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【発明の名称】 厚肉の大きい中膨れ板部材の製造方法
【発明者】 【氏名】西尾 眞之

【氏名】西尾 真一

【氏名】西尾 正之

【氏名】西尾 達也

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
丸棒を切断して得た素材を対向して進退する2個の型の間で挟圧し、軸方向に圧縮して両端部を略半球形に成形するとともに、中央部を略球形に膨大させ、前記両端部と中央部との間を適宜形状の中間部で連結した形状の第1半成品を成形する第1工程と、前記第1半成品を互に平行な2個の挟圧面を持つ2個の型の間で挟圧して変形させる第2工程とを含む厚肉の大きい中膨れ板部材の製造方法。
【請求項2】
請求項1において、前記第2工程で使用する2個の挟圧面の少なくとも一方の面に適宜形状の突起を設け、後の穿孔工程の下孔を成形する厚肉の大きい中膨れ板部材の製造方法。
【請求項3】
請求項1において、前記第2工程でできる半成品の下孔、あるいは外郭の少なくとも一方は、下孔、あるいは外郭の縁を残してトリムする第3工程を含む厚肉の大きい中膨れ板部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、自動二輪車のエンジンと排気管とを結合するための排気管ブラケットのような、厚肉が大きくて両端が小さく中央部が大きい外郭の中膨れ板部材(以下、単に、ブラケットという)をプレス加工によって製造するのに好適な製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
前記排気管のブラケット10は、排気管50をエンジン51へ取り付けるため使用する(特許文献1参照)もので、図4、図5で示すように、前記排気管のブラケット10は、排気管50をエンジン51へ取り付けるため使用するもので、中央部に排気管50を通すための比較的大きな排気管孔10aと、エンジン51に植設したボルト52を通すための比較的小さい2個の取付孔10b、10bとが設けられ、そのため外郭形状が前記中膨れ形をしている。ブラケット10には、排気管50をエンジン51へ固定する強い力が作用するため、100mm×70mm程度の比較的小さい部品であるにも拘らず板厚が8mm前後もある。
【0003】
そのような形状のブラケット10の製造は、図3(1)で示すように、帯状の鋼板61を素材として、ポンチ62を用いプレス機によって打ち抜いてブラケットとなる部分、すなわち、ブランク材63を作る。次いで、同図(2)で示すように、これにドリル加工、あるいはプレスを加えて排気管孔10aと取付孔10bとを穿孔した上、同図(3)で示すように、各孔の縁を面取りして完成させる。
【0004】
しかし、前記鋼板61からブランク材63を打ち抜く工程では、素材たる鋼板61からブランク材63を打ち抜くと、残された材料61aが大きく変形し、引き続き加工を進めるのに、鋼板61の変形の無い部分から打ち抜こうとすると、鋼板61を大きく送らねばならず、そのため、廃棄する部分が大きくなる。よって、材料の歩留まりがわるく資源が無駄となるばかりか、製品の価格にも悪影響を与えた。
【0005】
この改善策として、板厚の薄い材料を使用して成形した同形の部材の複数個を、重ね合わせて溶着して厚肉にすることも考えられたが、成形する数が増えるばかりか溶接工程もが加わるため、逆に製造コストが増加した。
【0006】
また、従来の製造方法ではブランク材に穿孔した上、面取りを行っているので、孔の部分、および面取部の材料が屑材として廃棄されるので、一層、材料の無駄が大きくなっていた。
【特許文献1】特開2001−280127号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の板状の素材をプレスによって打ち抜き、ブランク材を得る方法に代えて新たな製造方法を得んとすることである。素材として板材を用いることなく板状の部材を得るには、丸棒をプレス機によって押しつぶす事が考えられるが、単純に押しつぶしても単品の素材が得られるのみであるから、押しつぶして板状にした後の加工、あるいは材料の無駄を最小にする押しつぶし方を得ることが求められる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、丸棒を切断して得た素材を対向して進退する2個の型の間で挟圧し、軸方向に圧縮して両端部を略半球形に成形するとともに、中央部を略球形に膨大させ、前記両端部と中央部との間を適宜形状の中間部で連結した形状の第1半成品を成形する第1工程と、前記第1半成品を互に平行な2個の挟圧面を持つ2個の型の間で挟圧して変形させる第2工程とを含むことを主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本願発明によれば、素材として丸棒を用い、比較的小型の材料の必要な箇所を膨大させてブランク材を作るから、大きな素材から不要な部分を削除してブランク材を作る従来の製造方法に比して、材料の歩留まりがよく資源の節約が可能になる。
【実施例1】
【0010】
以下、本願発明に係る製造方法を図示の実施例によって説明する。図1、図2中、10は厚肉の大きい中膨れ板部材、具体的には排気管取付け用のブラケットである。ブラケット10は、素材11、すなわち、鋼製の丸棒を所定の寸法に切断したものである。素材11の外径は後述する第1半成品12の細軸部12dより太く、中央部12bより細いものが選択される。また、素材11の長さは第1半成品12より短い寸法に設定される。
【0011】
図1(2)は、第1工程で作られる第1半成品12の外観を示す。第1半成品12は、前記素材11を、図2(2)で示すように、互に対向して進退する2個の金型部材31a、31bからなる第1金型31によって軸方向に挟圧して作られる。なお、ここでいう第一工程とは第一半成品を作るまでの全作業工程をいい、個々の作業(1型毎)とは異なる。
【0012】
金型部材31a、31bは対称形の型面をもち、素材11を軸方向に圧縮しつつ端部近傍を小径に絞る。すなわち素材11の端部が金型部材31a、31bによってしごかれ、進行方向と逆の方向へ移動して逃げ部32aの中へ半球状に膨らみながら押し込まれ、略半球状の両端部12a、12aと、小径の細軸部12dとが同時に成形される。
【0013】
そのとき、両金型部材31a、31bの進行に伴って、材料の大部分が進行方向へ押され、軸方向の中央へ向かって流動する。そのため、素材11の中央は両側から流入してくる材料に押されて周方向へ球状に膨大し、中央が外方へ膨らんだ細長い球状の中央部12bが成形される。なお、12c、12cは前記細軸部12dと膨大した中央部12bとの間を連結する略円錐形の中間部であり、その中間部12c、12cの角度を適宜に選定することにより、後述する両端部12a、12aと膨大した中央部12bとを連結する線を接線より外方へ凸にすることも、内方へ凸にすることも任意に調整できる。
【0014】
図1(3)は第2工程で作られる第2半成品15の外観を示す。図2(3)は第2工程で使用される第2金型35をなす上型35aと下型35bとの間に挟圧されている第2半成品15を示す。第2工程では第2金型35によって前記第1半成品12が扁平に押しつぶされるが、このとき、前記半球形をした両端部12a、12aが前記取付孔10b、10bの部分の、また、球状に膨大した中央部12bが排気管孔10aの部分となる。
【0015】
そして、前記中間部12cと細軸部12dとが外方へ膨出しつつ扁平になるので、両端部12a、12aと膨大した中央部12bを連結する部分に変化する。なお、この形状はブラケット10の軽量化のため、両端部12a、12aと膨大した中央部12bとを連結する接線よりやや凹んだ形状になるよう設定されている。
【0016】
第2半成品15を挟圧する前記上型35aと下型35bとには、それぞれ、前記排気管孔10aと取付孔10bとに相当する位置に、突起35c、35cが設けられており、それによって後の穿孔工程のための下孔15a、15bが成形される。また、両型35a、35bには第2半成品15が上下から挟まれたとき、材料の流動を妨げることがないよう、進行方向側方に逃げ空間35dが作ってあり、両型35a、35bの間から押し出された余肉がその中へ弧状に膨出する。よって、引き続き行われる第3工程において余剰に膨出した部分が外殻をトリムする工程で除去されるときも、縁の部分が除去されることなく残されて外面の面取り部15cとして残される。図2(3)中、二点鎖線15eは前記外殻をトリムする工程で除去される位置を示す。
【0017】
前記両下孔15a、15aの形状は、図2(3)中の下側に表した断面図から明らかなように、入り口の部分が図中二点鎖線15fで示す製品寸法より大きく、かつ底の部分が製品寸法より小さい皿状になっており、同じ位置に両面から形成されている。すなわち、引き続き行われる第3工程において所定の直径の排気管孔10aと取付孔10bが穿孔されたとき、前記皿状をした斜面の入り口の部分が孔周りの面取り部15dとして残される。
【0018】
図1(4)と図2(4)は第3工程を終了した成形最終品を示す。第3工程では、前の工程で作られる第2半成品15に設けられた下孔15a、15aと、外郭とに、穿孔、およびトリミング(薄くトリミングする、いわゆるシェービング加工を含む)などの加工を加えて所定の寸法に仕上げる。よって、この成形最終品にメッキその他の耐熱表面処理を施せば、製品たるブラケット10となる。
【0019】
64は第3工程において下孔15a、15aの部分から除去された屑材、65は輪郭の部分から除去された屑材である。なお、前記第2工程終了時における外郭の形状は、外縁が外方へ膨出するゆるい円弧状と外観も優れているので、第3工程のうち、前記外殻部分をトリムする工程は必須の工程ではなく、この工程を除去することによって、外観を向上させたり、手が切れたりする不具合を除く利点がある。
【0020】
以上のように、この実施例によれば、製品たるブラケットより大きな帯状の素材から打ち出したブランク材を素材として使用する従来の製造方法に比し、棒状の鋼材から切り出されブラケットと大差のない小さな棒材を素材とする点で材料の大きな損失が回避できる他、成形の途中においても、ボルトや排気管のための孔や面取りの部分を平板状のブランク材から除去して製品を得る場合に比し、丸棒を平板状に押しつぶす過程で皿状の下孔を作ってしまうので、面取りが不要でかつ穿孔する部分も下孔の底部だけで済み、除去する材料が少ないから、材料の無駄がない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本願発明に係る製造方法による素材の変形過程を示す外観図である。
【図2】図1に示す製造方法による製品の形状を示す工程図である。
【図3】従来の製造方法を示す図1相当の外観図である。
【図4】エンジンと排気管の結合状態を示す外観図である。
【図5】図4の要部を断面して示す断面図である。
【符号の説明】
【0022】
10 ブラケット
10a 排気管孔
10b 取付孔
11 素材
12 第1半成品
12a 両端部
12b 中央部
12c 中間部
12d 細軸部
15 第2半成品
15a、15b 下孔
15c 外側の面取り部
15d 孔周りの面取り部
31 第1金型
31a、31b 型部材
35 第2金型
35a 上型
35b 下型
35c 突起
35d 逃げ空間
50 排気管
51 エンジン
52 ボルト
61 帯状の鋼板
61a 残された材料
62 ポンチ
63 ブラケットとなる部分(ブランク材)
64、65 屑材
15e、15f 二点鎖線
【出願人】 【識別番号】597117363
【氏名又は名称】西尾精密株式会社
【出願日】 平成18年11月14日(2006.11.14)
【代理人】 【識別番号】100104776
【弁理士】
【氏名又は名称】佐野 弘

【識別番号】100119194
【弁理士】
【氏名又は名称】石井 明夫


【公開番号】 特開2008−119731(P2008−119731A)
【公開日】 平成20年5月29日(2008.5.29)
【出願番号】 特願2006−307497(P2006−307497)