
以上のCAE解析による検討結果、単にフランジ部1の外周の凹部5をフランジ部1の中心方向に凹ませたのみでは、体積配分の差は増大できたにもかかわらず、第2工程の予成形工程でフランジ部1の凹部5の外周上部にバリ12が発生し、図4に見られるように、完全な成形は不可能となった。しかし、フランジ部1の外周の凹部5をフランジ部1の中心方向に大きく凹ませるのではなく、図1の本発明の方法のように、フランジ部1の外周の凹部5の部分のフランジ部1の上面2及びフランジ部1の下面3を凹ませてフランジ部1の凹部5を肉薄とし、またフランジ部1の凸部4は肉厚として、予成形の凸部4と凹部5の体積配分差を増大することで、第3工程の本成形工程でフランジ部1の凹部5の外側への材料流動量が小さくなる。その結果、フランジ部11の凸部4及び凹部5が同時充填して終了できることとなった。さらに、本成形工程でバリ12の発生を抑制できることが明らかとなった。
【0025】
本発明の実施の形態では、非軸対称性の高いフランジ部11の外周を有するハブ外輪の鍛造方法として、丸鋼材を図1の(a)に示す第1工程の形状に据込鍛造する。次いで、フランジ部1の底面凹部に凸面を有する予成形ダイス及び、下面に凸面及び凹面からなる成形面を有する予成形パンチを用いて、図1の(b)に示す第2工程のフランジ部1の上面2を、図6に示す凸面6及び凹面7からなるウェーブ状に、さらに、凹部5の下面3を凹面状に予成形する。さらに、図1の(c)に示す第3工程の本成形を行い、次いで常法どおりのポンカス抜きを図1の(d)に示す第4工程で行って、高非軸対称性のフランジ部11を有するハブ外輪のフラッシュ無し鍛造法とした。
【0026】
さらに、上記方法における第2工程のフランジ部1の上面2を凸面6及び凹面7からなるウェーブ状に、フランジ部1の下面3を凹面7からなる凹面状に予成形する際に、非軸対称性のフランジ部1における凸部4及び凹部5の体積配分差を、本成形における最終形状の凸部4及び凹部5の体積配分差より5%〜10%大きくした。この結果、本成形において非軸対称性のフランジ部11における凸部4及び凹部5への材料流動による充填は同時に行われ、結果として、バリ12を発生させることなくハブ外輪を成形することができた。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明のフラッシュ無し鍛造工程の模式図で、(a)は第1工程の立断面図、(b)は第2工程の立断面図で(b’)は平面図、(c)は第3工程の立断面図、(d)は工程4の立断面図で、第2工程以降は左側は凹面部を右側は凸面部を示す。
【図2】従来のフラッシュ出し鍛造工程を示す模式図で第3工程以降は左側は凹面部を右側は凸面部を示す。
【図3】従来の他のフラッシュ無し鍛造工程の模式図で第2工程及び第3工程は左側は凹面部を右側は凸面部を示す。
【図4】現状のフラッシュ無し鍛造工程を示す模式図で、第2工程以降は左側は凹面部を右側は凸面部を示す。ある。
【図5】上記の最終工程のフランジ部を上面から見た模式図である。
【図6】本発明の予成形のフランジ部の非軸対称形状の上面を8分割して示す模式図である。
【図7】現状の他のフラッシュ無し鍛造工程の据込の第1工程と予成形の第2工程を示す模式図である。
【符号の説明】
【0028】
1 予成形のフランジ部
2 上面
3 下面
4 (フランジ部外周面の)凸部
5 (フランジ部外周面の)凹部
6 凸面
7 凹面
8 フラッシュ
9 局部型打部
10 ポンカス
11 成形形状のフランジ部
12 バリ
【出願人】 【識別番号】000180070
【氏名又は名称】山陽特殊製鋼株式会社
【出願日】 平成19年1月10日(2007.1.10)
【代理人】 【識別番号】100101085
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 健至

【識別番号】100134131
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 知理


【公開番号】 特開2008−168313(P2008−168313A)
【公開日】 平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願番号】 特願2007−2874(P2007−2874)