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【発明の名称】 鍛造プレスのビレット移送装置
【発明者】 【氏名】備前 雅一

【要約】 【課題】移送中のビレットを確実に保持でき、かつ、鍛造プレスへの受け渡し位置でのビレットのリフト量を小さくできる鍛造プレスのビレット移送装置を提供することである。

【解決手段】受け台1の上に、傾斜シュート22から落下するビレットAが縦向きに挿入される筒状ホルダ7を配設して、筒状ホルダ7の側壁の下端部に設けた左右一対の開口7aでライナ板6の上面との間に隙間を形成し、この受け台1の上面と筒状ホルダ7との隙間から進退する一対のフィンガ9で、筒状ホルダ7に縦向きに挿入されたビレットAの下部を挟持する挟持手段8を設けることにより、筒状ホルダ7の高さを低くしても、ビレットAが転倒したり、飛び出したりしないようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送コンベアと鍛造プレスとの間に配設され、前記コンベアの排出端に設けられた傾斜シュートから落下する被加工用のビレットを傾斜状態で受け台の上に受け取り、この受け台に受け取ったビレットを、前記鍛造プレスへの受け渡し位置へ、垂直状態で受け渡すように移送する鍛造プレスのビレット移送装置において、前記受け台の上に、前記傾斜シュートから落下するビレットが縦向きに挿入される筒状ホルダを、受け台の上面との間に隙間が形成されるように配設し、この受け台の上面と筒状ホルダとの隙間から進退する一対のフィンガで、前記筒状ホルダに縦向きに挿入されたビレットの下部を挟持する挟持手段を設けたことを特徴とする鍛造プレスのビレット移送装置。
【請求項2】
前記受け台の上面と筒状ホルダとの間の隙間を、前記筒状ホルダの側壁に設けた一対の開口で形成した請求項1に記載の鍛造プレスのビレット移送装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、被加工用のビレットを鍛造プレスへの受け渡し位置へ移送する鍛造プレスのビレット移送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンベアから搬送されてくる被加工用のビレットを鍛造プレスへの受け渡し位置へ移送する鍛造プレスのビレット移送装置には、コンベアの排出端に設けられた傾斜シュートから落下するビレットを傾斜状態で受け台の上に受け取り、受け取ったビレットを鍛造プレスへの受け渡し位置へ垂直状態で受け渡すように移送するようにしたものがある。鍛造プレスは複数の金型を備えており、トランスファ装置により、ワーク(ビレット)をこれらの金型間で順次搬送して多工程成形を行っており、前記受け渡し位置へ移送されたビレットは、このトランスファ装置のチャック等によって、受け台から掴み上げられ、鍛造プレスの金型内に挿入される。
【0003】
このような鍛造プレスのビレット移送装置では、移送中のビレットが転倒したり、受け台から飛び出したりしないように、受け台の上に、傾斜シュートから落下するビレットが縦向きに挿入される筒状ホルダを配設したもの(例えば、特許文献1参照)や、受け台の上で、互いに接近、離反してビレットを挟圧する一対の挟圧部材をエアシリンダで加圧するようにしたもの(例えば、特許文献2参照)がある。特許文献2に記載されたものでは、傾斜シュートから落下するビレットが、そのまま挟圧部材の間に嵌まり込むように、一対の挟圧部材の上部に上方へ拡がる傾斜面を形成し、挟圧部材の挟圧方向と直交する方向には、一対の対向するガイドを立設している。
【0004】
【特許文献1】特開2004−337962号公報
【特許文献2】特開2000−107833号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載された鍛造プレスのビレット移送装置は、簡単な構成でビレットの転倒を防止できるが、移送中のビレットの飛び出しを防止するためには筒状ホルダの高さを高くする必要がある。前記トランスファ装置は、一対のフィードバーを有し、クランプのための開閉、昇降、進退の三次元運動を繰り返しながらワークを次工程に搬送しており、各次元の運動量を最小限にすることで、鍛造プレスの高速運転を行っている。しかしながら、筒状ホルダの高さを高くすると、鍛造プレスへの受け渡し位置でのトランスファ装置のチャック等によるビレットの掴み上げのリフト量が必要以上に大きくなり、金型へのビレットの挿入時間が長くなって、鍛造プレスの生産性が低下する問題がある。
【0006】
一方、特許文献2に記載されたものは、鍛造プレスへの受け渡し位置でのビレットのリフト量は小さくできるが、ビレットの下部を挟圧部材で挟圧するのみであり、かつ、挟圧部材の上部に上方へ拡がる傾斜面が形成されているので、移送中のビレットが挟圧部材の挟圧方向へ転倒しやすい問題がある。また、挟圧部材によるビレットの挟圧ミスが生じる恐れもある。
【0007】
そこで、本発明の課題は、移送中のビレットを確実に保持でき、かつ、鍛造プレスへの受け渡し位置でのビレットのリフト量を小さくできる鍛造プレスのビレット移送装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明は、搬送コンベアと鍛造プレスとの間に配設され、前記コンベアの排出端に設けられた傾斜シュートから落下する被加工用のビレットを傾斜状態で受け台の上に受け取り、この受け台に受け取ったビレットを、前記鍛造プレスへの受け渡し位置へ、垂直状態で受け渡すように移送する鍛造プレスのビレット移送装置において、前記受け台の上に、前記傾斜シュートから落下するビレットが縦向きに挿入される筒状ホルダを、受け台の上面との間に隙間が形成されるように配設し、この受け台の上面と筒状ホルダとの隙間から進退する一対のフィンガで、前記筒状ホルダに縦向きに挿入されたビレットの下部を挟持する挟持手段を設けた構成を採用した。
【0009】
すなわち、受け台の上に、傾斜シュートから落下するビレットが縦向きに挿入される筒状ホルダを、受け台の上面との間に隙間が形成されるように配設し、この受け台の上面と筒状ホルダとの隙間から進退する一対のフィンガで、筒状ホルダに縦向きに挿入されたビレットの下部を挟持する挟持手段を設けることにより、筒状ホルダの高さを低くしても、ビレットが転倒したり、飛び出したりしないようにし、移送中のビレットを確実に保持でき、かつ、鍛造プレスへの受け渡し位置でのビレットのリフト量を小さくできるようにした。
【0010】
前記受け台の上面と筒状ホルダとの間の隙間を、前記筒状ホルダの側壁に設けた一対の開口で形成することにより、一対のフィンガが進退する隙間を簡単に形成することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の鍛造プレスのビレット移送装置は、受け台の上に、傾斜シュートから落下するビレットが縦向きに挿入される筒状ホルダを、受け台の上面との間に隙間が形成されるように配設し、この受け台の上面と筒状ホルダとの隙間から進退する一対のフィンガで、筒状ホルダに縦向きに挿入されたビレットの下部を挟持する挟持手段を設けることにより、筒状ホルダの高さを低くしても、ビレットが転倒したり、飛び出したりしないようにしたので、移送中のビレットを確実に保持でき、かつ、鍛造プレスへの受け渡し位置でのビレットのリフト量を小さくして、鍛造プレスの生産性を向上させることができる。
【0012】
前記受け台の上面と筒状ホルダとの間の隙間を、筒状ホルダの側壁に設けた一対の開口で形成することにより、一対のフィンガが進退する隙間を簡単に形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。この鍛造プレスのビレット移送装置は、図1に示すように、搬送コンベア21の排出端に設けられた傾斜シュート22から落下する被加工用のビレットAを傾斜状態で受け台1の上に受け取り、図2に示すように、ビレットAを受け取った受け台1を回動させて、ビレットAを鍛造プレス(図示省略)への受け渡し位置で垂直状態にして受け渡すように移送するものである。傾斜シュート22はコンベア21のフレーム23に取り付けられた支持板24に支持具25で固定され、その下端部には、受け台1の回動で移送されるビレットAを逃がす切欠き部22aが設けられている。
【0014】
図2および図3に示すように、前記受け台1は、下面側に一対の縦基板1aを介して取り付けられた回動軸1bが、支持板24に軸受26で回動自在に支持され、フレーム23に取り付けられたサーボモータ2で、タイミングベルト3とプーリ4を介して回動されるようになっている。受け台1は鍛造プレスへの受け渡し位置で水平になるように前側(鍛造プレス側)へ回動され、垂直状態となったビレットAが、トランスファ装置のチャック等によって所定のリフト量で掴み上げられる。なお、受け台1の後側には、このように前側へ回動されたときに、傾斜シュート22からのビレットAの落下を防止する円弧状のストッパ5が設けられている。
【0015】
図4および図5に示すように、前記受け台1の上には、中央部にライナ板6が取り付けられ、前記傾斜シュート22からライナ板6上に落下するビレットAが縦向きに挿入される筒状ホルダ7と、ビレットAを一対のフィンガ9で左右から挟持する挟持手段8が設けられている。
【0016】
前記筒状ホルダ7の高さは、ビレットAの下側部分のみが挿入される程度に低くされ、その側壁の下端部には、ライナ板6の上面との間に隙間を形成する左右一対の開口7aが設けられており、これらの開口7aから一対のフィンガ9がビレットAへ向かって進退して、ビレットAの下端部を挟持するようになっている。したがって、移送中のビレットAを確実に保持でき、かつ、鍛造プレスへの受け渡し位置でのビレットAのリフト量を小さくすることができる。なお、筒状ホルダ7は、丸ビレットAが嵌まり込む内側断面が円形、外側断面が六角形とされ、この六角形の一辺から張り出し、受け台1に固定するための取り付け部7bが設けられている。
【0017】
前記挟持手段8は、左右一対のエアシリンダ10を有し、そのピストンロッド10aの先端に取り付けられた各フィンガ9を左右から進退させるものであり、ピストンロッド10aの先端に取り付けられたフィンガ9の基部9aは、図6に示すように、受け台1の前後に取り付けられたガイド部材11a、11bで案内されるようになっている。
【0018】
図4に示したように、前記各フィンガ9は、落下するビレットAと衝突せず、かつ、筒状ホルダ7内に素早く前進できるように、その先端が各開口7aで形成されたライナ板6の上面との隙間の筒状ホルダ7の内周面よりも後側で、外周面よりも前側の位置に待機し、図中に一点鎖線で示したように、ビレットAがライナ板6上に落下すると前進して、ビレットAの下端部を挟持する。また、図5に示したように、前側のガイド部材11aは中央部で左右に分割され、この分割されたガイド部材11aの間に筒状ホルダ7の取り付け部7bが位置し、筒状ホルダ7が受け台1に固定されている。
【0019】
上述した実施形態では、筒状ホルダの下端部に設けた開口で、ライナ板の上面との間にフィンガが進退する隙間を形成したが、筒状ホルダをライナ板の上面から浮かせて取り付けて、フィンガが進退する隙間を形成することもできる。また、筒状ホルダの内側断面は円形に限定されることはなく、ビレットの断面形状に応じて角形等としてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】鍛造プレスのビレット移送装置の実施形態を示す切欠き正面図
【図2】図1の移送装置の受け台を鍛造プレスへの受け渡し位置へ回動させた状態を示す切欠き正面図
【図3】図2の切欠き側面図
【図4】図3の受け台の部分を拡大して示す切欠き側面図
【図5】図4のV−V線に沿った平面断面図
【図6】図5のVI−VI線に沿った断面図
【符号の説明】
【0021】
A ビレット
1 受け台
1a 縦基板
1b 回動軸
2 サーボモータ
3 タイミングベルト
4 プーリ
5 ストッパ
6 ライナ板
7 筒状ホルダ
7a 開口
7b 取り付け部
8 挟持手段
9 フィンガ
9a 基部
10 エアシリンダ
10a ピストンロッド
11a、11b ガイド部材
21 コンベア
22 傾斜シュート
22a 切欠き部
23 フレーム
24 支持板
25 支持具
26 軸受
【出願人】 【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
【出願日】 平成18年11月17日(2006.11.17)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二

【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久

【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由

【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博


【公開番号】 特開2008−126247(P2008−126247A)
【公開日】 平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願番号】 特願2006−311409(P2006−311409)